月: 2017年1月

マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」3

たいこ叩きのマーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団

icon★★★
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」力強い合唱。オケも強力です。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」少しゆったりとしたテンポで歌われます。合唱の弱音も引き込まれるように魅力的です。
「われらが肉体の脆き弱さに」ホルンの咆哮。柔らかい鐘の響き。艶やかで表情豊かなヴァイオリン独奏。ミュートを付けたトランペットの鋭い音。オケの響きに溶け込むような柔らかい独唱。
「そが光にてわれわれが感ずる心を高めたまえ」合唱の圧倒的な響きにオケが押されぎみで、ブラスセクションの輝かしい響きが聞かれません。ちょっとモノトーンに近いような色彩感です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」圧倒的な合唱。独唱も溶け合っていて、強く主張してはきません。
「父なる主に栄光あれ」合唱を中心に音楽が作られているようで、マーラーが言う「大宇宙が響き始める様子」とは違うような感じがしました。

第二部、 「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」奥行き感のある弦のピチカートにホールトーンが乗った木管が次々と現れますが、ここも色彩感に乏しい。編成の大きい曲の録音なので、全体を捉えることに重きを置いていて、一つ一つが楽器の色彩感は犠牲になっているようです。合唱は響きを伴ってとても奥行き感があります。
「永遠の愉悦の炎」柔らかいバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」バスの独唱も柔らかい響きです。独唱の後ろで動くオケはモノトーンのような感じです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」後半、少し輝かしいブラスの響きが聞かれました。
「地上の残り滓を運ぶのは」ヴァイオリン独奏はとても艶やかです。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」高音がちょっとキツそうなテノール独唱。流れるようなハープと弦の演奏。抑制の効いた演奏で、爆発は決してしません。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」少年合唱の音程の怪しいところがありました。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ソプラノ独唱も突き抜けてはきません。
「悔い改むる優しき方がたよ」テノール独唱に呼応する合唱が広大な空間を再現します。ここでも非常に抑制されたブラスセクション。
「移ろい行くものはなべて」とても整って美しい合唱の弱音。合唱からわずかに浮かび上がるソプラノ独唱。次第に盛り上がりますが、金管が突き抜けてくることはありません。深いドラの響きです。全体の響きの中から僅かに浮かび上がる金管の旋律で終えました。

大きい編成の割りに突き抜けてくるパートがなく色彩感に乏しい演奏で、大宇宙が響くと言うような輝かしさはありませんでした。

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

朝比奈 マーラー「千人の交響曲」★★★
第一部、「来たれ、創造の主なる聖霊よ」すごく遅いテンポで雄大な冒頭です。テンポの遅さが少し鈍重な感じもあります。
「いとたかき恵みもてみたしたまえ」地声が強い独唱。少し間延びしたような音楽です。金管はビンビンとは鳴りません。ボーっと言う音です。
「われらが肉の弱きを」大阪フィルもこの時代の音色は今ひとつで、味わいがありません。仏教で使う大きい磬子のような鐘の音。どうしても歌声として鳴り切っていない独唱が気になります。
「光もて五感を高め」マーラーが「大宇宙が響き始める様子」と言った音楽にしては、響きが硬く伸びやかさがなく、色彩感にも乏しくマットな響きです。
「来たれ、創造の主なる聖霊よ」タンギングと音の出が合わないようなトロンボーン。硬い独唱。児童合唱がとても良い雰囲気を出しました。
「主なる父と、また」児童合唱はなかなか良いです。遅いテンポで雄大な音楽を作ろうとしているようですが、オケが鳴り切らないので豊麗な音楽にはならないところが残念です。

第二部、「森はこなたに揺らぎ」今ひとつ鳴りの悪い木管。しかし、音楽の流れは自然で、安心して音楽に身をゆだねていられます。オケの音色になれてしまえば、スケールの大きな音楽を作ろうとしているのが伝わってきます。作為的なところもなく作品に堂々とぶつかって行っている感じがします。響きに乏しい合唱もやはり気になります。
「永遠なる法悦の炎」声量不足か、オケから浮かび上がらない独唱。音程の怪しい木管。
「岩の断崖が、私の足もとで」当時の関西音楽界の総力を結集しての演奏なのだろうとは思いますが、やはり力量不足は否めないです。
「霊界の気高い人間が」児童合唱が時に透明感の高い歌声を聞かせることもありますが、やはり音程や響きの浅さがあります。
「地上の残り屑を運ぶことは」朝比奈の指揮は非常に落ち着いたテンポで堂々と進みます。
「世界を支配したまう最高の女王よ」艶やかな弦。細い声の独唱。テューバの存在感がとても大きいです。
「パリサイびとの嘲りにも関わらず」金管の強奏部分も絶叫することなく自然な流れです。
「世にも類もない御方よ」児童合唱がいかにも児童らしく可愛いのが良いです。
「なべて悔いを知る優しき者よ」力みのない自然な盛り上がり。
「すべて無常のものは」次から次から波が押し寄せるように音が押し寄せて来ます。ミキシングで不自然な部分もありましたが、堂々と終えました。この1972年に実際に1000人を擁して、「千人の交響曲」を演奏した偉業に対して敬意を表したいと思います。

技術的な問題はたくさんありますが、この時代にこの大曲を関西の音楽界挙げて取り組んだ記録として貴重なものだと思います。

マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」倍音を含んだ豊かな響きのパイプオルガン。高らかに歌われる合唱。僅かにマットな響きのブラスセクション。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」ゆったりと伸びやかに歌われる独唱。静寂感のある合唱の弱音。金管の強奏部分でもあまり音は迫って来ません。
「われらが肉体の脆き弱さに」キリッと浮かび上がるヴァイオリン独奏。後ろで合唱がゆっくりと流れます。細かな動きの部分もあまり雰囲気は変わらずに進みます。あまり表情の無いフルート。大きめに録られている独唱。全体の響きに埋もれる金管。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」残響成分をあまり含んでいないので、トゥッティのスケール感はあまり大きくありません。また、マットな響きのブラスセクションが色彩感を乏しく感じさせますが反面独唱は艶やかです。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速いテンポで突入しました。くっきりとしている独唱陣。途中テンポを落とした部分もありましたが、基本的には速いテンポで進みました。
「父なる主に栄光あれ」マットな金管と残響成分の少なさから編成が小さく感じます。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」ふわっと始まった弦のトレモロ。しばらくの緊張の後、穏やかな演奏です。極めて少ない人数で歌っているような合唱。
「永遠の愉悦の炎」深い感情を込めるバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」鋭く突き抜けるトランペット。バリトンに続いて感情のこもったバスの独唱。合い間に入るオケの動きも鮮やかです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」小さく定位するフルート。伸びやかさの無い合唱。
「地上の残り滓を運ぶのは」太いヴァイオリン独奏。平板な女声合唱でした。
「ああ、世界の統べたもう最高の女王よ」あまり伸びやかさが無いテノール独唱。グッと抑えられた合唱。穏やかなオケの弱音。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」優しい声質と表現のソプラノ独唱。奥まって響く金管。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」聖母は予想外の場所からの歌唱です。
「悔い改むる優しき方がたよ」細身のテノール独唱。大きな感情表現はせずに抑えた表現でした。抑えぎみで軽い金管。静寂感のある木管。
「移ろい行くものは なべて」内に込めるように静かに歌い始める合唱。最後は、圧倒的なエネルギー感はありませんでした。

残響成分を含まない録音で、編成が小さいように感じる演奏で、大宇宙が響き始める様子とは程遠いような感じでした。
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レイフ・セーゲルスタム/デンマーク国立放送交響楽団

セーゲルスタム★★★
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」セーゲルスタムにしては珍しく速めのテンポで、コンパクトな響きです。オケも控え目な感じがします。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」テンポを落としてゆったりと歌います。とても静寂感があります。独唱も絶叫することなく美しいです。金管も絶叫しません。テンポは良く動きます。
「われらが肉体の脆き弱さに」透明感のある合唱。艶やかなヴァイオリン独奏。とても感情の込められた独唱。テンポは良く動き、遅い部分ではテンポを落としたっぷりと表現します。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」豊かなホールの響きも伴って壮大な合唱。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速めのテンポで大きな頂点ではありませんでした。その後の弱音部ではテンポを落として歌います。清涼感があって爽やかな合唱。オケとパイプオルガンになる部分の前からかなりテンポを落として濃厚な表現でした。
「父なる主に栄光あれ」強大なエネルギーの放出はありませんが、美しい演奏でした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」フワッとしたアクセントで入った弦のトレモロ。テンポを落として深く歌うオケ。音が強い力を持って、心に刻まれることは無く、サラッと流れて行きます。人数が少ないように感じる小さくまとまった合唱。
「永遠の愉悦の炎」離れたところから歌うバリトン。オケに埋もれてしまいそうです。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」そんなに強くは吹かなかった金管。バスも遠くから聞こえます。離れていて、独唱の表情が分かりづらいです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」豊かでエネルギー感があって美しい女声合唱。金管はあまり強く吹かないので、色彩感は今ひとつです。
「地上の残り滓を運ぶのは」艶やかなヴァイオリン独奏。柔らく声量もあり表現力豊かなアルト独唱。合唱の中でも存在を保つテノール独唱。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」少し遠目で、生々しさは全く無い、テノール独唱。若干フワッとした響きで、締まった緊張感はあまり感じません。ゆったりと穏やかに音楽は流れて行きます。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」清潔感のある美しいソプラノ独唱。テンポはゆったりとしています。金管は抑え気味で、大きな振幅はありません。重唱は線が細くあまり強い印象は残りませんでした。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ここも遅めのテンポです。浅い響きの児童合唱。スタジオ録音の折り目正しい、よそ行きのような表現が、切実な主張を弱めているようです。聖母は少し遠い場所から響いてきます。
「悔い改むる優しき方がたよ」美しいテノール独唱。合唱も含めて、少しこじんまりとまとまっている感じでスケール感を感じません。柔らかい金管。音像が小さく、ミニチュアのように小さいステージを遠くから眺めているような感じの響きです。
「移ろい行くものは なべて」とても抑えられた合唱。美しいですが、開放されたようなエネルギーの爆発はありません。

スタジオ録音と言うこともあり、即興的な盛り上がりなどはなく、几帳面で折り目正しい演奏で、抑制された表現が一貫していて、宇宙が鳴り響く有様を表現するような壮大な表現はありませんでした。
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クリスティアン・ティーレマン/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 2010年

ティーレマン★★
第一部「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ゆったりとしたテンポです。合唱に比べると金管がしっかりと響いてきます。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」合唱の弱音は抑えられていますが、豊かです。抑揚がはっきりしていて、弱音部と強奏部の対比が見事です。
「われらが肉体の脆き弱さに」控え目ですが、存在感のあるヴァイオリン独奏。盛り上がった後の、細かい動きの部分では、そんなに音量は落とさずに骨太の表現です。弦の揺れの後、バスから始まる独唱は次々と波が押し寄せるように色彩が入れ替わり見事でした。金管がしっかりと響きます。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」ゆったりとしたテンポで豊かな響きです。テンポは遅いですが、スケール感はあまり感じません。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速めのテンポで入りました。合唱の人数が少ないのか、大きな空間を感じさせる響きはありません。
「父なる主に栄光あれ」非常にコンパクトにまとまっている感じがして、非日常体験ができるような演奏ではありません。最後はゆったりとしたテンポで壮大に終わりました。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」グッと押すような弦のトレモロ。シャープな木管。探るように進む減のピッィカート。途中でオケをかなり鳴らして躍動的な表現です。かなり抑えられて神秘的な合唱。
「永遠の愉悦の炎」柔らかいですが、あまり感情移入しないバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」軽いトランペット。バスもあまり感情移入はしていないようです。バックのオケはしっかり鳴っています。
「霊の世界の気高い人間がひとり」躍動感のある演奏です。やはり合唱の規模はあまり大きくないような感じの演奏です。
「地上の残り滓を運ぶのは」細い響きのヴァイオリン独奏の後ろで抑揚のある女声合唱。独唱の後の女声合唱の部分はゆっくり始まって次第にテンポを速めました。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」あっさりとしたテノール独唱。オケは豊かに響きます。浅い響きの合唱。女声独唱も浅い響きであまり訴えかけて来ません。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」少し遠くて柔らかいソプラノ独唱。少しくすんだ響きの金管。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」感情を抑えたようなソプラノ独唱ですが、安らぎ感があります。最後は思いっきり吐露しました。奥行き感の無い児童合唱。間接音を豊かに含んだ聖母。
「悔い改むる優しき方がたよ」優しい声のテノール独唱。しっかりと響く金管。
「移ろい行くものは なべて」緩い雰囲気の合唱。あまり突出しないソプラノ独唱。テンポを上げてクレッシェンド。あまり壮大に響かないクライマックス。

非常にスケールの小さな演奏は、全く曲に合っていませんでした。
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ウィン・モリス/ロンドン交響楽団

モリス
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ゴロゴロと言うような響きのパイプオルガン。ゆったりとしたテンポで空間への音の広がりを感じさせます。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」独唱とは呼応しない合唱。ここでもゆったりとしたテンポで、合唱、金管とも強奏部分をかなり強く演奏しています。
「われらが肉体の脆き弱さに」自由に揺れるヴァイオリン独奏。後ろの合唱も抑揚があります。盛り上がりの後の細かな動きの部分もテンポは遅く確実な歩みです。あまり表情の無いフルート。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」ここでもゆったりとしたテンポですが、力んでいるのか響きが若干硬いようです。次々に現れる楽器の色彩感は濃厚です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ここでもゆったりと、そして豪快に金管を鳴らします。弱音部があまり無く、常に押して来る感じで、聴いていて疲れて来ます。
「父なる主に栄光あれ」オケと合唱の力比べのような競い合いのような雰囲気でした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」ここでも非常に遅いテンポです。間を持たせるのが大変そうな木管。音楽の振幅は大きいですが、あまりの遅さにこちらの集中力が持たなくなります。モリスには思い入れがあるのかも知れませんが、ねちっこい表現にも辟易としてきます。演奏している方も良く付き合っているなぁと思います。
「永遠の愉悦の炎」くっきりと浮かび上がるバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」しっかりと響くトランペット。はっきりオケとは分離するバス。
「霊の世界の気高い人間がひとり」とても激しい演奏です。合唱もオケもかなり強く演奏しています。フルートの部分からテンポはゆっくりになりました。
「地上の残り滓を運ぶのは」サラッとした肌触りで美しいヴァイオリン独奏。女声合唱は大きくクレッシェンドしました。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」ナチュラルなテノール独唱。豊かに広がる合唱。ハープが強調されています。全ての音が前に出てくるので、聴いていて疲れてきます。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」ここでもゆったりとしたテンポで太い声のソプラノ独唱です。表現の幅が広いアルト独唱。空間に大きく広がるトゥッティ。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ここでもゆったりとしたテンポです。近くで歌われる児童合唱。シャープに定位するソプラノ独唱。近くて明瞭な聖母。ちょっと近すぎのような感じがします。
「悔い改むる優しき方がたよ」壮大なスケールの合唱の広がり。割と淡々としたテノール独唱。硬質なトロンボーン。
「移ろい行くものは なべて」遠くから柔らかく響く合唱はとても美しい。ただ、音楽の歩みはあまりに遅く、こちらが演奏に集中できなくなります。オケの金管とバンダが左右に分かれています。

あまりに遅いテンポ設定で、聞きとおすにはかなりの覚悟が必要です。
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ハム・シンイク/KBS交響楽団

シンイク
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」柔らかい冒頭。トロンボーンなどはビンビンと響かず、ボーッと言う響きに近いです。合唱が弱い感じがします。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」爽やかな合唱の響きです。指揮者はとても若いです。独唱の声量も足りない感じがします。テンポもあまり動かず、音楽の起伏もあまり無く平板なイメージです。
「われらが肉体の脆き弱さに」穏やかな演奏で、表現に厳しさが無く、ちょっと鈍い感じがします。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」合唱のエネルギー感が明らかに不足しいます。金管のパワーも不足している感じがします。弱音と強奏の差があまり無く、ぐっと迫ってくるような音楽ではありません。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」圧倒的なパワーが不足しています。表現が緩く、ダラダラッと音楽が何となく流れて行っているようで残念です。
「父なる主に栄光あれ」児童合唱もオケに消されるような感じで弱いです。最後もパワーを感じることは無く、大きな盛り上がりはありませんでした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」響きに深みは無いものの、和音などはきっちりと響いています。録音のせいなのか、全ての音が前に出てきてしまって、奥行き感が非常に乏しい。作品に感情移入することはあまり無く、さらっと流れて行きます。
「永遠の愉悦の炎」まだ人間の声に近いバリトン独唱。最後は大きく歌いますが、声量が不足しているように感じます。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」金管が飛び抜けてこないので、色彩感に乏しく感じます。この部分ではバスの独唱もオケも厳しい表現でした。金管が思い切って吹かないので、色彩感の乏しい、緩い演奏になっているようです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」ゆっくりとしたテンポで練習しているような雰囲気です。抑揚を付けて表現する女声合唱。オケのパワーが不足しているのか、金管の積極性が足りないのか、とても色彩が淡白です。
「地上の残り滓を運ぶのは」合唱に比べると大きいヴァイオリン独奏やフルート。女声合唱が生の声に近いです。テノールがオケに負けて埋もれてしまいます。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」やはり人間の声に近いテノール独唱。ヴァイオリンの太く、繊細さを感じさせません。ヴァイオリン独奏は艶やかでした。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」独唱もオケも表現が緩く締まった緊張感や俊敏な反応はありません。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」児童合唱にも深みや奥行き感がありません。聖母はoffぎみのマイクポジションで遠くから響く感じは上手く表現されています。
「悔い改むる優しき方がたよ」どうしても人間の声で、楽器になりきっていないテノール独唱が気になります。金管がボワーッと言うような響きで入ってきて、色彩感を淡白にしています。
「移ろい行くものは なべて」雰囲気をガラッと変える合唱。深みがあってとても良い響きです。クライマックスのパワーは確実に不足しています。宇宙が鳴り響く有様には程遠い、現実的な響きで、圧倒的な雰囲気はありませんでした。

オケも合唱もまだ、力不足の感は否めない演奏でした。表現も緩く、表現の振幅も狭く、この曲を演奏したことに意義を感じさせるコンサートだったのではないかと思います。
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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

バーンスタイン
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」古い録音らしく、ラジオから聞こえるような音です。色彩感も乏しい録音です。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」すごく遠い独唱。遠すぎて、表情なども伝わってきません。速めのテンポでどんどん進みます。歪みっぽくて、色彩感などもほとんど感じません。
「われらが肉体の脆き弱さに」僅かに聞き取ることができるヴァイオリン独奏。テンポは速めです。残響成分をほとんど含んでいないような録音で、音が痩せて聞こえます。1950年代の録音でしょうか。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」テンポを速めて歓喜が湧き上がるような表現です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」力感は感じられますが、いかんせん歪みっぽくて十分に伝わって来ません。
「父なる主に栄光あれ」響きが浅く、これだけの大編成の曲を聴くには録音の古さは致命的です。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り」ノイズの中から聞こえる弦のトレモロ。遠い木管。響きが痩せていて、細かな表情が伝わって来ません。合唱も遠く木管にや弦に消されてほとんど聞こえてきません。
「永遠の愉悦の炎」遥か彼方から聞こえるバリトン独唱。あまりにも遠くて細かなニュアンスは分かりません。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」はっきりと登場するトランペット。オケの陰になってほとんど聞こえないバスの独唱。キンキンするヴァイオリン。
「霊の世界の気高い人間がひとり」遠いオケと合唱。歪みが酷くて聞き取り辛い。
「地上の残り滓を運ぶのは」艶の無いヴァイオリン独奏。独唱が遠くて、オケに隠れてあまり聞こえません。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」相変わらず遠くて細かな表情が聞き取れない独唱。オケの強奏が混濁します。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」やはり非常に遠いソプラノ独唱。ほとんどニュアンスは分かりません。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」非常にゆっくりとしたテンポです。児童合唱とオケが一緒になるとうるさい感じです。かなり遠くから聞こえる聖母。
「悔い改むる優しき方がたよ」幕の後ろで歌っているかのように聞き取りにくいテノール独唱。キツい音のヴァイオリン。速めのテンポで元気の良いトロンボーン。
「移ろい行くものは なべて」あまりに遠くてあまり動きが分からない合唱。強奏部分が歪んで聞き辛い。最後は速めのテンポですっきりと終わりました。

これだけ編成の大きな曲では、録音の古さは致命的でした。
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ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」全曲

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たいこ叩きのストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」名盤試聴記

コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★★★
イントロダクション、暗闇から耳を澄ませば聞こえてくるような低弦のメロディ。ゆっくりとしたテンポでモヤがかかったようなくすんだ響き。

カスチェイの魔法にかかった庭、ゆっくりと丁寧な表現です。遅いテンポもあってとても重量感があります。

火の鳥の出現、潤いと深みのある響き。

火の鳥の踊り、遠いクラリネット。雫がしたたり落ちるような潤いのある弦。とても濃厚な色彩です。

王子に捕らえられた火の鳥、瑞々しく美しい響きです。

火の鳥の哀願、くすんだ響きの中からシルクのようなヴァイオリン。重低音を含んだ大太鼓。オケの一体感があるとても濃厚な演奏です。デイヴィスの間の取り方もとても良いです。遠くから響くようなホルン。シロフォンも際立って響きます。

魔法にかけられた13人の王女たち、涼やかでシルキーなヴァイオリン。暖かいクラリネット。伸びやかなフルート。

黄金の果実とたわむれる王女たち、とてもしっかりとまとまっていて暴走するようなパートは一切ありません。とても反応の良いオケです。表現もとても引き締まっています。

イワン王子の不意の登場、柔らかく美しいホルン。穏やかな弦。

王女たちのロンド、瑞々しく美しい演奏です。ブレンドされた響きはまろやかですが、ソロで出てくる楽器は鮮明です。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、遠くからと近くから響くトランペット。潤いのある木管。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、眩いばかりのグロッケン。気持ちよく鳴り響く金管。

不死の魔王カスチェイの登場、重量感のある大太鼓。不気味な雰囲気があります。

イワン王子とカスチェイの対決、大太鼓の響きがとても良いです。

王女たちの哀願、シルキーなヴァイオリン。襲い掛かってくるような金管。

火の鳥の出現、ブレンドされてまろやかな響きです。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、生き生きとした木管。

カスチェイらの凶暴な踊り、深いところから鳴り響くチューバ、反響も含まれている切れの良いトロンボーン。雫がしたたり落ちるようなトランペット。若干大人しい感じです。金管の色彩感はとても濃厚です。

火の鳥の子守歌、哀愁に満ちて豊かに歌うファゴット。しっとりとした弦もとても美しいです。

カスチェイの目覚め、暗いトーンから華やかなファンファーレになりました。

カスチェイの死の深い闇、とても静かです。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、美しい残響を伴って清々しい響きのホルン。瑞々しい弦とのコントラストも見事です。潤いのあるトランペット。弦だけになったところで一旦大きくテンポを落とします。とても豪華なクライマックス。

深深とした潤いに満ちた色彩豊かな火の鳥
コンセルトヘボウ独特の深みのある響き、艶やかな弦、珠玉のようにちりばめられた木管楽器。演奏を引き締める打楽器。
場面に応じて、しっかり主張し表現豊かです。
どの楽器も潤いに満ちて大変美しい。濃厚な色彩、夢心地のような音楽の虜になります。濃い音でしかも、切れ味鋭いトランペット、超低域まで揺さぶる大太鼓、眩いばかりのグロッケン。
デイヴィスの指揮も重心が低く、堂々としています。
哀愁に満ちたファゴットの子守唄。どのパートをとっても完璧な演奏です。

デイヴィスのストラヴィンスキーの三大バレエでは、この「火の鳥」が最も成功した演奏でしょう。

ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック

ブーレーズ★★★★★
イントロダクション、速めのテンポでハープやトランペットがくっきりしています。かなりシャープです。

カスチェイの魔法にかかった庭、当時のマルチ・モノの録音を感じさせるとても鮮明な一つ一つの楽器です。

火の鳥の出現、とても鮮明で生き生きとしています。ニューヨークpoもこのころになるとアンサンブルも反応もとても良くなっています。

火の鳥の踊り、ブルー系の響きで、とてもシャープです。バーンスタイン時代とはまるで違います。

王子に捕らえられた火の鳥、とにかく明晰です。オケの反応も敏感です。

火の鳥の哀願、マルチマイクらしい近接した楽器の鮮明な動きです。大きな表現はありませんが、細部まで見通せる演奏はさすがです。ニューヨークpoもとても美しいです。クラリネットもとてもクリアです。

魔法にかけられた13人の王女たち、清々しいヴァイオリン。透明感のある木管。手に取るように分かる明晰さです。

黄金の果実とたわむれる王女たち、生き生きと動き回る楽器達。オケもとても反応良く見事です。ブーレーズの統率力も見事です。

イワン王子の不意の登場、ホールの残響を伴ったホルン。くっきりとしたクラリネット。

王女たちのロンド、くっきりと鮮明で色んな楽器の動きが出に取るように分かります。この当時のCBS独特のカサカサとささくれ立ったような感じも無く潤いに満ちています。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、ビリビリと鳴るトランペットが左右から聞こえます。活発な動きです。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、凄みのあるチューバ。めまぐるしく動き回るオケ。

不死の魔王カスチェイの登場、フワッと柔らかい大太鼓。

イワン王子とカスチェイの対決、ゆっくりとしていて切れ味の良い金管。

王女たちの哀願、ロマンティックに歌います。切れ味鋭いオケ。嵐のような大太鼓。

火の鳥の出現、鮮明な木管。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、鮮明なシロフォン。コントラバスも鮮明です。

カスチェイらの凶暴な踊り、切れ味抜群で鮮明です。ブーレーズに完全にコントロールされているオケ。精緻で見事です。チューバがハタハタと響きます。小物打楽器も目の前にあるような鮮明さです。

火の鳥の子守歌、伴奏からかろうじて浮き上がるファゴット。深く感情を込めることはありません。

カスチェイの目覚め、暗いトーンで染められています。

カスチェイの死の深い闇、深みのある美しい響き。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、遠くから響くホルン。とても良い雰囲気です。ブルブルと響くチューバ。意外とモノトーンのようなクライマックスでした。

ヴァレリー・ゲルギエフ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ゲルギエフ★★★★★
イントロダクション、ゴツゴツとした冒頭。トランペットがはっきりと出てきます。

カスチェイの魔法にかかった庭、表現は積極的です。

火の鳥の出現、積極的で反応の良い演奏です。

火の鳥の踊り、ブレンドされた暖かい響きです。色彩感は枯れた感じです。

王子に捕らえられた火の鳥、

火の鳥の哀願、暖かく分厚い響き。木管の豊かな色彩。遠く硬質なホルン。

魔法にかけられた13人の王女たち、ライヴなので極上の美しさではありませんが、木管は生き生きしています。ヴァイオリンのソロも豊かな表現です。

黄金の果実とたわむれる王女たち、活動的な動きです。

イワン王子の不意の登場、ウィンナホルンらしい響きです。穏やかで柔らかい弦。控えめなクラリネット。

王女たちのロンド、アゴーギクを効かせて歌うオーボエ。テンポも微妙に動いています。鋭いピッコロ。歌うフルート、感情に合わせてテンポが大きく動きます。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、遠近の対比があるトランペット。とても豊かな表現の弦。木管はゆっくりと感情を込めた演奏です。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、ゆっくりとしたテンポです。眩いグロッケン。

不死の魔王カスチェイの登場、チューバが芯の強い音で主張します。

イワン王子とカスチェイの対決、ゆっくりとして良く鳴るトロンボーン。テンポの激しく動きます。

王女たちの哀願、艶っぽく歌います。金管は大きくritしました。間も大きく空けました。

火の鳥の出現、シンバルは分離されている感じで、木管の動きが良く分かります。木管と弦の動きにはっきりとした表現付けがあります。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、速いテンポでぐいぐい進みます。シロフォンが凄いです。

カスチェイらの凶暴な踊り、奥から響くトロンボーン。かなり凶暴な表現です。金管は遠慮無く吹きます。ティンパニが意表を突いた強打。荒れ狂うような凄い演奏です。

火の鳥の子守歌、速めのテンポですが、感情を込めて歌うファゴット。最後はかなりテンポが遅くなりました。

カスチェイの目覚め、ゆっくりと演奏されるファンファーレ。

カスチェイの死の深い闇、探り合うような静けさです。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、たっぷりと歌うホルン。ゆっくりと演奏するハープとそれに続く弦。濃厚な色彩で鳴り響く金管。最後は速いテンポになりました。なかなかの力演でした。
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イオン・マリン/ロンドン交響楽団

マリン★★★★☆
イントロダクション、とてもゆっくりとしたテンポで豊かに表現する弦。トランペットがはっきりと聞こえます。

カスチェイの魔法にかかった庭、色彩感が豊かで、表現の幅も広い演奏です。楽器の動きも克明です。

火の鳥の出現、柔らかい響きです。

火の鳥の踊り、ここでもゆっくりとしたテンポで細部まで克明に描いて行きます。

王子に捕らえられた火の鳥、ゆっくりとしたテンポでとても丁寧です。

火の鳥の哀願、ゆっくり丁寧なヴァイオリンのソロ。イギリスらしいクラリネット。ゆっくり目で演奏される木管。暖かい響きです。バランスの良いトランペット。かなり遠いホルン。ファゴットもゆっくりです。

魔法にかけられた13人の王女たち、抑えたヴァイオリン。豊かに歌うフルート。

黄金の果実とたわむれる王女たち、凝縮されて濃厚です。表情もとても豊かです。

イワン王子の不意の登場、ふくよかで、歌うホルン。とても柔らかい弦。かなり抑えたクラリネット。

王女たちのロンド、伸びやかで粘るピッコロ。続く木管も濃厚な表現です。テンポも動いて美しい旋律に酔いしれるような感じです。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、ゆっくりとしたテンポで、強弱の振幅も大きいです。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、ゆっくりです。地獄の釜の蓋が開いたようなチューバの響き。確認するようにゆっくりとしたテンポです。

不死の魔王カスチェイの登場、あまり大きく盛り上がらず、硬い響きの大太鼓。

イワン王子とカスチェイの対決、押さえ気味のトロンボーン。良く鳴るトランペット。

王女たちの哀願、細身で美しいヴァイオリン。金管は抑え気味ですが、打楽器は強いです。

火の鳥の出現、

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、かなり遠いシロフォン。トランペットがビリビリと鳴ります。

カスチェイらの凶暴な踊り、かなり軽い入りです。ゆっくり目で動いています。かなり冷静な演奏です。

火の鳥の子守歌、次第にテンポが遅くなって豊かに歌うファゴット。オーボエもたっぷりと歌います。

カスチェイの目覚め、混沌としたコントラファゴット。切れ味の良いシャープな金管。

カスチェイの死の深い闇、ここもゆっくりで、とても静かです。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、次第に近付いてくるようなホルン。とても抑えた弦。鋭く輝かしいトランペット。最後は速めのテンポになって、存分にオケを鳴らして終わりました。
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エルネストアンセルメ/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

アンセルメ★★★★
イントロダクション、物々しい響きです。マイルドな管です。ヴァイオリンのグリッサンドが強調されています。

カスチェイの魔法にかかった庭、豊かな表現のファゴット。柔らかい弦のクレッシェンド。

火の鳥の出現、少し重い感じです。

火の鳥の踊り、ゆっくり目ですが、細部まで見通しが良い感じではありません。

王子に捕らえられた火の鳥、ゆっくりとしていて確実な足取りです。

火の鳥の哀願、かなり抑えたヴァイオリンのソロ。ここもゆったりとして余裕を感じさせる演奏です。弦に伸びやかさがありません。豊かに歌うオーボエ。抑え気味で柔らかいトランペット。

魔法にかけられた13人の王女たち、涼しいヴァイオリン。伸びやかなフルート。

黄金の果実とたわむれる王女たち、柔らかく奥行き感があります。ゆっくり目なのが少し野暮ったい感じになります。

イワン王子の不意の登場、伸びやかなホルン。はっきりと入るクラリネット。

王女たちのロンド、安定感のある落ち着いた演奏です。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、遠近の対比ははっきりとしているトランペット。とてもゆっくりと濃厚です。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、軽く演奏している金管。テンポはゆっくりです。

不死の魔王カスチェイの登場、崩れるような大太鼓。

イワン王子とカスチェイの対決、ゆっくりと刻み込むようなトロンボーン。金管が強く演奏する部分もゆっくりでした。

王女たちの哀願、太いヴァイオリン。しっかり音を切って強い金管。強烈なホルン。

火の鳥の出現、丁寧な演奏です。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、ゆっくりとしたテンポです。硬いシロフォン。大きく盛り上がります。

カスチェイらの凶暴な踊り、軽いチューバ。トロンボーン、トランペットは強いです。ゆっくりとしたテンポです。整然としていて、凶暴な感じはありません。ティンパニのクレッシェンドは凄いです。

火の鳥の子守歌、あまり寂しい感じにはならずにファゴットが入りました。ファゴットも大きな表現はありません。あまり感傷的にはなりません。

カスチェイの目覚め、ゆっくりと色んな楽器が響くファンファーレ。

カスチェイの死の深い闇、ここもゆっくりで、明確に描いて行きます。漂うような弦。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、速めのテンポで演奏されるホルン。爽やかな弦。抑え気味でゆっくりと演奏される金管。大太鼓が入る前にritしました。
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シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

デュトワ★★★★
イントロダクション、緩い感じです。デュトワの演奏にしてはあまり楽器がくっきりと浮かび上がりません。ホルンはシャープでした。

カスチェイの魔法にかかった庭、潤いがあまり無く、カサカサした印象です。弦は大きくクレッシェンドしました。

火の鳥の出現、少しoffぎみで淡い色彩感で少し線が細い感じです。

火の鳥の踊り、奥まって小じんまりとしている感じです。

王子に捕らえられた火の鳥、offぎみなので密度が薄い感じがします。

火の鳥の哀願、細身のヴァイオリンのソロ。涼しく薄い響き。淡々としていて平板な感じです。表現が奥ゆかしくあっさりとしています。かなり遠いホルン。シロフォンもかなり遠いです。

魔法にかけられた13人の王女たち、オケは上手いのですが、コンセルトヘボウのような魅力的な響きではありません。ダイナミックの変化も少なく平板な感じです。

黄金の果実とたわむれる王女たち、offぎみで、少し遠くで聞く感じで、密度が少し薄い感じがします。強弱の変化もとても穏やかです。

イワン王子の不意の登場、表現のあるホルン。くっきりと浮かび上がるクラリネット。

王女たちのロンド、少しだけ遠いですが、とても美しいです。安心して身をゆだねることができる演奏です。タメがあったりもします。最後はかなりゆっくりになりました。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、遠くと近くの対比がはっきりとしているトランペット。ゆっくりと丁寧に感情の込められた演奏です。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、気持ちよく鳴る金管。

不死の魔王カスチェイの登場、ビリビリと鳴るトロンボーン。透明感のある木管。

イワン王子とカスチェイの対決、ビーンとなるトロンボーン。気持ちよく鳴り切る金管。

王女たちの哀願、細身のヴァイオリン。トロンボーンとトランペットは思いっきり鳴ります。

火の鳥の出現、シンバルが弱めで木管の動きが良く分かります。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、遠いシロフォン。すっきりと細身の響きです。

カスチェイらの凶暴な踊り、軽く入りました。金管はとても気持ちよく鳴ります。涼しい響きで凶暴な感じはありません。

火の鳥の子守歌、くっきりと浮かび上がるファゴットですが、とてもあっさりとした演奏です。

カスチェイの目覚め、ゴロゴロとあまり重量感の無いコントラファゴット。ファンファーレはあまり明るい響きではありませんでした。最後に強烈なトロンボーンが入りました。

カスチェイの死の深い闇、繊細で美しい弦。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、残響を伴って豊かな表現のホルン。生き生きとしたフルート。このコンビらしいスッキリとしたスマートな響きのクライマックスでした。
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ユッカ=ペッカ・サラステ/ケルンWDR交響楽団

サラステ★★★☆
イントロダクション、速めのテンポです。柔らかいですが、トランペットがはっきりと聞こえます。

カスチェイの魔法にかかった庭、速めのテンポで手際よく片付けて行く感じです。

火の鳥の出現、ライヴですが、かなり鮮明です。

火の鳥の踊り、ゆっくり目で細部まで鮮明ですが、色彩感は濃厚ではありません。

王子に捕らえられた火の鳥、豊かな残響で滑らかです。

火の鳥の哀願、艶やかなヴァイオリンのソロ。豊かな響きを伴って浮かび上がる木管。色彩感が少し豊かになって来ました。朗々と響くホルン。

魔法にかけられた13人の王女たち、清々しく美しいヴァイオリン。フルートもホルンもハープくっきりと浮かび上がります。艶やかなヴァイオリンのソロ。伸びやかに歌うフルート。

黄金の果実とたわむれる王女たち、とても柔らかいです。めまぐるしく動き回ります。

イワン王子の不意の登場、ちょっと乱暴な感じがするホルン。

王女たちのロンド、歌ってはいますが、速めのテンポで淡々と進みます。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、マットなトランペット。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、チャイムがかなり強いです。チャイムの影に隠れるトランペット。深みのあるチューバ。木管の速いパッセージが盛大です。

不死の魔王カスチェイの登場、

イワン王子とカスチェイの対決、全体に埋もれるような金管。

王女たちの哀願、糸を引くような粘りのあるヴァイオリン。崩れ落ちるような打楽器。

火の鳥の出現、ゆったりと動きがとても良く分かります。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、ゆっくりです。木管がとても大きな表現です。

カスチェイらの凶暴な踊り、ホールに響き渡る一撃。豊かな残響で生き生きとした演奏です。盛大に鳴り響きます。

火の鳥の子守歌、哀愁を感じさせるファゴット。速めのテンポですが、豊かな残響があるので、とても良い雰囲気です。

カスチェイの目覚め、あまり強く演奏しないファンファーレ。

カスチェイの死の深い闇、はっきりとした動きの弦。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、豊かな残響でふくよかなホルン。エネルギーの爆発よりもバランスの良いクライマックスでした。
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ピエール・ブーレーズ/シカゴ交響楽団

ブーレーズ★★★☆
イントロダクション、速めのテンポで暗い雰囲気です。楽器はニューヨークpoの時とは違ってブレンドされています。

カスチェイの魔法にかかった庭、精密機械のような見通しの良さはさすがです。

火の鳥の出現、ブレンドされた落ち着いた響きです。

火の鳥の踊り、余裕のある滑らかな演奏です。トランペットも濃厚な感じではありません。

王子に捕らえられた火の鳥、ゆったりとしたテンポで余裕しゃくしゃくです。

火の鳥の哀願、暖かく淡白な色彩です。遠く硬質なホルン。

魔法にかけられた13人の王女たち、枯れた響きのヴァイオリン。何かを強調するようなことが無いので、サラッと流れて行きます。

黄金の果実とたわむれる王女たち、きりっと粒立った木管。

イワン王子の不意の登場、少し硬質なホルン。サラッとしている弦。締まりのあるクラリネット。

王女たちのロンド、速めのテンポであっさりとした演奏です。キッチリと刻むように進みます。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、サラッと軽い演奏です。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、ゆっくりで遠近の対比が強調されています。かなり遅いです。

不死の魔王カスチェイの登場、一気に大太鼓までクレッシェンドしました。

イワン王子とカスチェイの対決、ものすごく遅いテンポです。金管が強くなってからテンポが速くなりました。

王女たちの哀願、あまり色彩感は濃厚ではありません。

火の鳥の出現、

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、柔らかいシロフォン。輝かしく鳴るトランペット。

カスチェイらの凶暴な踊り、軽めに入りました。とても整っています。凶暴な感じはあまりありません。

火の鳥の子守歌、あっさりと演奏するファゴット。とても淡々と進みます。

カスチェイの目覚め、明るいファンファーレ。

カスチェイの死の深い闇、次々と湧き上がるような弦。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、ゆったりとしたテンポで筋肉質のホルン。さすがに力のある金管。見事なバランスで鳴り響きます。
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ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ハイティンク★★★
イントロダクション、くっきりとしたトロンボーン。どの楽器も明瞭に浮かび上がります。

カスチェイの魔法にかかった庭、残響成分が少な目で、細身です。弦のクレッシェンドは大きかったです。

火の鳥の出現、暖かく鮮明な色彩感。

火の鳥の踊り、デイヴィス/コンセルトヘボウoほど色彩感は濃厚ではありませんが滑らかに流れて行きます。

王子に捕らえられた火の鳥、ニュートラルな響きであまり特徴がありません。

火の鳥の哀願、ゆっくりとしたヴァイオリンのソロでした。コンセルトヘボウのような濃厚な色彩感が無く、音色的な魅力を感じないのは残念です。ハイティンクの指揮なので、大きな表現はありません。遠くから硬い響きのホルン。

魔法にかけられた13人の王女たち、細いホルン。美しいのですが、強い個性がありません。オケは卒なく上手いです。

黄金の果実とたわむれる王女たち、コンセルトヘボウ時代にはあれほど魅力的な響きを生み出していたハイティンクがなぜこんなに個性の無い響きの演奏をしているのか不思議です。堅実で落ち着いた足取りです。

イワン王子の不意の登場、ふくよかで美しいホルン。色彩感の無い弦。

王女たちのロンド、サラサラとした弦が美しい。ゆっくり演奏されるピッコロ。ハイティンクにしては珍しく、テンポがとても遅くなる部分があります。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、遠くと近くで響くトランペットは控え目です。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、力を入れずに軽めの演奏です。

不死の魔王カスチェイの登場、暗闇のようなファゴット。

イワン王子とカスチェイの対決、ゆっくりとしたテンポで短めのトロンボーン。

王女たちの哀願、大太鼓はドカンと来ますが金管は抑え気味ですが見事なバランスです。

火の鳥の出現、シロフォンが入る前は遅いです。

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、静かでゆっくりです。確実に刻む弦。

カスチェイらの凶暴な踊り、凄く抑えられた演奏で、凶暴さはありませんが、1拍でドカンと来る部分の迫力はなかなかです。

火の鳥の子守歌、寂しげな雰囲気の中で美しく歌うファゴット。弦と弓が摩擦している感じのヴァイオリン。

カスチェイの目覚め、重いコントラファゴット。くすんだファンファーレ。あまり大きなコントラストの変化はありません。

カスチェイの死の深い闇、弦が各パート一人ずつのような静けさです。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、ふくよかなホルンですが、少しマットです。清楚で美しい弦。大太鼓の強打。色んな音が鳴り響き、最後は豪華な響きになりました。

オケは上手いし、ハイティンクもそつなく演奏しています。
もう少しホールの響きも含めた奥深い音色を求めたいです。
アンサンブルの精度など上手さについては文句の付けようがないくらいです。ただ、ハイティンクの指揮はかなり聞き込まないと良さが分からないです(私の場合)。目だった表現や強い主張をするタイプの指揮者ではないので、安定感は抜群ですが、スリルや刺激を求めても外されます。
女王たちのロンドでは木管の美しい旋律。夜明けでも木管の上手さは際立っています。
もう少し神秘的な雰囲気が欲しいところです。大太鼓にも地響きするような深みのある低音を求めたいところですが、少し小さい楽器を使っているのでしょうか。それとも録音の問題か?
火の鳥出現からは遅めのテンポでじっくり表現をつけた演奏をしています。だんだん盛り上がって行きますがテンポを煽ることはありません。ハイティンクらしい演奏です。
カスチェイの踊りでも金管の炸裂とまでは行きません。抑制の効いた演奏を続けています。
時に、テューバが突出したり変わった解釈を見せます。
終曲では、ここでも突出する大太鼓。これにはびっくりさせられます。

クリストフ・フォン・ドホナーニ/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ドホナーニ★★
イントロダクション、しっかりとした足取りです。バランスはなかなか良いです。

カスチェイの魔法にかかった庭、たどたどしいホルン。豊かな語り口のファゴット。弦が一体になったようなクレッシェンド。

火の鳥の出現、音の立ち上がりがなだらかで、あまり反応が良い感じではありません。

火の鳥の踊り、速めのテンポで活発な動きです。

王子に捕らえられた火の鳥、音がたくさんあって騒々しい感じです。少しもたつく感じの木管。

火の鳥の哀願、軽い大太鼓。整然と整った感じがありません。柔らかいホルンですが、少し危なっかしい感じもありました。ファゴットも速いテンポです。

魔法にかけられた13人の王女たち、木管があまり魅力的な音色ではありません。ヴァイオリンのソロは艶やかでした。

黄金の果実とたわむれる王女たち、速いテンポで追いたてます。

イワン王子の不意の登場、細い音でビブラートをかけるホルン。

王女たちのロンド、速いテンポで素っ気無い演奏です。美しい旋律をじっくりと味わうことが出来ません。

夜明け、イワン王子、カスチェイ城に突入、抑えたトランペット。その後はゆっくりです。

城番の怪物どもに捕らえられる王子、打楽器はほとんど聞こえません。

不死の魔王カスチェイの登場、中音域が団子になったような感じの響きです。大太鼓も硬い音です。

イワン王子とカスチェイの対決、短く音を切るトロンボーン。ここもテンポが速いです。

王女たちの哀願、サラットして美しいヴァイオリン。デッドで独特な表現の金管。

火の鳥の出現、

火の鳥に魅せられたカスチェイの手下どもの踊り、遠くて柔らかいシロフォン。トランペットが付き抜けます。

カスチェイらの凶暴な踊り、かなり抑えられたチューバ。たどたどしいEbクラ。デッドで、あまり凶暴な感じはありません。オケの響きが一体にならずバラバラな感じがします。

火の鳥の子守歌、とてもあっさりと演奏するファゴット。

カスチェイの目覚め、デッドで浅い響きの金管。

カスチェイの死の深い闇、くっきりとしていて、あまり深みの無い弦。

カスチェイの魔法が消え、石にされていた騎士たちがよみがえる:フィナーレ、ビブラートを掛けた細いホルン。力強いトランペット。デッドであまり響きが溶け合わないので、雑然とした感じになります。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」の名盤を試聴したレビュー

シベリウス 交響曲第4番

シベリウス:交響曲第4番ベスト盤アンケート

たいこ叩きのシベリウス 交響曲第4番名盤試聴記

パーヴォ・ベルグルンド指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団

ベルグルンド★★★★★
一楽章、冒頭から重苦しい低弦。音量を落として、内に秘めたような表現のチェロの主題。色彩のコントラストがとても鮮明です。粘りがあって自然の厳しさも伝わってきます。
二楽章、伸びやかで美しい演奏です。大きな表現ではありませんが、生命観のある生き生きとした音楽です。
三楽章、暗闇に浮かび上がるようなフルート。寂しさを強く感じさせる美しい金管。繊細さと深みのある演奏でとても美しいです。
四楽章、生き生きと動き回る弦。強いグロッケンシュピール。強弱の振幅がとても大きくダイナミックですが陰影もあります。かなり激しい金管。後のヨーロッパ室内oとの演奏よりも金管は強烈です。

ヨーロッパ室内oとの録音に比べるとかなりダイナミックで積極的な表現でした。オケもとても美しく伸びやかで魅力的な演奏でした。
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コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団

icon★★★★★
一楽章、遠くから響いてきて、暗闇にどんどん沈んで行くような第一主題。何かを暗示するかのような金管の第二主題。羽毛のような心地良い肌触りの弦。密度が濃く、しかし消え入るような弱音。暗く重い雲に覆われているような雰囲気です。ホルンが一筋の光明を見出すような感じです。
二楽章、一楽章の暗さから僅かに雲が薄くなったような雰囲気ですが、不穏な空気はそのままです。曇天の中でもしっかりとした色彩を放つ木管。
三楽章、近代の作品であることを象徴するような断片的で浮遊感のある音楽。暗闇の中で色とりどりの明かりが交錯するような雰囲気です。一つ一つの音に力があって、しっかりと立っています。暗闇の中に僅かな明かりが差し込むような表現もあります。充実した響きのトロンボーン。
四楽章、グロッケンシュピールとチューブラベルを使い分けています。このあたりの使い分けはとても効果的な使い方でした。精緻でしかも濃厚な色彩。真摯に作品と向き合って、作品の姿を描き出す姿勢には心が動かされました。

暗闇の中で不穏な空気や色とりどりの光の交錯など、作品の持っているものを純粋な姿勢で描き出した演奏でした。

パーヴォ・ベルグルンド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、深く厚みのある冒頭。しっかり地に足のついた第一主題も深みがあって奥行き感があります。金管も柔らかく美しいバランスです。不安感も良く表現しています。
二楽章、表現の幅が広いオーボエの主題。決して突出するようなバランスにはなりませんが、とても良く表現しています。室内オケとは思えない厚みのある響き。
三楽章、暗闇の中で不安なフルート。静寂の中に響く楽器の数々。よく歌い切々と訴えて来ます。作品への深い共感があるのだ思います。そうでなければこれだけ有機的に結びついた演奏は出来ないでしょう。
四楽章、表情豊かで滑らかに動く木管。チューブラベルは重ねずグロッケンシュピールのみです。室内オケとは思えないような凄いパワー感。無表情に演奏することが無いと言えるほど、細部まで表現しています。

作品への深い共感から生み出される細部にわたる表現。室内オケとは思えない深みと厚みとエネルギー。すばらしい演奏でした。

コリン・デイヴィス指揮 ボストン交響楽団

icon★★★★★
一楽章、焦点が定まらず浮遊感がありうつろなチェロの第一主題。ザワザワとした不安感が覆い尽くすとても不安定な状態をとても良く表現しています。
二楽章、自然体で美しい演奏で特に何かを強調することはありません。
三楽章、ゆったりとしたテンポで、神秘的なクラリネット。混沌とした中に断片的に浮かぶ旋律。大きな抑揚のあるチェロの主題。静寂感の中に次々と浮かぶ木管が美しい。濃厚な色彩ではありませんが、確かな色を発するオケ。重厚なトゥッティ。
四楽章、グロッケンシュピールとチューブラベルを併用しています。複雑に動き不安感は表現していますが、演奏自体はとても安定していて落ち着いた演奏です。

落ち着いた安定した演奏で、不安感を良く表現しました。少しくすんだ響きも作品にピッタリでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団

カラヤン/フィルハーモニア★★★★★
一楽章、表面が滑らかで、寒い空気感のある演奏です。カラヤンらしくキチッと整理されてとても聞きやすい演奏になっています。凝縮された密度の高さも感じます。
二楽章、モノラルですが、スタジオ録音なので、音質はそんなに悪くはありません。
三楽章、フルートのソロはベルリンpoとの65年の録音のように前へ出てきてピーンと張り詰めたような響きでは無く、少し奥まっています。全体がブレンドされた自然さはこちらの方があります。切々と訴えてくる弦もなかなかです。
四楽章、後のベルリンpoとの録音よりも響きが薄いので、シベリウスにはこちらの方が合っているような気がします。金管とグロッケンが強調されていますが、演奏全体の凄みはかなりのものです。

少し寒い空気感や少し薄い響きなど、シベリウスには合っていました。四楽章の凄みのある演奏もとても良かったと思います。
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オスモ・ヴァンスカ指揮 ラハティ交響楽団

ヴァンスカ★★★★★
一楽章、ゴロゴロと岩が地底から湧き上るような冒頭。柔らかく暗闇で瞑想するようなチェロの主題。とても静かです。突出しては来ない第二主題。展開部に入っても素晴らしい静寂感です。金管は軽く美しく演奏しています。
二楽章、奥ゆかしく柔らかいオーボエの主題。中間部の弦も静寂感があります。
三楽章、弱音の集中力の高い美しさは素晴らしいです。主題も緻密なアンサンブルで美しく神秘的です。雑みが無く純粋で、無駄なものを削ぎ落としたような演奏です。金管は控えめで決して突き抜けて来ません。
四楽章、大きな表現では無く奥ゆかしい第一主題。グロッケンシュピールを使っています。温度感は冷たくも暑くもない常温です。ここでは初めてトランペットが突き抜けて来ました。トランペットが突き抜けてもオケは完全にコントロールされていて整然としています。

弱音に重点を置いた静寂感のある美しい演奏でした。深い感情表現などはありませんでしたが、完全にコントロールされたオケの純粋な響きも魅力的でした。
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エサ=ペッカ・サロネン指揮 スウェーデン放送交響楽団

サロネン★★★★★
一楽章、ガリガリと硬質なコントラバス。ふくよかですが暗闇に響くようなチェロの主題。ダイナミックで激しい金管の第二主題。しっかりと地に足の着いた濃厚な演奏です。ティンパニも強烈です。
二楽章、舞うように歌うオーボエの主題。終結部に現れる主題はどれも生き生きとしています。強弱の変化が明快でタイナミックです。力感に溢れる演奏です。
三楽章、暗闇に浮かぶようなフルートとクラリネット。大きく歌うホルン。ずっと暗闇をさまようような演奏でした。
四楽章、速めのテンポで活発に動く第一主題。グロッケンシュピールを使っています。シャキッとしたアンサンブルの弦。明快で生き生きと動くオケ。強弱の振幅はかなり大きいです。

暗い部分と生き生きとした表現とのコントラストや強弱の大きな振幅など、表現の幅の大きな演奏でした。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・シベリウス:交響曲第4番の名盤を試聴したレビュー

シベリウス 交響曲第4番2

たいこ叩きのシベリウス 交響曲第4番名盤試聴記

レイフ・セーゲルスタム指揮 ヘルシンキ・フィルハーモニック管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、かなり思い切りの良い音量で始まって次第に収束して行きます。暖かみのある響きでうつろな主題。陰鬱な雰囲気がもたれかかって来ます。くすんだ淡い色彩で響く金管の第二主題。静寂感のある展開部。
二楽章、活発な動きのある主題。表現が柔らかくふくよかで、暖かみがあります。
三楽章、地に足の付いた序奏。作品をそのままさらけ出さずにかなりこなれている感じで、マイルドで聴きやすい音楽になっています。ここは作曲者と同じフィンランド人による演奏のおかげか。共感に満ちて一体感のある演奏です。緻密に組み合わされた音楽がこんこんと湧き出るように流れて行きます。
四楽章、色彩感は渋くくすんでいます。金管も絶叫することは無く、コントラストも強くはありません。

渋くくすんだ響きで暗く沈んだ音楽を演奏しました。セーゲルスタムがかなりこの作品を聴きやすくしてくれているようでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1965)

カラヤン(1965)★★★★☆
一楽章、静寂の中に響く沈鬱なチェロの主題。第二主題はこの頃のベルリンpoらしくゴージャスな響きですが、76年の録音のような暖かさは無く、シベリウスらしい寒さは感じます。
二楽章、分厚い響きで、反応の良いオケ。静寂感はとても良いです。
三楽章、伸びやかで澄んだフルートのソロなどはさすがです。ただ、ピーンと張り詰めたような緊張感は無く、響きの厚さの分僅かに緩い感じがあります。
四楽章、グロッケンシュピールが使われています。動きの激しさなども上手く表現されています。

76年の録音のような暖かい響きでは無く、寒さを感じさせる演奏でした。静寂感と激しさもとても良く表現されていましたが、僅かに緩い感じがあって、ピーンと張った緊張感はありませんでした。
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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 モスクワ放送交響楽団

icon★★★★
一楽章、録音レベルが高いのか、冒頭から全開のような演奏です。チェロの主題が前面に出てきます。混沌としたうつろな雰囲気は無く、むしろ有機的です。とても活発で温度が高い熱気をはらんだ演奏です。
二楽章、強い音で歌うオーボエの主題。続く弦も強いです。不安感よりも力強さを感じる演奏で、作品の本来持っている性格とはかなり違う面を聞かせているようです。
三楽章、暗闇の中で響くような音楽。そして粘るように濃厚な演奏です。よく歌う弦。非常に熱い演奏で、シベリウスの冷たい空気感とはかなり違う演奏です。
四楽章、華やかな主題。チューブラベルを併用せずにグロッケンシュピールのみで演奏しています。金管はやはり強奏します。

この温度感はロジェストヴェンスキーが持っているものではないかと思います。濃厚で熱い演奏で、シベリウスの違う面を聞かせてくれたとも言えるとは思いますが・・・・・

サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団

バルビローリ★★★★
一楽章、重苦しい冒頭。うつろなチェロの主題。シベリウスらしく内側に凝縮して行くような音楽。強烈なティンパニの一撃。暗闇の中を探りながら歩くような不安げなコーダでした。
二楽章、豊かに歌うオーボエの主題。凝縮された純音楽といった雰囲気があります。
三楽章、浮遊感のあるフルート。ピーンと張り詰めた寒さを感じさせます。オケは超一流の演奏とまでは行きませんが、献身的な演奏をしていると思います。
四楽章、グロッケン・シュピールが使われています。思い切りの良いホルン。クロッケンはかなり強調されています。咆哮する金管。強弱の振幅はかなり大きいです。

オケの密度はあまり高くは無く、超一流のオケとは言えない演奏でしたが、ピーンと張り詰めた寒さや思い切りの良い咆哮など、聞かせどころはありました。
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クルト・ザンデルリング指揮 ベルリン交響楽団

ザンデルリング★★★
一楽章、物々しい冒頭の低弦。視点が定まらないようなうつろなチェロの主題。録音にもよるのか、普段のザンデルリングのイメージとは違いかなり前のめりで積極的な演奏に聞えます。緊張感のある純度の高い演奏ですが、激しさもあるので、シベリウス独特の冷たい空気感はありません。
二楽章、ここでも積極的で生き生きとした表現です。情熱的で激しく熱気を感じる演奏になっています。
三楽章、太く暖かいフルート。クラリネットも大きい音像です。明快で混沌とするような感じは全くありません。
四楽章、この楽章も激しく積極的に動くオケ。かなり現実的で自然を連想させることもありません。

ザンデルリングにしては珍しく積極的で激しい演奏でしたが、その分シベリウスらしい冷たさや自然を感じさせることはありませんでした。
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ウラディーミル・アシュケナージ指揮フィルハーモニア管弦楽団

アシュケナージ★★★
一楽章、少し軽いですが、暗い冒頭。暖かいチェロの主題。あまりピーンと張ったような寒さのような緊張感はありません。第二主題も暖かいです。展開部は暗いですが、やはり暖かいです。純音楽的な削ぎ落とされたような無駄の無さはあまり感じられません。かなりふくよかで情報が多い感じに聞こえます。
二楽章、少し楽しげなオーボエの主題。中間部は不穏な空気になります。
三楽章、暗闇に浮かび上がるような木管ですが、やはり暖かいです。柔らかく美しい金管。主題は少し温度が低いですが、木管が入るとまた、暖かくなります。
四楽章、楽しげな第一主題。グロッケンシュピールが使われています。金管はかなり豪快に演奏されていますが、大きな強弱の変化には感じません。

決して悪い演奏ではありませんが、終始暖かい響きで、シベリウスらしさは感じられませんでした。
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ロリン・マゼール指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

マゼール★★
一楽章、松脂が飛び散るような激しいコントラバス。独特な胴の鳴りのチェロの主題。凄く情報量が多い演奏です。第二主題も激しい表現です。積極的に訴えかけて来ます。
二楽章、濃厚に歌うオーボエの主題。凄く弾む中間部の弦。シベリウスらしい冷たさは全く感じられません。
三楽章、冒頭のフルートやクラリネットも暗闇に浮かぶような暗い雰囲気はありません。明快で混沌とした複雑な雰囲気もありません。
四楽章、この楽章も明快な表現です。グロッケンシュピールを使っています。竹を割ったような明快さで、激しく咆哮する金管。

とても力強く明快な表現の演奏で、シベリウスの複雑な音楽をとても簡潔にしてしまった感じで、味わいの無い演奏だったように感じます。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン
一楽章、物々しい冒頭。非常に陰鬱な第一主題。次第に澄んだ空気に変わって行きます。第二主題はこのコンビらしい厚みのある響きです。展開部でも分厚いコントラバス。強烈なティンパニ。温度感は高く、北欧の冷たい空気はほとんど感じません。
二楽章、オーボエは僅かな表現だけでしたが、続く弦はとても大きく豊かに歌いました。音が肥大化していて、シベリウスの清貧のような引き締まった雰囲気がありません。この演奏はシベリウスの音楽では無く、カラヤンの音楽になっているように感じます。
三楽章、美しいフルートなのですが、ピーンと張りつめたような緊張感がありません。浮遊感があって、瞑想するような雰囲気は良く表現されています。
四楽章、暖かく豪華に鳴り響く音楽がどうしてもシベリウスの音楽とは違う感じがします。

分厚い響きで暖かく豪華な演奏はシベリウスとは程遠い感じで、あまり納得できませんでした。

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ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」

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シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

icon★★★★★
第一場、軽ろやかで色彩感豊か、華麗でシャープな演奏。
デュトワ/モントリオールsoの録音の特徴である低域のカットが功を奏して、耳障りもよく、とても軽快で清清しい演奏になっています。押し付けがましいところがないので、とても聴きやすい。どの楽器もチャーミングでなかなか良いです。
第二場、寂しげな場面が描かれています。響きがクールなので、寂しさをより強調しているように思います。このオケにはストラヴィンスキーの三大バレエのうちペトルーシュカが最も適していると思います。
第三場、軽快な踊りの場面や流れるような美しい旋律、合いの手に時折入る軽妙な楽器たちの登場もとても上手くバランスがとれています。
第四場、まばゆいグロッケンやアコーディオンと化したオーケストラ。トロンボーンやテューバも重くないので、とても聴きやすい。

シャルル・デュトワ/ロンドン交響楽団

icon★★★★★
デュトワならではの色彩感とともに力強い演奏。1911年版
モントリオールsoとの録音のような低域の一部をカットされたような録音ではなく、ワイドレンジです。
色彩感も豊かですし、低音域も力強いのでメリハリがしっかりついていて良い演奏です。どのパートをとっても上手いし、金管も気持ちよく鳴らしていて個人的にはモントリオールsoとの録音より、こちらの方が好きです。
それぞれのパートの音が立っていて、存在感がしっかりあります。また、デュトワの特徴だと思いますが、シャープで切れ味鋭く、また登場する楽器が整然と整っています。
シャープで美しい演奏なので、作品の本質には迫っていないと言われるかもしれませんが、演奏水準は極めて高いと思います。
強弱の振幅がしっかりと低音域も伴って演奏されるので、ティンパニの一撃なども強烈で、演奏が変化に富んでいるので、聞いていて楽しいです。

クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団 1985ザルツブルクライヴ

アバド★★★★★
謝肉祭の市、速めのテンポで強い推進力があります。オケの表現もとても積極的です。アバドはベルリンpoの音楽監督になる前の方が音楽に主張があって良かったと思います。
ペトルーシュカの部屋、フルートのソロもはっきりとした表情がありました。音楽が生き生きとしていて躍動感があります。強弱の振幅も大きく、色彩も明快です。
ムーア人の部屋、ここも速めのテンポです。
謝肉祭の市(夕景)、ここも速めのテンポですが、オケがアバドの指揮に献身的に応えているところがとても良いです。オケの敏感な反応でとても色彩感豊かな演奏になっています。

速めのテンポを基調に積極的で色彩感豊かな演奏でした。オケもとても良い反応をしていました。
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エンリケ・バティス/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

バティス★★★★★
第一場、シャリシャリした響きで低域があまり含まれていない感じの録音です。歯切れのいいシャキッとした演奏です。色んな楽器の動きが克明です。かなり高域が強調された録音で、とても華やかに聞こえますが、大太鼓が長い余韻を残して響きます。美しく歌うフルート。勢いがあって力強いです。
第二場、低域があまり含まれていないので、とても清涼感のある演奏になっています。ミュートしたトランペットやトロンボーンがかなり強く演奏します。金管が遠慮なく吹くので、とても色彩感が濃い演奏になっています。
第三場、ホルンもトロンボーンも強烈です。ドラもとても良い音で入って来ます。締まりの良いスネアも気持ち良いです。
第四場、典型的なドンシャリの録音で、尾を引く大太鼓とシャリシャリとした高音域が特徴です。メリハリのはっきりとしたもしかしたら爆演に入る部類の演奏かも知れません。最後のトゥッティは強烈です。

かなり濃厚でこってりとした色彩感。金管も遠慮なく入ってくるので、かなり強烈です。もしかしたら爆演の部類に入るかも知れません。
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パーヴォ・ヤルヴィ/パリ管弦楽団

ヤルヴィ★★★★☆
第一場、キリッと立ったフルート。涼しげで爽やかな響きです。47年版です。とてもリズムが弾んでバレエ音楽らしい演奏です。ファゴットもくっきりと浮かび上がりとても色彩感豊かな演奏です。
第二場、強弱の変化も大きくとても豊かな表現です。テンポの動きも大きいです。
第三場、歌に溢れた美しい演奏です。
第四場、柔らかい響きから、突き刺さるような強い音まで、多彩な音を駆使して音楽を表現しています。金管は決して咆哮しません。かなり抑えています。最後は盛り上がって終わる版でした。

色彩感濃厚で、表現も豊かで、弾むリズムの演奏でした。トゥッティでの金管はかなり抑えられていて全体のバランスを重視していた感じでした。
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ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック 1975ベルリンライヴ

ブーレーズ★★★★☆
第一場、ブレンドされた響きの中からトランペットが突き抜けて来ます。テンポの動きも大きく、叙情的な部分もあります。この当時のブーレーズの演奏には「レントゲンを見るような」と言うような表現がなされましたが、この演奏からはそこまで細部が見通せるような演奏ではありませんが、バーンスタイン時代の荒れたアンサンブルから見違えるような精緻なアンサンブルに変化したニューヨークpoの演奏が聞けます。
第二場、ゆったりとしたテンポを基調にしています。
第三場、冷たい演奏では無く、表情豊かで歌もあります。ゆったりとしたテンポで音楽を味わいながら演奏しているような少し楽しい雰囲気さえあります。
第四場、トランペットが大きな表現をします。テンポの動きも感情に伴うような感じで、スタジオ録音よりも自然な人間らしい演奏です。

ブーレーズでも人間らしい暖かい演奏でした。ニューヨークpoも精緻なアンサンブルですが、楽しげな演奏でとても良かったです。
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マリス・ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2004東京ライヴ

ヤンソンス★★★★☆
第一場、小物打楽器が賑やかで華やいだ雰囲気です。ここまでは大きな表現はありませんが、爽やかでスマートな演奏です。アゴーギクを効かせて豊かに歌うフルートのソロ。ロシアの踊りのピアノもテンポの動きがありました。
第二場、第二場へ入る太鼓の連打も大きく強弱の変化を付けています。くっきりと浮かぶ楽器の濃厚な色彩はとても良いです。
第三場、トロンボーンは抑え気味でした。ファゴットも豊かに歌います。とても表現豊かな演奏です。ブーレーズのライヴに比べると細部まで鮮明で録音の進歩が伺えます・
第四場、クラリネットの高音もすっきりと抜けてとてもオケも上手いですがヤンソンスはオケを全開まで強奏しません。

テンポが動いたり強弱の変化やアゴーギクを効かせた歌など聞き所の多い演奏でしたが、これだけ上手いオケなので、全開の響きも聞いてみたい気もしました。
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ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団

ゲルギエフ★★★★☆
第一場、切れ味の良いシャープな演奏です。テンポを落として歌う部分もあります。ブレンドされた響きですが、ソロなどははっきりと粒立っています。
第二場、テンポの動きも大きいです。ソロはオケに任せているようです。場面転換の太鼓連打が間違えて入ります。
第三場、遅めのテンポで丁寧に演奏しています。それでもアンサンブルの乱れがあります。
第四場、遅いところは遅く、速いところは速いテンポでメリハリがあり生き物のような躍動感のある演奏です。とても積極的な表現で、雑味が無くスッキリとしています。激しいところも思い切った激しさになります。

テンポも強弱も大きな変化のある演奏で、雑味の無いシャープな演奏でした。アンサンブルの乱れは残念でしたが、良い演奏だったと思います。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」の名盤を試聴したレビュー

ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」2

たいこ叩きのストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」名盤試聴記

アンタル・ドラティ/デトロイト交響楽団

icon★★★★
1947年版の演奏です。
大きく広がった空間に音楽が展開されます。バレエ音楽というよりも、もっとシンフォニックな感じがします。
いろんな音が聞こえてきて楽しい!新たな発見でした。

エフゲニー・スヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団

icon★★★★
一場、遅い出だし、一歩一歩確かめるようにゆっくりと確実に進みます。録音のせいか色彩感はあまりありません。バレエ音楽で踊るイメージとはかなり違った演奏で、飛び跳ねるよりも引きずる感じの演奏です。
二場、とにかく遅い。でも聴き続けるうちにこのテンポになれて来て、不自然さは感じなくなります。録音が古いせいか、楽器一つ一つが立っていないので、平板に聞こえます。とても濃厚な演奏をしているのですが、色彩感が淡白なので、聞き流せてしまいます。
三場、ゆっくりと濃厚なトロンボーン。スネアのソロの後のトランペットも遅い。ファゴットのメロディに乗っかるトランペットやフルートもすごく遅いです。
四場、バレエ音楽と言うには重過ぎる。ゆったりと朗々と歌う弦。Ebクラとテューバのメロディの部分は普通のテンポでした。最後の強奏部分でまた、非常に遅くなった、通常の二倍ぐらいの時間をかけて演奏しているのではないか。

異色の演奏として面白く聞くことができました。

シャルル・デュトワ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1980年ライヴ

デュトワ★★★★
笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。
一場、デュトワ独特のブルー系の清涼感のある響きです。セッション録音のような鋭い切れ味や華やかさは無く、マイルドな演奏です。弦を中心に音楽が作られていて、少し寂しく線が細い感じがします。ダイナミックの変化もセッション録音のような大きな変化は無く、かなり平板です。打楽器的なピアノ。かなりデッドな録音のようです。
二場、聞こえる音は全部聞こえているようには感じるのですが、なぜかとても寂しい感じがあります。ペトルーシュカの悲しみなのか?
三場、セッション録音のような金管が炸裂するような振幅の激しい演奏ではありません。ペトルーシュカがこんなに寂しく悲しげな音楽だと初めて知りました。
四場、編成が小さい感じの響きで、色彩のパレットをいっぱいに広げたような演奏ではありませんが、バレエの場面の雰囲気はとても良く表現していて、ペトルーシュカの悲哀をとても感じます。

セッション録音の色彩感豊かでダイナミックな演奏とはかなり雰囲気の違う演奏でしたが、バレエの場面をとても良く伝えてくれる演奏でした。

シルヴァン・カンブルラン/読売日本交響楽団

カンブルラン★★★★
第一場、間接音が少なくデッドです。その分楽器の動きははっきりしています。精緻な演奏ではありますが、分厚い響きではありません。
第二場、透明感が高く清潔感があって洗練されています。
第三場、とても美しい演奏なのですが、オケのパワーがあまり伝わって来ません。ただキレの良い透明感の高い響きはとても魅力的です。暖かい歌もとても良いです。
第四場、ちょっと触れば壊れてしまうようなガラス細工のような繊細さ。強い表現は無く、自然体で流れて行きますがダイナミックさや深みはあまりありません。

トゥッティの厚みやダイナミックさはありませんでしたが、透明感が高くガラス細工のような繊細な演奏はとても魅力的でした。厚みの無さは日本人の限界なのか?
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ピエール・ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団

icon★★★
デッドなホールでの録音なのか?人数が少ないような錯覚を覚えるような音がしています。
細部まで克明に聞かせるために、あえてこのような音で録音したのか?
マスの響きもあまり溶け合わない。寂しい音です。
1911年版は編成も大きく豪華絢爛な響きがするというイメージなので、意外な演奏です。ピアノの音を聴いていると、そんなにデッドなホールではなさそうです。
管楽器を中心に音楽が作られていて、弦楽器の人数が少ないか、バランス上控えているかしているようです。
ペトルーシュカの悲哀や悲しみは見事に表現しています。
ブーレーズはニューヨークpoの音楽監督時代から最近の復帰へ至るまでに音楽に対する考えや解釈が大きく変化したように思います。
復活のCDを聴いた時にも感じましたが、ほとんどオケのフルパワーを要求していない。木管のffと金管のffを同じ音量で演奏させているような感じで、その分いろんなパートの動きが克明に聞こえてきます。
こうやって、新しい部分にスポットを当てているのでしょうか。私が思っている「ペトルーシュカ」とはかなりイメージの違う音楽になっていることは確かなのですが、これだけ各パートのバランスを保って演奏することによる効果を聞かされると納得させられます。

ただ、研究成果としての価値は十分あると思うのですが、一般人が鑑賞するという観点から考えてこの演奏をどう捉えるかは個人によってかなり評価は分かれると思います。

コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★
火の鳥では、このコンビの重さや深さがすばらしい演奏をしましたが、ペトルーシュカでは重過ぎるような感じがします。1947年版
低音域に力があって重い音が全体の雰囲気を重くしています。
コンセルトヘボウの少しくすんだ、そして深みのある渋い音色が火の鳥では見事にマッチしましたが、ペトルーシュカでは、もう少し軽い音色を求めたいところです。
1911年版よりも1947年版の方がスネアやティンパニの扱いは派手なのですが、1911年版のように各所にちりばめられた小物打楽器のきらびやかさが無いので、個人的には1911年版の方が好きです。
ホールの響きもふくよかなので、演奏が少し鈍重に感じます。
分厚い低域の上にメロディが乗りますが、この低域に残響がつきまとうので、演奏に重さを感じてしまうようです。

登場する楽器はどれも上手いのですが、全体の響きとしてはこの曲に合っていないように気感じました。

ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団

icon★★★
一場、1911年版の演奏ですが、冒頭は貧相な出だしでした。金管が控え目に録られているせいもあるのでしょうか?
ダイナミックの変化も少なくBGMを聴いているような感覚になります。
二場、ピアノもマイルドな演奏で刺激的な部分は全くありません。
三場、とても大人しい穏やかなペトルーシュカです。ところどころでテンポをぐっと落とすことがあります。金管は常に奥まったところにいて、突き抜けてくることはありません。
四場、小物打楽器も控え目です。弦や木管のフワッとした部分は上手く表現されるので良いのですが、金管があまりにも控え目過ぎて、曲のイメージとはかなり離れた演奏に聞こえてしまいます。

アンドリル・ネルソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ネルソンス★★★
謝肉祭の市、あまり躍動感が無く、地味な感じです。47年版です。
ペトルーシュカの部屋、強弱の変化が大きくなって躍動感が出てきました。
ムーア人の部屋、やはり地味で特段の個性は感じません。
謝肉祭の市(夕景)、ファゴットが独特の歌い回しです。安定感のある堅実な演奏なのですが、コンセルトヘボウらしい濃厚な色彩感はありますが、華やかさがあまり感じられません。

安定感のある堅実な演奏でしたが、地味で華やかさを感じませんでした。
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スタニラフ・スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管弦楽団

スクロヴァチェフスキ★★☆
謝肉祭の市、鮮明な色彩で華やかです。47年版です。トライアングルがかなり強いです。速めのテンポで畳み掛けるような演奏です。
ペトルーシュカの部屋、大きな表現や主張は無い感じです。一音一音刻み付けるようなピアノ。
ムーア人の部屋、とてもゆっくりとしたテンポでたっぷりとした間があったりします。
謝肉祭の市(夕景)、かなり強く絶叫するトランペット。常に押してくるような強い感じがあって、人によっては疲れるかも知れません。格闘のあたりはかなり速いテンポでした。最後の部分でもミュートをしたトランペットがかなり強いです。

演奏がそうなのか、録音の関係なのか分かりませんが、かなり強く押しまくられる感じで、ちょっと疲れました。
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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

ムラヴィンスキー
一場、遠い音場感で、細部まで聞き分けることは出来ません。レンジも狭く色彩感もほとんどありません。強音部では歪みます。場面転換の打楽器が炸裂します。とにかく歪みっぽくて、何をやっているのか判別ができません。艶やかなヴァイオリン・ソロ。静寂の中に浮かび上がる木管など、良さも垣間見えるのですが・・・・・・。
二場、トランペットが奥まったところからミュートをはめて強く出てきます。テンポが動いたりもします。
三場、冒頭は、遅いテンポで濃厚に表現します。録音のせいか、ムラヴィンスキー独特の冷たい緊張感は伝わって来ません。
四場、

ムラヴィンスキーがこのような作品も演奏したと言う貴重な記録なのでしょう。

ホルスト・シュタイン/NHK交響楽団

ホルスト・シュタイン
第一場、ホルスト・シュタインとN響のペトルーシュカと聞くと何か鈍重なイメージがあるのですが、果たして演奏はどうでしょうか?やはり色彩感はあまり無く、華やかな雰囲気は全くありません。塊まったような重さがあります。この当時のN響のねっとりとして音離れが悪い響きがそのままです。
第二場、納豆が糸を引くような感じで、一つの楽器が他の楽器を振り切って抜け出てくることが無く、明快な色彩感を演出することはありません。この曲にはこのコンビは全く合わないです。
第三場、金管が全開になることも無く、色彩的には本当に中途半端です。
第四場、ホルスト・シュタインは元々作為的な表現をする人では無いので、この作品を面白く聞かせようなどとは考えていないでしょう。最後のトゥッティでもくすんだ響きで開放的に鳴り響くことはありません。

あまりにも渋い演奏で、色彩感や華やかさとは無縁の演奏で、全く楽しめませんでした。
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セルジュ・コミッショーナ/RTVE交響楽団

コミッショーナ
第一場、遅いテンポで引きずるような演奏で、およそバレエ音楽とは思えません。アンサンブルも危なっかしいところがあります。たどたどしい感じがあって、演奏するのがやっとと言った印象です。
第二場、色彩感も乏しく、華やかさも無く寂しい感じです。
第三場、練習しているような遅いテンポです。とにかく遅いです。
第四場、金管が抜けてくることも無く、色彩の変化も感じられず、奥行き感も無い演奏です。アンサンブルの乱れもたびたびあり、演奏に余裕は全くありません。

遅いテンポで、色彩感も無くアンサンブルの乱れもたびたびあり、楽しめませんでした。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」の名盤を試聴したレビュー