ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」6

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」名盤試聴記

サー・ゲオルク・ショルティ/シカゴ交響楽団

icon★★☆
ショルティとシカゴsoとの演奏となると、ジャケットと同じようなキンキラキンな演奏を想像してしまうのですが、はたしてどうでしょう。

一楽章、やはり鋭いトランペットがショルティらしいです。ショルティの録音に共通する高音域を少し強調する録り方なので、ベートーベンのイメージからすると腰高なイメージに感じます。
また、音楽に陶酔するような、情緒的なことは一切ない指揮者なので、切れ味鋭くスッキリ、バッサリです。

二楽章、締まった音のティンパニもいつも通り。と言うかショルティのCDではティンパニはこの音しかないです。ベートーベンであろうが、マーラーであろうが、ストラヴィンスキーであろうが、全く同じ音です。
カラヤンの演奏にも味わいがなかったですが、この演奏も全く味わいはありません。
ただ、オケの完璧さと言う点ではカラヤンと共通するところがあります。

三楽章、ゆったりとしたテンポで良い感じのはじまりです。響きの透明度はカラヤンの演奏よりこちらの方が良いです。
ただ、美しい音が並んでいるだけで、音楽の深みや慈愛に満ちた音楽とは程遠い演奏です。

四楽章、音響の構築物としては完璧なのですが、音楽としての深みを感じられないのがとても残念です。

完璧な演奏の爽快感はあります。

グスタフ・クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団

クーン★★☆
一楽章、淡い色彩で密度も薄い響き。ポンポンと響くティンパニ。高域があまり含まれていない録音なので、淡く聞こえるようです。音の鮮度があまり高くないように感じてしまいます。あまりこの演奏の特徴が伝わってきません。演奏に表情やニュアンスが感じられません。

二楽章、一つのフレーズの中での強弱の変化などがあまり無く、締まった表現が感じられないのです。ティンパニの音色も曲に合っていなように感じます。他の曲でも感じたのと同じで、緩い感じがどうしてもしてしまいます。

三楽章、静かな演奏です。ソフトタッチで柔らかいです。表現が締っていないので、このようなゆったりとした楽章では穏やかな雰囲気になってとても良いです。さらさらと滑らかに流れて行きます。

四楽章、あまり激しさが無く響きも薄い冒頭。また、レチタティーヴォも軽い感じでした。とても柔らかく優しい歓喜の主題。独唱も柔らかい声です。合唱はあまり響きを伴わず、浅い響きです。歓喜の合唱は合唱にあまり残響を伴わないので力強いですが、その分生の声がブレンドされないので、バラバラに聞こえます。最後は少しアッチェレランドして終わりました。

四楽章の合唱は力強かったですが、そのほかは終始柔らかい表現で、あまり強い主張は感じられない演奏でした。
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シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団

ミュンシュ★★☆
一楽章、結構激しい第一主題。速めのテンポで推進力が強い演奏です。ティンパニのクレッシェンドの前でテンポが速くなりました。追い立てるようなテンポで先へ先へと進みます。もの凄い勢いと激しさです。ミュンシュの感情に任せたテンポの動きはパリoの発足ライヴの幻想で思い知らされましたが、この演奏でもそのままです。

二楽章、この楽章も前のめりで勢いのある演奏です。詰まったようなティンパニの響き。躍動感もあり歌もあります。勢いは凄いのですが、アンサンブルの乱れがあったり、若干雑な印象もあります。

三楽章、一転して浮遊感のある幻想的な表現です。精緻な演奏ではなく、だいたい合っていれば良しと言うような感覚の演奏です。アクセントも強く少し荒い感じもあります。

四楽章、トランペットが強烈な冒頭。レチタティーヴォもそこだけクローズアップされたように大きく鳴り響きます。歓喜の主題もあまり音量を落とさずに普通に演奏します。トランペットが加わるあたりでは、歓喜が溢れ出すような感情に満ちた表現です。細身のバリトン独唱。歯切れの良い合唱。予想外に大人しい行進曲。トライアングルがあまり良い音ではありません。歓喜の合唱は盛大で音を短めに歌う合唱。合いの手のトランペットも音は短めです。合唱は混濁します。Prestissimoは意外と落ち着いたテンポで終わりました。

感情の動きの大きさをそのまま演奏に表現したような演奏でした。盛大な歓喜の合唱などストレートな表現の多い演奏でしたが、感情に傾く分、アンサンブルの乱れや雑なところがあったのと、歓喜の合唱などで音を短く演奏したのが、不思議でした。
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ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団

icon★★
一楽章、遅いのか、テンポがかなり変わっているのか、たどたどしいような感じさえ受けてしまう冒頭です。途中から落ち着いてきたようです。
冒頭部分はフルトヴェングラーが意図したテンポの動きだったのか?「振ると面食らう」と言われるほど、分かりにくい指揮で有名だったフルトヴェングラー。もしかしたらオケのメンバーが面食らってあんなたどたどしい冒頭になったのではと思うのは私だけです。
やはりテンポは動きます。

二楽章、遅めのテンポで始まりましたが、タメがあって力強い冒頭でした。すぐに一般的に聴くくらいのテンポ設定になります。パートによって付点が甘いところもあります。
こんなにテンポが動いて良いのかと思うくらい自在なテンポ。スケルツォの速いテンポのイメージよりもゆったりとした部分の旋律を歌っているのが印象的です。

三楽章、遅い!私は、ある程度録音が良くないと、音楽に浸ることができないタイプなので、この録音から美しさを感じ取ることができません。このテンポだと、朝比奈の演奏にはどっぷり浸ることができました。しかし、この録音に酔いしれることができないのです。
この楽章でも、テンポが大きく動いて、作品に没入しているフルトヴェングラーの凄さを垣間見ることはできるのですが、何度も聴きたいとは思わないです。

四楽章、この楽章もテンポは楽譜を無視しているかのように動きます。またトランペットが強く長めに吹く部分が印象的です。
独唱陣はN響の73年のメンバーより上手いです。
ただ、オケは低音が遅れたり、いろいろあります。
プレスティシモからは猛烈なアッチェレランドでその上録音も悪いので、オケが付いていけているのかシンバルにかき消されて分かりません。

ヨーゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団

icon★★
一楽章、全曲に共通したまろやかな響きの演奏です。
わずかにテンポを煽るようなスピード感もあります。爽やかに整った演奏です。
ひっかかる部分が無く滑らかに音楽が進みます。

二楽章、切れの良い軽快な演奏です。トランペットやティンパニにアンサンブルの乱れが若干あります。

三楽章、中庸です。取り立てて表現が際立っているということはありません。

四楽章、非常に大人しく控え目な出だしでした。すごく小さい編成で演奏しているような錯覚に陥ります。
合唱も控え目です。とても抑制の効いた演奏です。
リミッターがかかったようにffが抑えられるので、とても品の良い演奏に聞こえますが、欲求不満にもなりそうです。

モノトーンで彩られた感じで、原色のような鮮やかな色彩感はありません。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディ★★
一楽章、アクセントの強い断片的な動機。少し高域に寄った録音です。極めてオーソドックスで奇をてらうような事は全くありません。ティンパニのクレッシェンドは激しいものでした。次第に演奏に激しさが加わって来ます。

二楽章、確実に拍を刻み厳格に進みます。木管が大きくはっきりと聞こえる割にティンパニが遠いです。豪快に唸りを上げる弦。

三楽章、二楽章の豪快さから一転して穏やかですが、速めのテンポであっさりと進みます。聞き進むうちにこのテンポの速さが気になります。どうしてこんなに速いのか?

四楽章、冒頭の金管も低弦のレチタティーヴォも激しいです。低弦の歓喜の主題もテンポは速めです。金管の歓喜の主題は響きが浅いです。合唱も奥行き感が無く浅い響きになっています。Alla marcia Allegro assai vivaceの前のフェルマーターのティンパニにデクレッシェンドが書かれていますが、大きいままでした。テンポが速く力強い歓喜の合唱ですが、深く踏み込んだ表現は無く、軽い印象の演奏です。Prestissimoは割と落ち着いています。最後はアッチェレランドして終わりました。

豪快に弦を鳴らした演奏でしたが、録音のせいか、響きが浅く、表現も踏み込んだ表現では無かったので、あまり印象に残る演奏ではありませんでした。
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イーゴリ・マルケヴィチ/ラムルー管弦楽団

マルケヴィチ★★
一楽章、編成が小さいように感じるまとまりの良さ。第一主題もティンパニ以外はほとんど力を入れずに演奏しているように感じます。あまり残響を含んでいないので、ヴァイオリンなどは少し枯れた音です。録音のレンジも狭いようで、コントラバスも軽い響きがします。ティンバニのロールはわずかなどクレッシェンド程度です。

二楽章、残響が少なく生々しい音のティンパニ。ザクザクと躍動感のある音楽が前進します。すっきりとした見通しの良いアンサンブル。フランスのオケらしい明るいホルン。以外に情緒的に動くテンポ。

三楽章、美しくすがすがしささえ感じさせます。深く感情移入するような演奏ではあませんが、過不足無く歌はりますがテンポは速めでどんどんあっさりと進みます。トランペットは奥まったところからあまり抜けてきません。

四楽章、弱めの冒頭です。レチタティーヴォもコントラバスが軽く量感がありません。トランペットの4分音符も短めで、とても軽い演奏です。静かで爽やかな歓喜の主題。バリトン独唱も粘りません。合唱はかなり人数が少ないのか、とても弱いです。行進曲の前のフェルマーターのティンパニは楽譜通りデクレッシェンドしました。テノールも明るく明快な歌唱です。それにしてもオケの響きには厚みがありません。合唱がオフマイクになっているのか、あまり明瞭ではありません。特に男声合唱が心もとない。Prestissimoも落ち着いたテンポです。

深い感情移入は無く、熱狂などはもちろんありません。それはそれで音楽の表現なので、良いのですが、合唱がオフぎみで聞き取りにくく、オケの響きもとても薄く浅い響きになってしまったのが残念です。
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ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

バレンボイム★★
一楽章、静かな音がこだまするような冒頭。少し間を空けて入った第一主題。濃厚な表情付けは行われず、あっさりとした表現です。第二主題もあっさりとしています。感情の起伏も大きくはなく、整然としています。ティンパニのロールは激しいクレッシェンドがありました。響きも爽やかで清涼感があります。

二楽章、吸い込まれそうになる弱音の美しさ。強奏部分でも力を込めることは無く、サラリと流れて行きます。中間部の最後はかなりテンポを落としました。

三楽章、静かに深く厳かに歌います。テンポが速まったり、遅くなったり自在に動きながらかなり速いテンポになります。

四楽章、荒れ狂うような冒頭では無く、とても落ち着いて整った演奏です。レチタティーヴォも重厚感は無く、サラッとしています。二楽章を回想する部分はとても表情豊かでした。テンポも大きく動きますが、極端に煽り過ぎているような感じがして不自然です。伸びやかなバリトン独唱。合唱も実在感があって美しく量感があります。行進曲の前のフェルマーターのティンパニは楽譜と違ってデクレッシェンドしませんでした。行進曲はとても速いテンポです。歓喜の合唱もかなり速いテンポです。その後もテンポは大きく動きますが、かなり強引なテンポの動きで不自然です。自然な感情の動きから出て来るテンポでは無く、最初からここはこのテンポと決めて、そこへ無理やり持って行くような感じがしてどうも好きになれません。

弱音部分がとても美しい演奏でしたが、テンポの動きが作為的で、私にはとても不自然に感じました。感情の動きと連動したテンポの動きなら良かったと思うのですが・・・・・。
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エマニュエル・クリヴィヌ/ラ・シャンブル・フィルハーモニク

クリヴィヌ★★
一楽章、第一主題の断片が詰まっているように速い演奏です。音をあまり伸ばさずに軽く演奏した第一主題。一部テヌートぎみに演奏するなど独特の表現です。速いテンポで強弱の変化などにも独特の表現がありますが、ちょっとぶっきらぼうな感じを受けます。乾いた響きのティンパニのクレッシェンド。速いテンポではつらつとしていますが、激しい表現です。コーダではクレッシェンド、デクレッシェンドを繰り返す独自の表現がありました。

二楽章、あまり凹凸なく比較的平板に流れています。ガット弦の鋭い響き。テンポがわずかに動いたり、テヌートで演奏したり色んな表現をしています。

三楽章、かなり速いテンポの演奏で、あまり味わいがありません。ナチュラルホルンでのソロはかなり大変そうでした。

四楽章、独唱陣がステージ奥の下手側に陣取っています。トランペットがあまり聞こえずフルートが聞こえる冒頭。レチタティーヴォはピリオド楽器独特の鋭く伸びのある音ですが、コントラバスはあまり聞こえず響きが薄いです。独特の歌い回しがあります。ヴァイオリンのすがすがしい歓喜の主題。トランペットがベルに手を当てて音程を調整しています。三楽章のホルンもそうですが、なんでこんなに難しい方法であえて演奏しないといけないのか分かりません。フェルマーターでティンパニはデクレッシェンドしませんでした。行進曲もとても速いです。歓喜の合唱は女声ばかり聞こえて男声合唱はあまり聞こえませんでした。Prestissimoは最後加速して急減速して終わりました。

クリヴィヌ自身が楽譜の研究をした成果だと思いますが、独特の表現が随所にありました。ただ、普段から聞きなれた演奏とは大きく違うので抵抗もありました。また、ピリオド楽器の扱いの難しさなどから木管の音程が不安定だったり、ホルンのソロの音が出たり引っ込んだりする部分もあり、なぜあえて難しい楽器で演奏しないといけないのか、私には理解できませんでした。
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ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」7

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第9番「合唱付き」名盤試聴記

ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ノイマン★☆
一楽章、強いニュアンスは付けられていない冒頭。力強さも感じない第一主題。あまり大きく歌うことのない第二主題。頑なにインテンポで、間が悪く感じる部分もあります。ティンパニのクレッシェンドもあまり激しくは無く、感情の起伏はあまり表現していないようです。強い表現は無く、緩やかな演奏で淡々としています。コーダの前でテンポが遅くなりました。

二楽章、刻みつけられるような深い彫りあまり無く、なだらかな変化で過ぎて行きます。

三楽章、深い表現が無い分、穏やかな安堵感があります。cantabileはほとんど感じません。無造作に演奏されている感じで、聞いていて引き込まれません。速めのテンポでどんどん進みます。この楽章では少しテンポが動いています。

四楽章、ティンパニは強打しますが、柔らかく激しさはあまり無い冒頭。レチタィーヴォも柔らかいです。低弦で提示される歓喜の主題はかなり存在感のある演奏でした。トランペットが出るあたりでは少しテンポが速くなっています。合唱が若干遅れて響きます。フェルマーターで楽譜通りティンパニはデクレッシェンドしました。オケと男声合唱のアンサンブルがたまに乱れます。テンポを大きく落とす部分もありましたが、表現が深まる感じはありません。Prestissimoもさほど速くは無く、アッチェレランドも無く終わりました。

あまり深い表現も無く、緩やかに穏やかに演奏されました。消え入るような弱音も無い代わりに爆発するようなトゥッティもありませんでした。主張の感じられない演奏は残念でした。
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リッカルド・ムーティ/ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団

ムーティ★☆
一楽章、ジーっと言うノイズがあります。あまり倍音を捉えていないような録音です。ムーティの大きい身振りの指揮に比べて音楽の振幅があまり大きくないような感じです。録音状態があまり良くないので、細部は分かりませんが、あまり大きな表現は無く、作品のありのままを表現しているようです。ティンパニのクレッシェンドの直前にテンポを落としました。

二楽章、柔らかいティンパニ。録音状態の問題なのか、特筆するような表現は感じません。音がブツブツと途切れたりすることもあります。

三楽章、この楽章でも特に目立った表現は無く淡々と進んで行きます。

四楽章、フィルターを介して聞いているようなマイルドな冒頭。二楽章の回想は生き生きとしていました。歌うオーボエ。歪っぽい合唱。行進曲のピッコロは控えめで少しさびしい感じでした。盛大な歓喜の合唱ですが、やはり歪っぽいです。Prestissimoは速いテンポをさらに追い込んで終わりました。

合唱は人数も多く壮大な歌でしたが、録音が悪く細部の表現は判断できません。
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レイモンド・レッパード/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon
一楽章、注意深いで出しでした。作品への思いを伝えようとしているのが分かります。
カラヤンの演奏が、ただ音を並べただけのような演奏だっただけに、この演奏が何かをしようとしているのが、好感が持てます。
伸びやかな良い録音ですが、音の密度が薄い。何かを伝えようと指揮者はしていますが、オケを奮い立たせるまでには至っていないような感じがします。
やはり演奏がどことなく緩いです。
カラヤンが音を並べただけと書きましたが、音楽は一瞬たりとも弛緩しませんでしたし、オケを完璧にコントロールしていましたから、カラヤンの演奏に比べると、指揮者の格の違いが如実に出てしまいます。
最初は期待したのですが、やはり音楽が弛緩してしまっています。聞き手をグッと引き寄せる力がありません。

二楽章、かなりレベルの高いアマオケが練習しているような、タイミング合わせのような感じです。
この全集は指揮者もいろいろなので、統一感がないのは仕方がありませんが、「英雄」ではそんなに悪くは感じなかったのですが・・・・・・。
ティンパニがミュートしすぎたような音で、釜の音がしていません。枕でも叩いたような音です。

三楽章、奏者の気持ちが一点に集中していないので、音が寄ってきません。散漫な音がしています。
テンポも動くのですが、動かす必然性を感じないです。木管楽器のブレスも音楽を途切れさせても平気なような雑さが気になります。
テンポは速めにすすみます。これ以上遅くすると、収拾がつかなくなるのでしょう。

音符の扱いも楽譜に書いてないこともいろいろやっているようで、とても不自然です。

四楽章、・・・・・・・・・・・・・・・・。全集で1,500円もしなかったので、良いんですけど、生で聴いていたら腹が立ったでしょうね。

意味が無く音が通り過ぎて行くようで、いろんなことをしているのですが、それに一貫性がなくて、さっぱり分からない演奏でした。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

アンセルメ
一楽章、この録音もザラザラとしたヴァイオリンが気になる響きです。タメを効かせて力強い第一主題です。オーボエがビービーと響きます。ティンパニのクレッシェンドが終わって第一主題が演奏される部分で大きくテンポを落としました。響きには厚みが無く甲高い印象です。コーダでもオーボエがとても目立って不気味な雰囲気よりも滑稽な感じさえします。

二楽章、ティンパニは上のFが強く、下のFは弱かったです。厚みが無く、小さい編成のような印象の演奏です。木管は華やかな感じでやはりドイツ音楽よりもフランス音楽が得意なオケだと感じます。トランペットもチーッと言う音で鳴ります。アンサンブルもそんなに良くは無く、時に乗り遅れる楽器もあります。

三楽章、大きく歌わずに自然な演奏がかえって心地良い感じです。ファゴットもビービーと鳴ります。ほとんど歌わずに速めのテンポでサラサラと流れて行きます。深みのある響きが無いせいか、音楽が浅く聞こえてしまいます。

四楽章、チーと鳴るトランペットが強烈です。レチタティーヴォも低域が浅く深みがありません。かなり特異な演奏です。歓喜の主題の対旋律を演奏するファゴットがあまりにもビービーと響くので、普段聞く演奏とはかなり違った印象になります。弦も薄いので爽やかな響きです。硬い音のトライアングル。歓喜の合唱の合い間に入るトランペットがチビッたような感じで変です。トロンボーンも薄っぺらい音です。録音の問題なのか、合唱も少し硬く伸びやかさが無く奥行き感もありません。Prestissimoはあまり速いテンポにはならず少し重い感じがありました。

アンセルメが手塩にかけて育てたスイス・ロマンドoの音色を前面に出して挑んだベートーベンでしたが、この演奏を聴くとこのオケの音色が他のオケとはかなり異質なものだと言う事が良く分かりました。あまり大きな表現をせずに自然体の表現で挑んだのが逆の結果になってしまったように感じました。
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ケント・ナガノ/ベルリン・ドイツ交響楽団

ナガノ
一楽章、割と大き目の音で速いテンポで入りました。腰高で速い第一主題。速いテンポがテンポの動きと一体感が無く、バラバラに感じます。オケもこのテンポに戸惑っているような感じを受けます。とにかく落ち着かない演奏です。

二楽章、この楽章も速いですが、元々速いテンポの楽章なので、そんなに違和感はありませんが、音楽が繋がらない感じがあって、どうもしっくりきません。音の処理やバランスなど独自のアプローチをしているのだと思うのですが、あまりにも奇抜で、付いて行けません。

三楽章、速めですが、瑞々しい演奏です。フレーズ感が独特です。これまでの伝統様式にはとらわれない独自の表現です。少し速めと言う程度から始まった演奏ですが、次第にテンポが速くなって、かなり急いだ演奏になりました。

四楽章、トランペットが強く響く冒頭。テンポが速いのレチタティーヴォも激しいです。流れるようにつながっていく歓喜の主題。バリトン独唱は豊かな残響を伴って伸びやかです。オケも合唱も音を短く切る部分があって、少し違和感があります。行進曲は物凄い速さです。歓喜の合唱も凄い勢いです。テンポを落としてところは落ち着きがあってなかなか良いのですが、速い部分があまりにも速すぎて、十分な表現が出来ていないような感じがします。歓喜の合唱以降はかなりテンポを落としてじっくりと演奏しています。Prestissimoは畳み掛けるように終わりました。

テンポ設定や音符の扱い、表現など独特のもので、今までの伝統様式とは大きく違った演奏で、かなり戸惑いました。音を短めに演奏する部分などはちょっと雑な印象も受けました。
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マクシミアンノ・コブラ(指)ヨーロッパ・フィルハーモニア・ブダペスト管& Cho

コブラ
一楽章、もの凄く遅く柔らかい第一主題。指揮棒の一往復を一拍とする」と言う「テンポ・ジュスト理論」に基づく演奏らしいのですが、この異様に遅いテンポで全曲聴くのは大変なことだと聴き始めて後悔しています。YouTubeの時間表示では、1:54:12となっています。ティンパニは楽譜通り音符の数を正確に叩いていますが、全くクレッシェンドも無く、あまりやる気が無いような叩き方です。この遅いテンポでも集中力を切らさずに演奏しているのは凄いことです。

二楽章、普段聞きなれた曲とは全く違う曲に聞こえます。当然のことながら全くスピード感が無く、テンポが遅くなった分、同じ音符でも使える弓の長さの限界があるので、強い音を出せないので、アクセントなどもあまり強くは表現されません。オケもこの異常なテンポに良く付き合っています。ダレることも無く美しい響きを維持しています。ただ、テンポを遅くしただけで特段の表現などはありません。

三楽章、二楽章などはものすごく遅く感じましたが、この楽章はさほど遅くは感じません。演奏に慣れてきたからでしょうか?。オケは美しい響きの演奏をしているのですが、表現らしい表現が無くて、ただ遅いテンポで演奏しているだけのような感じの演奏で、これだけ遅いんだからコテコテに濃厚な演奏でもしてくれたら評価も変わっていたと思うのですが、テンポが遅くなった分、密度も薄くなっているような感じで、このテンポ設定に対する説得力がありません。

四楽章、異様な遅さです。当時は現代よりは時間の流れもゆっくりだったのだろうとは思いますが、さすがにこのテンポでこの曲を聞かされると当時人でも退屈で寝てしまうか、途中で怒って帰ってしまうでしょう。メトロノームの開発当時作曲家のメトロノームのテンポ設定の理解がまちまちだったと言うのがこの理論の裏付けらしいですが、このテンポで演奏することは有り得ないと思います。音楽の角が立つような部分もなだらかに柔らかくなってしまっていて、音楽の変化もほとんど無く過ぎていきます。7番ではあまり異常な遅さは感じなかったのですが、さすがにこの演奏の遅さには辟易としてきます。

キワモノ演奏もここに極まったりと言う感想です。とんでもない理論を真に受けて演奏する指揮者も指揮者です。ただ、付き合わされたオケや合唱の人たちはよく耐えたなと思います。さすがにこの曲の演奏時間が1時間54分というのは有り得ないです。
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ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon
いかに名盤であろうとも、脳内アナログリマスターが出来ない私にとっては、このあたりの年代の録音を聞くのは、ある意味恐怖なのであります・・・・・・・・。
今回は友人が推薦するので仕方なく・・・・・・。脳内アナログリマスターがないのは、アルコールの分解酵素を持っていない人と同じで、訓練してもダメなんです。

一楽章、チリチリとノイズに混じって、遠くに音楽が聞こえる感じです。
テンポは冒頭からかなり動きます。オケが近付いたり遠のいたりするような変な感覚なのですが・・・・・・。
ティンパニのクレッシェンドはかなり激しくやっているようなのですが、私には雑音としか思えない。
テンポの動きはすごくあるので、現場にいた人にとっては、もの凄く劇的な演奏であったと想像はできるのですが、私自身があたかもそこにいたかのような体験は残念ながらできません。
ティンパニのffがあると、ほとんどティンパニしか聞こえないのです。私の耳には・・・・・・。

二楽章、遅い開始。ティンパニのタメが良い間です。

三楽章、ワウ・フラッターもあって、弦の音程がすごく変です。やはり、私には補正回路がないので、この楽章を聞くのは苦しいです。
まあ、何とか1950年代の録音なら聞けますが、さすがに40年代以前になると、相当な思い入れがないと聞けないと思いました。

残念ながら、ここでリタイアさせていただきますm(_ _)m

カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ベーム
一楽章、録音が非常に悪いです。音が左右を行ったり来たりするので、音楽を聴くというような状態ではありません。
ライブ録音だし、録音年代からしても、非常に期待して聞いたのですが・・・・・・。

二楽章、かなり古めかしい音ですが、音が左右行ったり来たりは減ってきました。ブツッと言う何かのジャックを差し込むような音がしてから、音質が少し良くなった気がします。
あ、やっぱりダメだ!
木管の綺麗なタンギングが揃った音やティンパニの良い音もところどころ聴けますが、ほとんど霧の中です。
音が良くなったり悪くなったり・・・・・・・。

三楽章、わりと速めのテンポ設定で進みます。

四楽章、客席で録音したのだろうか。この楽章も速めです。トランペットの音もザラザラしていて、ウィーンpoの演奏だとは思えません。
最後は強烈なプレスティッシーヴォでした。

全体に速いテンポで押し通した演奏で、80年の録音とは全く違う演奏だったと思います。
後でナレーションが入ったので、FMのエアチェックだったのですね。
かなり電波の状態が悪かったのか・・・・・・。

クァク・スン/KBS交響楽団

スン
一楽章、かなりあからさまな冒頭。逆にトゥッテイはリミッターがかかったように奥に引っ込みます。この後は録音レベルを抑えたままで一定になります。テンポはあまり動きません。普通には演奏されて行きますがあまり表現らしいものがありません。

二楽章、少しリズムが甘くなったりします。極めて自然体の演奏なのですが、あまりにも平板でただ演奏しただけのような感じで、あまり心が動かされることはありません。力が湧き上がってくるような抑揚の変化がありません。

三楽章、弱音の緊張感もあまり感じません。グッと内に込められるエネルギーが無く、全部外へ発散されるような緩んだ音楽です。あからさまに開いてしまう音楽に何か違和感を感じます。柔らかさが無く強い音もこの楽章にはふさわしくはありません。速いテンポでサラサラと流れて行く音楽。

四楽章、意外と弱い冒頭。レチタティーヴォも厚みが無く薄い響きです。少し細身ですが良く響くバリトン。合唱は少し遠い感じがします。フェルマーターでティンパニはデクレッシェンドしました。賑やかな行進曲。合唱がオフぎみに響く歓喜の合唱。鈍重で間延びした感じがあります。最後はアッチェレランドして終わりました。

自然体の演奏でしたが、表現は平板で、間延びした部分も感じました。正直退屈な演奏でした。
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