ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」7

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」名盤試聴記

リッカルド・ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団

ムーティ
一楽章、団子になったような固まった音です。生き生きとした第二主題。音楽に締まりが無く、肥大したような演奏です。提示部の反復がありました。ゴージャスなフィラデルフィア・サウンドがこのような肥大した演奏を生んでいるのか、ムーティの指揮がこのような演奏を要求しているのか分かりませんが、あまりにも鈍重な演奏です。さすがに良く歌います。太い流れの外側で良く歌う音楽が奏でられています。強弱の変化にあまり敏感では無く、なんとなく流れで演奏しているような感じがします。

二楽章、哀しみを表現しようとしていますが、フワッとした暖かいサウンドが哀しみを感じさせません。美しく歌う木管。

三楽章、ムーティの指揮を見ているとかなりダイナミックに表現しようとしているようなので、音楽が鈍いのは録音の問題なのでしょうか。明るくふくよかなトリオのホルン。

四楽章、所々で間を取ってとても良く歌います。オケは強弱の変化も付けているようですが、録音が団子のようになってしまっていて、とても鈍い演奏に聞こえてしまうのがとても残念です。分厚く豊かな響きはさすがです。

歌もあって美しい木管やオケの分厚い響きなど良い面もあったのですが、録音が団子のようになった音で、ダイナミックの変化に対してとても鈍い反応で、俊敏な反応が消されてしまっていたのはとても残念で、このコンサートの実情を捉えていないと思います。
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ジャナンドレア・ノセダ/ミラノ・スカラ座管弦楽団

ノセダ
一楽章、少し速めのテンポですが、あまり抑揚の無い演奏です。提示部の反復がありました。ノセダの激しい動きの割に演奏には激しさは無く、音量がエネルギーとなって伝わって来ません。凄みや迫力を欠いた演奏のように感じます。弓をいっぱいに使って豪快に演奏しているような感じを受けません。

二楽章、この楽章では、一楽章で不満に感じたエネルギー感の無さが逆に柔らかい響きになって、癒しの音楽になっているようです。ただ、演奏自体はテンポの動きも大きな歌も無く淡々と流れて行きます。

三楽章、そこそこの演奏はしているのですが、これと言った特徴の無い演奏です。軽いトリオのホルン。

四楽章、柔らかく入って次第に盛り上がった序奏。速いテンポの変奏。木管は通る音で豊かな表情の演奏をしています。ノセダの大きな動きの指揮と、演奏が合っていないように感じます。指揮は必死ですが、オケは安全運転で、弓をいっぱいに使って最大限の表現をしようとはしていないように感じます。コーダも非常に軽い演奏です。

オケがノセダの指揮に共感していないように感じました。とても軽い演奏で、オケは安全運転で能力を最大限に発揮しようとはしていないように感じました。
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ジョン・エリオット・ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネール・エ・ロマンティーク

ガーディナー
一楽章、ピリオド演奏らしく鋭い弦。テンポは決して遅くはありませんが、極端に速い演奏ではありません。荒々しくはありませんが、強弱の変化はしっかりと付けられています。特徴のあるファゴットがとても良く聞こえます。良く歌いますが、テンポ設定が中途半端で、深みも無い代わりに疾走感もありません。ベートーベンの作品は貴族相手に作曲したものでは無いはずなのに、この動画では、貴族の屋敷で演奏しているようで、不自然です。

二楽章、あっさりとした主要主題。ベタベタしたティンパニ。編成が小さいためか、響きに厚みがありません。何か中途半端な印象派拭えません。ベートーベンのメトロノームの指定に従った速いテンポの猛烈な演奏でも無いし、かと言って、深く感情移入するような演奏でも無く何をしたいのか分かりません。

三楽章、豊かな表情と音色の変化が楽しめるトリオのホルン。

四楽章、音楽が停滞していて、前へ進む力がありません。聴き方によっては、優雅な演奏とも言えると思いますが、この作品の持っている力強さはありません。

ほとんどのピリオド演奏のような快速のテンポ設定では無く、音楽が停滞していて、前へ進む力強さも無く、中途半端な演奏に感じました。
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投稿者: koji shimizu

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