カテゴリー: ベートーヴェン:交響曲第4番名盤試聴記

ベートーヴェン 交響曲第4番

ベートーベン 交響曲第4番ベスト盤アンケート

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第4番名盤試聴記

カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、遅いテンポで揺ら揺らと揺れるような冒頭です。軽快な部分もテンポは遅く弾むような感じではありませんが表現が豊かで、聴き手をグッと引き込むような力があります。一つ一つの音に力があって、音楽を刻み込むような表現力です。ダイナミックの変化も大きく、トゥッティの分厚い響きはさすがです。

二楽章、心地よい歌があって、音楽がとても有機的です。ウィーンらしい音の開かない美しいクラリネット・ソロです。色彩感も濃厚ですし、表現も一音一音刻み付けるように濃厚で説得力があります。

三楽章、テンポは遅めですが、音楽に動きがあって生命感に溢れています。

四楽章、歌とともにダイナミックな演奏です。羊皮のティンパニに硬いマレットで打ち込む音にも重量感があってすばらしいです。

重量感があって、さらに生命感に溢れたすばらしい演奏でした。

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団

朝比奈/大阪フィル★★★★★
私は、元々朝比奈のファンではなかったのです。今回のベートーベンの二種の全集を聴くまでは。
この全集も私の友人に熱烈な朝比奈のファンがいるので、貸してくれたのを聴いたのです。それがこんなにすばらしいとは・・・・・・・。
そもそも私がクラシック音楽を聴き始めたのは、中学校で吹奏楽部に入部してからなのですが、その当時FMで放送されるNHK交響楽団のライブなどは管楽器が上手いとはいえないような演奏が多かったので、それ以降、日本のオケのCDがあっても全く選択肢には入ってこなかったのです。
しかし、今回の二種の全集を聞いて、私の偏見は完璧に払拭されました。

一楽章、メリハリがあってダイナミックです。

二楽章、ゆったりとした音楽にどっぷり浸っています。

三楽章、

四楽章、かなり遅めのテンポです。充実した演奏でした。

バリー・ワーズワース/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、カラフルでダイナミックな演奏です。華やかと言うか派手と言っても良いような演奏です。
表現も元気。この無邪気な元気さは意外と魅力的でした。

二楽章、このオケのパウカー(ティンパニ奏者)は音色に対して何も考えていないのだろうか。このモターッとした音離れの悪い音は何とかして欲しい。
くったくなく伸び伸びとした演奏で魅力はあります。

三楽章、この楽章も元気いっぱいの演奏で、はつらつとしています。まるで学生オケに学生指揮者で演奏しているような、楽しい演奏で、ベートーヴェンの内面云々とかは「なし」です。

四楽章、ファゴットもおどけたようにひょうきんな表情で、終始楽しい演奏を展開しました。

アッケラカンとした演奏で楽しかった。こんなのもアリですね!

デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、短い音をテヌートせずに短く演奏しています。どっしりと構えた風格のあるヘートーヴェンのイメージとはまるっきり違う、腰の高い(軽い)と言ったら失礼でしょうか。
軽快さに、おちゃめで子供っぽい無邪気さのようなものが溢れているような音楽で、子供の発刺とした元気さ。よそゆきのでおめかしした大人の雰囲気ではありません。
私には、この演奏は受け入れることができます。こんなベートーヴェンも好きです。

二楽章、ホールの響きが豊かで暖かいので、音色は気持ちいいです。深々とした響きとは逆に「悪ガキ」のような、やりたい放題の演奏のミスミッチが面白いです。
悪ガキの仕掛けにあちこちで引っ掛かります(^ ^;

三楽章、ここでもやりたい放題で良い演奏です。

四楽章、この楽章もテンポが速くで颯爽としています。バロックティンパニの存在感は大きいです。
木管の面食らったような速いパッセージも愛嬌があってとても良かった。

この曲の全く違った一面を聞かせてくれてとても楽しかったです。

セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
1987年録音

一楽章、暗闇に次第にロウソクの炎が立ちの昇るような幻想的な雰囲気さえする序奏。主部に入るとダイナミックで生き生きとした動的な音楽になります。どの楽器も有機的に音楽を受け継いで行きます。最弱音から最強音までの幅が非常に広いようで、表現の幅もとても広く、また余裕もあります。しっとりと潤いのある音でとても美しい。

二楽章、美しく整った弦の清涼感のある演奏です。クラリネットの旋律の後ろにいる弦の起伏が激しくチェリビダッケの気迫が伝わってきます。色彩感もくっきりしていて濃厚です。

三楽章、遅いテンポですが、音楽は前へ行こうとする推進力を持っています。強弱の振幅の幅が広くダイナミックです。一音一音への集中力が高くすばらしい演奏です。

四楽章、とても表情豊かです。音に力があって、とてもパワフルで豪快な演奏です。

遅いテンポの演奏でしたが、豪快に駆け抜けるような、そして一服の清涼感のような演奏でした。

1995年録音

一楽章、1987年の録音よりも温度感が高く、混沌とした雰囲気ですが一音一音非常に丁寧な演奏です。主部に入っても落ち着いた表現で、テンポも遅いのであまり躍動感がありませんでしたが、曲が進むにつれて躍動感が出てきました。消え入るような静寂感からトゥッティまでの幅の広いダイナミックな演奏はさすがです。

二楽章、遅いテンポで着実に踏みしめるような演奏です。くっきりと浮かび上がるクラリネット。重心が低く重量感のある演奏で、1987年の演奏とはかなり違います。

三楽章、やはりこの演奏でも遅いテンポですが、音楽は生き生きとしていて、推進力があります。トゥッティのどっしりと重心の低い重厚な響きは充実していてすばらしい。

四楽章、ダイナミックで豊かな表情が魅力的です。豪快な演奏ですが、荒くなることはなく、とても丁寧です。

重心が低くダイナミックな演奏でした。個人的な好みは1987年の録音かな?

ルネ・レイボヴィッツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レイボヴィッツ★★★★★
一楽章、割と速めのテンポで、注意深く混沌とした序奏から一転して速いテンポで軽快な第一主題。テンポも動いて推進力のある演奏です。鳴らすところは豪快に鳴らします。アンサンブルががっちりと噛み合っていて、とても見通しの良い演奏です。贅肉をそぎ落としたような質実剛健な感じです。演奏に魂がこもったような迫力が凄いです。

二楽章、弦のクレッシェンドにも迫力があります。第二主題のクラリネットの密度の濃い響きと静寂感。

三楽章、この楽章も非常にテンポが速いです。このテンポにオケが付いて行けないのか、音の扱いが僅かに雑になる部分があります。トリオは生き生きとした良い演奏です。

四楽章、この楽章も非常に速いテンポですが、高い集中力で、生き生きと躍動感のある音楽を演奏しています。ベートーベンのメトロノーム記号に従った最初の録音と言う事らしいですが、この演奏が世に出た時の評価はどうだったんでしょうか。今ではベーレンライター版の速いテンポの演奏が多くなりましたが、この録音当時では、評価が分かれたでしょう。それでもこれだけ違和感なくまとめあげたレイボヴィッツの手腕はたいしたものです。

三楽章で、僅かに雑になった部分は残念でしたが、ベートーベンのメトロノーム指定に従った最初の録音がこれほどの完成度で演奏されたことに驚きます。そして、生命感や躍動感のある演奏は素晴らしいものでした。
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カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年東京ライヴ

ベーム★★★★★
一楽章、ゆったりとしたテンポで、凄く音量を落とした静かな静寂感に溢れる序奏で、夢の中のような感じです。低域が分厚くどっしりとしたトゥッティ。第一主題もどっしりとしたテンポで柔らかい響きです。自然体の落ち着いたしかも自信に溢れる演奏です。どっしりとした安定感はベームらしい演奏です。

二楽章、この楽章もゆったりとしていて、とても丁寧な演奏です。ウィーンpoらしい凝縮された響きのクラリネットの第二主題。特に大きな表現などはありませんが、自然体の堂々とした演奏です。

三楽章、とても柔らかく、静けさが際立った演奏です。穏やかで優しい表現ですが、響きはどっしりとしていて、とても安定感があります。

四楽章、この楽章もゆっくり目のテンポで落ち着いた演奏です。全く力みの無い安定感抜群の自然体の演奏には好感が持てます。柔らかくまろやかな響きもとても美しいです。

力みの全く無い、自然体の演奏で、作品のありのままを示した演奏でした。柔らかくまろやかな響きもとても美しく素晴らしい演奏でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年ザルツブルクライヴ

カラヤン★★★★★
一楽章、有機的で、表情がとても豊かな序奏。巨大な響きのトゥッティ。落ち着いたテンポの第一主題。強弱の変化に伴ってテンポも動きます。くっきりと浮かび上がる木管。とても良く歌います。強弱の変化の幅もとても広く表現力豊かな演奏です。

二楽章、この楽章も豊かな表現です。テンポも動かして歌う第二主題。ライヴならではの表現意欲の表れた演奏です。音楽が疾走したり止まったり変化に富んでいます。

三楽章、この楽章も非常に表情の豊かな演奏です。スタジオ録音はもっと無表情だったと思いますが、このライヴはとても表情が豊かです。やはりライヴのカラヤンは別人です。

四楽章、この楽章も豊かな表現で生き生きとしています。この頃が、カラヤンとベルリンpoの絶頂期だったんだと思います。ティンパニも含めたダイナミックな変化も素晴らしいです。

とても表情豊かで生き生きとした音楽でした。テンポも動いて自在な表現の演奏でした。やはりカラヤンのライヴは凄いです。
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カルロス・クライバー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1983年ライヴ

クライバー★★★★★
一楽章、深く歌う序奏。強弱の幅も大きく、表現も厳しく引き締まっています。音に勢いがあって、凄いエネルギーを感じさせる演奏です。とても良く歌う演奏が続きます。

二楽章、静寂の中から豊かな歌が聞こえます。第二主題でも微妙にテンポが動いて歌います。強奏部分には湧き上がるような力があります。

三楽章、速めのテンポで活動的です。トリオは喜びに満ちている感じでした。

四楽章、この楽章も速いテンポで活気に溢れた演奏です。疾風のように駆け抜ける弦楽器。

豊かな歌と疾走する音楽が両立した演奏でした。非常に力強い音もあれば、速いパッセージを軽々と演奏したりとても多彩な演奏は素晴らしいものでした。
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ダニエル・バレンボイム/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団 2012Proms

バレンボイム★★★★★
一楽章、ゆったりと探るような序奏。一歩一歩確実に進みます。清涼感のある響きです。第一主題も落ち着いたテンポですが、強弱の幅は大きく、音楽もうねるように生き生きとしています。テンポも感情がこもって動きます。すごく勢いのある演奏でした。

二楽章、心のこもった歌がひしひしと伝わって来ます。クラリネットの第二主題もテンポが動いて自由に歌います。編成の小さいオケが一体になって動く様子はなかなか良いものです。

三楽章、動きがあって躍動感があります。活発にそして積極的に動くオケです。トリオはグッとテンポを落としてたっぷりと歌います。

四楽章、この楽章も濃厚な表現です。木管もくっきりと浮かび上がり色彩感もとても豊かです。音に力があって、勢いがあります。オケが一体になったエネルギーの放出は素晴らしいものがあります。

オケが一体になったスピード感やエネルギーの放出は素晴らしいものがありました。たっぷりと深く歌われる歌や活発に動く躍動感など、非常多くの魅力がある演奏でした。バレンボイムのベートーベンを聴いて初めて良い演奏だと感じました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団

ヤルヴィ★★★★★
一楽章、揺れ動く冒頭。幽玄の世界へ導かれる序奏。第一主題に入る前に一旦音量を落としてクレッシェンドしました。非常に力強い第一主題。バレンボイムの演奏も良かったですが、それよりさらに音に力があり、剛速球を投げ込まれる感じの演奏です。強弱の変化も思い切りが良く、ダイナミックですが、弱音の繊細さもありますし表現も積極的です。

二楽章、一転して柔らかい第一主題。テンポが自由に動いて歌う第二主題。ナチュラルトランペットが鋭い響きです。

三楽章、かなり速いテンポですが表情はしっかりと付けられていて、演奏に締りがあります。

四楽章、この楽章もかなり速いです。ティンパニが突然強打したりして、演奏に工夫があります。音楽が固まりになって非常に強い演奏を繰り広げています。凄い勢いの演奏です。

音に力があって、剛速球を投げ込んでくるような、非常に強力な演奏でした。しんし、柔らかさや繊細さも表現されていて、とても良い演奏でした。
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トーマス・ヘンゲルブロック/北ドイツ放送交響楽団

ヘンゲルブロック★★★★★
一楽章、ゆったりと探るような序奏。巨大なトゥッティ。第一主題に向けての加速はなかなか良かったです。すごく勢いのある第一主題。トランペットの明るい響きが演奏を開放的にしています。思い切りの良い強奏。第二主題は大きく歌うことはありませんが、第二主題以降も凄いスピード感と激しさです。オケを強力にドライブした豪快な演奏です。

二楽章、この楽章も速めのテンポです。トランペットの弾むリズムが短く演奏されました。陰影をたたえて美しく歌うクラレネットの第二主題。オケがとにかく良く鳴ります。

三楽章、とても速いテンポです。豊かに歌うトリオのオーボエ。トランペットがビリビリと良く響きますが、低い音が少し下品に感じることもあります。

四楽章、この楽章もすごく速く勢いのある演奏です。音が襲い掛かってくるような感じさえ受けます。集中力が高くグイグイと引っ張られます。最後のテンポを落とす部分はこれまでの勢いとは対照的にゆったりたっぷりと歌いました。

高い集中力で強力にグイグイ進むかと思えば、ゆっくりとたっぷり歌い部分もあり変化もある演奏でした。基本的には豪快な演奏でしたが、細部まで行き届いた良い演奏でした。
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フランス・ブリュッヘン/オランダ放送室内フィルハーモニー管弦楽団

ブリュッヘン★★★★★
一楽章、慎重に探るような序奏。濃厚な色彩で木管が浮き上がります。深く大きなトゥッティ。あまり加速せずに第一主題に入りました。音の輪郭がくっきりとしていて、克明な演奏です。ティンパニがダブルストロークで弱音のロールを叩きました。

二楽章、ティンパニがしっかりと打ち込まれます。アンサンブルが良く、透明感の高い響きです。

三楽章、僅かに速いと言う程度のテンポで細かな表情も付けられています。トリオもあまりテンポを変えずに入りました。オケの特質なのか透き通るような透明感のある響きはとても魅力的です。

四楽章、速めのテンポです。強弱の変化にも幅があります。表情がキリッと締まっていて硬いゴムボールが弾むような躍動感です。オケが一体になった俊敏な反応は素晴らしいです。

透明感の高い響きと反応の良いオケの俊敏な反応で、キリッと締まった表情の演奏は爽快感があって素晴らしかったです。
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クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ティーレマン★★★★★
一楽章、深みのある響きで、表情も微妙に付けられています。トゥッティの前に十分間を置きました。第一主題は僅かに速い程度でブライトコプフ版の伝統に根差した演奏です。第二主題が出るところでテンポを落としました。テンポはとても良く動いていて、かなり自由な演奏です。

二楽章、品よく歌う第一主題。第二主題に入る前にも大きくテンポを落としました。非常にゆっくりとした第二主題。これまで聞いたことが無いほどテンポが良く動きます。

三楽章、この楽章は一転してとても速いテンポですがなだれ込むような勢いは無く、丁寧に演奏されています。トリオはゆったりとしました。主部との対比がはっきりとしています。

四楽章、テンポはそんなに速くはありませんが、とても活発な演奏です。強弱の反応も良く、オケが作品にとても慣れている感じが伝わって来ます。最後は凄い勢いでした。

作品への愛着から生まれるテンポを自由に動かして、自在な演奏でした。二楽章の非常にゆったりとした第二主題やフィナーレの最後の凄い勢いなど変化にも富んだ演奏で楽しませてくれました。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ベートーヴェン:交響曲第4番の名盤を試聴したレビュー

ベートーヴェン 交響曲第4番2

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第4番名盤試聴記

エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 レニングラードライヴ

ムラヴィンスキー★★★★☆
1973年4月28日のライブ録音です。

一楽章、凝縮された音が全体の響きを探るように始まりました。細心の注意を払って周りの音を聴きながらのアンサンブルです。強奏部でも凝縮された響きは変わりません。ムラヴィンスキーの指揮は速めのテンポでオケをグイグイと統率して行きます。弱音部と強奏部との対比をはっきりさせて劇的な演奏です。

二楽章、表情豊かな演奏です。高い集中力と凝縮された音が高い緊張感を演出します。この時代に旧ソ連のオーケストラがこれだけのアンサンブル精度を保っていたと言うのは、すごい驚きです。

三楽章、この楽章も速いテンポです。表情は厳しいですが、時折音と戯れるような表現が魅力的です。

四楽章、やはり速めのテンポでグイグイとオケを引っ張ります。伸び伸びと歌う木管。凄い勢いのまま終りました。

朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、自然体の力みの無い演奏は、この四番でも貫かれています。テュッティの響きがホール全体に広がる感じがとても豊かで、このゆったりとしたテンポの演奏にマッチしていてすばらしいです。

豊かで厚い低音部の上に中高域が乗るピラミッド音形は、演奏を優しい響きにしていて、朝比奈の自然体の音楽の運びとあいまって、この全集のすばらしさの一つになっています。

テンポが遅くても音楽が弛緩しない。緊張感を保ったまま音楽が続いていくのもすばらしい。

二楽章、ゆりかごに揺られるような自然で安心感のある音楽。

三楽章、私はベートーヴェンの交響曲はもっと激しく厳しい表情だと思い込んでいた。この朝比奈の全集を聴くまでは。

ベートーヴェンがこんなに優しく、心を癒してくれる音楽だとは!これまで聴いてきた欧米の名指揮者の演奏からは聴くことができない自然で優しい音楽は世界に誇っても良いすばらしいものだと思います。

四楽章、この7年後に録音した大阪poとの録音を聞くのも楽しみです。

クラウス・テンシュテット/ニューヨーク・フィルハーモニック

テンシュテット/ライブ★★★★
一楽章、冒頭から怪しげな雰囲気、表現の幅も大きくテンシュテットらしい。テンポも動く。ボストンsoよりもニューヨークpoとの相性が良いようです。

ボストンsoの奥ゆかしさとはまるで違う、ニューヨークpoは乗りが良い!

二楽章、テンシュテットは奥ゆかしいという言葉とは無縁の指揮者なので、彼の表現しようとすることに反応の良いオケとの組み合わせでないと、本領発揮とはなりにくいけれど、この当時のニューヨークpoのアンサンブルは悪い。

三楽章、怒涛の開始、やはりこの表現の振幅の大きさがテンシュテットの特徴です。有無を言わせずテンシュテットの世界へ引き込んでしまう。指揮にもなれてきたのか、アンサンブルも次第に良くなってきました。

四楽章、音楽の推進力は凄い。木管楽器からも生き生きとした演奏を引き出しています。テンポの動くも自在。この全集は録音年代もオケもバラバラなので、出来不出来の差も大きいので、万人向けのCDではありませんが、テンシュテットファンにはお勧めです。

オトマール・スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ

icon★★★★
一楽章、静寂感の中から音が浮き立つような、いい雰囲気です。派手さはないけれど、艶やかな弦の響きが心地よい。淡い色彩で彩られていくので、とても品の良い演奏です。

二楽章、ソロの楽器が色彩的に際立ってこないので、聞き流してしまいそうですが、美しいソロです。

三楽章、低域の一部をカットしているようなので、重量感はありません。それが品の良い演奏にしている一因でもあります。

四楽章、中庸で節度ある演奏で安心して聴くことができます。

オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、新鮮で清々しい響きがとても良いです。この全集は曲によってバランスが微妙に違っていて、高音域寄りの録音の演奏はうまり良い印象がありませんでした。

実際の演奏はもっと厚みのある音がしているのだと思うのですが、全体に低音域が薄い録音で、作品と音作りが合っていないような感じがしました。

二楽章、この録音は高音域が突出していないので、良いです。

艶めかしい木管も魅力的。音楽の揺れも心地よい演奏です。ティンパニもとても良い音です。

三楽章、もう少し低音域に厚みがあればとは思いますが、この曲は全集の中ではかなり良い方です。また、全集全体は生気に溢れた、活力のある演奏でした。

四楽章、非常に骨格のしっかりした作りで、安定感があります。

朝比奈 隆/NHK交響楽団

icon★★★★
1995年の録音ですので、新日本poの録音より後のものになります。
新日本poとの全集と大阪poとの全集の間の録音です。

一楽章、基本的には大阪poとのライブと同じ解釈です。大阪poよりも音色が華やか力強い演奏です。
ソロの音色も立っています。演奏の勢いは大阪poとの演奏を上回ると思います。

二楽章、これまで聴いた新日本poや大阪poの演奏よりも現実味のある演奏で、こちらに迫り来る演奏です。

三楽章、前進しようとするエネルギーが強い演奏で、その面では新日本poとの演奏とはかなり違うように感じます。

四楽章、やはりゆったりしたテンポをとっていますが、音の輪郭がくっきりしていて明瞭です。

これまで聴いた朝比奈の演奏の中では一番生命力を感じる演奏です。
違う言い方をすると人間臭いといえるかもしれません。
活力に満ちた良い演奏でした。

エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
1973年の東京ライヴです。

一楽章、注意深い感じで音を探りながら演奏が始まったような感覚がありました。
ティンパニが入ったあたりからは、快速です。普段聞くレニングラードpoの音に比べると幾分かマイルドな響きです。
鍛え抜かれたアンサンブルの精度はすごいものがあります。
響きはマイルドに聞こえても、厳しい表情は健在で、孤高の名指揮者のたたずまいは常に持ち合わせています。

二楽章、速いテンポで緩み無く進みます。音楽の抑揚もすごく統率が行き届いているようです。
オケの響きはドイツのそれとは違った趣きがあります。

三楽章、この楽章も速いです。

四楽章、細かいパッセージも完璧ですし、細かい表情も統一されていて、とても感心します。

ムラヴィンスキーの音楽は独特の世界がありますので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、爆演型が多いソ連の指揮者の中にあって、これほど純音楽としての完成度を求めた指揮者もいないと思います。

マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★★
一楽章、そっと撫でるような柔らかく優しい序奏。深みのあるトゥッティ。第一主題はあまり速くはありません。第一、第二主題ともあまり歌いません。歌よりも一つ一つのフレーズのつながりや流れを重視しているように感じます。

二楽章、速めのテンポでこだまするように次第に静かになった冒頭。抑制的ですが、内に秘めた感情が伝わって来るような演奏です。クラリネットの第二主題も弱音に思いを込めたような演奏です。楽譜に書かれている音の動きがとても良く分かります。

三楽章、速めのテンポですが、丁寧な演奏です。フッと力を抜くところもあります。トリオはたっぷりと歌います。

四楽章、前へ前へ進もうとする力のある演奏です。オーケストレーションの見通しがとても良い演奏で、とても動きが良く分かります。弱音がとても美しい演奏でした。

大きな表現は無く、むしろ抑制的な表現でしたが、特に弱音部で内に秘めたような感情が伝わって来るような演奏でした。また、パートごとの音の受け渡しなどがとても良く分かる演奏で、精緻な演奏を聞かせてくれました。ただ、そこに感動があったかと聞かれるとちょっと?です。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ベートーヴェン:交響曲第4番の名盤を試聴したレビュー

ベートーヴェン 交響曲第4番3

ベートーヴェン 交響曲第4番名盤試聴記

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

icon★★★☆
一楽章、テンポは中庸、旋律の歌が魅力的な演奏です。

二楽章、安堵感が漂う優しい音楽が心地よい。

三楽章、歌があって、美しい演奏です。

四楽章、色彩のコントラストもあるし、歌も美しいのですが、残念ながら最新の録音に比べるとかなりナローレンジなので、美しさは想像するしかありません。

フルトヴェングラーのようにテンポが大きく動く指揮者の場合は、多少録音が悪くても演奏に込められた魂のようなものを聴くことができますが、ワルターのような美しい演奏をする指揮者の音楽は、録音の古さは大きなマイナス要因になってしますのが、残念なところです。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、美しい演奏ですが、どういうわけか響きに透明感がありません。
強弱の変化にもオケが敏感に反応するし、近代的な演奏の機能美を聴くにはとても良い演奏です。
録音のせいなのか、横方向への広がりがなくて、縦方向にいろんな楽器が積み重なって窮屈に感じてしまいます。

二楽章、とにかく、そつなく美しくです。

三楽章、入門用に聴くのであれば、オケは抜群に上手いし、カラヤンのブランド力もあるし、良いかもしれません。
私だったら、スウィトナーを勧めますが、初心者の気持ちとしては、聞いた事のない名前の指揮者のCDを買うより、カラヤンを買うほうが、気持ちの上では納得できるのではないかと思います。
また、それがカラヤンの功績だったのだと思います。

四楽章、ダイナミックな演奏で、気持ちが良いです。カラヤンの解釈には迷いがないので、聴いているこちらも「これで良いんだ!」と妙に納得させられます。

内面のことさえ言わなければ、とても良い演奏です。

ヨゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団

icon★★★
一楽章、静寂感があります。ティンパニや金管が控え目なので、ダイナミックさには欠けますが、品の良い演奏です。
マイルドな響きが全体を支配していて、穏やかで遠くで音楽が鳴っているような感じがします。

二楽章、滑らかな音の処理で心地よい演奏です。
録音が古いため楽器一つ一つの音色が明確に分離せずに全体にモノトーンのような響きになります。

三楽章、とても穏やかなベートーヴェンです。

四楽章、

ヘルマン・シェルヘン/ルガノ放送管弦楽団

シェルヘン★★★
一楽章、豊かな低域を含んだふくよかな響きです。途中からテンポがすごく速くなりました。ギョっとするような大胆な表現もあります。快速でブッ飛ばして終りました。

二楽章、アンサンブルが乱れるところもありますが、人間味があって暖かい音楽です。

三楽章、かなりテンポ設定は速いです。音楽の起伏はしっかりと描いています。中間部は少しテンポを落としました。

四楽章、この楽章も速いです。強奏部ではさらにテンポを煽るかのように激しい演奏です。速いテンポでも見事に演奏しきったオケもすばらしいのですが、どこか人間臭くて野暮ったさが感じられてなりません。それがこの演奏の魅力だといえばそうなのですが・・・・・。

アルトゥーロ・トスカニーニ/NBC交響楽団 1951年

トスカニーニ★★★
一楽章、古い録音で音は硬いですが、聞くに堪えないような音ではありません。ゆっくりとゆっくりと進む序奏。音に力があって強い響きです。ザクザクと刻まれる第一主題。非常に力強い演奏です。

二楽章、速めのテンポで深く感情を込めることは無く、あっさりとした表現で進みます。第二主題もアゴーギクを効かせることも無くあっさりと進みます。ほとんど歌わず厳格に楽譜に忠実に進む音楽は賛否が分かれると思いますが、ガリガリと刻まれる弦の力強さはなかなかです。

三楽章、この楽章でも怒涛の勢いです。トリオでも勢いはそのままです。勢いで一気に押し切ってしまうような演奏です。

四楽章、この楽章も速いテンポで勢いがあります。トゥッティのエネルギー感も凄いです。重量感がありながら、推進力もある演奏でトスカニーニの凄さが感じられます。

とても強いエネルギーを武器に怒涛の勢いで一気に聞かせる演奏でした。演奏の凄さも感じましたが、ほとんど歌わずに厳格に進む二楽章はちょっと違和感を感じました。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★★
一楽章、比較的大きな音で淡々と歌われる序奏。重戦車が動き出すような重々しい第一主題。止まりそうなシンコペーション。第二主題は幾分軽くなりますが、ザラッとした響きで歪も感じます。テンポの変化もありますが、遅い方へ動きますので、益々重くなります。

二楽章、感情を込めると言う事は無く、淡々と進みます。第二主題も内に秘めたような表現は無く、開けっぴろげな感じさえします。

三楽章、非常にゆっくりとしたテンポなのですが、録音が悪くザラッとした響きで潤いがありません。

四楽章、この楽章もゆっくりとしたテンポです。感情移入されて歌うことは無く、ひたすら楽譜に忠実な演奏ですがテンポは重くなるように動きますがほとんどの部分はインテンポです。長い編成の列車が走るような重量感はあります。

極めて遅いテンポで悠然と進む演奏でした。小さいことには目もくれず大きく作品を捉えた重量感のある演奏でしたがあまりの自然体で力の入るところも無かったのが肩すかしでした。
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シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

イッセルシュテット★★☆
一楽章、柔らかくどっしりとした豊かな響きの序奏。トゥッティもフワッとした柔らかい響きです。第一主題は落ち着いたテンポであまり躍動感がありませんが穏やかな演奏です。

二楽章、非常にゆっくりとしたテンポで豊かに歌います。柔らかく厚い響きなのですが、緊張感が感じられず緩い感じがします。このおおらかさがイッセルシュテットの持ち味なのかも知れませんが、私には合いません。

三楽章、この楽章は少し速めのテンポですが、やはり柔らかくスピード感はありません。

四楽章、この楽章は落ち着いたテンポで確かめるように確実に進みます。ブライトコプフ版の演奏としては正攻法の演奏だと思いますが、それ以上でもそれ以下でも無いような演奏で、個性などはほとんど伝わってきません。自然体の演奏なのですが、それが感動する演奏と何も感じない演奏の違いは何なんでしょう?

とても柔らかい響きの落ち着いた演奏でしたが、緩い感じがあって、緊張感などは感じられませんでした。
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エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

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一楽章、重々しく暗い雰囲気の序奏。ゆったりと確実な足取りです。第一主題もあまり速くはありません。録音の古さから少しザラッとした弦の響きです。ギュッと締ったりゴツゴツしたりするようなことは無く、柔らかくフワッとした音楽です。

二楽章、この楽章もゆったりとしたテンポで優雅に始まりました。響きに透明感が無く、モヤッとした感じが常に付きまとい、響きが肥大化しているような感じがします。

三楽章、キリッと引き締まった演奏が好きなのですが、この演奏はどうも緩い感じがします。この緩さがアンセルメが得意としたフランス音楽やロシア音楽では華やかな響きとなって良い方向に作用したのだと思いますが、ベートーベンの交響曲では、もっと雑味の無い純粋な音を求めたい感じがします。

四楽章、大きな表現はなく、作品と正面から向き合った演奏ですが、やはり響きがベートーベンの響きでは無いように感じます。強弱の変化などの感応も敏感では無く、ベートーベンらしさがありません。

フランス音楽やロシア音楽では華やかな響きが特徴のスイス・ロマンドですが、ベートーベンの演奏になると、響きがモヤッとした感じがあり、透明感がありません。もっとゴツゴツとして男性的な音楽だと思うのですが・・・・・。
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グスタフ・クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団

クーン★☆
一楽章、この人の演奏はなぜか密度が薄い。表現も平板で、躍動感も無く、引き込まれるものがありません。ダイナミックの変化も少なく演奏に魅力を感じません。

二楽章、歌もあまり無く、音楽が空中分解しているような音が集まって来ないところがあります。クラリネットの第二主題もほとんどテンポは動きませんでした。

三楽章、表現に積極性が無く、何かを伝えようとする意欲が感じられません。何となく音楽が流れて行く感じで、厳しい表現はありません。トリオのオーボエも一本調子で、あまり歌いません。まるで練習を聴いているような緊張感の乏しい演奏です。

四楽章、この楽章は集中力があります。表現もダイナミックです。この楽章の生き生きとした演奏を聴くと、これまでの演奏は何だったのかと思います。

三楽章までの集中力の乏しい、表現も平板な演奏はとても退屈でした。四楽章で少し盛り返しましたが、三楽章までの印象が強く、あまり良い印象はありません。
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エマニュエル・クリヴィヌ/ラ・シャンブル・フィルハーモニク

クリヴィヌ
一楽章、鋭い響きであまり大きな表情の無い序奏。強弱の変化もあまり無く淡々と進みます。第一主題に入る前に一旦音量を落としてクレッシェンドしました。ティパニが弱音のロールをダブルストロークで叩きました。

二楽章、速いテンポです。あっさりと演奏される第一主題。ほとんど感情移入は無く、ひたすら淡々と進みます。

三楽章、抑えた音量で速いテンポで始まりました。この楽章でも表現は抑え気味で淡々と演奏されています。トリオもほとんどテンポを変えず、またあまり歌わずに進みます。

四楽章、この楽章もとても速いテンポです。木管が軽く演奏するのがかえってスピード感を演出しています。

ピリオド楽器で、ほとんど無表情で軽い演奏でした。このような無表情の淡々とした演奏にどんな意味があるのか私には分かりませんでした。
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