リムスキー=コルサコフ スペイン「奇想曲」
たいこ叩きのリムスキー=コルサコフ 「スペイン奇想曲」名盤試聴記
シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団
★★★★★
アルボラーダ、小物打楽器が賑やかですが、響きは整然としていて、とても落ち着きがあります。クラリネットのソロもとても美しい。ヴァイオリンのソロも繊細な感じです。
変奏曲、遠くから響くようなホルンが心地良い雰囲気です。とても美しい音楽です。熱狂するような音楽ではなく、清涼感さえある演奏です。
アルボラーダ、スネアドラムさえも美しい。トゥッティでもガツンと音が届くことは無く、とても冷静です。
シェーナとジプシーの歌、粒の揃ったスネアのロール。繊細なヴァイオリン・ソロ。フルートのソロも極上です。どのソロも見事!とても透明感が高く、全てを見通せるような感じさえします。
アストゥリア地方のファンダンゴ、遠くで響くスパニッシュカスタネット。艶やかなヴァイオリン。強奏部分のエネルギー感には乏しいのですが、これだけ美しい演奏を聴かせてくれれば満足です。
ダニエル・バレンボイム/シカゴ交響楽団
★★★★★
アルボラーダ、ゆったりとしたテンポで、ものすごいエネルギー感です。小物打楽器は控え目ですが、十分に賑やかな雰囲気はあります。トランペットも絶妙なバランスで存在をアピールします。弓を弾ませるヴァイオリン。
変奏曲、ホールの響きを伴って豊かに鳴るホルン。濃厚な色彩感です。椅子が軋む音がします。
アルボラーダ、トランペットが気持ちよく鳴ります。ヴァイオリンのソロが少し早くなります。艶やかなヴァイオリンと滑らかなクラリネット。最後のテュッティは深い響きでした。
シェーナとジプシーの歌、シングルストロークでロールをしているのではないだろうか?それともオープンロールか?すごい技術です。輝かしいトランペットのファンファーレ。激しいヴァイオリン・ソロ。ハープの低音もリアルで音が立っています。金管も存在感があり、とても厚みがあります。
アストゥリア地方のファンダンゴ、ゆったりとしたテンポで丁寧に描かれます。リムスキー=コルサコフの色彩感豊かなオーケストレーションを見事に表現しています。
シカゴsoのパワーを遺憾なく発揮したすごい演奏でした。特に金管の活躍はすばらしかった。
ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団
★★★★★
アルボラーダ、きりっと立った音で、一音一音がしっかりと分離して聞こえます。ゆっくり目のテンポでとても丁寧に演奏されています。
変奏曲、締まったホルン。録音のせいもあると思いますが、曖昧さの全く無い演奏で、透明感がありとても見通しの良い演奏です。
アルボラーダ、とても艶やかなヴァイオリンのソロ。小物打楽器は控えめです。
シェーナとジプシーの歌、遅めのテンポで技術を見せ付けるようなヴァイオリンのソロ。陰影のあるクラリネット。豊かな表情のオーボエ。シカゴsoのキンキラキンの響きとは違い柔らかくまろやかです。
アストゥリア地方のファンダンゴ、生き生きと動く木管。全く力みも無く軽々と演奏する高い技術に脱帽です。
ゆったりとしたテンポで透明感が高く、柔らかく軽々と高い技術を見せ付ける演奏で、華やかさはありませんでしたが、中身の濃い演奏でした。
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ズービン・メータ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
★★★★★
アルボラーダ、ゆったりとしたテンポで華やかです。クラリネットも余裕たっぷりに優雅なソロです。ヴァイオリンのソロも見事です。
変奏曲、たっぷりと深みのある弦。とてもゆっくりと朗々と歌うホルン。今まで聞いたことの無い表現で、音楽に身をゆだねることが出来ます。イングリッシュ・ホルンも深みのある歌です。野外コンサートなので、堅苦しくならずに伸び伸びと演奏しているのが、良い方向に作用しているような感じがします。
アルボラーダ、小物打楽器はあまり聞こえませんがスネアは大きめです。ヴァイオリンのソロが何事も無いように演奏しています。最後はティンパニの強打がありました。
シェーナとジプシーの歌、カチッとした響きのトランペット最後の高音は突き抜けて来ます。寄れ動くように歌うヴァイオリンのソロ。とのソロも見事です。ベルリンpoが楽しく乗って演奏しています。
アストゥリア地方のファンダンゴ、理屈抜きに楽しく伸び伸びとした演奏です。表現もとても積極的で、開放感に溢れた演奏です。最後の加速も興奮を煽るように効果的なものでした。
野外コンサートの開放感からも来るのでしょうが、とても伸び伸びと遠慮なく表現した演奏で、ベルリンpoもノリノリでした。大きな表現にもわざとらしさが無く、終演後の歓声も納得の演奏でした。
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ディエゴ・マテウス/スイス・ロマンド管弦楽団
★★★★★
アルボラーダ、豊かで暖かみがあり華やかです。小物打楽器もしっかりと聞こえます。
変奏曲、とてもゆっくりとしたテンポで訴えるようにホルンが深く歌います。続く弦も息遣いのような振幅のある演奏です。柔らかくしみじみとしたイングリッシュ・ホルン。一つ一つの楽器がくっきりと浮かびあがって、とても濃厚な色彩感です。
アルボラーダ、艶やかで生き生きとしたヴァイオリンのソロ。
シェーナとジプシーの歌、クローズドロールのスネア。くっきりと浮かび上がるフルート。
アストゥリア地方のファンダンゴ、カスタネットの粒もはっきりと聞き取れます。一時期低迷したスイス・ロマンドoですが、この演奏を聞くと全盛期の実力を取り戻しつつあるように感じます。
美しく、くっきりと明確な色彩感で華やかな演奏でした。息遣いのある生き生きとした演奏は素晴らしかったです。
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キリル・コンドラシン/RCAビクター交響楽団
★★★★☆
アルボラーダ、小物打楽器が賑やかで、華やかな雰囲気です。
変奏曲、細く締まった音のホルンです。サーッと言うヒスノイズがかなり気になります。ダイナミックに強弱の変化があり生き生きとした表情の演奏です。録音は古いですが、色彩感豊かで良い演奏です。
アルボラーダ、賑やかな冒頭の後のヴァイオリン・ソロは艶やかな音色でした。
シェーナとジプシーの歌、強いアクセントで入ったスネアのロール。トランペットらしい音色のファンファーレ。すごく感情を込めたヴァイオリン・ソロ。メリハリがあって、聞いていて飽きません。ハープのソロの後はすごく速いテンポでアンサンブルもバラバラになりますが、かまわずに突っ走ります。さらにテンポを上げます。
アストゥリア地方のファンダンゴ、少しritして入りました。音楽がとても濃厚で、聴き応えがあります。テンポの変化もこの曲にはピッタリです。
コンドラシンが表現しようとした音楽はすばらしいのですが、オケが付いて行けないところが少し残念でしたが、オケが乱れてもなりふり構わず突き進むところも面白みがあって良かったです。
アンタル・ドラティ/ロンドン交響楽団
★★★★☆
アルボラーダ、速いテンポで小物打楽器も賑やかです。滑らかなクラリネット。とても楽しそうです。太いヴァイオリンのソロ。
変奏曲、少し細身のホルン。豊かに歌うイングリッシュホルン。合いの手に入るホルンも大きく答えます。速いテンポでサクサクと進みます。デットな録音なのか、ヴァイオリンが少しキツく聞こえます。
アルボラーダ、躍動感のあるヴァイオリンのソロ。
シェーナとジプシーの歌、深い胴のスネアでクローズドロールで演奏しています。歯切れの良いトランペット。太くマットなヴァイオリンのソロ。フルートとクラリネットのソロは速いテンポであっさりと進みます。ハープはすごく強調されています。テンポが速いので、踊るような躍動感があります。
アストゥリア地方のファンダンゴ、控えめなカスタネット。最後の盛り上がりも十分で、加速して終わりました。
最初のアルボラーダから賑やかで華やかな演奏で、テンポも速いので躍動感もあって、良い演奏でしたが、録音がデッドなのかヴァイオリンがキツい部分もありました。
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キム・ボンミ/コリア・ソロイスツ・オーケストラ
★★★★☆
アルボラーダ、奥行き感のある美しい響き。華やかさも十分あれます。
変奏曲、ビブラートをかけているような感じで細身のホルン。まろやかで柔らかいイングリッシュ・ホルン。
アルボラーダ、あまり弾まないヴァイオリンのソロ。
シェーナとジプシーの歌、くすんだ響きのトランペット、若干アンサンブルの乱れがあります。ゆっくりと演奏されるヴァイオリンのソロですが、激しく叩きつけるような弓使いではありません。とても丁寧です。
アストゥリア地方のファンダンゴ、カスタネットのリズムに乗る演奏です。強い色彩感はありませんが、雰囲気のある演奏です。最後は凄いアッチェレランドで終わりました。
強い色彩感はありませんでしたが、華やかさや雰囲気を感じさせる演奏で、女性らしい丁寧な演奏にも好感が持てました。
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Maxim Eshkenazy/クラシックFMオーケストラ
★★★★☆
アルボラーダ、鮮明な響きではありませんが、厚みはあります。小物打楽器も賑やかです。ヴァイオリンのソロはあまりダイナミックではありません。
変奏曲、ゆっくりとしたテンポで歌う弦。色彩感も十分にあります。
アルボラーダ、ここでも賑やかな演奏です。
シェーナとジプシーの歌、ゆっくりとしたトランペットのファンファーレ。あまり粘りが無くあっさりとしたヴァイオリンのソロ。フルートのソロはあまり鳴りが良くない感じです。強弱の変化が少し緩い感じがします。
アストゥリア地方のファンダンゴ、奥行き感もあって良い演奏です。流れるような演奏で、ひっかかるところがありません。最後の加速もまあまあでした。
聞いたことの無いオケと指揮者だったので、期待せずに聞きましたがなかなか良い演奏でした。割となだらかに変化する演奏でしたが、賑やかさや奥行き感もあり、良かったです。
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