ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」

ベートーベン 交響曲第6番「田園」ベスト盤アンケート

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、この全集の演奏スタイルからすると、偶数番の交響曲はピッタリだと思います。
ゆったりと落ち着いたテンポで余計な力みもなく、楽譜に忠実に演奏されているので、当然仕掛けもありませんので、どっぷりと音楽に浸ることができます。
朝比奈が演奏しようとしているベートーベンをオケのメンバーたちも最大限に汲み取って、強い共感を持って演奏している共同作業のような、ほのぼのとし暖かみのある音楽を聴くことができます。
日本のオケも1980年代の後半にもなると、欧米の一流オケと遜色ないレベルの演奏ができるようになったというのも、この演奏が十分に示してくれていると思います。

二楽章、このゆっくりとしたテンポでも緊張感を失わずに演奏が進んでいくことに驚きさえ感じます。
一歩間違えれば、凡演どころか、集中力が切れてしまえば、聞くに堪えない演奏にもなりかねないテンポですが、見事に集中力が保たれています。

三楽章、日本のオケの几帳面さからくるものなのか、このテンポでもアンサンブルが乱れることもなく、実に上手い!

四楽章、ティンパニの釜が鳴った良い音です。ライブ録音のため、超高域は僅かしか入っていないようですが、それでも弦楽器の伸びやかの音も魅力的です。

五楽章、嵐のあとの晴れやかさも、見事に表現されています。丁寧に音を紡いでいる様子がうかがえるような演奏で、大変好感がもてます。

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団

朝比奈/大阪フィル★★★★★
一楽章、ゆったりおおらかな演奏です。適度な編成で、音にも透明感があります。
美しい演奏です。音楽にどっぷりと浸れる良さが朝比奈のベートーベンの魅力です。
ベートーベンの交響曲全集の録音回数が最も多い上位二人と言えば、この朝比奈とカラヤンですが、音楽作りは対照的です。
ベートーベンが作品に込めた力強さや自由への意志。人間を優しく包み込むような癒しだったり。このような内面を見事に表現した朝比奈に対して、機能美を徹底的に追及して、構築物としての音楽の美しさを表現したカラヤン。
どちらも名演奏であることは疑う余地はありませんが、私は、朝比奈の自然体で謙虚に姿勢から生まれてくる人間臭い力強さや慈しみが、とても魅力的で好きです。

二楽章、音楽に揺られている感じが心地よい。オケとの信頼関係の元にすばらしい音楽が出来上がってきたのだと思います。
これだけの演奏を聴かされると、昔のように欧米のオーケストラを見習って、技術を習得するような時代は過ぎたんだと感じます。
これだけすばらしい音楽ができるようになった日本のオーケストラや音楽業界の人たちの努力にも頭が下がる思いです。
世界中で販売しても恥ずかしくない演奏をしています。

三楽章、昔の日本のオケは管楽器があまり上手じゃなかったのですが、今の演奏は本当に上手い!

四楽章、金管も不自然なくらいの強奏はしません。曲の流れを壊さない範囲で節度があってとても良い演奏です。

五楽章、現在、世界の第一線で活動している指揮者たちが、皆没個性になってしまって、CDが発売されても、買う気になれないような状態なのに、クラシック音楽としては偏狭の地にほとんど篭っていたと言っても良い朝比奈がこれだけすばらしい音楽を奏でているというのは、いったいどういうことなのだろう?

変な理屈はどうでも良いから、演奏家の魂の表出があって欲しいし、聴く者は、その表出に共感したいと思って、コンサートに出かけたり、CDを買っているんですよ。
新日本poとの演奏も良かったけど、この演奏もすばらしかった!

デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、速い!この曲でも今まで聴いたことのない音がいっぱいです。祭りのお囃子のようなフルート。
アティキュレーションに敏感に反応する演奏で、音楽に合わせて踊りたくなるような・・・・。通常の演奏では有り得ないような感覚になります。
田園がこんにな乗りの良い音楽だったとは!田園は本当は舞曲だったのか?と思うほど画期的と言えば画期的。やりたい放題のハチャメチャな演奏と言えばそうともとれる。何とも不思議な演奏です。

二楽章、やはり音の扱いは短めに演奏しています。心地よく揺られているような感じ。表情はとても豊かで、個々の楽器の音色も美しいし、ホールの響きも暖かみがあってとても良いです。

三楽章、元気はつらつ。ここでも乗りの良い演奏をしています。ただ、テンポが速いだけなら、良いとは言えませんが、これだけ表情が豊かだと聴いていて飽きません。
ジンマンとオケと私が一緒に音楽を楽しむことができます。

四楽章、バロックティンパニの硬い撥がヘッドに当たる音が気持ちよく響きます。

五楽章、全曲通して楽しめました。

リッカルド・ムーティ/ミラノ・スカラ座管弦楽団

ムーティ★★★★★
一楽章、速めのテンポで揺れ動くような第一主題。さらっと流れる第二主題。テンポが変化してたっぷりと演奏する部分ではテンポを落としています。穏やかで落ち着いた演奏もあったり変化に富んでいます。展開部からは強弱の変化をしっかりとした演奏です。

二楽章、優しく浮遊するような第一主題。揺り籠に揺られるようなファゴットの主題がなかなか良いです。のどかな情景が浮かぶような穏やかな演奏です。

三楽章、とても優しい響きで奥ゆかしく踊るような主題。トランペットも柔らかく弱めに入り雰囲気を壊しません。

四楽章、強力なエネルギー感では無いものの、低音が分厚く押し寄せて来るような嵐です。トゥッティではホールに音が大きく広がる音場感があります。

五楽章、誇張が無く自然な第一主題。とても繊細で美しい演奏です。

とても穏やかで優しい響きで、田舎のゆっくりと流れる時間を表現したような演奏でした。しなやかで繊細な響きは素晴らしいものがありました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団

ヤルヴィ★★★★★
一楽章、とても優しい第一主題。 第二主題の前で若干テンポを落としました。決して空気を突き破って来ない優しい響きはとても美しいです。テンポも動きますし、表現も大きく積極的です。コーダに入って空気を突き破って届くようになりました。

二楽章、また、優しい響きの第一主題。ガラス細工のようなデリケートで繊細な演奏です。

三楽章、トリオからぐんとテンポを上げて躍動感のある演奏になりました。主部が戻るとあまり表情の無い力の抜けた演奏です。

四楽章、突然もの凄いエネルギーで爆発する嵐です。これまでの優しい響きからは一変です。深く刻まれる弦。激しいティンパニやトランペット。

五楽章、祈るような主要主題。この楽章では再び柔らかくとろけるような優しい響きになっています。

とても優しい響きの美しい演奏でしたが、四楽章の嵐は一転してオケを爆発させた表現の振幅の広い演奏でした。ヤルヴィの指揮もテンポを動かしてしっかりと主張した良い演奏でした。
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フィリップ・ヘレヴェッヘ/オランダ放送室内管弦楽団

ヘレヴェッヘ★★★★★
一楽章、速いテンポでまろやかな響きの第一主題。デュナーミクの変化も大きく敏感に反応します。第二主題では少しテンポを落とします。とても良く歌いテンポの動きもあって活発な演奏です。

二楽章、マイルドな響きで揺り籠に揺られるような第一主題。とても良く歌います。ふくよかで繊細な響きがとても美しい。

三楽章、この楽章も速いテンポでデュナーミクの変化をしっかりと聞かせる演奏です。楽しげな様子が上手く表現されています。

四楽章、オケの編成が小さいので嵐の迫力はありませんが、ティンパニが良い音で雷鳴を表現しています。

五楽章、すがすがしい第一主題。マイルドな響きの中にもしっかりとエッジの立ったしっかりとした響きです。

まろやかな響きですが、デュナーミクの変化にも敏感で生き生きとした表現の演奏でした。三楽章の楽しげな様子や四楽章のティンパニなどの表現もとても良かったです。
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ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ハイティンク★★★★★
一楽章、あまり間を空けずに速めのテンポで演奏されています。ハイティンクらしい引き締まった表情の演奏です。きびきびと反応するオケ。微妙な表現にも一体になって反応するオケには感心させられます。

二楽章、暖かい響きの冒頭。しっかりと地に足の着いた第一主題。豊かな響きのファゴットの主題。上品な歌があります。色彩感が際立っていて、個々の楽器が美しく浮かび上がります。いつものハイティンクらしい中庸の演奏ですが、静寂感があって清涼感もあるすがすがしい演奏です。

三楽章、速いテンポで、品良く歌います。トリオからさらにテンポを速めて活発な表現です。

四楽章、嵐の前の不穏な空気を上手く表現している冒頭。嵐でもそんなに激しくはなりません。

五楽章、ゆったりと内面から湧き上がる感謝を表現する主要主題。穏やかですが、ピリッと引き締まった演奏はさすがです。すがすがしく晴れやかな雰囲気で終えました。

ハイティンクらしい誇張の無い中庸の演奏でしたが、ピリッと引き締まった演奏で、描写も上手く表現されていて見事でした。
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ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1954年

icon★★★★★
一楽章、非常にゆったりとした第一主題。しかも大きく歌います。今まで聞いた中でも一番遅い演奏です。凄く重くスケールの大きな感じがします。テンポも感情に合わせて動きますが聞いていて不自然さは全く無く、納得できるテンポの動きです。

二楽章、この楽章もゆっくりとそしてテンポの動きを伴って表現される第一主題。第二主題はしつこく無くサラサラとした感じでした。深い歌に引き込まれて行きます。

三楽章、この楽章も遅いテンポから始まりましたが次第にテンポを速めました。オーボエの主題が出るあたりでは僅かに遅い程度のテンポです。田舎の人々の楽しさよりもテンポを速める時の凄味の方が印象に残ります。

四楽章、嵐でオケは爆発します。弱音からトゥッティまでの振幅の幅が凄く広いです。それにしても演奏は重量級で重いです。

五楽章、穏やかさよりも激しさを感じさせる演奏です。全曲を通じてホルンがかなり強いです。コーダも凄くゆっくりとしたテンポでした。

表題や描写を意識した演奏では無かったようです。かなり重く深い演奏でしたが、これはこれで良い演奏だったと思います。
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クリストフ・フォン・ドホナーニ/クリーブランド管弦楽団

ドホナーニ★★★★★
一楽章、ふくよかで柔らかい響きですが、速めのテンポで活発な表現です。第二主題に入って僅かにテンポが遅くなりました。ピラミッド型の安定した響きはとても美しいです。テンポが速いので付点音符が僅かに甘くなる部分もあります。

二楽章、とても豊かな響きで、安らかな表現です。さらさらと流れていく音楽。大きな表現は無く自然体です。コーダはとても穏やかでした。

三楽章、この楽章も速いテンポで活発に動きます。

四楽章、嵐の前の不穏な空気を上手く表現しています。嵐は分厚い響きに圧倒されますがそれでも美しくふくよかな響きは失いません。

五楽章、安らかな主要主題。分厚く豊かな響きはとても魅力的です。流れる音楽にどっぷりと浸って酔いしれることが出来ます。

ふくよかで分厚い響きでしたが、弱音の繊細さもあり、最後は音楽にどっぷりと浸ることができる素晴らしい演奏でした。
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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」2

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団 1980年ライヴ

ショルティ★★★★☆
一楽章、分厚い響きで歌う第一主題。ショルティの演奏らしくメリハリのはっきりとした演奏です。明快で活発な表現。穏やかさよりも生命感を感じさせる演奏です。強弱の変化にも敏感です。

二楽章、ここでも歌う第一主題。テンポの動きもあります。誇張の無い音楽が自然に流れて行きますが音楽には穏やかさや安らぎよりも、どこかピリッとした緊張感があるように感じます。

三楽章、速いテンポで踊るような主題。主部後半のオーボエから続く主題もとても良く歌います。続く部分もとても表情が豊かです。トリオも活発に動きます。

四楽章、トゥッティのもの凄いエネルギー感はさすがです。

五楽章、冒頭の表現はショルティの不器用さがちょっと出たかも。この楽章でもとても活発に音楽が動くので、あまり穏やかさはありません。

ショルティらしいストレートな表現の田園でした。常に動きがあって穏やかさはあまり感じられませんでしたが、トゥッティの圧倒的なエネルギー感などはさすがシカゴsoと思わせるものでした。完成度の高さもすばらしいものでした。
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セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、5番の時の力強い響きとは違い、柔らかい優しい響きですが、表情は生き生きとしています。くっきりと浮かび上がる美しい木管。弱音の繊細さがすばらしい。いろんなところに微妙な表情付けがされていて、とても丁寧で緻密な音楽です。

二楽章、この楽章でも美しいクラリネットがくっきりと浮かび上がります。美しく優しい音楽なのですが、どこか緊張を要求されているような感覚があって、心底リラックスできません。これはチェリビダッケと言う指揮者に対する先入観からなのか?

三楽章、優しい冒頭から巨大な合奏まで幅広い表現です。ソロ楽器がくっきりと分離して響きます。作品の性格からすると響きが巨大過ぎるような感じがします。

四楽章、豪快に鳴るオケは雷鳴と豪雨を見事に表現します。暗く沈みこむ響きも空を覆う黒雲を象徴するようです。

五楽章、とてもゆったりとしたテンポで喜びを表現します。とても優しく終わりました。

とてもスケールの大きい良い演奏でしたが、二楽章で緊張感を感じてしまったのが残念でした。

ルネ・レイボヴィッツ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レイボヴィッツ★★★★☆
一楽章、爽やかで清涼感のある第一主題。表現が生き生きしています。響きのバランスが良くどっしりと分厚い響きです。といも表現が積極的で躍動的です。

二楽章、漂うような第一主題。一楽章の躍動感からは一転した表現です。展開部でも揺られるような音楽です。常に動きがあって生命感のある演奏は音楽にどっぷりと浸ることができてとても良いです。

三楽章、軽快に踊るような主題。オーボエの主題もとても良く歌い気持ちの良い演奏です。明るい響きのホルン。

四楽章、嵐の前の不安な感じを良く表現しています。嵐も分厚い響きで押し寄せてくるようです。

五楽章、明瞭に演奏される主要主題。あまりに明瞭で崇高な感謝のイメージがありません。

とても躍動感があって生き生きとした良い演奏でしたが、五楽章が明瞭過ぎて感謝の感じがあまり受け取れなかったのが残念でした。
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フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ

ブリュッヘン★★★★☆
一楽章、速いテンポで細身の第一主題。表現はきびきびしていて心地良い演奏です。ピリオド楽器の鋭い響きが清々しさになって作品に合った演奏のように感じます。

二楽章、繊細な響きの中に美しい歌があってとても良いです。テンポの動きなどはありませんが、誠実な表現です。

三楽章、この楽章でも繊細な響きがとても美しいです。ダイナミックな演奏ではありませんが、細やかな表現の美しい演奏です。

四楽章、低域は薄いですが、トランペットは鋭く響きますが荒れ狂うような嵐ではありません。

五楽章、鋭い響きの主要主題はあまり穏やかさを感じさせず、少し緊張感が漂います。コーダの繊細な表現もとても良かったです。

ピリオド楽器の鋭く繊細な響きを生かした演奏はとても心地良いものでした。
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グスタフ・クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団

クーン★★★★☆
一楽章、速いテンポで暖かみのある第一主題。テンポが動いたり、粘った表現などは無く、自然体であっさりとしています。柔らかく暖かい響きは作品に良く合っています。

二楽章、小川のせせらぎの中からかすかに聞こえて来るような第一主題。ゆらゆらと揺れる感じがとても心地良い演奏です。

三楽章、この楽章も速いテンポですが、あまり活発な動きは感じません。トリオの最後のトランペットも大きく前には出て来ません。強弱の振幅はあまり大きく無いようです。

四楽章、ティンパニは強調されていますが、金管はあまり強奏しません。

五楽章、柔らかく穏やかな主要主題。あまり動きの無い演奏がかえって落ち着いた穏やかさにつながっています。

大きな表現など強い主張はありませんでしたが、柔らかく暖かい響きは作品にマッチしていてとても心地良い演奏でした。
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ヴォルフガング・サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団

サヴァリッシュ★★★★☆
一楽章、細かく表情を付けられた第一主題。ヴァリッシュのオーソドックスな指揮にとても安定感を感じます。きびきびとしたテンポの運びで、弾むような演奏があったり滑らかな表現があったりと自在です。

二楽章、かなりしっかりと現実的な響きの第一主題。奥ゆかしく上品な歌です。深みがあって、しかもフィラデルフィアoの色彩感豊かな響きがとても魅力的です。大きく跳ねるウズラの鳴き声のオーボエなど、自然の描写もとても良いです。

三楽章、この楽章でも細かな表情付けがされています。テンポは中庸ですが、色彩感はとても豊かです。トリオに入ってからは厚みのある響きで2拍子をしっかりと刻みます。

四楽章、嵐の部分は凄いエネルギーが放出されている感じはあるのですが、実際の音量としての突出はありません。嵐が次第に静まって行く感じもとても良く表現されていました。

五楽章、この楽章も二楽章と同様にかなり現実的な響きで、感謝の気持ちを天に祈るような夢見心地のような雰囲気はありませんがライヴならではの熱気を次第に帯びて来ています。

色彩感が豊かで、細かな表情が付けられた演奏はなかなか良かったですが、オケの持ち味なのか録音のせいなのか、とても現実的な響きで、夢見心地にさせてくれなかったのが少し残念でした。
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オトマール・スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ

icon★★★★
一楽章、流麗で美しい演奏が始まりました。細部まで表現が行き届いた音楽です。低音域を少し絞った録音なので、清清しく爽やかな音楽に仕上がっています。
パートの技量もバランスが取れているし、音色の統一感もあって、一つの楽器として機能しています。

二楽章、派手さはありませんが、色彩のパレットは十分で、水彩画のように淡い色で描かれて行きます。
ベルリン・フィルのようにどんどん近代化して、都会的な機能性や音量を備えたオーケストラではなく、昔からの伝統に根ざした演奏が断固として存在していて、その上に指揮者の個性が乗っかるような演奏です。
その伝統とスウィトナーの音楽との相性もとても良いようで、ムリなく自然な音楽が紡ぎだされて行きます。

三楽章、歌のある木管、美しく安定感のある演奏で、疲れた心を癒してくれるような優しい音楽です。

四楽章、ティンパニもドカンとは来ません。節度のある演奏です。

五楽章、音楽に酔いしれることができる数少ない演奏の一つだと思います。

すばらしい全集です。

ヨゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、穏やかな冒頭です。安心して音楽に身をゆだねることができます。

ナローレンジの録音が刺激のないマイルドな響きを作っています。クリップスの演奏自体も自然体です。

二楽章、この楽章も穏やかな表現です。

三楽章、トランペットも控え目でマイルドです。ダイナミックの変化も少な目で穏やかです。

四楽章、ティンパニも軽い音で重量感はありません。

五楽章、とても穏やかな「田園」でした。

クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、速いテンポで軽快に始まりました。「田舎に着いた晴れ晴れとした愉快な気分」を表すにはこのぐらいのテンポで調度良いのかもしれません。一つ一つの音に生命が宿るような生き生きとした演奏で、安らぎは感じませんが元気付けられるような感じです。アーティキュレーションの指示にもオケが敏感に反応しているのも、生き生きと感じさせる一因かもしれません。

二楽章、穏やかな第一主題が安堵感を与えてくれます。第二主題も美しい。オケが一体になった暖かい響きが魅力的です。クラリネットのソロもアゴーギクを効かせてとても作品への共感を感じさせます。オケも作品に入り込んで何かを引き出そうとしているようで、とても作品向き合っているのが感じられます。

三楽章、テンポも動いています。作品と正対している真摯な態度にとても感心させられます。

四楽章、怒涛のように激しく雷鳴や大地の鳴動を表現するオケ。音がストレートにこちらへ向かって来るような迫力です。

五楽章、穏やかな第一主題も、持って回ったようなところがなく、ストレートに届いて来ます。音に力があって、どの楽器もとてもくっきりと描かれていて強固な感じになります。

力強く、生き生きとした演奏でしたが、常に聴き手にも緊張を要求するような感じがあって、リラックスすることができませんでした。

サー・エイドリアン・ボールト/BBC交響楽団

ボールト★★★★
一楽章、間接音を含んで穏やかな第一主題。淡々と演奏される第二主題。展開部に入っても大きな表現はありませんが、質実剛健と言ったような強靭な意志を感じる演奏です。

二楽章、ゆらゆらと揺れるような中からヴァイオリンの第一主題が静かに表れます。ここでも第二主題はほとんど歌われずに淡々と流れて行きます。ライヴ録音なので限界はありますが、瑞々しい木管やふくよかな弦など、とても美しいです。

三楽章、ここでも主題を大きく歌うことは無く、自然体の演奏です。主部後半のオーボエの主題も美しい。

四楽章、荒れ狂うような嵐では無く、冷静さを保っています。

五楽章、ホルンがとても美しいです。極めて自然な流れで誇張することも無い、純音楽的な演奏でした。

誇張することの無い自然体の演奏で、質実剛健と言った演奏でしたが、四楽章ではもう少し描写があったら良かったと思いました。
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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」3

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン/ライブ★★★☆
一楽章、落ち着きの無いテンポで始まりました。ちょっとカラヤンらしい厚化粧のような感じが・・・・・。
豊麗な響きと濃厚な演奏。「田園」の雰囲気にしては都会的過ぎるような感じがします。

二楽章、美しい響きに酔うには良い演奏ですが、徹頭徹尾カラヤンの美学が貫き通されている演奏で、作品には不釣合いなくらい分厚い響きの演奏です。

三楽章、素朴さとは無縁のカラヤンの世界に浸かってしまえば、これはこれで良い演奏です。

四楽章、ティンパニのすごい強打。すごく編成が大きいように感じるのですが、実際にはどれくらいの人数で演奏したんでしょう。

五楽章、ソロのパートはどこもさすがといわざるを得ないです。すごく高次元で洗練された演奏で、牧歌的な雰囲気には程遠い。
私は、アンチ・カラヤンではないのですが、さすがに1980年代も後半の演奏になると、芸術としてカラヤンの世界に行ってしまった感じがしてなりません。これがカラヤンの到達した境地だったのでしょう。

これだけ洗練された美しい演奏が出来たのはカラヤンを置いて他にはいないと思います。そのことは評価してあげないといけないのだと思います。

マルク・エルムレル/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★☆
一楽章、中庸のテンポで穏やかな演奏で始まりました。素朴な雰囲気も表現されていてなかなか良いです。
オケも掌握されているようで、乱れや暴走がありません。

二楽章、録音のせいか、音が少しザラザラしている感じはありますが、音楽に浸ることができます。

三楽章、音楽の揺れも心地よいもので、なかなかの好演だと思います。
この全集はオーケストラが同じで、指揮者がバラバラなので、指揮者の演奏スタイルの違いを聴けるところが良いです。ただ、かなり出来不出来の差があります。
この指揮者は確か、ムラヴィンスキーとレニングラードpoの来日に同行したことがあると記憶しているのですが、演奏を聴いていても、実力はあると思います。

四楽章、表現も豊かだし、オケも暴走しないで、指揮者の意図を反映した演奏をしています。

五楽章、牧歌的な雰囲気も表現されているし、なかなか良い演奏でした。

クラウス・テンシュテット/ボストン交響楽団

テンシュテット/ライブ★★★
一楽章、快活な演奏です。スゥイトナーや朝比奈の穏やかな演奏に比較すると、何とも落ち着かない。
この全集はオケも録音年代のバラバラなので、曲による出来不出来はかなりあります。
特に、ボストン響との偶数番の出来は悪いような気がします。

二楽章、テンポが速いので、落ち着きがありません。
表題を連想させるような牧歌的な雰囲気は、全くありません。

三楽章、強弱のメリハリははっきりしていて、テンシュテットらしい演奏です。しかし、そこまでしなくても・・・・と思うほどテンポを煽ります。ちょっと付いて行けません。

四楽章、ティンパニの強打は完全に浮くほどの強打でした。何もそこまで・・・と言う気分です。

五楽章、穏やかさを求めてもムリなのか・・・・・・。

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

icon★★★
一楽章、テンポの動きもあって、表情豊かな演奏です。
僅かにリズムが甘いところがあります。微妙な間があったりして、良いです。

二楽章、ゆりかごに揺られているよう、微妙な微妙な強弱の変化が絶妙で、凄く心地よい音楽。
オケが一体になってゆりかご状態を作ってくれる絶妙さが、この演奏を名演と言わしめるところですね。

三楽章、少し奥まったところから聞こえてくるホルンのソロが良かったです。ただ、録音が美しく暖かい音楽を伝えきっていないのが残念なところです。

四楽章、荒れ狂うほどの嵐ではありません。

五楽章、現在のオーケストラの技術水準に比べると、どうしても見劣りすることは否めないところが残念なところです。

ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

シェルヘン★★★
一楽章、とても速い。のどかな田園風景とはかけはなれた、せせこましい演奏です。
アクセントをハッキリ表現するので、元気の良い演奏に聞こえます。
とにかく速い!

二楽章、大袈裟な表現をすることもなく、あっさりと流れて行きます。

三楽章、速めのテンポに乗って音楽が生き生きとしています。

四楽章、

五楽章、壮大な表現です。全体を通しての感想は抑制の利いた演奏だったように思います。

ダニエル・バレンボイム指揮/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

バレンボイム★★★
一楽章、揺れるように柔らかい第一主題。テンポもゆったりとしていますしテンポの動きもあって情緒たっぷりです。

二楽章、ぬくもりのある暖かい響きの中からサラッとした第一主題が提示されます。歌うファゴット。ヴァイオリンのさえずりが華やかです。

三楽章、軽快に演奏されていかたと思うと、トリオに入って引きずるような重い演奏になりました。二回目のトリオは重くなりませんでした。主部が戻るととても遅いテンポで始まりました。

四楽章、劇的でダイナミックです。表現の幅が広く力のある響きです。

五楽章、テンポの動きやタメがあったりして感情を吐露します。最後、ミュートしたホルンが大きくクレッシェンドしました。

大胆にテンポが動いたり、最後のホルンのクレッシェンドなど意外な表現のあった演奏でしたが、個人的にはあまり好きになれない演奏でした。
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ジョージ・セル/ニューヨーク・フィルハーモニック

セル★★★
一楽章、速いテンポですが、凄く歌っていて楽しげです。かなりオケを大きく鳴らしていますが弱音部分では精緻な演奏を聞かせています。セルらしくテンポが揺れ動いたりはしませんが、ダイナミックな演奏です。

二楽章、活発に動く音楽です。伸びやかに歌ったりすこしタメがあったりしてとても動きのある演奏です。

三楽章、この楽章も速めのテンポでかなり激しい表現で「楽しい集い」には感じられません。

四楽章、この楽章は録音のせいか、嵐のエネルギーはあまり伝わって来ません。金管は咆哮するのですが、低域がそれに伴って来ません。

五楽章、オケがニューヨークpoなのが影響しているのか、第一主題でもいつくしむような優しさがありません。ちょっと雑な表現のように聞こえます。

セルの指揮ではありましたが、オケがニューヨークpoと言う事もあって、活発な演奏ではありましたが、作品の持つ穏やかでいつくしむような表現は聞くことができませんでした。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★★
一楽章、非常にゆっくりとしたテンポで強弱の変化も大きい第一主題です。最近、速いテンポの演奏ばかり聞いていたので、この遅さは新鮮に感じます。一歩一歩確実な足取りです。ただ、このテンポだと音楽が弾まないので、躍動感はありません。

二楽章、ゆらゆらとゆったり揺れ動く音楽が心地良い演奏です。自然体で力みなどは全く無く強い感情移入もありません。

三楽章、とても遅いテンポでアレグロとは思えません。楽しい集いにしては落ち着き過ぎているように感じがします。あまりに遅く躍動感や生命感を感じることができません。

四楽章、オケを炸裂させて激しい嵐です。ティンパニも思い切りが良いです。

五楽章、雄大に感謝の表現をします。こういったあたりのスケールの大きさはさすがにクレンペラーだと思わされます。

大きなスケール感を感じさせる部分もありましたが、全体にテンポが遅く躍動感や生命感はあまり感じませんでした。
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ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」4

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★☆
一楽章、強弱の変化に敏感に反応するオケ。鋭い弦楽器、存在感のある木管楽器。
ムラヴィンスキーだと思うからか?とても牧歌的には聞こえない。弦楽器の鋭い音のせいか、ふくよかさや暖かみは感じられません。どうしても、ロシアの凍てつく大地を連想させてしまう。
厳しい表現と音色に支配されています。

二楽章、木管楽器のマイクセッティングのせいで木管の音が大きいのか?
木管の歌いまわしが非常に良く聞き取れて、しかも美しいです。

三楽章、やはり音色が痛いです。音楽に浸ることはできません。

四楽章、さすがに爆発はロシアンサウンドです。すごい爆発力!

五楽章、音楽としては丁寧に歌われているのですが、その前に音色が刃物のようで、とても危険な感じがして落ち着きません。

私は、この曲に癒しを求めたいので、この演奏は楽しめませんでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年東京文化会館ライヴ

カラヤン/ライブ★★☆
笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。

一楽章、かなり速いテンポですが、豊かな表現の第一主題です。「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」と言うよりもかなり激しい表現で、いかつい感じがします。強弱の変化もダイナミックで田園の穏やかな雰囲気とは違い攻撃的な感じがします。落ち着きが無く慌ただしい演奏でした。

二楽章、この楽章もテンポは速いですが、一楽章よりはゆったりとしています。この一連のライヴ録音はどれもフルスイングするような全力投球の演奏で、それが良い方向に行く場合とそうでない場合があります、この曲ではそれが良い方向に作用していないように感じます。

三楽章、「田舎の人々の楽しい集い」の雰囲気はあり、楽しそうで躍動感があります。

四楽章、凄いトランペットの咆哮。テンポも速いので嵐の吹き荒れる様はとても良く表現されています。

五楽章、この楽章でも、強弱の振幅がとても大きいので、強奏部分では、「喜ばしい感謝の気持ち」よりも激しさを感じてしまいます。

この一連のライヴ録音はどれもフルスイングするような全力投球の演奏で、この演奏では作品の穏やかな雰囲気を表現するには荒々しすぎるような感じがしました。

シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

イッセルシュテット★★
一楽章、思いのほかテンポの速い第一主題。非常に表情豊かです。少し高域寄りの録音が気になります。

二楽章、非常に抑えた音量で始まりました。その後は何の制約も無く伸び伸びとした演奏です。

三楽章、揺れるような動きはありません。

四楽章、あまり激しい嵐では無く、スッキリとしています。

五楽章、嵐の後の落ち着いた穏やかなゆったりとした雰囲気はあります。

自然体の演奏でしたが、これと言った個性も無く個人的には魅力の乏しい演奏に感じました。
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ロジャー・ノリントン指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ノリントン★★
一楽章、速いテンポで少し慌ただしい第一主題。第二主題は独特の表現です。とにかく速いです。滑っているようにさえ感じる速さです。オケは速いテンポでも良く反応しています。本来なら穏やかな音楽のはずですが、攻め立てるような勢いがあって、安らぎなどはあまり感じません。

二楽章、この楽章は一楽章のような猛烈な速さではありません。とても繊細な表現も見せます。美しく歌うクラリネット。生き生きとした動きのある演奏です。

三楽章、これまでも楽章の演奏とは一変して、さらりとあまり抑揚の無い演奏をしています。

四楽章、ティンパニが強烈な嵐です。とても思い切りの良いティンパニです。オケの演奏から浮くかどうかギリギリのところです。

五楽章、ガット弦のような鋭い響きで感謝を表現するヴァイオリンの主要主題。嵐が過ぎ去った後のすがすがしい気分などはあまり感じません。何か落ち着きが無い感じがします。コーダのミュートしたホルンも強目でした。

全体的に落ち着きの無い演奏で、穏やかさや安らぎは感じませんでした。
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ニコラウス・アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団

アーノンクール★★
一楽章、予想外にゆったりとした第一主題。テヌートぎみに引きずるような演奏であまり弾みません。ガット弦を使っているようで、鋭い響きがする弦です。細身でしなやかな感じがします。清涼感のある美しい響きですが、テヌートぎみに演奏されるのにはちょっと抵抗があります。

二楽章、この楽章でもテヌートぎみに演奏される部分があったり音を切ったりと通常の演奏とは違う表現をしています。

三楽章、速めのテンポでここでも音を切ったりします。オーボエの主題も独特の表現です。

四楽章、凄いエネルギーの嵐です。金管やティンパニが凄く力強く入って来てダイナミックレンジがとても広いです。激しく揺れ動きます。

五楽章、細く鋭い主要主題。この楽章でも活発で激しい演奏をしています。安らぎなどは感じません。

独特の表現が随所に見られる演奏でした。その独特があまりにも多く、従来のこの曲のイメージからはかなり離れたものになってしまいました。
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朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

朝比奈/北ドイツ放送交響楽団
一楽章、録音の古さを感じさせる音です。晩年の自然体のアプローチとは違った表現があります。全体にゴツゴツした感じの演奏です。

二楽章、録音の古さからか、音が痩せていて、豊かさが伝わってきません。

三楽章、アーティキュレーションの表現もかなり強調しています。

四楽章、嵐の表現がR・シュトラウスの音楽のように描写的で激しい演奏です。

五楽章、音楽が作為的で力ずくのような印象を受けます。穏やかな音楽ではありません。何かにせかされているような感じの演奏です。晩年の演奏とは対照的で、朝比奈ファンにとっては貴重な記録でしょう。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

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一楽章、穏やかに始まった第一主題でしたが、それ以降はとても積極的にデュナーミクの変化があります。華やいだ響きですが少しウェットな感じでベタベタする感じがあります。

二楽章、現実的で実在感のある第一主題。ふくよかさがないファゴット。クラリネットなどもフランス的です。あまり感情移入せずに自然体の演奏ですが、響きが湿っぽいのが気になります。

三楽章、あまり歌わずに躍動感も無く淡々と演奏される主題ですが、やはり高域が強調されていて、ウェットな感じがちょっとひどい感じがします。

四楽章、嵐が軽くて浅いです。ティンパニもペタンペタンと響きます。トランペットも強いので重心が高い演奏になっています。

五楽章、積極的な表現ですが、やはり甲高い響きはあまり心地良い響きではありません。安らかさもありません。騒々しい感じすらあります。

演奏自体は積極的な表現もあったり、自然体の部分もあったりしていたのですが、録音がかなりのハイ上がりで、騒々しくウェットな響きで、のどかな田園風景とはかけ離れたものになってしまいました。
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