ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」4

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★☆
一楽章、強弱の変化に敏感に反応するオケ。鋭い弦楽器、存在感のある木管楽器。
ムラヴィンスキーだと思うからか?とても牧歌的には聞こえない。弦楽器の鋭い音のせいか、ふくよかさや暖かみは感じられません。どうしても、ロシアの凍てつく大地を連想させてしまう。
厳しい表現と音色に支配されています。

二楽章、木管楽器のマイクセッティングのせいで木管の音が大きいのか?
木管の歌いまわしが非常に良く聞き取れて、しかも美しいです。

三楽章、やはり音色が痛いです。音楽に浸ることはできません。

四楽章、さすがに爆発はロシアンサウンドです。すごい爆発力!

五楽章、音楽としては丁寧に歌われているのですが、その前に音色が刃物のようで、とても危険な感じがして落ち着きません。

私は、この曲に癒しを求めたいので、この演奏は楽しめませんでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1966年東京文化会館ライヴ

カラヤン/ライブ★★☆
笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。

一楽章、かなり速いテンポですが、豊かな表現の第一主題です。「田舎に到着したときの愉快な感情の目覚め」と言うよりもかなり激しい表現で、いかつい感じがします。強弱の変化もダイナミックで田園の穏やかな雰囲気とは違い攻撃的な感じがします。落ち着きが無く慌ただしい演奏でした。

二楽章、この楽章もテンポは速いですが、一楽章よりはゆったりとしています。この一連のライヴ録音はどれもフルスイングするような全力投球の演奏で、それが良い方向に行く場合とそうでない場合があります、この曲ではそれが良い方向に作用していないように感じます。

三楽章、「田舎の人々の楽しい集い」の雰囲気はあり、楽しそうで躍動感があります。

四楽章、凄いトランペットの咆哮。テンポも速いので嵐の吹き荒れる様はとても良く表現されています。

五楽章、この楽章でも、強弱の振幅がとても大きいので、強奏部分では、「喜ばしい感謝の気持ち」よりも激しさを感じてしまいます。

この一連のライヴ録音はどれもフルスイングするような全力投球の演奏で、この演奏では作品の穏やかな雰囲気を表現するには荒々しすぎるような感じがしました。

シュミット・イッセルシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

イッセルシュテット★★
一楽章、思いのほかテンポの速い第一主題。非常に表情豊かです。少し高域寄りの録音が気になります。

二楽章、非常に抑えた音量で始まりました。その後は何の制約も無く伸び伸びとした演奏です。

三楽章、揺れるような動きはありません。

四楽章、あまり激しい嵐では無く、スッキリとしています。

五楽章、嵐の後の落ち着いた穏やかなゆったりとした雰囲気はあります。

自然体の演奏でしたが、これと言った個性も無く個人的には魅力の乏しい演奏に感じました。
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ロジャー・ノリントン指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ノリントン★★
一楽章、速いテンポで少し慌ただしい第一主題。第二主題は独特の表現です。とにかく速いです。滑っているようにさえ感じる速さです。オケは速いテンポでも良く反応しています。本来なら穏やかな音楽のはずですが、攻め立てるような勢いがあって、安らぎなどはあまり感じません。

二楽章、この楽章は一楽章のような猛烈な速さではありません。とても繊細な表現も見せます。美しく歌うクラリネット。生き生きとした動きのある演奏です。

三楽章、これまでも楽章の演奏とは一変して、さらりとあまり抑揚の無い演奏をしています。

四楽章、ティンパニが強烈な嵐です。とても思い切りの良いティンパニです。オケの演奏から浮くかどうかギリギリのところです。

五楽章、ガット弦のような鋭い響きで感謝を表現するヴァイオリンの主要主題。嵐が過ぎ去った後のすがすがしい気分などはあまり感じません。何か落ち着きが無い感じがします。コーダのミュートしたホルンも強目でした。

全体的に落ち着きの無い演奏で、穏やかさや安らぎは感じませんでした。
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ニコラウス・アーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団

アーノンクール★★
一楽章、予想外にゆったりとした第一主題。テヌートぎみに引きずるような演奏であまり弾みません。ガット弦を使っているようで、鋭い響きがする弦です。細身でしなやかな感じがします。清涼感のある美しい響きですが、テヌートぎみに演奏されるのにはちょっと抵抗があります。

二楽章、この楽章でもテヌートぎみに演奏される部分があったり音を切ったりと通常の演奏とは違う表現をしています。

三楽章、速めのテンポでここでも音を切ったりします。オーボエの主題も独特の表現です。

四楽章、凄いエネルギーの嵐です。金管やティンパニが凄く力強く入って来てダイナミックレンジがとても広いです。激しく揺れ動きます。

五楽章、細く鋭い主要主題。この楽章でも活発で激しい演奏をしています。安らぎなどは感じません。

独特の表現が随所に見られる演奏でした。その独特があまりにも多く、従来のこの曲のイメージからはかなり離れたものになってしまいました。
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朝比奈 隆/北ドイツ放送交響楽団

朝比奈/北ドイツ放送交響楽団
一楽章、録音の古さを感じさせる音です。晩年の自然体のアプローチとは違った表現があります。全体にゴツゴツした感じの演奏です。

二楽章、録音の古さからか、音が痩せていて、豊かさが伝わってきません。

三楽章、アーティキュレーションの表現もかなり強調しています。

四楽章、嵐の表現がR・シュトラウスの音楽のように描写的で激しい演奏です。

五楽章、音楽が作為的で力ずくのような印象を受けます。穏やかな音楽ではありません。何かにせかされているような感じの演奏です。晩年の演奏とは対照的で、朝比奈ファンにとっては貴重な記録でしょう。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

icon
一楽章、穏やかに始まった第一主題でしたが、それ以降はとても積極的にデュナーミクの変化があります。華やいだ響きですが少しウェットな感じでベタベタする感じがあります。

二楽章、現実的で実在感のある第一主題。ふくよかさがないファゴット。クラリネットなどもフランス的です。あまり感情移入せずに自然体の演奏ですが、響きが湿っぽいのが気になります。

三楽章、あまり歌わずに躍動感も無く淡々と演奏される主題ですが、やはり高域が強調されていて、ウェットな感じがちょっとひどい感じがします。

四楽章、嵐が軽くて浅いです。ティンパニもペタンペタンと響きます。トランペットも強いので重心が高い演奏になっています。

五楽章、積極的な表現ですが、やはり甲高い響きはあまり心地良い響きではありません。安らかさもありません。騒々しい感じすらあります。

演奏自体は積極的な表現もあったり、自然体の部分もあったりしていたのですが、録音がかなりのハイ上がりで、騒々しくウェットな響きで、のどかな田園風景とはかけ離れたものになってしまいました。
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