マーラー 交響曲第1番「巨人」

マーラー:交響曲第1番「巨人」ベスト盤アンケート

たいこ叩きのマーラー 交響曲第1番「巨人」名盤試聴記

クラウス・テンシュテット/シカゴ交響楽団

icon★★★★★
1990年のライブ録音です。

一楽章、遅めのテンポで冒頭から重い雰囲気にあふれています。開始2分の間にもかなりテンポが動いています。テンポの動きに伴ったアゴーギクも十分。シカゴsoもショルティの演奏とは違った音楽的な面を聴かせてくれます。
テンシュテットって全身がアゴーギクで出来上がっている人ではないかと思わせるくらい自由にテンポが動き、その動きに合わせて表現が変化する。だから音楽の密度がものすごく濃い。
全体に遅いテンポで着実な足取りで油絵のような濃い音楽を刻んで行く。凄い!圧倒されます。

二楽章、音楽が生き生きしている。とにかく凄い。いつもながら引き込まれてしまいます。
オケの上手さがこのような形で音楽として演奏されると、オケの機能の高さの重要性も感じます。

三楽章、コントラバスのソロもとても表情豊かです。作品と指揮者、オケが一体になって音楽が出来上がって行く。これだけ自在に音楽を引き出せるテンシュテットの能力の高さにも驚かざるを得ない。オケの集中力の高さも、音楽監督のショルティが振る以上かもしれない。
それにしても、ライブでこれだけの集中力を発揮するシカゴsoもすばらしい。また、指揮者によってこれだけ表情を変えることができるのもオケの懐の深いところですね。

四楽章、ffでも全くアンサンブルが乱れない。この楽章もテンポは遅めです。他のCDでは聴かれなかったバストロンボーンのffが出てきたり。色彩のパレットをひっくり返したような色とりどり!
さらに遅いところは、たっぷりと歌い続けます。
テンシュテットの演奏は華麗さやきらびやかさなどとは無縁の演奏です。どちらかと言うと、内面へ内面へと向かう。内面へ問い詰めた結果が外部に放出されたのが、テンシュテットの音楽で、そこには作品に対する深い共感があるのでしょう。
表面が磨かれた、美しい音楽を聴きたい人には「他を当たってくれ!」と頑固親父が言っているようです。
内面の葛藤や共感やいろんなものが音として発散されるが、臭いものや汚いものも一緒に吐き出すような壮絶さがあります。テンシュテットにとっては音楽は、綺麗ごとではなかったのでしょう。終わりに近づくにしたがって、人生に疲れ果てたような、黄昏を感じさせます。

すさまじい絶叫で終演!このライブでシカゴsoはほとんどノーミスだったのではないだろうか。

フランソワ=グザヴィエ・ロト/バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団

icon★★★★★
一楽章、ゆったりとしたテンポで弱音で注意深く演奏されるオーボエとファゴットの動機。トランペットのファンファーレを暗示するようなクラリネットの旋律が霧の中にボヤーッと浮かび上がります。バンダのトランペットもかなりの距離感ですが、鮮明に聞こえます。遠近のコントラストや色彩感がとても鮮明です。オケの技術レベルは相当に高いようで、とても美しい演奏です。控え目ですが、とても美しいチェロの第一主題。展開部の雰囲気が沈む感じも上手く表現されています。抜けの良いE♭クラ。トランペットのファンファーレも非常に輝かしく美しい。トゥッティでも整然として全く乱れることのないオケもすばらしい。

二楽章、一楽章から一転して速めのテンポです。弾むように軽快なスケルツォ主部ですが突然入ってくるホルンやティパニが強烈です。中間部は意図的に歌うことは無いようですが、デュナーミクの変化などははっきり付けるので表現は豊かです。スケルツォ主部が戻ると再び生き生きとした活気に溢れる演奏が展開されます。

三楽章、遠くから豊かな残響を伴って響くティンパニ。そのティパニとほぼ同じ音量で開始されるコントラバス。その後いろくな楽器が重なってきますが、とても透明感の高い演奏です。中間部冒頭のヴァイオリンのメロディはヴェールに包まれているような美しさでした。鮮度の高い音色で音楽が生き生きしています。

四楽章、一撃の後にすぐ音を止めたシンバル。すごく透明感の高いブラスセクション。かなり強奏はされていますが、整然としています。抑制的な第二主題が次第に力を持って大きなうねりになります。展開部で突き抜けて来るトランペットも凄い!コーダでの伸びやかなブラスセクション。力強いクライマックスを築き上げました。

ギーレン以来の透明感の高い響きを生かして、明晰な演奏はすばらしいものでした。
凄かった。

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

icon★★★★★
一楽章、弦のフラジオレットに隠れるようなオーボエとファゴット。生き生きとした生命観の宿るクラリネット。ミュートをしたトランペット。穏やかな第一主題。青春の息吹に溢れています。温度感があって暖かい演奏です。トランペットのファンファーレからの金管の強奏は凄いものでした。若さの爆発でした。

二楽章、とても明るい活気に溢れる演奏です。表現も積極的で演奏がこちらに迫ってきます。中間部の弦は人数を減らして演奏しているような静けさがあります。スケルツォ主部が戻るさらに活気に溢れた演奏になり、青春の希望に溢れた様子が上手く表現されています。

三楽章、主題が重なってから登場するオーボエやその後の演奏も表情がとても豊かです。中間部はとても丁寧に一音一音確認するように演奏されます。オケの響きには温度感があって暖かいです。主部の回帰は最初のテンポよりも速めですがその後テンポを落としました。

四楽章、冒頭から第一主題にかけては、途中ガクッとテンポを落とす部分もあり、びっくりさせられました。第二主題は録音の古さから美しさは感じませんが、息の長い歌がとても良かったです。展開部でもテンポが凄く変化します。かなり金管を鳴らした展開部でした。その後もテンポは自由に動きます。トランペットのファンファーレの後でもテンポを大きく落として克明な表現です。

青春の希望に溢れる輝かしい演奏はすばらしいものでした。特に四楽章のテンポを落とした表現はすばらしかったです。

マイケル・ティルソン・トーマス/サンフランシスコ交響楽団

icon★★★★★
一楽章、極めて静かなフラジオレット。ゆっくりと丁寧に演奏される木管。やはりゆっくりと遠くから響くバンダのトランペット。少しテンポを上げて軽い表情の第一主題が序奏と表情を一転させます。提示部の反復の前でテンポを上げて反復の直前でテンポを落としました。鋭く突き刺さってくるトランペット。展開部へ入っても登場する楽器の輪郭が鮮明で密度も濃く、くっきりと浮かび上がります。ミュートを付けたトランペットのファンファーレは強烈でした。ミュートを外してオープンになったトランペットのファンファーレも突出していました。すごいダイナミックレンジです。

二楽章、主旋律以外の弦もガリガリと強く入って来ます。とても躍動感のある音楽です。中間部ではサクサクと進むかと思えば突然立ち止まってみたりもします。伸び伸びとオケのメンバーが楽しそうに音楽をしている様子が伝わってくるようなほほえましい演奏です。

三楽章、とても静かなティンパニとコントラバスの主題。続いて登場する楽器もバランス良く抑えた音量です。おどけた表情で歌うオーボエ。主部の中間部はテンポも動いてたっぷりと歌いました。ハープから始まる中間部のヴァイオリンは少し硬い感じで夢見心地とは行きませんでした。主部が戻って引きずるような重い雰囲気が中間部と対照的で見事な描き分けです。朗々と歌うトランペットも意表を突いた演出です。

四楽章、三楽章の静寂から一転して嵐のような第一主題。サンフランシスコsoのシャープな響きと圧倒的なパワー感が作品にピッタリでとても気持ちが良いです。第二主題も弱音ではありますが、解き放たれたように伸びやかで美しい演奏です。展開部へ入るところで大きくテンポを落としました。屈託無く伸びやかな金管は見事です。まるで全盛期のシカゴsoを聴いているような感覚になります。再現部でも登場する楽器はくっきりと浮かび上がりとても存在が明確です。トランペットのファンファーレの前はかなりテンポが速かったです。ファンファーレの直前にテンポを落としました。コーダでも金管の圧倒的なパワーが炸裂します。

最後は青春の爆発でした。すばらしく美しくシャープな響きと、すごいダイナミックレンジでまさに巨人でした。
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ダニエレ・ガッティ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ガッティ★★★★★
一楽章、低音もバランスの良いフラジオレット。滑らかで潤うのあるクラリネット。大きくクレッシェンドするオーボエ。遠くから響くバンダのトランペット。くっきりと克明な音楽です。ゆったりとしたテンポで朗々と歌う第一主題。提示部の反復指定の前でのテンポの変化はありませんでした。反復は行われませんでした。展開部に入って音楽が次第に陰鬱に沈み込む雰囲気は良く表現されていました。ファンファーレの部分も非常にゆったりとしたテンポで堂々とした表現です。

二楽章、ゆったりとしたテンポで抉るような低弦の冒頭です。強いエネルギーをぶつけて来る主題。中間部では少しテンポを速めて、優雅に歌います。トランペットが入るところで一旦テンポを速め快活な演奏になりました。主部が戻って豪快に鳴るホルン。

三楽章、すごく歌い表情豊かなコントラバスのソロ。くっきりと浮かび上がるオーボエ。そっと大切な物を扱うように丁寧な中間部のヴァイオリン。主部が戻ると色彩感豊かな演奏になります。登場する楽器のカラーがとても鮮明でカラフルです。

四楽章、強烈なシンバルの一撃。ゆったりと恰幅の良い第一主題。弦の激しい動きが強調されています。テンポは遅めですが、ライヴらしい熱気もはらんでいます。内に秘めたような息の長い歌をしなやかに歌う第二主題は酔わせてくれます。展開部が始まってしばらくするとテンポをぐっと落としました。ここでも弦の激しい動きが強調されています。ガッティの声も聞こえます。ホルンの咆哮はウィーンpoならではの凄いものです。再現部は一楽章冒頭の緊張感とは一転して、雄大な雰囲気のものでした。朗々と歌う弦が一時の安らぎを与えてくれます。終始ゆったりとしたテンポで堂々と演奏されています。遅いテンポでスケールの大きなコーダでした。

ゆったりとしたテンポで堂々と、そしてしなやかな演奏はすばらしかったです。
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ユーリ・シモノフ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

シモノフ★★★★★
一楽章、非常に遠くから聞こえるフラジオレット。さらに遠いバンダが美しく響きます。穏やかな第一主題。録音レベルが低いのか、遠くから響く音楽が夢見心地です。かなりダイナミックレンジは広いようです。鋭いミュートしたトランペットのファンファーレ。二度目のファンファーレまではテンポを落として濃厚な表現でした。二度目のファンファーレからは一転して速いテンポになりました。賑やかに盛大に盛り上がって終わりました。

二楽章、遅めのテンポです。くっきりとした隈取りで清涼感のある響きですが、濃厚な色彩です。オケも積極的に色彩を演出しています。静かで穏やかな中間部。シルクのような滑らかさです。途中でテンポを落としてたっぷりと歌います。主部が戻って、ホルンも強力に吹きます。シンバルも豪快に炸裂します。すごく色彩感豊です。

三楽章、消え入るような弱音の中からコントラバスのソロが聞こえます。テンポも動いて歌っています。中間部は羽毛で肌を撫でられるような、柔らかで繊細な演奏です。透明感のあるクラリネット。

四楽章、ゆったりとしたテンポで力強いブラスセクション。テンポを落として表情豊かな表現もあります。ブルー系のトーンで温度感は低いですが、とても見通しの良い演奏で、アンサンブルもとても良いようです。第二主題はとても美しい。深い歌を歌います。展開部へ入る前もゆっくりでした。すごいエネルギーと色彩感の展開部。表現も締まっていてとても良い演奏です。再現部の静寂感もすばらしい。滑らかな弦が美しい。二度目のファンファーレはちょっと指が回り切らなかったような感じがしました。コーダはテンポを速めて力強い突進力です。

美しく、繊細で、しかも青春のエネルギーの爆発を見事に表現しました。期待せずに聞いたのですが、すばらしい演奏でした。
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ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ロンドン交響楽団

ホーレンシュタイン★★★★★
一楽章、非常に音に力のある録音です。美しい木管。鋭く響くバンダのトランペット。ゆっくりと感情表現するホルン。控え目で奥ゆかしいチェロの第一主題。良く歌う音楽。鮮烈な色彩感。濃い色彩で刻み込むように力強い金管。第一主題が展開されると楽しい雰囲気になります。ファンファーレの前に弦と木管が交互に出るのが強調されていました。ミュートを付けたトランペットが突き抜けてきます。ファンファーレの後はすごくテンポを落として濃厚な表現です。すばらしいコントラスト。

二楽章、この楽章も良く歌い、色彩感も濃厚で強いコントラストです。マッシヴで強力なパワー感。中間部も動きがあって生命感に溢れています。主部が戻って、沸きあがる豊かな音楽です。

三楽章、粒立ちのはっきりしたティンパニ。乾いた音のコントラバス。棒吹きのようなオーボエ。歌うクラリネット。活発に動く部分と、静かに流れる部分の対比もはっきりしています。中間部も動きがあって生き生きとしています。主部が戻ってもとても良く歌う楽器が次々と登場します。積極的な表現がとても魅力的です。

四楽章、打楽器の強打で激しく歪みます。力強く演奏される第一主題の影で動く弦の表現もしっかりと聞き取れます。ピーンと張った若々しいエネルギーの発散を感じさせます。第二主題も良く歌います。展開部も強烈な色彩の金管。有り余るエネルギーが体当たりしてくるような凄い演奏です。力を出し切って疲れるようにテンポを落として再現部に入りました。感傷的になる部分もあります。本当に良く歌う演奏です。この楽章のファンファーレはゆっくりでした。二度目のファンファーレの後はテンポをガクッと落としましたが、その後テンポを速め、また凄く遅くなって、そのままコーダでした。

凄く濃厚な色彩と、濃厚な表現。テンポも自在で強烈な表現の演奏は現在では聴けないものです。すばらしい演奏でした。
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マーラー 交響曲第1番「巨人」2

たいこ叩きのマーラー 交響曲第1番「巨人」名盤試聴記

クラウディオ・アバド/シカゴ交響楽団

icon★★★★☆
1981年の録音

一楽章、かなり抑えたppで緊張感のある導入部です。クラリネットの音も表情豊かです。バンダはかなり遠い。Ebクラも生き生きとして気持ちが良い。
ショルティ盤よりもoffに録られているので、全体の響きが見通せますが、細部もしっかり収録されているて、とても良い録音だと思います。
アバドは強烈な主張をしてくるタイプの指揮者ではないので、作品の背景に重いものがあまりない作品には良いと思います。
この演奏では、弱音部が生き生きと美しく録られています。
とても流麗な演奏で、ひっかかるところがない。この流麗さがアバドの特徴でもあり、そのようにまとめあげるのが能力の高さなのかも知れません。
この演奏の場合、シカゴsoが積極的な表現をしているので、なかなかの好演に仕上がっています。これで、オケが下手くそで消極的だったら凡演になってしまうところでしょう。

二楽章、上手いです。

三楽章、オーボエの表情も豊かです。木管の上手さが際立っている演奏です。名人揃いで長年同じメンバーで演奏しているので、統一感もあります。
名人が集まっても、ルツェルンやサイトウ・キネンのような寄せ集めでは、これだけの統一感は生まれない。ただ、名人の寄せ集めが一期一会の超絶演奏をすることも稀にありますが・・・・・・。

四楽章、シカゴsoにしたら、かなり抑えた冒頭かもしれません。力強いことは間違いありませんが、余裕しゃくしゃく。
世界の一流オケには、それぞれの文化があって、「この作曲家のこの部分はこうやって演奏するんだ!」というのが受け継がれていて、指揮者が変わっても譲れない部分などもあったりします。
そのオケの文化と指揮者の個性がぶつかり合って、せめぎ合いの中から感動的な音楽が生まれてくるのだと思います。
しかし、寄せ集めのオケだと、その文化の統一ができないので、バラバラになったり、指揮者の細かい指示がなければ無表情な演奏に陥りがちです。
アバドは細部にわたって指示をするタイプの指揮者ではないと思うので、ルツェルンの演奏などは、すばらしい名人芸は聴けますが、音楽としての統一感が今ひとつのように私には思えてしまいます。
例えばシカゴsoとウィーンpoが合同演奏したとしたら、それは水と油のようなもので、まず、音量でシカゴに圧倒されてしまうでしょうし、そうなるとウィーンの良さはかき消されてしまいます。
大太鼓の中心付近を叩くシカゴの打楽器奏者と、大太鼓の中心からかなり離れたところを叩くウィーンの打楽器奏者と一緒にどんな奏法で演奏するのでしょうか?
もしも、両者が譲り合って音楽をしたとしたら、そこからは消極的な音楽しか生まれないと思います。ですから、ルツェルンの演奏を私はあまり良いとは思えないのです。
この演奏はシカゴsoのメンバーがかなり積極的に音楽をしています。終結部ではかなり熱を帯びてきてなかなかの熱演です。

カラヤンやバーンスタイン、ベームなどの時代は若い頃の熱演は録音が悪く、歳を重ねるにしたがって録音は良くなりますが、最晩年の演奏が凡演になってしまった例(ベームが特に)も多く見受けられますが、アバドの年代だと、デビュー当時から録音はかなりの水準になっていましたから、若い頃の熱気あふれる演奏も十分なクォリティで聴けるので、とても良いことだと思います。
フルトヴェングラーやトスカニーニの時代の1980年レベルの録音技術があったら凄い記録がたくさん残っていたでしょうね。

サー・ゲオルク・ショルティ/シカゴ交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、アバドの演奏ほど抑えたppではありません。バンダは適度な距離にありバランスが良いです。しかし、淡い雰囲気などはなく、ショルティ独特のゴツゴツした男性的な演奏になっています。
金管は気持良いくらい見事に鳴ります。アバドの録音が木管中心の録り方だったのが、ショルティ盤では、金管がクローズアップされているようです。
ショルティの傾向ではありますが、オケの機能美は聴けますが、音楽としての全体像が掴みにくいのが残念なところです。
楽器個々の音はすごく立っていて、極めて鮮度の高い音が聞けて強烈です。

二楽章、叙情的なところは全くなく、とにかく攻め込まれます。なかなか音楽に浸ることは許されません。超絶オケを聞いてはいるのですが、聞き手に対して厳しい演奏です。
ショルティが音楽監督をしていた時にアバドとジュリーニを客演指揮者として迎い入れた理由が、自分と違うタイプの音楽だからとショルティ自身が言っていたと言われていますが、ショルティのゴツゴツした男性的で攻撃的な演奏と、アバドの流麗さ、ジュリーニの美しい歌。これで、このスーパーオケを維持したのもうなづけます。

三楽章、美しいメロディも迫ってくるので、なかなか酔いしれることもできない。ショルティのCDを聴く時には常に演奏と格闘しないといけないです。

四楽章、炸裂するオケ!突き刺してくるような、一歩間違えれば暴力にもなりかねないような、ギリギリのところで踏みとどまっている。
続く、弦のメロディーはたっぷり歌ってくれました。初めて音楽を聴かせてくれた感があります。
金管が全開フルパワーはさすがにシカゴという技術を聴かせてくれます。すばらしいテクニックであることは間違いない。この曲はこんなんだと言われれば、それはそれで説得力のある演奏でもあるし、超絶技法にはもちろん何の不満もない。音響としての爽快感もあるし、これだけの演奏ができる組み合わせは、この両者じゃないと出来ない領域にまで到達していると思う。
しかし、一方的に押し続ける音楽に付いて行けないと感じることがある。急、緩、急 のような緩が無いのだ。だから聞き手にも相当な緊張を要求する。終結部の壮絶なffを聴き終えた開放感と安堵感。
この高まった緊張が緩む時に悦に入ることができる人にはショルティはたまらない指揮者だと思います。

ショルティの演奏に賛否が分かれるのは仕方が無いです。でも、何も主張しない指揮者に比べればこれだけ強烈な個性を惜しげもなくさらけ出して、突きつけてくることができるショルティと言う指揮者のすばらしいところだと思います。この演奏を否定してはいけないと思う。

クラウス・テンシュテット/北ドイツ放送交響楽団

テンシュテット/ndr★★★★☆
一楽章、全体に埃っぽい音がします。やはり遅いテンポです。激しい演奏です。
シカゴsoとのライブが完璧だったのに比べると、ミスも散見されますが、やはりテンシュテットらしい爆演ぶりです。ロンドンpoとのスタジオ録音が弱音部やゆったりとしたテンポの穏やかな表現に重点を置いていたような感じがしましたが、このライブは爆発です。
地下のマグマが爆発のタイミングを待ち構えてうごめいているような、爆発へ向けて音楽が運ばれて行くような演奏です。
全開時の爆発ぶりは凄い!怒涛のようなffで一楽章が終わりました。

二楽章、開始から弦楽器の松脂が飛び散るような激しさです。ショルティをも凌駕するかのような猛烈な突進力で、息つく暇を与えてくれません。オケもよく付いて行くなあと感心します。後に喧嘩別れすることになるのですが・・・・・・。

三楽章、やはりミスは散見されますが、そんなのは全くおかまいなしでどんどん音楽は進んで行きます。この楽章は比較的速めのテンポをとっています。そして表情がすごく豊かです。テンポも大きく動きます。これだけ自在に音楽を表出する指揮者は現在となってはほとんどいません。つまらない理論などの教育が行き届いて、音楽ではないことにばかり意識が向いている指揮者が多すぎます。
また、テンシュテットのように音楽に没入するタイプの指揮者は練習も厳しいのでオケからも反発を買いやすく、実際にウィーンpoとの共演も一度だけでした。
民主主義の世の中なので君主のような指揮者では干されてしまうのでしょうけれど、音楽を聴く側とすれば、そのような流れは大きな損失でしょう。音楽業界にとっても損失だと思いますよ。
私など、実際に最近の没個性の指揮者たちのCDを買おうとは思わなくなってしまっています。

四楽章、冒頭、録音機材の方がオーバーレヴしたりして、音を拾い切れていません。それだけ予想外の爆演だったと言うことなのでしょうか。
全体を通して、埃っぽい録音なので美しい音を聴くことはできないのですが、テンシュテットの音楽は十分に伝わってきます。濃厚!
天国へ昇る前の緩やかな部分はとても穏やか、ショルティのような押し一辺倒ではないところが良いですね。
怒涛の爆発が始まりましたシカゴsoのような完璧さがない分、逆に渾然一体となった爆演になっているのかも知れません。シンバルは全部歪んでいます(^ ^;

終演後の拍手がカットしてあるのが残念です。ブラヴォーとブーイングが入り混じった騒然とした状況になったと伝えられています。是非残して欲しかったです。

エリアフ・インバル/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、クラリネットが豊かな残響を伴って立体的に響きます。ファンファーレは近い。暗闇と静寂感の中から音楽が浮き上がるような感じです。少し明かりが差したような第一主題。それでも静けさを保っています。展開部もピーンと張った緊張感と静寂感があります。インバルの鼻歌が聞こえます。クライマックスでもかなり余裕を持って吹かれる金管。終盤はテンポを上げて終りました。

二楽章、アタッカで二楽章に入りました。ゆっくり確実に歩くように確かめながら演奏される低弦の動機。強弱の変化など表現も非常に綿密です。一音一音の密度が高く、かなり高い集中力で演奏されています。中間部の弦がスラーで上昇する部分をクレッシェンドしています。木管も表情豊かに浮かび上がります。弦の主題にも非常に感情が込められてグッと迫ってきます。スケルツォ主部が戻って、また、表情豊かな音楽です。

三楽章、伸びやかなコントラバスの主題。チューバも美しく響きます。トランペットも豊かな表情です。インバルの感情が吐露されてテンポも大きく動きます。中間部のヴァイオリンは独特の表現です。ホルンも一体感があって美しい。主部が回帰して、速めのテンポで進みますが、ここでもテンポは大きく動きます。

四楽章、充実したブラスセクションの響き。インバル気合の掛け声も聞こえます。打楽器も含めてダイナミックな演奏です。ティンパニのクレッシェンンドも効果的に決まります。感情のこもった第二主題は非常に美しい。展開部の金管も余力を残して美しい音です。再現部の手前でトランペットが高らかに演奏します。静寂感に満ちた再現部はとても美しい。クライマックスのトランペットの音の伸びは凄い。オケが一体になった圧倒的なコーダもすばらしかった。

インバルの感情のこもったすばらしい名演でした。

マリス・ヤンソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、静かに始まるフラジオレットに凝縮されてピンポイントの木管。良い距離感のバンダのトランペット。深みのあるチェロの第一主題。ヴァイオリンもとても美しい。ダイナミックレンジもとても広いです。音楽の鮮度が高く、生命感を感じさせる演奏です。静寂感が高く演奏に引き込まれます。トゥッティでも分離が良く音が際立っています。ティンパニも強力でした。

二楽章、ここまで、特に強調するような表現はありませんが、色彩感が豊かで、中庸のとてもバランスの取れた非常に美しい演奏を続けています。中間部もサラッと柔らかい音色の美しい弦です。途中で登場する管楽器がキリッと立ってクッキリとした輪郭です。主部が戻って、ホルンが強く主張します。

三楽章、ティンパニの響きに埋もれるようなコントラバスのソロでした。表情豊かなオーボエ。中間部のヴァイオリンはヴェールを被ったようなフワッとした柔らかく美しい響きでした。主部が戻って、抜けの良いクラリネットや柔らかいトランペットなど本当に美しい演奏に惚れ惚れします。

四楽章、シンバルに続く、すさまじいトランペットのロングトーン。シンバルも炸裂します。それぞれの楽器が自分のカラーを明確に主張します。第二主題の奥ゆかしい歌がとても心地良い。展開部も整然としています。すばらしいエネルギー感の頂点です。再現部でも密度の濃い木管。コンセルトヘボウ独特の濃厚な色彩感。くっきりとしたミュートを付けたファンファーレ。オープンでもはっきりと聞こえるファンファーレ。コーダでも整然と美しい演奏でした。弦の刻みもはっきりと聞こえました。

強い個性はありませんでしたが、凄く美しい演奏には惹きつけられるものがありました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団

ヤルヴィ★★★★☆
一楽章、静寂の中に注意深く丁寧な序奏。鋭く距離感があって美しいバンダ。第一主題にヴァイオリンや木管が絡んで戯れるような感じで楽しそうです。テンポも動いて積極的な表現です。鋭く立ったミュートを付けたトランペットのファンファーレ。最後はテンポを速めて、歓喜に溢れる演奏でした。

二楽章、冒頭の低弦はとても遅く演奏しました。木管に向かってテンポを速める演奏です。安らぎを感じさせる中間部。この楽章でもテンポがよく動きます。

三楽章、この楽章でもテンポの動きが絶妙で、とても繊細な音楽を聞かせてくれます。夢の中を漂うような中間部。とても美しい。緩急自在なテンポの動き。作品への共感が表れた指揮ぶりに感服します。とても良い演奏です。

四楽章、オケを爆発させるようなことはありませんが、表情は締まっていて、オケの集中力を感じます。第二主題でもテンポが動いて独特の表現でした。テンポの動きの中にとても豊かな音楽があります。再現部に入る前にティンパニの強烈な一撃がありました。再現部へ向けて徐々にテンポを落として行きました。コーダの最後もテンポを速めて終わりました。

オケを爆発させるようなことはありませんでしたが、テンポの動きや絶妙の表現など聞かせどころの多い演奏でした。
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ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス/マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団

ブルゴス★★★★☆
一楽章、音量は小さいが間接音が少ないバンダ。予想していたよりも美しく洗練された響き。弦と木管がズレました。ゆったりとしたテンポで地に足の着いた確かな歩みです。展開部に入っても遅めのテンポは続きます。管楽器の響きは少し乾いていますが、色彩感は豊かで、ファンファーレも突き抜けてきました。エネルギッシュな演奏でした。

二楽章、この楽章もゆっくりめのテンポで確実に踏みしめるような演奏です。表情も豊かで、感情も込められています。中間部でもちょっとした間があったりテンポも揺れてとても良い表現です。主部の戻る前のホルンがクレッシェンドしながらテンポを上げました。

三楽章、この楽章でもテンポが動いて積極的な表現です。中間部のヴァイオリンはメロディーの途中でスタッカートぎみに演奏しました。表現は生き生きとしたもので、とても活発に動きます。

四楽章、トゥッティのパワーは今一つの感じはありますが、第一主題の後ろで動く弦の表現もとても積極的でした。第二主題も抑揚を付けてテンポも揺らして歌います。展開部のテンポはゆったりとしたテンポで、金管の奥行き感があまり無いので、響きが浅く、エネルギー感にも乏しいのではないかと思います。再現部の第二主題も大きく歌います。ファンファーレが出る前はとても遅いです。その後もゆっくりと濃厚な表現です。コーダの最初の部分もものすごく遅い演奏でした。

かなり感情を吐露した熱演でした。ブルゴスの表現をオケが表現し切れないような感じもありましたが、オケの技量もかなりのもので、これからさらに技術も向上するでしょうし、期待のもてるオケです。
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マーラー 交響曲第1番「巨人」3

たいこ叩きのマーラー 交響曲第1番「巨人」名盤試聴記

クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団1985年ライブ

icon★★★★
一楽章、冒頭の木管のバランスが絶妙です。バンダも良い距離感でした。弦楽器が入ってくる部分はすごく控え目です。
金管の咆哮はすさまじいです。弱音部はテンポを落としてたっぷりと歌います。テンシュテットの演奏の特徴だと思いますが、色彩感が豊かで、音楽の輪郭がくっきりと描かれています。

二楽章、すごく美しい音で録られていて、弦の響きなどもとても美しいです。

三楽章、途中で止まりそうになるくらいテンポを落としたり、表現は自在です。
弦楽器のデリケートな音色が魅力的です。アゴーギクも効かせて表情豊かな音楽です。
四楽章、予想していたような爆発ではなく、制御された冒頭でした。
伸びやかに歌う弦。とても気持ちが良い時間を作ってくれます。
金管は限界を超えたような爆発はしません。
後半かなりテンポが速くなりました。美しい「巨人」でした。

レナード・バーンスタイン/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★★
1987年の録音

一楽章、ホールに広がるクラリネットの響きが綺麗です。バンダも十分に距離感があって良いです。
復活のときほど重さがないので、すんなりと聴く事ができる演奏で安心感があります。
テンポはかなり遅いですが、オケもバーンスタインといっしょになって楽しんでいるようで、チャーミングな表情が魅力的です。
音楽の盛り上がりとともに自然にテンポが速まって爆発します。嵐のような激しさと、牧歌的なゆったりした部分の振れ幅がものすごく大きい演奏で、作品えの共感がストレートに音楽になっているすばらしい演奏です。

二楽章、とても遅い。コンセルトヘボウの響きがとても美しい。すごく歌います、復活ではこれが粘っこ過ぎて、私には付いて行けませんでしたが、この曲なら大丈夫です。

三楽章、ここは速めのテンポです。切々と歌って僅かにテンポが動いているのか。表情はとても豊かです。一つ一つの旋律に感情が込められているような濃厚な演奏でとても説得力があります。

四楽章、かなりと言うか、相当遅いです。しばらくして少し速くなりました。テンポがすごく動きます、とにかく振幅がすごい。
ホールに広がるエコーは本当に美しい。テンポが遅い部分も十分に歌われていて、聴いていてとても気持ちが良い。音楽に浸ることができる良い演奏だと思います。
テンポの変化は異常と思えるくらいあるのですが、不思議なことに作為的な感じを受けないので、こちらも次第に音楽に引き込まれて行きます。

作品に没入して行くタイプとしては、テンシュテットと共通する部分もあるのかもしれませんが、バーンスタインの音楽は、テンシュテットの激しさとは違い、愛情や優しさに溢れているような感じがします。

ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団

icon★★★★
一楽章、冒頭から絶妙のアンサンブルを聞かせます。バンダはかなり遠いです。内声部を重視したバランスの演奏のようです。締まったホルンのアンサンブル。トランペットの咆哮!しかし、冷静さは失わずに進みます。テンポがガクッと落ちたり、またテンポが戻ったりして終わりました。

二楽章、 マーラーの細部に渡る指示にも的確に反応しています。クラリネットの際立った表現があったりしますが、中庸の域を逸脱することなく音楽は進んで行きます。

三楽章、オーボエが付点を極端にはずんで演奏しました。テンポの変化のつなぎも絶妙です。アゴーギクも効かせて豊かな表現です。テンポが動いてとても表情豊かな演奏です。

四楽章、抑え気味のブラスセクション、ライヴならではのテンポの動きがいたるところで見られます。ここ一発の爆発力はテンシュテット/シカゴsoには及ばないが曲を大きくとらえた息の長い歌があります。たびたびテンポが遅くなります。最後は青春のエネルギーの爆発でした。

ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団

ギーレン★★★★
一楽章、密度の高いクラリネット。重いファゴット。間接音を含んで適度な距離感のトランペットのバンダ。登場する楽器が濃厚で克明です。トランペットのファンファーレもクレッシェンドしてとても積極的な表現です。速めのテンポで軽快に演奏される第一主題。とても美しいヴァイオリン。提示部の反復の前でテンポを速めました。展開部に入ってもすばらしい静寂です。オケの集中力がとても高く、音が集まってきます。ホルンのアンサンブルもすばらしい。トランペットのファンファーレは爆発的なパワーではありませんでした。コータ゜でのトロンボーンやトランペットの強奏が突き抜けて来る部分は素晴らしいエネルギー感でした。硬質なティンパニもとても良い音色です。

二楽章、木管の主題もとてもアンサンブルが良く気持ち良い演奏です。動きがあって生き生きとした表現です。旋律以外のパートもしっかりと響かせていて、とても見通しの良い演奏です。中間部は速めのテンポで小気味良く進みます。主部が戻って、シャープな響きの演奏が続きます。

三楽章、速めのテンポです。伸びのあるコントラバスの主題。高音が美しいオーボエ。テンポも良く動いてとても音楽的です。ギーレンってもっと無機的な演奏をするのかと思っていましたが、とても有機的で濃厚な音楽です。中間部はとても現実的な響きですがとても美しい。主部が戻って、また速めのテンポでグイグイと前へ進もうとする音楽ですが、次第にテンポを落として静まって行きます。

四楽章、整然としている第一主題。テンポも動きます。このテンポの動きは事前に計算されたもので、テンポの動きに合わせて音楽が熱くなることはありません。美しいですが、あまり表情の無い第二主題。相変わらず整然とした展開部ですが、ホルンは奥まったところにいて、あまり前には出てきません。再び静寂な再現部。とても鍛えられているオケでライヴでも見事なアンサンブルです。最後も整ったアンサンブルでバランスの良い響きで終えました。

磨きぬかれた音色と素晴らしいアンサンブルで濃厚な色彩と見通しの良い音楽はなかなかでした。

フランツ・ウェルザー=メスト/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

フランツ・ウェルザー=メスト★★★★
一楽章、会場のノイズも結構拾っている録音です。奥行き感と残響を伴ったバンダのトランペット。濃厚な色彩感。Ebクラがくっきりと浮かび上がります。すんなりと入った第一主題。提示部の反復の前はかなりテンポを上げました。反復の後の展開部の前はかなり激しい演奏になりました。柔らかいホルン。ハープの存在感もしっかりあります。場面が変わると音楽の表情や色彩感も大きく変わりとても変化に富んだ演奏です。トランペットのファンファーレは若干抑え気味でした。切迫感のあるコーダでした。

二楽章、穏やかで抑え気味の低弦。木管の主題も強くは出てきませんが、とても生命感を感じさせる音楽です。旋律の周りを彩る金管も強く存在を主張するので、とても色彩感が豊かです。中間部はテンポも動いてとても良く歌います。主部が戻って激しいホルン。

三楽章、良く歌うコントラバスのソロ。オーボエも良く歌いました。中間部ではとても繊細なヴァイオリンがとても美しい。主部が戻って、また色彩感豊かで、生気に満ちた演奏です。

四楽章、生き物のように動くオケ。全開ではありませんが、かなり激しい第一主題。ホルンの咆哮は凄いです。独特な強弱の変化を付けた第二主題ですが、これも美しい。展開部の前のホルンもとても美しい演奏でした。展開部でもトランペットは抑え気味ですが、ホルンは遠慮なしに咆哮しています。細心の注意を払って丁寧な再現部。第二主題の再現もとても美しいものでした。ファンファーレはそんなに強くは演奏されませんでした。コーダは相変わらずすさまじいホルンの咆哮に合わせてかなり力の入った演奏でした。

色彩感も豊かで、歌もありなかなかの演奏でした。正規の録音を期待したいです。
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ズービン・メータ/フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団

メータ★★★★
一楽章、残響を伴って美しいクラリネット。バンダはそんなに遠くないです。力みのない穏やかな第一主題。提示部の反復はしませんでした。とても鮮度が高く、生き生きとした表現の演奏です。トランペットのファンファーレも奥行き感があってとても良い雰囲気です。鋭い響きのトランペット。動きの活発なホルン。青春のエネルギーを感じさせる演奏でしたがトゥッティでリミッターがかかったように音の伸びが無くなったのがちょっと残念でした。

花の章、トランペットが鋭く、穏やかさはあまり感じません。美しいホルン。うつろに歌うオーボエ。トランペットに絡む楽器が非常に美しいです。

二楽章、ゆったりとしたテンポで、流れるような部分と、縦に動く部分の対比が明確です。色彩感がはっきりしていて濃厚で躍動感があります。中間部は速めのテンポでとても良く歌い積極的で爽やかな音楽です。

三楽章、オーボエがとても感情を込めて歌いました。とても良く歌う演奏です。中間部の豊かな色彩感と歌に引き込まれます。ファゴットも深い響きです。

四楽章、若干遅めのテンポです。途中でさらにテンポを落としたりしますが、やはりリミッターがかかったような録音で激しさが伝わって来ません。第二主題は包容力のある美しい演奏です。展開部に入ると金管が奥まってしまって、混沌として全体像が掴みにくくなります。トランペットに比べると貧弱なホルン。オケのアンサンブルは良く、一体感があります。再現部でも活発に動く木管。二度目のファンファーレの最後でテンポを落としました。コーダでも鋭いトランペットが突き抜けて来ます。

色彩感も豊かで、歌もあった良い演奏だったと思うのですが、リミッターがかかったような録音で、四楽章のコーダで爆発したのがどうか分からなかったのが残念でした。
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ディエゴ・マテウス/フェニーチェ劇場管弦楽団

マテウス★★★★
一楽章、潤いのあるクラリネット。遠くから柔らかく響くファンファーレ。ソフトで優しい第一主題。若干遠い感じはありますが、美しい演奏です。展開部に入っても一音一音確かめるような確実な歩みです。荒ぶることなく穏やかで美しい演奏が続きます。ミュートを付けたトランペットのファンファーレもとても静かでした。二度目のファンファーレの後も吠えることは無く、抑制された表現です。ベタベタと重いティンパニ。

二楽章、リズミックに歌うヴァイオリンの主題。踊るように動きのある演奏をしています。中間部でも弦の柔らかく優しい主題の演奏です。弱音部は非常に美しいですが、トゥッティの思い切りが少し悪いような感じで、強弱の振幅が狭い感じがします。

三楽章、歌うコントラバスの主題。オーボエは最初音を短く切って演奏しましたが、とても表情の豊かな演奏でした。シンバルが入るところで少しテンポを速めました。テンポは所々で少し動いています。中間部のヴァイオリンも柔らかく優しい演奏でした。このオケの弱音は非常に美しいです。主部が戻るとクラリネットの弾むようなリズムの演奏。弱音時の表情は細部までとても良く付けられています。

四楽章、美しい響きではありますが、エネルギー感には乏しい響きです。美しく歌う第二主題。羽毛のような柔らかな肌触りで本当に美しいです。美しい響きなので歌も心に染み入るような感じです。展開部でも金管は強く吹いているのは伝わって来るのですが、エネルギーとしては強くなりません。録音でリミッターがかかったような不自然な録音でもないのですが・・・・・。再現部ではまた弱音の非常に美しい音楽が演奏されます。全く荒れることなく美しいクライマックスです。最後はテンポを速めて興奮を煽るような演出でした。

とても美しくロマンティックな演奏でしたが、トゥッティのエネルギー感が無かったのが残念でした。弱音の美しさにトゥッティのエネルギーが伴えば文句なしの演奏だったのですが・・・・。

クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、この録音でも遅めのテンポを取っています。静寂間があります。この静寂間が何ともいえない緊張感を醸し出しています。
ただ、シカゴsoとのライブほど大きくテンポが動かない。やはりスタジオ録音となると、よそ行きになってしまうのでしょうか。
テンシュテットの録音は、あまり美しい音を聞くことができないのですが、このCDは美しいです。
一音一音を大切に慈しむかのような、演奏です。ライブの鬼気迫るような演奏とはまた違った安堵感や優しさを聴かせてくれます。
ffでは伸びやかなブラスの響きがすばらしい。よくロンドンpoが下手くそだと書かれていますが、どうしてどうして、シカゴsoクラスには及ばないにしても、かなりの演奏をしてくれています。

二楽章、テンシュテットのライブは混濁やアンサンブルの乱れなど関係なしに指揮者の思いのたけをぶつけてくるような演奏をしますが、このCDでは透明感の高い、極めて整然とした演奏をしています。

三楽章、テンポを大きく動かしたり、アゴーギクを効かせたりはあまりしていないので、上品な感じで、やはりテンシュテットの演奏にしては、よそ行きっぽく聞こえます。弦楽器が美しい倍音を伴って心地よく響いています。

四楽章、冒頭の金管の咆哮も多少余裕を残しているような感じで、汚くなることはありません。
ただ、シンバルが近過ぎるのが気になります。
だんだん熱を帯びてきて、テンポも動きだしました。緩急のコントラストがはっきりしていて、このCDではゆったりした部分がとても良いです。
この楽章の途中で入る金管は決してパワー全開にはなりません。美しい響きを聴かせます。
終結部で全開になっても、大暴れすることはなく紳士的な範疇でした。
テンシュテットの演奏にしては細身な感じを受けましたが、シャープな良い演奏でした。

しかし、普段のテンシュテットの爆演を知っている人たちにとっては不満の残る演奏かもしれません。

ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団

icon★★★
一楽章、弦のフラジオレットの低音部分がはっきりと聞こえます。生命感のあるクラリネット。モヤーっとした中から聞こえるバンダのトランペット。締まった響きのホルン。淡々と伸びやかで爽やかに演奏される第一主題。第二主題のあたりで一旦テンポを落としました。爆発することなく展開部へ入りました。ライヴ録音のせいかミュートしたトランペットのファンファーレが弱かった。その後のミュートを外したファンファーレも少し埋もれる感じでした。見通しよく爽やかな演奏でした。

二楽章、すごくゆっくりとした冒頭の低弦の動機。ところどころでちょっと間を空けます。ヴァイオリンの動機のころにはテンポが上がっていますが、再び低弦の動機になるとゆっくりになります。中間部の主題でも間を空ける部分がいくつもあります。テンポの動きに合わせてよく歌います。終結に向けてテンポを煽りました。

三楽章、静寂の中に響くティンパニとコントラバス。ゆっくり始まり次第にテンポを上げるオーボエの旋律。作品を克明に印象付けるかのようにテンポはとてもよく動きます。表現も積極的で聴き手に届いて来ます。中間部のヴァイオリンはヴェールをかけられたようなとても柔らかい響きで惹きつけられました。主部が回復するとまたオーボエがぐっとテンポを落として演奏しました。

四楽章、パカンと言うシンバル。とてもゆっくりと演奏します。いつの間にかテンポが速くなっています。第二主題のヴァイオリンも絶妙な間を含んだ美しい歌です。ヴァイオリンに絡むオーボエも間のある演奏です。展開部からもすごくテンポが変わります。第一主題の再現は速いテンポです。ファンファーレはどちらも他のパートに消されぎみでした。最後はアッチェレランドして終りました。

歌や間もありなかなかの演奏でしたが、四楽章の燃焼度があまり高くないのが残念でした。

ジョルジュ・プレートル/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

プレートル★★★
一楽章、以外に開放的な冒頭。すごく近く大きい音のバンダのトランペット。穏やかな第一主題。提示部の反復の前でテンポを速めました。反復した後はテンポが良く動きました。展開部に入ると静寂感に支配されます。美しくとても流れの良い音楽です。金属的な音で浮かび上がるミュートしたトランペットのファンファーレ。ファンファーリの後一旦静まるところでテンポを落とし、再び盛り上がるのに合わせてテンポを速めました。オケも無理なく鳴らしています。

二楽章、あまり厚みを感じさない低弦。速めのテンポで引っかかるところもなくサラリと流れて行きます。中間部へ入る前に僅かにテンポを落としました。静かに歌う中間部。主部が戻るとホルンの激しい演奏です。

三楽章、あまり歌わないコントラバスのソロ。他の楽器が入って来ても静かです。あっさりとしていますが、なぜか切々と訴えてくるような不思議な演奏です。中間部も何かを強調することもなく流れて行きます。

四楽章、必要以上にオケに強奏はさせません。すっきりとスリムでシャープな響きです。テンポは良く動いています。第二主題もテンポが動いています。とても艶やかなヴァイオリンの演奏です。展開部冒頭では金管にかなり強く吹かせました。再現部はまた開放的な雰囲気でした。再現部冒頭の第一楽章の序奏部分から続く静寂で安らかな弦。ヴィオラの警告的な動機の後はゆっくりとしたテンポです。輝かしいコーダでもテンポが動きました。

良くコントロールされた流れるような演奏でしたが、聞かせどころがはっきりしないところが残念でした。
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クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番

マーラー 交響曲第1番「巨人」4

たいこ叩きのマーラー 交響曲第1番「巨人」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団

icon★★
一楽章、シノーポリ独特のフワッとした感じ。バンダの配置は、復活同様絶妙な遠近感です。ゆったりとしたテンポで進みます。
ふくよかなバランスで暖かみのある演奏です。ふくよかなバランスの中にピリッとしたところがところどころにちりばめられていてポイントを押さえているようだ。面白い。

二楽章、今まで聞きなれていない音がいろいろ聞こえてくるのは、新しい発見があって面白いところなのだが、全体を支配しているふくよかな音色が影響するのか、表情にも厳しさが感じられない。

三楽章、チェロのソロはすごく弱くティンパニに隠れてしまいそう。表現は平板な感じがします。ショルティに代表されるような、ギンギンガリガリ言わせるような演奏とは対極にある穏やかな癒し系の「巨人」なのです。

四楽章、やはり音色からそう感じるのか、オケのフルパワーには聞こえない。全体にマットな響きで色彩感も乏しい感じがします。
とても平和な感じ
これまであまり聞こえなかった対旋律を強調したり、時にテンポを落としたり、この演奏独特の部分は持っているのだけれど、それをオブラートにくるんだような、ソフトな肌触りが聴く人によって評価を大きく左右するところでしょう。
穏やかで、スケールの小さいミニチュアを聴いたような感覚に襲われました。
新たなマーラー像を提起したことはシノーポリの作曲家としてのキャリアからも想像できることで、評価すべき点だと思いますが、演奏芸術としての詰めはもう少し必要だったのではないかと感じました。
マーラーの巨大な音響空間を感じさせない演奏は共感しにくい部分で、多分多くの人たちが不満に感じるのではないかと思います。

基本的な解釈は良いとしても、やはり巨大な音響空間の再現をスポイルして欲しくなかったというのが私のストレートな感想です。

ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★
一楽章、ゴロゴロと言うノイズの中から、フラジオレットが聞こえます。豊かに響くクラリネット。ミュートをしたトランペット。割と速めのテンポで淡白に進みます。鈍った音のトライアングル。後のコロンビア交響楽団との録音の7年の年数で録音技術が大きく進歩したんだとこの録音を聞くと感じます。薄い弦。ほとんど残響成分を含まない録音からは美しい音を聞き取ることはできません。トランペットのファンファーレの前あたりからテンポを動かしてこってりとした表現でした。

二楽章、急に音が近くなりました。とても動きがあって活気のある演奏です。中間部もかなり速いテンポで優美な雰囲気よりも活発な印象です。スケルツォ主部が戻り再び活気のある演奏で、若さと希望に溢れた演奏のようです。

三楽章、音程が不明瞭なティンパニ。木管や弦には丁寧な表情がつけられています。中間部もどういうわけか落ち着きの無い演奏です。

四楽章、径の小さいシンバルの一撃から始まりました。第一主題の途中で少しテンポを落として克明に印象付けるような演奏です。第一主題部はテンポがよく動きます。第二主題もテンポを揺らしてたっぷりと歌います。とても丁寧に語りかけてくるような感じがします。展開部も大胆にテンポが動きます。再現部では古い録音にもかかわらず美しさの片鱗を見せる弦。後のコロンビア交響楽団との録音のようなコーダで大きくテンポを動かすことは無く、スッキリと終りました。

テンポを動かして訴えかけてくる部分など、マーラーを熟知したワルターならではの演奏でしたが、録音の古さがいかんともしがたい。

レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
一楽章、探るように慎重な冒頭。とても感情のこめられた濃厚なオーボエ。美しいウィンナ・ホルン。着実な足取りです。さらりと自然な第一主題。提示部の反復の前でテンポを上げました。展開部からの沈み込みが深く表現の振幅が広いです。トランペットのファンファーレは速いテンポでしたが、その後テンポが動いています。抑え気味で圧倒的なクライマックスという感じではありませんでした。

二楽章、ゆったりとしたテンポで確かめるような確実な足取りの演奏です。バーンスタインの演奏にしては、感情をこめて歌う部分は少ないです。中間部はさらにたっぷりとした濃厚な演奏で、テンポも動いて作品への共感が感じられます。

三楽章、あっさりとしたコントラバスのソロ。速めのテンポでどんどん進みます。オーボエとトランペットが絡む部分ではたっぷりと歌いました。中間部はヴェールを被っているような美しい音色で夢見心地でした。主部が戻って、また速めのテンポで力強い音楽です。

四楽章、硬いシンバルの音。ゆったりと堂々とした第一主題が提示された後、テンポを速めています。その後またテンポを落として再度速めました。激しいテンポの動きです。テンポも動いて感情の込められた第二主題。速いテンポの再現部。トランペットが音を短めに演奏します。弱まったところで、再びテンポが遅くなります。強くなるに従ってテンポを速めます。バーンスタインはこの頃すでにこの作品を完全に自分のものにしていたようです。ただ、この目まぐるしいテンポの変化には少し落ち着きが無いような印象を受けます。ファンファーレはあまりはっきりとは聞き取れませんでした。ここに至るまでもテンポは頻繁に変化していました。トゥッティでの響きも少し浅いように感じました。最後はテンポを上げて追い込みます。

あまりに頻繁に変化するテンポは落ち着きの無さを感じました。響きにも深みが無くちょっと期待外れの演奏でした。
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オトマール・スゥイトナー/シュターツカペレ・ドレスデン

スウィトナー★☆
一楽章、弦のフラジオレットががとても硬い音に聞こえます。続くクラリネットがとても柔らかい音を聞かせます。トランペットのファンファーレが間接音を伴ってとても柔らかく響きます。編成が小さいように感じさせる第一主題。テンポはほとんど動きません。とても小じんまりとまとまっていて、マーラーを聞いている感覚ではありません。金管も非常に軽く吹いているし、弦も弓をいっぱいに使って必死に演奏しているような雰囲気がありません。

二楽章、カチッとした演奏で、スケルツォの雰囲気ではありません。一般的にマーラーを演奏するオケに共通した近代的でスケールの巨大なオケの印象とは異なり、とても古風で小さい編成のオケが演奏している感じで、独特の雰囲気を持っています。

三楽章、カノン風に現れる主題がテューバも入ってくるようになると騒々しいくらいです。中間部のヴァイオリンも弓の真ん中あたりだけ使っているような小さくまとまる演奏です。主部が回帰して淡々と音楽が進みます。

四楽章、チャイナシンバルをステックで叩いたような音から始まりました。余力をかなり残した金管ですが、何か詰まったような音で開放感がありません。ヴァイオリンの第二主題も今まで聞いた演奏とはちょっと違います。何か窮屈そうな演奏です。展開部でも金管は咆哮することなく、抑えたままです。しかし、チャイナシンバルはナゼこの曲に登場するのだろう?再現部でも古風な響きが印象的です。トランペットのファンファーレも独特の響きです。近代的な分厚い響きはありません。ティンパニも古い時代の音です。華々しい勝利の響きではありません。まるで古楽器で演奏したマーラーのようでした。

ジュゼッペ・シノーポリ/ワールド・フィルハーモニック管弦楽団

シノーポリ★☆
一楽章、遠く淡い響きの序奏。バンダのトランペットはそんなに遠くは無くデッドです。第一主題の入りはゆっくりでした。展開部に入ってもあまり緊張感は感じません。音楽にほとんど表情が無く、のっぺりとしていて平板な感じです。トランペットのファンファーレが鳴っても高揚感もありません。響きにも厚みが無く何か物足りない演奏です。

二楽章、この楽章でもただ楽譜に書かれていることを音にしているだけのようで、無表情で平板です。中間部は少し歌われています。

三楽章、遠いコントラバスの主題。途中で加わるオーボエも平板です。中間部のヴァイオリンはフワッとした音色で夢の世界のようでなかなか良い雰囲気でした。

四楽章、大編成のオーケストラにもかかわらず、響きが薄く奥行き感もありません。演奏会場がデッド過ぎるのか?オケもあまり乗っていないようです。トゥッティで低音が伴っていないので、響きに厚みが全くありません。終盤にテンポが大きく動きました。

録音の問題もあったのだと思いますが、響きが凄く薄く、残響もほとんど感じない響きで、作品への共感なども全く表現されていないように感じました。
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ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

icon
一楽章、透明感の高い弦です。暖かいトランペット。今まで聞いたマーラーとは温度感が違う。
ビブラートの効いたホルン。「チェコの弦」と言われますが、独特の透明感があり魅力的です。
ハープの三連符がたどたどしい。弦の美しさに比べると管楽器にはバラツキがあるようです。トランペットのffが独特の粘着質の音がして、弦の透明感と合わないような感じを受けます。

二楽章、ホールの影響か、全体に木質系の感じがして、暖かみがあります。ノイマンの指揮はオケの音質を生かした穏やかな表現で、決して襲い掛かってくるような演奏ではありません。

三楽章、トランペットのmfぐらいのアンサンブルは柔らかくて暖かみがあって良いのですが・・・・・・。

四楽章、金管が音を短く切るのがとても気になります。シンバルも硬質な楽器を使っているようで、弦とは水と油のようなことになっているように私には聞こえます。
アンサンブルも良いのですが、金管があまり鳴らないのをムリに力んで吹いているようで、伸びのある音がしないので、うるさいです。
せっかく弦が美しい響きを持っているのに、金管と打楽器が良さを壊してしまっているようで、ちょっと残念な演奏です。
ウルサイ!
この粘着質の金管の響きは1970年代のN響でもこんな音を出していました。もちろん今はすばらしいオケに成長しましたが、まだ技術が世界水準に達していない時にはこのような音になってしまうのでしょう。

音楽がどうのこうのよりも、ffが汚くて残念ながら、あまり聴きたくない演奏でした。

ジェイムズ・レヴァイン/ロンドン交響楽団

icon
一楽章、太く豊かなクラリネット。突然昔のラジオが鳴り出したようなバンダのトランペット。とても気持ち良く鳴るホルン。レヴァインの音楽には静寂感が無いように思うのですが・・・・・。この演奏でも弱音の緊張感がないし、強奏では騒々しく埃っぽい印象がどうしてもあるのです。

二楽章、伸び伸びと豪快に鳴る弦。遠慮なく強いトライアングル。弱音はありませんが、オケは気持ちよく鳴ります。

三楽章、ここでもティンパニも弱音はなく、コントラバスも演奏しやすい音量で演奏しています。中間部のヴァイオリンはマスクされてヴェールをかけられたような独特の響きが美しかった。表情はあるのですが、少し乱暴な感じがあります。

四楽章、ティンパニがかなり強調されています。第二主題もとりたてて美しいことはなく、色彩感もあまりありません。展開部も雑然としていて落ち着きがありません。響きの純度が高くなく、余分な響きが常に付きまとっているような感じがします。最後はかなりテンポを上げて終わりました。

ちゃんと交通整理されていないような印象の演奏で、雑然としていました。

リボール・ペシェク/チェコ・ナショナル交響楽団

icon
一楽章、低音も良く聞こえるフラジオレット。あまり潤いの無いクラリネット。比較的近いバンダのトランペット。速いテンポで静かな第一主題です。提示部の反復の前ではほとんどテンポが変わりませんでした。展開部もとても静かです。すごく少ない人数で演奏しているような寂しさです。登場する楽器もくっきりと浮かび上がることはなく、合奏の中に埋もれているような感じです。トランペットのファンファーレもあまり音圧感がなく、とても貧弱なオケの演奏のように感じます。

二楽章、冒頭の低弦にも厚みがありません。メロディを演奏する楽器が前に出てこないので、色彩感もあまり鮮明ではありません。中間部も速めのテンポであっさりと演奏されます。

三楽章、主題の途中で登場するオーボエがあまり浮き出ません。主部の中間部のクラリネットは良く歌いました。中間部のヴァイオリンがあまり鳴っていないような感じがします。オケの響きも極上とは言い難く、色彩感にも乏しい演奏で、アゴーギクを効かせて演奏することも無く、こちらとしては、何を聞けば良いのか戸惑います。

四楽章、小さい径のシンバル。全開ではない第一主題。なぜか鳴らし切らない演奏が疑問です。もっと色んな音が混在しているはずなのにとてもスカスカで寂しい響きです。弱音で淡々と進められる第二主題。展開部に入ってもどこか醒めていて熱気を帯びることはありません。余分な肉を削ぎ落としたような痩せた音楽です。ミュートを付けたファンファーレも弱弱しい。コーダの前後で大きくテンポが動きました。

私には、魅力的な演奏には感じませんでした。
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マーラー 交響曲第2番「復活」

マーラーは、1891年以来、ハンス・フォン・ビューローと親交を結んでいたのだが、1984年にビューローはカイロで客死する。その頃マーラーはこの交響曲の第三楽章まで書き上げていた。一楽章は「葬礼」と言う単一楽章の交響詩として発表しようとも考えていた楽章で、交響曲第一番の主人公である英雄を葬り、二楽章では、この、敬愛する死者の生涯の中の幸福な瞬間、そして枯れの青春時代や失われた純潔さへの悲しい思い出。三楽章は、世界と生とは錯乱した幻影となる。すべての存在と生成に対する嫌悪が鉄の拳をもって彼をとらえ、自暴自棄の叫喚にまで彼を追い立てる。四楽章は、純潔な親交の感動的な声が枯れの耳に響く。最終楽章をいかにまとめるかに苦労していた。同年3月、ビューローの葬儀に出席したマーラーは、式の中で児童合唱がコラールで歌うフリードリヒ・クロプシュトックの「復活」の詩を聞き、それを終楽章の歌詞にすることを思い付いた。そして原詩に自身が手を加えたものをテキストとして書き上げ、その序奏部として「子供の不思議な角笛」から取られた「原光」を付け加えて完成したのです。なおこの曲の管弦楽編成は「第8番”千人の交響曲”」に次いで大きなものとなっています。
マーラー:交響曲第2番「復活」ベスト盤アンケート

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

クラウス・テンシュテット ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 1989年ライヴ

icon★★★★★
1989年のライブ録音。この時期以降のテンシュテットのライブは異様な緊張感を伴った演奏が多いですが、この演奏はどうでしょうか。

一楽章、粒の揃った弦のトレモロ、確実な足取りの開始です。音色はバーンスタインのような粘着質ではなく、細かい粒子の砂のようなサラッとした感触です。遅いテンポで淡々と進む音楽。第二主題の前にリタルダンドしました。しかしすごくダイナミックです。第二主題は作品を慈しむかのように丁寧に演奏されました。さらにテンポを落として歌う場面も、そしてテンポを速めて激しい表現も。
展開部も遅いテンポで一音一音確かめるように進みます。それにしても遅いところはものすごく遅い!テンポの変化も自然です。この演奏ではロンドンpoがシャープな響きで応えています。テンポの動きが自在でテンシュテットとロンドンpoが作品と一体になっているのが良く分かります。再現部は少しテンポが速くなったのか、それとも遅いテンポに慣れてしまったのか?再現部に現れる第二主題はすごく遅いテンポで作品への共感を強く感じさせる演奏です。これだけ遅いテンポでも弛緩することなく激しくうねる演奏に引き込まれるほどの演奏です。終結に向けてさらにテンポを落として心を込めて行きます。最後の最後でもテンポが大きく動きました。

二楽章、一楽章とは打って変わって暖かい響きで始まりました。この楽章も遅いテンポでたっぷりと歌います。ここでもアゴーギクを効かせてテンポが動きます。歌に満ちた演奏です。弦楽器のセクションがデリケートな表現をします。本当によくテンポが動きますがオケも十分に理解して付いていってます。テンシュテットの内面からにじみ出る作品への共感が伝わるすばらしい歌でした。

三楽章、弦も木管も強弱の変化などすごく表情が豊かです。金管は余力を残しているような感じです。またテンポをぐっとおとして豊かに歌います。作品の隅から隅まで知り尽くしているからできるテンポの揺れです、この揺れにテンシュテットの思いがたくさん込められているように感じます。この頃になるとオケとも阿吽の呼吸でテンポの動きに対応しているようです。金管は終始余力を残しているようでした。ティンパニも強打はしますが、これもまだ余力を残しているように感じました。

四楽章、控え目な歌いだし。美しい金管のコラール。ネスの独唱も心のこもったものです。独唱の最後の音に少し余韻を残して欲しかった音が短かかったのが残念。

五楽章、冒頭から大爆発!すごく遠いバンダのホルン。豊かなホルンや木管の表情。第二主題がトロンボーン、トランペットに引き継がれた直後にホルンの激しい咆哮!ステージ上の木管に消されそうなバンダのホルンです。その後に続くすごいブラスセクションの咆哮と打楽器の活躍!強烈な打楽器郡のロールのクレッシェンド!聴き進むにしたがって手に汗をかいてきました。これほどまでに作品と同化した熱い演奏があっただろうか?しなやかな再現部。鋭い響きのバンダのトランペット。
合唱が入る前の部分はとても神聖な感じでした。ゆったりとしたテンポで静かに歌いはじめる合唱。会場内も一体になって聞き入っているような静寂感です。合唱から浮かび上がる独唱。掛け合いで入るオケもすばらしい響きでとても荘厳な感じの演奏です。遅いテンポのまま歌われる二重唱とオケとの掛け合いも見事でした。この遅いテンポでオケも合唱もよく持ちこたえるなあと感心します。北ドイツ放送交響楽団とのライブのような「爆演」とはちがう。伸び伸びと開放されたすばらしいスケール感!自由で開放されたことを表現したかったのだろうか。ここまでどちらかと言うと抑え気味だったオケをクライマックスで一気に解放!神の領域へ飛び立つのだ。この遅いテンポでの演奏は作品の内面を抉り出すには必然だったのだろう。最後の音もすさまじいものでした。全く弛緩することなく最後まで演奏しきったテンシュテットと奏者たちに惜しみない拍手を送りたい。久しぶりにもの凄い演奏に出会った。

レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★★
この演奏は、あまりにも重い。
個人的には、マーラーの枠を超えてしまっていると思うんですが・・・・・。

一楽章、十分にホールの響きをともなって重量級の出だし。テンポは遅いが遅い設定のまま進むので、わりと安心感がある。テンシュテットのような急激な変化はなく、どっしりと構えたままで、緊張感を伴う感じはあまりない。
オケもffでも節度ある演奏。と思っていたら、テンポが速いところは結構早い。しかし、遅いところが異様な遅さだ。
弱音部をゆったりとしたテンポで、ねばっこく歌う。バーンスタイン節とでも言おうか、ここまでされると「さすが!」と言いたくなる。弱音部の丁寧な歌がとても印象に残る演奏です。

二楽章、この楽章もテンポが遅い。バーンスタインが小学校の低学年に音楽の授業をしているようなほほえましい情景が浮かぶ。バーンスタインの作品に対する愛情のようなものが表出される演奏で、とてもなごやかな雰囲気を作り出している。フレーズの中での動きは少なく、テンポが遅くてもしつこい感じはなく、このテンポに違和感は感じない。

三楽章、この楽章も通常のテンポよりは遅いのだろうけど、このテンポに慣れてきたようで、普通に聞いている。
晩年のバーンスタインの演奏は、総じて異常なくらい遅いテンポの演奏でしたが、テンポを遅くして何か濃厚なものを表現したかったのだろうか?または、細部を抉り出したかったのだろうか?それとも、バーンスタインの感性のままにまかせて演奏したらこうなったのだろうか。
濃厚な表現だったら、テンシュテットの方が強烈だし、細部を抉り出すのであれば、録音の効果もあるがショルティのシカゴsoとの演奏を聴いた方が良いと思う。
この演奏はバーンスタインの心の中で鳴り響いている音楽をそのまま現実のオーケストラで再現したものなのだろうと思う。一般的な演奏からすると異様なテンポ設定で進むがバーンスタインにとっては、ごく自然なままを表出しただけなんだろう。

四楽章、極めて自然に流れる音楽。細部にわたる指示などはあまりせずに、奏者の自発性に任せているような開放感が独特。

五楽章、四楽章の静寂から一転、ニューヨーク・フィルの炸裂。ここでも、テンポ設定はバーンスタインがしているが、細部はオケに任せているような、友好的な演奏だ。バーンスタインの心の中では、オケや合唱独唱のメンバーはもちろん、マーラーも友達だったのではないか。
テンポは遅めではあるが、演奏自体は淡々と進んでいく、しかし、最後にこの遅いテンポをさらに遅くして迎える終盤は圧巻です。これは凄い!こんな結末が待っていようとは・・・・・・。このために前の90分があったのか。
この演奏はどう評価すれば良いのだろうか、私には何がなんだか分かりませんでした。この異常とも言える最後のために、すべてが設計されていたのだとすれば、バーンスタイン恐るべし!!!!。
ベームが晩年、同じように異常に遅いテンポでしかも散漫な凡演を多数残したのに対して、同じように異常に遅いテンポで多数の録音を残しているバーンスタインの演奏が高く評価されるのは、作品を大きく捕らえたがっちりとした設計があるからだろうか。

この演奏も最後は「やられたぁ!」と言う感じです。
初めて「復活」を買う人はこのCDは絶対に買わないように。

ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団

icon★★★★★
私のクーベリックに対するイメージは「中庸」です。
特に突出する個性は感じないけれども、堅実で王道を行く実力派と言うイメージです。ただ、たくさんの演奏を聴いたわけではないし、スタジオ録音しか聞いていないので、それが正しいかは分かりません。
今回の、復活のライブはとても楽しみな一枚です。

一楽章、わりとおもむろな出だしで、、特に強調することもなくすんなりの導入。ホールの残響も適度に取り込んだ録音です。
ライブとは言え、手兵のバイエルン放送soとの演奏なので、アンサンブルも整っている。ちょっとした、タメにもオケは機敏に反応する。機能性の高い、シャープなオケのように感じる。他のオケのライブCDと比べると、細身な感じです。
最初はクールな演奏からスタートしましたが、音楽が進むにつれて熱を帯びてきました。表情も豊かになってきたし、管楽器にも火が入ったようです。クーベリックの指揮もテンポを自在に動かして生き生きとした音楽を作り出します。
それでも、アンサンブルは乱れません。速い部分はかなりテンポを上げますがオケは安定しています。伸びやかで美しい演奏です。音楽は熱気を帯びてきていますが、安定したバランスで、暴走や突出もなく、クーベリックがしっかり手綱を締めながら音楽を運んで行きます。

二楽章、テンポの揺れは自然です。恣意的な表現はなく、純音楽と言うような清廉さです。クーベリックの指揮もとても丁寧にニュアンスをオーケストラに伝えているような感じがします。金管が入ってきてもうるさくない、綺麗な音です。しっかりコントロールが行き届いた範囲で、節度を保ちながら音楽を進めて行きます。とても安心感があって好感が持てる演奏です。

三楽章、遅めの開始とデッドなティンパニ。抑えたクラリネット、冒頭部分ってこんなに静かだったっけ?と思うくらい滑らかに進められて行きます。ものすごく統率されているようですが、オケのメンバーもクーベリックの音楽に同調しています。ffでも美しい。粗雑なところが一切ありません。これは、数ある「復活」の中で異彩を放つ名演でしょう。見事な演奏。

四楽章、独唱も艶やかで美しい。ヘラクレスザールの特性もあるのかな?わりとあっさりとした運びです。

五楽章、ゆっくりとしたテンポで金管群が伸びやかで見事な美しいffを響かせる。バンダはかなり遠い。バンダの後、木管やホルンのあたりからテンポは速くなる。
コラールの扱いは独特のバランス。その後のクレッシェンド、次の小節の一拍前に入るティンパニが次の小節の頭にクラッシュシンバルと同時に入ってしまう。ここは各オーケストラの打楽器奏者にとって鬼門ですね(^ ^)
とにかく伸びやかに良く鳴るオケだ。そして、音楽も次第に熱気を帯びてくるが、アンサンブルはほとんど乱れない。
バンダはあまり聞こえないくらい遠い。その後のffでテンポが落ちる、これは効果的!
バンダが遠いので、ステージ上のオケとの対比ができない。バンダだけになる部分はなかなか良い効果なのだが・・・・。
その後の合唱も消え入るようなppで始まる。途中からの独唱も頑張らなくても十分なバランスだ。次第に盛り上がって行く音楽だが、宗教的な雰囲気にふさわしい、大聖堂へ向かう隊列のように、厳かに、しかし近づくにしたがって燃え上がる感情がどんどん込み上げてくるような、充実した響き。終結部ではテンポはかなり動く。一度も暴走することなく、見事にまとめ上げた、クーベリック渾身の名演奏です。

暴走することはないけれども、十分な頂点を作り上げているし、熱気のある演奏で、クーベリック独特の世界を垣間見たような気がしました。

ズービン・メータ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、ものすごく気合の入った冒頭。音のスピート感からして違う。克明な表現、それに呼応するウィーンpoの殺気立ったような俊敏さ。開始三分ぐらい聞いたところで、もうすでに凄いことが起きそうな予感をさせる、空気。
メーターの若いエネルギーが突進してくるような、すごい集中力!
テンポは速めに進むが、内容が凝縮されている感じで、速いことは気にならない。また、ブーレーズで聞いたウィーンpoとは全く別物のようなシャープさがある。
中間部は、一旦ぐっとテンポを落としてまた加速!とにかく激しい。終わり方も予想外の凄さ。

二楽章、洗練された表現と言うより、幼い子供達が戯れるような、少し幼稚で微笑ましいような表現。ここでも他の演奏では聞いたことがない独特の世界を作っている。テンポも速めでちょっと落ちつかないような印象も。

三楽章、表情が豊か。メータは細部の表現にもしっかりリハしたようだ。ここでもテンポはわりと速めで一気に進んで行く。細部の表現まで行き届いているのだが、それよりも一筆書きで、それも太い筆で一気に書くような豪快さを持っている演奏だ!
オケもメータの気迫に必死に食らいついているかのよう。メータはロスpo時代は、こんな凄い演奏をしていたんだよなぁ。どうして今は、鳴かず飛ばずになってしまったのか?

四楽章、安定感があって、神経質な要素は微塵もない。あまりにも線が太くて、天国的な雰囲気は少し希薄か?

五楽章、低弦の鳴りっぷりが良いので、線も太く、安定感にもつながっているんだろう。金管のコラールでもテューバが強めでさらにクレッシェンドするあたりはワーグナーを聞いているかのようだ。
ウィーンpoはffでも限界まで絶叫することはない。メータの若いパワーとウィーンpoの奥ゆかしさが相乗効果を生んでいるのかも知れない。
もしも、ロスpoで演奏していたら、狂気の「復活」になっている危険性と裏腹だったと思う。まあ、それはそれで聞いてみたかった気がしなくもないが・・・・・・。
合唱は比較的小規模か、少し人数が少なく聞こえる。それにしても、常に低音の支えはしっかりしている。本当に、若いメータをウィーンpoがしっかりサポートしていると思う。信頼関係が築かれていたんだろう。
後半、テンポも動いて大きなクライマックスを迎える。感動的な頂点!すばらしい構成力。

本当に、一気にこの大曲を演奏してしまった。すばらしい名演です。理屈抜きに感動がある演奏で、初めて「復活」を聞く人にもお勧めです。

ジュゼッペ・シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団

icon★★★★★
フワフワ感のある演奏です。ゴリゴリ力で押してくる演奏ではありません。
しかし、作品に語らせるような名演だと思います。
バランス感覚もすばらしい。

一楽章、冒頭から控えめな出だし。しかし、細部の動きやバランスまで徹底されている感じで、集中力も高くシノーポリの統率ぶりがうかがえる。比較的打楽器を抑えた録音になっているせいか、刺激的な部分はあまりなく、抑制の効いたバランスの良い演奏で嫌味がない。その分、狂気のような部分はスポイルされているかもしれない。色彩感も若干乏しいか。

二楽章、小気味良いマーチのような出だし。わりと速めのテンポで、ねばることもなく進む。それにしてもオケは上手い!速めのテンポながら旋律は十分歌わせていて、聞いていて心地よい。フィルハーモニアのメンバーもシノーポリとの演奏を楽しんでいるかのようだ。信頼されていたのだろう。

三楽章、ここでも冒頭のティンパニから抑え目だ。しかし、一つ一つのフレーズをとても大切に演奏しているのが伝わってくるし、歌がある。精神分析医などの側面が強調されがちなシノーポリではあるが、そのような単語から想像する演奏とはまるで違う、人間味のある暖かい音楽。
シノーポリの作品への深い共感とオケの楽員との良好なコミュニケーションがあったからこそなしえた演奏なのではないかと思う。

四楽章、作品を慈しむかのような心のこもった演奏

五楽章、冒頭の炸裂から開始するが、ここでもオケは余裕を残している。バンダも良い距離感があってステージ上のオケとの対比も見事。弱音がホールに広がっていく感じもなかなか心地よい。
7分過ぎたあたりから、オケもフルパワーに近付いてくるし、ここまで控えめだった打楽器も炸裂しはじめる。それでも丁寧な演奏には変わりは無い、決して暴走はしないところがこの演奏の特徴でもある。シノーポリもオケを煽ることもなく、どっしりとしたテンポで音楽を進めていく。
バンダのトランペットの音がステージ裏に響き渡る。音響的効果もすばらしい。
合唱が入ってからも、外へ放出ではなく、内面へ言い聞かせるように歌い始める。独唱陣も伸びやかな歌声を響かせる。弱音部の楽器の絡みのどのパートも絶妙に受け継がれていく。フィルハーモニアってこんなに上手かった?
そして、最後に輝かしいクライマックス!最後の伸ばしでトランペットがクレッシェンドするのには驚かされた。

このシノーポリの演奏には、即興性などはない、緻密に設計されたものを、正確に音に変えて行く作業なのかもしれない。マーラーの内面にあるドロドロしたものを表現できているかと言われれば、その面では弱いかもしれないが、音楽としての完成度はきわめて高い名演奏だと思う。
シノーポリのマーラーはそんなに高い評価はされていないのかも知れませんが、この演奏はすばらしいと思います。奇抜なアイデアなどもなく、正面から音楽に取り組んだ名演奏は貴重なものだと思う。最初に買うんだったらこれはお勧めです。

クラウス・テンシュテット ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
テンシュテットの手兵ロンドンpoとの録音。
良好な信頼関係が生み出す、爆演!
オケも限界を超える!
「マエストロのためだったら俺たちは120%の力を出すんだよ」と言っていたというロンドン・フィルのメンバーたち。すごい信頼関係ができていたんだろう。

一楽章、激しい弦のトレモロそして低弦の旋律、冒頭からフルパワーが伺える。かなり遅いテンポで音楽は進む。全身全霊をかけて一音一音に命を吹き込むようにブラスも全開。とにかくテンポが遅く起伏がものすごく激しい。遅いかと思うと急激にテンポを上げたり、またものすごく遅くなったり、テンシュテットは作品と一体になっているようだ。マーラーの霊が乗り移っているかのようにも感じるくらい緩急自在で強烈な演奏。
すごい世界だ!だんだん引き込まれていく。テンシュテットは本番前には極度にナーバスになっていたと言われているが、これだけ自分の音楽をさらけ出すには、それはナーバスにもなるだろう。
これほどの作品への共感と没入は聴いたことがない。聴いているこちらも打ちのめされるような、凄いとしか言葉が出てこない。

一楽章が終わってから、最低でも五分の休憩をはさむ指定をしたマーラーだが、この演奏なら分かる。休憩しないと、きつい。恐ろしい演奏を聴き始めてしまったと言うのが偽らざる感情です。これが生演奏だったら、怖くて逃げ出すかも知れない。それほど何かにとり憑かれたような演奏だ。

二楽章、少しゆっくりめに開始、一楽章とはガラリと表情が変わる。穏やかだ。前の楽章で徹底的に打ちのめされたのを癒してくれるように、ゆりかごのようにテンポも揺れながら音楽が進んでいく。しかし、それもつかの間、また現実に引き戻される。とにかく振幅の巾が広い。

三楽章、一つのフレーズにも強弱の変化やテンポの揺れがあって息つく暇を与えてくれない。先に何が起こるか分からない。とにかく、普通に想像する以上のことが展開されて行く。ロンドン・フィルのメンバーもテンシュテットの棒によく付いて行っている。楽員たちがテンシュテットを尊敬しているんだろうなぁ。奏者にも相当の負担を強いる演奏だと思う。ただ、シノーポリとフィルハーモニアの演奏の時に感じた美しさはこの演奏にはない。テンシュテットの要求を音にするだけで精一杯なんだろう。
それでも、十分。まだ三楽章なのにオケのメンバーをねぎらってあげたい気分にさせるほど格闘しているのが伝わってくる。本当に稀な演奏だ。

四楽章、信じられないくらい遅い出だし。鳥肌が立った。とにかくテンポが動く、そして十分に感情を込めた独唱。そして天国へといざなってくれる。この楽章はあの有名なバーンスタインの演奏よりも遅い。

五楽章、冒頭から全開!!金管も打楽器も炸裂する。バンダは程よい距離、割と正攻法で進む、しかしオケは本当に120%なのかも知れない。強奏部分では、四楽章とは対照的に前へ前へと進む強い推進力。バンダとフルートの掛け合いはホールの響きも含んだ豊かな感じ。
消え入るようなppで入ってくる合唱。その合唱からろうそくの炎が立ち上るような独唱。合唱もすごい緊張感が伴っている。合唱にオケや独唱がからんでくると、また振幅が・・・・・。思わず天を仰ぎ見たくなる。ffで合唱とオケが一緒になる部分から、アインザッツが合わないところが出てくる。合唱は別録りか?バランスも合唱が強くて旋律が消えるところもある。
しかし、最後の力を振り絞ってブラスの炸裂!CDを聴いてこれほど感動することは、私にとっては珍しい体験です。それぼと強烈な何かを伝えてくる名演です。

最初に聞くCDとしてはお勧めしません。いくつか復活のCDを聴いて「復活」のイメージをある程度持っている人には絶対に聞いてほしい演奏です。ただ、聴き終わると、どっと疲れる。それほど力を持った演奏なのです。スタジオ録音でこれだけ、やりたいことを貫徹する指揮者も珍しいでしょう。
昔は、個性的な巨匠たちが群雄割拠していたんだろうけれど、最近は、音楽大学などでの教育が行き届いてしまって、このような破天荒な演奏をする人がいなくなったのは、業界にとっては大きな損失でしょう。多分、テンシュテットやバーンスタインが巨匠と呼ぶにふさわしい指揮者の最後の世代でしょう。テンシュテットが若くして病に倒れたのは慙愧に耐えない。もっと本当の音楽を残して欲しかった。

クラウス・テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団

★★★★★
テンシュテットの本領発揮のライブ録音。1980年の録音です。
強烈な演奏です。重い。
表現の振幅もものすごく、オーケストラのアンサンブルも度々乱れます。
テンシュテットは安全運転とは無縁の指揮者ですね。オケが崩壊しそうになっても、自分がやりたい音楽を追い求めていく、名盤中の名盤だと思います。

一楽章、ライブとは思えないほど明晰な録音。もしかしたら3000Hz~4000Hzあたりにピークがあるのかもしれません。ものすごく遅く重い冒頭部分です。彫りも深く、強烈!テンシュテットは、この演奏でも、もの凄く振幅の激しい演奏をしています。遅い演奏の途中でritしたり、開始五分でもう完全にテンシュテットの世界に引きずり込まれます。
この遅さで、どうしてこれほどの緊張感なんだろう?魔力とでも言うべきか。ロンドンpo盤も凄い演奏でしたが、こちらはライブと言うこともあって、さらに上を行く壮絶な演奏です。
テンポは聞き手の想像を超えて自在に動く、緩急の変化もすごい巾があり、こんな演奏がライブで実現していたことが信じられない。
アンサンブルも乱れますがおかまい無しに前進します。テンポが早くなった部分は、もう騒乱状態のような異常な演奏です。遅いところはまた、これでもかと思いのたけをぶつけてくる、まるで狂気とでも言うべき演奏。

二楽章、この楽章も遅めのテンポで開始。陰鬱な影がしのびよるような不気味さ、何かに追われているかのようにテンポを煽ったり、また極端に遅くなったり、予想外の事態の連続です。
時には乱れるものの、この異常な指揮についていくオケの上手さも特筆ものです。聞き手にも、相当な覚悟を迫ってくる演奏です。軽い気持ちででは耐えられなくなりそうです。

三楽章、スチールの18リットル缶でも叩いたような異様なティンパニの音から始まる。そして、ここでもテンポが動く動く、弦のアーティキュレーションの表現も明確。とにかくテンシュテットの主張が強く、オケは引きずり回されるような、格闘の試合のような真剣勝負です。

四楽章、ここでもテンポは遅いがロンドンpoのときほどではない。楽章終盤でがくっとテンポが落ちて、天国へ!

五楽章、全開始動!テンポ設定はロンドンpoのときとはかなり違う。無音になるところや、フレーズの終わりでテンポが落ちたり、7分過ぎたあたりで、ティンパニから一拍遅れてクラッシュシンバルのはずが、ティンパニと同時にド派手に入ってしまう、それにつられてトライアングルも全然違うところで叩きはじめる(^ ^;・・・・・こういうのはライブにはつきものですね。
その後も一小節前に入るシンバルやその他のパートもアンサンプルが乱れる。それでもテンシュテットはオケを引きずり回す。オケも立て直して、この壮絶怒涛の演奏は続けられる。
弦のアンサンブルも乱れが・・・・これだけの演奏の緊張感を維持し続けるのは並大抵のことではないだろう。テンシュテット自身も大変だろうが、オケのメンバーはすごく疲労していると思う。
テンシュテットは楽員に作品への没入を強く要求したと伝えられている。そして、そのことが楽員の不評を買い、このオケとは喧嘩別れになってしまうのだが、妥協を許さないテンシュテットと言う孤高の巨匠の置き土産だ。
合唱も内声部とのバランスも良く、それが一体となってフレーズに山を作ったり表情豊かだ。
これほどまでに、テンポを動かすところがあるのか!と思い知らされる。作品に没入して一体とならなければ、こんな演奏は絶対できないであろう。テンシュテットにとっては一曲一曲、1ステージ1ステーシ゜が真剣勝負だったんだ。
全開からさらにクレッシェンドがあり壮絶なクライマックス。まさにクライマックスだ!

恐ろしい演奏を聴いてしまった。拍手がカットされているのが残念です。
聴衆の反応はどうだったんだろうか。筆舌に尽くしがたいと言う言葉があるが、まさに私のボキャブラリーでは表現し尽せません。
ここまで、音楽に身を奉げた演奏家を私は知りません。

サー・ゲオルグ・ショルティ ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★
ショルティがベルリン・フィルと残した珍しいライブ録音
シカゴ交響楽団とのスタジオ録音とはかなりイメージが違います。
このライブはシカゴ交響楽団とのスタジオ録音の一年前の演奏です。
まず、シカゴの録音で気になった、異常にマイク位置が近い録音とは異なり、適度に距離があるので、ホールの響きも十分に拾っています。

一楽章、最初のテンポ設定や金管を積極的に鳴らす、ショルティの演奏スタイルはこのベルリン・フィルとの演奏でも同様です。録音の関係でシカゴの演奏より自然に聞くことができますが、かなり気合の入った激しい演奏です。
しかし、そこはライブ、叙情的な部分では、じっくり味わいながら少しテンポが落ちるところが、ショルティも人間だったんだなぁと安心させられます。やはり、緩急の差はシカゴの録音以上にあります。
硬質なティンパニの強打や嵐のようなffなど、シカゴの演奏よりスリリングで聴き応え十分です。まだ、一楽章の途中ですが、ものすごく良い買い物をした気分になっています。テンポの遅い部分も、グッとテンポを落とした演奏で、じっくりと音楽を味わうことができます。すごい名演の予感がしてきました。

二楽章、やり過ぎにもならず、適度な表情付け、比較的あっさりと進む。と思わせておいて、弦の急激なクレッシェンド。また、何もなかったかのような、ゆったりとした音楽。ベルリン・フィルもこの頃が一番コンディションが良い時代だったのでは、ショルティの指揮に応えるベルリン・フィルも本当に上手い!

三楽章、基本解釈はシカゴと同じです。ライブで残響を伴うものの、テヌートやスタッカートの対比やその他のアーティキュレーションの違いも伝わってくるので、アバドのライブのような平板な感じがなくて、こちらも耳をそばだてて聴く状態にさせてくれる。これが本当の巨匠の格なのか。細かいアンサンブルの乱れはあるけれど、そんなことは全く問題にならない。
また、トゥッティの湧き上がるようなエネルギー感もシカゴの録音とはかなり感覚が違います。底から湧き上がるようなff。シカゴの場合は槍で突き刺されたようなffのイメージです。

四楽章、わりと、あっさりと進む、最後は天国的

五楽章、基本的にはシカゴとの録音と同じ解釈で進むが、オケの伝統の違いのような部分も見受けられて興味深い(トロンボーンのビブラートなど)。しかし、ライブならではの部分も。クレッシェンドしながらショルティがねばりにねばる!そして、シンバルとトライアングルは別世界へ?
ソプラノ独唱は明らかにこちらの方が良い。誰かと思ったら、ルチア・ポップだった。上手いわけだ。
最後は、さすがのベルリン・フィルもちょっとバテぎみか?それでも、すばらしい演奏だった。

「復活」の名演、名盤はたくさんあるが、これも十分な名演だった。
一夜限りのノーカットライブでこれだけの完成度の演奏ができる指揮者とオケ・独唱・合唱に惜しみない拍手を送りたい。

クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番

マーラー 交響曲第2番「復活」2

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団

icon★★★★★
一楽章、 ホールトーンを伴って深みのあるコントラバスの第一主題。ゆっくりと確実に歩みを進めるような冒頭部分です。明快で鋭いブラスセクション。響きに透明感があります。第二主題もゆったりとたっぷり歌います。展開部もゆったりと、とてもよく歌われて心地よい演奏です。ブラスセクションがとても良く鳴り表現も幅広いです。静寂な部分と最強奏の幅がものすごく広大ですごい演奏に感じます。すばらしく充実した第一楽章でした。

二楽章、中庸なテンポでの開始。フレーズ最後で少しritしたり、表情もとても豊かです。優しさに溢れる響きで、サンフランシスコsoがこれほど音色に幅を持ったオケだとは思いませんでした。うれしい驚きです。ブラスが入ってくると一転して響きが鋭くなります。場面場面の描き分けもとても良いです。アゴーギクも効かせてたっぷりの歌です。

三楽章、速めのテンポの開始です。この楽章も表情豊かです。表情は豊かですが、感情移入してドロドロになる感じはなく、むしろとても爽やかな演奏になっています。テンポもとても大きく動いています。MTTの指揮も変幻自在。

四楽章、静かに歌い始める独唱。美しい金管のコラール。オーボエのソロも歌に溢れています。独唱もこの演奏にマッチした豊かな歌です。

五楽章、大太鼓の炸裂!ブラスの咆哮と打楽器が波のように押し寄せて来ます。程よい距離感のホルンのバンダ。続くオーボエはスタッカートぎみ。美しい「復活」の動機。テンポの動きも自然で理解できるものです。展開部の前はかなりテンポが遅くなりました。展開部からも豊かに鳴り響くブラスセクション。心地よく響き渡るバンダのトランペット。静かに歌い始める合唱。合唱の中から控え目にそして次第にはっきりとした存在感を示す独唱。比較的速めのテンポで歌われた二重唱。その後大きくritして終結部へ。絶叫するような頂点ではありませんでしたが、とても爽やかで見事な演奏でした。

サイモン・ラトル ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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一楽章、大らかな雰囲気の弦のトレモロに続いて底から抉り出すような第一主題。コントラバスに豊かな響きが乗っかって気持ちの良い響きです。弦の厚みなどはさすがにベルリンpoと思わせるものです。強弱の変化とテンポの動きがあってとても豊かな表情の第二主題。大切なものをそっと運ぶように丁寧にしかも弱く丁寧に演奏された、展開部の第二主題。展開部からは遅めのテンポで進みます。分厚い弦楽器に隠されるように金管は突き抜けてきません。再現部の前はゆっくりと叩きつけるような演奏でした。再び現れる第二主題はとても美しいものでした。最後のドラが強く打ち鳴らされた後の弦は4回強くアクセントで入りました。最後はすごくテンポを落として一音一音刻むように終りました。

二楽章、優しい響きがとても心地よい演奏です。いろんなところでちょっとした間を取ったりしてとても作品への共感が感じられます。突然アッチェレランドしてまたもとのテンポに戻ったりすごく自由に音楽をしています。二回目の主部はチェロの対旋律がとても良く歌って良い雰囲気です。ラトルの感情にしたがってテンポが速くなったり遅くなったりとても伸びやかで解き放たれたように自由です。こんなに自由奔放な演奏に出会ったのは初めてです。

三楽章、硬質なティンパニの強烈な打撃がホールに響きます。強弱の変化などいろんな工夫があります。この演奏を聴いていると新しい発見がたくさんあります。クラリネットは特に幅広い表現をしています。ラトルのベルリンpoのデビューCDになったマーラーの5番では何とも変てこな演奏をしていたように記憶しているのですが、オケとの信頼関係も生まれて、ラトルが自由に音楽をできるようになったんだなあとつくづく思います。この楽章でもテンポは動いています。

四楽章、祈りのようなコジェナーの独唱。続く金管のコラールはすごく遠くから響くような感じが神秘的ですばらしいです。途中でテンポを落としてたっぷりと感情を込めて歌う部分もありとても濃い演奏です。そして、天国へ。

五楽章、重いドラの一撃。分厚い弦をかろうじて突き破って金管が聞こえてきます。バンダのホルンは間接音を伴って良い距離感です。第二主題の後ろの弦のピチカートも強弱の変化がしっかりとありました。ファゴット、クラリネット、フルートとステージ上の楽器とステージ裏のホルンの対比がとても効果的な距離感でした。金管のコラールは美しくしかもずーっと音が繋がっていました。展開部から次第に音楽が熱気を帯びてきます。凄く長い打楽器のクレッシェンド。鳥肌が立つような壮絶な演奏です。再現部に入る前にまたテンポを上げました。バンダのホルンとステージ上のフルートが登場する前はすごくテンポを落としてたっぷりと豊かな表現でした。バンダのティンパニも硬質な音でとても気持ちが良い音です。柔らかくフワッと浮かび上がるような合唱がとても美しい。合唱のきれいな和音の中に浮かび上がる独唱。輝かしく「復活」を歌い上げます。さすがに超一流のメンバーで作り上げる音楽はすばらしいです。ラトルが作品に込めた思いもたくさんあったのだと思います。とても凝った表現もありましたが、オケや合唱が一体になって壮大なクライマックスを築き上げました。本当にすばらしかった。

エリアフ・インバル/東京都交響楽団

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一楽章、すごい緊張感という雰囲気でもなく、かと言って緩い感じでもなくほどほどの温度感で始まった第一主題。ホールの響きを伴って伸びやかで美しい木管。頂点で思いっきり炸裂するシンバル。すごく感情を込めて歌う第二主題。インバルの思い入れの表れたテンポの大きな動きです。展開部の第二主題は非常に遅いテンポで、すごく感情のこもったものです。陰影もすばらしい。フルートに第二主題が現れるころには速いテンポになっていました。テンポの変化も自然で全く違和感がありません。再び第一主題が出た後もすごくテンポを落としました。第二主題の再現もすばらしく美しい。オケの響きには強靭な厚みは感じませんが、とても良く鳴り美しい響きを聴かせてくれます。すばらしい第一楽章でした。

二楽章、柔らかく優しい主題。テンポも絶妙に動いて、ライヴらしい感情表出です。包み込まれるような優しい響きが一楽章とは違った表情を作っています。ピチカートに乗って控え目なピッコロ。すごく歌うわけではありませんが、奥ゆかしく程よい歌とテンポの動きに好感が持てます。

三楽章、ティンパニの良い質感。表情豊かなヴァイオリンの主題に続いてクラリネットも豊かな表情です。インバルの指揮もライヴと言うこともありフランクフルト放送soの録音のような抑制の効いた演奏とは違い、感情移入もあり、テンポも動きとても積極的な表現で、引き付けられます。

四楽章、ゆっくりとしたテンポで心のこもった独唱です。金管のコラールも神聖な雰囲気です。少し細身で清らかで澄んだ声で歌います。さいごはテンホをさらに落としてたっぷりと演奏しました。

五楽章、一転、音で溢れかえるような迫力の怒涛の第一主題。適度な距離のバンダのホルン。速めのテンポでどんどん進みます。ちょっと落ち着きが無いような感じもあります。展開部も速いテンポで力強く進みます。再現部の前は少しテンポを落としました。トランペットのバンダはかなり近いような感じです。かなり抑えた合唱の入りです。基本的には速いテンポですが、所々でテンポを落として情感たっぷりの演奏です。鳴り響く金管とその後ろに広がる合唱が力強いクライマックス。

ライヴ独特の感情の揺れとインバルの見事な統率力でこの大曲をまとめ上げた、すばらしい名演だったと思います。

チョン・ミョンフン/ ソウル・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、凄いエネルギーで厚みのある第一主題。ゆったりとした足取りで克明に描いて行きます。整ったアンサンブル。ブラスセクションも充実した響きでかなり優秀なオケのようです。第二主題に向けてテンポを落としたっぷりと歌われます。第二主題の途中で一旦テンポを落としました。伸びやかで美しい演奏です。展開部の第二主題はすごく抑えた音量で非常に美しく演奏されました。とてもゆったりとしたテンポで濃厚な表現です。ホルンも美しい。響きにも透明感があり、スケールの大きな音楽を展開しています。再び現れる第一主題の銅鑼が強烈です。続くコントラバスの部分はすごくテンポを落としています。ホルンにコラール風の旋律が現れるあたりから少しずつテンポを速めます。トライアングルが透明感の高い美しい音色です。色彩感も濃厚で感情表現も十分でなかなか良い演奏です。再現部の前も叩きつけるようにテンポを落とし直前ではさらにテンポを落としました。再現部の第二主題も非常に美しい。遅いテンポですが、流れる音楽に身をゆだねてどっぷりと音楽に浸ることができます。

二楽章、豊かな響きを伴って柔らかく伸びやかな弦の響き。アゴーギクを効かせた感情のこももった歌が聴かれます。間を空けたりテンポが揺れたりして情感たっぷりです。中間部の終盤でもテンポをritしています。主部の再現では大きくテンポが動くことはないですが、それでもたっぷりとした歌です。中間部の再現では後半にテンポを落としてたっぷりと濃厚に表現します。最後の主部の再現の前にテンポを上げてまたテンポを落として、最後の主部の再現になりました。作品への共感を感じさせる美しく歌に溢れた楽章でした。

三楽章、釜の鳴りを十分に響かせるティンパニ。表情豊かなヴァイオリン、クラリネット。チョン・ミョンフンが作品と同化しているかと思わせる深い共感ぶりです。中間部でマルカートぎみに演奏するトランペット。とても克明に表情が付けられています。ティンパニがとても良い音を響かせています。

四楽章、これも感情のこもった独唱です。あえて抑揚を付けずに演奏しているような金管のコラール。ゆっくりと切々と語りかけるような感情表現たっぷりな独唱です。透明感のあるクラリネット。少しoffに録られているヴァイオリン。そして天国へいざなってくれました。

五楽章、深い響きの大太鼓と銅鑼。圧倒的なパワー感ではありませんが、そこそこの力感を感じさせる金管。怒涛の打楽器のクレッシェンド。間接音を含んで程よい距離感のホルンのバンダ。第二主題を過ぎてバンダのホルンの前で演奏される木管は音を長めに演奏されるのがとても美しく感じました。溶け合って美しく歌われる金管のコラール。展開部の金管も美しい。そして打楽器の活躍がめざましい。再現部に入る前に大きくテンポを落としました。少しこもったようなバンダのトランペット。バンダのティンパニも遠くで響く雷のように強打されます。このオケの打楽器陣は強力です。比較的大きな音量で始まった合唱。大きな大河の流れから少しだけ顔をのぞかせる独唱。独唱も大きなオーケストレーションの一部として、すごくバランスに気を使った演奏です。合唱と一緒ではないソロでは朗々と歌います。男声合唱が音量を上げると、ホールの響きを伴ってとても美しい響きです。圧倒的な合唱のエネルギー感がすばらしい。打楽器のクレッシェンドでねばったり、演奏が進むにつれて演奏が白熱して圧倒的なエネルギーが発せられたのだと思います。

チョン・ミョンフンの感情移入がオケや合唱にすばらしい共感を生み出し最後は圧倒的なクライマックスでした。オケもアジアでトップクラスのオケでしょう。アジアのオケらしく金管のパワーは欧米のオケには及ばないとしても、その他の部分では一流オケとも遜色ない演奏でした。韓国でもこんなにすばらしいマーラーが演奏されていることに驚きます。

レイフ・セーゲルスタム デンマーク国立交響楽団

セーゲルスタム★★★★★
一楽章、第一主題の三回目のフレーズを弱く開始してクレッシェンドしました。ホールの響きを伴って美しい木管。金管の響きも美しく、オケの響きに透明感があります。ゆったりとした第二主題も大きくテンポが動いて、凄く感情が込められています。第一主題が再度現れる部分でも二回目のフレーズの最初の音に間を置いたり、独特の表現です。展開部の第二主題はさらにテンポを落として音楽に酔うようなテンポの動きです。美しい音色に惹きつけられます。弱音にも細心の注意が払われています。フルートの第二主題は一転して速くなりました。第一主題は金管炸裂。続く低弦、コールアングレ、フルートなどの部分はすごくテンポを落として陶酔しているような演奏です。トランペットの強奏部分ではテンポが速くなりました。とにかく激しくテンポが動きます。再現部の第一主題も二回目のフレーズの最初の音を長めに演奏しました。第二主題が繊細で美しい。コーダもゆったりとしたテンポで濃厚です。セーゲルスタムの感情が刻み込まれた演奏で感じるままにテンポが大きく動く演奏でした。

二楽章、最初の音を演奏してから間を置いて次の音へと移って行きました。デンマーク国立交響楽団って始めて聴くオケですが、とても美しい演奏です。とてもゆっくりとしたテンポで感情を込めて行きます。大切な物を大事に扱うような丁寧な演奏です。中間部も遅いテンポでとても情感豊かです。二回目の主部はさらにテンポを落として陶酔しているかのようにたっぷりと歌います。セーゲルスタムの風貌からは想像もつかない透明感の高い、涼しげな音色ですが、濃厚な感情が込められています。最後の主部の再現でも弦のピツィカートもとてもゆっくりした演奏です。とても安堵感のある安らいだ演奏でした。

三楽章、強烈なティンパニの一撃でした。この楽章は一転して一般的なテンポで流れます。とても緻密に表情がつけられていて、細部まで豊かな表情です。中間部の金管の主題も美しい響きでした。テンポを落としゆったりと歌うトランペット。主部が戻ってまたテンポが速くなりました。豊かな表情に生命観を感じさせる演奏です。この楽章でもテンポがよく動きました。

四楽章、柔らかく歌い始めるアルト独唱。意外と淡々とした金管のコラール。セーゲルスタムの解釈に合わせて感情の込められた独唱です。アゴーギクを効かせるヴァイオリン独奏。最後は天国へ。この楽章でもテンポが動きます。

五楽章、重い銅鑼の響き、金管の第一主題の絶叫の途中でテンポを煽りました。ホルンの動機が現れるまでの間もゆったりと濃厚な表現でした。凄く遠いバンダのホルンの動機。テンポが頻繁に動きます。第二主題部の木管は良く歌いました。トロンボーン、トランペットと引き継がれホルンが現れる部分ではテンポを大きく落としました。遠いバンダのホルンの前で木管がスタッカートぎみに演奏します。深みのある金管のコラール。展開部の壮大な響きがすばらしい。打楽器のクレッシェンドの前はテンポを速めました。打楽器の後もテンポは速いままです。テンポはよく動きまてが、オケはちゃんと付いて行っています。テンポを速めて演奏する部分では生き生きとした生命感や躍動感があります。再現部で長く尾を引くバンダのホルンとトランペット。意外と抑えることなく始まった透明感の高い清涼感のある合唱。合唱の中から次第に浮かび上がるアルト独唱。伸びやかな男声合唱。オケのパワー感が溢れるような強力なクライマックスではありませんが、十分輝かしく壮大なクライマックスでした。最後のオケだけになる部分の金管のエネルギー感はすばらしかったです。最後の伸ばす音は銅鑼もロールしていたような音がしました。

セーゲルスタムの感情のままにテンポが動く演奏は古いスタイルかも知れませんし、好き嫌いが分かれるでしょう。私には特にテンポを落としてたっぷりと表現される音楽がロマンティックでとても心に残った演奏でした。

マルクス・シュテンツ/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団

icon★★★★★
一楽章、コントラバスの弓から松脂が飛び散るような凄味のある第一主題。ホルンも強くビーッと鳴ります。リズムの切れも良く、スコアに書かれている音符を全てさらけ出そうとするような演奏です。第二主題への移行はテンポも動かさずにすんなりと移りました。振幅の大きな音楽です。展開部はセッション録音らしく鮮明な独特の美しさです。解像度高く鮮明で美しいフルートとヴァイオリンのソロ。テンポを速めるところでは畳み掛けるように劇的でぐんぐん前へ進もうとする強い推進力があります。再現部の前はゆっくりと叩きつけるように、そして最後はさらにテンポを落としました。再現部の第二主題はあっさりと始まりましたが次第にテンポが遅くなり、こってりとした表現です。コーダはゆっくりとこの曲が葬送行進曲だったことを印象付けます。さらにテンポを落として終わりました。

二楽章、すごく歌い細かな表情が付けられた主題。押したり引いたりの揺れが心地よい演奏です。テンポも動いて豊かな表現です。中間部の三連符も繊細です。テンポの動きと強弱の変化が幅広くとても積極的な表現です。基本のテンポは速めでぐいぐいと前へ進みますが、時折テンポを落として小休止のような落ち着きを与えてくれます。弦の入りにアクセントを付けて色彩感を強調するような演奏です。

三楽章、ヴァイオリンの主題にもアクセントが付けられて、続く木管にも表情が付けられています。シュテンツはかなり細部まで表現にこだわったようです。無表情に演奏されるパートは皆無と言って良いほど無くとても生き生きとした音楽になっています。終盤で金管が炸裂します。すっきりとした明るい響きでとても心地良い響きでした。最後にテンポをグッと落としてまた加速して落ち着いたところで終わりました。

四楽章、ドラの響きが残る中から独唱が始まりました。あっさりとしたコラール。人間が歌っている自然な歌声の独唱です。感情が込められた独唱。

五楽章、重い響きのドラ。明るい金管全開の炸裂。遠くから明るい響きのホルンです。第二主題の後ろの弦のピツィカートも強弱の変化があります。ホルンのバンダは遠いですが、かなり強く吹いているようです。チューバが底辺をしっかり支える重厚な金管のコラール。展開部でも金管の充実した響きが聴かれます。初めて聴いたオケですが、かなり上手いです。打楽器のクレッシェンドにもの凄く長い時間を使いました。こんなに長いクレッシェンドは初めてです。再現部に入って、トランペットのバンダは聞き取りにくいほど遠くにいます。トゥッティの金管のマッシブなパワーも凄い力があります。ホルンのバンダとバランスの取れたトランペットのファンファーレ。比較的大きめの音量で歌い始める合唱。合唱から抜き出てくる独唱。弦が歌い次第に高揚して行きます。男声合唱が強く歌う部分でもバックで金管がしっかり鳴っています。広がりのある男声合唱。二重唱の後テンポが速くなってきました。その後大きくテンポを落としてクライマックスへ。圧倒的なパワーのクライマックスでした。

豊かな表情付けと、最後の圧倒的なクライマックスへと音楽を運ぶシュテンツの設計も見事でした。素晴らしい演奏でした。

グスターボ・ドゥダメル/ ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団

ドゥダメル★★★★★
一楽章、大勢で演奏している感じが伝わってくる響きです。ゆったりとした第一主題。注意深く表現しています。大編成の充実した響きです。第二主題もゆったりとしたテンポで作品を慈しむような表現です。若いメンバーで構成されたオケですが、その若さが溢れ出るような活気に満ちた演奏には惹かれるものがあります。展開部の第二主題はさらにテンポを落としてたっぷりと歌います。テンポは遅いですが、気持ちのこもった密度の濃い演奏です。第一主題が現れる前からテンポを上げました。南米のオーケストラらしく原色の色彩感濃厚な演奏です。第一主題の後の低弦はすごく遅いテンポです。ライヴらしく即興的に大きくテンポが動きます。コーダの葬送行進曲を予感させるように切ない第二主題。夕暮れから日没へと向かうような寂しさを感じさせます。コーダもゆっくりとしたテンポで引きずるような葬送行進曲です。深みのあるドラの響き。最後は速いテンポで一気に終わりました。

二楽章、間をあけて、ゆっくりと語りかけるようなほのぼのとした雰囲気です。同じメロディーでも強弱の変化を付けたりして、多彩な表現です。ドゥダメルは表現の引き出しをたくさん持っているようです。とてもゆったりとしたテンポで歌います。中間部はテンポも速めてかなり激しい表現で、主部とは対照的な演奏です。二回目主部が戻ると夢見心地のような音楽に身をゆだねるような気持ちにさせる見事な音楽です。二回目の中間部もテンポを上げて主部とは対照的な音楽で描き分けています。三回目のピチカートの主部も柔らかい響きでとても心地よい演奏です。最後はハープが美しく立体的にクローズアップされました。

三楽章、遠くで響くティンパニ。二楽章から一転して速めのテンポで生き生きとした表現の演奏です。煽り立てるように前へ前へと進む音楽。勢いを感じさせるクラリネット。ドラの崩れ落ちるような深い響きはこの演奏のスケール感を大きく感じさせるのにとても効果的です。とても積極的な表現をする管楽器。小さいミスはあるけれど、ユース・オーケストラとは思えない完成度です。また、ミスを恐れずに積極的に表現しようとするオケのメンバーの若さが溢れる演奏にとても好感が持てます。

四楽章、この楽章もゆったりとしたテンポで感情のこもった独唱です。チューバの響きが弱く薄い響きの金管のコラール。豊かな表現で語りかける独唱も見事です。最後はさらにテンポを落として濃厚な表現で天国へといざなわれました。

五楽章、遠くから響く金管の第一主題。打楽器の怒涛のクレッシェンド。この楽章もゆっくりとしたテンポで丁寧に進めて行きます。柔らかく長い尾を引いて響くバンダのホルン。第二主題も表現力のある演奏で、ゆったりとしたテンポでも間延びしません。展開部でもユース・オケとは思えない充実した響き。クラッシュシンバルが豪快に、しかもとても良い音で鳴り響きます。若いオケのメンバーが高い集中力で力の限りの演奏をしている姿には感動さえ覚えます。少しくすんだ響きのバンダのトランペット。再現部へ向けてテンポを上げました。静まったところでまたテンポを落としました。柔らかい響きが溶け合うバンダのトランペット。ステージ上のフルートとバンダの演奏がすごく立体的に聞こえます。抑えた合唱で始まりました。合唱の合い間の弦楽合奏川の流れのようにとうとうと豊かな演奏でした。二回目のソプラノ独唱は一回目よりも音量を上げ、バックの合唱も次第に音量を上げてきています。圧倒的な合唱にオケがマスクされたような感じです。クライマックスでは録音の関係でオケをミキシングで絞ったような感じがしましたが、生で聴いたら凄い演奏だったろうと思います。
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サイモン・ラトル/ バーミンガム市交響楽団

ラトル★★★★★
一楽章、勢いをつけたトレモロ。深みのある第一主題。オケが一体になったバランスの良い響き。第二主題に入る前に少しテンポを落としました。感情が込められた美しい第二主題。テンポや強弱も変化します。展開部の第二主題はテンポを落としてゆったりと深く歌われます。響きもヴェールに包まれたような美しい響きです。テンポも動き、激しいホルンの咆哮もあります。再び第2主題がフルートやヴァイオリン・ソロに現れる部分ではテンポが速くなっています。感情を込めて、畳み掛けるようにテンポが速くなったり、再現部の前は凄く遅く演奏しました。再現部に入っても少し間を空けたり、表現が豊かです。感情を叩きつけるように激しい金管のトリル。再現部の終わり頃はすごくテンポを落としてたっぷりと歌います。コーダの終わり近くの弦が何度も同じ音形を演奏する部分の頭に強いアクセントを付けて演奏しました。最後は凄くテンポを落としました。

二楽章、速めのテンポですが、たっぷりと歌われる主題。弦がリズムを刻む部分も迫り来るような力があります。テンポもアッチェレランドしたりritしたり大きく動きます。強弱の変化も激しいダイナミックな演奏です。ピチカートで演奏される主題も表情が豊かに付けられています。

三楽章、強烈なティンパニの一撃。とても克明な表情が付けられた演奏です。集中力の高い演奏であることが伝わって来ます。登場する楽器が鮮明な隈取りで入って来ます。とても色彩感のはっきりした演奏です。最後のドラはかなり強めに叩きました。

四楽章、控え目に入った独唱。美しい金管のコラール。慈しむように歌う独唱です。天国へといざなわれます。

五楽章、怒涛の全開第一主題。弦が強いアクセントで入って来ます。間接音を含んで適度な距離感のバンダのホルン。一音一音魂が込められたような第二主題。対照的にテヌートぎみに演奏されるトロンボーンとトランペット。美しく表情が付けられた金管のコラール。展開部でも全開のホルン。長い打楽器のクレッシェンド。再現部へ向けては速めのテンポで進みますが途中テンポを落とす部分もありました。トランペットと打楽器のバンダは比較的近い距離にいる感じです。静かに歌い始める合唱。伸びやかな独唱。クライマックスでは合唱がオケに負けているようなバランスになります。ゆったりと壮大にクライマックスを作り上げます。バンダも総動員のラストは壮観です。

テンポを大きく動かしたり、アゴーギクを効かせたりすることはありませんが、要所要所で感情移入した表現を聞かせ、最後は壮大なクライマックスを築いたすばらしい演奏でした。
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ズービン・メータ/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 2000年ライヴ

メータ★★★★★
1975年のウィーンpoとの高い集中力と若いエネルギーを思いっきりぶつけた快演と、後にイスラエルpoと残した超凡演の落差に驚かされましたが、このライヴではどんな演奏を聴かせてくれるのでしょうか。

一楽章、凄いスピード感のある第一主題。音楽にも強い推進力があります。第二主題も速めのテンポですが、思い入れはたっぷりです。キビキビとしたテンポで進みますが、時折大きくテンポを動かすこともあります。ウィーンpoの音色もとても美しく収録されています。展開部で第一主題が現れた後はかなりゆっくり演奏しています。盛り上がりに合わせてテンポを速めますが、再び遅くなったりかなりテンポが動きます。1975年の一筆書きのような豪快な演奏とは違う、年輪を重ねて音楽の濃淡を表現するようになったのか。基本的には速いテンポの演奏ですが、内容はかなり濃厚な演奏です。

二楽章、一音一音刻み付けるような表現もあれば、流れるようにサラサラと音楽が通り過ぎて行ったり、とても表現の幅が広いです。中間部の弦の刻みも克明です。クラリネットが落ちそうになります。音楽の起伏に富んだすばらしい演奏です。メータはニューヨークへ行ってから鳴かず飛ばずになりましたが、この演奏では、昔の輝いていた時代を思い出させるような活気のある名演です。

三楽章、表情豊かな主題。木管の後ろで動く弦の生き生きしていること。美しいトライアングル。この楽章の冒頭でも感じましたが、かなりデッドな録音で、中間部の金管も生音が突き刺さってきます。主部が戻って、再び生き生きとした表現になります。

四楽章、控え目に歌い始める独唱。この演奏の一部であることが非常に良く分かる一体感のある独唱です。

五楽章、怒涛のように押し寄せる第一主題。ホルンの動機に向けて自然に静まって行くのもとても良い感じでした。間接音を含んで適度な距離感のバンダのホルン。第二主題は速いテンポでグイグイ進みます。トロンボーン、トランペットと引き継がれた後はテンポを落としました。速いテンポですが、とても心地よい金管のコラール。勇壮で豪快に音楽は進んで行きます。色彩感も原色の濃厚な印象です。音楽の輪郭もくっきりしていて、メータの若い頃の特徴が再現されているようで、嬉しい演奏です。音量を極端に抑えているわけではないのですが、静寂感のある合唱。独唱も伸びやかな歌声でくっきりと浮かび上がります。トライアングルは全曲を通してとても美しい音で鳴っています。合唱が入ってからも速めのテンポでとてもリズミカルです。終盤でも金管が豪快に鳴り響き見事です。クライマックスへ向けての打楽器の強烈なクレッシェンド。

メータの燃え上がるような内面を見事に音楽として表出した名演でした。
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ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 1995年ライヴ

ハイティンク★★★★★
一楽章、強調することなく始まった弦のトレモロ。とても反応の良いオケで緊張感が伝わって来ます。第二主題へはほとんどテンポを変えずに入りました。ハイティンクの指揮ははったりをかますようなことは全くありませんが、細部にはすごくこだわった演奏をしているようです。オケの色彩感もとても濃厚で美しい演奏です。ここぞと言うところで僅かにテンポを落としたりもします。オケはとても良く鳴り、世界最高峰のオケの実力を遺憾なく発揮しています。黄昏れるような再現部の第二主題。コーダのハープの深い響き。テンポを変えずに終わりました。

二楽章、最初の音と次の音に間を空けました。オケの一体感のある見事なアンサンブルはさすがに素晴らしいです。美しい弦。ピーンと通るフルート。過去を回想するのどかな雰囲気がとても良く表現されています。細部に渡る表現の徹底ぶりはすごいです。

三楽章、軽い響きのティンパニ。弦や木管の表情がとても豊かです。オケがハイティンクの棒にしっかりと反応しています。どのパートも登場すればくっきりと浮かび上がりとても色彩感が豊かです。精密機械のように寸分の狂いも無く動くオケは見事としか表現のしようがないほどです。

四楽章、ゆったりと歌う独唱。感情の込められた金管のコラール。感情を込めて自由に揺れる独唱。

五楽章、軽~くそれでも鳴り渡る第一主題。第二主題も締まりがあって緊張感のある演奏です。静寂感と間もなかなか良いです。見事なハーモニーを聞かせる金管のコラール。展開部でも金管が気持ちよく軽々と鳴り響きます。とりたてて極端な表現などはありませんが、きちんと交通整理された見事な統率です。遠いバンダのファンファーレ。再現部へ入ってからもトランペットのバンダはすごく遠いです。合唱に入る前もかなり時間を置きました。合唱は極端に音量を落とした歌声ではありません。独唱も合唱のハーモニーの中を泳ぐような優雅な歌でした。合唱も一体感のあるとても優秀な歌唱です。合唱とオケに若干のアンサンブルの乱れがありました。盛り上がりに合わせてテンポを速めましたが、頂点の直前にritして頂点では元のテンポです。クライマックスでも合唱の表現は豊かで見事な統率です。オケも合唱もとても良いバランスでクライマックスを築きました。

極端な表現や主張はありませんが、細部まで見事な統率力で締めくくりました。感情でドロドロになることはありませんが、すごく美しく「復活」を聴かせてくれました。すばらしい演奏でした。
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エリアフ・インバル/東京都交響楽団 2012年横浜ライヴ

インバル★★★★★
一楽章、フワッと始まったトレモロ、軽いタッチの第一主題ですが、慎重な足取りです。くっきりと浮かび上がる締まった木管。感情を込めてアゴーギクも効かせる第二主題。テンポの振幅も大きく、慎重に進む部分と颯爽と進む部分の対比があります。とても濃厚です。展開部の第二主題は非常にゆっくりとしたてテンポで感情を込めた表現です。軽々と鳴り響く金管。色んな楽器がバランス良く演奏されるので、とても情報量が多いです。ライヴとは思えない透明感の高さと精緻さです。第二主題を一音一音押すようにゆっくり演奏するのが特徴的です。

二楽章、丁寧に歌われる美しい主題。テンポの動きも絶妙です。中間部の弦の刻みもとても丁寧です。乱暴や雑なところが全く無くとても高い集中力の演奏です。日本のオケらしく隅々まで神経が行き届いた良い演奏です。

三楽章、ゆったりと滑らかに上下する主題。中間部のトランペットの主題はテンポを速めて活動的ですが、すぐにテンポを落としてゆったりと濃厚な表現になります。繊細な弦、瑞々しく美しい木管もとても良いです。

四楽章、とても澄んだ空気感です。ゆっくりととても感情のこもった歌です。独唱が静かに語りかけて来ます。

五楽章、炸裂する打楽器、金管は余裕のある美しい響きですっきりと整理された主題。間接音を含んで程よい距離感のバンダのホルン。速めのテンポで淡々と演奏される第二主題。大きく歌う金管のコラール。展開部でも絶叫はしません。感情移入はありますが、きっちりと制御されていてとても緻密な演奏になっているのが印象的でインバルらしいです。再現部冒頭も冷静です。かなり音量を抑えて静かに始まる合唱。美しく壮大なクライマックスです。ここでもオケは冷静です。

感情を込めた歌もありましたが、常に冷静で緻密な演奏で、日本人らして繊細な美しさは出色のものです。パワーで圧倒するような力はありませんでしたが、素晴らしいバランスの演奏でした。
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ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1993年ライヴ

ハイティンク★★★★★
一楽章、重量感のある第一主題。見事に統率の取れたアンサンブル。展開部の第二主題は夢見るような美しいものでした。激しいホルンの咆哮。精度の高いアンサンブルと反応の良い演奏に感服します。大きな主張はありませんが、作品の魅力を存分に引き出しているような演奏です。最後はゆっくり、そしてホルンが大きく吠えて終わりました。

二楽章、柔らかく自然な歌の舞曲です。消え入るような弱音が特徴です。二回目の主題でチェロの対旋律がある主題は羽毛で肌を撫でるような柔らかく美しい演奏でした。このような美しい弱音から金管の咆哮まで、とても振幅の大きな演奏です。

三楽章、音量を抑えながら強弱に敏感に反応する弦の主題。ハイティンクのこだわった微妙な音の扱いがあります。整然と整ったアンサンブルは見事です。

四楽章、美しくバランスの良い金管のコラール。ネスの独唱はいつも最後の音が短い。

五楽章、かなりのパワーを爆発させる第一主題。自然な歌の第二主題。展開部でも爽快に鳴り響く金管。かなりのパワーを発散していますが、力ずくではないのがハイティンクらしいところです。それにしてもベルリンpoの安定感は抜群です。バンダのホルンは残響が少なくあまり遠くにいる感じがありません。トランペットのバンダは残響を含んでいて柔らかく美しいです。静かに歌い始める合唱。独唱の部分はゆっくりです。二重唱のあたりからテンポが速くなりました。ゆったりとしたテンポで、輝かしく壮大なクライマックス。感動的で見事な演奏でした。

いつものハイティンク同様、誇張も力みも無く、自然体の演奏でしたが、金管はかなりの咆哮を聞かせました。ベルリンpoの抜群の安定感と、ハイティンクの堅実な音楽の運びで、何度でも聞ける演奏だったと思います。
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マーラー 交響曲第2番「復活」3

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チョン・ミョンフン/フランス放送フィルハーモニー管弦楽団

チョン・ミョンフン★★★★★
一楽章、みごもごしたような柔らかい低域を含んだ第一主題。パワフルなトランペット。たどたどしい感じに演奏される第二主題。提示部の終わりはゆっくりでした。展開部の第二主題は非常にゆっくりと夢見るように始まりました。たっぷりと歌うイングリッシュホルン。遅いテンポで美しく進みます。一旦速くなったテンポも第一主題が現れた後のコントラバスからも非常に遅いテンポです。その後の荒れ狂うようなオケ。色彩も濃厚で美しいです。コーダもゆっくりとしたテンポで進みます。

二楽章、ひきずるように脱力した主題。中間部はしっかりとリズムを刻み主部とは対比されています。濃厚で切れ込むような色彩とテンポの動きはこの楽章でもあります。

三楽章、かなり強打するティンパニ。速めのテンポで流れるような主題。すごい運動性のある演奏です。引き締まった表現で強弱がしっかりと付けられています。快速に飛ばします。フルートとヴァイオリンのアンサンブルに乱れが出ます。

四楽章、ゆっくりと丁寧に演奏されるコラール。テンポの動きもあります。柔らかいヴァイオリンのソロ。

五楽章、一気に炸裂して怒涛のように押し寄せてくる第一主題。残響の少ないバンダのホルン。フルートとイングリッシュホルンの動機でもテンポが遅くなりました。展開部もゆっくりとスケールの大きな演奏です。トランペットのハイトーンも強烈です。行進曲調になる部分でもトランペットが気持ち良く付き抜けます。再現部冒頭もかなりのエネルギーです。トランペットのバンダは残響が少なく寂しい響きです。バンダのティンパニが遅れました。静かに歌い始める合唱。コントラルトとソプラノの声の太さの違いもはっきりしています。力強い合唱と一体になったオケのパワフルな響き。圧倒するようなエネルギーは凄かったです。

大胆なテンポの動きと、濃厚な色彩と突き抜けてくるトランペットなど、とても聞き応えのある演奏でした。ソウルpoとの演奏よりも強い主張のある演奏でした。
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クリストフ・エッシェンバッハ/パリ管弦楽団

エッシェンバッハ★★★★★
一楽章、あまり重量感の無い第一主題。第二主題はアゴーギクを効かせて豊かに歌います。展開部の第二主題は一音一音分けるようにさらにゆっくりと演奏しました。盛り上がるにつれてテンポが速まり、ホルンの激しい咆哮がありました。フルートやヴァイオリンに現れる第二主題もたっぷりと歌います。テンポの動きや強弱の振幅も広くかなり濃厚な表現の演奏です。再現部の最初は颯爽と進みます。第二主題はとても美しいです。第二主題の後はゆっくりと濃密な表現になります。

二楽章、落ち着いたテンポで確実な表現の主題です。ここでもテンポの動きはいろいろあります。間があったりして楽しげな歌です。少し強引なテンポの動きもあります。

三楽章、豊かな表情の弦とクラリネット。中間部のトランペットで僅かに加速します。表現が積極的で豊かです。

四楽章、非常にゆっくりとしたテンポでで暖かい声で静かに歌い始める独唱。コラールの方が音量が大きいですが、ここもゆっくりです。独唱は藤村実穂子できないか。遅いデンポですが、味わいのあるとても良い演奏です。

五楽章、かなりのエネルギーを炸裂させる第一主題。程よい距離ざすが残響は少なめなバンダのホルン。突然のホルンの強奏やテンポの動きもあります。伸び伸びと咆哮する展開部のホルン。長い打楽器のクレッシェンド。オケを明快に鳴らして起伏の大きな演奏です。再現部も襲い掛かるような金管の咆哮です。ゆったりとしたテンポで静まって行きます。遠くからシャープに響くバンダのトランペット。静かですが抑揚のある合唱。ソプラノ独唱にも表現があります。テンポはかなり変化します。藤村が歌う部分はかなり遅くなっています。二重唱も遅いテンポです。ゆっくりとしたテンポのまま壮大なクライマックスです。

フィラデルフィアoとの録音とはかなり違った演奏で、エッシェンバッハの感情と作品への共感が強く出された演奏だったと思います。テンポの動きや随所で歌われる歌も良かったですし、ゆったりとしたテンポの壮大なクライマックスも見事でした。
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ヴァレリー・ゲルギエフ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

ゲルギエフ★★★★★
一楽章、かなり気合のこもった第一主題。相当な意気込みを感じさせる演奏の開始です。ねっとりとした濃厚な色彩。微妙な表現が付けられた第二主題。表現がとても引き締まっていてオケが機敏に反応しています。割と現実的な展開部の第二主題。打楽器がリアルで強烈に入って来ます。再現部の第一主題も凄みがあります。最後も凄い表現でした。

二楽章、一転して穏やかで揺れる主題。この楽章でも強弱のメリハリがはっきりとしていてとても締まった表現です。中間部でも切れ込むような弦の刻み。明快なトランペット。生き物のように動くオケと、作品を大きく捉えた表現。

三楽章、硬質ですが、伸びやかなティンパニ。主題はとても明快に強弱が付けられています。色彩感がとても濃厚で、しかも繊細です。ゲルギエフによってしっかりと制御された見事な表現です。

四楽章、バランス良く美しい金管のコラール。リアルな声の独唱。オーボエもテンポが動いて歌います。ヴァイオリンのソロも動いています。

五楽章、激しく炸裂する第一主題。少な目の残響で響くバンダのホルン。力強く歌う第二主題。エッジが立っていて非常に濃厚です。コントラバスもしっかりとした存在感があります。ソフトなファゴットやフルートの後でバンダのホルンがビーンと響きます。展開部も起伏が激しいです。あまり音量を抑えずしっかりと歌い始める合唱。あまり抜けて来ない最初のソプラノ。二度目は大きく抜けて来ました。後で支える合唱も大きく見事でした。合唱の声量が上がった部分もダイナミックです。クライマックスの圧倒的な合唱と、それに負けないオケも素晴らしいです。

濃厚な色彩感と引き締まった表現。強打するティンパニ。圧倒的な声量の合唱。文句無い見事な演奏でした。ロンドンsoとの録音よりもこちらの方が良かったように感じました。
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クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番

マーラー 交響曲第2番「復活」4

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

クラウディオ・アバド シカゴ交響楽団

マーラー 復活 アバド★★★★☆
私の青春のころの録音で、当時何度も何度も聞いた記憶があります。メータの演奏よりは細身な印象でしたが、細部まで、行き届いた演奏だったような記憶ですが、今聞きなおすとどんな印象でしょうか。

一楽章、ホールの響きを豊かに伴った冒頭です。同じシカゴsoでもショルティの演奏のようにオケが近くないので、全体を見渡すことができます。
この演奏でもアバドは特に何かを主張することもなくオケに任せているような印象です。オケもショルティの時よりも、かなり余裕をもって演奏しているようです。それでも2003年のルツェルンの演奏よりも、若い勢いのようなものが演奏にも現れていて、好感が持てます。
弱音部は美しいですが、テンポはあっさりねばることもなく、微妙なニュアンス付けがなされています。ルツェルンの演奏よりも格段に表情は豊かです。オケも統一感があって、こちらの演奏の方が私は好きです。
強奏部分でも、強い推進力があって、やはり、若いころのアバドはなかなか良い演奏をしていたんだなぁと改めて感じます。聴き進むにつれて、大きい波の中に引き込まれて行くような不思議な力を持った演奏です。メータ、ウィーンpoのような豪快さはありませんが、とても繊細で丁寧な演奏です。

二楽章、何の違和感もない中庸なテンポでの開始です。オケはとても美しい。テンポが大きく動くこともなく、安心して聴いていられる安堵感があります。そして、この演奏にはルツェルンとの演奏にはなかった歌がある。心和む良い演奏です。

三楽章、ちょっとつんのめったようなティンパニ、でも違和感は感じません。この高性能オケを余裕を持たせながら美しい響きの中で音楽が進んで行くのはとても心地よいです。マーラーの音楽が持つメッセージ性などはあまり表現していないかもしれませんが、純粋な音楽としての完成度はかなり高い演奏だと思います。

四楽章、とても、ゆっくりと心のこもった独唱、この独唱の振幅の大きな歌唱は感動的です。アバドの控えめな表現とは対照的です。すばらしい独唱でした。

五楽章、冒頭の金管が最初の三つの音をテヌートぎみに演奏したのはナゼだろう?
遠くで響くホルンのバンダも心地良い。さすがにオケは抜群に上手いです。金管群はショルティの演奏のようなフルパワーではないので、とても美しいです。とにかく、このスーパーオケの底力を思い知らされる。ffでも余裕たっぷりの美しさは、この演奏の特徴です。
アバドの指揮なので、没個性と言えば確かにそうなのだが、大きくデフォルメされた部分もないので、作品そのものを聴くには良いでしょう。余計なことは考えずに、美しい音楽が流れて行くのにどっぷりつかるのも良いかもしれません。
オケも独唱も合唱も文句のつけようがありません。

マーラーの復活を聞くと言うよりも、音響の構築物としての美しさを聴くCDだと思いました。

レナード・バーンスタイン ロンドン交響楽団

icon★★★★☆
この時代のバーンスタインの演奏はかなり良いと思っています。ニューヨーク時代の荒れた演奏から、潤いのある音楽へと変化していった時代だと思います。
同じくロンドンsoと録音したストラヴィンスキーの春の祭典も私にとっては同曲のベストの一つです。

一楽章、すごくゆっくりな出だしです。一音一音刻むようにとても堅実な足取りです。後にニューヨークpoとの録音を予感させるような、この時期から音楽への共感や没入の度合いがどんどん深くなっていったのでしょうか。
この時期の演奏がこれなら、後の常軌を逸したとも思われる演奏は進化系として納得できます。
起伏の激しさや表情の豊かさはニューヨークpoよりもこちらの演奏の方が上かも知れません。
ロンドンsoもよくついていっています。シカゴsoほどのスーパーオケの完璧さは求められませんが、いろんな指揮者の要求に応えることができる世界でも数少ないオケの一つだと思います。
この遅いテンポでも緊張感が途切れないのは、さすがです。音が散漫になることはありません。

二楽章、こちらもゆっくりな演奏ですが、テンポの揺れが絶妙です。細かな表情もあり、後の演奏よりも、こちらの方が細部まで行き届いた演奏だと思います。音楽に浸ることができる良い演奏でした。

三楽章、冒頭のティンパニの残響が長い。まったく音を止めていないのかな。テンポは一般的な範囲です。表情は豊かです。格別に音が美しいということもないのですが、ニューヨークpoとの録音の時に若干感じた鈍重さはありません。

四楽章、美しいコラールです。独唱にも細部にわたってバーンスタインが指示したのでしょう。強弱の変化などもあって、テンポも大きく動いて、なかなかの聞かせどころです。
ただ、近くにいるパートと遠くにいるパートがあって、多少不自然な録音になっているのが気になります。

五楽章、かなり短めの音の処理で始まりました。バンダは豊かな響きを伴って伸びやかです。
テンポは遅めではありますが、ニューヨークpoとの録音ほど極端な遅さではないので、普通に聴くことができます。若干アンサンブルが乱れることもありますが、それよりも積極的な表現が前面に出てきて、バーンスタインの解釈をロンドンsoも果敢に音楽にしようとしているようすが伺えて、うれしくなります。そして、次第に音楽もヒートアップしてきます。
この演奏は国内では、あまり評価されていなかったような気がするのですが、これはかなりの好演です。
バンダのシンバルがやたらとでかいのが、ちょっと・・・・・(^ ^;
クラッシュ・シンバルは全体に遅れ気味で、その上落ちているところもあって、ちょっと・・・・・・です。かなり大きいシンバルを使っているようで、すごいエネルギー感はありますが。
合唱の中から浮かび上がる独唱が、霧が次第に晴れて女神が出現するように、クレッシェンドをともなって、次第にはっきりと現れてくるのが見事です。
ホールの豊かな響きも手伝って、すごく神秘的な雰囲気を醸し出していてすばらしい。この合唱の弱音部分はこれまで、聞いた中でもベストかもしれません。
終結部はニューヨークpoの録音と同じく超スローテンポになります。ホールの響きが豊かなので、こちらの演奏のほうがスケール感があります。
最後は鳥肌が立つような、壮絶な盛り上がりで、個人的にはニューヨークpoとの録音よりもこちらの方が好きです。こちらの方が、あくまでもマーラーの作品の範疇にある演奏だと思います。

ニューヨークpoとの録音を高く評価される方には、こちらの演奏も是非聞いてみてください。
また、ニューヨークpoとの録音には、ちょっとついて行けないという方も、この録音は是非聞いてみてください。
若い頃のニューヨーク時代の荒削りな部分は影を潜め、音楽への共感が深くしかも、表情も豊かで、オケもロンドンsoなので、安定感もあります。多少の乱れはありますが、全体の出来の良さからすれば、ほとんど問題にならないでしょう。
また一つすばらしい名演奏に出会いました!

サー・ゲオルグ・ショルティ シカゴ交響楽団

icon★★★★☆
ショルティ二度目の録音。
マルチ録音の典型的なオンマイクでの収録。ショルティのデッカへの録音は全て同じ傾向の録音です。
弦楽器からは松脂が飛び散り、金管楽器のベルに頭を突っ込んで聞いているような、極めて近い位置で演奏を聞いているような録音です。録音の方向としては、インバルのワンポイントを基本にした録音とは正反対。インバルの録音では、ホールの天井の高さまで分かるような全体を捉えた録音で楽器の響きもホールに響く時間軸も捉えた伸びやかな音質に対して、このショルティ盤は楽器一つ一つを聴くような録音です。
録音の影響も大きいのだと思いますが、かなり男性的で筋肉質な演奏。ゴツゴツとした力演です。

一楽章、冒頭からもの凄いスピード感ではじまる。一音一音の粒立ちがはっきりしているし、ブラスセクションも強いアタックで入ってくるので、ダイナミックレンジが広い演奏に感じる。
また、色彩感が豊かなのもこの演奏の特徴でしょう。ただ、かなりのオンマイクで録られているので、楽器の生音を聞いている感じが非常に強く、ホールに広がっていく響きは全く捉えられていない。実際のコンサートでは、絶対に聞けない音です。
スピード感と言うか、何かに追いかけられているような独特の緊張感を聞き手に与える演奏です。
スコアを顕微鏡で見ているような、楽器の動きが手に取るように分かる。音楽を聴いているというのとは、ちょっと違う、オーディオのためと割り切った録音なのか・・・・・・。
シカゴ交響楽団は抜群に上手いし、ショルティの指揮もアゴーギクを効かせて微妙な動きがあったり、世間で言われるほど無機質なものではない。

二楽章、比較的遅めのテンポで、弦の表情も豊かだが、極端なオンマイクのせいで、豊かな響きに包まれるような優しさは望めないのが残念なところです。本来なら、美しい響きに包まれて音楽に身をゆだねたいところですが、この演奏ではこの楽章でも、緊張を要求されます。

三楽章、少し速めのテンポでスタート、細かなアーティキュレーションの表現も難なくこなし、音楽が進んでいく。早いパッセージも余裕でこなす、オケの実力には脱帽!ホールトーンも含めたもう少しオフマイクで録られていれば、もっと音楽的な評価がされていたのかもしれないが、あまりにも細部の音まで聞こえてしまうので、機械が演奏するかのような無機質感を与えてしまうでしょう。とにかく、細部にわたり表情づけがなされています。

四楽章、とにかくマイクが近すぎて、コントラルトの独唱もホールの響きが伴わないので、興醒めしてしまいます。この演奏には緩むところがない。

五楽章、冒頭の低弦から松脂が飛び散るようなド迫力、しかし、バンダは程よい距離感を保っているし、弱音部の表情は豊かだ。ffでも次々と泉のように途切れることなく湧き上がってくるブラスセクション。世界中から名人を集めたルツェルンよりもこちらの方が上手かもしれない。
それくらい名人芸を難なくやってしまう、この集団は凄い!
このオケのパワーを利用してショルティの指揮もクレッシェンドして、次のフレーズへ入るときに少し間を取ったりして、音楽の高揚感をさらに高めていく。
ショルティって、もっと荒っぽい指揮者かと思っていたが、こうやって細部も聞き込んでみると、すごく音楽的で歌心のある指揮者なんだと見直してしまった。
合唱が入って、合間の弦の旋律も川の流れのようにとうとうと流れて行く、そして抑制のきいた合唱、独唱との和音もバッチリ決まる。
パイプオルガンが入ってくる最強音部も力強い。本当に良く鳴るオーケストラだ。
すばらしい演奏なのだが、オンマイクが災いして、音楽に酔うことができないのが残念。
すばらしい彫刻をほどこした柱時計をわざわざ開けて内部にギッシリ詰まった歯車を見て、「凄い!」と感動しているような何か違和感を感じてしまうのは、すごく残念です。
この録音は音響空間を捉えたステレオ録音ではなく、大量のマイクをそれぞれの楽器の前に立てて、他の楽器との干渉を避けるために衝立をたてて一つ一つの楽器をモノラルで録音したものをミキサーのパンポットで定位を決めて行く作業でスピーカーの間に楽器を配置したものです。
奥まった位置にある楽器には少し多めにエコー成分をミックスすることで奥に定位させることもできる。モノラル録音の集合体をステレオに聞こえるように操作して作り出したものなのです。だから、楽器の音は生々しく聞こえますが、空間を感じ取ることができないのです。
ショルティとデッカの録音は基本的にこの音作りで、一世を風靡したわけで、この異常とも思えるオンマイクのマルチ・モノ録音があったからこそ、ショルティは二十世紀を代表する巨匠としての地位を確立したわけでもある。
だから、この録音を否定するわけにも行かないのだが、もう少しオフで録っていてくれれば、音楽を聴くことができたと思うし、ショルティに対する評価も変わっていたのではないかと思う。再生するときにホールのエコー成分を付加する装置も売られているので、少しホールトーンを載せてやると、多少なりとも音楽を聴くことができると思います。

それでも、この演奏はスーパー・オケと巨匠が残した名盤であることには間違いない。オーケストラの機能美を聴きたい人には迷いなくお勧めします。
ホールの響きを含めた、大きい意味での音楽を聴きたい人には、このCDでは音楽に酔いしれることは困難ではないかと思います。

ミヒャエル・ギーレン バーデンバーデン・フライブルクSWR交響楽団

icon★★★★☆
ギーレンの演奏は、昔FM放送で何度か聴いたことはあるのですが、たまたま車の中とか、正対して聴くのは今回が初めてです。
一部では、冷徹の大指揮者などといわれているそうですが、どのような演奏をするのでしょうか。

一楽章、何も思い入れがないかのような導入。オケはアンサンブルもきっちり決まるし金管の音色も明るく、上手いです。
導入部は素っ気なかったのですが、独特の表現があります。他の指揮者に比べて対旋律やハーモニーの下をはっきり演奏させているので、普段聞こえてこない音も聞き取れます。
オケはかなり鍛えられているようで、マスの一体感はすばらしいです。
コントロールも行き届いていて決して暴走することはありませんし、録音の良さも手伝って、弦も繊細な響きが心地よい演奏です。
感情の表出がある演奏ではありませんが、世間で言われるような冷たい演奏だとは思いません。

二楽章、かなり速めのテンポ設定です。一つ一つのフレーズに表現をつけるような、ねちっこいタイプの指揮者ではなさそうです。かなり淡白なのかもしれませんが、とても美しい演奏です。
音の扱いがかなりテヌートっぽい部分が多い感じがします。この指揮者の特徴なのでしょうか。

三楽章、ソフトな音色のティンパニとクリアな弦と木管。確かに響き自体の温度感は低く感じるかもしれません。打楽器なども場面場面での音色も選りすぐりの最良の音色で登場してきます。
ギーレンとの長いコンビで相当鍛えられている印象をうけます。テュッティの一体感やバランスの良さは、なかなか聴けないレベルで、これだけ高水準の演奏を聞かせてくれる組み合わせも稀だと思います。
誇張することはありませんが、自然な音楽としての抑揚はもちろんありますし、無機的な演奏ではありません。
受け狙いや、大見得を切るようなところが一切ないので、印象に残りにくいので、損をしているでしょうね。

四楽章、独唱も実にクリアに録られていまて、とても美しいです。全く誇張することなく、聞き手を引き込むことができる演奏というのは、本当にすばらしいものです。

五楽章、混濁することなく、伸びやかなffです。
同じように、何もしないアバド=ルツェルンの演奏が非常に楽天的に聞こえたのに対して、こちらはかなりシリアスな印象です。
それにしても、ドイツのオーケストラって、地方都市のオケでも水準が高いのに驚かされます。うるさい音は一切出さない。
表現は決して濃くないのですが、響きの温度感が低く張り詰めた緊張感のような空気を生み出しているので、ズシリと重いものが残る演奏です。
合唱はオケとは違って発声もはっきりしているし、響きも明るい。
合唱が入ってからは割りと速めのテンポで進んでいます。合唱が抜けるまで、速いままでした。
最後のオケだけの部分は少しテンポが遅くなりましたが、バーンスタインの演奏のような壮大なクライマックスを期待すると裏切られます。

見事な演奏ではありましたが、どう評価して良いのか私には分かりません。
ん~。何だったんだろう?

ベルナルト・ハイティンク/シカゴ交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、強いアクセントもなくおもむろな出だしでした。低弦の第一主題も強調されることもなく、とてもマイルドな響きです。同じシカゴ交響楽団でもショルティの演奏とは全く音色が違います。ゆったりとした音楽の流れが心地よく感じます。ハイティンクらしく作為的な部分を感じさせない演奏です。 第二主題への移行も自然で、いつの間にか変わったという感覚です。個々の楽器が突出して登場することが無いので色彩的には淡い感じの演奏です。展開部で現れる第一主題の後のティンパニも強打されることはありません。ドロドロすることなくサッパリとした表現に終始したとても美しい演奏でした。

二楽章、速めのテンポです。テンポが大きく動くこともなく、この楽章もあっさりとした表現です。あっさりとした表現ではありますが、とても丁寧に描かれています。

三楽章、ソフトなティンパニから始まりました。控え目な表現で、ハイティンクの主張よりも作品に語らせる演奏なのでしょうか。誇張もなくマイルドで自然な音楽の流れに身をゆだねて流れる音楽にどっぷりと浸っていられる演奏は貴重な存在だと思います。 ブラスセクションが飛び抜けてこちらに突き刺さってくるようなことも一切ありません。とてもバランスに気を使って演奏しています。

四楽章、独唱が静かに歌い始めました。余力を残した豊かな歌唱です。次第にテンポを落として天国へ!

五楽章、ここでも金管と弦がバランス良く鳴っています。良い距離を保ったホルンのバンダです。穏やかな復活の動機。展開部でも絶叫することは全くない。とても美しい。シカゴのブラスセクションとしては、相当に余裕をもって演奏しているのではないだろうか。ライヴでこれだけ抑制の効いた演奏をするのも大変なことだと思います。この演奏を制御し続けるハイティンクの力量も相当のものだと感心します。トランペットのバンダも良い距離にいます。静かに、ゆったりとしたテンポで歌い始める合唱。途中に入る独唱もゆったりとしたテンポで飛び抜けてはきません。力みのないクライマックス。広々とした広大な世界(天上界)を再現しています。シカゴ交響楽団をフルパワーで演奏させることなく、力まず誇張することもなく、自然体を貫いて、常に美しい演奏を実現しました。またここで実現した美しい造形は見事なものでした。ハイティンクの演奏の場合、繰り返して聴いて良さが分かる場合が多いので、再度聴いてみたいと思います。

小林研一郎/日本フィルハーモニー交響楽団

★★★★☆
一楽章、豪快にアクセントを付けて入った弦のトレモロが次第に弱くなってから低弦の第一主題が始まりました。克明に刻まれる低弦、その上に様々な楽器が乗っかり色彩豊かな演奏です。激しいコバケンの唸り声。それに合わせるように激しい演奏をする日フィルです。 第二主題以降も生き生きとした音楽が奏でられて行きます。小気味良いテンポで音楽を運んでいます。音楽はものすごく濃厚に表現されています。テンポもすごく動いて音楽の表現をさらに印象付けています。オケの技量も欧米のものと遜色ありません。

二楽章、オケの集中力も高く音が立っています。フレーズの終わりでテンポを落としたり、少し間を空けたり自在な表現です。豊かな歌があり、また音楽の振幅も幅広くコバケンの作品への共感が伺い知れます。

三楽章、思いっきり叩き付けるティンパニから始まりました。速めのテンポでアーティキュレーションにも反応の良い表情豊かな演奏です。トランペットのffの部分ではさらにテンポが速くなりました。息つく暇も与えずに思いのたけをぶつけてきました。

四楽章、この楽章も速めのテンポでどんどん音楽が押し寄せてきます。太く豊かな声の独唱。

五楽章、荒れ狂うような冒頭。あまり残響を伴わないバンダのため距離感を感じません。展開部は速いテンポで演奏されます。とても彫りの深い音楽を刻み付けて行きます。コバケンの妥協を許さない音楽への姿勢がこのような深い音楽を生み出したのだと思います。強奏部分では荒れ狂うような演奏で、弱奏部分では魂を込めたような演奏がとても心に残ります。所々で長いパウゼがありこれが緊張感を生み出します。トランペットのバンダも残響をあまり含まないので距離感を感じないのがちょっと残念です。極めて抑えた音量で開始した合唱。二重唱はオケともからんでとても良かった。合唱が指揮を見ずに、練習通り歌ったのか?オケと合唱のアンサンブルがズレる場面もありました。頂点の手前で大きくritして見事な頂点を築き上げました。オケに対して合唱の声質に芯が無いようで存在感が薄いようで少し残念でした。それにしても大熱演!コバケン渾身のすばらしい演奏でした。

パーヴォ・ヤルヴィ フランクフルト放送交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、強烈な存在感の低弦の第一主題。オケと一体感のあるブラスセクション。弱めに丁寧に演奏された第二主題。集中力の高い演奏をしているようで、静寂感があります。オケはとても上手いです。緩急の変化も激しい。テンポを落として演奏する部分では、作品を慈しむように丁寧な演奏をしています。終結部ではずっと遅いテンポでしたが、弛緩することなく緊張感を維持したすばらしいものでした。

二楽章、細心の注意を払って演奏されたような微妙な表情の冒頭でした。テンポは速めです。予想外のところで強弱の変化が・・・・・。羽毛のような繊細な表情の弦。オケに溶け込んで美しいピッコロ。すばらしく美しい二楽章でした。

三楽章、マットな響きのティンパニ。ヴァイオリンの主題はすごく繊細な表情です。旋律が強調されて前面に出てきます。テンポを早める部分では生き生きした演奏をしています。

四楽章、冒頭の独唱に寄り添う弦はものすごく弱い音でした。明るい声質の独唱です。最後はゆってりとしたテンポになって天国へ!

五楽章、余裕を持った金管のffでした。バンダのホルンが入る前に次々に弦が入ってくるところはアクセントを付けて入ってきました。バンダのホルンは適度な距離感です。トロンボーンのコラールはすごく明るい音色でした。金管はどのパートも音離れが良く明るい音色です。

ずっとここまでオケはフルパワーは出していないのではないかと思います。トランペットのバンダは遠くにいます。バンダのトランペットのファンファーレの音の広がりは見事でした。

合唱は最初、長い音を長く保って演奏しました。 二重唱からかなりテンポが早くなりました。合唱とともにオケもフルパワーです。合唱が終わる直前で大きくritしました。すばらしいクライマックスでした。 弱音部分の微妙な表現に神経の行き届いた演奏でした。また、予想外のところで大胆なテンポの変化もあり個性的な名演奏だったと思います。

クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番

マーラー 交響曲第2番「復活」5

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

ロリン・マゼール ニューヨーク・フィルハーモニック

★★★★☆
インターネットでダウンロードした音源です。マゼールに対しては正直あまり良い印象はありません。作為的過ぎる感じを持っているのですが、今回の演奏はどうでしょう。

一楽章、軽い感じの第一主題。木管の旋律の裏でホルンが激しく唸ります。第二主題もあっさりとした表現です。展開部に現れる第二主題はゆったりと演奏されます。クラリネットのソロやホルンは美しい音でゾクッとさせられます。金管が気持ちよく鳴り響きます。フルートソロもヴァイオリンのソロも極上の音を聴かせてくれます。再現部の直前はものすごくテンポを落として克明に刻みました。
フレーズの終わりでritをかけたりして表情豊かに演奏されて行きます。弦のメロディーもかなりテンポをおとしてたっぷりと表現しました。ハープがリズムを刻んでホルンが旋律を演奏する部分は早めのテンポで演奏されています。テンポを落としてしっかりと旋律を聞かせる部分もありました。

二楽章、速めのテンポで演奏されます。透明感のある弦と存在感のある管楽器が美しい演奏を繰り広げます。金管は強く入ってきますので、振幅の広い演奏になっています。音色的に鋭いので、包み込まれるような癒し感はあまり感じられない演奏です。

三楽章、ホールに響き渡るティンパニの一撃!続く木管の表情もとても豊かです。アーティキュレーションにも忠実に演奏しているのか、強弱の変化のとても多い演奏です。それにしてもライヴだとは思えないくらい完成度の高い演奏です。一時期低迷したニューヨーク・フィルですが、かなり力を取り戻してきているのを実感させられます。

四楽章、明るい響きのコラール。太い声の独唱。訴えかけるように幅広い表現の独唱です。

五楽章、冒頭の炸裂も明るい響きで重さがありません。とても鋭く軽い響きです。適度な距離感のバンダ。見事な祈りのコラール。すばらしい!展開部の直前は非常にテンポが遅くなりました。マゼールの面目躍如というところか。その後は普通のテンポに戻ります。打楽器のクレッシェンドももの凄く時間をかけて行いました。
トランペットなどのバンダも適度な距離感です。合唱が入る前はとても神秘的でした。合唱から浮かび上がる独唱。メゾ・ソプラノは表現力抜群でした。独唱が始まると他のパートがスーッと音量を落とすあたりの配慮もすばらしい。波が押し寄せるように次から次へと合唱のパートが変わって歌い続けます。輝かしい頂点です。大太鼓とティンパニのクレッシェンドはとても効果的でした。透明感のある弦楽器と木管のソノリティ、そして鋭く明るく安定感抜群のブラスセクション。マゼールが時に大見得を切る場面もありますが、作品から距離を置いて冷めた表現の部分とマゼール自身が音楽にどっぷりとのめり込み音の洪水の中を泳ぎ回るような部分が混ざった演奏でした。マゼールが表現し切ったすばらしい演奏だったと思います。

ダウンロードした音源でしたが録音も良くお勧めです。

ワレリー・ゲルギエフ ロンドン交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、ゆったりとした弦のトレモロに続く深々とした第一主題。ゆっくりとした足取りで刻まれて行きます。ゲシュトップしたホルンが厳しさを演出します。強烈なティンパニのクレッシェンド。劇的な表現が続きます。すごく積極的な表現で音楽の振幅もすごく広い演奏で圧倒されます。展開部はすごくゆっくりとしたテンポで第二主題が演奏されます。激しさと穏やかさの対比がすごいです。オケの集中力も高く、音が集まってきます。テンポも動きますが不自然さはありません。次第に演奏に引き込まれて行きます。

二楽章、一楽章から一転して穏やかな開始です。激しい表現からふくよかな表現までロンドンsoの実力を思い知らされます。ライブでありながらアンサンブルの乱れも無く、集中力の高い演奏が続いています。

三楽章、速いテンポです。表情豊かな演奏です。シンバルが少し遠いような感じがします。テンポは速いですが、生き生きとした表現でとても良い演奏です。

四楽章、弱めに丁寧に歌い始める独唱。とても感情のこもった歌です。この歌とは対照的に無表情の金管のコラール。

五楽章、全開!容赦なく叩きつけるティンパニ。少し遠いバンダ。ゲルギエフは速目のテンポでグイグイ引っ張って行きます。展開部ではホルン全開ですさまじい響きです。テュッティ全開のパワー感はすごいです。速目のテンポですが、すごく凝縮された濃厚な音楽を聴いている充実感があります。表情豊かな独唱。どのパートも表情豊かです。音楽の抑揚に合わせてテンポも動きます。輝かしいクライマックス!充実した演奏でした。
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ジェイムズ・レヴァイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、少し遠目の音場感です。長めのトレモロに続いて第一主題はコントラバスの響きがあまり捉えられていないので、軽い感じがします。第二主題の前は一旦テンポを速めて徐々に遅くなって、第二主題になりました。ブラスセクションの強奏も美しい。小さく定位する美しいヴァイオリン・ソロ。テンポを極端に動かすこともなく、淡々と音楽が流れて行きますが一つ一つの音には細心の注意が払われているようです。作品と誠実に向き合ったような演奏で好感が持てます。

二楽章、速めのテンポであっさりとした開始です。羽毛のように繊細で美しいヴァイオリン。表現は控え目でとても奥ゆかしいです。レヴァインの演奏と言うと、暑苦しいイメージがあったのですが、表現もあっさりとしていて、この演奏はとても涼やかで爽やかです。

三楽章、控え目でマットな響きのティンパニ。続くヴァイオリンや木管も控え目でとても美しい。ひっかかる部分がなく、とても滑らかに音楽が流れて行きます。

四楽章、静かな歌い出し。続く金管のコラールも静かに歌われます。独唱も爽やかで美しい。中間部は少しテンポを上げました。

五楽章、軽い銅鑼の響き。金管も奥まったところから響いてきます。適度な距離で間接音もたっぷりのホルン。続くオーボエはテヌートぎみに演奏しました。第二主題も清楚な感じです。金管のコラールも静かに祈るような美しいものでした。展開部の金管の強奏も、強くは演奏されているのです(ホルンなどはビンビン鳴っています)が、静か?な感じです。展開部の後半あたりから音量感も上がってきました。バンダのトランペットも間接音を伴ってとても美しい響きです。すごく静かに歌い始める合唱。合唱から浮かび上がるソプラノもメゾ・ソプラノも控え目で柔らかい声質でとても美しい。引き込まれるような美しい弱音です。最後は圧倒的な音量感で感動的に曲を閉じました。

弱音の美しさと静かな運び、最後の圧倒的な盛り上がり。レヴァインの見事な統率の名演でした。

小澤征爾/新日本フィルハーモニー交響楽団

小澤★★★★☆
一楽章、勢いのある弦のトレモロ。ゆっくりと確かめるような第一主題。ゆっくれとしたテンポですが、表現は厳しいです。ほとんどテンポを落とさずに第二主題に入りました。展開部に入っても、必要以上に自己主張することは避け、作品のありのままの美しさを表出しようとしているような演奏です。フルートが第二主題を出す前ではかなりテンポを速めて激しい表現でした。再現部の前もかなりテンポを上げて激しい表現をしました。再現部の第二主題は夢見るようなとても美しい演奏でした。強く演奏する音にはかなりのエネルギーを注入するように演奏しています。最後はとても遅いテンポになって終わりました。

二楽章、とても繊細に歌う弦の主題。微妙なテンポの動きや表現など絶妙です。中間部の弦の三連符の刻みなどもとても神経が行き届いた繊細な演奏です。主部が戻ってもヴァイオリンも対旋律で寄り添うチェロもとても繊細です。繊細さのあまり、一楽章で感じられたエネルギー感は影をひそめていますが、表現は尽くしているような感じの演奏です。

三楽章、軽いティンパニ。自然な抑揚の表現です。中間部の金管は余裕をもって吹いています。ひっかかるところもなく自然な流れの演奏です。

四楽章、ゆったりとビブラートを効かせて歌う明るく明瞭な声のアルト独唱。振幅の大きな、感情のこもった独唱です。

五楽章、ここまで抑えてきたエネルギーを放出するようなオケの爆発。残響を伴っていますが、比較的音量の大きなバンダのホルン。大きく歌う第二主題。トロンボーンのトップが強めの金管のコラール。展開部へ入る前に十分テンポを落としました。ボストンsoとのスタジオ録音で感じた不自然なテンポ設定も無く、とてもしっくり来る演奏です。打楽器のクレッシェンドの後は、一旦急速なテンポで風雲急を告げるような演出でした。再現部までの行進曲も速めのテンポでグイグイと前へ進みます。緊張から解き放たれるようなゆったりとした再現部。豊かで広がりのある合唱。必要以上に音量を落とさずに、しっかり声が出る音量で歌われています。表現力のあるソプラノ独唱。二重唱の後はかなりテンポが速くなりました。最後は輝かしい金管と、絶叫する合唱によって壮大なクライマックスを築きました。

前半の繊細な表現と、後半はライブの熱気をはらんだ、とても良い演奏でした。最後のテンポが速くなったクライマックスもライブならではのもので、引き込まれました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/HR交響楽団

ヤルヴィ★★★★☆
一楽章、重いアクセントで入った弦のトレモロ。粒立ちのはっきりした第一主題がホールの残響を伴って響きます。ゆっくりとしたテンポで進んでいます。シャープな響きの金管。かなりテンポが動いて濃厚な表現です。展開部へ入る前はかなりテンポを落として、そのままゆっくりとしたテンポで展開部の第二主題に入りました。濃厚な色彩で豊かに鳴るオケと良く歌う音楽と頻繁なテンポの動きで多彩な表現を繰り広げます。精緻で見通しの良い音楽ですが、作品に対する愛情も感じます。ゆっくりと演奏する部分ではとても良く歌い、テンポを上げて激しい部分では遠慮なくオケをドライブしています。コーダはすごく遅いテンポでしたがさいごは テンポを速めて崩れ落ちるように終りました。

二楽章、テンポが動いて良く歌います。生き物のように敏感に反応するオケ。とても美しい演奏です。

三楽章、ホールに響き渡るティンパニの強打。強弱が付けられたヴァイオリンの主題。深く感情移入している演奏ではありませんが、とても美しく歌う生き生きとした演奏には惹かれます。鋭く突き抜けるトランペット。緩急の変化が大きく、とても表現力豊かな演奏です。

四楽章、柔らかい歌声の独唱。充実した金管のコラール。ホールに響いて伸びやかな独唱。

五楽章、金管が突き抜けて、テンポも動く怒涛の第一主題。豊かな残響を伴ったバンダのホルン。トロンボーンの第二主題も美しい。美しく歌う金管のコラール。ゆったりと大きな響きの展開部。テンポを速めたりしながら勇壮に進む行進曲。再現部の分厚い響きもすばらしい。次第に静まって行く部分はゆっくりとしたテンポで濃厚に表現しました。バンダのトランペットはかなり強いです。人数は少ないようですが、厚みのある合唱。オケでけの部分ではまたテンポが動いて濃厚に歌いました。若干オケに負けている合唱。テンポも強弱の変化も多彩で聞かせどころが多くあります。

歌に溢れて、テンポの変化も多く、この作品の美しさを存分に伝えた演奏でしたが、バンダのトランペットや合唱のバランスなど少し難点があったところが残念でした。
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クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番

マーラー 交響曲第2番「復活」6

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

山田 和樹/日本フィルハーモニー交響楽団

山田 和樹★★★★☆
一楽章、薄いですがきめ細かい弦のトレモロ。第一主題ひコントラバスがあまり存在感を主張しません。金管は咆哮することなく、落ち着いた精緻な演奏をしています。第二主題も粘ったり感情移入するような濃厚な表現では無く、あっさりと演奏します。展開部冒頭は特に美しさは感じません。速めのテンポを基本にして感情の没入は無く、淡々と作品そのものを表現しています。第一主題が出た後のティンパニはかなり強打しました。コル・レーニョもリアルです。決して暴走しない安定感はあります。

二楽章、ここでも速めのテンポが基調ですが、テンポの動きや間は大きいです。オケも地に足が着いた安定感のある演奏で、とても良いです。一楽章とは対照的にテンポが動きます。

三楽章、重いティンパニ、ゆっくりと丁寧な主題。木管も滑らかです。とても穏やかに進みます。中間部の主題を演奏するトランペットも軽く暴走することなど全く無く、完全に制御されています。録音もこれ見よがしに強調する部分も無くとても自然です。

四楽章、まろやかな金管のコラール。あまり感情を前面に出さず、作品そのものを忠実に演奏しています。

五楽章、打楽器も加わって厚みのある響きですが、オケは全開にはならず、余裕を残して冷静です。あまり残響を伴わず距離感もあまりないバンダのホルン。第二主題も淡々と演奏されます。テヌートで演奏される美しい金管のコラール。展開部に入る前に大きくテンポを落としました。展開部も余裕を持ったバランスの良い演奏です。打楽器のクレッシェンドは長く大きく演奏されました。打楽器はダイナミックですが、それに比べると他の弦や管は大人しいです。打楽器が入ると一気に音量が増します。再現部冒頭も金管は突き抜けては来ず、打楽器が入ると一気に音量が増します。遠いバンダのトランペット。バンダのティンパニは響き渡ります。極端に音量を落としていない合唱はかなり力強いです。独唱の後の合唱は音量を上げてさらに力強くなります。クラテマックスでも美しい合唱。オケが全開になっても荒れた響きにはなりません。

かなり冷静に作品を最後まで運びました。オケや合唱は完璧に制御されていて、美しい響きを保ちました。感情の深い表現はありませんでしたが、作品そのものを忠実に表現した演奏だったと思います。オケの上手さもなかなかのものでしたが、クライマックスでの開放感はあまりありませんでした。

サー・ゲオルグ・ショルティ ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、ほかのショルティの演奏同様、強いアタックで弦のトレモロから開始、克明な表現で強弱の変化も激しい演奏です。
冒頭部分はシカゴsoとの演奏とほとんど差はありません。
シカゴsoとの録音ほどマルチモノが強調されていないので、ショルティの音楽を聴くのであれば、こちらの演奏の方が抵抗は少ないでしょう。
同じオケながら、キャプランの時の音とも、違う。ショルティの音です。
キャプランの時には、散漫に聞こえたロンドンsoが、別のオケのように音が集中して届いてきます。
ウィーンpoもメータとブーレーズでは違うオケのような音がしていました。
この演奏では、ショルティの持つ、独特の突進力のような男性的で力強い面が表現されています。
ショルティはリズムの刻みをはっきりアクセントぎみに演奏するので、細部の動きが聞き取りやすいのでしょう。
この刻みの処理が音楽全体を聞こうとするときに、すこし邪魔に感じる人もいるかもしれません。
キャプランの時はがっかりさせられましたが、ここで聞くロンドンsoはさすがに上手い。これがいつものロンドンsoだ!
1966年の時点で、ショルティはすでに、この曲の解釈を確立していたのでしょう。1981年のシカゴsoと同じ演奏です。
オケが変わっただけです。ただ、大きい方のドラがほとんど聞こえない。

二楽章、ここでも粒立ちのはっきりしたショルティ独特の表現です。指揮も弦もよく歌っているのですが、メロディーよりも刻みの方が強調されているような感じがして、なんだか落ち着かない。どっぷりと音楽に酔いしれることはできない演奏です。
やはり、シカゴsoの時より程度は少しマシですが、オンマイクが気になります。
バイオリンがキーキーうるさい。もう少しホールの響きが含まれていれば良いのに。

三楽章、ここもシカゴsoとの演奏と同じで、オケが変わっただけです。
がっちりとした構成力はさすが。安定感抜群で、分厚い響きを作り出すことにかけては天才的だと思います。
シカゴsoの録音よりも木管が近くて金管が遠い感じかな?
強弱の変化もはっきり付けています。Tpのヴィブラートがちょっと不自然な感じがします。
それにしても、突然のffの思い切りの良さには感服します。
メータのような一筆書きのような豪快さとは違って、細部の表現にもこだわっているのですが、ffを何の躊躇もなく思いっきり突進してくるのは、ショルティならではの醍醐味です。

四楽章、ちょっと速めのテンポ設定です。木管も美しいし、テンポの動きも良い感じですが、天国的とは程遠く現実的で天国に召されることはない。

五楽章、この録音から15年も経ったシカゴsoとの演奏がほとんど同じと言うことは、ショルティ自身が、この「復活」解釈に、この時点でものすごく自信を持っていたと言うことなんだろう。そして、ショルティの音もすでに確立していたということか。
ショルティはウィーンpoを指揮しても、シカコsoのようなシャープな響きを作ってしまいますからね。
その昔、あるウィーンpoのメンバーが「ショルティの首を絞めてやりたい」と言ったという逸話が残っているらしいのですが、ショルティは昔から伝統的に守ってきたウィーンpoの響きをある意味否定してしまったわけですから、オケのメンバーとっては屈辱的なこともあったのかもしれませんね。
それでも自分の音楽や自分の響きを作り出そうとする、妥協のない姿勢は一人の人間としてもすばらしいことだと思います。
今は、オケにゴマを摺りながら、オケの機嫌を損ねないようにしながら、妥協の連続のようで、個性の強烈な表出がほとんどない。つまらない時代になってしまったものだ。
この演奏は好き嫌いは別にしても、ショルティの強烈な主張がある。
これは、巨匠としての重要な要件だと思います。
あれ、この演奏もティンパニが一拍遅れて入っているところが・・・・・。
表現力も十分、ブラスセクションも実に気持ちよく鳴り響く。吹きまくりと言った方が良いか。
弱音部やバンダもシカゴsoの演奏とほとんど同じです。
合唱の入りも・・・・・。しかし、ホールの残響成分をほとんど取り込んでいない録音は、デッカとショルティの組み合わせでは定番になっているようです。
弦の旋律もよく歌っているのですが、残響をともなったふくよかな響きではないので、音楽的に聞こえないのが残念なところです。
ソプラノ独唱はシカゴsoとの録音より、こちらの方が良く歌っています。
終結部へ向けて若干テンポが速くなっているか。
終結部の圧倒的なパワーはシカゴsoには若干劣るかもしれませんが、そんなに遜色はありません。

録音もリマスターされていて、古さを感じさせませんし、なかなか良い演奏でした。
シカゴso、ロンドンsoどちらか一つはもっていても良いと思います。

クリストフ・エッシェンバッハ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
一楽章、エッシェンバッハの強烈なキャラクターが取りざたされていますが、そんなに特異な演奏とは感じません。むしろ淡々と音楽は流れて行きます。
隅々まで見通せるような精緻な音楽作りがなされているような感じがあります。オケをよくコントロールしているようで、ライブでありながら、極めて統制の取れた演奏です。

二楽章、ふくよかな響き。テンポが動くことは一楽章でもあったのですが、ライブの即興感はなく、事前に設計された音楽を設計通りに再現しているようなところを感じます。

三楽章、どの楽器も美しい音を奏でているのですが、なぜか音楽に引き込まれない。
構築物としての完成度は極めて高いと思うのですが、音楽の高揚感は全くと言っていいほどありません。
これがエッシェンバッハのスタイルなのか?
エッシェンバッハが薫陶を受けたカラヤンがもしも「復活」を指揮していたら、こんな演奏だったかも知れない・・・・・・。

四楽章、金管のコラールも非常に美しかった。

五楽章、冒頭の金管の咆哮もさすがフィラデルフィアo、トロンボーンのコラールも美しい。ガリガリすることなくクールでカッコ良い「復活」です。
この作品をここまでクールに演奏できるものだろうか?
あの、ショルティでさえベルリンpoとのライブでは内面から燃え上がるような演奏をしていたというのに・・・・・・。
精緻で磨き抜かれた音楽で、内面的な部分はほとんど感じられませんが、これも一つの芸術のあり方でしょう。中途半端な演奏を聴かされるより、スパッと割り切れていて気持ちが良いです。
消え入るような合唱。流麗な音楽。これだけ高揚感なくクールに、しかも音響的には見事に完璧な構造物を見せ付けられると、エッシェンバッハって異次元の生き物なのかと思ってしまいます。
カラヤンよりも徹底しているかもしれません。バーンスタインやテンシュテットとは対極にある演奏です。ただ、それが徹底されていることをすばらしいと判断するか、内面性を伴わない音楽なんて音楽じゃないと言うか・・・・・・。とても悩むところです。

それでも、この演奏の存在価値はあると思います。

デヴィッド・ジンマン チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★
一楽章、低音域に暖かみのある良い音色です。ベートーヴェンの全集では賛否両論渦巻いているようですが、この演奏は今のところノーマルな演奏ですし、とても美しいです。
少しヴェールを被ったような奥ゆかしい美しさで、ギョッとするような生音は聞こえてきません。
フルートのソロもホールトーンを伴った美しい響きがします。ただ、感情がこみ上げてこるような演奏ではなく、作品を遠くらか見ているような冷静な演奏のようです。
一楽章が終わってCDを入れ替えるのは良いですね。

二楽章、とても響きが軽やかで暖かみのある音色はとても良いです。アゴーギクなどもほとんどなく表情は多少ありますが、無表情に近いです。
ただ、音色に暖かみがあるので、エッシェンバッハの演奏ほど冷徹な感じは受けません。

三楽章、オケの高い技術力もすばらしい。この技術集団を統率して音楽を組み上げるジンマンの手腕もすごいと思います。思いますが、感動が伴わないのか、近年の新譜には多いような気がしてなりません。

四楽章、太い声の独唱で、存在感があります。

五楽章、金管も良く鳴っていて、十分響いていますが、余裕を十分残した鳴りです。バンダも良い距離感があって美しいです。
ホールの響きが豊かなので、心地よい音が流れて行きます。どこをとっても申し分ない響きがしています。弱音部分のバンダとの絡みも美しい演奏でしたし、合唱も整ったアンサンブルです。
合唱や金管のffでも独唱の声はちゃんと聞こえる録音です。(ちょっと不自然かも)
この演奏も基本的にはエッシェンバッハと同じ部類に入るような気がします。
構築物としての美しさは完璧です。文句の付けようがありません。エッシェンバッハのクールな演奏を取るか、ジンマンの少し暖かみのある音色を取るかです。
しかし、このようなタイプの演奏に感動があるのかは疑問です。楽譜を完璧に音として再現するという行為を一つの芸術として評価はすべきでしょう。

いろんな演奏があるから楽しめるのですが、聴いた後の感慨と言うのか、心に残るものはあまりありません。

大野和士楽団/ベルギー王立歌劇場管弦楽団

icon★★★★
一楽章、低域がふくよかな録音です。ホールの響きを伴っているからか、トゲトゲしさのない演奏です。控え目なブラスセクションと弦楽器のバランスが取れています。
展開部二度目の第二主題を演奏したフルートはとても豊かな歌でした。再び現れる第一主題ではテンポがすごく動き、遅くなりました。その後も遅いままです。テンポは自在に動いています。
再現部の表現も少し音を切るような表現で独特でした。金管が突出して来ないのですが、ティンパニを含む打楽器はかなり存在感があります。終始抑制の効いた演奏で、爆演にはなりえません。

二楽章、テンポも自然な動きで、作品からも適度に距離を置いた品の良い演奏になっています。オケも超一流とは言えませんが良い演奏をしています。

三楽章、控え目なティンパニ。細かな表情付けもされていますが、録音会場のせいかあまり克明には聞き取れません。金管の咆哮などもなく大人しい演奏で、少し淡白に感じます。

四楽章、美しい独唱。ソロ・ヴァイオリンにはもう少し艶やかさが欲しいところです。

五楽章、打楽器は爆発しますが、控え目なブラスセクションです。速めのテンポで進みます。展開部の前は音を短めに演奏してテンポを上げました。行進曲調の部分で輝かしいトランペットを聴くことができました。
バンダのホルンはあまり豊かな響きではありません。バンダのトランペットは良いバランスでした。
合唱は極端なppではありません。少し速めのテンポで淡々と進みます。合唱の人数もそんなに多くないようです。最後のトゥッティはフルパワーの演奏でした。

作品にのめり込むこともなく、ディテールの美しい演奏でしたが、他の巨匠の演奏に比べると一回りスケールの小さい演奏だったように思います。

クラシック名盤試聴記 ・マーラー:交響曲第1番「巨人」名盤 ・マーラー:交響曲第2番「復活」名盤 ・マーラー:交響曲第3番名盤 ・マーラー:交響曲第4番名盤 ・マーラー:交響曲第5番名盤 ・マーラー:交響曲第6番「悲劇的」名盤 ・マーラー:交響曲第7番「夜の歌」名盤 ・マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」名盤 ・マーラー:交響曲第9番