投稿者: koji shimizu

ショスタコーヴィチ交響曲第8番

ベルナルト・ハイテンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2000年

★★★★★

一楽章、勢いのある序奏。かなり激しく反応しているオケ。第一主題は極端に音量を落とすことはありません。大きなうねりのある演奏です。第二主題も豊かな表現です。弦を中心に盛り上がるエネルギー感も凄いです。悲しみが伝わって来るイングリッシュ・ホルン。

二楽章、強いティンパニの一撃、弦も生き生きとした表現です。

三楽章、弦の刻みの間に入るコントラバスも濃厚で、鮮明な色彩感です。柔らかいトロンボーンの刻み。ベルリンpoらしい引き締まったスネアも良い。

四楽章、冒頭はあまり強いエネルギー感ではありません。静まってからの表現も意欲的です。どの楽器も良く表現しています。

五楽章、のどかで穏やかなファゴット。打楽器のロールの後のトロンボーンでテンポを落としました。音楽に命が宿っているような生き生きとした演奏です。

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クリストフ・エッシェンバッハ/エーテボリ交響楽団

★★★★★

一楽章、ゆったりとしたテンポで、チェロのジーと言う響きが強い序奏。独特のバランスです。ゆっくりと凝縮した第一主題。第二主題もゆっくりです。第三主題もゆっくりですが、音が拡散せず、ギュっと締まって強い音です。一つ一つの音に力がこもっています。金管も炸裂してかなり激しいです。まるでマーラーを聞いているような激しさです。引き締まって細身のイングリッシュ・ホルンですが、感情を込めて訴えて来ます。

二楽章、ゆっくりと粘りのある表現。大きくテンポを動かす部分もあります。録音にもよるのかも知れませんが、音が前に出て来るので、とても激しい演奏に感じます。

三楽章、乾いた響きでリズムが刻まれれます。柔らかくリズムを刻むトロンボーン。激しいクライマックス。

四楽章、力を込めたまま静まって行きます。暗い葬送の音楽。絶望的に暗い演奏です。

五楽章、よく歌うファゴット。続くチェロは硬く陰影があります。明確で強い表現です。暗闇の中から響くようなバスクラもとても豊かな表現です。続くファゴットもテンポも動いて表現します。

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ワシリー・ペトレンコ/ロイヤル・リバプール管弦楽団

★★★★★

一楽章、厚みがあって柔らかい序奏。とても抑えられた第一主題。第二主題も内に秘めた静かな演奏です。暖かみのある第三主題。若干緩めですが、スネアが良く鳴っています。金管は抑えられていて前には出て来ません。ペトレンゴはとても良くオーケストラをコントロールしています。良く整ったバランスの録音です。

二楽章、重量感は無く、軽く美しい演奏です。

三楽章、ガリガリと乾いた響きでリズムを刻みます。とても良く響きますが、悲痛では無い木管。キリッとしたトランペットのソロ。ティンパニも軽い響きです。

四楽章、大太鼓が硬い撥で鋭く強打しています。葬送の音楽も静かですが、それ程暗いものではありません。ホルンも細身で美しい。ピッコロもピンポイントで美しい。とても録音は良いです。

五楽章、柔らかく歌うファゴット。抑制された端正でとても美しい演奏です。

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マリス・ヤンソンス/ピッツバーグ交響楽団

★★★★★

一楽章、コントラバスの厚みは無く、エッジの効いた序奏です。とても静かで消え入るような第一主題。層が重なって拡がります。第二主題も線が細くロシアの音楽のイメージとはかなり違う演奏です。かなり寂しい雰囲気の第三主題。スネアはかなり遠くから響きます。トランペットは奥から強く響きますが、荒れ狂うような感じは全くありません。イングリッシュ・ホルンも細身ですが、美しい。全体にとても静かで、全く波が無く静まった湖面のような演奏でした。

二楽章、重い演奏です。とても静かで、金管が入っても整然としていて、全く波立つことがありません。

三楽章、木管も悲痛な感じは全く無く、美しく響きます。トロンボーンが刻むリズムはとてもソフトです。この作品の演奏としては、かなり異色です。

四楽章、消え入るような弱音に焦点が当てられ、聞き耳を立てるような演奏ですが、その弱音が美しい。陰鬱な雰囲気はとても良く表現しています。

五楽章、ゆっくりと演奏されるファゴットが残響を含んでとても美しい。恐らくこの作品の演奏としては、賛否の分かれるものだと思いますが、私にはとても良い演奏でした。

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テオドール・クルレンツィス/SWR交響楽団

★★★★☆

一楽章、重量感のある序奏。ウェットで濃厚な色彩感。とても緊張感のある第一主題。ゆっくりと丁寧に演奏して行きます。第二主題も消え入るような静寂感です。第二主題もゆっくりとしています。弦の中に埋もれて響く金管。色彩感はとても濃厚で密度も高い。重苦しい雰囲気もあります。

二楽章、柔らかく始まりました。ピンポイントに浮かぶ表情豊かな木管。

三楽章、ガリガリと刻まれる弦。あまり悲痛な響きでは無い木管。残響を伴って柔らかいトランペットのソロ。

四楽章、重々しい音楽が次第に静まって行きます。葬送の音楽もとても静かです。美しいホルン。暗い雰囲気はとても良く表現されています。

五楽章、柔らかくこもった響きのファゴット。打楽器も入って盛り上がる部分でもそんなに強いエネルギー感はありません。テヌート気味のバスクラ。次第に脱力して行くような表現がとても良い。

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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー交響楽団

★★★★☆

一楽章、激しい序奏。埃っぽくでザラザラした第一主題。第二主題もザラザラしていますが、ムラヴィンスキー独特の緊張感が伝わって来ます。ウェットなスネア。金管もかなり激しい演奏です。生々しいイングリッシュ・ホルン。トランペットはかなり強く、振幅の大きな演奏です。

二楽章、かなり激しい表現です。ピッコロの演奏も厳しい。

三楽章、乾いた響きの弦。悲痛な響きの木管。濃厚な色彩感もこのコンビの特徴です。

四楽章、良く歌うファゴット。ムラヴィンスキーらしい厳しい表現です。

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ベルナルト・ハイティンク/バイエルン放送交響楽団 2006年

★★★★

一楽章、コントラバスの上に乗る弦もバランス良く聞こえる序奏。悲痛な感じはあまり無く、暖かい第一主題。柔らかい第二主題。伸びやかな表現です。金管や打楽器も制御されていて、荒れ狂うような演奏ではありません。イングリッシュ・ホルンも暖かく歌い、安らかです。

二楽章、とてもマイルドな響きで、強い表現はありません。

三楽章、落ち着いた弦の刻み。木管も悲痛な響きでは無く、控えめに響きます。トロンボーンも整然と演奏します。トランペットはレガート気味に演奏します。スネアも程よく締まっています。

四楽章、ゆっくり目のテンポで丁寧に演奏しながら弱まって行きます。ここでも暖かみのある葬送の音楽。ムラヴィンスキーのような冷徹な演奏ではありませんが、こんな演奏もありかなと感じます。

五楽章、のどかで安らかなファゴット。クライマックスでもそんなに大きな振幅は無く、少し平板な感じもありますが一つ一つの響きはとても美しく魅力的です。

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セミヨン・ビシュコフ/WRD交響楽団

★★★★

一楽章、鮮明な響きです。密度の高い第一主題。第二主題も静かに切々と演奏されます。物悲しい第三主題。展開部の打楽器やトランペットは良いバランスで、落ち着いています。

二楽章、少し遅めのテンポで克明に表現します。痛みを感じさせる演奏です。

三楽章、枯れた響きの弦に悲鳴のように響く木管。スネアも引き締まっていて良い音です。

四楽章、前の楽章の悲痛な響きから、諦めにも似たような響きになり、悲し気な演奏になります。重苦しい雰囲気はとても良く表現しています。

五楽章、どこか陰のある音楽です。オケも上手く過不足なく表現されています。

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ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送交響楽団

★★★

一楽章、豊かな残響で美しいですが、少し薄い響きの序奏。極端に音量を落とすことなく演奏される第一主題。ゆっくりと丁寧で美しい演奏です。深く刻まれるリズムに乗って柔らかく響く第二主題。かなり憂鬱な第三主題。展開部に入ってもテンポは遅く、ちょっと鈍重な感じを受けます。金管はバランス良く、突出して来ることはありません。録音はとても良いです。とても良く歌うイングリッシュ・ホルン。全体に静かで美しい演奏です。暗い雰囲気はとても良く表現しています。

二楽章、引きずるように重い表現です。この重さが鈍さにも繋がるように感じてしまいます。とても丁寧なのですが、その分勢いが無い。

三楽章、落ち着いた弦の刻み。木管も美しく、悲痛な響きではありません。トロンボーンの刻みも柔らかい。余裕を感じるトランペット。

四楽章、淡々と演奏される葬送の音楽。

五楽章、控えめなファゴット。丁寧で落ち着いていて、安定感がありますが、表現はあまり積極的ではありません。

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クルト・ザンデルリンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1997年

★★★

一楽章、あまり重量感が無く、密度も薄い序奏。ゆっくりと注意深く演奏される第一主題。穏やかな第三主題ですが、やはり密度は薄い。金管や打楽器は制御されていて、落ち着いています。ロシア音楽特有の凶暴さは感じません。哀愁に満ちた再現部。密度は濃くありませんが、注意深く丁寧な演奏が印象に残ります。

二楽章、ゆっくり目で、粘りのある表現です。金管は常に控えめで突き抜けて来ることはありません。

三楽章、ビオラがマットです。強い主張は無く、作品をありのままに演奏している感じですが、色彩感もあまり濃くはありません。引き締まったスネアはベルリンpoらしい。

四楽章、葬送の音楽ですが、そんなに暗く悲痛なものではありません。暗い音楽ですが、とても穏やかで、波がうねるように音楽が交錯するような演奏ではありません。

五楽章、とてもゆっくりとしたテンポで、穏やかです。チェロも淡々とした演奏です。盛り上がった場面では、ここぞと言う所で、粘っこく濃厚な表現もあります。テンポを少しずつ落として行くところもとても穏やかです。最後もそんなに暗くはなりませんでした。

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ウラディーミル・ユロフスキ/オーケストラ不明

一楽章、くっきりとした低弦と、密度薄く上に乗る弦。かなり音量を落とした第一主題。第二主題も静かで集中力の高い演奏です。緩いスネア。金管は奥に引っ込んでいて、音圧の変化が無く平板に聞こえます。淡々としているイングリッシュ・ホルン。

二楽章、録音のせいか、色彩も淡白で、密度の薄い演奏に感じます。

三楽章、ユロフスキの経歴からすれば、2000年代の録音のはずですが、どうしてこれほどまでに密度の薄い響きなのか。

四楽章、オフ気味で重量感も無く、演奏を楽しめませんでした。

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キリル・コンドラシン/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1983年3月15日

★★★★☆

エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロンドン交響楽団


★★★★☆

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ケンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソビエト国立文化省交響楽団

★★★★

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マクシム・ショスタコーヴィチ/ロンドン交響楽団

★★★★

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ベルナルト・ハイティンク/シュターツカペレ・ドレスデン 2004年

★★

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ヴァレリー・ゲルギエフ/マリインスキー劇場管弦楽団

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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1982年ライヴ

★★★★☆
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ショスタコーヴィチ交響曲第6番

キリル・コンドラシン/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

★★★★★

一楽章、コンセルトヘボウの演奏ですが、厳しい響きです。テンポも速めで、切迫感があります。速いテンポで追い込まれて行くような感じがします。大きな苦悩や悲しみも表現されています。他の演奏とは一線を画すような壮絶な演奏です。

二楽章、勢いのあるトランペット。かなり凄みのある演奏です。まさにコンドラシンとオケの真剣勝負のような感じです。

三楽章、速めのテンポで若干乗り遅れている奏者もいるような感じの冒頭でした。空気感が他の演奏と全く違う。バランス良く爽快に鳴り響いて終わりました。
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パーヴォ・ヤルヴィ/エストニア・フェスティバル管弦楽団

★★★★★

一楽章、一体感のあるまとまった冒頭。伸びやかで美しい響きです。一つ一つの楽器がくっきりとしています。伸び伸びと響く金管がとても気持ちいい。静寂感もありますが、冷たく厳しい響きではありません。

二楽章、キュルキュルと明るいEbクラ。メリハリのある表現。突き抜けるトランペット。凄いエネルギーです。テンポが動いて粘る部分もなかなかです。

三楽章、かなり速いテンポです。かなり積極的な表現で聞きごたえがあります。ライブならではのミスはありますが、惹きつけられます。ノリノリで爽快に弾けて終わりました。
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マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

★★★★★

一楽章、分厚く色んな音が聞こえて、速めのテンポで激しい冒頭。とても良く歌う演奏です。急き立てる様に前へ前へと進みます。鋭い響きのトランペット。ティンパニもトロンボーンも激しい。レニングラードpoとの演奏からはかなり年数も経っていて、まるで別人のような演奏です。とても積極的で豊かな表現です。

二楽章、鬼気迫るような表現です。当時の手兵を思う通りに動かしているように感じられる自在な表現です。

三楽章、この楽章も速いテンポでとても表現の幅が広い演奏です。次から次へと溢れ出て来る音楽が凄まじいです。ヤンソンスの演奏にはこれまで、さほど魅力を感じることがありませんでしたが、この演奏は凄い!

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カルロス・ミゲル・プリエト/hr交響楽団


★★★★★

一楽章、柔らかく優しい表現です。大きい表現ではありませんが、切々と歌っています。とてもバランスの良い録音で、響きも伸びやかです。

二楽章、ゆったりとしたテンポで優雅な演奏です。輝かしいトランペット。伸びやかで良く鳴るオーケストラです。

三楽章、常に余力を残して伸びやかで柔らかい響きはとても魅力的です。楽しくなってくるほど打楽器も上手い!爽快な演奏でした。
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クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団

★★★★★

一楽章、とてもゆっくりと感情が籠った冒頭です。柔らかく豊かに響くホルン。伸びやかで透明感があり、繊細です。繊細に歌う弱音と広大に響くトゥッティ。

二楽章、とても克明で色彩感も豊かです。伸びやかなトランペット。落ち着いたテンポですが、楽器の動きはとても激しいです。

三楽章、躍動感があって活発な表現です。目の前に鮮明に広がる演奏が素晴らしい。
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セミヨン・ビシュコフ/WRD交響楽団

★★★★★

一楽章、あまり思い入れの無いあっさりとした冒頭。鮮烈な高音域と暖かい中音域が特徴です。強打されるティンパニ。フルートはとても表情豊かです。強い表現や主張はありませんが、集中力の高い演奏で、聞き応えがあります。

二楽章、少し遠くから響くEbクラ。強烈なティンパニの後に響くシンバル。トランペットは控えめです。

三楽章、かなり濃厚な表現になって来ました。テンポも動きながら克明に描かれい行きます。ティンパニが際立っています。
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レオポルド・ストコフスキー/シカゴ交響楽団

★★★★★

一楽章、一体感があって厚みのある冒頭。黄金期を迎えつつあったシカゴsoの充実した響きはとても良いです。ティンパニはかなり控えめです。豊かで暖かみのある演奏ですが、とても落ち着いていて安定感があります。切々と歌う弦。

二楽章、ゆっくりとしたテンポで細身のEbクラ。突き抜けては来ませんが整然と整ったトランペット

三楽章、この楽章もゆったりとしたテンポです。尖ったところは全く無く、泰然自若で堂々とした演奏です。最後も堂々と爽快に金管が鳴り響いて終わりました。

アンドリル・ネルソンス/ボストン交響楽団

★★★★☆

一楽章、ゆったりとしていますが、あまり厚みを感じない冒頭。僅かにくすんだ響きです。テンポも動いて大きな表現のトランペット。ティンパニ、トロンボーンと濃厚な表現です。フルートのソロも丁寧な表現です。

二楽章、柔らかく表情豊かなEbクラ。ビリビリと良く鳴っているトランペット。引き締まったスネアも良い。どの楽器も明瞭に聞こえる良い録音です。

三楽章、速めのテンポです。拍の刻みが強くて推進力があります。小物打楽器も良く聞こえます。爽快感がある終結でした。
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キリル・コンドラシン/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、多くの人で弾いている感じが伝わる冒頭。この遅い楽章がかなりの疾走感!ぐいぐいと前へ進んで行きます。吠える金管。弱音部も抉り出すような表現。細身でビブラートが掛かったホルン。

二楽章、キュルキュルトしたEbクラ。宙を舞うようなフルート。厳しく強い表現もあれば、柔らかくサラリと流れるところもあります。

三楽章、かなり速めのテンポです。厳しく大きな表現。強烈なティンパニで終わりました。

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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 1972年

★★★★☆

一楽章、エッジの立った深い彫琢の演奏です。ムラヴィンスキーらしい緊張感と集中力の高い演奏です。明確に音を分けて演奏するトランペット。弱音の凄い緊張感。

二楽章、とても真面目な表現で楽しさはありません。整然としていて制御された金管。ティパニはデッドであまり強打しません。

三楽章、快速に飛ばしますが一糸乱れぬ弦と木管。金管は録音のせいか、控えめです。
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ウラディーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団

★★★★☆

一楽章、豊かに表現される冒頭。強い主張があるわけではありませんが、とても深い演奏で、鬼気迫るものがあります。静寂感があって、ほの暗い空気感が良いです。

二楽章、明るい響きのEbクラ。若干奥まっているトランペットですが、トゥッティのバランスも良い。エネルギー感もあります。目まぐるしく楽器が受け継がれて行きます。

三楽章、とても落ち着いたテンポです。少し遅い感じはありますが、聞き進むうちに慣れて来ます。
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エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団

★★★★

一楽章、モノラルでザラザラとした弦の響きです。ゆっくりと濃厚な金管。これでもかと言うような濃厚な表現が続きます。ビブラートを掛けて暗い響きのホルン。独特な陰影と濃厚な表現がこの楽章の演奏としてはなかなかの説得力です。

二楽章、キュルキュルとしたEbクラ。この楽章も克明な表現です。金管が奥まってしまいます。リミッターが掛かっているようです。強烈なティンパニ。一楽章とは違って硬質な響きです。

三楽章、強い表現で克明に塗分けられて行きます。金管と打楽器が入るとかなり混濁します。盛大に叩くティンパニで終わりました。
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ケンナジー・ロジェストヴェンスキー/BBC交響楽団

★★★★

一楽章、とても暗い冒頭の表現。かなり重苦しい演奏です。強めのトランペットとホルン。暗く絶望的な雰囲気がとても良く表現されています。

二楽章、明るく開いた響きのEbクラ。テンポは落ち着いています。少しリミッターが掛かったようなトランペット。ロジェストヴェンスキーらしい大きな粘りもありますが、リミッターが掛かった録音が少し残念です。

三楽章、サービス精神旺盛な積極的な表現です。最後はほとんどディンパニだけが聞こえました。
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オスモ・ヴァンスカ/ロンドン交響楽団

★★★★

一楽章、とてもゆったりと歌う冒頭の表現。伸びやかなホルン。トロンボーンは若干奥に居て、前には出て来ません。木管は立っていて強い表現です。全体的には柔らかく伸びやかで、サラッと流れて行く演奏です。

二楽章、速いテンポで表情豊かなEbクラ。トランペットがかなり奥まっていて、強くリミッターが掛かっているような感じです。最初に設定されている録音レベルが高すぎるのではないかと思いますが・・・。克明な木管の動き。

三楽章、この楽章もかなり快速です。表現の振幅も大きい。とても良い演奏だったのですが、最後で録音レベルが下がったり不自然な録音がとても残念でした。
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レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★

一楽章、とても遅く粘着質な表現です。一音一音噛みしめるようで弛緩はしていません。ウィーンpoも良くこの遅さに付いて行ったなぁと感心させられます。羊皮のティンパニが独特の響きですが、個人的にはあまり好きでは無い。音楽を慈しむような演奏は、晩年のバーンスタインらしいです。

二楽章、この楽章も非常に遅い演奏です。まるで違う曲を聴いているかのようです。遅いテンポに濃厚な表現でもたれそうです。

三楽章、この楽章のテンポは常識的な範囲です。中間部はまた遅くなりました。物凄く遅いテンポでじらされて、その後快速になって、最後弾ける解放感はありました。
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ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送交響楽団

★★★☆

一楽章、とてもゆっくりとしたテンポで始まります。伸びやかで美しい響きです。刻み付けるように克明なホルン。透明感があり涼やかな美しい響きで、あまり大きな表現は無く、作品をストレートに演奏しています。

二楽章、遠目で滑らかに響くEbクラ。力の抜けた軽い金管。ティンパニも叩き付けるようなことは無く、とても軽いタッチです。

三楽章、落ち着いたテンポで正確に音にしている感じです。感情を排して作品そのものを知るには良い演奏ですが、あまり楽しいとは言えません。最後も軽く終わりました。
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マリス・ヤンソンス/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

★★★☆

一楽章、少し離れてモワッとした録音です。音像も中心付近に集まっていてモノラルのようです。スラーのように演奏するトランペット。トロンボーンも音は長めです。ムラヴィンスキーのような冷たい響きでは無く、暖かい響きです。あまり強い主張は無く淡々と演奏されています。

二楽章、とても滑らかなEbクラ。さすがにオーケストラは鍛えられていて上手いです。

三楽章、とても静かに始まります。生き生きとした動きです。Dレンジはかなり広く、かなり大きく爆発しました。最後はティンパニだけが聞こえる言っても良い程でした。
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ユーリ・テミルカーノフ/サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

★★★

一楽章、とてもあっさりとした冒頭の表現。アゴーギクなども無い素っ気ない演奏です。作品をストレートに伝えようとしているような演奏です。ムラヴィンスキーのような冷たい響きではありません。感情を込めることは無く、淡々と演奏されます。

二楽章、サラリと流れて行くEbクラ。とても整然としています。金管が入っても粘ることが全く無いので肩透かしを食らいます。

三楽章、とても音量を落として、速めのテンポです。テンポの動きもあり、演奏自体は精度の高い見事なものですが、面白みはありません。

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ヘルベルト・ケーゲル/MDR交響楽団(ライヴ)

★★★

一楽章、速めであっさりと始まります。ケーゲルの演奏にしてはフワッした感じです。かなり強打されるティンパニ。次第に一音一音に力のあるケーゲルらしい演奏になって来ます。不穏な雰囲気がとても強い演奏です。

二楽章、楽しい感じは全くありません。とても不穏な感じです。金管も整っていて、良く制御されています。

三楽章、とても勢いのある演奏です。かなり強くガリガリと弾く弦。どの楽器も一音一音がとても強いです。最後はサラリと演奏して終わりました。
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サー・エイドリアン・ボールト指揮/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、ゆっくりと刻み付けるような冒頭。クレッシェンドしているようなヴァイオリン。一音一音に力が感じられる演奏です。一音一音力が込められた演奏から、流れの良い演奏に変わります。静寂感はあるものの、少し温度感は高い感じです。

二楽章、とても楽しそうなクラリネット。枯れた響きのトランペット。活発な動きのある演奏です。

三楽章、積極的な表現で動きがあります。抑え気味のトロンボーン。最後も大きく盛り上がることはありませんでした。
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マリス・ヤンソンス/オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

★★

一楽章、あっさりとした冒頭。奥行き感のあるホルン。速めのテンポで少し表面的に感じてしまいます。バイエルン放送soとの演奏のような濃厚な表現はありません。同じ指揮者なのに何故と思う程よそよそしく、浅い表現です。

二楽章、キュルキュルと響くEbクラ。トランペットも軽く浅い。技術の高いオケには何の不満もありませんが、この演奏を聴くべき何かが感じられません。

三楽章、とても軽くサラリと演奏されて「どうだ!」と言われているような感じで、技術の高さだけが印象に残るような感じで、ヤンソンスの表現や主張が感じられないのがとても残念です。
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ウラディミール・アシュケナージ/デンマーク国立交響楽団


★★

一楽章、たっぷりとした表現でゆっくりと演奏されます。とても感情の籠った表現です。暖かい響きですが、明晰で豊かな表現です。

二楽章、この楽章でも積極的な表現です。トランペットはかなり奥から響きます。弦や木管の生き生きとした表現に比べるとティンパニやトランペットがかなり抑えられていて、かなり不自然です。

三楽章、この楽章も快活です。明らかにティンパニやトランペットがミキシングで抑えられています。最後もかなり抑えられていて、せっかくの演奏を録音が台無しにしているように感じました。
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ヴァレリー・ゲルギエフ/マリインスキー劇場管弦楽団

一楽章、あまり深みの無い響きです。強い表現も無く淡々と進みます。弱音の緊張感なども感じられますが、標準的、模範的な演奏の域を出ません。

二楽章、爽快に鳴り響くトランペット。オーケストラも上手いのですが、何故か惹かれない。どうも表面的な演奏に感じてしまう。

三楽章、難なく演奏されているのですが、魅力が感じられない。
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ショスタコーヴィチ交響曲第4番

ベルナルト・ハイティンク/シカゴ交響楽団

★★★★★

一楽章、細く左右一杯に定位するオーケストラ。マットな響きの金管。テヌート気味のトロンボーン。とてもスッキリとしていたコンパクトにまとまっている感じを受けます。ゆっくりとしたテンポで丁寧に描いて行きます。複雑な作品ですがとても整然としています。ティンパニもマットな響きです。凄まじい音の大洪水もあり、静寂な弱音との振幅もとても大きいです。全体にマットな録音ですが、弦などはいぶし銀のように煌めく響きです。ハイティンクらしい細部まで行き届いた生命感のある演奏です。ゆったりとしたテンポですが、細部を抉り出すような演奏では無く、何も強調せずに全てを聞かせるような演奏です。落ち着いたプレスト。全く騒々しさは感じません。

二楽章、とても静かで流れの良い冒頭です。一楽章とは違って釜の響きがするティンパニ。ずっと夜の雰囲気です。かなりくっきりと響く打楽器。

三楽章、とても弱いファゴットですが、さりげなく歌う歌は美しい。とても遅いテンポですが、弛緩することは無く、ティンパニのクレッシェンドと共に盛り上がる金管の凄い響きはさすがシカゴso。続く弦の静寂感の対比も素晴らしい。遅いテンポでもピーンと張りつめた緊張感はハイティンクの面目躍如です。ゴロゴロと鳴るチューバ。伸びやかなトロンボーンのソロ。ティンパニの後の金管は、美しく伸びやかに炸裂します。堂々と力強く鳴り響くトロンボーン。クライマックスは凄まじい演奏でした。消え入るように静かになります。ゆっくりと美しいチェレスタ。
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キリル・コンドラシン/シュターツカペレ・ドレスデン

コンドラシン★★★★★

一楽章、モノラル録音です。マイルドな響きですが、熱気を感じる金管。荒れ狂うように交錯する金管。平板にはならず表現が豊かです。金管が限界近くの咆哮を聞かせます。強い疾走感きありませんが、嵐のように激しいプレスト。

二楽章、とても良く歌い、豊かな表現です。木管のウネウネする独特の雰囲気。

三楽章、ゆっくり目のファゴット。感情の入った演奏で、とても強い共感を感じます。遠慮なく切れ込んで来る凄みはなかなかです。限界近くで吠えるトロンボーン。モノラル録音ですが、色彩感はくっきりとしていて鮮明です。お風呂のような残響の中に響くトロンボーンのソロは軽く演奏されます。ティンパニの後の金管は、激しく不協和音がぶつかり合い、壮絶な響きです。限界ギリギリの非常に温度感の高い響きは出色です。暖かいチェレスタ。

アンドレ・プレヴィン/シカゴ交響楽団

★★★★★

一楽章、シカゴsoらしい明快に鳴る金管が印象的な演奏です。録音も良くとても見通しが良いです。ダイナミックレンジも広く、金管がグッと前に出て来ます。激しい部分では金管が盛大に鳴り響いて大迫力ですが、静寂感も素晴らしいです。冷たい響きではありませんが、この演奏なら納得です。とても伸びやかで柔らかい響きは、ロシアや東欧のオケとは一線を画すものですが、この演奏は良いです。比較的落ち着いたプレスト。猛烈に突進して来るような金管。強烈な主張はしませんが、作品の緻密さなどが確実に伝わって来ます。

二楽章、とても滑らかに流れて行きます。これだけの難曲を軽々と演奏するシカゴsoはさすがです。この作品は硬く冷たい響きが当たり前と思っていましたが、この伸びやかで柔らかい響きでも実に素晴らしい。

三楽章、正確無比で作品に書いてある全ての音が表現されているような演奏です。これだけの曲を難なく演奏するシカゴsoと、それを完璧に統率しているプレヴィンにも頭が下がります。楽しんでいるかのようなトロンボーンのソロ。ティンパニの後の金管は、壮絶な響きではありませんが、パワー全開の充実した響きです。最後のチェレスタも暖かい。

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キリル・コンドラシン/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

★★★★★

一楽章、少し離れた所から硬く強い響きです。推進力のある速めのテンポで、細部にはこだわらない演奏です。かなり激しく咆哮する金管。快速にどんどん進みます。下品なトランペット。遠慮なく打ち込まれるティンパニ。生き生きとした演奏です。プレストもかなりの疾走感です。打楽器も派手に入ります。この曲の音響的効果を最大限に狙ったような演奏です。とにかく物凄い勢いで走り抜けています。ビービーとなりミュートしたトランペット。最近の整理されて落ち着いた演奏とはかなり様相が違います。棘がいっぱい出ていて襲い掛かって来るような感じがします。

二楽章、この楽章も速めのテンポでとても表情豊かです。夜に静かに鳴り渡る打楽器。

三楽章、良く歌うファゴット。ビリビリと強烈なトランペット。粘りがあって、濃厚な色彩と叩き付けるような表現で強烈です。テンポも速めでスピード感があります。明快に鳴るトロンボーンのソロ。空気を引き裂くような表現の幅が広いソロです。ティンパニの後の金管は、壮絶に音がぶつかって鳴り響きます。憂いのうるチェレスタ。
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ケンナジー・ロジェストヴェンスキー/ボリショイ劇場管弦楽団

★★★★★

一楽章、ゆったりとしたテンポで強い響きです。トロンボーンも強烈です。明快に金管を鳴らすとてもメリハリの効いた演奏です。暴力的に叩きつけるティンパニ。弱音の表現も豊かで、ロジェストヴェンスキーらしいサービス精神旺盛な演奏です。疾走感のあるプレスト。特に強調する訳ではありませんが、さりげなくユーモアのある表現などなかなか良い演奏です。

二楽章、暖かく静かに始まります。とても静かなトリオ。とても静かな弱音とティンパニの強打との振幅もとても広い。

三楽章、とても遅いテンポで始まります。一音一音に力を込めるような演奏ではありませんが、流れの中で良く表現されています。突き刺さるようなトランペット。トロンボーンのソロもとても豊かな(下品な?)表現です。ティンパニに後の金管は、強烈に突き抜けては来ませんが、壮絶な響きはとても良く感じられます。かなりゆっくりと叩きつけて来ます。静まってからは消え入るような弦です。一転して淡々と演奏されるチェレスタ。
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キリル・コンドラシン/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、金属的な響きのトランペット。トロンボーンも激しく咆哮します。力の漲るような演奏です。スタジオ録音ですが、凄まじい熱気です。木管や弦も生き生きとしています。コンドラシンの作品への共感と愛が感じられます。弱音部分では夜のような暗さも感じられます。録音の古さからか少しうるさい感じも無くはありませんが、それを上回る熱気です。表現もとても豊かです。テンポは終始速めで進みます。プレストも疾走感があります。嵐のように荒れ狂う演奏。

二楽章、この楽章も速めのテンポで明確に演奏されます。奥行き感を感じさせるシロフォン。金管はかなり前に出て来ます。闇夜に響くような打楽器。

三楽章、ゆっくり目のファゴット。ガリガリと切り込んで来る弦。最近の流れの良い演奏とは一線を画す棘がたくさんある演奏です。ビブラートを掛けて柔らかく歌うトロンボーンのソロ。速めのテンポのティンパニ。あまり音がぶつかり合わず壮絶な響きでは無い金管。あまり静まらず強い木管。うつろなチェレスタ。

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クシシュトフ・ウルバンスキ/NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、クリアで明晰な演奏です。スネアの装飾音符もはっきりと聞こえます。作品をストレートに表現するような演奏です。とても良くコントロールされていて規律正しいオケが整然と演奏しています。一時代前の混沌とした響きとは一線を画すとても見通しの良い演奏です。プレストはかなり激しく躍動感のある演奏です。スネアは締まった良い音で鳴っています。

二楽章、落ち着いたテンポで丁寧に演奏されます。ライヴ録音でありながらこれだけの透明感のある演奏は素晴らしいです。

三楽章、とてもゆっくりとしたテンポの序奏。実に精緻な演奏です。オケも粘り気の少ない爽やかな響きで、疾風怒濤のように駆け抜ける部分でも、軽々とこなして明晰な演奏を支えています。ファゴットもトロンボーンのソロもとても上手い。ティンパニに後の金管は、とても柔らかい響きで壮絶な雰囲気はありません。冷たく悲しい終盤。物悲しいチェレスタ。

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セミヨン・ビシュコフ/WRD交響楽団

★★★★☆

一楽章、一音一音に力が込められています。少し奥まった金管。強い色彩感と引き締まったアンサンブルです。とても統率が取れていて、雑味が全くありません。ゆったりとしたテンポでとてもクリアです。遅めのテンポですが、疾走感のあるプレスト。シャープに響くスネア。

二楽章、一音一音がとても丁寧で精度の高い演奏です。無駄なものを削ぎ落したようなクリアさ。静かな中から僅かに聞こえる打楽器。

三楽章、感情を込めて歌うファゴット。金管は控えめで咆哮とは遠い、極めて整然とした響きで、ロシアのオーケストラの演奏とは一線を画すものです。トロンボーンのソロも控えめです。ティンパニの後の金管は、あまり音がぶつかり合わずにスッキリとした響きです。ティパニに刻むリズムが強く響きます。壮絶な雰囲気よりも輝かしい感じがします。フワッとした響きのチェレスタ。

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アンドリル・ネルソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

★★★★☆

一楽章、鋭い響きで濃厚な色彩の演奏です。豊かな残響を伴った木管が美しい。金管が激しく咆哮することは無く、柔らかい響きで一貫しています。プレストは少し前へ行こうとする勢いがあります。強く刻み付けるような表現も無く、自然に流れて行きます。濃厚な色彩で強い響きのピッコロ。

二楽章、伸びやかで美しい弦。濃厚な色彩で美しく演奏されます。これだけ豊かな色彩感で描き分けられている演奏はなかなか無く、とても貴重な演奏です。

三楽章、ゆっくりと演奏されるファゴットがとても豊かに歌います。爆演を期待していると肩透かしを食います。とても洗練された美しさです。力が抜けて軽い金管。伸びやかに歌うトロンボーン。とてもゆっくりなティンパニの後の伸びやかで余裕さえも感じる金管。深く沈み込み消え入るような弱音。ゆっくりと物悲しいチェレスタ。
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ヘルベルト・ケーゲル/MDR交響楽団

★★★★☆

一楽章、モノラル録音のようです。引き締まった表現の第一主題。金管が咆哮するようなことはありませんが深い彫琢の演奏です。温度感が低く静寂感があります。トランペットが悲痛な表現の演奏をしますが、少し奥まっています。一音一音が立っていてとても力があります。

二楽章、硬く冷たく強い演奏です。とても集中力が高く細部まで張りつめています。浮遊する木管。

三楽章、かなり強烈に響くトランペット。深く彫られた痛烈な表現が素晴らしい。叩きつけて来るような強い弦。どの楽器も凄く力があって、一音一音に込められたエネルギーが凄い。最後の金管は、壮絶な響きには聞こえますがあまり音は前に出て来ません。静まってからも弦のピィチィカートがとても強い。最後は淡々と終わりました。

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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/フィルハーモニア管弦楽団

★★★★

一楽章、ロジェストヴェンスキーらしい粘っこい表現。ロシアのオーケストラとの演奏のような冷たい響きでは無く、温度感があります。表現は積極的で、熱気さえも感じる演奏です。フィルハーモニアoもロジェストヴェンスキーに応えてかなり咆哮します。ケーゲルの演奏程ではありませんが、一音一音に力があります。嵐のような凄いスピード感のプレスト。

二楽章、若干ザラつく弦。生き生きとした豊かな表現です。ピッコロなどもかなり前に出て来ます。

三楽章、とてもゆっくりと演奏されるファゴット。熱気を帯びたトランペットの咆哮。時折顔を出すユーモアのある旋律はとても楽しい。トロンボーンのソロは真面目に演奏されました。テンパニの後の金管は、鋭い響きです。かなり冷たい弦。あまり余韻の残らないチェレスタ。
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ルドルフ・バルシャイ/ケルン放送交響楽団

★★★★

一楽章、整然として整った演奏です。金管は控えめです。静寂感もあって流れの良い刺激の少ない演奏でもあります。強い緊張感や冷たさは無く、少し緩い空気感もあります。ティンパニはとても良い音で鳴っています。余裕を持って鳴らしながらとても精緻で、完成度の高い演奏です。凄い疾走感のあるプレストですが、咆哮することはありません。

二楽章、柔らかく伸びやかで暖かい。見通しが良く色彩感も豊かです。大きな表現をすることも無く、作品を忠実に再現しようとしているようです。

三楽章、強く感情を込めることの無いファゴット。目の覚めるようなトランペット。精緻で伸びやかな演奏はとても気持ちが良い。トロンボーンのソロも大きな表現はせず、作品に任せている感じです。硬質なティンパニのクレッシェンドの後の金管はテンポが速く、ティンパニがはっきりと聞こえて、壮絶な響きではありません。柔らかいチェレスタ。
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ヴァレリー・ゲルギエフ/マリインスキー歌劇場管弦楽団

★★★★

一楽章、響きを伴って若干モヤッとした響きです。スネアの装飾音符がハッキリと別れて聞こえました。金管は咆哮することなく、落ち着いています。とても柔らかい演奏で、とげとげしいところはありません。録音のせいか、ティンパニの強打も前には出て来ず、奥で音が広がる感じです。この尖った作品を完全に過去のものとして、マイルドに聞かせています。プレストも滑らかで落ち着いています。嵐のような激しさは全くありません。打楽器が入っても急に音量が上がることはありません。不思議なくらい穏やかな演奏です。ゆっくりなテンポでスタッカート気味では無いファゴットの演奏など、これまで聞いて来た演奏とはかなり趣きが違います。

二楽章、暖かく滑らかな弦。ガリガリと引っ掛かるようなことは全くありません。粒立ちの良い打楽器。

三楽章、どこまでも美しく柔らかく自然に流れて行く演奏。この曲のイメージとは全く違う演奏です。トロンボーンのソロもとてもの伸びやかで柔らかく美しい。とても速いテンポに加速するティンパニの後、そのままのテンポで金管になだれ込みます。金管はあまり激しく音がぶつかり合うことは無く、整った響きです。確実な足取りで正確に演奏されるチェレスタ。
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ケンナジー・ロジェストヴェンスキー/サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団

★★★★

一楽章、モノラル録音のようで何とももっさりとした音です。聞き進むと録音にも慣れて来ます。打楽器の強打はリミッターが掛かっているようです。ロジェストヴェンスキーらしい粘っとりとした表現です。プレストはそんなに速くは無く、尾を引くように表現して行きます。

二楽章、この楽章冒頭もゆっくりとしたテンポです。かなり濃厚な演奏です。それぞれの楽器の音色にも粘りが感じられるようでかなりハイカロリーです。

三楽章、とてもゆっくりとしたテンポの序奏。トランペットはかなり奥まっています。ゆっくりと濃厚で表現も豊かな演奏ですが、金管が全体に奥まっていて、伸びて来ないのが少し残念です。トロンボーンのソロもこれでもかと言うような表現です。ティンパニの後の金管もゆっくりと壮大な演奏なのですが、強く感じるだけで実際に音は前には出て来ません。サービス精神旺盛で聞かせどころ満載の演奏ですが、録音が悪いのがとても残念でした。最後のチェレスタも思いにふけるような表現でした。
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ネーメ・ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団

★★★☆

一楽章、叩きつける打楽器。少し奥まって響く金管はかなり激しく鳴らされます。かなりくっきりと浮かび上がる楽器。ゆっくりとしたテンポで良く歌うファゴット。静寂から炸裂までの振幅はかなり大きい演奏です。整然としていて鋭角に響く金管はとても心地良いものです。あまり疾走感の無いプレスト。弦は少し詰まった感じで伸びやかさには欠けます。スネアが緩く、ドタドタとした打楽器。静かな部分は消え入るような弱さなので、かなりダイナミックレンジは広いです。

二楽章、柔らかい響きの冒頭。残響を伴って柔らかく暖かい響きの演奏です。打楽器はあまり際立って聞こえません。

三楽章、鋭いトランペットやティンパニの強烈なクレッシェンドがあったり所々にギョッとさせられるような表現が散りばめられています。速い部分は快速です。ティンパニのクレッシェンドはかなり急いだ感じでした。続く金管きかなり鋭い響きで壮絶ですが、何故そんなに急ぐと言う感じもします。チェレスタもテンポが速く、少し事務的に感じました。
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サイモン・ラトル/バーミンガム市交響楽団

★★★☆

一楽章、録音レベルが低く、少し遠目に定位するオーケストラ。軽い響きの演奏です。金管も激しく前に出て来ることは無く、奥で鳴り響きます。激しく咆哮してもアンサンブルが乱れることは無く整然としています。あまり強い主張はせずに作品をストレートに演奏している感じです。疾走するプレスト。アンサンブルが整っているのか、大人数で演奏しているようには聞こえません。

二楽章、とても滑らかで尖ったところはありません。軽々とサラッと流れて行きます。あまりに軽く、滑らかに流れて行くのでBGMのような感覚になってしまいます。打楽器も耳を澄まさないと聞こえません。

三楽章、あまりに静かなので、ボリュームを少し上げた。ゆっくりと演奏されるファゴット。それでも引っかかるところはあまり無く、流れの良い演奏です。スコアをほぼ完璧に再現したような演奏ですが、一方でお行儀の良い演奏で、あまり面白くないかも知れません。トロンボーンのソロも軽いです。ティンパニの後の金管は、壮絶な不協和音ですが、ブレンドされた柔らかい響きです。柔らかく寂しげなチェレスタ。
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ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★☆

一楽章、一音一音丁寧に演奏されます。金管は咆哮しませんが、ブレンドされたバランスの良い響きです。おそらく放送用の録音で、細部までは分かりませんし、色彩感もあまり鮮明ではありませんが、とても統率の取れた演奏だと言うことは分かります。温度感も冷たくは無く、暖かいです。ハイティンクの演奏では常に感じることですが、細部まで厳格に統制された緻密な演奏です。プレストはゆったりとしたテンポで疾走感は全くありません。プレスト以外はそんなに遅いとは感じませんでしたが、一楽章だけで30分もかかっていた。

二楽章、ゆっくりと丁寧に演奏します。ケーゲルのような一音一音が強固な感じではありませんが、この演奏も、一音一音に非常に神経が込められています。豊かな響きを伴った打楽器。

三楽章、非常にゆっくりと演奏されるファゴット。金管が突出することは無く面で押してくるような感じです。表情豊かなトロンボーンのソロ。ティンパニに後の金管はかなりくすんだ響きで壮絶さは感じません。少しためらいながら演奏されるチェレスタ。
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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ソビエト国立文化省交響楽団(ライヴ)

★★★

一楽章、シャリシャリと響くシンバル。サスペンドシンバルも確実にかぶってくる。かなり五月蠅い金管。危なっかしいオーボエ。吐き捨てるように下品な金管。かなり長い残響です。強烈なティンパニ。あまり疾走感の無いプレスト。シンバルの径が小さく刺激のある音です。アンサンブルはかなり乱れ、崩壊寸前です。ロジェストヴェンスキーらしい濃厚な表現のファゴット。

二楽章、ゆっくりと丁寧に演奏されます。ウネウネとした木管。かなりはっきりとした打楽器。

三楽章、とてもゆっくりとしたテンポのファゴット。かなり濃厚に歌います。強烈に突き刺さるトランペット。サービス精神旺盛で良く歌います。色々ありますが、楽しい演奏です。トロンボーンも楽しそうです。ゆっくりとしたティンパニの後の金管は、あまり音がぶつかり合わず思ったほど前には出て来ません。たどたどしい足取りのチェレスタ。

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ユッカ=ペッカ・サラステ/シュターツカペレ・ドレスデン

★★★

一楽章、流れの良い演奏です。とても整然としていて、壮絶な感じはありません。柔らかくて伸びやかな響きが美しいです。プレストも整然としていて、強烈な感じは無く、サラリと流れて行きます。一音一音に力を込めるよりも流れを優先しているような演奏です。

二楽章、折り重なる弦が美しい。クラリネットも滑らかで美しい。打楽器が左右に分かれていて面白い。

三楽章、ユックリトしたテンポでとても豊かに歌うファゴット。最初の頂点も控えめで広がりのある響きです。全体にゆったりとしたテンポでガリガリと刻み付けるような演奏では無く、とても軽いタッチで描かれています。ティテンパニの後の金管はかなり奥にトランペットがいて、他の楽器が周りを囲んでいるようなフワッとした響きで壮絶な響きではありません。最後もどこか暖かい。

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ヴァシリー・ペトレンコ/ロイヤル・リバプール・フィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、鋭い響きの冒頭。その後も歯切れの良い演奏です。金管は奥まっていて、木管が若干強い録音です。クリアで明快な演奏ですが、その分粘りや壮絶さは感じません。強い疾走感は無いプレスト。かなり割り切れた演奏のように感じます。

二楽章、大きな表現はせず、淡々と作品を音に変えて行きます。とても透明感の高い演奏が特徴ですが金管は咆哮せす、少し大人しい演奏です。打楽器はとても弱くあまり聞こえません。

三楽章、とても弱くゆっくりと始まります。表情豊かなファゴット。淡々と演奏が進んで行きます。作品を遠目から見ている洗練された演奏ではありますが、少し物足りない感じはあります。トロンボーンのそろも真面目です。ティンパニの後の金管も炸裂すると言う程の咆哮では無く、安定した響きで壮絶さはありません。粒立ちのはっきりとしたチェレスタ。
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マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

★★★

一楽章、少し遠目に位置するオーケストラ。スリムでスッキリとした響きです。静寂な部分はとても美しいですが、金管が入ると少しマットな響きになります。強い表現はありませんが、丁寧には演奏されています。金管も咆哮することは無く、節度を保った演奏です。あまり疾走感は無く、落ち着いたプレスト。

二楽章、弱音部分では空間を感じさせる録音です。Ebクラが美しい。作品をストレートに音にしている感じで、ヤンソンスの主張はほとんど感じられません。打楽器も強調されません。

三楽章、とてもゆっくりと演奏されるファゴット。とても抑制されていて、金管が炸裂するようなことはありませんが、その分、弱音は消え入るように弱く演奏されます。弱音部分の色彩感や豊かな響きが美しい演奏です。控えめで柔らかいトロンボーン。ティンパニの後の金管も抑え気味で壮絶な雰囲気ではありません。淡々と演奏されるチェレスタ。
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ユージン・オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団

★★

一楽章、音像が大きい録音です。スピーカー一杯に音が広がります。セッション録音なので、とても丁寧に演奏されています。硬さや冷たさは感じません。全ての音が前に出てきて奥行き感はあまりありません。プレストはあまり疾走感が無く、落ち着いています。

二楽章、ゆっくりとしたテンポで大きめに始まります。安全運転で緩い感じがします。

三楽章、とてもゆっくりとしたテンポで始まります。確実な足取りで、さらに安全運転感が高まります。余裕綽綽で脱力した演奏が魅力になる場合もありますが、この作品では、プラスには働いていないように感じます。トロンボーンのソロは目の前で鳴ります。ティンパニの後の金管もとても淡白です。最後も速めのテンポであっさりとしています。
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ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団(ライヴ)

一楽章、この頃のライヴ独特のモヤーッとした響きと、デッドで音が短い金管。とても静かな第二主題。ステレオ録音ではありますが、奥行き感も無く、ホルンがデッドに鳴ります。緊張感のあるプレストのフガートはなかなか良いですが、やはり金管が入るとデッド過ぎて雰囲気が悪くなります。この当時のライブ録音としてはかなり良い状態だと思いますが、この作品の複雑さや起伏の激しさを聞くには不十分です。弱音もヒスノイズに隠れて細かなところまでは聞けません。

二楽章、淡々と演奏される主題。木管楽器はどれも引き締まっていて良い響きです。

三楽章、序奏のファゴットも淡々としています。トロンボーンも非常に音が短い。ティンパニに後の金管も壮絶な響きでは無く、とてもデッドで、浅い響きです。深い闇に落ちて行くような演奏。チェレスタは速めのテンポで淡々と演奏されます。

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ブルックナー交響曲第1番

マルクス・ポシュナー/リンツ・ブルックナー管弦楽団

★★★★★

一楽章、鮮明で、左右一杯に広がるオーケストラ。生き生きと歌う木管。第二主題も豊かに歌います。第三主題は少しリミッターがかかったように控えめでした。展開部ではテンポを落として濃密な表現の部分もありました。あまり書か慣れない音が聞こえたり中々個性的な演奏です。コーダも非常にゆっくりとしたフルートとチェロの後に加速して終わりました。

二楽章、重量感のある主要主題。静寂感があって、その中に伸びやかに響く楽器がとても良いです。第二主題も柔らかく美しい。

三楽章、スピード感のある主部。とても鮮明な中間部。テンポの動きもあってとても良い演奏です。

四楽章、速めのテンポの第一主題。第三主題の前はまさに「火のように」でした。穏やかな部分と激しい部分の振幅がとても大きいです。混然一体となったコーダ。
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パーヴォ・ヤルヴィ/hr交響楽団

★★★★★

一楽章、遠くから柔らかく響く第一主題。清々しい第二主題。N響との演奏よりも落ち着いています。速めのテンポで快活な第三主題。木管が豊かな表現をしています。トゥッティはとても充実した響きで素晴らしいです。

二楽章、筋骨隆々な主要主題。潤いがあって色彩感も濃厚です。ピンポイントで美しいフルート。表情豊かな副主題。中間部もとても丁寧です。

三楽章、非常に速いテンポですが整然としていて荒々しさはありません。精緻で美しい演奏です。速いテンポでもしっかりと表情が付けられています。少し浅いトリオのホルン。とてもスピード感のある演奏でした。

四楽章、深みのある第一主題。優しく語り掛ける第三主題。テンポが大きく遅くなったり表現の幅が大きいです。金管は気持ちよく鳴り響きます。最後はティンパニの猛烈なクレッシェンドがありました。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

一楽章、深みのある第一主題。洗練されたトゥッティ。滑らかで美しい第二主題。混沌とした第三主題。豊麗に鳴り響く金管はとても美しく整然としています。ゆったりとして堂々としたコーダ。

二楽章、とても弱くホルンに隠れるような第一主題。洗練された美しい響きはとても魅力的です。副主題もとても美しいです。コーダの力感溢れる響きも素晴らしい。

三楽章、速めのテンポですが、全く荒さが無く完璧に演奏される主部。豊かに歌うトリオ。主部が戻っても素晴らしい金管。

四楽章、堂々とした第一主題。流れるような第二主題。豊麗な金管の響きはこの作品にはとても良い。少し遅めのテンポで素晴らしい響きの金管の描き出すコーダは見事としか言いようがありません。
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パーヴォ・ヤルヴィ/NHK交響楽団

★★★★★

一楽章、快速で飛ばす第一主題。一転して涼やかでゆったりとした第二主題。速めのテンポで颯爽と進む第三主題。展開部でも良く鳴り色彩感も濃厚です。再現部でも速いテンポの第一主題で勢いがあります。ティンパニや金管が重なって激しい響きのクライマックス。

二楽章、輪郭のクッキリとした主要主題。サラサラとしていて美しい副主題。高い精度の演奏は素晴らしいです。

三楽章、この楽章もかなり速いテンポです。テンポは速いですが、演奏は全く荒れないのはさすがです。トリオは揺れるリズムです。

四楽章、この楽章も速いテンポで勢いがあります。涼やかで美しい第二主題。トゥッティの充実した響きも素晴らしい。力強く若々しさのある演奏でした。
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ミヒャエル・ギーレン/SWR交響楽団

★★★★★

一楽章、非常にゆっくりと厳格にはっきりと演奏される第一主題。伸びやかで広々とした音場感。第二主題も美しい。スケール大きな第三主題。ゆっくりとしたテンポで美しく歌う演奏です。

二楽章、深みのある主要主題。すっきりと切り分けられたように表現が変わります。とても柔らかい副主題。

三楽章、とても明晰な主題。少し縮こまったような中間部のホルン。

四楽章、活動的な第一主題。とても良く鳴るオケで気持ちの良い演奏です。コーダもゆっくりとしたテンポで壮大な演奏でした。

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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団(ハース版)

★★★★★

一楽章、速めのテンポでサクサク進む第一主題。爽やかに響くヴァイオリン。しっとりとした第二主題。トランペットも力強くメリハリのある演奏です。柔らかく伸びやかな第三主題。潤いのあるクラリネット。

二楽章、柔らかい主要主題。強い主張は無く自然体で作品に語らせるような演奏です。抑えた表現の副主題。控えめで奥ゆかしい中間部。ファゴットも柔らかくて美しい。

三楽章、どっしりと落ち着いた主部。激しさや荒々しさはありません。牧歌的なトリオのホルン。どの楽器も美しく捉えられている良い録音です。

四楽章、どっしりと重量感のある第一主題。サラッと撫でるような第二主題。第三主題も下の響きがとても柔らかい。ティンパニは釜の鳴った良い音がします。作品そのものを聴くには良い演奏です。
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小泉 和宏/九州交響楽団

★★★★☆

一楽章、柔らかくそっと響く第一主題。堅実な足取り出す。涼やかで美しい第二主題。とても良く鳴る第三主題。再現部もメリハリの効いた鳴りっぷりの良い演奏です。伸びやかで色彩感も豊かなクライマックス。

二楽章、柔らかい主要主題。副主題も繊細で伸びやかです。小泉の堂々とした音楽の運びとオーケストラの充実した響きが素晴らしい。

三楽章、あまり荒々しさは感じない丁寧な主部です。

四楽章、この第一主題もあまり荒々しさは無く、とても美しい演奏です。純粋に作品に忠実な演奏だったと思います。
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オイゲン・ヨッフム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、輪郭のくっきりとした第一主題。自然体で美しい第二主題。テンポも微妙に動きます。活力のある若々しい演奏です。エネルギーが噴出する第三主題。展開部でもかなり金管が咆哮します。かなり追い込んで終わりました。

二楽章、ゴリゴリとした主要主題。静寂感の中に響くフルート。サラッとして涼やかな副主題。録音年代からすれば仕方のないことですが、ヴァイオリンなどが若干ザラついています。コーダではほとんど金管が聞こえませんでした。

三楽章、とても良く表現されていますが、荒々しさは感じない主部。スタッカートを多用したトリオのホルン。

四楽章、とても流れが良くあまり強い主張がありません。金管はとても力強いです。内側から祈るような第三主題。見事な金管の鳴りはさすがベルリンpoです。コーダではテンポも大きく動きます。
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クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、良く弾む第一主題。ウィーンpoらしく密度が濃く色彩かも豊かです。第二主題は良く歌われて美しいです。覇気があってとても力強い演奏です。アバドの覇気と作品の若々しさがマッチしていてとても良い演奏です。

二楽章、落ち着いた表現ですが、感情も乗っている主要主題。副主題も豊かな歌です。

三楽章、スピード感があって力強い主題。動きがあって生き生きとしたトリオ。

四楽章、速めのテンポで活発な第一主題。穏やかですが、生命観を感じる第二主題。金管の豊麗な響きも素晴らしい。羊皮独得の響きのティンパニはこの作品には合っていないような気がします。
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ベルナルト・ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

★★★★☆

一楽章、力が抜けて自然体な第一主題。リズムは良く弾みます。自然ですがさりげなく歌う第二主題。良く鳴って力強い第三主題。この頃のコンセルトヘボウらしくとても色彩感が濃厚です。弱音の静寂感も良いですし、コーダの豊麗な響きも良いです。

二楽章、あくまでも自然体で緻密な演奏が続いて行きます。美しく歌う副主題。ファゴットもとても哀愁のある響きで美しいです。

三楽章、細身で丁寧なので、あまり粗野な感じはありません。トリオは緻密で濃厚です。主部が戻るとハイティンクの丁寧さが仇になる感じがします。

四楽章、速めのテンポの第一主題。暴走することなく抑制された演奏です。繊細な第二主題。展開部でも豊麗な響きが素晴らしい。ハイティンクは作為的な部分が無いので安心して聞くことが出来ます。

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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響曲楽団

★★★★

一楽章、奥まったところから柔らかい第一主題。スピーカーの中央にオケが集まっているような感じであまり広い音場感ではありません。ゆったりとした第二主題。作品に身を任せるようなテンポの動き。控えめな第三主題。展開部のトロンボーンも力が抜けています。再現部の第二主題は涼やかで美しい。コーダはテンポの動きも大きい演奏でした。

二楽章、弱音に集中力があって聞かせる演奏です。副主題はサラッとしていて美しい。弱音の繊細な動きは他の演奏とは一線を画すものです。

三楽章、嵐の様な荒々しさは無く、むしろ主題は抑えられていて大人しい印象です。トリオは細部まで拘った良い演奏です。

四楽章、独特な表現の第一主題。大きく構えた演奏では無く、少し小さくまとまっているような感じを受けます。凝縮されたような集中力を感じさせる第二主題。金管を大きく鳴らすことがあまり無く、抑制された演奏です。最後は大きくテンポを落としましたが、最後まで抑制的でした。

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オイゲン・ヨッフム/シュターツカペレ・ドレスデン

★★★★

一楽章、柔らかい弦の刻みに続いてやはり柔らかい第一主題。艶やかで鮮明なヴァイオリン。素朴な響きの第二主題。第三主題も伸びやかで柔らかい。純朴な響きがとても魅力的です。ベルリンpoとの旧版のような激しい咆哮は無く、どっしりと構えた落ち着いた演奏です。最後は速くなりましたが、ベルリンpoとの演奏よりも落ち着いています。

二楽章、まろやかな主要主題。探るように注意深い演奏です。木管が小さく定位して静寂感の中に美しく響きます。柔らかい肌触りの布のような副主題。シュターツカペレ・ドレスデンの響きは洗練された響きでは無く、暖かくて柔らかく古めかしいので、ブルックナーにはとても合っています。コーダでほとんど金管が聞こえないのはベルリンpoとの演奏と同じです。

三楽章、ゆっくりとしたテンポでとても丁寧な主部。

四楽章、控えめな第一主題。第三主題まで抑制的でした。トランペットが全体的に抑えられていて、開放されません。かなり抑えられた演奏に欲求不満になりそうです。最後の最後は強く演奏されました。

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ロベルト・パーテルノストロ/ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、豊かな残響を伴って柔らかい第一主題。感情を込めて歌われる第二主題。第三主題はトロンボーンが奥まっていて力強さは感じません。残響は豊かなのですが、オーケストラの響きそものもはあまり艶やかでは無く、あまり魅力的な響きではありません。

二楽章、豊かな残響に少しカサついた主要主題。繊細に表現される副主題。中間部もカサカサした響きであまり美しくありません。コーダの金管はかなりゆっくりと演奏されました。

三楽章、あまり荒々しさを感じない主部。表現の幅が狭く一本調子な感じがします。せっかく豊かな残響の大聖堂で演奏しているのだから、濃厚で水の滴り落ちるような艶やかな演奏をして欲しかったと思います。トリオも特徴のある表現も無く、淡々と流れて行きます。

四楽章、あまり激しさを感じない第一主題。やはり第三主題もシルキーでは無くカサカサとしていますし、テンポは動きますが、表現らしい表現も無く、何も訴えて来ません。ティンパニが時折激しいクレッシェンドをするのは全体を通じてとても印象的です。力を振り絞ったコーダはとても良かったです。

サー・ゲオルク・ショルティ/シカゴ交響楽団

★★

一楽章、ゆっくり目で粘りのある第一主題。涼やかな第二主題。速めのテンポで颯爽と演奏される第三主題。ショルティとシカゴ響の演奏なので金管が吹きまくるのかと思っていましたが、節度のある演奏でブルックナーらしさはあります。再現部の第二主題も清涼感があります。ショルティ/シカゴの演奏にしてはかなり抑制的でした。

二楽章、とても精度の高い主要主題。柔らかく美しい副主題。中間部は少し硬い感じ。

三楽章、速めのテンポでセカセカしていて落ち着かない主題。トリオはゆったりとしていのすが、ホルンが委縮したような演奏で、今一つです。

四楽章、いつもりショルティ/シカゴの演奏とは違い、吹っ切れたような豪快さが無く、中途半端な演奏です。いつものショルティの演奏をすれば良いのにと思いますが、何を迷ったのか。少し硬さのある第二主題。ショルティなら豪快に鳴らし切ってくれると期待しましたが、大きく期待が裏切られた演奏でした。
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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/

ソビウト国立文化省交響楽団

★☆

一楽章、遠くて細い第一主題。クラリネットが大きく聞こえます。トランペットもオンマイクで残響を伴わずマットに響きます。フルートもとても強く、とても変なバランスです。第二主題もザラザラとしています。第一主題の時とは一転して豊かな響きで鋭いトランペット。第三主題はロジェストヴェンスキーらしい咆哮です。ドンシャリ的な録音と、これでもかとねちっこく、激しい金管の咆哮が特徴的な演奏です。

二楽章、ビリビリと奥から響いて来る金管。副主題もザラザラと木目の粗い響きです。稿によるものなのか、木管のスタッカートが気になります。金管がねっとりと下品に演奏するのはロジェストヴェンスキーらしいのですが、ブルックナーの演奏には下品過ぎると思います。

三楽章、音も短く強烈な金管。ちょっと辟易として来ます。トリオのホルンも独特な表現です。

四楽章、盛大な第一主題。続く木管も近い。「火のように」と言う指定からすればその通りなのですが、強烈です。対照的に優しい第二主題。展開部の第二主題はゆったりとしたテンポで感情が込められています。コーダで金管が入るとテンポが遅くなってかなりハイカロリーな演奏です。
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フォルクマール・アンドレーエ/ウィーン交響楽団

一楽章、マットで近い第一主題。盛り上がりに伴ってテンポが速くなのります。潤いが無くカサカサとした印象の第二主題。第三主題のトロンボーンも近く、残響をほとんど伴っていないような感じです。1953年の録音ですが、あまり良い録音ではありません。テンポはかなり動く情熱的な演奏です。

二楽章、主要主題も少しザラつく感じです。聞き進めれば録音の古さにも慣れて来ますが、やはり硬い感じは付きまとい、音楽に浸ることは出来ません。

三楽章、テンポも速く、粗野で嵐のような感じはとても良く表現されていますが、この楽章ではオケが奥に引っ込んだ感じかします。トリオでもヴァイオリンが活発に動きます。

四楽章、三楽章から一転してオケが近くになりりました。カサカサに乾燥しているような第二主題。金管の音が短い。テンポはかなり激しく動きます。
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ブルックナー交響曲第2番

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団(ハース版)

★★★★★

一楽章、サラットした響きで、ゆったりとしたテンポの第一主題。録音は良くどの楽器もくっくりと浮かび上がります。第二主題も爽やかです。第三主題も落ち着いたテンポで力みの無い自然な演奏です。自然で奇をてらうようなようなところが全く無いので安心して音楽に身をゆだねることが出来ます。金管も伸びやかに良く鳴ります。ゆっくりとした足取りでとても安定感のある演奏です。

二楽章、この楽章も遅めのテンポでしみじみと歌うA。ふくよかなホルン。作品の良さをじっくりと味わえる演奏です。力みが無く伸びやかなクライマックス。ベネディクトゥスも大きな表現ではありませんが自然な歌です。

三楽章、とてもゆっくりとしたスケルツォ主題。テンポが遅いの荒々しくは感じません。洗練された木管の美しい響き。あまり揺れず堅実なトリオ。

四楽章、この楽章もゆっくりとしていて確実に進みます。重量感のある第一主題。ゆらゆらと涼やかで穏やかな第二主題。集中力のある弱音。トロンボーンも統制が取れていて美しです。堂々としたコーダ。最後のティンパニのクレッシェンドも素晴らしかった。
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パーヴォ・ヤルヴィ/NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

(1877年版)

★★★★★

一楽章、少し速めのテンポで明確に表現する第一主題。第二主題も他の指揮者とは違う明快な表現です。第三主題も明快で、スパッと歯切れよく前へ進む力があります。小結尾主題は少しテンポを落として滑らかな演奏です。一つ一つの楽器が立っていて色彩感も濃厚です。豊かな表現なのに、クリアーで見通しの良い響きが印象的です。オーケストラ全体を良く鳴らしています。

二楽章、しっとりとした響きでたおやかな歌です。途中で音を短めに演奏する部分もありました。とても活き活きとしていて良い演奏です。ゆっくり目で芯のしっかりとしたホルン。木管も切々と訴えかけて来ます。余力を残したクライマックスでした。ベネディクトゥスの引用もくっきりとしています。コーダの消え入るような弱音も美しい。

三楽章、速めで活発な表現の主部。テンポが動きます。トリオはとてもゆっくりとしたテンポで表現豊かな演奏でヤルヴィの表現に引き込まれます。

四楽章、ゆっくり目で表情もあり、一音一音丁寧に演奏します。第一主題は少しスピード感のある演奏で、強弱の変化もあります。さっそうと活発な第二主題。展開部でも勢いのある第一主題です。ヤルヴィならではの表現が随所にあって、最近の指揮者に共通するような楽譜に忠実で没個性な演奏とは一線を画す表現は素晴らしいです。コーダの前でもほとんどテンポを落としませんでした。と言うより若干速くなった。明るく輝かしいコーダでした。

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エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団(1877年稿)

★★★★☆

一楽章、少し遠目で温度感の低い響きです。金管も遠くから鋭く響きます。トゥッティは豊麗な響きです。静かで淡々としている第二主題。ブルックナーにしてはトランペットが鋭すぎるような感じがします。あまりに洗練されて都会的です。ゆったりとした小結尾主題。全体に積極的に歌ったり表現したれはせずに作品に任せている感じです。

二楽章、伸びやかで美しいですが、大きな表現はありません。ダイナミックレンジもとても広く弱音でもとても伸びやかで美しいです。クライマックスのトランペットも壮絶で見事な響きです。

三楽章、軽快に美しく進み、粗野な感じはあまり無く、洗練されています。木管が瑞々しく美しいです。トリオも滑らかで美しいです。精密機械のように緻密に組み合わされている感じで、洗練の極みです。

四楽章、第一主題は華やかなくらいの輝かしい演奏です。第二主題はテンポの動きもあって柔らかい表現です。感情は排して作品の良さをそのまま伝えようとする演奏です。少し腰高な響きではありますが、力まずに伸び伸びとした響きは抗しがたい魅力があります。コーダは颯爽としたテンポで少し追い込むような感じで、輝かしく終わりました。
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カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーン交響楽団(1877年版)

★★★★☆

一楽章、とても表現豊かな第一主題。一音一音魂が込められているような凄みがあります。トランペットは奥まったところから響きます。第二主題も美しい歌です。第三主題の強弱の振幅も大きく一音一音丁寧です。ふくよかですが、高揚すると激しいホルン。フレーズを一まとめにせず一音一音に神経が行き届いているのが凄いです。

二楽章、大きな表現ではありませんが、滲み出て来るような表現です。柔らかく美しいホルン。広々としたクライマックス。柔らかく始まって、トランペットのハイトーンが鋭く響きました。

三楽章、一音一音明確に弾き分けるスケルツォ主題。ブルックナーのスケルツォらしく金管が暴力的に入って来たり、強弱の変化があったりします。あまり揺れずにはっきりと演奏されるトリオ。

四楽章、第一主題にちょっと間があったり独特の表現です。少し速めですが、うねるように波打つ第二主題。微妙なテンポの動きもあります。再現部に入る前にも大きくテンポを落としました。速めのテンポであっさりとコーダが終わりました。

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オイゲン・ヨッフム/シュターツカペレ・ドレスデン

★★★★

一楽章、少し遠目から豊かな残響を伴った第一主題。くすんだトランペット。線が細く薄い響きのヴァイオリン。第二主題も自然な歌です。推進力のある第三主題。小結尾主題も余裕のある自然体です。展開部ではビブラートを掛けるホルンが印象的です。再現部へ入る前に少しテンポを落として行くところはとても良い雰囲気がありました。自然体で暖かい演奏です。

二楽章、ここでも暖かくまろやかな響きです。残響を伴って包み込まれるようなBですが、やはりホルンのビブラートが少し気になります。二度目のAは切々と訴えて来ます。控えめですが、広大なクライマックス。ベネディクトゥスの引用はクライマックスとは対照的にとても小さくまとめられています。

三楽章、ゆったりとしたテンポで一音一音確実に演奏しています。滑らかなクラリネット。トリオもゆったりとしていて、厚みのあるビオラです。

四楽章、冒頭の細かい動きで少し加速してように感じました。スピード感のある第一主題。第二主題も速めのテンポでもう少し味わいが欲しい気がします。展開部はかなり荒々しい演奏で、速めのテンポが生かされています。激しいトロンボーンも速いテンポが効果的です。コーダの前は少しだけテンポを落としました。コーダは猛烈なテンポで最後は凄い盛り上がりでした。

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ヘルベルト・ブロムシュテット/ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(初稿)

★★★★

一楽章、感情を込めて歌われる第一主題。テンポは速めです。柔らかく表情のある第二主題。第三主題もサクサクと進みます。小結尾主題も伸びやかです。展開部はかなり速く感じます。オーケストラは伸びやかで美しいです。展開部の第二主題はゆっくりとしたテンポでさらにテンポの動きもあり深い表現です。再現部の第一主題はかなり激しい演奏です。トロンボーンは奥まっていてトランペットとは音量差があります。表現も豊かで色彩感もある良い演奏です。

二楽章、スケルツォが二楽章に来ます。サラッとしたホールに拡散します。テンポの動きもあって作品への共感も感じます。割とカチッとしたトリオ。

三楽章、暖かみのある響きで、強い表現ではありませんが、切々と訴えて来るような演奏です。Bはとても豊かな表現です。初稿ではクライマックスでトランペットが入らないのか?ベネディクトゥスの引用も良く歌われて良いです。克明で繊細な弱音。

四楽章、揺れるような表現から第一主題に入りました。淡々とした第二主題。展開部の第一主題はスピード感があります。弦のとても柔らかい響きからトランペットの鋭い響きまでとても大きな色彩と表現の幅があります。コーダはハース版とは全く違いました。
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フランツ・コンヴィチュニー/ベルリン放送交響楽団(ハース版)

★★★★

一楽章、ゆったりとしたテンポで豊かに歌う第一主題。トランペットはかなり遠い。第二主題も深みがあって穏やかです。同じ時代の録音ですが、アンドレーエの演奏とはかなり違います。第三主題も潤いを感じるものです。小結尾主題は淡々と進みます。展開部も低弦と木管の対比が良いです。遠くからですが、金管も力強い。再現部も丁寧な表現です。

二楽章、テンポが動いて伸びやかにしかも深い共感を持って歌います。微妙にテンポが動くB。金管が強く演奏しているのは響きで分かりますが、エネルギーとしては伝わって来ない。

三楽章、あまり荒々しくは無いスケルツォ主題。トリオは美しく歌うので、身をゆだねることが出来ます。

四楽章、この楽章もゆったりとしたテンポです。控えめな第一主題。録音の古さからヴァイオリンの木目は荒いですが、良く歌う第二主題。自然にテンポが動く演奏で、とても心地良いです。コーダの前で大きくテンポを落としました。録音が古いのが残念でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1877年版)

★★★☆

一楽章、速めのテンポで整然としてテキパキと進む感じの第一主題。元気が良く颯爽としています。第二主題もサラリと流れて行きます。インバルの録音に比べるとマットな響きです。小結尾主題も流れるような滑らかさです。展開部も再現部もとても整った演奏です。

二楽章、一体となって整った歌です。ゆったりとしたB。川の流れのように豊かな弦。弦の後ろで激しく咆哮するホルン。大きなクライマックスですが、マットな響きで輝きがありません。

三楽章、スピード感のある主部。トリオは厚みのあるビオラ。ティンパニは硬質で良い音で鳴っています。

四楽章、かなり軽い第一主題。小気味よく進みます。あっさりとして味わいの無い第二主題。整った演奏なのですが、強く惹き付けられるような演奏ではありません。とても整っているので、激しい表現は感じません。コーダの最後はトランペットが突き抜けて来ました。
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小澤 征爾/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1999年ウィーン芸術週間

★★★

一楽章、ほとんど表情の無い第一主題。第二主題もあっさりとしています。第三主題も無表情です。小結尾主題は少し速めで、ここも表情はありません。展開部に入って深い表現になりました。起伏は激しいです。再現部でも濃厚な色彩で、激しい表現です。コーダもかなり激しい演奏でした。

二楽章、控えめながらジワジワと迫って来る表現です。Bのビツィカートの強弱の変化も丁寧でした。クライマックスは肩透かしのように力が抜けています。

三楽章、速めのテンポであまり荒々しい感じはありません。主部が戻るとかなり荒々しい演奏になります。

四楽章、ゆったりとしたテンポです。第一主題はさらに遅くなります。無表情であっさりとした第二主題。小澤の演奏はいつも良く分からない。同じ民族だから特徴や良さが分からないのか、自分自身がクラシック音楽に西洋的なものを求めすぎるのか、演奏を聞き終えても何かモヤモヤしたものが残る。コーダの前の金管が大きく入った後から導入部が再現されるまではかなりテンポがゆっくりになりました。コーダも平板に終わりました。
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ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー/ロシア国立シンフォニー・カペラ

★★★

一楽章、とても大きい表現の第一主題。速めのテンポで、豊かな残響ですが、かなりメタリックな録音で、ミュートしているようなチーチーと響くトランペット。第二主題も積極的に歌います。小結尾主題も豊かな表現です。展開部も速めのテンポですが、表現はとても大きいです。

二楽章、抑え気味のA。太く独特な響きのホルン。二度目のBでも浅い響きで強く演奏されるホルン。巨大なクライマックス。かなり暴力的で雑な感じです。

三楽章、主部では情緒的にテンポが動く部分もありました。トリオはゆったりとしたテンポになります。コーダで大きくテンポが落ちる部分がありました。

四楽章、スピード感のある第一主題。金管も荒々しく響きます。速めであっさりとしている第二主題。録音による影響もあると思いますが、金管はとても盛大に鳴り響きます。
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ロベルト・パーテルノストロ/ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、とても豊かな残響に響く第一主題。ゆったりとしたテンポですが特に歌うことはありません。第二主題も特に表現も無く進みます。ゆったりと穏やかな小結尾主題。残響が多いので響きは厚く感じます。残響が長い割に金管はあまり伸びやかに響きません。

二楽章、ここもあまり思い入れの無いあっさりとした表現です。Bのホルンは豊かな残響の中にとても美しい響きです。美しい弱音から盛り上がって、トランペットが奥で輝いて強く響くクライマックスは良い表現でした。ベネディクトゥスはちょっと硬い表現でした。

三楽章、落ち着いた表現の主部。あまり荒々しさはありません。もう少しスピード感があっても良いような気がします。トリオは速くなります。

四楽章、第一主題も第二主題もあっさりとした演奏ではっきりと爪痕を残すような演奏ではありません。作品そのものと、とても長い残響の大聖堂と一体になった響きを聞かせる演奏のようです。ライヴ録音なので、当日会場にいた人は豊かな響きがとても心地良かったと思いますが、2chのステレオではその残響に包まれるような体験は出来ないので、演奏の魅力はどうしても下がります。コーダの前は大きくテンポを落とすことは無く、コーダもゆっくりとした演奏で締めました。

オッコ・カム/フィンランド放送交響楽団

★★★

一楽章、たっぷりと歌う第一主題。あっさりとしていますが穏やかな第二主題。第三主題も目立った表現はありません。小結尾主題も流れの良い演奏で穏やかです。展開部に入っても爽やかです。粘り気の無いサラッとした演奏で、これはこれで良い演奏です。金管も突き抜けては来ず、マイルドにブレンドされています。コーダに入ってテンポの動きもありました。

二楽章、奥ゆかしい表現のA。Bはテンポの動きの中で歌います。クライマックスも大きくは無く、小さくまとまっています。ベネディクトゥスが静かに歌われます。コーダはとても静かで良い雰囲気です。

三楽章、この楽章の主部も丁寧で荒々しくはありません。テンポが大きく落ちたり神秘的な表現の部分もありました。この楽章はテンポが良く動きます。

四楽章、かなり速いテンポで入りました。ヴァイオリンの細かい動きにも表情が付けられています。速いテンポのままの第一主題。第二主題はテンポを落として優しい表現です。しなやかな弱音は美しいです。第一主題の再現へ向けての加速はなかなかでした。コーダは金管が鳴り切らず盛り上がりは今ひとつでした。
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ケース・バケルス/フランダース交響楽団

★★☆

一楽章、柔らかく伸びやかな第一主題。テンポは速めではつらつとしています。トランペットは控えめです。第二主題、第三主題とも速めのテンポです。小結尾主題も淡々と進みます。展開部に入りさらにテンポが速くなります。再現部に入っても特に主張も無く流れて行きます。割とせっかちに終わった感じです。

二楽章、感情を込めてたっぷりと歌う主要主題。音量の振幅も大きく一楽章とは一転して豊かな表現です。

三楽章、この楽章は速めで推進力があります。荒っぽさは無く滑らかで美しいです。揺れるようなトリオ。

四楽章、速めでガツガツと演奏される第一主題。第二主題も速めです。展開部も豪快に突き進む感じです。コーダもあなり大きな盛り上がりでは無く全体に平板な印象でした。
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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団

★★

一楽章、遠くから響く第一主題。トランペットは近めです。あまり表現らしい表現は無く、サラッと過ぎて行きます。録音のせいか、マットな響きで、あまり伸びやかではありません。小結尾主題もあっさりとスタスタと進んで行きます。展開部に入っても抑え気味です。金管の信号同期の付点を長めに演奏しているのが特徴です。とても禁欲的で、均整の取れた演奏です。コーダは勢いがありました。

二楽章、一楽章からは打って変わって、ゆったりとしたテンポで、とても深く歌うA。深みのある演奏はとても良いです。Bもゆったりとしたテンポでしみじみとした歌です。クライマックスは肩透かしのように抑制されています。

三楽章、一転して速いテンポの主部。金管の長い音はとても抑えられています。揺れるトリオ。主部に戻る前にかなりテンポを落としました。ティンパニの強打はとても激しいのに金管の長い音を極端に抑えるのが不自然に感じます。

四楽章、冒頭のヴァイオンリの細かい動きに変化を付けています。第一主題はサラッとしています。第二主題も速めです。金管の長い音が弱く、弦の細かな動きが強調されているように感じます。コーダでは強弱の変化もありましたが、金管の長い音を極端に抑える演奏は理解出来ませんでした。
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サー・ゲオルク・ショルティ/シュトゥットガルト放送交響楽団

★★

一楽章、速めのテンポですが、感情を込められた第一主題。かなり勢いのある演奏で、克明な色彩感です。第二主題も速めで、明晰です。第三主題も速いです。とても活発な動きを感じる演奏で、ブルックナーらしいどっしりとした深い響きは感じられません。落ち着かない演奏です。ショルティが指揮をすると、どんなオーケストラでも腰高な響きになってしまいます。最後はかなりゆっくり演奏しました。大聖堂に豊かな残響が響きます。

二楽章、一楽章とは打って変わってたっぷりと歌う演奏です。残響を伴って物悲しいBのホルン。かなり激しいホルンの強奏。クライマックスのトランペットも激しい。

三楽章、エッジが立っていて速めのテンポです。トリオの速めのテンポで味わいがありません。主部に戻る前にかなりテンポを落としました。

四楽章、この楽章もかなりせかせかとしたテンポです。第二主題もかなり速い印象で、全く音楽に浸ることが出来ません。とにかく速い。スピード感はあるのですが、個人的には、もう少しどっしりと構えた演奏が聴きたいです。コーダも速くとても賑やかです。
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フォルクマール・アンドレーエ/ウィーン交響楽団(ハース版)

一楽章、かなり速いテンポで落ち着かない第一主題。さらにアッチェレランドしてトランペットが入ります。第二主題は幾分落ち着いた演奏です。第三主題も速めで、ブルックナーらしいどっしりとした雰囲気はありません。デッドな録音のせいか、金管は総じて音が短く品がありません。展開部も速く、ぐいぐいと進みます。再現部もやはり落ち着かない。何故にそんなに急ぐ。

第二楽章、一転してゆったりとした演奏です。Bのホルンも柔らかく良い雰囲気です。トランペットが下品です。

三楽章、また落ち着きのない演奏です。かなり乱暴な演奏に感じます。トリオは少し落ち着いた感じがします。主部が戻るとトランペットやトロンボーンの短い音がとても気になります。テンポの動きもあり、良いところもありますが、録音の古さかなり影響している感じがします。

四楽章、第一主題もかなり速い。録音の古さからか第二主題も味わいが感じられません。とにかく金管の音の短さが本当に気になります。味わいの無い演奏でした。

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モーツァルト クラリネット協奏曲

カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 アルフレート・プリンツ

★★★★★

一楽章、とてもゆったりとしたテンポでサラッとした美しい響きです。ゆっくり目のテンポで細部まで丁寧です。ウラッハ程ではありませんが、ウィーンのクラリネットらしい密度の濃い美しい響きです。夢見心地の世界へと連れて行かれます。高音域も滑らかで美しいです。プリンツのソロをしっかりとサポートするベームとウィーンpo。

二楽章、この楽章もゆっくりです。晴れやかに澄んだ少し冷たい空です。モーツァルト自身がこの澄んだ空へ召されることを意識しながら書いた作品なのでしょうか?とても心のこもったプリンツの独奏。優しくひたすら美しい。

三楽章、戯れるような楽しい冒頭の表現ですが、テンポは落ち着いていて安定感があります。この世との別れを寂しく感じているような雰囲気も良く表現されています。

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ハンス・フォンク/シュターツカペレ・ドレスデン ザビーネ・マイヤー

★★★★★

一楽章、伸びやかで軽快な冒頭。明るく滑らかなクラリネット。陰影があって美しく表現の幅も広い演奏です。幅の広い音量で美しい響きを聞かせます。滑らかな高音と低音域で若干ガラガラとした響きが混じりますがクラリネットらしい音で、ウィーンのクラリネットとフランスのクラリネットの中間のようなニュートラルな音です。

二楽章、澄んだ空をイメージさせるような美しい響き。天上界で奏でられるような、すでにモーツアルトが死後の世界を感じていたような音楽です。

三楽章、とても軽快な演奏です。さりけなぐ演奏されますが、かなり高い技術を感じさせます。

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オルフェウス室内管弦楽団 チャールズ・ナイディック

★★★★★

一楽章、柔らかい響きで柔和な表現です。指揮者はいないですが、とても積極的な表現です。とても古めかしいですが、美しいバセット・クラリネットです。テンポも強弱も大きく動いて豊かな表現です。テクニックをひけらかす訳でもなく、楽しく音楽をしているような感じです。楽譜に無い短いカデンツァのような独自のソロも入ります。

二楽章、陰影のあるクラリネット。朗々と歌うと言うより、作品を慈しむようにしみじみと演奏しています。消え入るような弱音に引き込まれます。独自に旋律を変えて演奏しています。

三楽章、憂いの陰を感じさせる冒頭部分。作品の陰の部分はとても良く表現しています。もうすぐこの世と別れることを悟っているモーツアルトの寂しさをとても良く表現していると思います。

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コリン・デイヴィス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 エルネスト・オッテンザマー

★★★★★

一楽章、とても優しい響きで始まりますが表現はとても広く色んな表情を見せてくれます。割と密度の濃いクラリネットですが低音域は若干密度が薄くなります。テンポは大きく動いて存分に表現します。高音域はあまり滑らかではありません。テンポの動きはとても心地良く感じます。オッテンザマーもテンポの動きに乗って濃厚に表現しています。

二楽章、澄んだ空です。ここでも感情を込めてテンポも動く表現です。音量を抑えた深みのある表現は素晴らしいです。

三楽章、速めのテンポで軽快です。ウィーンpoも濃厚な色彩でサポートしています。この楽章では音量の幅を大きく取って表現します。

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マンフレート・ホーネック/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 シャロン・カム

★★★★★

一楽章、まろやかで穏やかな響きの伴奏。残響を伴っていて柔らかいクラリネット。陰影もあります。弦とクラリネットのコントラストにもハッとさせられます。消え入る程の弱音はありませんが、滑らかさのある美しい音です。

二楽章、晴れ渡った空です。とても表現力のある演奏で聞きごたえがあります。

三楽章、速めのテンポで活発です。どことなく寂しさを感じさせる演奏も良いです。

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アンドレイ・ボレイコ/NHK交響楽団 横川晴児

★★★★★

一楽章、まろなかで柔らかい響きの伴奏。とても整った演奏です。少し細身ですが、力強いクラリネット。陰影も感じさせる演奏でなかなか良いです。NHKsoの柔らかい響きは気持ちを安らかにさせてくれます。

二楽章、澄んだ爽やかな空です。クラリネットが朗々と歌います。伴奏の表現力も素晴らしいです。

三楽章、落ち着いたテンポで確実に進みます。僅かに引っかかるところはありましたが、日本のオーケストラの水準の高さを感じさせてくれる良い演奏でした。

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アルトゥール・ロジンスキ/ウィーン国立歌劇場管弦楽団 レオポルト・ウラッハ

★★★★☆

一楽章、録音が古くシャリシャリとした冒頭のヴァイオリン。ウィーンのクラリネットらしい密度の濃い響きで引き締まっていて美しいです。テンポも動いてたっぷりと聞かせます。滑らかで美しいクラリネットは素晴らしいです。

二楽章、開く弦と閉じるクラリネットのような対比です。内に秘めたような表現ですが、とても丁寧で作品をとても大切にしているのが感じられます。

三楽章、とても落ち着いていますが、表現は豊かです。奥ゆかしいクラリネットが演奏を通して一貫しています。軽やかな演奏の中にふと、この世との別れを寂しがる表現を感じます。

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Jurek Dybał /Sinfonietta Cracovia ダニエル・オッテンザマー

★★★★☆

エルネスト・オッテンザマーの息子でクラリネット一家です。

一楽章、まろやかで柔らかい響きです。ホルンがとても良く聞こえます。お父さんに似た、密度の濃い滑らかなクラリネットです。若い躍動感のある演奏です。伴奏も勢いのある生命感を感じる演奏です。

二楽章、あまり澄み渡って空はイメージ出来ませんでした。まだ円熟した柔らかい美しさはありませんが、内面から湧き出るような命の躍動があります。

三楽章、伴奏も含めて軽快と言うよりもとても力強い演奏です。息つく暇も与えない畳みかけるような演奏はオッテンザマーの若さゆえに出来ることのように感じます。この作品としては異色の演奏でしたが、とても可能性を感じさせる良い演奏でした。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カール・ライスター

★★★★

一楽章、豊かな残響で伸びやかな響きです。ゆったりとしたテンポで滑らかに演奏されます。潤いのあるクラリネット。マイヤーより少しランスロ寄りの音色のような感じです。とても豊かに歌います。伴奏もこの世のものとは思えないような軟らかな響きでサポートしています。高音域がキーッと僅かに刺激的です。長年演奏を共にしてきた、カラヤンとベルリンpoなのでとても息が合っています。

二楽章、豊かな残響で、天国から響いて来るような心地よさがあります。澄んだ空を感じさせる部分もありますが、響きが豊かな分、雑味も感じます。ライスターはテンポもかなり自由に動かして表現しています。

三楽章、速めで軽快です。この楽章でもかなり自由に歌っています。

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ミュンヘン室内管弦楽団 カルロス・フェレイラ

★★★★

一楽章、古楽器による演奏のようで、少し線の細い響きです。積極的に表現しようとする意欲のある演奏です。明るく伸びやかで軽い響きのクラリネット。とても軽やかに流れて行きます。

二楽章、爽やかな秋空を感じることが出来ます。それにしてもこの明るい響きは独特です。なかなかの表現力も感じました。

三楽章、とても軽やかでサラッと流れて行きます。ミュンヘン室内oも要所要所を締めています。

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コルネリウス・マイスター/アイスランド交響楽団 Arngunnur Arnadottir

★★★★

一楽章、活発で生き生きした表情の伴奏。現代の均質化された楽器の音色からするとかなり独特な響きのクラリネットです。クラリネットにしてはかなり明るい響きです。

二楽章、少し速めのテンポで澄んだ空はイメージ出来ます。テンポを落としてじっくりと歌う部分もありました。

三楽章、明るい響きはこれはこれで良いのですが、やはり少し陰影を表現して欲しいと感じます。

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マルティン・サンドホフ/ムジカエテルナ Sergey Eletskiy

★★★☆

一楽章、とても伸びやかで柔らかい伴奏。テンポは速めです。録音が鮮明になったり曇ったりするような感じがします。高音域に透明感のあるクラリネットです。生き物のように表現が豊かです。ムジカエテルナもとても丁寧でメリハリのあるサポートをしています。

二楽章、あっさりとした表現で、澄んだ空はイメージ出来ませんでした。あまり深みのある心に届くような演奏ではありませんでした。

三楽章、とても軽快な演奏です。テンポの速い部分の表現はとても良いです。

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レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ペーター・シュミードル

★★★

一楽章、柔らかく軽快にスタートします。とても優しい響きです。シュミードルの音は、歴代のウィーンの首席奏者よりもドイツ寄りで、僅かにガラガラとした響きが混じります。マイヤーのシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏に比べると表現の幅は狭いです。高音域も少し苦しい響きに聞こえます。クラリネットの名手が聞かせるような滑らかさがあまり感じられません。

二楽章、潤いよりも枯れた響きです。モーツァルトが自身の死後の世界をイメージしていたかのような、澄んだ空を感じさせる演奏です。とても丁寧に歌っています。

三楽章、とても快活で生命力のある演奏です。タンギングが若干強く感じます。ウィーンpoの壮麗な響きも美しく良いのですが、シュミードルの演奏は時代が変わったと感じさせるものでした。
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WDR交響楽団 ヨルグ・ヴィドマン

★★★

一楽章、豊かな残響と分厚い響きで、とても積極的な表現のWDRsoです。明るく抜けの良い爽やかなクラリネットも良く歌います。滑らかで密度の高いクラリネットではありませんが、開放感のある抜けの良い音色には抗しがたい魅力があります。伴奏のオケはグイグイと攻め込んで来ます。

二楽章、澄んだ空はイメージ出来ませんでした。一楽章は良かったのですが、明るい音色のために陰影が無いからか、この楽章は深みがありません。

三楽章、明るく開放的な演奏です。伴奏はベートーヴェンを聞いているような重量感です。

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Beethoven Sinfonietta タラス デムチシン

★★★

ウクライナ出身のクラリネット奏者兼指揮者で、九州交響楽団に所属。ロシアのウクライナ侵攻による総動員令により帰国。早く戦争が終わって無事再来日して欲しいものです。

一楽章、速めで軽快なテンポで柔らかい響きです。クラリネットがバランス的に大きい。低音域は密度が薄くガラガラと鳴ります。テンポも動いて自由に表現しますが、バセット・クラリネットの低音域を強調するような演奏です。Beethoven Sinfoniettaはとても柔らかく羽毛のような肌触りの優しい伴奏です。

二楽章、澄んで晴れ渡って空はイメージ出来ません。

三楽章、所々音を短く切るような独特の表現があり少し戸惑います。エッジも丸く、とても柔らかく優しい伴奏と、美しく控えめな高音域もありましたが、全体に力強いクラリネットがあまり合わない感じがしました。

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アロンドラ・デ・ラ・パーラ/フランクフルト放送交響楽団 Jochen Tschabrun

★★★

一楽章、柔らかく爽やかな響きのオーケストラ。コロナの影響で、間隔を広く取って配置されています。若干開き気味ですが、抜けの良いクラリネット。伸びやかで豊かに歌います。高音域は艶やかですが、滑らかではありません。

二楽章、澄んだ空をイメージ出来ました。あまり強弱の幅は大きくありません。消え入るような弱音の美しさもあまり感じません。

三楽章、落ち着いた演奏で、あまり弾みません。嵐のように勢いのあるオーケストラとは対照的なクラリネット。

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ジャン=フランソワ・パイヤール/パイヤール室内管弦楽団 ジャック・ランスロ

★★★

一楽章、朝のような爽やかで軽快な冒頭。艶やかで輝きのある響きで美しいです。フランスのクラリネットの特徴あるガラガラと鳴る音です。とても伸びやかで、屈託のない演奏です。高音部の速いパッセージのタンギングも滑らかで美しいです。素晴らしいテクニックでとても爽快で、聞き流すにはとても良い演奏だと思います。

二楽章、この楽章を表現するには、音色が硬すぎるように感じます。とても伸び伸びとした演奏なのですが、澄み渡った透明感が感じられません。

三楽章、かなり速めのテンポで軽快です。軽々と演奏するランスロの上手さはとても良く伝わるのですが、パイヤール室内oの華やかな響きと共に、高性能なスーパーカーが目の前を走り去って、「どうだ、凄いだろう!」とテクニックを見せつけられたような感じの演奏でした。

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クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ザビーネ・マイヤー

★★

一楽章、速めでテンポで開始しました。フォンク/シュターツカペレ・ドレスデンの演奏とはかなり違います。生き生きとした表現ですが、少し落ち着きが無い感じもします。フォンク/シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏ほど滑らかな美しさはありません。マイヤーとアバドの相性があまり良くないのか、あまり気持ちも入っていないようで表現に丁寧さを感じません。アバドの速いテンポにオケも含めて納得していないような感じさえします。

二楽章、この楽章も速めのテンポです。この作品にどっぷりと身をゆだねたいと思う気持ちを拒絶するかのような演奏。この世のものとは思えないような消え入る弱音の美しさもこの演奏では聞くことが出来ません。

三楽章、この楽章も速めのテンポで、何故そんなに急ぐ?と思わずにはいられません。

旧盤がとても良かったので期待したのですが、私にはとても残念な演奏でした。

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ジェラルド・シュワルツ/モーストリー・モーツァルト管 デイヴィッド・シフリン

★★

一楽章、少しモヤのかかったような残響と離れた音場感。シュワルツの指揮はとても積極的な表現です。少し密度の薄いクラリネット。バセット・クラリネットの低音域を意識したような演奏で、滑らかさなどは感じません。

二楽章、暖かい演奏で、澄んだ空の雰囲気はあまり感じられません。

三楽章、これは、それぞれの好みだと思いますが、私は、密度が濃く滑らかなクラリネットが好きなので、この演奏はあまり好きになれません。

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ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ マイケル・コリンズ


★★

一楽章、まろやかな響きですがヴァイオリンはサラッとしていて伸びやかです。軽い響きのクラリネット。ガラガラと鳴るクラリネットです。旋律を付加して演奏しています。あまり滑らかな演奏では無く、タンギングが多く入る感じです。

二楽章、すがすがしい秋の空は僅かに感じることが出来ましたが、あまり深みのある演奏には感じません。消え入るような弱音はとても美しい演奏でした。

三楽章、速めのテンポで軽快な演奏です。あまり大きな表現も無く、なんとなく流れて行った感じの演奏に思えました。

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サー・ジョン・バルビローリ/ニューヨーク・フィルハーモニック ベニー・グッドマン

★★

ジャズプレイヤーであるベニー・グッドマンをソリストにしたクラリネット協奏曲です。ジャズプレイヤーでは、ウイントン・マルサリスがトランペット協奏曲を録音したりもしています。

一楽章、モノラルでかなり古い録音と感じさせる冒頭部分。ビブラートもありますが、ジャズプレイヤーだからと言った違和感はありません。リードの選び方も違うのか、高音域が少し薄い感じはあります。テンポも速めで少し雑な感じもあります。クラリネットと言うよりもソプラノサックスに近い高音。グッドマンはかなり自由に歌っている感じです。

二楽章、ビブラートの効いたソプラノサックスでは、クラリネットのために書かれた作品の陰影は表現出来ないように感じます。テンポも速めで、作品をしみじみと味わうような趣きではありません。

三楽章、この楽章は落ち着いたテンポですが、やはりソプラノサックスっぽい高音が気になります。この世との別れの寂しさのような雰囲気は感じられません。

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チューリヒ歌劇場ラ・シンティッラ管弦楽団 Robert Pickup

★☆

一楽章、古楽器による演奏で独特の響きです。速めのテンポではつらつとした演奏です。クラリネットも古楽器で、独特の浅い響きで滑らかさはあまりありません。

二楽章、詰まった感じで伸びやかで晴れやかな空ではありません。

三楽章、快活な演奏ですが、どこか引っかかるような感じがして滑らかに音楽が流れて行きません。

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ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団 ロバート・マルセリウス

一楽章、この当時のCBSの録音の特徴のヒステリックで、少しザラザラとした感じのヴァイオリン。さっそうとしたテンポで進みます。少し硬質で、あまり響きに深みの無いクラリネット。

二楽章、淡々と演奏されます。滑らかさが無く、澄んだ美しさも感じられません。

三楽章、軽快で動きのある演奏です。録音の問題もあるのだと思いますが、極上の美しさは無く、高音のタンギングで引っかかるような感じがあり、ちょっといただけません。

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マーラー交響曲第10番(全曲)

エリアフ・インバル/東京都交響楽団

★★★★★

一楽章、整然としている序奏主題。良く歌い、広がりのある第一主題。華やかな第二主題。とても良い響きで録音されています。都響はとても伸びやかで、上手い。丁寧で表情も豊かです。トランペットも輝かしく突き抜けて来ます。

二楽章、とてもゆったりとしたテンポです。アンサンブルの精度も高く、色彩感も濃厚です。しなやかで揺れ動く表現の中間部。最後は少しアッチェレランドしました。

三楽章、豊かに表現される主要主題。

四楽章、緩いスネアが入りました。とても色彩感が濃厚で、その上、音が空間にスーッと広がる雰囲気はとても良いです。フランクフルト放送soとの録音よりも表情が豊かです。インバルの円熟によるものか、その分、鋭利な刃物のような鋭さは無くなっています。ペタンと浅い響きの大太鼓。

五楽章、柔らかいチューバ。深い響きで美しく歌うフルート。胸に迫るものがあります。頂点で大太鼓が入った後のチューバは、テヌート気味に演奏する盤が多かったですが、マルカート気味でした。シンバルも素晴らしい響きでした。インバルの唸り声は何度か聞こえましたが、掛け声のようにはっきりとした声も聞こえます。1970年代には考えられない程安定したトランペットのロングトーン。次第に黄昏る寂しさがとても良く表現されてまいす。凄く寂しい。グリッサンドはバラバラで異様な雰囲気を表現しました。遠くの天使の梯子を昇って行きました。
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レイフ・セーゲルスタム/スウェーデン放送交響楽団

インバル★★★★★

一楽章、はっきりと表れる序奏主題。ゆっくりと感情を込めて演奏される第一主題。作品に入って行ける演奏です。第二主題もゆっくりととても感情の籠った演奏です。とても静寂感のある録音で、残響がホールに広がって行きます。中低音の暖かく柔らかい響きです。楽譜に忠実になり過ぎて冷徹な演奏になるよりも、感情のままに豊かに表現される演奏がとても良いです。壮絶な雰囲気の中からトランペットのロングトーンが響きます。オーディエンスのノイズが聞こえるので、ライヴ録音のようですが、録音状態はとても良いように感じます。

二楽章、この楽章もゆったりとしたテンポで豊かに歌います。木管が生き生きとした演奏をします。とても楽し気です。中間部に入る前の金管で少しテンポを速めましたが、中間部はまたゆったりとしたテンポです。

三楽章、控えめですが、表現があります。

四楽章、胴の深いスネアが入りました。テンポの動きもあり、振幅も大きい演奏です。不気味な雰囲気になって、パチーンと強烈な大太鼓が響きます。

五楽章、たっぷりと歌うチューバ。大太鼓は強烈です。感情が籠っていて引き付けられるフルート。続く繊細な表現のヴァイオリン。素晴らしい響きで盛り上がり強烈な大太鼓。壮絶な響きの中からトランペットのロングトーンが響きますが若干音が合わない。アウフタクトの4分音符をかなり長く演奏して、グリッサンドはしましたがかなり揃っていました。最後は天使の梯子を昇って行きました。

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エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団

ブロムシュテット★★★★★

一楽章、割と明快な序奏主題。クッキリとした第一主題。第二主題も鮮明。オケがとても機能的です。軽々と鳴り響く金管の充実した響き。ミュートを付けたトランペットは鋭い響きです。録音も相まって精緻な響きは素晴らしい。鋭利な刃物のように研ぎ澄まされた響き。湧き上がるようなトゥッティから突き抜ける鋭いトランペットのロングトーン。一転してとても穏やかなコーダ。

二楽章、とても俊敏に反応するオケ。鋭い切れ味です。淡々と演奏される中間部。活発で反応の良いオケが見事です。伸びやかで音離れの良い金管がホールに拡散して行きます。

三楽章、シルキーなヴァイオリンの主要主題。シャープで奥行き感のある音場。あまり雰囲気の変わらない中間部。

四楽章、スネアがはっきり聞こえる冒頭。シロフォンも奥行き感があります。トランペットが鋭く奥から突き抜けて来ます。とても洗練された響きで楽譜に忠実に演奏している感じがします。フラッターも良く聞こえます。かなり硬い響きの大太鼓。

五楽章、控えめなチューバ。バチーンとかなり強烈な大太鼓です。かなり暗い雰囲気の中で、異質な大太鼓。細身のフルートが寂しく印象的です。とても美しいヴァイオリン。頂点に達して痛みを感じる程硬く強い大太鼓。次第に静まって行きますが、惜別の寂しさが滲み出て来ます。孤独に死んで行く悲しみ。最後のグリッサンドが揃わないところが独特な効果を生んでいます。最後は天使の梯子を昇って行きます。

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ダニエル・ハーディング/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ハーディング★★★★★

一楽章、非常に弱くしなやかな序奏主題。緊張感から解放されるようなゆったりと柔らかい第一主題。さらりと流れる第二主題。とても緻密な表情が付けられていて絶対に大味にはなりません。ウィーンpoのしなやかな響きと相まってとても良い演奏です。柔らかいトゥッティ。不協和音も壮絶な響きにはならず、柔らかい。広がりのあるトランペットのロングトーン。全体にゆっくりとしたテンポで丁寧に描いて行きます。弱音も消え入るような静けさで強弱の振幅もとても大きいです。

二楽章、遠くから響くホルン。豊かな表現の主部。優雅な雰囲気の中間部。普通に美しく鳴るシンバルが入りました。昔のような割れてヒビの入ったシンバルはもう使っていないのか?

三楽章、速めのテンポです。とても表情豊かな主要主題。

四楽章、スネアは入りませんでした。濃厚で密度の濃い響きです。油絵のように濃厚で色彩感もとても豊かです。奥まって柔らかい大太鼓。あまり強打していません。

五楽章、柔らかいチューバ。弱い大太鼓は何を意図しているのでしょう。透き通って美しいフルート。とても感情を込めて迫って来る演奏です。続く弦もとても柔らかく美しい。次第に楽器が重なっても美しい盛り上がりです。テヌート気味のチューバ。トランペットのロングトーンも奥まって柔らかい。とても美しく穏やかになって行きます。グリッサンドはほぼ揃っていました。

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ヤニック・ネゼ=セガン/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

一楽章、少し離れたところからフワッと届くような序奏主題。広がりのある第一主題。とても美しいです。第二主題もゆったりとしていて美しいです。トロンボーンの重厚な響きもブレンドされてとても良い響きです。コンセルトヘボウでのコンサートなので、トゥッティもよくブレンドされた美しい響きです。トランペットはあまり強く突き抜けては来ません。素晴らしい静寂感の中に消えて行きました。

二楽章、一体感があって、生き物のように動く演奏です。中間部も豊かな表情です。ホールによる効果か、当日のコンディションが良かったのか、とても充実した響きです。

三楽章、とても繊細で淡い主要主題。全体の色彩感が濃厚でとても美しいです。

四楽章、スネアは入らず柔らかい冒頭でした。大きな表現や主張は無く、自然に流れて行く演奏で、「別れ」を特に意識している演奏でも無い感じです。硬い響きですが、あまり強烈では無い大太鼓。

五楽章、不気味なチューバ。淡々と演奏されるフルート。感動的な盛り上がりです。ゆっくりとしたテンポで演奏されるチューバ。ここでもトランペットのロングトーンは控えめです。会場がコンセルトヘボウだからか、とても色彩感の濃厚で深みのある響きが魅力的です。次第に寂しく、物悲しい雰囲気になって来ました。グリッサンドは僅かにズレがある程度でした。
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ジャン・マルティノン/ハーグ・レジデンティ管弦楽団

★★★★☆

一楽章、硬い響きで明瞭な序奏主題。倍音成分があまり含まれていないような第一主題。テンポは速めです。淡々と演奏される第二主題。ザラザラとした弦が気になります。速めのテンポでこねくり回すようなことの無いストレートな演奏です。トゥッティでも録音の古さは否めません。かなり奥まって響くトランペットのロングトーン。

二楽章、一楽章とは打って変わって、ヴェールに覆われているような奥ゆかしい響きでメルヘンチックな主部。中間部は良く歌います。テンポの動きや表現も豊かになって来て次第に乗って来ている感じがします。

三楽章、あまり歌わない主要主題。この楽章のテンポは遅めです。

四楽章、スネアがはっきりと聞こえます。トランペットが突き抜けるようになって来て、演奏が生き生きとして来ました。推進力があって力強い演奏です。金管の咆哮もあるようになりかなり力のこもった演奏になって来ました。テンポは速めに進みます。あまり強烈には響かなかった大太鼓。

五楽章、ゴロゴロとした響きのチューバ。線が細く澄んだフルートが美しい旋律を奏でます。頂点に達して大太鼓が打たれる部分の盛り上がりは今一つでした。続くチューバはテヌート気味に演奏しました。テンポは大きく変わらず自然に流れて行きます。かなり強いトランペットのロングトーン。次第に惜別の物悲しさがとても良く表現されます。黄昏てとても悲しい。グリッサンドはしなかったようです。

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トーマス・ダウスゴー/シアトル交響楽団

★★★★

一楽章、割とはっきりとした序奏主題。豊かに歌う第一主題。第二主題もとても豊かな表現です。金管は突き抜けては来ず、奥まってブレンドされた響きです。ライヴ録音らしいブレンドされた柔らかい響きですがヴァイオリンなどは響きが少なく、摩擦音のような感じです。トランベットのロングトーンも突き抜けては来ません。穏やかで柔らかいコーダ。

二楽章、少しゆったりとしたテンポの主部。感情的にのめり込むような演奏ではありませんが、良く歌う演奏です。中間部もゆったりとした歌です。トゥッティでは混然一体となります。トランペットもくすんだ響きで、全体にマイルドです。

三楽章、強弱の変化の大きい主題。ゆったりとした中間部。

四楽章、浅く筋肉質なホルン。インバルの超鮮明なセッション・レコーディングに比べると、録音の制限を感じてしまいます。とても淡々と演奏が進みます。トランペットがマイルドで伸びて来ないので、あまりダイナミックには感じません。大太鼓は響きからかなり強烈に叩かれているようですが、音圧としてはあまり強く感じません。

五楽章、大砲のような響きの大太鼓。チューバはかなり抑えています。かなり暗く不気味な雰囲気です。細身で澄んだフルートがなかなか良いです。とても清らかに上昇して行きます。頂点がリミッターがかかったように伸びて来ないのが残念。トランペットのロングトーンの部分も後ろではパイプオルガンのような響きです。ホルンも間接音を伴わない浅い響き。死へ向けて脱力して行くところはとても良いです。

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サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★

一楽章、モヤーッとした暗闇から響く序奏主題。かなりの弱音で温度感も低いです。ゆっくりと演奏される第一主題。第二主題もゆっくり目です。非常に丁寧で、生き生きとしています。不協和音からトランペットが突き抜けて来ます。弱音は消え入るように弱く演奏されます。

二楽章、冒頭部分もかなり弱い演奏でしたが、強弱の振幅はとても大きい演奏です。活発に動く弦。

三楽章、悲し気に繊細に表現される主要主題。活発に動く木管と、ゆったりと流れる弦の対比も見事です。

四楽章、スネアは入りませんでした。クリアで見通しの良い演奏です。弱音はしなやかでシルクのような肌触りです。ティンパニの強烈なクレッシェンドなど、振幅もとても大きいです。シンバルは効果的に入っています。大太鼓はあまり強くありません。

五楽章、比較的穏やかな冒頭部分。大太鼓はかなり軽く叩いている感じで、個人的にはもっと強烈に叩いて欲しいと感じます。フルートは遠くから響きます。胸を抉られるような演奏です。壮絶な不協和音の中からトランペットが抜けて来ます。グリッサンドは見事に揃っていましたので、異様な雰囲気は全くありませんでした。天使の梯子を昇って行くような雰囲気もありませんでした。

ハンヌ・リントゥ/マレーシア・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★

一楽章、ボヤーッとした中から響く序奏主題が次第にハッキリとして来ます。静かにゆっくりと演奏される第一主題。第二主題もゆっくり目です。ゆったりとしたテンポですが、緊張感があって引き締まっています。反復された第一主題の強弱とテンポの動きの表現は独特です。豊かで柔らかい響きが美しい。トゥッティも充実した響きです。トランペットのロングトーンは強さは感じましたが突き抜けては来ませんでした。

二楽章、明快な主題。とても機能的に動きます。あまり伸びやかでは無い中間部。色彩感はとても濃厚です。

三楽章、細かく表情を付けられた主要主題。原色のような強い色彩がこのオーケストラなのか演奏の特徴です。東南アジアのオーケストラですが、予想以上に上手い。

四楽章、スネアは入りませんでした。トランペットがかなり強いバランスで録られているようにも感じます。ライヴゆえのキズもあります。あまり熱気をはらんで来るような演奏には感じません。遠くで鳴るような大砲のような大太鼓。

五楽章、とても良く歌うチューバ。オフ気味で細かなニュアンスが伝わらないフルート。頂点の大太鼓がリミッターが掛かったように弱くなりました。続くチューバが途中り音をスタッカートに演奏して不自然に感じました。トランペットのロングトーンの部分は壮絶な響きです。4拍目を長く伸ばしてグリッサンドしました。

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リッカルド・シャイー/ベルリン放送交響楽団

シャイー★★★☆

一楽章、モヤ~ッとした空気感に響く序奏主題。たっぷりと歌う第一主題。第二主題もゆったりとしたテンポで歌います。かなり積極的に表現する演奏です。ヴァイオリンのソロも美しい響きを伴ってとても心地よい演奏です。トゥッティは混然一体となっていて、まとまった響きです。トラッペットのロングトーンも突き抜けては来ません。シャイーの若い頃の録音ですが、響きは枯れて充実しています。

二楽章、この楽章もゆったりとしたテンポで落ち着いた演奏ですが、弦の主題は荒々しい表現です。モノトーンのような淡い色彩感ですが、とても落ち着きのある安定感を感じます。

三楽章、艶やかで歌う主要主題。随所にシャイーらしい歌が聞かれます。オーケストラはドイツのオーケストラらしい重量感のある響きで、いきなりのトゥッティでも瞬時に立ち上がらず、少し遅れてフルパワーになるような感じがあります。

四楽章、スネアが入りました。響きは鋭角的では無く、マイルドで少しくすんだ重厚な響きです。寂しげな雰囲気はとても良く表現されています。豊かな残響を伴って奥から響く大太鼓。あまり硬い響きではありません。

五楽章、ゴロゴロと響くチューバ。良く歌いますが響きが浅いフルート。とても繊細で夢見心地のヴァイオリン。あまり大きな盛り上がりにならずに頂点の大太鼓が入りました。トランペットのロングトーンが詰まったような響きで残念です。トゥッティのエネルギー感ももう一つといった感じです。グリッサンドはすこしバラツキました。天使の梯子を昇るような雰囲気は感じませんでした。

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ユージン・オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団

スクロヴァチェフスキ★★★☆

一楽章、とても現実的な序奏主題。豊かに歌う第一主題。第二主題もとても良く歌っています。豊麗なフィラデルフィアサウンドです。クック版第二稿唯一の録音ですがが、かなり均整の取れた演奏です。極端な表現をせずに作品をそのまま表現しようとしています。トランペットのロングトーン部分のトゥッティも豊麗な響きです。録音の古さはあまり感じさせません。安らかに終わります。

二楽章、ゆったりとしたテンポでふくよかなホルンに続いて控えめにオーボエ、続いてヴァイオリンの主題と続きます。中間部は、ゆったりしたテンポなのに慌てるような感じがあって、あまり伸びやかではありませんが、そつ無くまとめています。

三楽章、微妙な表情が付けられた主要主題。良く鳴る木管。この楽章もゆったりとしたテンポです。

四楽章、スネアがはっきりと聞こえます。少しテンポが動く所もありました。あまり奥行き感は無く、眼前に全ての楽器が広がるような音場感です。金管はとても良く鳴りますが、咆哮するほどのことはありません。感情的にのめり込むような演奏では無く、淡々と楽譜を音にしている感じです。トゥッティでもかなり余力を残している感じて、もう少し感情移入して欲しい気持ちになります。こちらの感情が盛り上がっても、スッとかわされるようなもどかしさがあります。大太鼓はあまり強烈ではありません。

五楽章、抑え目で柔らかいチューバ。独特な響きのフルート。大きな頂点ではありませんでしたが、頂点で大太鼓が鳴って、続くチューバはマルティノンの演奏程ではありませんが、テヌート気味でした。テンポはとても確実です。この楽章のトランペットのロングトーンの部分のトゥッティも全開では無いようです。あまり別れの寂しさは伝わって来ません。クリッサンドで演奏しませんでした。

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ルドルフ・バルシャイ/ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー

メナ★★★

一楽章うつろな序奏主題。とても豊かに伸びやかに歌う第一主題。ゆっくりとした第二主題。バルシャイ版での演奏ですが、独自の版を出すくらいなので、作品に対する思い入れも強いのでしょう。表現の幅はかなり広いです。木管が間接音を含んで奥行き感があります。輝かしい金管の響き。壮絶な響きからトランペットのロングトーンが響きます。

二楽章、ゆっくりとしたテンポです。かなり強めではっきりと演奏される主部。トライアングルが入ります。ホルツクラッパーのような音も聞こえます。シンバルも入って盛大です。中間部でも大太鼓のロールやシンバルが入ってちょっと違和感を感じます。コロコロと響くのはマリンバか?。とにかく色んな打楽器が登場します。演奏は積極的で元気です。

三楽章、この楽章もゆっくりとしたテンポです。この演奏では消え入るような弱音は無く、かなり演奏しやすい音量で演奏している感じがします。シロフォンも登場しました。

四楽章、色んな打楽器が入ります。スネアもリズムを刻んでいます。ゆっくりと濃厚な表現もありますが、とにかく打楽器が頻繁に出て来ます。タンバリンまで登場します。大太鼓は強くミュートされた感じは無く柔らかく長い響きでした。

五楽章、ミュートは僅かに感じる大太鼓。大太鼓は遠くから響く感じで強烈な打撃ではありません。ゴロゴロとした響きのチューバ。美しいフルートですが、あまり感情は込められていないように感じました。それぞれの楽器がくっきりとしていて濃厚な色彩です。あまり盛り上がらず大太鼓が入りました。豊かな響きの中にテヌート気味にチューバが独特の響きです。トランペットのロングトーンも弱いです。僅かに揃わないグリッサンドでした。この部分は大きくズレがあった方が異様な雰囲気になって良いと思うのですが・・・・。あまり天に昇って行く感じもありませんでした。

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クルト・ザンデルリング/ベルリン交響楽団

★★

一楽章、静かな空間に音が広がり、かなりはっきりと演奏される序奏主題。速めのテンポで伸びやかで柔らかく歌う第一主題。ホルンも伸びやかです。。ゆったり目の第二主題。中低音も柔らかく伸びやかです。展開部に入っても速めのテンポです。再現部で金管の硬直した響き。トランペットのロングトーンはあまり鋭い音ではありません。最後はとても穏やかな雰囲気になりました。

二楽章、かなりゆっくりとした演奏ですがかなりエネルギッシュで振幅の大きい演奏です。中間部もゆっくりとたっぷりとした表現で歌います。一般的なこの楽章の演奏に比べるとかなり活発な表現です。テンポの動きもあります。

三楽章、一転して速めのテンポです。あまり表情を付けずに淡々と進みます。

四楽章、胴の浅いスネアが響きます。この楽章でもテンポの動きがあります。音像が大きくオンマイク気味で金管も前に出てきて奥行き感はあまり無い録音です。この楽章も速めのテンポでどんどん進みます。作品には不釣り合いな径の小さいシンバル。硬く強烈な大太鼓がホールに響き渡ります。

五楽章、弱めのチューバ。弱くビブラートを掛けているホルン。澄んだ響きのフルート。続くヴァイオリンが静かで美しい。トランペットのロングトーンはあまり強くありません。速めのテンポで淡々と演奏されるせいか、そんなに悪い演奏ではありませんが、何故か作品に入って行けません。最後も惜別に感じはほとんど感じませんでした。
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マーラー10番~アダージョ

レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

とても静かでも艶のある序奏主題。一気に伸びやかになりますが、しっとりと慈しむような第一主題。かなりゆっくりとした第二主題。ホルンが入る第一主題は吠えるような大きな表現でした。最晩年程強烈ではありませんが、感情をぶつけて来ます。作品と一体になっているバーンスタインにウィーンpoも応えています。遠くから美しい木管のトリル。ヴァイオリンのソロも艶やかで美しい。大きなうねりの後にアダージョ主題。全く波の無い水面のように静まり帰った静寂感。静寂を打ち破る強烈な絶叫。巨大な不協和音。強く突き抜けて、最後に強く押すトランペットのロングトーン。大きな意味を込められているようで、鳥肌が立ちました。とても寂しいコーダ。最後の最後で少し安堵したような穏やかさを感じました。

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エフゲニー・スヴェトラーノフ/ロシア国立交響楽団

★★★★★

とても静かに演奏される序奏主題ですが、緊張感はあまり感じません。序奏主題の雰囲気を引き継いで、とてもゆっくりと演奏される第一主題。第二主題そさらに遅い演奏です。テンポは遅いのですが、あまり表現をしている感じではありません。反復で表現が豊かになったような感じがします。暗い中から響く展開部の序奏主題。とても遅いので、木管は普段聞き慣れている感じとはかなり違います。アダージョ主題は控えめです。再現部に入ってもテンポは異常なくらい遅いままです。テンポが遅い中での静寂はとても神秘的です。金管の絶叫はさすがロシア国立soです。柔らかい不協和音の中から強烈なトランペットのロングトーンが響きます。音楽の振幅はとても大きい演奏です。コーダに入るとゆっくりとしたテンポでとても穏やかで安らぐ雰囲気が良いです。異常に遅いテンポでこの作品の違う面を見せてくれたような演奏でした。

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クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

とても暗く温度感の低い序奏主題。とても豊かに歌う第一主題。楽器の入れ替わりも克明に描かれていて色彩感も濃厚で、切々と歌います。第二主題もとても豊かな表現です。反復してホルンが入る第一主題は荒々しく勢いがあります。かなり振幅が大きく感情を吐露するような演奏です。展開部に入って鮮やかに浮かび上がる木管。アダージョの演奏としてはかなり激しく荒れ狂うような演奏です。静寂も動きがあります。マグマの噴出のような絶叫。柔らかく明るいトランペットのロングトーン。コーダに入っても歌うアダージョ主題。ようやく少し安堵の雰囲気が訪れます。

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クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

ほの暗い序奏主題。一気に伸びやかになる第一主題。ゆったりと怪しい雰囲気の第二主題。とても克明に描かれて行きます。深々としたコントラバスに乗ってバランスの良い響きです。チェロの第二主題もねっとりと濃厚な表現でした。展開部に入って鮮明な木管。アダージョ主題は引き締まって細身の表現。再現部に入ると極端な弱音にはなりません。金管は最後で絶叫しました。広大な不協和音。強烈なトランペットのロングトーン。テンシュテットの棒にとても良く反応するオケ。和らいで穏やかになりました。

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クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

暗いところから響いて来る序奏主題。一気に開放される第一主題。伸びやかに歌います。ゆったりとしたテンポで揺れながら歌う第二主題。とても良く歌い積極的に表現される演奏で、振幅も大きいです。展開部の木管は滑らかで突出しませんでした。濃厚なヴァイオリンのソロ。抑え気味に演奏されるアダージョ主題。再現部の第一主題は複雑に絡み合った感じです。直後の極端な静寂。壮絶な絶叫。奥まって響く不協和音。トランペットは少し遠くから響きます。安堵感のあるアダージョ主題。とても穏やかに曲を閉じました。

アバドの演奏なので期待せずに聞きましたが良い演奏でした。

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ジュゼッペ・シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団

★★★★★

非常に弱く、暗闇の中から響くような序奏主題。第一主題も弱く柔らかい演奏です。とてもゆっくりと揺れる第二主題。夢見心地で進みます。ホルンやトロンボーンを明快に鳴らし、強弱の対比も明確です。展開部に入っての木管もゆってりと柔らかい表現です。ヴァイオリンのソロの前でテンポが落ちるなどテンポの動きもあります。引き締まったアダージョ主題。再現部の繊細な弱音。静寂を突き破る絶叫。強烈なトランペットのロングトーン。コーダもとてもゆっくりとした演奏です。最後はゆっくりと天に昇って行きました。

サイモン・ラトル/ロンドン交響楽団

★★★★★

割とくっきりとスッキリした序奏主題。微妙な表現も付けられています。伸びやかで大きく歌う第一主題。流れるような第二主題。木管がくっきりとクリアに響きます。展開部に入って浮き立つ木管。とても動きがあって活発な演奏です。柔らかい再現部の第一主題。弱音はとても弱く、強弱の対比もとても大きいです。広がるトランペットのロングトーン。とても穏やかに天へ昇って行くようなコーダでした。

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ズービン・メータ/イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

モヤーッとした中から柔らかく響く序奏主題。第一主題も伸びやかで柔らかい。第二主題は少しゆったりとしていますが、ここでも柔らかい響きが特徴です。ファゴットも柔らかい。展開部に入っての木管も飛び抜けて来るような響きでは無く、ブレンドされて柔らかく溶け込んでいます。ヴァイオリンのソロも伸びやかで美しい。アダージョ主題は引き締まった演奏です。金管の絶叫も柔らかく、不協和音もマイルドです。トランペットはジーンと独特な響きのロングトーンです。うつろな雰囲気と少しの寂しさも感じるコーダです。次第に穏やかになって安らかに終わりました。

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ロリン・マゼール/ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★☆

太い響きの序奏主題。あまり開放されない第一主題。ビブラートを掛けたホルン。ゆっくりと豊かに歌う第二主題。ヴァイオリンがかなり尖った響きに感じます。展開部に入って滑らかに演奏される木管。引き込まれるような静寂を突き破る金管の絶叫はかなり激しい。柔らかい不協和音から突き抜けるトランペット。コーダで弦と木管がかなり強く演奏しました。全体にゆったりとしたテンポでしたが、マゼールらしい仕掛けはあまり無く、抵抗なく受け入れることが出来る演奏でした。

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ロリン・マゼール/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★

現実味のある序奏主題。あっさりとした第一主題。僅かに遅くなる第二主題。あまり表現らしい表現も無く淡々と進みます。反復してホルンを含む第一主題は広大なスケールの演奏でした。色んな楽器が折り重なる多層的な響きは素晴らしいです。展開部の木管は鮮明に浮き上がります。艶やかなヴァイオリンのソロ。アダージョ主題はとても引き締まっています。再現部に入っても極端な弱音にはなりません。壮絶な絶叫。バリバリと響き不協和音。渋い響きのトランペットのロングトーン。優しく穏やかなコーダ。

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クラウス・テンシュテット/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★

独得のアゴーギクを効かせて不気味な序奏主題。抑制的な第一主題。サラッとした第二主題。刻み付けるようなピチィカート。反復でホルンが入る第一主題は引き締まっています。展開部の木管のトリルは他の楽器に埋もれるような感じでした。再現部の静寂な部分も動きがあり、艶やかです。かなり激しい絶叫。ゴロゴロと唸る不協和音。トランペットのロングトーンも激しく突き抜けます。テンポの大きな動きもあります。残念ながらバーンスタインの演奏程の感情の吐露も無く、音色も艶やかさや深みを感じることが出来ませんでした。

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ミヒャエル・ザンデルリング/南西ドイツ放送交響楽団

★★★★

豊かな残響を伴った序奏主題。慎重に丁寧に演奏される第一主題。速めのテンポであっさりと演奏される第二主題。強弱の変化は強調されています。展開部に入っての木管もくっきりと浮かび上がります。柔らかいヴァイオリンのソロ。アダージョ主題は締まった感じ。再現部に入って消え入るようなほとんど何をやっているのか聞こえないくらいの静寂。金管の絶叫はバランス良く強烈な響きではありませんでした。強めの不協和音。2本のトランペットの音が合わない。次第に穏やかになりました。穏やかに安らいでいく感じはとても良いです。

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ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団

★★★

モヤーッとした中から響く序奏主題。不気味な雰囲気があります。とても柔らかく歌われる第一主題。ナローレンジですが、無理に高域を強調していないので、とてもマイルドで聞きやすい録音です。第二主題もゆったりと豊かに歌います。とても積極的に表現しています。展開部に入るとさらに活発に動く表現です。暴力的なトゥッティの不協和音。少し渋い響きのトランペットのロングトーン。コーダに入っても活発な表現です。とても活発なので、あまり穏やかな雰囲気にはなりませんでした。

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ズデニェク・マーカル/プラハ交響楽団

★★★

太い響きの序奏主題。あまり強い緊張感はありません。控えめであまり伸びやかでは無い第一主題。ホルンがビブラートを掛けています。ゆっくりと丁寧な第二主題。生き生きとした木管。金管の柔らかい響きに対して弦は引っ搔いている感じがします。展開部に入ってもも木管には生命力があります。ヴァイオリンのソロは美しい。再現部は厚みのある響きです。全体にゆっくりと丁寧に演奏しています。木管はとても良い響きです。柔らかい響きの中からあまり伸びやかでは無いトランペットのロングトーンが聞こえます。柔和なコーダで悲鳴を上げるようなEbクラ。

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ピエール・ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団

★★★

速いテンポで明瞭な序奏主題。大きくテンポを落として歌う第一主題。波のように押しては返す第二主題。反復しても第一主題はとても豊かに歌います。第一主題以外は速めのテンポで素っ気ない演奏です。チェロのソロはエッジの効いた独特の表現でした。展開部に入って動きのあるも木管も浮き出ることは無く、自然な流れの中で演奏されました。アダージョ主題も朗々と歌うことは無く、かなり抑制的な演奏のように感じます。消え入るのような静寂からの絶叫は大きな振幅がありました。柔らかく暗い不協和音から、トランペットが明るい響きで突き抜けて来ます。弱音は極限まで弱く集中させられます。あまり最後は穏やかになりませんでした。

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ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

★★☆

柔らかく細身の序奏主題。ゆっくりとたっぷり歌う第一主題。第二主題もとたもゆっくりです。反復の第一主題のホルンがかなり強めでした。アダージョ次第もホルンが朗々と歌います。ハイティンク独特の細部まで行き届いたる演奏は健在です。再現部の緊張感のある静寂。絶叫もハイティンクらしく抑制的で美しい響きでした。深々とした不協和音。ちょっと渋めのトランペットのロングトーン。最後はあまり穏やかにならず緊張感を保った演奏でした。

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ウイン・モリス/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

★★

かなり太く、途中にスタッカートがあったり独特の表現の序奏主題。ゆっくりとしたテンポで歌う第一主題。感情が込められて豊かです。第二主題もゆったりとしていて、とても積極的に表現します。展開部の序奏主題も、抑えることは無く、開けっぴろげです。録音レベルの問題なのかも知れませんがかなり賑やかです。アダージョ主題も朗々と歌います。トゥッティはかなり騒々しいですがトランペットのロングトーンは渋い響きです。コーダに入っても何となく賑やかです。なかなか穏やかにはなりません。終始鋭利な響きで安らぐことは無い演奏でした。

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ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団

★★

非常に遠いモヤの中から響くような序奏主題。ゆっくりと丁寧に演奏される第一主題。録音レベル自体が低いようです。速いテンポでピリッとした第二主題。深みがあって柔らかい金管。第二主題はとても速いテンポでサラッと通り過ぎます。展開部に入ってくっきりと浮かび上がる木管。アダージョ主題は朗々と歌う感じでは無く引き締まった感じです。再現部に入ると強い緊張感を伴う静寂になり、その静寂を突き破る金管の絶叫ですが、それ程激しい絶叫ではありません。トランペットのロングトーンも突き抜けては来ません。コーダに入っても、極端な弱音による緊張感があり、穏やかな雰囲気は全くありません。

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ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

非常に明快な序奏主題。非常に華々しく速めのテンポで演奏される第一主題。かなりテキパキと処理されて行く感じです。ゆったりと歌う第二主題ですが、少しトゲのあるような、僅かに滑らかさを欠いている印象です。エッジが効いていてガツガツと力強く前進します。展開部の序奏主題も静かではありません。木管はとても鮮やかに表現されます。ミュートしたトランペットも明快です。フワッとしたアダージョ主題。かなり強烈な絶叫。盛大に鳴る不協和音。トランペットも盛大に突き抜けます。金管は遠慮なく突出して来ます。コーダに入ってもあまり穏やかにはなりませんでした。

混沌とした複雑さや矛盾など無く、スッキリと割り切れた演奏には抵抗がありました。

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イオニザシオン

使用楽器
Player 1 : Chinese Cymbal , Orchestral Bass Drum , Tamtam(High) , Cow Bell
Player 2 : 2 Tamtam(High/Low) , Gong , Cow Bell
Player 3 : Bongo , Tenor Drum , 2 Orchestral Bass Drum
Player 4 : Tenor Drum , Military Drum
Player 5 : Siren(High) , Lion’s Roar
Player 6 : Siren(Low) , Slap-stick , Guiro
Player 7 : 3 Wood Block , Triangle , Claves
Player 8 : Snare Drum , 2 Maracas(High/Low)
Player 9 : Snare Drum , Suspended Cymbal , Tarole
Player 10 : Pair of Cymbals , Sleigh Bells , Chimes
Player 11 : Guiro , Castanets , Glockenspiel(Keyboard Style with Resonators)
Player 12 : Tambourine , 2 Anvil , Tamtam(Very Deep)
Player 13 : Slap-stick , Triangle , Sleigh Bells , Piano

ピエール・ブーレーズ/ニューヨーク・フィルハーモニック

★★★★★

だるい感じの冒頭。広い空間に音が広がります。大太鼓がクレッシェンドして、静かに演奏される主題。後ろでボンゴが残響を伴って響きます。Slap-stickがパチッと強く響きます。タロール(胴が浅く径も小さいスネア)は抜けが良く軽い響きです。Military Drumは割と引き締まった響きです。アクセントはどのスネアも強めです。Lion’s Roarはギーッとなります。サイレンは極端に小さく町の遠くで鳴っている感じです。打音は一つ一つが立っていて、細かい楽器もとても鮮明です。冷たい空気感の中に音が広がって行きます。小さい音が空間に広がって美しいです。衝撃と共に崩れ落ちて、細かい打楽器が動き回ります。

とても冷静で全ての音を聞かせるような情報量の多い演奏で、空間も感じさせる良い演奏でした。

ケント・ナガノ/フランス国立管弦楽団

ニガノ★★★★☆

暗い中に静かに鐘や2種類の低い響きサイレンが鳴る怪しい雰囲気。ライオンの唸り声の後に大きくクレッシェンドした後にスネアのリズムが出現します。その後ろでボンゴがリズムを刻みます。軽いアクセント。次にタロール(胴が浅く径も小さいスネア)が同じ主題を演奏します。抜けの良い音ですが、タロールらしいハイピッチではありませんしスネアが緩く他の大きいスネアとのチューニングの方向性が違います。次にミリタリードラムが同じ主題を演奏します。こちらは重い音で、楽器の色彩感が強く出ています。後ろで様々な楽器が動いています。金属系の打楽器とサイレンが鳴ります。どの楽器も強く出て来ることは無く、自然なバランスで演奏されている分、色彩感は乏しいように感じます。チューブラベルやピアノも入り、ライオンの唸り声も入って、破滅的な雰囲気になって曲は終わります。

この曲は、音が空間にどのように広がるかや色彩感や空気感を楽しむ作品ではないかと思います。その意味では少し魅力に乏しいように感じました。

ストラスブール・パーカッション・グループ

ストラスブール・パーカッション・グループ★★★★☆

猫が鳴くような異様な響きのサイレンが奥から響き、他の打楽器は前にいます。軽快な主題ですが、少し緩くミュートしているような響きです。サイレンの奥行き感はとても良いです。タロール(胴が浅く径も小さいスネア)は抜けの良い響きですが、ハイピッチでは無いですが、アクセントはとても強くパシッと決まります。ミリタリードラムは深い胴でドドドとマットな響きです。様々な楽器が前に出てきてくっきりと浮かび上がりまがLion’s Roarは少し陰に隠れています。サイレンが強めでとても異様な雰囲気を醸し出します。最後は壊滅的で崩れ落ちるような雰囲気よりもとても力強い演奏でした。静かな部分の音が拡散していく部分があまり感じ取れず、比較的強い音が支配的な演奏でした。13人で演奏するように書かれた曲を6人で演奏するように編曲して演奏しているとのことですが、特に技術的に無理をしているような部分は全く感じませんでした。

マルチモノのような録音で、一つ一つの楽器は鮮明に捉えられていますが、空間をあまり感じることが出来ませんでした。

ズービン・メータ/ロスアンジェルス・パーカッション・アンサンブル

メータ★★★★

とても浅い音場感。サイレンも含めて色んな楽器が登場します。多くの楽器が前に来ます。速いテンポで、軽快に演奏される主題。Slap-stickがパチーンと強く響きます。Lion’s Roarはゴリゴリとした響き。タロール(胴が浅く径も小さいスネア)は、とても軽い良い響きです。Military Drum少し緩いチューニングであまり重くありません。テンポは速く、強弱の変化も明快で、活発な演奏です。サイレンもあまり奥まってはおらず、浅くマットです。とても簡単にやってのけた感じで、刺激も無く流れて行きました。最後は、衝撃はありますが、崩れ落ちるような雰囲気ではありませんでした。

躍動感があって、元気な演奏でしたが、奥行き感や空間に音が広がる感じが無く、あまり音を楽しめませんでした。

ピエール・ブーレーズ/シカゴ交響楽団

ブーレーズ★★★★

とても静かですが、広がりのある音場感。金属系打楽器が鳴って、大太鼓はあまり聞こえず、主題に入ります。軽い主題。後ろで小さくボンゴが響きますがあまり残響は感じません。とても軽めのアクセント。タロール(胴が浅く径も小さいスネア)は径が小さいと分かる響きです。Military Drumはあまりはっきりと違いが分かりませんでした。情報量はとても多いです。サイレンはニューヨークpoとの演奏をさらに弱くしている感じで、ほとんど聞こえません。最後は絶望的な破壊を感じる衝撃です。

Military Drumの胴の深さや重さを感じなかったのは残念でした。また、サイレンはいくら何でも抑え過ぎだと思います。

スザンナ・マルッキ/アンサンブル・アンテルコンタンポラン

スザンナ・マルッキ★★★

スネアoffのロールが大きい冒頭。サイレンが響き。あまり大きくクレッシェンドせずに主題に入ります。少し胴鳴りがしているようなスネアです。軽いアクセント。Lion’s Roarゴーッと鳴ります。タロール(胴が浅く径も小さいスネア)は、スネアは緩めですが、高い響きです。Military Drumは胴の深さはあまり感じませんがブツブツとした深い胴のスネア独特の響きです。サイレンはかなり弱めです。ライヴのせいか、弱音の静寂感があまりありません。最後もあまり大きな衝撃では無く、全体に角が無く、自然に流れるような演奏でした。

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The Oberlin Percussion Group

★★★

金物打楽器が大きめで、サイレンも高い音です。あまり大きくクレッシェンドせずに主題に入ります。ゆっくりめで、とても大きく強弱を付けて演奏します。ボンゴも大きめです。Tarole(胴が浅く径も小さいスネア)は引き締まっています。トゥッティでテンポが遅くなったり変化も大きい演奏です。全体に騒々しい感じがあります。最後の衝撃はあまり大きくなし、ここまでの騒々しさとは違った雰囲気です。静かな空間に音が広がって行く雰囲気では無く、自分が思っているイメージとは違いましたが、こんな演奏もあるんだと感じる演奏でした。

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アマディンダ・パーカッション・グループ、モンド・クァルテット、ブダペスト・リスト音楽院の学生

★★★

豊かな響きです。低いサイレン。色んな楽器が鮮明です。あまり大きくクレッシェンドせずに主題にはいります。速めのテンポで胴鳴りしているスネア。Tarole(胴が浅く径も小さいスネア)がかなり強く入ります。Military Drumも最初のスネアを使っています。リムショットなどもあり、あまり聞いたことの無い音が聞こえます。「何だこりゃ」というような表情の客席が面白いです。最後はあまり大きな衝撃ではありませんでした。

かなり色んな音が聞こえる演奏でしたが、起伏はあまり大きくありませんでした。

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パスカル・ロフェ/フランス放送フィルハーモニー管弦楽団とフランス国立管弦楽団の打楽器奏者

パスカル・ロフェ★★

硬い響きのサイレン。サスペンドシンバルも大きめ。あまりクレッシェンドせずに主題に入ります。緩めのスネア。アクセントの一撃は強めです。Tarole(胴が浅く径も小さいスネア)は詰まった響きです。Military Drumは胴鳴りがしているような響きです。全体で演奏した時のスネアの緩さで全体が緩い感じになります。録音もデッドなので、あまり空間や奥行き感を感じません。ピアノの衝撃はあまり強くありませんでした。

硬いサイレンと緩いスネア。どちらも好きな響きではありませんでした。

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パリ・パーカッション・グループ

パリ・パーカッション・グループ

低いサイレンが突然大きくなります。Lion’s Roarが動物の唸り声らしい響きです。あまり大きくクレッシェンドせずに主題に入ります。かなり深く緩いスネア。Tarole(胴が浅く径も小さいスネア)も緩いですが、先の深い胴のスネアとの対比ば良く出来ています。Military Drumも最初のスネアを使っています。サイレンは程よいバランスですが高低差があまりありません。最後の衝撃はあまり強く無く、色彩も音量の変化もあまり無く、音のオブジェとしては、あまり一つ一つの音が際立っていないような感じがしました。

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ブルックナー交響曲第6番

クリスフ・エッシェンバッハ/hr交響楽団

★★★★★

一楽章、豊かな残響で深みのある第一主題。ホルンも美しい響きです。トゥッティも重厚で滑らかにブレンドされた美しい響きです。第二主題は華やかなくらいです。奥まったところから響くトロンボーンの第三主題。これも美しいです。ほとんどコンクリート打ちっ放しのような大聖堂で、とても豊かな残響です。ホルンもフルートも良く歌います。第一主題の再現も充実した響きで美しいです。途中にタメもありました。ティンパニも柔らかく良い響きです。コーダの途中で少しテンポを落としました。

二楽章、分厚い弦の響き。その中から浮き立つオーボエの第一主題。金管が入ってジワジワと盛り上がります。第二主題も美しいですが、深く祈るような演奏ではありませんでした。第三主題は、重く悲痛な表現です。

三楽章、速いテンポで、とても活発に動く第一主題。第二主題はとても伸びやかです。この演奏を生で聞いた人はこの響きに圧倒されただろうと想像します。

四楽章、とても不安げな弦。ホルンの第一主題もその他の金管のとても伸びやかです。第二主題の前で、極端にテンポを落として演奏する部分もありました。第二主題もテンポが動きます。このテンポの動きもとても良いです。穏やかな第二主題の再現。第三主題の再現はとてもスピード感があります。ゆったりと堂々としたコーダ。見事な演奏でした。

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ゲオルク・ティントナー/ニュージーランド交響楽団

ティントナー★★★★★

一楽章、重く唸るような第一主題。僅かに細身ですが、美しく響くホルン。とてもゆったりとしたテンポです。奥行き感もあり広々としたトゥッティ。繊細な響きで虚ろな雰囲気の第二主題。重厚な響きの第三主題。力強い第一主題の再現。コーダの前も丁寧にゆっくりとしたテンポで演奏します。コーダはゴムのようなティンパニの響きが気になりました。最後は大きくritしました。

二楽章、丁寧に演奏される弦。悲し気に歌うオーボエの第一主題。とても美しい第二主題。感情が込められて重く響く第三主題。金管の叫びも壮絶です。

三楽章、この楽章もゆったりとしたテンポでトロンボーンも伸びやかでした。中間部は少し速めのテンポです。奥行き感があってとても豊かな響きです。

四楽章、少し沈んだ弦。その後ホルンや金管が咆哮します。優しい第二主題。トゥッティの響きは広大でスケールが大きいです。第三主題はあまり推進力を感じません。コーダーもゆったりとしたテンポで伸びやかな鳴り響きました。

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ヨーゼフ・カイルベルト/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カイルベルト★★★★★

一楽章、芯の強いヴァイオリン。浅い第一主題。ヴァイオリンは強くなったり弱くなったりします。とても力強いトゥッティ。弦の表現はとても豊かです。ゆったりと夢見るような第二主題。堂々としてスケールの大きな第三主題。第一主題の再現はとても明るく力強い。湧き上がるような豊かさを感じる演奏です。第三主題の再現も非常に力強い。ティンパニが少し詰まり気味の音です。

二楽章、深く沈んでいくような弦。割としっかりしているオーボエの第一主題。金管はかなり強く吹きますが、この演奏には良く合っています。伸びやかな第二主題。暗く重く引きずるような第三主題。

三楽章、落ち着いた弦の刻み。とても良く鳴る金管。この頃のベルリンpoは最も状態が良かったのではないかと思います。中間部のホルンも表現力豊かです。軽々と良く鳴る金管が素晴らしい。

四楽章、憂鬱な弦。とても力強いホルンの第一主題。金管の鳴りっぷりは素晴らしいです。あまり揺れずにしっかりと地に足の付いた第二主題。あまり前には進まない第三主題。コーダの前はゆっくりからテンポを速めました。コーダはベルリンpoの底力を見せつけるような凄い響きでした。

素晴らしい演奏でした。

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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

★★★★★

一楽章、十分に重量感のある第一主題。ブレンドされた美しい響きです。柔らかく伸びやかな第二主題。弱音部も丁寧で手を抜くようなことはありません。第三主題は荒々しいことは無く丁寧です。トゥッティでのチューバが絶妙なバランスでとても充実した響きです。コーダのトランペットのハイトーンも奥から突き抜けて来ます。

二楽章、ほの暗い雰囲気の弦。細く悲し気に響くオーボエの第一主題。第二主題は流麗で美しい。感情を込めて切々と歌う部分は感動的です。重く引きずるような第三主題。この感情に訴えかける表現は素晴らしい。

三楽章、トロンボーンが充実した響きです。木管も弦も引き締まったアンサンブルです。中間部の前の金管も切れの良い響きです。優しい弦。

四楽章、不安げですが、意外と地に足が付いている弦。ホルンの第一主題に絡むトランペットもとても状態が良いのか、素晴らしい響きです。割と落ち着きのある第二主題。チューバの存在感がとても大きく、充実した響きを生み出しています。コーダのトロンボーンも見事に鳴っていて堂々とした演奏でした。

エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団

インバル★★★★★

一楽章、伸びやかな第一主題。ホルンも奥行き感があります。整って美しいトッゥティ。ゆったりとしたテンポで美しい第二主題。第三主題もゆっくりですが、豊かな響きと奥行き感のある良い響きです。第一主題の再現も力強くしかも美しい。第三主題の再現も堂々としています。輝かしいコーダも見事でした。

二楽章、わりとあっさりとしている弦。オーボエが入ると悲壮感が漂います。第二主題も美しく流れますがあまり感情移入されている感じはありません。悲しみがこみ上げるような第三主題。

三楽章、見事に鳴るトロンボーン。めまぐるしい楽器の動きも見事です。中間部のホルンもとても伸びやかです。

四楽章、あっさりとした弦。第一主題もあまり激しくはありません。第二主題はやはりあっさりとしています。濃厚なトゥッティと対比しているようです。とても落ち着いた第三主題。全体的にゆっくりとしたテンポです。コーダのトロンボーンも嬉しくなるほど見事な鳴りようでした。

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セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

★★★★★

一楽章、柔らかく深みのある第一主題。柔らかくブレンドされた響きです。チェリビダッケ特有の極端に遅いテンポではありません。色彩感には乏しい第二主題。第三主題はあっさりとした表現であまり重量感はありません。展開部でも異様な遅さでは無く、待ち切れなくなるようなことはありません。透明感があって切れのいい響きなのですが、分厚い響きでは無く、低域があまり感じられない薄い響きです。

二楽章、感情の込められた弦。弦の波の中から訴えかけるオーボエの第一主題。第二主題はとても美しい。切々と祈りの音楽です。第三主題は重く悲しい。打ちひしがれた末に呆然とするような悲しさがあります。とても美しい演奏です。トランペットも悲痛な叫びです。

三楽章、積極的で動きのある主部。木管の表情も厳しいです。トッティは少し薄いですが、充実した響きです。中間部のホルンはとても明るい響きです。主部が戻ってとても切れ味の良いトロンボーン。微妙な強弱の変化もとても良く訓練されている感じです。

四楽章、不安でうつろな弦。鋭く強い第一主題。踊りたい気持ちをグッと抑えるような第二主題。金管が強奏しても余裕があって美しい響きです。コーダは伸びやかなトロンボーンが美しい演奏でした。

フアンホ・メナ/BBCフィルハーモニック

メナ★★★★★

一楽章、唸るような第一主題。クッキリとしたホルン。ティンパニの強打。強いトランペットのトゥッティ。とても濃厚な色彩感です。切々と歌う第二主題。密度が高く濃厚でキラキラと光を放っています。あっさりとしていた第三主題。重厚な第一主題の再現。激しいティンパニと輝かしいコーダ。

二楽章、豊かに歌い深みのある弦。強い色彩で美しい第二主題。少し重い雰囲気になりますが、やはり美しい第三主題。奥から訴えて来るトランペット。

三楽章、反応の良いオケ。鋭い切れ味の金管。豊かな残響に響く中間部のホルン。トゥッティは見事な響きです。

四楽章、かなり速いテンポの弦。第二主題も速めで躍動感があります。コーダのトロンボーンはあまり強くありませんでしたが、鋭いトランペットと良く鳴るティンパニが良かったです。

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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★★★☆

一楽章、遠くで唸る第一主題。颯爽としたテンポで進みます。トゥッティは若干テンポを落として壮大です。第二主題はあまり雰囲気が無く、テキパキと仕事を片付けるやり手社員のような印象です。洗練された美しい響きです。第三主題も都会的でブルックナーの自然は感じません。素朴なブルックナーのイメージとはかなり違う都会的で洗練された華やかな演奏です。コーダの響きも鋭利です。

二楽章、一転して、良い流れで悲し気なオーボエの第一主題。この楽章はとても丁寧です。第二主題も感情が乗っていて音楽に浸ることが出来ます。第三主題もゆっくりと悲しい葬送行進曲で切々と訴えかけて来ます。金管も悲痛な叫びです。夢見るように終わりました。

三楽章、とても振幅の大きな主部です。見事に鳴り響く金管。中間部のホルンは明るくあまりふくよかではありません。

四楽章、演奏に慣れて来たのか、1楽章で感じた都会的な印象はありません。第二主題はとても優しい演奏です。こだまするように見事に受け継がれる第三主題。第三主題以降はとてもゆったりとしたテンポで堂々とした演奏です。第二主題の再現も優しく美しい。強力な響きの中に埋もれるのうなトロンボーンの第一主題で終えました。

一楽章があまりにも都会的だったのが残念です。

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スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団

スクロヴァチェフスキ★★★★☆

一楽章、遠くて浅い響きの第一主題。柔らかいトッゥティ。別に動くホルンがはっきりと聞こえます。儚い雰囲気の第二主題。とてもゆったりとしていて味わい深いです。第三主題もマイルドな響きで暴力的ではありません。第一主題の再現もあまり重厚な響きでは無く、柔らかく穏やかです。テンポや音量の変化などがありました。コーダはティンパニは控えめでトランペットが突き抜けて来ます。

二楽章、あまり大きな表情は無い弦。ゆっくりと虚ろなオーボエの第一主題。ゆっくりととても感情のこもった第二主題。第三主題も感情が込められた良い演奏です。天上の音楽のような美しさ。この楽章はこの演奏が最も素晴らしいと感じました。

三楽章、奥まったトロンボーン。トランペットが強かった。金管にあまりパワーを感じません。ゆったりとした中間部のホルン。金管があまり炸裂しない代わりに弱音の柔らかく美しい演奏はとても良いです。

四楽章、あまり表情の無い弦。ホルンの第一主題もあまり力強くはありません。第二主題は微妙なテンポの動きがあります。金管は強く吹いてもあまり音圧となって迫って来ません。コーダはトロンボーンが叫ぶ手前でテンポを落として広大なスケールで終わりました。

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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

★★★★☆

一楽章、とてもゆっくりとしたテンポで始まる第一主題。堂々とした佇まいのトゥッティ。慈しむような第二主題。ヨッフムの録音と近い年代ですが、こちらの録音はとても潤いがあって伸びやかです。金管が強奏しますが、荒くは無く堂々としている第三主題。ゆったりとした第一主題の再現も余力があってスケールの大きな表現です。コーダも素晴らしい響きの演奏でした。

二楽章、一楽章から一転して、普通のテンポです。少し速いくらいかも知れません。深く沈む弦。哀愁に満ちたオーボエの第一主題。金管も入って振幅の大きな演奏です。第二主題はあっさりと演奏します。引きずるように重い第三主題。自然に高揚する金管。ブルックナーらしい素朴な雰囲気があります。

三楽章、控えめのトロンボーン。モヤーッとした響きからトランペットが突き抜けて来ます。木管も生き生きとした表現です。ふくよかなホルンは次第に強くなります。

四楽章、あまり悲観的では無く、比較的落ち着いている弦。ホルンはあまり咆哮せず、トランペットの方が強いです。でも充実した響きです。揺れ動くような第二主題。第三主題はあまり前へ進みません。コーダはもっとスケールの大きな表現が欲しかった。

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ケント・ナガノ/南西ドイツ放送交響楽団

ナガノ★★★★☆

一楽章、静かに演奏されますが、唸りを上げるような第一主題。シルキーで充実したトゥッティ。方々へ散らばるような第二主題。おおらかな第三主題。金管での第一主題の再現も伸びやかで美しい。途中で一旦音量を落としました。コーダのティンパニは少し浅い響きですが、全体としては伸びやかで美しい響きです。

二楽章、感情は込められていますが、深くのめり込むような表現ではありません。第二主題も美しい演奏です。重くはなりますが、音楽は自然に流れる第三主題。

三楽章、透明感のあるトロンボーン。美しく鳴るオケです。牧歌的な雰囲気がとても良く表現されたホルン。

四楽章、薄くモヤがかかったような弦の中にくっくりと浮かぶ表情豊かなホルンの第一主題。涼やかな第二主題。弱めに入ったコーダ。あまり突き抜けず、若干短めに演奏されたトロンボーン。

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ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

ショルティ★★★★

一楽章、遠くて軽い第一主題。見事に鳴り響くブラスセクション。あっさりとした表現の第二主題ですが、サラッとした弦も美しいです。木管もピンポイントに定位して美しいです。第三主題は速めのテンポですが、ここでも見事に鳴り響く金管。鍛え上げられたアンサンブルの精度は他の演奏とは一線を画すものです。ショルティのブルックナーは甲高い響きでブルックナーには全く合わないと思っていましたがこの演奏ではとても良い響きに聞こえます。ゆったりとしたテンポで堂々としたコーダ。金管は本当に素晴らしい。

二楽章、最初の弦はあまり大きな表現はしません。悲し気なオーボエの第一主題。第二主題もあっさりとしていて深みがありません。第三主題は、とても大切な物を扱うような注意深さで、重く美しいです。

三楽章、目の覚めるような響きのトロンボーン。切れ味抜群のトランペット。オケの上手さでは群を抜いています。中間部はゆったりと伸びやかなホルンでとても良い表現です。

四楽章、独特な表現で弱々しい弦。とても力強いホルンに続く金管も非常に力強い。とにかく見事な響きです。第二主題は特に表現は無く、この演奏では弦の部分はほとんど表現は無い感じです。木目細かくシルキーな金管の響きは本当に素晴らしいです。第三主題はあまり前には進みません。大きなテンポの動きがあってコーダに入りました。トロンボーンの第一主題かせ少しゆっくりになりました。

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ヘルベルト・ブロムシュテット/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

ブロムシュテット★★★★

一楽章、速めのテンポでとても表情豊かな第一主題。強い推進力があります。トゥッティでは少し響きが奥まるような感じがします。第一主題とは一転してゆったりとした第二主題。何とも言えない良い雰囲気です。デッドな感じの第三主題。第一主題の再現はやはり速いテンポでとても力強いです。第三主題の再現は暴力的な感じです。コーダも非常に力強い演奏でした。

二楽章、物思いにふけるような弦。割としっかりと地に足の付いたオーボエの第一主題。あっさりとした第二主題。尾を引くように引きずられる第三主題。金管が奥から鳴り響いて壮絶な響きになります。表現の豊かな演奏でした。

三楽章、トロンボーンがかなり奥まっています。木管は少し緩い感じです。中間部のホルンは音を短めに演奏します。

四楽章、速いテンポの弦。ホルンは強めですが、他の金管とブレンドした響きになりません。テンポの動きはありますが、淡々とした第二主題。コーダもトロンボーンがとても奥まっていてバランスが悪いです。コーダはかなりテンポが速くなりました。

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ヴォルフガング・サバリッシュ/バイエルン国立管弦楽団

サバリッシュ★★★★

一楽章、大きく歌う第一主題。ホルンも豊かな表現です。残響も豊かです。トゥッティは鋭いトランペット。第二主題も豊かな響きで美しい。第三主題は速めのテンポでスッキリとしています。第一主題の再現も速めのテンポですが、充実した響きです。透明感があってサラッとした演奏です。コーダもかなりテンポが速い。ティンパニはポコポコと言う音。

二楽章、感情のこもった弦。悲しく歌うオーボエの第一主題。第二主題も感情が込められて良い演奏です。第三主題もとても美しい。ホルンも豊かな表現で、とても良く歌う演奏です。

三楽章、控えめなトロンボーンですが、残響は美しい。フルートも豊かな響きで美しいです。中間部も豊かな響きでとても美しいです。

四楽章、表情豊かな弦。あまり咆哮しないホルンの第一主題。テンポの大きな動きもありました。ここでも丁寧に歌う第二主題。コーダは抑え気味であまりスケールの大きな感じがしませんでした。

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ギュンター・ヴァント/NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

★★★

一楽章、重く深みのある第一主題。ホルンは細いです。トゥッティはシャープな響きです。うつろな第二主題。色彩感は豊かです。第三主題は荒々しくは無く、とても落ち着いた表現です。トゥッティで低音域があまり響かないので、重量感がありません。第一主題の再現部で、ティンパニの3連符を含むリズムがトム-トムのようなポコポとした響きであまり釜が鳴っていない感じで違和感がありました。他の演奏では聞こえなかったオーボエが聞こえたり細かいこだわりがあります。テンポや音量の変化もあり聞き所があります。美しく朗々と響くホルン。コーダのティンパニは特にポコポコとした響きで作品に全く合っていないと思います。

二楽章、良い雰囲気のたたずまいです。ひたすら祈るような第二主題です。感情も込められた良い演奏です。

三楽章、ここでのティンパニのロールは釜も鳴っていて良い音でした。トランペットがシャープです。中間部のホルンも明るい響きです。木管も動きがあって生き生きとしています。

四楽章、弦の中に、普段聞こえない木管が聞こえます。第二主題も微妙にテンポが動いています。第三主題はあまり推進力は感じられず落ち着いています。ティンパニのロールは良いのですが、最後の1発が詰まったような響きでどうしても好きになれません。コーダのティンパニのロールもボコボコとした響きで、全体の演奏は良かったと思いますが、ティンパニが曲を壊したような感じがします。

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ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ハイティンク★★★

一楽章、静かに演奏される第一主題。トゥッティへ向けてテンポを速めます。ヴァイオリンが強いトゥッティ。第二主題も速めであまり味わい深い演奏ではありません。全体に速めのテンポでサクサク進みます。金管は伸びやかで美しいです。コーダも充実した金管の響きは素晴らしいです。

二楽章、思案に暮れるような弦。ゆっくりとしたテンポで美しいオーボエ。第二主題はあまり大きな表現はしませんが作品に語らせるような演奏で美しい。あっさりとした表現ですが、作品からにじみ出る悲しさがあります。

三楽章、威勢のいいトロンボーン。中間部のホルンも豊かな響きです。金管の鳴りは見事です。

四楽章、あまり表情の無い弦。濃厚な金管。トゥッティの手前で大きくテンポを落としました。第二主題もあっさりとした演奏です。畳みかけるような第三主題。コーダはあまり充実した響きではありませんでした。

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オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団

★★★

一楽章、録音が古いせいか音の密度が薄い感じがします。第一主題のトゥッティは少し荒々しい感じで乱暴に感じました。第二主題も密度が薄い。第三主題も響きが浅く重厚感がありません。第一主題の再現もしっとりとした落ち着きが無く、全体に雑な印象です。

二楽章、渦巻くような弦の第一主題と悲痛なオーボエの第一主題。弦の木目は荒いですが、丁寧に祈るような第二主題。第三主題も重く悲しい雰囲気がなかなか良いです。

三楽章、この楽章では、金管は乱暴ではありません、とてもシャープな響きです。木管も生き生きとしています。中間部のホルンはデッドで伸びがありません。

四楽章、しっかりと地に足が付いた弦。ホルンがやはりデッドで伸びやかではありません。ヨッフムらしい大きなテンポの動きもありました。録音がデッド過ぎて、音に滑らかさが無く、音も溶け合わないので、マスとしての美しい響きにならず、浅い響きになってしまっているのがとても残念です。録り方によってきかなり印象が変わったのではないかと思います。コーダは速いテンポです。

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