ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」3

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第6番「田園」名盤試聴記

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン/ライブ★★★☆
一楽章、落ち着きの無いテンポで始まりました。ちょっとカラヤンらしい厚化粧のような感じが・・・・・。
豊麗な響きと濃厚な演奏。「田園」の雰囲気にしては都会的過ぎるような感じがします。

二楽章、美しい響きに酔うには良い演奏ですが、徹頭徹尾カラヤンの美学が貫き通されている演奏で、作品には不釣合いなくらい分厚い響きの演奏です。

三楽章、素朴さとは無縁のカラヤンの世界に浸かってしまえば、これはこれで良い演奏です。

四楽章、ティンパニのすごい強打。すごく編成が大きいように感じるのですが、実際にはどれくらいの人数で演奏したんでしょう。

五楽章、ソロのパートはどこもさすがといわざるを得ないです。すごく高次元で洗練された演奏で、牧歌的な雰囲気には程遠い。
私は、アンチ・カラヤンではないのですが、さすがに1980年代も後半の演奏になると、芸術としてカラヤンの世界に行ってしまった感じがしてなりません。これがカラヤンの到達した境地だったのでしょう。

これだけ洗練された美しい演奏が出来たのはカラヤンを置いて他にはいないと思います。そのことは評価してあげないといけないのだと思います。

マルク・エルムレル/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★☆
一楽章、中庸のテンポで穏やかな演奏で始まりました。素朴な雰囲気も表現されていてなかなか良いです。
オケも掌握されているようで、乱れや暴走がありません。

二楽章、録音のせいか、音が少しザラザラしている感じはありますが、音楽に浸ることができます。

三楽章、音楽の揺れも心地よいもので、なかなかの好演だと思います。
この全集はオーケストラが同じで、指揮者がバラバラなので、指揮者の演奏スタイルの違いを聴けるところが良いです。ただ、かなり出来不出来の差があります。
この指揮者は確か、ムラヴィンスキーとレニングラードpoの来日に同行したことがあると記憶しているのですが、演奏を聴いていても、実力はあると思います。

四楽章、表現も豊かだし、オケも暴走しないで、指揮者の意図を反映した演奏をしています。

五楽章、牧歌的な雰囲気も表現されているし、なかなか良い演奏でした。

クラウス・テンシュテット/ボストン交響楽団

テンシュテット/ライブ★★★
一楽章、快活な演奏です。スゥイトナーや朝比奈の穏やかな演奏に比較すると、何とも落ち着かない。
この全集はオケも録音年代のバラバラなので、曲による出来不出来はかなりあります。
特に、ボストン響との偶数番の出来は悪いような気がします。

二楽章、テンポが速いので、落ち着きがありません。
表題を連想させるような牧歌的な雰囲気は、全くありません。

三楽章、強弱のメリハリははっきりしていて、テンシュテットらしい演奏です。しかし、そこまでしなくても・・・・と思うほどテンポを煽ります。ちょっと付いて行けません。

四楽章、ティンパニの強打は完全に浮くほどの強打でした。何もそこまで・・・と言う気分です。

五楽章、穏やかさを求めてもムリなのか・・・・・・。

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

icon★★★
一楽章、テンポの動きもあって、表情豊かな演奏です。
僅かにリズムが甘いところがあります。微妙な間があったりして、良いです。

二楽章、ゆりかごに揺られているよう、微妙な微妙な強弱の変化が絶妙で、凄く心地よい音楽。
オケが一体になってゆりかご状態を作ってくれる絶妙さが、この演奏を名演と言わしめるところですね。

三楽章、少し奥まったところから聞こえてくるホルンのソロが良かったです。ただ、録音が美しく暖かい音楽を伝えきっていないのが残念なところです。

四楽章、荒れ狂うほどの嵐ではありません。

五楽章、現在のオーケストラの技術水準に比べると、どうしても見劣りすることは否めないところが残念なところです。

ヘルマン・シェルヘン/ウィーン国立歌劇場管弦楽団

シェルヘン★★★
一楽章、とても速い。のどかな田園風景とはかけはなれた、せせこましい演奏です。
アクセントをハッキリ表現するので、元気の良い演奏に聞こえます。
とにかく速い!

二楽章、大袈裟な表現をすることもなく、あっさりと流れて行きます。

三楽章、速めのテンポに乗って音楽が生き生きとしています。

四楽章、

五楽章、壮大な表現です。全体を通しての感想は抑制の利いた演奏だったように思います。

ダニエル・バレンボイム指揮/ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団

バレンボイム★★★
一楽章、揺れるように柔らかい第一主題。テンポもゆったりとしていますしテンポの動きもあって情緒たっぷりです。

二楽章、ぬくもりのある暖かい響きの中からサラッとした第一主題が提示されます。歌うファゴット。ヴァイオリンのさえずりが華やかです。

三楽章、軽快に演奏されていかたと思うと、トリオに入って引きずるような重い演奏になりました。二回目のトリオは重くなりませんでした。主部が戻るととても遅いテンポで始まりました。

四楽章、劇的でダイナミックです。表現の幅が広く力のある響きです。

五楽章、テンポの動きやタメがあったりして感情を吐露します。最後、ミュートしたホルンが大きくクレッシェンドしました。

大胆にテンポが動いたり、最後のホルンのクレッシェンドなど意外な表現のあった演奏でしたが、個人的にはあまり好きになれない演奏でした。
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ジョージ・セル/ニューヨーク・フィルハーモニック

セル★★★
一楽章、速いテンポですが、凄く歌っていて楽しげです。かなりオケを大きく鳴らしていますが弱音部分では精緻な演奏を聞かせています。セルらしくテンポが揺れ動いたりはしませんが、ダイナミックな演奏です。

二楽章、活発に動く音楽です。伸びやかに歌ったりすこしタメがあったりしてとても動きのある演奏です。

三楽章、この楽章も速めのテンポでかなり激しい表現で「楽しい集い」には感じられません。

四楽章、この楽章は録音のせいか、嵐のエネルギーはあまり伝わって来ません。金管は咆哮するのですが、低域がそれに伴って来ません。

五楽章、オケがニューヨークpoなのが影響しているのか、第一主題でもいつくしむような優しさがありません。ちょっと雑な表現のように聞こえます。

セルの指揮ではありましたが、オケがニューヨークpoと言う事もあって、活発な演奏ではありましたが、作品の持つ穏やかでいつくしむような表現は聞くことができませんでした。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★★
一楽章、非常にゆっくりとしたテンポで強弱の変化も大きい第一主題です。最近、速いテンポの演奏ばかり聞いていたので、この遅さは新鮮に感じます。一歩一歩確実な足取りです。ただ、このテンポだと音楽が弾まないので、躍動感はありません。

二楽章、ゆらゆらとゆったり揺れ動く音楽が心地良い演奏です。自然体で力みなどは全く無く強い感情移入もありません。

三楽章、とても遅いテンポでアレグロとは思えません。楽しい集いにしては落ち着き過ぎているように感じがします。あまりに遅く躍動感や生命感を感じることができません。

四楽章、オケを炸裂させて激しい嵐です。ティンパニも思い切りが良いです。

五楽章、雄大に感謝の表現をします。こういったあたりのスケールの大きさはさすがにクレンペラーだと思わされます。

大きなスケール感を感じさせる部分もありましたが、全体にテンポが遅く躍動感や生命感はあまり感じませんでした。
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