ベートーヴェン 交響曲第4番2

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第4番名盤試聴記

エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 レニングラードライヴ

ムラヴィンスキー★★★★☆
1973年4月28日のライブ録音です。

一楽章、凝縮された音が全体の響きを探るように始まりました。細心の注意を払って周りの音を聴きながらのアンサンブルです。強奏部でも凝縮された響きは変わりません。ムラヴィンスキーの指揮は速めのテンポでオケをグイグイと統率して行きます。弱音部と強奏部との対比をはっきりさせて劇的な演奏です。

二楽章、表情豊かな演奏です。高い集中力と凝縮された音が高い緊張感を演出します。この時代に旧ソ連のオーケストラがこれだけのアンサンブル精度を保っていたと言うのは、すごい驚きです。

三楽章、この楽章も速いテンポです。表情は厳しいですが、時折音と戯れるような表現が魅力的です。

四楽章、やはり速めのテンポでグイグイとオケを引っ張ります。伸び伸びと歌う木管。凄い勢いのまま終りました。

朝比奈 隆/新日本フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、自然体の力みの無い演奏は、この四番でも貫かれています。テュッティの響きがホール全体に広がる感じがとても豊かで、このゆったりとしたテンポの演奏にマッチしていてすばらしいです。

豊かで厚い低音部の上に中高域が乗るピラミッド音形は、演奏を優しい響きにしていて、朝比奈の自然体の音楽の運びとあいまって、この全集のすばらしさの一つになっています。

テンポが遅くても音楽が弛緩しない。緊張感を保ったまま音楽が続いていくのもすばらしい。

二楽章、ゆりかごに揺られるような自然で安心感のある音楽。

三楽章、私はベートーヴェンの交響曲はもっと激しく厳しい表情だと思い込んでいた。この朝比奈の全集を聴くまでは。

ベートーヴェンがこんなに優しく、心を癒してくれる音楽だとは!これまで聴いてきた欧米の名指揮者の演奏からは聴くことができない自然で優しい音楽は世界に誇っても良いすばらしいものだと思います。

四楽章、この7年後に録音した大阪poとの録音を聞くのも楽しみです。

クラウス・テンシュテット/ニューヨーク・フィルハーモニック

テンシュテット/ライブ★★★★
一楽章、冒頭から怪しげな雰囲気、表現の幅も大きくテンシュテットらしい。テンポも動く。ボストンsoよりもニューヨークpoとの相性が良いようです。

ボストンsoの奥ゆかしさとはまるで違う、ニューヨークpoは乗りが良い!

二楽章、テンシュテットは奥ゆかしいという言葉とは無縁の指揮者なので、彼の表現しようとすることに反応の良いオケとの組み合わせでないと、本領発揮とはなりにくいけれど、この当時のニューヨークpoのアンサンブルは悪い。

三楽章、怒涛の開始、やはりこの表現の振幅の大きさがテンシュテットの特徴です。有無を言わせずテンシュテットの世界へ引き込んでしまう。指揮にもなれてきたのか、アンサンブルも次第に良くなってきました。

四楽章、音楽の推進力は凄い。木管楽器からも生き生きとした演奏を引き出しています。テンポの動くも自在。この全集は録音年代もオケもバラバラなので、出来不出来の差も大きいので、万人向けのCDではありませんが、テンシュテットファンにはお勧めです。

オトマール・スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ

icon★★★★
一楽章、静寂感の中から音が浮き立つような、いい雰囲気です。派手さはないけれど、艶やかな弦の響きが心地よい。淡い色彩で彩られていくので、とても品の良い演奏です。

二楽章、ソロの楽器が色彩的に際立ってこないので、聞き流してしまいそうですが、美しいソロです。

三楽章、低域の一部をカットしているようなので、重量感はありません。それが品の良い演奏にしている一因でもあります。

四楽章、中庸で節度ある演奏で安心して聴くことができます。

オイゲン・ヨッフム/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、新鮮で清々しい響きがとても良いです。この全集は曲によってバランスが微妙に違っていて、高音域寄りの録音の演奏はうまり良い印象がありませんでした。

実際の演奏はもっと厚みのある音がしているのだと思うのですが、全体に低音域が薄い録音で、作品と音作りが合っていないような感じがしました。

二楽章、この録音は高音域が突出していないので、良いです。

艶めかしい木管も魅力的。音楽の揺れも心地よい演奏です。ティンパニもとても良い音です。

三楽章、もう少し低音域に厚みがあればとは思いますが、この曲は全集の中ではかなり良い方です。また、全集全体は生気に溢れた、活力のある演奏でした。

四楽章、非常に骨格のしっかりした作りで、安定感があります。

朝比奈 隆/NHK交響楽団

icon★★★★
1995年の録音ですので、新日本poの録音より後のものになります。
新日本poとの全集と大阪poとの全集の間の録音です。

一楽章、基本的には大阪poとのライブと同じ解釈です。大阪poよりも音色が華やか力強い演奏です。
ソロの音色も立っています。演奏の勢いは大阪poとの演奏を上回ると思います。

二楽章、これまで聴いた新日本poや大阪poの演奏よりも現実味のある演奏で、こちらに迫り来る演奏です。

三楽章、前進しようとするエネルギーが強い演奏で、その面では新日本poとの演奏とはかなり違うように感じます。

四楽章、やはりゆったりしたテンポをとっていますが、音の輪郭がくっきりしていて明瞭です。

これまで聴いた朝比奈の演奏の中では一番生命力を感じる演奏です。
違う言い方をすると人間臭いといえるかもしれません。
活力に満ちた良い演奏でした。

エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
1973年の東京ライヴです。

一楽章、注意深い感じで音を探りながら演奏が始まったような感覚がありました。
ティンパニが入ったあたりからは、快速です。普段聞くレニングラードpoの音に比べると幾分かマイルドな響きです。
鍛え抜かれたアンサンブルの精度はすごいものがあります。
響きはマイルドに聞こえても、厳しい表情は健在で、孤高の名指揮者のたたずまいは常に持ち合わせています。

二楽章、速いテンポで緩み無く進みます。音楽の抑揚もすごく統率が行き届いているようです。
オケの響きはドイツのそれとは違った趣きがあります。

三楽章、この楽章も速いです。

四楽章、細かいパッセージも完璧ですし、細かい表情も統一されていて、とても感心します。

ムラヴィンスキーの音楽は独特の世界がありますので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、爆演型が多いソ連の指揮者の中にあって、これほど純音楽としての完成度を求めた指揮者もいないと思います。

マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★★
一楽章、そっと撫でるような柔らかく優しい序奏。深みのあるトゥッティ。第一主題はあまり速くはありません。第一、第二主題ともあまり歌いません。歌よりも一つ一つのフレーズのつながりや流れを重視しているように感じます。

二楽章、速めのテンポでこだまするように次第に静かになった冒頭。抑制的ですが、内に秘めた感情が伝わって来るような演奏です。クラリネットの第二主題も弱音に思いを込めたような演奏です。楽譜に書かれている音の動きがとても良く分かります。

三楽章、速めのテンポですが、丁寧な演奏です。フッと力を抜くところもあります。トリオはたっぷりと歌います。

四楽章、前へ前へ進もうとする力のある演奏です。オーケストレーションの見通しがとても良い演奏で、とても動きが良く分かります。弱音がとても美しい演奏でした。

大きな表現は無く、むしろ抑制的な表現でしたが、特に弱音部で内に秘めたような感情が伝わって来るような演奏でした。また、パートごとの音の受け渡しなどがとても良く分かる演奏で、精緻な演奏を聞かせてくれました。ただ、そこに感動があったかと聞かれるとちょっと?です。
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