ムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」2

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たいこ叩きのムソルグスキー 交響詩「はげ山の一夜」名盤試聴記

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

icon★★★★☆
速めのテンポです。力みの無いブラスセクション。ブルー系の響きで涼しげな美しい演奏です。とても滑らかで角が立つような部分はありません。この作品でも洗練の極みのような滑らかで美しい演奏で、泥臭さなどは全くありません。弦も木管もとても美しいです。鐘の後の弦も優雅で美しいです。滑らかで美しいクラリネット。爽やかな夜明けを感じさせるフルート。魑魅魍魎とは程遠い表現です。
ホールの響きも含めてとても美しい演奏でした。

ミヒャエル・ザンデルリング/バイエルン放送交響楽団

ザンデルリング★★★★☆
弾むような低弦。全開の演奏ではないトロンボーン。ティンパニが激しくクレッシェンドしました。オーボエが最初の二つの音をスラーで繋ぎます。余裕のある美しい響きの金管です。滑らかな弦。明るい金管が美しいですが響きは少し薄いです。デュトワの演奏を思い出させるような徹底して美しい演奏です。鐘の後もテンポは全く動きません。クラリネットのソロは少しテンポを落として豊かに歌います。フルートも同様に歌います。
オケを限界まで鳴らすことは無く、かなり余裕を持たせてとても美しい演奏でした。泥臭さとは程遠い演奏で、作品の表題性はあまり意識せずに、美しさに徹底的にこだわった演奏のように感じました。
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ロヴロ・フォン・マタチッチ/フィルハーモニア管弦楽団

マタチッチ★★★★
ゆったりとしたテンポでゴツゴツした印象です。
トロンボーンなどの旋律の直後にテンポが一旦ガクンと落ちて次第に元のテンポに戻りました。
テンポは度々遅くなっては加速します。劇的で表現の幅が広いです。クラリネット、フルートのソロの歌いまわしも独特でした。
すごく個性豊かな演奏でした。

アンドレ・クリュイタンス/フィルハーモニア管弦楽団

icon★★★★
強弱の激しい冒頭の表現。ブラスの強奏は余裕たっぷりでした。
力みの無い優雅な演奏です。ブラスセクションを無闇に強く吹かせることはありません。
チャイムの音がはっきり聞こえます。その後の弦の演奏はとても静かな感じです。
クラリネット、フルートのソロは自由に歌わせているようです。

ジュゼッペ・シノーポリ/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★
速めのテンポで、トロンボーンはかなり余裕を残して鳴っていますが全体を支配するような迫力があります。ティンパニの激しいクレッシェンドや木管の大きな強弱の変化などかなり積極的な表現です。オーボエにメロディが出るところで少しテンポを落としました。基本的に速めのテンポで軽く、ドロドロした雰囲気はほとんど無く、作品の表題をあまり意識していない演奏のように感じます。鐘が鳴ってからはゆったりとしたテンポで揺れがあって濃厚な表現になりました。クラリネット、フルートのソロもかなりテンポが遅くたっぷりと非常に濃厚に歌います。このソロはとても良かったです。
鐘が入った後のテンポを落とした濃厚な表現はあまり聞いたことの無い表現でとても良かっですが、前半があまりにもあっさりし過ぎていて肩すかしでした。

エドゥアルド・マータ/ダラス交響楽団

マータ★★★★
遠くから迫ってくるような弦。爽やかな響きのトロンボーン。シンコペーションの反応がとても良いです。オーボエ、フルートとメロディを受け継いだ後にテンポを速めました。かなり余力を残した金管がブルー系の響きで魑魅魍魎の怪しさよりもスマートな爽やかさを印象付けます。鐘の後はゆっくりとしたテンポでフレーズの終わりでテンポを落として演奏します。クラリネットのソロは豊かに歌います。暖かいフルートのソロ。
ブルー系の響きで魑魅魍魎の饗宴よりもスマートで爽やかな演奏で、あまり表題を意識した演奏ではありませんでしたが、ダラス交響楽団の美しい響きはなかなか良かったです。
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ルネ・レイボヴィツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レイボヴィツ★★★★
激しい強弱の変化。トロンボーンの前にスネアが入りました。かなり激しいトロンボーン。シロフォンも入ります。木管のメロディにファゴットが追加されたり独特の編曲があります。金管のフォルテピアノクレッシェンドやシンバルの響きを残したり、予想外の部分でスネアが入ったり、スネアのリムショットがはいったり、カットもあります。テンポが極端に落ちたりやりたい放題です。ウィンドマシーンまで入ります。鐘の前にスネアと銅鑼のクレッシェンドがありました。鐘の後はほぼインテンポです。クラリネットではなくオーボエのソロです。フルートのソロの後に怪しげな低音から次第に高音楽器に移って華やかに終わりました。
ベートーヴェンの交響曲で、ベートーヴェン指定のメトロノームに厳格な演奏をしたレイボヴィツの演奏がこんなに自由奔放だったのは驚きでした。ただ、ストコフスキーの編曲ほどの強烈な色彩感などはありませんでした。
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タラニス・エコノモウ/カタール・フィルハーモニー管弦楽団

エコノモウ★★★★
追い立てるように微妙にテンポが変化する冒頭。安定したトロンボーン。ティンパニが激しくクレッシェンドしました。聞いたことの無い中東のオケと指揮者ですが、とても安定した良い演奏です。滑らかなクラリネット。アンサンブルもなかなか良いですし、響きも美しいです。鐘の後のテンポの動きは僅かです。クラリネットのソロはゆっくりとしみじみとした演奏です。
大きな表現はありませんでしたが、整ったアンサンブルと美しい響きで、模範演奏のような演奏でした。
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ウラディミール・スピヴァコフ/ロシア・ナショナル・フィルハーモニー管弦楽団

スピヴァコフ★★★☆
強弱の変化が独特の冒頭の弦。トロンボーンはビーンとかなり強く鳴り響きます。突然強く入るファゴット。ミキシングで強調されたようです。トゥッティの響きと木管のソロのバランスがおかしいです。金管の三連音を含むメロディで大きくテンポを落としました。細かい音で若干もたつくような部分もありました。やはり木管が大きいです。リミッターでも掛かっているような感じがします。鐘も大きいです。鐘の後の弦もかなり強調されているような録音です。テンポの動きは僅かです。クラリネットのソロはアゴーギクを効かせるようにテンポの動きもあって豊かな歌でした。
演奏そのものは力感もあり、ソロの豊かな歌もあって良かったのですが、録音がリミッターが効いているのか、ミキサーで木管を強調したのか分かりませんが、バランスがとても不自然に感じました。
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デーヴィッド・ロイド=ジョーンズ/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ジョーンズ★★★
表現の振幅はあまり大きくなく比較的穏やかで作品の粗野な感じはあまりありません。ロシア音楽の持つ強大なエネルギーはあまり感じません。ダイナミックの変化もあまり大きくありません。金管にはかなり余裕を持たせた演奏で、積極的な表現はほとんど無い演奏でした。
あまり振幅の無い演奏で、金管も余裕たっぷりでした。あまり作品を積極的に表現した感じは無く、作品を無難に演奏して紹介したと言う事でしょうか。
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トーマス・ルートヴィヒ/ルートヴィヒ交響楽団

ルートヴィヒ★★☆
とてもゆっくりとしたテンポです。弦は薄いですが、その分金管がかぶって来ます。テンポが遅く間延びした印象の演奏です。テンポの動きもありますが、あまり大きな表現はありません。鐘の後は薄い弦が揺ら揺らとした表現で寂しげな雰囲気が上手く表現されています。クラリネットとフルートのソロもあまり歌いません。
薄い弦と力強い金管による遅いテンポの演奏でした。テンポの遅さに間延びした印象を受ける部分もありましたが、鐘の後の揺ら揺らとした寂しげな表現はなかなか良かったです。上品な演奏でした。
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ダニエル・ナザレス/スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

ナザレス★★☆
艶やかな弦ですが、あまり強弱の変化はありません。トロンボーンも控えめで軽いです。大きくテンポを落として加速する部分もありました。ティンパニの激しいクレッシェンドや打楽器の強打が目立ちます。テンポの動きはありますが、あまり力のこもった強奏はありません。鐘の後はゆっくり目でテンポが動くのですが、少しアンサンブルが緩い感じがあります。クラリネットとフルートのソロは普通でした。
テンポの動きはありましたが、あまり強奏せずに軽く破綻の無い演奏に上手くまとめた感じの無難な演奏でした。
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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★
抑え気味の冒頭。荒々しい金管。当時のニューヨークpoの演奏としてはアンサンブルも良いような気がしますが、それでも雑な演奏には変わりありません。テンポもほぼ一定で、変化に乏しく一本調子です。消化試合のような演奏に感じました。

イーゴリ・マルケヴィチ/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

マルケヴィチ★★
速いテンポで、シンプルな冒頭。トロンボーンが途中で弱くなってクレッシェンドする表現でした。色彩感はくすんでいて、あまり豊かな色彩感ではありません。通常、強く演奏される部分を途中で弱くしてクレッシェンドすることがよくあります。その影響もあってか、演奏自体が軽く感じます。ほとんどテンポの変化無く速いテンポのまま進みます。強く伸ばすはずの音を弱くする表現がとても多いです。木管のソロもあまり歌いません。
普通なら強く伸ばす音を弱くして、その後クレッシェンドするような表現が多かったです。演奏にはあまり色彩感が無く、軽い感じで、ロシア音楽の特徴も、リムスキー=コルサコフの特徴もあまり表現されなかったように感じました。
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セルジウ・チェリビダッケ/ミラノ・イタリア放送交響楽団

チェリビダッケ★★
いつものようにゆっくりと濃厚な表現です。トロンボーンも十分に鳴っています。大きい表現に反してスピード感の無さが気になります。奥行き感の無い金管の生音が下品に感じます。あまりの遅さに間が持たないと思ったのか、少しテンポが速くなります。鐘の後は霧が立ち込めるように、ゆっくりと静かに幽玄の世界のようです。
鐘の後の幽玄の世界のようなゆっくりと静かで奥深い演奏と、前半の浅く下品で間が持たない演奏のギャップが激しい演奏と感じました。
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ユーリ・ボトナリ/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団

ボトナリ★☆
ゆっくりとしたテンポで柔らかい表現。トロンボーンも全体の響きから飛び出さず落ち着いています。ティンパニの激しいクレッシェンドがありました。金管はかなり抑えぎみです。同じリズムでも楽器が変わると表現する長さが変わります。金管の三連音を含む戦慄でガクッとテンポを落として次第に弱くなりました。テンポがかなり動く演奏ですが、このテンポの動きがあまりにも大きく不自然な感じがします。鐘が鳴った後のテンポの動きは僅かです。クラリネットのソロは大きく歌います。フルートはクラリネットのソロよりもあっさりとしています。
金管を抑えた演奏で、テンポもかなり大きく動いていましたが、少し不自然な感じがありました。また、同じリズムでも楽器によって長さが違うのも気になりました。
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ロリン・マゼール/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

マゼール
速いテンポで激しく動くので、小ざかしく感じる演奏です。厚みのあるトロンボーンですが、最後の音だけ特別に強い音で不自然です。シンバルは小さいものを使っているようでダイナミックさは全くありません。オケもドイツ的で金管が飛び抜けたバランスの演奏ではありません。テンポが速くてとても慌ただしいです。シンバルの速いパッセージはサスペンドシンバルを使っているので、クラッシュシンバルをこんなに小さい物を使う意味が分かりません。鐘が鳴った後も速めのテンポで全く作品に思い入れが無いような演奏です。クラリネットとフルートのソロも素っ気無く爽やかです。
とにかくテンポが速い!素っ気無い演奏でした。

アラン・ロンバール/ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団

icon
積極的な強弱の変化。トゥッティの響きが薄い。トロンボーンを主体にする旋律は抑え目で柔らかく演奏しました。テンポを落とすところもありますが、基本的には速いテンポで進みます。金属的な響きがするヴァイオリン。全体的には大人しい演奏で、魑魅魍魎たちが大騒ぎしているような雰囲気とはちょっと違うように感じます。後半、弦だけで弱音で演奏される部分も平板で短い時間でしたが退屈な印象でした。

ジェフ・スペクト/ミシシッピ・バレー管弦楽団

スペクト
テヌートぎみに柔らかく演奏されるトロンボーン。豊かな残響を含んだ木管。テンポの動きも少しありますが、あまり個性の強い演奏ではありません。ミスや金管の鳴りの悪さを感じさせる部分もあります。ちょっと雑な金管の演奏もあります。鐘の後もテンポの動きはほとんどありません。クラリネットは高音を出しにくそうでした。フルートもほとんど歌いません。
オケの雑な部分やアンサンブルの乱れなどもあり、演奏そのものは特に個性の無いものでしたので、ミスが気になりました。
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Garo Avessian/レバノン・フィルハーモニー管弦楽団

Avessian
低域がボンついた録音で、ホルンの音もミキシングによって強調があるようです。こもって雄大なトロンボーン。良く歌う弦。しかし、ホルンが異様なバランスです。多分カメラの位置にマイクがあって、そこにホルンのベルが向いているのだと思います。鐘もマイクの近くでしょう。鐘の後の弦も豊かに歌います。クラリネットは生き生きと瑞々しい演奏でした。
とても良く歌う弦でしたが、異様に大きいホルンのバランスがとても不自然でした。録音のバランスが良ければ演奏そのものは割りと良かったのではないかと思います。
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巨匠たちが残したクラシックの名盤を試聴したレビュー ・ムソルグスキー:交響詩「はげ山の一夜」の名盤を試聴したレビュー

投稿者: koji shimizu

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