ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」2

たいこ叩きのストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシュカ」名盤試聴記

アンタル・ドラティ/デトロイト交響楽団

icon★★★★
1947年版の演奏です。
大きく広がった空間に音楽が展開されます。バレエ音楽というよりも、もっとシンフォニックな感じがします。
いろんな音が聞こえてきて楽しい!新たな発見でした。

エフゲニー・スヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団

icon★★★★
一場、遅い出だし、一歩一歩確かめるようにゆっくりと確実に進みます。録音のせいか色彩感はあまりありません。バレエ音楽で踊るイメージとはかなり違った演奏で、飛び跳ねるよりも引きずる感じの演奏です。
二場、とにかく遅い。でも聴き続けるうちにこのテンポになれて来て、不自然さは感じなくなります。録音が古いせいか、楽器一つ一つが立っていないので、平板に聞こえます。とても濃厚な演奏をしているのですが、色彩感が淡白なので、聞き流せてしまいます。
三場、ゆっくりと濃厚なトロンボーン。スネアのソロの後のトランペットも遅い。ファゴットのメロディに乗っかるトランペットやフルートもすごく遅いです。
四場、バレエ音楽と言うには重過ぎる。ゆったりと朗々と歌う弦。Ebクラとテューバのメロディの部分は普通のテンポでした。最後の強奏部分でまた、非常に遅くなった、通常の二倍ぐらいの時間をかけて演奏しているのではないか。

異色の演奏として面白く聞くことができました。

シャルル・デュトワ/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1980年ライヴ

デュトワ★★★★
笛吹のクラシック音楽ライヴ と オーディオの記事の笛吹さんから音源を送っていただきました。ありがとうございます。
一場、デュトワ独特のブルー系の清涼感のある響きです。セッション録音のような鋭い切れ味や華やかさは無く、マイルドな演奏です。弦を中心に音楽が作られていて、少し寂しく線が細い感じがします。ダイナミックの変化もセッション録音のような大きな変化は無く、かなり平板です。打楽器的なピアノ。かなりデッドな録音のようです。
二場、聞こえる音は全部聞こえているようには感じるのですが、なぜかとても寂しい感じがあります。ペトルーシュカの悲しみなのか?
三場、セッション録音のような金管が炸裂するような振幅の激しい演奏ではありません。ペトルーシュカがこんなに寂しく悲しげな音楽だと初めて知りました。
四場、編成が小さい感じの響きで、色彩のパレットをいっぱいに広げたような演奏ではありませんが、バレエの場面の雰囲気はとても良く表現していて、ペトルーシュカの悲哀をとても感じます。

セッション録音の色彩感豊かでダイナミックな演奏とはかなり雰囲気の違う演奏でしたが、バレエの場面をとても良く伝えてくれる演奏でした。

シルヴァン・カンブルラン/読売日本交響楽団

カンブルラン★★★★
第一場、間接音が少なくデッドです。その分楽器の動きははっきりしています。精緻な演奏ではありますが、分厚い響きではありません。
第二場、透明感が高く清潔感があって洗練されています。
第三場、とても美しい演奏なのですが、オケのパワーがあまり伝わって来ません。ただキレの良い透明感の高い響きはとても魅力的です。暖かい歌もとても良いです。
第四場、ちょっと触れば壊れてしまうようなガラス細工のような繊細さ。強い表現は無く、自然体で流れて行きますがダイナミックさや深みはあまりありません。

トゥッティの厚みやダイナミックさはありませんでしたが、透明感が高くガラス細工のような繊細な演奏はとても魅力的でした。厚みの無さは日本人の限界なのか?
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ピエール・ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団

icon★★★
デッドなホールでの録音なのか?人数が少ないような錯覚を覚えるような音がしています。
細部まで克明に聞かせるために、あえてこのような音で録音したのか?
マスの響きもあまり溶け合わない。寂しい音です。
1911年版は編成も大きく豪華絢爛な響きがするというイメージなので、意外な演奏です。ピアノの音を聴いていると、そんなにデッドなホールではなさそうです。
管楽器を中心に音楽が作られていて、弦楽器の人数が少ないか、バランス上控えているかしているようです。
ペトルーシュカの悲哀や悲しみは見事に表現しています。
ブーレーズはニューヨークpoの音楽監督時代から最近の復帰へ至るまでに音楽に対する考えや解釈が大きく変化したように思います。
復活のCDを聴いた時にも感じましたが、ほとんどオケのフルパワーを要求していない。木管のffと金管のffを同じ音量で演奏させているような感じで、その分いろんなパートの動きが克明に聞こえてきます。
こうやって、新しい部分にスポットを当てているのでしょうか。私が思っている「ペトルーシュカ」とはかなりイメージの違う音楽になっていることは確かなのですが、これだけ各パートのバランスを保って演奏することによる効果を聞かされると納得させられます。

ただ、研究成果としての価値は十分あると思うのですが、一般人が鑑賞するという観点から考えてこの演奏をどう捉えるかは個人によってかなり評価は分かれると思います。

コリン・デイヴィス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★
火の鳥では、このコンビの重さや深さがすばらしい演奏をしましたが、ペトルーシュカでは重過ぎるような感じがします。1947年版
低音域に力があって重い音が全体の雰囲気を重くしています。
コンセルトヘボウの少しくすんだ、そして深みのある渋い音色が火の鳥では見事にマッチしましたが、ペトルーシュカでは、もう少し軽い音色を求めたいところです。
1911年版よりも1947年版の方がスネアやティンパニの扱いは派手なのですが、1911年版のように各所にちりばめられた小物打楽器のきらびやかさが無いので、個人的には1911年版の方が好きです。
ホールの響きもふくよかなので、演奏が少し鈍重に感じます。
分厚い低域の上にメロディが乗りますが、この低域に残響がつきまとうので、演奏に重さを感じてしまうようです。

登場する楽器はどれも上手いのですが、全体の響きとしてはこの曲に合っていないように気感じました。

ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団

icon★★★
一場、1911年版の演奏ですが、冒頭は貧相な出だしでした。金管が控え目に録られているせいもあるのでしょうか?
ダイナミックの変化も少なくBGMを聴いているような感覚になります。
二場、ピアノもマイルドな演奏で刺激的な部分は全くありません。
三場、とても大人しい穏やかなペトルーシュカです。ところどころでテンポをぐっと落とすことがあります。金管は常に奥まったところにいて、突き抜けてくることはありません。
四場、小物打楽器も控え目です。弦や木管のフワッとした部分は上手く表現されるので良いのですが、金管があまりにも控え目過ぎて、曲のイメージとはかなり離れた演奏に聞こえてしまいます。

アンドリル・ネルソンス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

ネルソンス★★★
謝肉祭の市、あまり躍動感が無く、地味な感じです。47年版です。
ペトルーシュカの部屋、強弱の変化が大きくなって躍動感が出てきました。
ムーア人の部屋、やはり地味で特段の個性は感じません。
謝肉祭の市(夕景)、ファゴットが独特の歌い回しです。安定感のある堅実な演奏なのですが、コンセルトヘボウらしい濃厚な色彩感はありますが、華やかさがあまり感じられません。

安定感のある堅実な演奏でしたが、地味で華やかさを感じませんでした。
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スタニラフ・スクロヴァチェフスキ/ミネソタ管弦楽団

スクロヴァチェフスキ★★☆
謝肉祭の市、鮮明な色彩で華やかです。47年版です。トライアングルがかなり強いです。速めのテンポで畳み掛けるような演奏です。
ペトルーシュカの部屋、大きな表現や主張は無い感じです。一音一音刻み付けるようなピアノ。
ムーア人の部屋、とてもゆっくりとしたテンポでたっぷりとした間があったりします。
謝肉祭の市(夕景)、かなり強く絶叫するトランペット。常に押してくるような強い感じがあって、人によっては疲れるかも知れません。格闘のあたりはかなり速いテンポでした。最後の部分でもミュートをしたトランペットがかなり強いです。

演奏がそうなのか、録音の関係なのか分かりませんが、かなり強く押しまくられる感じで、ちょっと疲れました。
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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

ムラヴィンスキー
一場、遠い音場感で、細部まで聞き分けることは出来ません。レンジも狭く色彩感もほとんどありません。強音部では歪みます。場面転換の打楽器が炸裂します。とにかく歪みっぽくて、何をやっているのか判別ができません。艶やかなヴァイオリン・ソロ。静寂の中に浮かび上がる木管など、良さも垣間見えるのですが・・・・・・。
二場、トランペットが奥まったところからミュートをはめて強く出てきます。テンポが動いたりもします。
三場、冒頭は、遅いテンポで濃厚に表現します。録音のせいか、ムラヴィンスキー独特の冷たい緊張感は伝わって来ません。
四場、

ムラヴィンスキーがこのような作品も演奏したと言う貴重な記録なのでしょう。

ホルスト・シュタイン/NHK交響楽団

ホルスト・シュタイン
第一場、ホルスト・シュタインとN響のペトルーシュカと聞くと何か鈍重なイメージがあるのですが、果たして演奏はどうでしょうか?やはり色彩感はあまり無く、華やかな雰囲気は全くありません。塊まったような重さがあります。この当時のN響のねっとりとして音離れが悪い響きがそのままです。
第二場、納豆が糸を引くような感じで、一つの楽器が他の楽器を振り切って抜け出てくることが無く、明快な色彩感を演出することはありません。この曲にはこのコンビは全く合わないです。
第三場、金管が全開になることも無く、色彩的には本当に中途半端です。
第四場、ホルスト・シュタインは元々作為的な表現をする人では無いので、この作品を面白く聞かせようなどとは考えていないでしょう。最後のトゥッティでもくすんだ響きで開放的に鳴り響くことはありません。

あまりにも渋い演奏で、色彩感や華やかさとは無縁の演奏で、全く楽しめませんでした。
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セルジュ・コミッショーナ/RTVE交響楽団

コミッショーナ
第一場、遅いテンポで引きずるような演奏で、およそバレエ音楽とは思えません。アンサンブルも危なっかしいところがあります。たどたどしい感じがあって、演奏するのがやっとと言った印象です。
第二場、色彩感も乏しく、華やかさも無く寂しい感じです。
第三場、練習しているような遅いテンポです。とにかく遅いです。
第四場、金管が抜けてくることも無く、色彩の変化も感じられず、奥行き感も無い演奏です。アンサンブルの乱れもたびたびあり、演奏に余裕は全くありません。

遅いテンポで、色彩感も無くアンサンブルの乱れもたびたびあり、楽しめませんでした。
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クラシック名盤試聴記 ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」名盤 ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」名盤 ・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」名盤

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