ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)2

たいこ叩きのムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」名盤試聴記

サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

icon★★★★☆
「プロムナード」低い倍音を含んだトランペット。速めのテンポではつらつと進みます。「こびと」ゆっくりめに進みますがオケは強奏部分でも爆発しません。割とあっさりとした表現です。「プロムナード」のどかで穏やかです。「古城」少し硬めの音質のサックス・ソロ。「プロムナード」ここも速めのテンポで颯爽と進みます。「テュイルリーの庭」ショルティの不器用さか、楽譜に忠実過ぎて滑らかさを欠いている部分もあります。「ビドロ」柔らかく美しいチューバ。「プロムナード」ここのプロムナードも爽やかに演奏されます。「殻をつけたひなの踊り」ひなが動き回る様子を上手く表現しています。「サミュエル・ ゴールデンベルクとシュミュイレ」弦の凄いエネルギーを感じます。悲しげなミュートを付けたトランペット。「リモージュ」明るくはつらつとしたホルン。賑やかな市場の様子で。「カタコンブ」抑え気味ですが、重く響く和音が美しい。「バーバ・ヤーガの小屋」スピード感と強いエネルギーを放出する冒頭。 「キエフの大きな門」広大なスケール感。弱音は必要以上に弱く演奏することは無く、静寂感や緊張感はありません。最後はシカゴsoのパワー全開で気持ちがスッとするような開放感でした。

ショルティの不器用なところも垣間見えたりしましたが、シカゴsoの名人芸を見せつけるような演奏には圧倒されました。

セルジウ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★☆
「プロムナード」非常にゆっくりと伸びやかで表情豊かなトランペット。弦もとても豊かな表情で、押したり引いたりします。「こびと」もゆっくりです。最初のffで演奏される弦は速めで、後にpで演奏される弦は非常にゆっくりと演奏しました。怪しげな雰囲気の弦。最後は早くなりました。「プロムナード」ここでもゆっくりと歩くような、まさにそぞろ歩きです。弱音に神経手を使った美しい演奏です。「古城」SAXは持ち替えなのか、僅かに硬さの残る響きです。旋律の裏で動く楽器がはっきりと聞こえます。「プロムナード」ゆったりとまろやかな響きです。「テュイルリーの庭」これも非常に遅いテンポの演奏です。どの楽器も瑞々しく伸びやかです。「ビドロ」遅いテンポで美しいチューバです。ティンパニが入るあたりから少しテンポを速めました。「プロムナード」美しい木管が響き合います。「殻をつけたひなの踊り」弱音に重点を置いた演奏で、非常に神経を使った美しい演奏です。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」コントラバスがあまり聞こえないので、重い感じや厚みはありません。テンポは非常にゆっくりしていて、トランペットが入る前にさらにテンポを落としました。トランペットの裏で動く楽器もはっきりと聞こえます。「リモージュの市場」細い響きのホルン。楽器の出入りがはっきりしていて、色彩感が豊かです。「カタコンブ」美しい響きのロングトーン。かなり強めに演奏されたトランペット。沈み込むような弱音。「バーバ・ヤーガの小屋」巨大な戦車が動き出すような重量感。トランペットの登場に向けて少しテンポを速めました。チューバの旋律の部分は神秘的な雰囲気です。「キエフの大きな門」輝かしい冒頭でしたが、なぜかフレーズの最後の音を弱く演奏します。伸びきったトランペットが輝かしく美しい。トロンボーン、トランペットと続く三連符をクレッシェンドしました。強烈な鐘の響きとトランペットの輝かしい響きで、最後の音を伸ばして終わりました。

遅いテンポに待ちきれず、アンサンブルが乱れる部分や、キエフの大門の初めでフレーズの最後の音を弱くしたのが不可解な部分もありましたが、その他は遅いテンポでじっくりと聴かせてくれました。この曲の全く違う面を聴かせてくれたと思います。

キリル・カラビツ/DR放送交響楽団

カラビツ★★★★☆
プロムナード、トランペットの部分は速いテンポで活発な動きでした、弦になると僅かにテンポを落としてゆったりとした表現です。
こびと、アンサンブルの乱れもありますが、見通せるような透明感のある響きで、美しいです。
プロムナード、柔らかく暖かいホルン。
古城、哀愁を感じさせる豊かな表現のファゴット。美しいサックス。繊細な弦。
プロムナード、重量感のあるチューバ。
テュイルリーの庭、動きのある部分と穏やかな部分の対比が見事です。
ビドロ、美しいチューバでしたが最後のハイトーンは口を締めすぎです。伸びやかで色彩感も豊かです。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、宙に浮いているかのように軽い木管。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、あまり厚みの無い弦。弱々しいトランペット。描写力はなかなかです。
リモージュの市場、強弱の変化にも敏感に反応していて、市場の賑わいも良く表現しています。
カタコンブ、チューバがしっかりと支えた響き。ドラも重い響きでとても良いです。
バーバ・ヤーガの小屋、速めのテンポで活発な動きで、色彩の変化も大きいです。凄い勢いで終わりました。
キエフの大きな門、同じオケでも「惑星」の時のようなトゥッティで詰まってしまうようなことは無く、伸びやかな響きです。

ラヴェルのオーケストレーションの色彩感を見事に表現しました。ライヴのキズはありましたが、それでもとても良い演奏だったと思います。
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サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

1990年サントリーホールライヴ
ショルティ★★★★☆
プロムナード、予想していた程鋭くないトランペット。弦は柔らかく分厚い響きです。最後は輝かしい見事な響きになりました。
こびと、奥行き感があって美しいフルート。軽々としかもブレンドされた厚みのある響きのトロンボーンとチューバ。怪しげな雰囲気も十分ありました。
プロムナード、ふくよかなホルン。とてもカラフルです。
古城、速めのテンポであまり哀愁を漂わせる演奏ではありません。
プロムナード、パリッとしたトランペット。
テュイルリーの庭、CDになった演奏よりもこなれているようでとても余裕があって自然に歌います。
ビドロ、ユーフォニアムのソロです。CDで聴くようなキンキンとした弦ではなく、とてもマイルドで柔らかい響きです。
プロムナード、
殻をつけたひなの踊り、繊細なヴァイオリン。
サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ、鋭いトランペット。弱々しさは感じません。かなり強い音です。
リモージュの市場、凄い精度の演奏で圧倒されます。
カタコンブ、充実した素晴らしい響きです。金管の圧倒的な響きも凄いです。
バーバ・ヤーガの小屋、トランペットがテヌートで演奏します。これはちょっと違和感があります。
キエフの大きな門、艶やかでブライトなトランペット。トゥッティの猛烈な響きはさすがにシカゴsoです。鳥肌が立つような見事な響きです。

ショルティが強い個性を出すことなく、ラヴェルのオーケストレーションを表現しました。シカゴsoのトゥッティのパワーの尋常ではない響きも感じることができました。ただ、バーバ・ヤーガの小屋のトランペットがテヌートで演奏した部分だけはいただけませんでした。
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投稿者: koji shimizu

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