ホルスト 組曲「惑星」2

たいこ叩きのホルスト 組曲「惑星」名盤試聴記

シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団

icon★★★★
火星、非常に軽い音の出だしです。あまり低音を伴っていないようなバランスです。反面、デュトワの録音に共通するシャープさがあります。
デュトワの録音に共通するバランスで、どこかで低音をカットしているような感じで、ほかのCDで聞くような、もやっとした響きは一切ありません。
ffの部分でもスッキリクリアな演奏ですが、やはり少し軽い。明晰で音が立っているので、気持ち良いです。
中間部は速めのテンポでねばるところはありません。
金星、この曲のようにマスの響きがない曲は低域をカットされていることに対する違和感はありません。ただ、高音域もものすごく伸びている感じではありませんので、弦の倍音を含んだ美しさはありません。ソロはどれも過不足無く上手いのですが、全体にすごく美しいと感動するような音色を聴かせてくれるわけではありません。
音の温度感が低くクールな演奏に聞こえます。宇宙空間の暗く凍てつくような様子は、この録音の温度感とマッチしていると思います。
水星、ちょっと素っ気無い感じがして、あまり面白く聞かせてはくれません。BGMのように流れて行きました。
木星、構築物としては、スタイリッシュでかっこいいです。とくにブラスのffを最高に気持ちよく聞けるように照準を合わせたような録音。これはこれで好きな人にはたまらないんだろうと思います。
しかし、イージーリスニングのようになってしまって、作品を聞き入るような聴き方の人には不満が残る演奏でしょう。
大音量でストレス解消には持って来いです。低域が薄いので、ご近所にもあまり迷惑がかからない!
土星、やはり、コントラバスのバランスが異常に絞られています。頂点へ向けて突き抜けてくることもなく、非常によく制御されていて、関心しますが、その分サプライズがありません。どこをとっても過不足無く、80点主義のような優等生的演奏のように私には感じられてしまいます。
天王星、冒頭のブラス、ティンパニは気持ち良いです。
海王星、・・・・・・・・・・・。

ズービン・メータ/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★
火星、静かな出だしです。コールレーニョのアタック音が立って聞こえます。奥行き感のある録音です。ffでもトロンボーンなどの中音域が厚く、太い音で鳴ります。低域もかなり下まで録音されているようです。
中間部はかなりテンポが遅いです。続く激しい5拍子もわりとふくよかな音で、強烈な印象では、ありません。ここからテンポの速い5拍子に移るまえにタメがあって面白い。
金星、細い音のホルンです。控えめな表現ではありますが、音楽をしている感じがあります。メータのニューヨーク時代は、だらしない演奏が多かったですが、この演奏は曲との相性も良いのか、引き込まれます。一本調子にならず、アゴーギクも効かせてなかなか良い演奏です。
水星、天使たちが戯れる様子が上手く表現されていて、メータの本来持っている多彩さを垣間見せてくれます。どうして、こんなに出来不出来の差があるようになったんだろう?
木星、派手な音作りではなく、むしろ渋目な音で、枯れた趣きがあります。アンサンブルも乱れることなく、安定しています。上手くツボを押さえた指揮で、さすがに十八番だなと思わせます。派手ではないけれど、かなり良い演奏の部類にはいると思います。ロスpo時代のハッタリの効いた演奏を期待すると裏切られますが、やはり、歳を重ねて、渋みも兼ね備えてきた演奏を味わうべきでしょう。
土星、テヌートで演奏されるフルートが独特です。息の長いフレーズ。トロンボーンのハイトーンも難なく目立たず、大人の土星を聞かせてくれます。でも、普通だと枯れた、そして、寒々とした雰囲気の演奏が多い中で、この演奏は暖色系で色彩が豊かな演奏です。
天王星、割と控えめなブラスとティンパニ。このCDはメータ/ニューヨークの残した演奏の中でも特に優れているCDの一つだと思います。パイプオルガンとオケの咆哮もなかなか良い!
海王星、ちょっと平板でオマケのような演奏・・・・・・。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

icon★★★★
火星、とても良いバランスでカッチリまとまっています。この録音もデュトワのCDと同じくどこかのもやっとするような周波数をカットしていると思いますが、デュトワのCDほど極端に削ぎ落としていないようで、違和感はあまりありません。
楽器の粒立ちも明瞭でスネアのロールも粒がきれいに録れています。
ブラスセクションが気持ちよく鳴ります。ティンパニは変にミュートされたような音で、ボコボコ言っています。スネアが近すぎるような感じです。
打楽器のバランスは録音時のセティングなどによってかなり違うものですが、このCDのスネアはどう考えても近すぎます。
金星、オーマンディのCD独特のマットな音です。マットでグラマラスなのがフィラデルフィア・サウンドなのかな?ホールトーンはあまり含まれず、楽器の生音を聞くような感じですが、ショルティ/シカゴsoのようなメタリックな音作りではないので、聴きやすい音です。小じんまりとまとまった演奏で、本当に小品と言うにふさわしい作りで、オーマンディは「惑星」を小品の集合体としてこの曲を捉えているのでしょうか?
水星、楽器の動きが手に取るようにわかる録音で、音楽を聴くよりも、オーディオ的な聴き方の方が向いているのかもしれません。残響成分が少なすぎて、音楽に浸るような感覚は残念ながらありません。
オケは上手い。ソロも見事ですが、名人芸と録音の良さを聴かされているようで、演奏に没入できません。
木星、ここでも、マットな音を聞かせるホルン。次から次から登場する名人芸には感服させられます。すごいオケです。しかし、録音が人工的すぎて自然な音楽を聴くのを邪魔しているように感じられてしかたがありません。名人芸を楽しむと割り切ればとても良いCDです。
マットでグラマラスなフィラデルフィアサウンド、極端なオンマイクで分析的なショルティ/シカゴso、低音のモヤモヤする帯域を思い切ってカットしてシャープで温度感の低い響きを作り出したデュトワ/モントリオールo、いずれも録音による操作であって、CDで聴く音がコンサートで響いているわけがないのです。多少そのような傾向はあったとしても、CDではかなり強調されています。これだけ強調することで、他のアーティストとは違ったカラーを明確に打ち出し、ファンを獲得することにもなっているのでしょうが、あまりにも行き過ぎると、アンチも出てくるわけで、さじ加減は難しいと思います。
このCDもフィラデルフィア・サウンドの極みだと思えるような音作りなので、一聴の価値はあるとは思いますが、あくまでも音を聞くものであって、音楽を楽しむCDではないと思います。
土星、マットな音が枯れた雰囲気を上手く表現していますが、逆にテンポが速めで、老いた老人が元気に行進するような変な感覚です。珍しく木管にミストーンが・・・・・。
ボールトのような壮大なスケール感や頂点へ向けての高揚感はありません。オケはものすごく上手いのですが、どうも小じんまりしていて、内へ内へと音がまとまっていく感じで、開放的に音が抜けてくるところがないので、スカッとしません。
天王星、気持ちよく鳴るブラスにバシッと決まるティンパニ!ここは気持ちが良い。左右に配置されたティンパニがミュートぎみでリズムがはっきり聞こえるので、面白い効果があります。
海王星、やはり、もっと豊かな響きがあって、横に揺れるような感じがあれば良いのですが、私には縦に揺れているような感じがして、とても神秘的には聞こえません。女声合唱も生々しすぎます。

オケは抜群に上手いし、悪い演奏ではないのですが、録音でかなり損をしているように私には思えてなりません。ちょっと残念な演奏でした。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディ★★★★
火星、コンパクトにまとまった響きで、ダイナミックレンジはあまり大きくありません。美しいユーフォニアム。クライマックスでも余裕のあるオケ。余裕の中で整った演奏をしています。
金星、引き締まったホルン。濃厚な色彩ではありませんが、淡く美しい色彩です。テンポの変化もあって表現は豊かです。
水星、鮮明ではありませんが、キラキラと宝石を散りばめたような美しさは感じ取れます。ティンパニは硬いマレットではっきりと入って来ます。
木星、ゆったりとしたテンポでがっちりとした堅固なアンサンブルです。ふくよかなホルン。明快に鳴る金管。この当時のフィラデルフィアoの充実度を感じることができます。中間部は朗々と歌います。堂々とした演奏でとても良いです。トロンボーンの細かいパッセージも見事です。
土星、とても静かに始まり、コントラバスが大きくクレッシェンドします。ビィツィカートから速めのテンポになり、スッキリと爽やかな演奏になります。大きな頂点ではありませんが、金管は明快に鳴ります。パイプオルガンが入るあたりから人生の黄昏を感じさせる演奏です。
天王星、アクセントのある金管。ティンパニも気持ちよく鳴ります。
海王星、表情豊かなフルート。遠くから漂うような女声合唱。遠近感があってとても良い雰囲気です。

とても豊かな表現で、オケも明快に鳴る演奏でとても良かったですが、録音の制限によるのか、レンジが少し狭く若干鮮度が低い感じがあったのが残念でした。
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ジョン・ウイリアムズ/ボストン・ポップス・オーケストラ

ウイリアムズ★★★★
火星、速めのテンポで軽いコル・レーニョ。少し腰高ですが、明快にオケを鳴らして鮮やかな色彩感です。さすがに映画音楽の大家だけに演出効果は抜群で作品の聞かせどころを明快に打ち出した派手な演奏です。
金星、筋肉質のホルン。コントラストがはっきりしていて聴いていて飽きさせない演奏です。
水星、滑らかに刺激無く動くオケ。角を落としてBGMのように心地良く流れて行きます。
木星、とても軽いタッチで、力こぶを感じさせるような部分は無く、サラサラと流れて行きます。中間部は少しテンポを落として感情を込めた歌になります。明快に塗り分けられた演出効果はさすがです。最後は絶叫し、長く音を伸ばして終わりました。
土星、一転してとても静かな演奏です。弦のクレッシェンドが遠くから迫って来るようで効果的でした。トロンボーンが入るとパーッと明るくなります。フルートの表現はとても豊かでした。
天王星、少し離れた所から響いて来るような金管。ゆっくり目に進みます。テンポの変化もありますが、響きが浅く編成が小さいように感じますが、強弱の振幅はとても大きいです。
海王星、とても静かにフルートの演奏が始まります。静かに遠くから響いて来る女声合唱。オケも合唱もとても音量を落としています。

強弱の振幅やコントラストのはっきりした演奏で、聞き手を飽きさせない演奏でした。作品を面白く聞かせてくれる手腕はさすがでした。
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クラシック名盤試聴記 ・ホルスト:組曲「惑星」名盤

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