ホルスト 組曲「惑星」3

たいこ叩きのホルスト 組曲「惑星」名盤試聴記

Maciej Tarnowski/ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団

Tarnowski★★★☆
火星、ブレンドされた響きですが、その中からキラキラとした色彩がにじみ出ます。トゥッティでも強力なエネルギーの放出はありません。
金星、柔らかい弦の中低域。渋く艶やかなヴァイオリン。オーボエがゆっくりと歌います。ゆっくりと濃厚に描かれて行きます。
水星、速めのテンポで鮮明で明快な表現です。
木星、とても色彩感豊かなのですが、トランペットとトロンボーンの前向きラッパだけがくすんだ響きです。ティンパニはリズムがはっきりと聞き取れます。中間部は柔らかく、音量の変化もあってなかなか良い演奏です。
土星、ゆっくり一歩一歩歩くようなテンポです。柔らかいコントラバス。音程が怪しいトロンボーン。頂点になってもトランペットよりもホルンの方が強力です。
天王星、フワーッとした金管。硬質でピシッと決まるティンパニ。この曲でもホルンが強力です。打楽器はなかなか良いです。
海王星、トロンボーンの音程は本当に怪しい。凍りつくような宇宙の果ての冷たさを表現するヴァイオリン。会場を包み込むような女声合唱。最後の音量を落として消えて行くところはとても良かったです。

トランペットやトロンボーンが突き抜けることはありませんでしたが、そのほかのパートは豊かな色彩感でした。ライヴならではのキズもありましたが、良かったです。
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ブラムウェル・トヴェイ/ニューヨーク・フィルハーモニック

トヴェイ★★★☆
火星、客席で録音したような感じです。コル・レーニョはほとんど聞えません。ティンパニがボンボンと鳴ります。offぎみの金管ですが、クライマックスのトロンボーンの強烈な響きはさすがです。小節の頭にアクセントを付けて演奏しています。
金星、筋肉質のホルンが遠くから響いて来ます。冷たく温度感の低い演奏です。
水星、速いテンポですが、細部はあまり良く分かりません。
木星、サラサラとした柔らかい弦。ホルンやトランペットは強く伸びやかに演奏しています。シンバルは強烈です。柔らかくうっとりするような中間部。まさに歌い上げる感じの演奏です。ライブらしい思い切ったテンポの動きもありとても良いです。
土星、密度の薄いフルート。椅子がきしむ音が聞えます。テヌートで演奏されるトランペット。トロンボーンが物凄い強奏です。チューブラベルは金属で叩いたような音です。弦や木管は色彩感が乏しいですが、トランペットとトロンボーンは凄いパワーです。
天王星、軽い金管とティンパニ。ゆっくりと始まるファゴット。ティンパニのリズムは明快です。この曲では金管の咆哮は他の曲ほどではありませんでした。
海王星、速めのテンポで生き生きとした表情です。チェレスタはあまり聞えません。遠くから柔らかい女声合唱。遠ざかって消えて行きます。

ライブの制約の中での録音で、バランスが悪いところもありましたが、ニューヨークpoのパワーの凄さは伝わって来ました。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
火星、大きくクレッシェンド、デクレッシェンドする冒頭。トゥッティのパワー感はさすがベルリンpoです。大きく歌う表現で積極的です。クライマックスでトロンボーンが飛び抜けてきたりせず、重心の低い重い響きです。
金星、細身のホルンのソロが冷たい宇宙を感じさせます。ヴァイオリンも細く繊細で美しいです。弦の合奏もとても美しい。宇宙の暗闇もとても良く表現しいます。
水星、速めのテンポですが、整然としています。とても美しい演奏です。
木星、一転して活動的な演奏になりました。大きくテンポを落とすところもありました。中間部の有名な旋律はテンポも速く少し雑な感じがしました。ダイミックです。
土星、この曲でも宇宙の暗闇の中にいる感じがあります。美しいトロンボーン。響きはドイツのオケらしい腰の重さがあります。突然強く入ってくるトランペット。トロンボーンも強烈です。もっと枯れた雰囲気があっても良いような気もしますが。パイプオルガンの重低音がずしりと響きます。
天王星、暖かい響きのブラスセクション。ゆっくりのティンパニ。やはり腰が重いです。金管などはもっとシャープに立ち上がって欲しいと思うのですが。こういった曲はやはりイギリスやアメリカのオケの方が合っているような気がします。
海王星、この曲も宇宙の暗さや凍てつくような寒さを感じさる演奏です。ハープが海王星から見える星を表しているようにきらめきます。遠くから響いてくるような女声合唱がはるかかなたの星を表現しているようです。
ヴァイオリンの繊細な美しさはありましたが、腰が重くシャープな立ち上が無く作品に合っていなかったように感じました。

サー・コリン・デイヴィス/ロンドン交響楽団

icon★★★
火星、ビート感のある5拍子です。楽器によってマイクからの距離がかなり違うような、ちょっと違和感を感じる録音です。中間部のテンポが遅くなる前の伸ばしがかなり長かった。
もやもやする低域がないので、とても聞きやすいです。ただ、5拍子を刻むスネアの大きさの割りに、他の金管が遠くにいるような感じがします。
速い部分とゆっくりな部分との対比が良い、ゆっくりな部分をかなりテンポを落としているのがライブだなあと感じさせてくれます。
金星、ゆったりと音楽に酔うことができる演奏でなかなか雰囲気があって良いです。
水星、
木星、そつなく上手いのですが、そもそもこの曲をライブで収録しなければいけなかったのか、私には疑問です。ライブを客席で聞く分には、いろんな効果があって良いと思うのですが、この曲の全体を通してライブの燃焼度がどうのこうの言う曲ではないと思うのですが・・・・・・。
それよりも、音響の構造物としての完成度の高さが問題なのではないかと思います。
だとすると、マイクセッティングに制約のあるライブよりもスタジオ録音の方が効果はあったのではないかと思うのは私だけでしょうか。
スタジオ録音のコストの問題もあったのでしょうが・・・・・・。
土星、トロンボーンのアンサンブルが綺麗です。とても遅いテンポで味わい深い演奏です。トランペットの強力な吹き伸ばしに対して、トロンボーンなどの下のブラスが負けています。
このあたりもライブならではかも知れませんね。
天王星、遠くで鳴るシンバルが美しい!なかなか白熱した演奏です。気持ちよく伸びるブラスのロングトーン!
海王星、木管の表情が豊かで弱音ながら動きがたくさん聞き取れます。女声合唱は舞台裏か?遥かかなたのイメージが良く出ています。

ジェイムズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団

icon★★☆
火星、コルレーニョの下を演奏している低域が重く厚い。ブラスセクションが気持ちいいくらいに思いっきり鳴りまくります。ちょっと雑に感じる部分はレヴァインが指揮した演奏には必ず付き物のようです。レヴァインの指揮に精緻なものを求めるのはムリなのでしょう。ユーフォニアムは美しいし、その後のトランペットも歯切れの良い演奏です。コントラバスも唸っています。トランペットとスネアが合いません。こんな単純なミスもそのままとは・・・・・。レヴァインが指揮をすると、どこのオケの演奏でも埃っぽい演奏になってしまうのも不思議です。
金星、オケは文句なく上手いのですが、レヴァインはf方向へは音楽を作りますが、p方向へは全然ダメだと思います。静寂感が全くない。静寂感に伴ったピーンと張った冷たい空気感がないのです。
水星、速いテンポ、厚みのあるオケ。特に表情が豊かなわけでもなく、上手いオケの名人芸が淡々と進んで行きます。活発に動くオケはなかなかです。
木星、私はレヴァインとの相性が悪いのか、なぜこの演奏がレコード・アカデミー賞を受賞する演奏なのか理解できません。金管が思いっきり鳴るのはショルティも同じですが、ショルティの演奏はしっかりと制御されているのですが、レヴァインは暴走しているような感じがします。オケが全く抑えることなく豪快に鳴り響くので、色彩感も濃厚なのですが・・・・。
トランペットのブレスもはっきり分かるし、オケのメンバーが指揮者を尊敬して、自分たちのできうる限りの演奏をしようとしているとは、到底思えません。
土星、ここも静寂感は無く、演奏しやすい音量で演奏しているように感じます。金管が伸びやかに鳴る部分は確かに爽快感があるのですが、静かな部分が騒々しいのです。
天王星、伸びやかな金管。マットで詰まったようなティンパニ。絶叫する金管のパワーには圧倒されます。
海王星、ここも騒々しくて、静寂感や張り詰めた冷たい空気感はありません。女声合唱は少し距離があって良い雰囲気です。

金管が豪快に鳴り響くところは爽快感があって良いのですが、弱音も同じように騒々しく静寂感がありません。
私は、レヴァインが世界の一流オケを指揮して、それなりの評価を得ていることが理解できません。
レヴァインがミュンヘンpoの音楽監督のポストを短期間で追われたのは分かるような気がします。チェリビダッケの考えすぎとも思えるくらいの精緻な音楽作りとは正反対。こんなに考えずに指揮をする人がミュンヘンの聴衆に理解されるはずがない。
ミュンヘンpoのメンバーにしてみれば、徹底したリハを要求するチェリダッケに辟易としていただろうから、何も言わないレヴァインは組みし易い相手であったのでしょう。
そういう意味では、ミュンヘンpoのメンバーにもナメられて迎い入れられたのだと思うし、そのことが聴衆の反発を買ったのではないかと想像しています。

Valeriy Platonov/ペルミオペラバレエ劇場管弦楽団

Platonov★★☆
火星、第一ヴァイオリンが4プルトしかなく、かなり編成が小さいので、弦に対して金管が強いです。粘っこい金管の表現。凶暴なトロンボーンの咆哮。5拍子のリズムを刻むトランペットも強いです。
金星、かなり強く入るホルン。艶やかで粘っこいヴァイオリン。編成が小さいこともあって、登場する管楽器がくっきりと浮かび上がり濃厚な色彩になっています。
水星、かなり速いテンポです。ちょっと寂しくなる所もありました。チェレスタはRolandで代用です。
木星、金管が伸ばす音を押すので、ちょっと下品に感じる部分もあります。テンポは大胆に変化します。中間部は速いテンポで少し雑な表現です。
土星、静かな中に旋律が浮かび上がります。音の始末が雑なところが散見されます。金管はかなり強く咆哮します。パイプオルガンは入っていないようです。
天王星、あっさりとした金管。タメが無いのでとてもあっさりとしています。
海王星、女声合唱はあまり距離が離れた感じではありません。

金管が強くて色彩感も濃厚な演奏でしたが、音の扱いが丁寧では無く、特に音の始末で雑な部分があったのが残念でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★
火星、波打つようなコル・レーニョ。旋律もとても豊かに歌います。ユーフォニアムとはかなり違うバリバリとした響き。とても良く歌う演奏ですが、録音の古さかダイナミックレンジはあまり広くありません。後のベルリンpoとの録音のようなボッテリとした重さはありません。
金星、まだこの作品が十分に知られていなかった時代の演奏なので、今聴くとかなり個性的な表現です。宇宙の暗く冷たい感じはあまりありません。
水星、かなり速めのテンポで活発な動きの演奏です。ティンパニはあまり強く演奏されず変化があまり表現されません。
木星、控えめで穏やかな演奏ですが、やはり表現は大きいです。速めのテンポでホルンは細い響きです。中間部の弦の旋律はとても豊かに歌います。最後も涼しげな響きでした。
土星、ピーンと張り詰めたような静寂感はありません。温度感もあまり低くありません。ここでもとても大きな表現で積極的です。コントラバスのピィツィカートが強調されたり古いマルチマイクの特徴が出ています。金管が絶叫するような大きな盛り上がりにはなりません。鐘がとても特徴のある薄い鉄板を叩いたような音です。
天王星、響きが薄い金管。ティンパニはウィーンpoの特徴のある音ですが、弱いです。オケは決して全開にはならず、薄い響きです。まだ、作品がこなれていないのか、少し奇妙な部分もあったりします。
海王星、速めのテンポで音量も大きめで始まります。芯が強い女声合唱。漂うようには現れません。少しザラザラとした響きです。

とても積極的な表現の演奏でしたが、作品がこなれていないのか、少し奇妙な演奏になっている部分もありました。
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レオポルド・ストコフスキー/ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

ストコフスキー★★
火星、録音年代が古いわりには、リアルなコル・レーニョ。カチッとしていて明快に鳴るオケ。速いテンポではつらつとしています。最後にドラのクレッシェンドがありました。
金星、あまり伸びやかではないホルン。木管は鮮明です。とても鮮度の高い木管ですが、他には特に個性は感じません。
水星、テンポの動きがあったりします。チェレスタがかなり大きく録られています。
木星、少し歪みっぽいですが、締りがあって鮮明な演奏です。タンブリンが入る部分は音を短めに演奏します。中間部はストレートでグイグイと前へ進みます。トランペットがザラザラした音です。
土星、かなりオンマイクで録られている木管。トロンボーンは伸びやかさがありません。速いテンポで進んでいると思ったら突然のブレーキでテンポが遅くなります。金管の上昇はかなり速いテンポで全く粘りません。その後また遅くなります。
天王星、乱暴な金管。速いテンポで攻撃的な印象の演奏です。テンポの動きや独特の表現もあります。
海王星、かなり弱く遠い女声合唱。

ストコフスキーの指揮なので、いろんなことをやってくるかと期待?しましたが、特に目立つことは火星の最後のドラのクレッシェンドぐらいで、後はテンポの動きや間を取らないところぐらいでした。表現もあまり積極的では無く、金管の乱暴な響きなどちょっと期待外れでした。
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Pablo Heras-Casado/デンマーク放送交響楽団

Casado★★
火星、静かに探るように始まりました。詰まったような浅い響きです。クライマックスでテンポを速めますが、トロンボーンは抑え気味で肩透かしです。とにかく奥行き感の無い浅い響きで、魅力がありません。
金星、ふくよかなホルン。色彩感豊かな木管。弦も美しく色彩感が豊かです。アゴーギクを効かせてたっぷりと歌うオーボエ。
水星、活発に弾む演奏ではありませんが、やはり色彩はとても良いです。フルートに独特の表現がありました。
木星、トゥッティになると飽和してしまうように音が詰まってしまう感じでマットな響きになってしまいます。中間部は広々とした空間をイメージさせる演奏でとても良いです。木管がとても生き生きとした表現です。
土星、美しいトロンボーン。トランペットもくっきりと浮かび上がります。ゆっくりとした歩みです。大きな盛り上がりにはなりません。音量を抑えている時はとても美しく濃厚なのですが、トゥッティになるととたんに詰まってしまって伸びやかさが無くなります。
天王星、硬く締まったティンパニ。短く音を切ったファゴット。シロフォンが少し慌てています。オケがスッキリと鳴りきることが無く開放感がありません。
海王星、やはり弱音では濃厚な色彩です。この演奏全体でアンサンブルの乱れは感度かありました。とても表情が豊かです。女声合唱も強めで存在感がありますが、表現力があってとても良いです。

弱音はとても濃厚な色彩で良かったのですが、トゥッティになるととたんに音が詰まったようになって伸びやかさが無くなります。何か開放されない抑圧感があってあまり気持ちよく聞くことが出来ませんでした。
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ネヴィル・マリナー/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

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マリナーといえば、アカデミー室内管弦楽団のイメージなので、このような編成の大きな曲をどのように演奏するのか、あまりイメージできません。
火星、落ち着いたテンポで、冒頭の5拍子の刻みにも強弱をつけて積極的な始まりです。この5拍子の強弱の変化がところどころにあり、旋律よりも5拍子の刻みを中心に音楽が作られているような感じです。
中間部でもティンパニのロールの強弱などもかなり強調されています。アンサンブルの乱れも散見されます。
逆に、旋律のブラスの爆発はありません。終始柔らかい音色で、ちょっと欲求不満になりそうな「火星」です。
金星、コンセルトヘボウの録音にすれば、あまり美しいホールトーンが聞かれない。普段はもっと艶やかで潤いのある響きだと思うのですが、この演奏ではあまり魅力が出ていないです。マリナーはこの大きな編成を掌握しきれていないような感じがします。
水星、速めのテンポです。なんとなく終わってしまった感じでした。
木星、音が短めです。安っぽい音のグロッケン。色彩感はとても豊かです。
土星、テンポ設定も含めて、私にはあまり共感できる演奏ではありません。
天王星、色彩感が豊かですが、やはり音の扱いなど、納得できないところが多いです。
海王星、ゆらゆらと漂うような感覚ではなく、縦乗りのようで、しっくりきません。ちょっと全曲を通して合わなかった感じは否めないです。

レナード・スラットキン/フィルハーモニア管弦楽団

スラットキン
火星、ゆったりとしたテンポですが、ねっとりとはしていません。爽やかな演奏です。イギリスのオケらしくユーフォニアムは美しいです。トゥッティはかなり抑えていて金管の爆発はありません。
金星、ふくよかなホルン。生気に溢れて生き生きとした木管。枯れた弦と色彩感豊かな木管が対照的です。テンポが自由に動いています。
水星、速いテンポですが、活発に動くようなエネルギーは感じません。
木星、ゆっくり目の演奏ですが、何か小さくまとまったような演奏で、スケール感がありません。中間部の弦も大事に置きに行ったような小さい演奏で、弓をいっぱいに使ったボウイングをしている感じがありません。
土星、とてもまとまりが良くて、飛びぬけてくる音は一切ありません。手堅くまとめている分、小さい演奏になってしまっていて、演奏に活気がありません。
天王星、とても軽い金管とティンパニ。スラットキンが何を主張したいのか全く分かりません。
海王星、透明感が高い木管。児童合唱は遠いです。

主張らしい主張の無い演奏で、小さくまとまったスケールの小さい演奏で、聞いているのが退屈でした。
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クラシック名盤試聴記 ・ホルスト:組曲「惑星」名盤

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