ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」4

たいこ叩きのストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」名盤試聴記

ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン/オランダ放送室内フィルハーモニー管弦楽団

ズヴェーデン★★★☆
第一部:大地礼賛
序奏、ショルティの演奏に比べるとかなりマイルドで溶け合った楽器。鋭いトランペット。少し静寂があってからファゴットが入りました。
春のきざし、あまり激しさは感じない弦。トランペットも抑えています。マルチマイクの克明な演奏に比べるととてもマイルドで平板な感じがします。金管はあまり強いエネルギーはありません。
誘拐、録音によるものなのかも知れませんが、あまり激しい咆哮は無く大人しい感じです。
春の踊り、ゆっくり目の弦。大暴れすることなく落ち着いて整った演奏です。
敵の都の人々の戯れ、オフな録音のためかも知れませんが、限界まで演奏するような必死な演奏ではありません。
賢者の行列、やはり冷静です。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、きれいなタンギングのトランペット。

第二部:いけにえ
序奏、丁寧に表現が付けられています。トゥッティの爆発はありませんでしたが、弱音の表現はなかなかです。
乙女たちの神秘なつどい、濃厚ではありませんが、色彩の変化がとても良いです。ヴァイオリンもホルンも美しい。ティンパニが目立つ11拍子。
いけにえの賛美、ブレンドされた響きなのですが、その分原色の濃厚な色彩はありません。
祖先の呼び出し、ティンパニはあまり強打しません。
祖先の儀式、静寂感のあるピイツィカート。ホルンの激しい咆哮。
いけにえの踊り、ブレンドされた響きはとても良いものです。ティンパニも硬めで強い音です。

ブレンドされた美しい響きでマイルドな演奏でした。オケは限界まで咆哮することは無く、落ち着いた演奏で、強烈な個性も感じませんでした。
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ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー/ロンドン交響楽団

icon★★★
一部、極めて常識的な出だし。ゆっくりな春の兆しです。予想したような爆演ではありません。全体的にゆっくりとしたテンポで音楽が進んで行きます。
金管の咆哮も録音のせいか控え目に響きます。整った演奏です。ロンドンsoはそつなく演奏しています。ロジェベンがオケに限界を要求するような場面はありませんでした。

二部、冒頭はあまり静寂間はありません。
淡々と音楽が進んで行きます。可も無く不可もなくというような演奏です。
11拍子はゆっくりでした。テンポが全体にゆったり目だった他は、そんなに特徴のある演奏ではないような感じがしました。

オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ドレスデン

icon★★★
第一部、すごく雰囲気のあるファゴットです。ゆったりとした弦のピチカート続く弦は一音一音克明に刻みます。作品にふさわしくエネルギッシュですが、折り目正しく端正な演奏はスゥイトナーらしいです。とてもアンサンブルが整っていて整然としています。しかし、ここぞと言う場面での咆哮はすさまじいものがあります。硬質なティンパニが響きにモヤモヤしたものを残さず演奏を引き締めています。

第二部、比較的大きめ極端に絞った印象のない音で開始しました。アルトフルートがホールの響く音がとても良い雰囲気です。11拍子の前のミュートしたホルンとトランペットはすごく弱く演奏しました。11拍子へ入る前に間を置きました。ティパニが刻むリズムがとても克明です。ここでもファゴットがとても良い響きです。

この時代にこれだけ整然とした演奏ができていたことに驚きます。

クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団

アバド★★★
第一部:大地礼賛
序奏、豊かな残響で柔らかいファゴット。バスクラが強調されることも無く、とても自然なバランスです。
春のきざし、左右いっぱいに広がる弦。ショルティの演奏ほど克明ではありませんが、楽器の動きは良く分かります。美しいホルン。トランペットは突き抜けて来ません。
誘拐、ここぞと言うところでエネルギーの爆発が無くて拍子抜けします。
春の踊り、ティンパニが柔らかい音でリズムがはっきりと聞えて来ません。
敵の都の人々の戯れ、ホルンやトランペットが膜を突き破ってくるように鮮明に響きます。すっきりと爽やかな響きです。
賢者の行列、ギロがはっきり聞えます。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、かなり強くは演奏していますが、限界近い咆哮はありません。

第二部:いけにえ
序奏、豊かで伸びやかで、緊張感はありません。
乙女たちの神秘なつどい、豊かに歌うビオラ。11拍子の前のドラが強く入りました。
いけにえの賛美、濃厚な色彩と強烈なトランペット。
祖先の呼び出し、大きなクレッシェンドはしないティンパニ。静かなファゴット。
祖先の儀式、速めのテンポで前へ前へと進みます。良く動いて豊かな表情です。強弱の振幅が大きいホルン。
いけにえの踊り、ティンパニが柔らかく、全体の印象をソフトにしているように感じます。

柔らかいティンパニが象徴するように全体に柔らかくふくよかな演奏で筋肉質で贅肉をそぎ落としたような精悍な演奏ではありませんでした。
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イゴール・マルケヴィッチ/日本フィルハーモニー交響楽団

マルケヴィチ★★☆
第一部:大地礼賛
序奏、Ebクラの登場あたりから少しテンポが遅くなっていますが、表現はあまりありません。デッド近いトランペット。
春のきざし、かなりデッドで薄い響きです。トランペットが不協和音でぶつかり合うのも良く分かります。大太鼓は強烈に叩きました。オケはかなり頑張っています。
誘拐、ベタッとした大太鼓。奥行き感があまり無く、楽器の動きは克明に分かります。
春の踊り、少し速めの弦。金管はかなり頑張っているようですが、デッドなので、響きがマットで輝きがありません。
敵の都の人々の戯れ、デッドなので、楽器の動きはとても良く分かるのですが、全体の響きが融合しないのと響きを伴った大きな感じが無いのが残念です。
賢者の行列、チューバがかなり強いです。ドラも強烈です。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、金管が吠えると弦が聞えなくなります。大太鼓が最後に大きくクレッシェンドしました。

第二部:いけにえ
序奏、冒頭からトランペットが聞えます。弱音部分は音が太らないので、細部まで克明です。
乙女たちの神秘なつどい、サラッとしていて艶やかさの無いビオラ。ピツィカートに入る手前で大きくテンポを落としました。硬い打撃の11拍子。
いけにえの賛美、デッドなので騒々しいです。
祖先の呼び出し、しっかりクレッシェンドするティンパニ。
祖先の儀式、速めのテンポでデッドな響きをカバーするような演奏。アルトフルートも速いテンポです。金管の短い音が残響が少ないので、とても短く「ヘ」をこいたような感じです。
いけにえの踊り、速いテンポですが、弦は引きずるように長い音で演奏します。ティンパニはとても良い音です。

オケはかなり頑張っていました。デッドな録音でかなり細部までさらけ出された演奏でしたが、あまりにもデッドで奥行き感の全く無い浅い音場感と残響が伴わないので、音が短く間が持たない感じもありました。
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シャルル・デュトワ/モントリオール管弦楽団

★★
序奏はすごく良い雰囲気なのですが、デュトワに荒れ狂うような演奏を求めるのはムリなのでしょうか。

第一部、とても雰囲気のある始動で、これから始まることを期待させる演奏です。色彩感豊かな音色です。
春のきざし、弾むように短めに演奏される弦。咆哮する金管。美しい音で鳴っています。
ふくよかなホルン、シャープなトランペット。なかなか良いのですが、デュトワの録音に共通する、低域のカットがなされているようで、低域が薄い感じがして、バランスが逆三角形に感じられて、腰高な印象になってしまいます。
オケは上手いのですが、都会的な春の祭典になっていて、洗練されすぎている印象です。泥臭さとは無縁の春の祭典です。
大変高度な演奏技術なのに、キンキンしていて、地鳴りのような底から湧き上がるようなエネルギーの爆発が感じられないのが、とても残念です。
すごく低い帯域まで録音はされているのですが、それよりも上の強いエネルギーを感じる部分が削がれているようで、魅力のない録音にしてしまっているようです。

第二部、弱音部分は良い雰囲気を持っています。静寂感もあるし。しかし、強奏の部分がシャープすぎる。これは、私の春の祭典に対する既成概念が強すぎるからかもしれません。
気持ちの良い音で決まるティンパニ!何も演奏には不足はないのですが、録り方が・・・・・・。
最後の部分でもティンパニと大太鼓が上手く組み合わさっているはずなのですが、大太鼓はほとんど聞こえません。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
1978年のライブ録音。

第一部、さすがに絶頂期のベルリン・フィル。どのパートもライブとは思えない上手さを見せつけます。
低域から深い響きの弦の刻み、ライブなので響きはデッドですが、その分楽器の動きが克明に表現されます。
カラヤンのスタジオ録音では有り得ないようなバストロンホーンの突出があったり、やはりライブは面白い!スピード感がすごくあります。テンポも速いのですが、それについて行く、ベルリン・フィルのメンバーの演奏のスピード感がとても良いです。
春のロンドではかなりテンポを落として、じっくり歌っています。やはりライブだと、こういったあたりの感情移入など、スタジオ録音では聞けない面を聴く事ができて、カラヤンも人間らしい演奏するんだなあと嬉しくなります。
カラヤンだから爆演にはなり得ないですが、それでも十分にオケを鳴らした気持ち良い演奏です。
あのスタジオ録音のよそ行き演奏は何だったのか。あれはひどすぎる。

第二部、艶やかなバイオリンのソロ。さすがです。11拍子はかなり遅い。
マルケヴィッチのライブのような余分な音を削ぎ落としたようなシャープさはありませんが、カラヤンらしく磨かれた演奏を聴かせてくれます。

これを聴いてしまうと、カラヤンの春の祭典に関しては、スタジオ録音は聞きたくなくなります。

ロリン・マゼール/バイエルン放送交響楽団

マゼール★★
第一部:大地礼賛
序奏、くっきりと浮かび上がるファゴット。残響が少ないのか少し寂しい感じがします。バスクラも強調されず自然です。トランペットはあまり強くありません。
春のきざし、これが自然なのかも知れませんが、柔らかく一音一音くっきりとはしない弦。ティンパニも軽く、ほとんど絶叫のような叫びはありません。とても落ち着いた演奏で静かです。ウィーンpoとの録音の引きずるような重さや濃厚さとは対照的な演奏です。
誘拐、ティンパニが凄く軽く叩きました。金管もとても軽いです。あまりにもおっとりした演奏で、作品の本来のイメージとはかなり違う演奏です。
春の踊り、音量は控えめで寂しい感じさえします。ティンパニは三つの音をはっきりと離して演奏しています。金管のポルタメントの部分で大きくテンポを落とします。
敵の都の人々の戯れ、テンポの動きがありますが、演奏はやはり軽いです。
賢者の行列、ホルンもチューバも遠くにいて近くでは鳴りません。トランペットなどは強く演奏しているようですが、音は迫って来ません。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、冷静で整ったアンサンブルです。とても静かです。

第二部:いけにえ
序奏、大太鼓が入っても軽いです。トランペットはかなり弱いです。
乙女たちの神秘なつどい、伸びやかに歌うビオラ。アルトフルートから少しテンポが速くなります。かなり締まったホルン。11拍子の前で間をあけました。11拍子はあまり重くありませんが、一つ一つしっかりとゆっくりと演奏しました。
いけにえの賛美、弦を中心に音楽が作られていて金管が飛びぬけて来るようなバランスにはなりません。
祖先の呼び出し、ゆっくりとしていますが、伸びやかではありません。
祖先の儀式、アルトフルートも遠くです。ホルンもそんなに強くはありません。
いけにえの踊り、遠いオケで、音があびせ掛けられるような演奏には全くなりません。マゼールも全く冷静に演奏している感じです。

咆哮とは程遠い演奏で、軽く冷静な演奏でした。演奏がそうだったのか、録音がそうだったのかは分かりませんが、このような演奏もありなのかも知れませんが「春の祭典」でストレスを発散したいような人には全く不向きな演奏でした。
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Olari Elts/エストニア国立交響楽団

Olari Elts★★
第一部:大地礼賛
序奏、クレッシェンドして入ったファゴット。楽器の出入りがはっきりしていて、動きが良く分かります。Ebクラはスタッカードぎみでした。トランペットはあまり強くありません。
春のきざし、勢いのある弦。トランペットが前に出てきます。危なっかしいホルン。金管の咆哮はありません。
誘拐、かなり控え目な金管。
春の踊り、硬いマレットで叩く大太鼓。
敵の都の人々の戯れ、ティンパニはあまり聞えません。ホルンも弱いです。木管がテヌートで演奏します。
賢者の行列、かなりの低域まで含んだ大太鼓。ここでもホルンは抑えています。大太鼓がズシんと響きます。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、鋭い響きのトランペット。最後、大太鼓が大きくクレッシェンドしました。

第二部:いけにえ
序奏、控えめな弦が繊細で美しいです。聞えないくらい弱いトランペット。弱音がとても味わい深いです。
乙女たちの神秘なつどい、細身ですが、とても柔らかいビオラ。弦がとても美しいです。弦のボウイングがはっきり聞える11拍子。
いけにえの賛美、荒れ狂うような咆哮も無く大人しい演奏です。
祖先の呼び出し、速めのテンポで軽く進みます。ファゴットはテヌートです。
祖先の儀式、速めで淡々と演奏されるアルトフルート。打楽器を含んだオケは凄いエネルギーですが、ホルンはそんなに強くありません。
いけにえの踊り、ここも軽い演奏でサラッと進みます。大太鼓だけが強烈です。

小さいミスは散見されましたが、全体には軽くサッと流したような演奏でした。大太鼓だけが強烈に入ってくるバランスも少し違和感がありました。
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