ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」5

たいこ叩きのストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」名盤試聴記

ヨエル・レヴィ/アトランタ交響楽団

レヴィ★☆
第一部:大地礼賛
序奏、あまり小細工の無いストレートな演奏です。整然としていて編成が大きくないような感じさえします。
春のきざし、やはりすっさきりとしていて小さくまとまった感じがあります。金管も咆哮はしません。
誘拐、過不足無く金管も鳴りますが、ただ楽譜通りに演奏している感じで、特徴がありません。
春の踊り、この指揮者の没個性は「復活」の演奏でも感じましたが、教科書通りの模範演奏のようで、面白みは全くありません。
敵の都の人々の戯れ、ティンパニは強いですが、他は常識的な範囲です。
賢者の行列、全て予想の範囲内で、ワクワクするような驚きはありません。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、最後は大きくクレッシェンドしました。

第二部:いけにえ
序奏、ここも特徴らしいものは無く普通に進みます。
乙女たちの神秘なつどい、淡々と、表現も無く進みます。かなりダイナミックな11拍子。
いけにえの賛美、速いテンポですが、オケは絶対に暴走はしません。常に常識的な範囲で、私には安全運転のように感じてしまいます。
祖先の呼び出し、ティンパニはかなりクレッシェンドしました。
祖先の儀式、ダイナミックに咆哮するホルン。大太鼓も重いです。
いけにえの踊り、かなり慌てたような速いテンポ。テンポは速いですが、やはり制御されて暴走は一切しない演奏です。

全く危なげない模範演奏のようなつまらない演奏でした。レヴィの個性などは全く感じませんでした。
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ピエール・ブーレーズ/クリーブランド管弦楽団

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第一部、雰囲気のある序奏です。美しい音で録音されています。
バランス感覚は良いのですが、ブーレーズも歳なのか、昔のような抉り出すような鋭さは影を潜めて、丸い演奏。ドラティよりは練られているけれど・・・・・・。
面白くないレベルはあまり変わらない。

第二部、なんとなく音楽が流れて行く感じで、春の祭典を聞いているとは思えないくらいです。
ここまで、過去の作品として演奏したことに価値があるのか。

私には、分かりませんでした。

アンタル・ドラティ/デトロイト交響楽団

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第一部、とても落ち着いた序奏。巨匠の風格と言うか、微動だにしない余裕が感じられます。
大人の演奏と言う感じで狂気のような部分は皆無です。とても安心して聴けるのですが、春の祭典には何かスリルのようなものを求めてしまうのは私だけでしょうか。
ゆっくりした足取りで堅実だし、手馴れているようです。
ドラティとしては十八番でもあり、演奏回数も多いのでしょう。とても落ち着いててい、スピード感がありません。金管楽器を絶叫させるようなこともありませんし、あまりにも意外性が無さ過ぎて、ちょっとつまらない。
むしろ、変に抑えられていて、開放感がありません。私などは単純に気持ちよく爆発してくれれば、それ以上は望まないのですが・・・・・(^ ^;
ドラティはこの演奏から何を伝えようとしているのか、私には全く分かりません。

第二部、ここでも特別なことは何も起こりません。テンポを速めても乗り遅れる打楽器。
ドラティは「春の祭典」を完全に過去の作品に追いやってしまったようです。しかし、ドラティ自身がこの作品を愛しているのだろうか?

全てが、中庸で危なげない。 面白くない。全然面白くない!

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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第一部、序奏、残響の少ないホールで速めのテンポで演奏されるファゴット。奥行き感があって、神秘的な雰囲気があります。
春のきざし、しっかりと刻まれる弦。ホルンは短く弱めです。とても整然としていて、泥臭さはありません。
誘拐、金管が咆哮するような強烈な表現はなく、カラヤンが絶対にオケを暴走させないように制御しているようです。
春の輪舞、この音楽の持つ凶暴さなどは一切出さずに、美しい演奏に終始しています。ベルリンpoも余裕で演奏しているように感じます。
敵の部族の遊戯、作品から距離を置いて、とても冷静に演奏しています。
長老の行進、ホルンは一人で演奏しているかのようにピッタリ合ったアンサンブルです。
長老の大地への口づけ、
大地の踊り、オケを爆発させることはなく、上品ですが、聴いていて熱くなるような演奏ではありません。

第二部、序奏、聴き手を引き付けるような静寂感はありません。あまりにも簡単に演奏していて、緊張感も感じません。
乙女の神秘的な踊り、アルトフルートも少し速めのテンポであっさりと演奏しました。美しい弦。
選ばれし生贄への賛美、オケはフルパワーではなく、とても軽い曲を聴いているような錯覚に陥ります。
祖先の召還、ティンパニのクレッシェンドも僅かでした。合間のファゴットもあっさりとしていました。
祖先の儀式、常に余力があり、必死に演奏しているような緊張感が感じられないのが不満になります。
生贄の踊り、ベルリンpoの分厚い響きも感じません。

ベルリンpoが余裕綽々で軽~く流して演奏したような、緊張感や必死さを感じない演奏で、ちょっと残念でした。

サー・サイモン・ラトル/バーミンガム市交響楽団

ラトル
第一部:大地礼賛
序奏、自然な音場感ですが、普通では聞えないクラリネットが聞えたりします。トランペットはかなり奥まっています。
春のきざし、割と静かな弦。浅いホルン。トランペットは奥で音が出てきません。ティンパニも優しいです。トゥッティでも音は引っ込んでいて強弱の変化に乏しいです。
誘拐、音量も抑え気味なのか、音場感も狭く箱庭を見ているような感じです。
春の踊り、平板で淡々と進んで行きます。ドラも軽い音です。金管は全く前に出てきません。
敵の都の人々の戯れ、遠くから響いて来るような金管。とても軽くてスケールが小さい演奏に感じます。
賢者の行列、ホルンは抑えられて、チューバの方が強いです。トゥッティでも全く金管が前に出てきません。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、響きからすると金管もかなり鳴っているようなのですが、録音が全く金管を捉えていないので、演奏が小さいです。

第二部:いけにえ
序奏、漂いながら寄せては返すように強弱が変化します。トランペットはとても弱いです。
乙女たちの神秘なつどい、細かく表現が付けられています。テンポも動いて生き生きとしています。ゆっくりと、弦のボウイングが良く聞える11拍子。
いけにえの賛美、重く引きずるようなテンポです。
祖先の呼び出し、かなりクレッシェンドするティンパニ。
祖先の儀式、淡々と演奏されるアルトフルート。金管が入るととたんに奥へ引っ込んでしまいダイナミックな演奏にはなりません。どうしてここまで抑えなければいけないのか分かりません。
いけにえの踊り、ゆっくりとしたテンポで金管を抑えたバランスはここでも一緒です。ティンパニも軽いです。チューバは強いのですが、トランペットは極端に抑えたバランスです。

トランペットを極端に抑えた録音のバランスで、野生の粗野な迫力などは全く伝わって来ませんでした。
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小澤 征爾/ボストン交響楽団

小澤
第一部:大地礼賛
序奏、速めのテンポでとてもあっさりとした演奏です。バスクラなどはほとんど聞えないくらいです。トランペットはチビッたような感じです。
春のきざし、かなり低い音も伴った弦。トロンボーンもチビッたような煮え切らない感じの演奏です。思い切りオケを鳴らさないので欲求不満になりそうです。
誘拐、速いテンポで金管を思い切り鳴らさない演奏で、煮え切りません。
春の踊り、Ebクラとバスクラのメロディはゆっくりでした。ピッコロが入る前に間がありました。
敵の都の人々の戯れ、テンポが速めで雑然とした感じになりました。
賢者の行列、大太鼓はとても軽いです。チューバがとても強いです。キューっと締まったトランペット。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、大太鼓が入る部分は弦が引きずるような演奏です。埃っぽいトランペット。

第二部:いけにえ
序奏、
乙女たちの神秘なつどい、カサカサしてあまり美しくないビオラ。ホルンがゆっくり目で明るく美しい演奏でした。ゆっくりと弦のボウイングがはっきり聞える11拍子。
いけにえの賛美、色彩感はあまり濃厚ではありません。ほとんど単色のような感じさえします。
祖先の呼び出し、あまりクレッシェンドしないティンパニ。
祖先の儀式、ゆっくりと確実な歩みです。ミュートしたトランペットはかなり抑えています。
いけにえの踊り、抑えたティンパニ。ここでも中途半端に金管を鳴らす部分があって、スッキリしません。

とてもユニークな演奏でしたが、チビッたような金管の煮え切らない演奏は理解できませんでした。
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ロリス・チェクナヴォリアン/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

チェクナヴォリアン
1977年の録音
第一部、ビリビリ言うバスクラ、あまり緊張感のある出だしではなかった。Ebクラはかなり強く表情豊かに演奏されたけれど、トランペットは控えめでした。
春のきざし、ホルンが異常に近くにいてバフバフ言っています。
不思議な感覚にさせられる微妙なテンポの動きがあって、一瞬トランス状態になったような錯覚を感じました。
場面の終わりで演奏が緩むことがあって、不思議な演奏です。チェクナヴォリアンの癖なのか、フレーズの終わりや場面の終わまで、気を抜かずに演奏していないので、ダレた印象があります。
春のロンドの弦楽器のアンサンブルが乱れます。何か全体的に緊張感の乏しい演奏に感じてしまうのですが・・・・・・。

第二部、打楽器の重いロールが闇を演出するのに非常に効果的です。ゆっくりとした足取りで演奏されますが、どうも緊張感がなくて、聞き手に迫ってくるものがない。
スコアを見ていないので、厳密なところは分かりませんが、かなりアンサンブルは乱れているように聞こえます。
爆演を組み合わせたCDですが、明らかにマータに軍配が上がります。
祖先の儀式のティンパニの音色も演奏になじまない、個人的にはもっと締まった音を望みたいです。アルトフルートのブレスもはっきり分かるし、どうなっているのでしょう?
ホルンは絶叫しますが、その他のパートがバラバラで、爆演なら何でも良いわけではない。
いけにえの踊り、リズムが流れてしまっていて、オケのメンバーが拍をしっかり感じていないようで、終始締まりの無い爆演だったなあ。

ジェームズ・レヴァイン/メトロポリタン・オーケストラ

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第一部、トランペットの音の処理が独特です。渇き気味の音で潤いがありません。
春のきざしからは激しい演奏なのですが、雑な感じを受けます。表情もつけているのですが、音の扱いが丁寧じゃない印象を受けます。
金管の咆哮も凄いし、ティンパニの強打もすごいのですが、おもちゃ箱をひっくり返したような雑然さがあるのはナゼでしょう?
大太鼓の重低音もなかなか良い音です。個々の楽器は良い音を出しているのですが、全体としての一体感が乏しい。いろんな表現を試しているのも評価できるし、いい加減な演奏をしているわけではないと思うのですが、乱暴に聞こえてしまいます。

第二部、なんとなく吹きやすい音量で吹いている感じで静寂感は全くと言って良いほどありません。
爆演と言うにふさわしい演奏です。指揮者のコントロール下にない爆演のような気がします。みんなやりたい放題!

ちょっと聞くに堪えない演奏でした。

ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディ
第一部:大地礼賛
序奏、モノラルで遠い音場感で、古臭い感じがします。バスクラはほとんど聞えません。トランペットも奥まっています。
春のきざし、かなり粗い弦。ホルンも歪んでいるようです。トランペットはとても軽いです。相当ザラついた響きで美しくありません。
誘拐、この曲でこれだけ古臭い録音は致命的です。
春の踊り、速いテンポであっさりと進む弦。続く木管やホルンもとてもあっさりとしています。ティンパニが入ってからも速いテンポでサラリと軽く進みます。
敵の都の人々の戯れ、ナローレンジでトランペットの高音も気持ちよく響きません。
賢者の行列、伸びやかさが無く、何かに押さえつけられているような感じがします。
大地へのくちづけ、
大地の踊り、最後はかなり必死な演奏になりました。

第二部:いけにえ
序奏、速いテンポでほとんどインテンポで進みます。
乙女たちの神秘なつどい、金属的なビオラ。ピツィカートからも速いテンポで弾むようです。凄く速いテンポで駆け抜けた11拍子。
いけにえの賛美、とにかく古臭い録音が何とも言えません。
祖先の呼び出し、かなり速いテンポです。スタッカートぎみに演奏するトランペット。とにかく速くて落ち着きがありません。
祖先の儀式、

いけにえの踊り、古いラジオから聞えてくるような音で、作品の巨大な編成などは全く伝わって来ません。現在聞くバランスとはかなり違う演奏です。
古臭い録音が致命的で、巨大な編成からの濃厚な色彩などは全く伝わって来ませんでした。
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