ベートーヴェン 交響曲第7番4

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第7番名盤試聴記

バリー・ワーズワース/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
一楽章、9番の指揮者よりもこの演奏の方が音の密度が高いです。響きがかなり高域寄りで厚みがありません。この高域がささくれ立ったような響きで、しっとりしません。
9番のような変わったことをすることはないので、安心感はあります。木管は美しいです。
リズムが少し甘いようなところが残念です。

二楽章、もう少し丁寧に音符を扱って欲しいです。

三楽章、ダイナミックです。かなり振幅があって良いです。ただ、餅つきのようなティンパニはいただけません。私にはこのオケのパウカーの音色に対する感覚が理解できません。

四楽章、ちょっと演奏が粗いのを除けばそんなに悪い演奏ではないのですが、ティンパニが曲の雰囲気を壊しているように思えてなりません。

朝比奈 隆/NHK交響楽団

icon★★
一楽章、これまで聴いてきた丁寧で自然体の音楽よりも、荒々しく生命感のある演奏です。
ダイナミックで新日本poとの演奏とは別人かと思えるほど違います。

二楽章、どうもこの演奏は技術と内面が乖離しているように感じてしまうのですが・・・・・・。
朝比奈がやりたかった音楽を通したのだろうか?私にはN響主導の演奏に聞こえてしまうのだが・・・・・・。

三楽章、強烈な金管の咆哮もあって、いつも聞きなれた朝比奈のイメージとはかなり違います。

四楽章、

宇野功芳/新星日本交響楽団

宇野★★
一楽章、遅めのテンポで始まりました。宇野の指揮なので、いろんな仕掛けがあるかと思っていましたが、第一主題の前までは普通の演奏です。第一主題も遅いテンポを維持しています。ちょっと間を持て余しているような感じがあります。突然のテンポダウン。そしてまた元のテンポになりました。また意味の分からないテンポダウンがあちこちであります。こんなに遅いベートーヴェンの7番は初めてです。

二楽章、この楽章も遅めのテンポを取っています。オケの集中力もあまり感じられない。表面だけが鳴っているようで、内面深く沈みこんでいくようなことはありません。

三楽章、この楽章は一般的な範囲のテンポ設定です。途中アッチェレランドもあり、大きくテンポを落として粘っこい表現もあります。このテンポを落とした部分で音楽が間延びしてしまって、演奏の一貫性を欠いてしまっているように思うのですが・・・・・。

四楽章、冒頭は間を空けてゆっくりの演奏でした。その後はすごく速いテンポの演奏です。テンポの変化が激しくてやはり演奏の一貫性を欠いていると思います。テンポの変化に伴って演奏の凄味が加われば良いのですが、オケの集中力の高さが伴っていないので、何となくテンポだけが動いていて、感情も一緒になっていない印象なのがとても残念です。いろんな仕掛けは面白かったです。

ルネ・レイボヴィツ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

レイボヴィツ★★
一楽章、僅かに金属的な響きがします。序奏は整然としています。速いテンポの第一主題。この当時このテンポでの演奏はかなり窮屈だったような雰囲気があります。せわしない感じで落ち着きません。コーダもドタバタした感じでした。

二楽章、この楽章はそんなに速くありません。遠くから次第に明確になる第一主題。淡々としていて、感情が込められているようには感じません。色彩感も淡泊で墨絵のようなモノトーンです。

三楽章、モヤーッとした響きで新鮮な雰囲気がありません。いつものような躍動感が感じられません。ズルズルと引きずる感じで弾みません。

四楽章、この楽章もどういうわけか、あまり躍動感が無く、色彩感にも乏しく、のっぺりとした表情で締りがありません。

いつものレイボヴィツの演奏のような引き締まった躍動感が無く、リズムも甘いような感じがありました。色彩感も乏しい演奏で、ちょっと残念でした。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★
一楽章、冒頭の4分音符でアンサンブルが乱れます。続く木管には緊張感が無く無表情です。独特の表情の第一主題。どっしりと構えた堂々とした進行です。思い切ってテンポを落とす部分もありました。大爆発することもなく自然体で終わりました。

二楽章、この楽章でも何かを強調することは無く、自然体で力みの無い演奏です。テンポは遅くずっとそこにとどまっているかのようなたたずまいです。クレンペラー自身が作品に共感していないのではないかとさえ思えてくる、感情移入の無さです。

三楽章、この楽章はテンポは遅いですが、重くはありません。最後はすごく遅くなりました。

四楽章、トランペットのタンタカタカが強く出ます。この楽章は遅く重いです。

何だか良く分からない演奏でした。全くと言って良いほど感情移入は無く、終始貫かれる自然体。作品に手を加えずそのまま演奏すれば、本質は伝わると言うことなのかもしれませんが、私には正直退屈でした。
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小沢征爾/サイトウ・キネン・オーケストラ

小沢征爾
一楽章、冒頭からダイナミックです。美しく流麗な演奏です。
端正な表現で、大げさな部分はありませんが、その分主張もあまり分からないような感じがします。

二楽章、美しい音で音楽は流れて行くのですが・・・・・・。きっと、細部の微妙な表現にも細心の注意を払って音楽を作っているのだと思うのですが、それがかえって大きな推進力やエネルギーの噴出を抑えてしまっているようで、何をしようとしているのか分からない。

三楽章、小沢の1970年代前半のライブはもの凄い勢いがあったと思うのですが、もうすでに枯れてきているのでしょうか。
本来であれば、現代の巨匠として、強烈な個性を主張して欲しい年代の指揮者たち(小沢、アバド、メータなど)が没個性で、巨匠不在の時代を招いてしまった。
この人たちは内面に燃え上がるような音楽は鳴り響いていないのだろうか。

四楽章、この演奏に生気が感じられません。

ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団

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一楽章、録音のせいか、コントラバスがモゴモゴ言っていてどのような動きをしているのか良く分かりません。
私は、ワルターとあまり相性が良くないのかもしれません。優しい音楽がとても良いと感じることもあるのですが、私はもう少し辛口の演奏を求めているようです。
金管は基本的に伸ばす音は強いまま保たずに、吹き終わりへ向けて音量を落として行きますので、とてもマイルドな演奏に聴こえます。

二楽章、ワルターのpには魅力を感じますがfにはあまり魅力を感じません。ただし、「英雄」のライブでは凄いスピード感のある演奏をしていましたので、この録音では本領発揮とはいかなかったのだと思います。

三楽章、トランペットがかなり抑えられているので、抑揚に乏しい音楽に感じられてしまいます。

四楽章、滑らかに音楽が流れて行って、引っかかるところがありません。

エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管弦楽団

アンセルメ
一楽章、遠慮なく伸びやかな木管。音が凝縮されず密度が薄いように感じます。木目が荒くささくれ立ったようなヴァイオリン。表現は積極的なのですが、録音の問題なのか、密度が薄く荒れた音にあまり魅力を感じません。

二楽章、盛大に吹かれる木管。ゆっくりと一音一音感情を込めるような第一主題。やはり、デッドで痛いようなヴァイオリンの響きはかなりキツイです。テンポも動かして大きな感情移入の表現もありますが、やはり響きの強さが災いします。

三楽章、音楽が拡散して行き、集まってくる感じがありません。バランスがいびつで木管がかなり強調されているようです。

四楽章、第一主題に向かうテンポの動きは不自然でした。コーダではかなりテンポを速めましたが、大きな盛り上がりにはなりませんでした。

録音された当時の技術ではバランスの取れた録音にするのは難しかったのかも知れません。かなりキツイ響きで密度も薄いものでした。深く感情を込めた部分もありましたが、総じて散漫な印象でした。
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ルイ・フレモー/シドニー交響楽団 1981年ライヴ

フレモー
一楽章、低音が膨らんでボヤーッとした響きです。目立った表現も無く進みます。トゥッティではかなりエネルギーが放出されているような感じはしますが、この録音からはあまり分かりません。

二楽章、あまり感情を込めることもなく淡々と音楽が進みます。

三楽章、ティンパニがボンボンと響きます。あまり躍動感も無く、ベターッとした感じでなんとなく過ぎていきますす。録音のレンジが狭くヴァイオリンなどの艶やかさもありません。

四楽章、冒頭から僅かにテンポを速めているようです。1940年代の録音を聞いているような鮮度の低さで、細部の表現などはほとんど分かりません。

録音が悪く、ただ演奏しただけにしか聞こえませんでした。
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