ベートーヴェン 交響曲第8番2

たいこ叩きのベートーヴェン 交響曲第8番名盤試聴記

デヴィッド・ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、表現が徹底しています。ジンマンの棒に敏感に反応かるオケの演奏が気持ちいい!
一つのフレーズの中にも多くの強弱の変化があって、長い間聞きなれた演奏とは全く違う演奏で、楽しいです。

二楽章、アクセントを極端に強く演奏するので、そのほかの音との対比が面白い。この楽章も速い。

三楽章、テンポが速い、ベートーヴェンの交響曲は1900年代に入ってから演奏様式を改変されたのか、作品本来の姿よりも重い演奏が定着してしまったのだろうか・・・・・。
ここで演奏されているのが、本来の姿だとすると、今まで聞いていた演奏は何だったまかと思えてくる。

四楽章、この楽章ももちろんテンポが速い。テンポが速いだけで素っ気無い演奏だと魅力もないのですが、この演奏は表現が濃密なので、聴いていて飽きません。

このテンポによく収めたと思えるほど濃い表現が詰まっています。

カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ベーム★★★★☆
一楽章、張りのある美しい響きです。深い彫琢です。スタジオ録音ですが、次第に熱気を帯びて来て熱くなって来ます。

二楽章、ゆったりとしていますが、一音一音丁寧な演奏です。木管の弱音が消え入るようで美しいです。

三楽章、血が通っている感じで生命感を感じさせます。ウィーンpoがベームのために一生懸命演奏しているように感じます。トリオのホルンはふくよかでとても美しいです。

四楽章、カチッと決まるところはしっかりと決まる感じで締りのある演奏です。

ウィーンpoの献身的な演奏で、締りもあるけれど、熱気も感じさせる演奏でなかなか良かったです。
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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー管弦楽団

朝比奈/大阪フィル★★★★
一楽章、優しい音です。少し腰が重い感じで、リズムの切れが今ひとつと感じるところもあります。
その分、音符の扱いが丁寧です。カラヤンの演奏のようにスパッと切れる感覚とはかなり違います。

二楽章、内声部を強く演奏しないので、響きの厚みはありませんが、響きの透明感があります。穏やかな演奏です。

三楽章、中庸なテンポで流れの良い演奏で、この全集の中では特別な印象です。

四楽章、ゆっくり幸福感いっぱいです。

ヨゼフ・クリップス/ロンドン交響楽団

icon★★★★
一楽章、すごく優雅な冒頭でした。こんな優雅な八番は初めて聞きました。
流れるようなスムーズな演奏です。角のない滑らかな演奏で安心感があります。
BGMとしても聴けるような、押し付けがましいところがありません。

二楽章、自然な流れの音楽です。

三楽章、こんなに穏やかな八番は初めてです。

四楽章、幸福に満ちた演奏でした。

オイゲン・ヨッフム/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

ヨッフム★★★★
一楽章、1969年の録音です。かなり高域が強調された録音です。録音のせいもあり華やかな冒頭です。テンポはそんなに速くは無いのですが、スピード感を感じさせる演奏で勢いがあります。強弱の振幅も大きく、編成も大きいように感じます。

二楽章、自然なテンポの動きもあります。

三楽章、最初少しゆっくりですぐに僅かにテンポを速めます。この楽章でも加速減速があります。自由にテンポが動いて楽しそうです。

四楽章、この楽章も一楽章同様、凄く速いテンポではありませんが、スピード感があります。この楽章も楽しそうでした。

スピード感があって、しかも楽しそうな演奏でした。ただ、高域が強調された録音が耳に付きました。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★★★
一楽章、ゆったりと優雅な演奏です。今となっては珍しい遅いテンポで弦や木管が舞うような雰囲気があります。テンポも結構動きます。他の曲では緩く感じることもありますが、この曲ではおおらかさになってとても良い雰囲気を作り出しています。

二楽章、この楽章も遅いテンポです。クレンペラーの指揮なので、感情を込めて歌うようなことはありませんが、作品のチャーミングなところや優しさが感じられます。

三楽章、トリオはふくよかなホルンがゆったりと演奏します。

四楽章、この楽章も凄く遅いテンポで、最近では聞いた事が無いほどの遅さです。同じリズムパターンの受け渡しがとても良く分かります。トゥッティでは巨大な響きも再現されます。

弱音の優雅さとトゥッティの巨大さが同居する演奏で、今となっては珍しい遅いテンポの演奏でしたが、これはこれで捨てがたいものがありました。
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コチシュ・ゾルターン/ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

ゾルターン★★★★
一楽章、ふくよかで柔らかい響きで、とても速いテンポです。あまりに速いテンポでオケの側にも表現する余裕が無いような感じで、表面をサラッと撫でているだけのように感じます。

二楽章、この楽章もかなり速いですが、ここでは表現する余裕があるのか、強弱や歌がありますし、テンポの動きもあります。

三楽章、の楽章も変わらず速いテンポです。トリオではチェロがガツガツと引っ掛けるような音で演奏しています。

四楽章、もの凄い速さです。このテンポでティンパニは演奏できるのでしょうか?一楽章ののっぺりとした表現に比べるとかなり表現は濃厚になって来ました。このテンポにオケも乗って活発な演奏になっています。ティンパニも見事に演奏しました。

もの凄いスピードで一気に演奏しました。これだけ速いテンポで演奏されると一種の爽快感があります。
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ズービン・メータ/イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

メータ★★★★
一楽章、鮮度が高くなまめかしい弦の響き。トゥッティではむしろ力を抜くような感じで、あまり強弱の変化を付けていないような感じです。

二楽章、特に誇張することなく自然な表現で、自然体で美しいベートーベンを演奏しています。テンポの動きもとても自然です。

三楽章、美しい響きで良く歌います。

四楽章、テンポはゆっくり目です。強弱の変化が控えめだったのは最初だけで、後からははっきりと強弱の変化を付けています。僅かに停滞するような感じもありましたが、そつなく終わりました。

強い主張はありませんでしたが、美しい響きで、自然体のバランスの良い演奏でした。
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エマニュエル・クリヴィヌ/ラ・シャンブル・フィルハーモニク

クリヴィヌ★★★★
一楽章、速いテンポでコンパクトにまとまっています。あまり極端に弱音を弱めません。木管が構造的にあまり弱音が演奏できないのか、割と大き目の音で演奏されています。ガット弦の鋭い響き。トランペットも鋭く抜けますがティンパニのクレッシェンドなども含めて盛り上がりはなかなかです。まて、アーティキュレーションにも厳密なようで、鋭く反応しています。

二楽章、この楽章も速めのテンポです。クリヴィヌの指揮はあまり間をとったりアゴーギクを効かせることは無く、ほとんどインテンポで進んでいます。

三楽章、この楽章はかなり速いです。強弱の変化にはかなり注意を払っているようです。ナチュラルホルンだと出しにくい音があるのでしょうか?ちょっと不安定になるところがあります。

四楽章、速いテンポです。ファゴットのオクターヴの跳躍がかなり目立ちます。弦の強弱の表現が厳格で、演奏に締りをもたらしています。あまり溶け合わない響きがかえって演奏を楽しい雰囲気にしています。最後は一旦音量を落としてクレッシェンドして終わりました。

弦が強弱の変化にかなり気を使った演奏のように感じました。それに対して木管はあまり強弱の変化を付けられないようで、表現の差が出来てしまいました。また、あまり溶け合わない響きが上品さを演出せず、むしろ楽しい雰囲気にさせていました。
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アルトゥーロ・トスカニーニ/ニューヨーク・フィルハーモニック

トスカニーニ★★★★
一楽章、すごいスクラッチノイズに紛れて遠目から響く音楽。ノイズに隠れてあまり細部までは分かりませんが、トスカニーニはしっかりとオケを掌握しているようで、アンサンブルも整っていますし、演奏も引き締まっています。

二楽章、ナローレンジでワウ・フラッターもありますが、音が大きく歪むことが無いので、聞きやすいです。音飛びもありました。切々と音楽を追い詰めるように盛り上がる部分などなかなか聞かせます。

三楽章、テンポは以外に動きます。テンポを僅かに落としてねちっこい表現もとても良いです。即物的と言われるトスカニーニですが、テンポの動きなどかなり表現主義のような部分も感じさせます。

四楽章、この当時としてはかなり速いテンポなのではないでしょうか。オケはしっかりとしたアンサンブルです。力強く前進する音楽でした。

録音状態はかなり悪かったですが、整ったアンサンブルと、テンポを少し動かして表現される音楽は時に切迫感であったり、深みに落ちるような表現であったりと多用でなかなか聞きごたえがありました。
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ベルナルド・ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1977年東京ライヴ

ハイティンク★★★★
一楽章、伸びはありませんが、艶やかな響きです。東京文化会館での演奏らしいですが、かなりデッドで、残響をほとんど感じません。響きが浅く奥行き感はほとんどありません。演奏はいたって真面目で誠実です。いつものことですが、集中度の高さには感心させられます。

二楽章、アーティキュレーションの変化にもとても敏感に反応するオケ。地に足の着いた着実な歌と表現です。

三楽章、トリオのホルンは柔らかく美しい。

四楽章、目立った表現はありませんが、オケを完全に掌握した見事なコントロールを効かせるハイティンクです。

いつもながらの中庸の表現。ガッチリとオケを掌握して細部まで抜群のコントロールでした。ハイティンクは目立った表現をしないので、響きの美しいホールで最良の録音で聞かないと良さはなかなか分かりませんね。
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