ブルックナー 交響曲第9番3

たいこ叩きのブルックナー 交響曲第9番名盤試聴記

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

ムラヴィンスキー★★★
1980年1月29、30日のライヴです。

一楽章、ムラヴィンスキーの演奏らしく凝縮した響きです。内側へぎゅっと凝縮していく響きで作品の陰影を強く表現する演奏です。トランペットなどは空気を突き破って向かって来るようにさえ感じます。神に捧げると言うよりは、人間の凄みさえ感じる演奏です。

二楽章、歯切れの良いブラスセクション。ドイツの演奏様式とは隔絶された世界でムラヴィンスキーの音楽は作られているようで、ドイツ、オーストリアのオーケストラで聞く演奏とは明らかに違います。強い存在感で迫ってきます。

三楽章、この楽章も一つ一つの音が強い存在感で鳴り響いています。低音域が薄いので、金管楽器が強く聞こえるのかもしれません。それにしても演奏が現実的過ぎて、神に捧げる音楽には程遠い。

カール・シューリヒト/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、もやの中から響くような神秘的な第一主題。川の流れのように朗々と歌われる第二主題。とてもゆったりと歌われるオーボエの第三主題。録音の古さのせいか、特に美しいという印象はありません。

二楽章、弦のピツィカートにも強弱の変化があり表情豊かです。トゥッティも一本調子にならず、表情があります。

三楽章、冒頭の9度上昇の後の2音ほどを短めに演奏しました。テンポは速いです。最初の頂点でトランペットの音型が詰まった感じです。何度か登場しますが、トランペットの詰まった感じがとても不自然です。激しい音楽の展開は上手く表現しています。もっと静かに消え入るように終って欲しかった。

あまりにも現実的過ぎる表現に少し抵抗がありました。

ロヴロ・フォン・マタチッチ/ウィーン交響楽団 1983年ライヴ

マタチッチ★★★
一楽章、冒頭からいきなり巨大なスケール感の演奏です。荒削りですが、広大な頂点です。とても人間味のある、体臭をも感じさせるような第二主題。展開部に入っての頂点では金管が奥まっていてくすんだ響きになっています。再現部は録音のせいか、とても柔らかい。コーダは速いテンポですが、やはり巨大なスケールです。

二楽章、一音一音丁寧な冒頭部分。歯切れの良く豪快にオケを鳴らすトゥッティ。トリオのテンポは速いです。

三楽章、分厚い響きに隠れるような頂点の金管。強く訴えかけて来るワーグナーチューバのコラールが感動的です。第二主題はとてもゆっくりとしていてとても柔らかく美しいです。全開にはならなかったクライマックス。天国を感じさせるコーダの終盤。

巨大なスケールを感じさせる部分や非常に美しい部分があったりもしましたが、荒削りで雑な感じも受けました。
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サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

icon★★
一楽章、温度感の低いホールの響きが清潔感を感じさせます。
いつもながらシカゴsoは抜群の鳴りで心地よい響きを聞かせてくれます。ただ、ショルティが指揮する音楽はいつもそのように感じるのですが、明晰であからさまに過ぎるような感じがします。
開けっぴろげで、あられもない恰好をさらけ出すような演奏は、ブルックナーの音楽とは水と油のような感じを受けてしまうのですが・・・・・。
響きに深みがないので、素朴で神格化したイメージとは遠く、ストリップでも見ているような品の無さを感じてしまうのは、私の感じ方の問題でしょうか。
ショルティとシカゴsoの録音はスピーカーよりも音が前へ出てきて、奥まったところに空間が広がらないのが、曲によっては凄く魅力的に聞こえる場合も多くあるのですが、ブルックナーの場合はもう少し奥まったところにある深みが表現されると良いと思うのですが・・・・・。

二楽章、あまりにも表面的に鳴り響く音楽になかなか入って行けません。

三楽章、神に奉げる音楽にはとても聞こえないです。
あまりにも現実的過ぎます。

私は、ショルティ/シカゴsoのサウンドは嫌いではありません。曲によっては凄く陶酔感を持たせてくれる場合もあります。
しかし、ブルックナーの演奏に関しては、とても聞いてはいられません。うるさい音です。

ヘルベルト・ブロムシュテット/グスタフ・マーラー・ューゲント管弦楽団

ブロムシュテット
一楽章、浅い響きでせっかちな第一主題。第二主題も速めのテンポであっさりとしています。第三主題に入ってようやくゆっくりとしたテンポになりました。若いオケですが、トゥッティの響きは充実していますし、弦も美しいですが、ブロムシュテットの指揮がとにかく速いです。再現部の前は少しゆっくりとなりましたが、あまり味わいの無い演奏でした。

二楽章、あまり強弱の振幅が大きくありません。速いテンポのトリオが素っ気ない感じです。

三楽章、この楽章も速いテンポで、ほとんど思い入れの無いような演奏に聞こえます。クライマックスでも壮絶さは無く、とても落ち着いた表現で、感情の振幅は感じられません。

終始速いテンポで素っ気ない演奏でした。この速いテンポでブロムシュテットは何を表現したかったのか分かりませんでした。
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