ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」3

たいこ叩きのブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」名盤試聴記

ベルナルド・ハイティンク/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、ウィーンpoらしく、ふくよかで柔らかい音色が印象的な始動です。
音楽の流れも自然でウィーンとはゆかりの深いブルックナーの作品を演奏するウィーンpoはとても堂に入った演奏をします。
ウィーンpoのブルックナーは誰が振っても、ウィーンpoのブルックナーだと思うのですが、いかがでしょうか。
指揮者の個性よりも、オケがほとんど音楽を作ってしまっていて、リハーサルで指揮者がどんなことを言おうが、本番では自分たちの音楽をしているような気がするのですが・・・・・。
そういう面では、元々強烈な個性を表出するタイプの指揮者ではないハイティンクとの組み合わせですから、安心して聴けます。
すごく美しい演奏で、ウィーンpoの少し古めかしい響きもぴったりです。

二楽章、この楽章も文句のつけようがないくらい美しい。ハイティンクも音楽の流れに身を任せるような自然体で、わざとらしいところが一切ありません。

三楽章、休符でホールに響く残響が減衰していくのも非常に美しく捉えられています。
また、オケのバランスもブルックナーの音楽の原点だったパイプオルガンを彷彿とさせるもので、トランペットが突出してキンキンするようなことも一切なく。まろやかで、しかも重圧な響きを作り出しています。

四楽章、この楽章も暴走することなく美しい演奏です。もう少し個性のある演奏をして欲しいような僅かな不満が残ります。
すばらしく美しい演奏なのですが、模範演奏のようなところで終わってしまったような感は否めないです。

ハイティンクの演奏はこんな感じになりがちで、もっと聞き込めば深い味わいがあるのかも知れません。

クラウス・テンシュテット/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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一楽章、細身で筋肉質なホルン・ソロ。次第に登りつめて雄大なブルックナー・リズムのトゥッティ。繊細な第二主題。豪快に鳴る第三主題。美しいクラリネット。構成するパートそれぞれが強い音で歌うコラールは見事な訴えでした。同じベルリンpoでもカラヤンの豪華絢爛な響きとは違い、とても簡素で締まりのある響きです。テンポは良く動いています。速いテンポでコーダに突入してほぼそのままのテンポで終わりました。

二楽章、田舎っぽい響きで、自然を感じさせます。分厚い低音をベースにピラミッド型のバランスが安定感のある響きを作っています。ダイナミックの幅がとても大きく、消え入るような静寂から巨大なトゥッティまでフルに活用して音楽表現しています。特に安定感のあるトゥッティはすばらしいです。

三楽章、速めのテンポで一気呵成に盛り上がりオケが鳴り響く。芯のしっかりした音で音楽が作られて行きます。この強い音にテンシュテットの信念を感じるような気がします。トリオの直前はかなり速いテンポになっていました。トリオでもピーンと張った緊張感があります。スケルツォ主部に戻るとまた速いテンポでせわしなく演奏されます。

四楽章、もの凄く力強いエネルギーに溢れた金管の第一主題です。第二主題も音に力があって、穏やかな雰囲気ではありません。第三主題も壮絶な金管の咆哮です。展開部に入ってもテンポが動いて緩急の変化があります。第一主題の展開も強烈でした。ロマンティックと言う副題とは対照的に音楽と格闘するような激しい音楽です。コーダのホルンが一時の安らぎでした。最後はテンポを落として輝かしい終結でした。

ロマンティックではありませんでした。かなり壮絶な演奏で、この曲の違った一面を見せてくれたような気がしました。

サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団

ショルティ★★★★
一楽章、筋肉質で弾力のあるホルンの第一主題。軽々と鳴るトゥッティ。トランペットがテヌートぎみです。リズミックな第二主題。第三主題も軽く鳴り響きます。弱音部では森の雰囲気があります。コラールも生き生きとした表現です。トゥッティがカラッとすっきり鳴り響き過ぎて、重量感がありませんが、これだけ軽々と鳴り響くと快感でもあります。コーダのホルンも豪快に鳴ります。

二楽章、深みのある主要主題。薄く細身の副主題。シャープで良く通るフルート。温かみのある弦楽合奏。弱音部分はとても美しく自然を感じさせてくれますが、クライマックスではやはり金管がビンビンと鳴り響き重厚さがありません。コーダはテンポを落としてしっとりと終わります。

三楽章、元気の良いトゥッティ。金管が明るく鳴り響きます。シカゴsoらしい勇ましい金管です。主部とは対照的な穏やかでのんびりとしたトリオ。主部が戻るとまた金管が爽快に鳴り渡ります。

四楽章、速いテンポでホルンが第一主題を暗示します。第二主題の前に第一楽章の第一主題が出る部分も心地よく鳴ります。第二主題はあまり表情を付けずにあっさりと演奏されます。全体を通して明るく陰影をほとんど感じさせない演奏です。大きな歌や表情は無く、作品を忠実にストレートに表現したものだと思いますが、ショルティとシカゴsoの演奏に共通する金管を思いっ切り鳴らすダイナミックな演奏の特徴が良く表れています。ただ、金管が鳴り過ぎて少しうるさい感じはあります。コーダのホルンのコラールは祈るように美しいものでした。

大きな歌や表情は無く、作品を忠実にストレートに表現したものだと思いますが、ショルティとシカゴsoの演奏に共通する金管を思いっ切り鳴らすダイナミックな演奏の特徴が良く表れています。ただ、金管が鳴り過ぎて少しうるさい感じはあります。
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ダニエル・ハーディング/ロンドン交響楽団

ハーディング★★★★
一楽章、ザワザワと弦のトレモロに乗って柔らかいホルンの第一主題。続く木管に合わせて弦が大きくクレッシェンドしました。意図的に強弱の変化を付けています。高域が強調された録音です。第一稿による演奏らしく普段聞く演奏とはかなり違います。全く別の曲のような違いです。コラールも高域によった響きで薄い響きでした。ただ、表現意欲は旺盛な演奏で、とても積極的に表現しています。とてもにぎやかなコーダでした。

二楽章、感情豊かに歌う主要主題。木管に受け継がれた主要主題も良く歌います。この第一稿は音楽としてのまとまりはあまりありませんが、ブルックナーの新しい音楽を生み出そうとする意欲はとても伝わって来ます。聞きなれた第二稿とは全くと言って良いほど違う曲です。

三楽章、冒頭から全く違います。少し高域に寄った録音が切れ味鋭い音になって聞こえてきます。この曲がどうやとって「狩りのスケルツォ」になって行くのか、全く関連が無いように思います。金管が強烈に吹くことは無く、清潔感があって爽やかです。

四楽章、第一主題は第二稿とほぼ同じ形で演奏されますが、そこまで至る過程は全く違います。第二主題は少し違う感じですが、全く違う音楽から聞き覚えのある旋律が聞こえてくると嬉しくなります。この作品はブルックナーが斬新な試みをいろいろ行った成果だと思います。完成度が低い作品だとは思いません。かなり意欲的な作品です。演奏はシャープでブルックナーの分厚い響きはありませんでしたが、これは第一稿によるものかも知れません。

第二稿とは全く違う作品でしたが、飽きることなく楽しく聞くことができました。演奏は音離れが良くシャープな演奏で表現意欲も旺盛なものでした。
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エミール・チャカロフ/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

チャカロフ★★★★
一楽章、くっきりと音の切り替わりもはっきりとしたホルンの第一主題。奥行き感があって壮大なトゥッティ。ストレートな第二主題。レニングラードpoらしい濃厚な色彩。トランペットが強めで、明るく華やかなコラール。第一主題の再現はとてもスケールが大きいです。

二楽章、速めのテンポですが、切々と歌う主要主題。副主題もくっきりと濃厚です。積極的に感情を込めた歌です。くっきりと濃厚な表現はとても良いです。

三楽章、残響を伴って奥行き感のあるホルン。一つ一つの表現に力があります。パリッと硬質な響きのブルックナーです。速いテンポで良く歌うトリオ。とても鮮明な音楽を提示して来ます。

四楽章、豪快に鳴り響く第一主題。シンバルも豪快に鳴ります。第一楽章の第一主題も同様です。深いところからとても強い力を放つ第二主題。展開部の第一主題などはロシア人のパワーが炸裂したような強烈な響きです。強烈な第一主題の再現の後に第二主題の再現になりましが、穏やかな安らぎ感は無く、緊張感が続きます。コーダのホルンのコラールは浅い響きでした。最後も第一楽章の第一主題を濃厚に印象付けるように音の動きをはっきりと演奏しました。

爆演と言って良い演奏だったと思います。ロシア人の体力に物を言わせて強烈なトゥッティでした。また、弱音部分でも常に力のある音で、大きな表現は無いものの強く印象付けられる演奏でした。ただ、一方的に押されている感じで引くところが無いのが今ひとつ一本調子になってしまった感じがあります。
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