ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」2

たいこ叩きのドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」名盤試聴記

ルドルフ・ケンペ/チユーリッヒ・トーンハレ管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、即興的なテンポの動きがあるようで、音楽的な演奏です。歌も心がこもったもので、聴きながら一緒に音楽ができるような良さを感じます。
金管が突出してこないので、とてもマイルドな響きで聴きやすい録音です。
ケンペとオケの一体感がすごく感じられる良い演奏です。

二楽章、暖かみのある音楽で、心が穏やかになります。強弱の変化や音楽の揺れに身を任せているのが心地よい演奏です。
決して攻撃的な部分がないので、どっぷりとケンペの音楽に浸っていられる安心感があります。

三楽章、録り方もあるのだと思いますが、厚い中低域の中に旋律がある感じがとても心地よい響きを作り出しています。ただ、ティンパニの音域ぐらいのところが膨らみすぎていて、かぶってくることがあるのが、唯一の難点です。

四楽章、金管の細かいパッセージが吹ききれていないところもあります。
この曲で一発だけのシンバルはクラッシュシンバルで演奏されました。この部分は楽譜にはシンバルとしか書いてなくて、クラッシュなのかサスペンドなのかは、指揮者や奏者の考えに頼ることになります。しかも強弱の指定がmfになっていて、周囲の雰囲気からするとmpの間違いじゃないのか?と思うぐらいのところです。
この演奏のシンバルは曲の雰囲気を壊さずに、しかも存在感もあるすばらしい一発でした。

私の尊敬する打楽器の先生も「あそこはクラッシュに決まっているでしょう!」と言っておられましたが、私はクラッシュで叩く勇気はありませんでした(^ ^;
終盤の畳み掛けるようなテンポもすばらしい。直後のクラリネットのソロはゆったりとして、そのあとも少しテンポが動いて、すごく音楽的で人間的な暖かみのある演奏でした。

ロリン・マゼール/ニューヨーク・フィルハーモニック

マゼール★★★★☆
一楽章、マイルドに溶け合った美しい序奏。音の最後をあまりしぼめずとても大きく恰幅の良い演奏です。テンポの動きもあり、ちょっと引っかかるような動きもありました。テンポを動かす表現は少し作為的な感じもあります。

二楽章、音を繋げた序奏。速めのテンポですが、たっぷりと歌う主題。中間部は息の長いクラリネット。弦も独特の表現です。かなりテンポを速めて個性的な表現です。それにしてもブレンドされた滑らかな響きの美しさ何とも言えないほどです。

三楽章、速めのテンポですが哀愁を感じさせる主要主題。ティンパニが深い響きでしかもバチンと決まります。一つ目のトリオを少し慌ただしい感じで落ち着きがありませんでした。二つ目のトリオはレガートで演奏されて滑らかな演奏です。

四楽章、アタッカで入り慌ただしい冒頭です。少し雑な感じがした第一主題。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。強いアタックはせず、レガートぎみの演奏で、カラヤンを髣髴とさせるような表現です。コーダでも大暴れすることは無く、充実したアンサンブルで終わりました。

ニューヨークpoと言うとギラギラとした原色の響きを連想しますが、とてもマイルドで充実した響きでした。マゼールの個性的な表現がちょっと作為的な感じもありましたが、良い演奏だったと思います。
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パーヴォ・ヤルヴィ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

ヤルヴィ★★★★☆
一楽章、とてもゆっくりと感情を込めて演奏される序奏。強烈なティンパニ。明晰でとても力強い演奏です。提示部の反復がありました。明るい響きで田舎臭さや哀愁はあまり感じさせません。明るく伸び伸びと鳴り響くトゥッティ。

二楽章、この楽章もゆっくりとしたテンポの序奏です。暖かく息の長い主要主題。とても安らかでこころが開放されるようです。清涼感のある響きですが、色彩感も豊かです。大きく暗転はしませんが、薄暗く少し温度が下がる中間部。オーボエが入る前にはテンポが止まりそうになりましたがクライマックスは一気に聞かせそして次第にテンポを落として再び主要主題とつながって行きます。このテンポの動きはとても自然で音楽にどっぷりと浸ることができます。

三楽章、生々しく生き生きとした主要主題。ザクザクと刻み付けるように鮮烈な演奏です。一つ目のトリオもとても動きが活発で、色んな楽器が活動的に動きます。楽しげに舞うような二つ目のトリオ。硬いマレットでバチーンと決まるティンパニ。とても爽快です。

四楽章、抑え気味で軽い第一主題。そのあと僅かにテンポが遅くなりました。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。最初、この部分のシンバルはサスペンド・シンバルじゃないと雰囲気を壊すと思っていましたが、こうやっていろんな演奏を聞くとクラッシュ・シンバルがとても良いと思うようになって来ました。コーダの盛り上がりは物凄く速いテンポでした。

とても大きくテンポが動いて聞き手の感情に寄り添うような演奏でしたが最後のコーダの盛り上がりはちょっと速すぎる感じがしました。明晰な響きと力強い演奏もとても良かったです。
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イシュトヴァン・ケルテス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、ふくよかで暖かい響きです。表情が生き生きしていてはつらつとした演奏です。
音楽に躍動感があって良い演奏です。

二楽章、とても繊細な表現です。細部まで神経が行き届いた演奏です。

三楽章、

四楽章、丁寧な演奏と適度な緊張感を伴った演奏でした。

オトマール・スイトナー/シュターツカペレ・ベルリン

icon★★★★
一楽章、祈りにも似た静かで丁寧な冒頭。清涼感があって爽やかな響きが印象的です。強弱の変化も音楽の流れに合わせてとても自然です。このシリーズ全体に共通するところですが、金管の位置が少し遠く、音色的には強くなっているのですが、実際の音量としては少し届いて来ない感じがあります。最後少しテンポを上げて終りました。

二楽章、羽毛で肌を撫でられるような繊細な表情の弦。積極的な表現で郷愁を感じさせる演奏です。

三楽章、かなり速いテンポです。西欧風の主題の音符の扱いが独特です。テヌートを多様した表現です。

四楽章、この楽章もかなり速いテンポです。ホルンとトランペットの第一主題に続く弦がテヌートぎみに演奏しました。シンバルはクラッシュシンバルです。続くクラリネットのソロや合いの手に入る弦の表情もとても豊かです。最後はすごくテンポを上げました。金管を咆哮させることもなくあっさりと水彩画のような演奏でした。

イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団

ケルテス★★★☆
一楽章、速めのテンポですが、寂しげで哀愁を感じさせる序奏。やはり速めのテンポですがふくよかなホルンによる第一主題。提示部の反復があります。

二楽章、速めのテンポであっさりと進む主題。中間部もあまり暗転しません。とてもあっさりとした表現で、大きな表現はありませんが作品の持っている美しい旋律をさりげなく伝えてくれます。

三楽章、この楽章も速めのテンポですが、ほの暗い感じはとても良く表現されています。一つ目のトリオは舞踊風で良く歌います。二つ目のトリオは音を繋げるような演奏で流れが良いです。

四楽章、咆哮は無く落ち着いた第一主題。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。美しく歌う第二主題。二楽章の序奏が回想される部分でも金管はかなり余裕を残しています。コーダも余裕のある演奏でした。

作品に深くのめり込まず、作品の持っている美しさを自然に表現した演奏でした。はじめの三つの楽章のテンポが速めであまり落ち着きが無かった感じでした。
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オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団

icon★★★
一楽章、予想外のテンポの動きや木管が裸になるような生々しさ。ボヘミアの哀愁などは全く感じさせません。

二楽章、何の思い入れも無いような演奏ですが、大きく捉えた設計があるのでしょうか?

三楽章、ゆったりとしたテンポで細部まで描き出そうとしているような演奏です。

他の演奏では、あまり聴けないパートの音も聞こえます。

四楽章、この楽章もゆったりしたテンポの演奏です。控え目な金管。木管や弦が強調されています。

力みの全くない演奏でした。

準・メルクル/NHK交響楽団

icon★★★
一楽章、ゆったりとしたテンポで細身の響きがします。ffでも控え目で爆発するようなことはありません。
寒色系の響きが印象的です。

二楽章、ボヘミアの雰囲気を伝えるような演奏ではなく、純粋に楽譜を音に替える仕事をしているような演奏です。
純粋に音楽をしているようで誠実さがひしひしと伝わってきます。

三楽章、純粋に音楽が進んで行きますが、あまりにも何も起こらないので、ちょっと不満にもなってきます。

四楽章、アゴーギクもほとんどなく、ねばっこい表現もないのであっさりとしていてBGM的に聴くには良い演奏だと思いますが聴き込むには、もっと音楽を深く理解しないとムリなようです。
ffでも濁ることなく美しい響きがすばらしい。

レオポルド・ストコフスキー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

icon★★★
一楽章、とても雰囲気のある序奏。強く音を割ったホルン。足もとが定まらず流されているような強奏部。第二主題のオーボエとフルートは歌が合わないので、オーボエが強くなったり弱くなったりします。リピートはなし。コーダでは、トランペットとホルンにトリルが入りました。

二楽章、とてもゆったりと歌われるイングリッシュホルンの主題。望郷の歌を感情を込めて見事に演奏しました。テンポも動いて望郷の表現はすばらしいです。トロンボーンは軽く吹いている感じでかなり余裕のあるトゥッティです。ゆったりとたっぷりとした表現の演奏はすばらしいものがありました。

三楽章、二回目のトリオは速めのテンポであまり表情もなくそっけない感じです。

四楽章、ゆっくりと始まりさらに第一主題の前で大きくritしました。シンバルはサスペンドシンバルでした。抑えた音量の中で歌うクラリネットの第二主題。第二楽章の主題が回想される前でも大きくritしました。その後テンポを速め、第一主題の再現の前でまた大きくritしました。テンポは自由に動いています。ただ、テンポの動きほど表現は大きく付けておらず、心に刻まれるような音楽にはなっていないように感じます。最後は急速にテンポを上げて終りました。

二楽章は感動的でしたが、一楽章コーダのトランペットやホルンのトリルや四楽章のテンポの大きな動きなど、ストコ節が聞かれましたが、表現として深く掘り下げた演奏には感じませんでした。

ズデニェク・コシュラー/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1976年大阪ライヴ

コシュラー★★★
一楽章、序奏から哀愁が漂います。ビブラートを掛けたホルン。かなりデッドな録音でオケが近いです。作品自体が美しい旋律を多く持っていることもありあまり大きな表現はありませんがテンポを速める部分が何度かあります。コーダもかなり速いテンポになりました。

二楽章、速いテンポであっさりと演奏されるイングリッシュホルンの主題。中間部も速めのテンポであまり暗転しませんが哀愁は感じさせます。さすがにお国物ということもあってツボはしっかりと押さえています。

三楽章、力強い主要主題。一つ目のトリオは木管が強すぎるようなきつい響きになります。音楽の起伏はかなり大きいです。

四楽章、第一主題はテンポが速く少しアンサンブルが雑な感じがします。シンバルはサスペンド・シンバルでした。第二主題に現れるチェロは柔らかく豊かです。かなり金管が激しく演奏します。

基本的には少し速めのテンポですが、正統な演奏でした。ただ、デッドな録音であまり美しい響きを聞くことができなかったのは残念です。
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カルロス・パイタ/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

パイタ★★★
一楽章、ゆっくりと非常に濃厚に歌う序奏。ホルンが長い余韻を残して演奏します。続く木管もとても良く歌います。リアルで強烈なティンパニ。一転して速めのテンポの第一主題。第二主題にはアクセントがあります。パイタのいつもの演奏のように金管が青筋たててしゃかりきに吹きまくるような演奏ではありません。テンポはかなり自由に動きます。

二楽章、とてもゆっくりと始まります。主題もゆっくり目で、感情が込められた歌です。アゴーギクもたっぷりと効かせて濃厚な歌です。弱音はとても静かです。中間部はあまり暗くなりませんが、ここでも大きな歌で訴えかけてきます。クライマックスもいつものパイタの演奏のような限界ギリギリの演奏では無く余裕のある美しい演奏です。感情のままに大きく動くテンポもこれはこれでなかなか良いです。

三楽章、かなり速いテンポです。一つ目のトリオも速いテンポで素っ気無い演奏で、落ち着きがありません。二つ目のトリオはまた豊かな歌になります。主部が戻ると少し滑っているような感じもします。

四楽章、パイタが改心したかのように余裕のある第一主題。その後は速いテンポです。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。かなり速いテンポでせわしない演奏です。再現部も速いテンポです。コーダは大きくテンポを落としてトゥッティに入ってその後大きく加速減速して終わりました。

一楽章、二楽章はゆっくりとしたテンポを基調にして、感情のままに大きくテンポが動くロマンティックな演奏でしたが、三楽章と四楽章は速いテンポで、素っ気無くせわしない演奏になってしまいました。
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小林 研一郎/日本フィルハーモニー管弦楽団

小林★★★
一楽章、濃厚に歌う序奏。低弦とティンパニの炸裂。歌に溢れた第一主題。熱血漢らしい濃厚で熱い演奏です。第二主題は少し速いテンポであっさりと演奏されます。繊細で細部までしっかりと捉えられた録音でとても美しいです。

二楽章、速めのテンポの主要主題ですが、哀愁は感じます。感情を盛り上げるようにテンポが動きます。大きく暗転しない中間部。切れ目なく切々と豊かに歌います。

三楽章、速いテンポの上さらに前のめりで畳み掛けるような主要主題。輝くような美しさの一つ目のトリオ。

四楽章、第一主題の後テヌートぎみに演奏する弦。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。情報量が多く豊かな演奏です。

ライヴでありながら細部の動きまで分かるような録音でした。演奏も濃厚で熱いものでしたが、あまり惹きつけられるようなところはありませんでした。
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カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1978年ザルツブルクライヴ

ベーム★★
一楽章、ゆっくりと味わいのある序奏です。重厚な低弦。ティンパニは軽いです。第一主題も第二主題もあまり哀愁を感じさせません。コーダはかなりテンポを速めて勢いのある演奏でした。

二楽章、細身であまり歌わないイングリッシュホルン。色彩感は濃厚ですが、いつものウィーンpoのような一体感がありません。中間部の木管は歌いますが、なぜか一体感はありません。

三楽章、一つ目のトリオで強弱の変化を大きく付けました。

四楽章、力強い第一主題ですが、少し荒い感じがします。シンバルはサスペンド・シンバルでした。第二主題も音のキメが荒くあまり美しくはありません。ドイツ物だと抜群の相性を示す組み合わせですが、ボヘミアの雰囲気とはどこか違う感じがして、しっくりきません。コーダはかなり激しい演奏でした。

哀愁を感じさせる演奏では無く、かなり荒れた響きで勢いのある演奏でした。あまりしっくりこない演奏でした。
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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団


一楽章、ふくよかな響きですが、少しアンサンブルの乱れがあります。テンポは遅めであまり動きません。

金管のffは力強いのですが、テンポが動かないので音楽の高揚感と金管のffが合わない感じがします。

二楽章、暖かい響きです。アンサンブルは悪いです。あまりにもケレン味のない演奏で、ストレートすぎるように感じます。

三楽章、どうしても安全運転に聞こえてしまいます。スリルや緊張感が伝わってこない。

四楽章、すごくゆっくりした出だしからアッチェレランドして主題に入りました。エチュードをやっているような、感情的な高揚感がありません。音楽に推進力も感じられません。

マンフレート・ホーネック/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

ホーネック
一楽章、静かで動きの無い序奏。速めのテンポの第一主題。あまり強弱の振幅は大きくありません。速いテンポを基調にしていて、ちょっとせわしない感じがあります。哀愁に浸るような余裕を与えてくれません。

二楽章、あっさりとした主要主題。中間部も速いテンポであっさりとしています。チェコpoの伝統的な哀愁に満ちた演奏とは縁遠い感じで、感傷的になることは全くありません。

三楽章、勢いのある主要主題。テンポも速いです。淡泊な一つ目のトリオ。テヌートで演奏される二つ目のトリオ。軽快に舞うような雰囲気が失われているような感じがします。

四楽章、第一主題もテヌートで演奏されるので、この曲の普通のイメージとは違います。シンバルはクラッシュ・シンバルでした。テンポが速く収まりが悪い感じです。テンポが速いのにテヌートなのが原因のようです。なぜテヌートなのか理解できません。

速いテンポで哀愁や感傷に浸るような演奏ではありませんでした。表現はとてもあっさりとしていて、テヌートを多用するので、とても違和感がありました。
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クラシック名盤試聴記 ・ドヴォルザーク:交響曲第8番名盤 ・トヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」名盤

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