マーラー 交響曲第2番「復活」11

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

オットー・クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団&合唱団

icon★★
翌年のライブで独特の境地を聞かせてくれたクレンペラー。
前年のスタジオ録音ではどんな演奏をするのでしょうか。

一楽章、ライブの時には拍子抜けさせられた冒頭部分だが、この録音では普通に緊張感と力を伴った演奏です。
あのライブとは全く別人のようなシャキッとした演奏に聞こえるのは、録音の違いなのか?
テンポの運びや誇張のない演奏はやはり、基本的な解釈は同じなのか?
金管の鳴らしっぷりなどはメリハリがあるけれど、基本的には翌年のライブと同一解釈のようです。
でも、ライブとは違うダイナミックさが魅力的な演奏になっています。

二楽章、以外に粘っこい。テンポを落とすところも遅くなるし、ffの部分でもかなり強めな感じで、この楽章の違う一面を見せられたようです。

三楽章、ここまでティンパニにはあまり強打させません。金管にはかなり吹かせているのですが、ティンパニの強打は、嫌いなのか?
やはり、ライブの演奏よりかなり粘っこい演奏です。あのライブはいったい何だったんだ?

四楽章、二楽章の粘っこさとは対照的に、あっさりした演奏。テンポも速い。クレンペラーはこの楽章にはあまり価値を見出していないのか?
独唱にもあまり感情移入させないように指示したような、欲求不満になりそうな演奏でした。

五楽章、この楽章はテンポがかなり動きます。クレンペラー自身、マーラーの交響曲の中でも好き嫌いがかなりあったようですが、この復活でも、楽章によって思いいれがかなりバラツキがあるのではいかと思えてくるのですが・・・・・・。
それぼど、作品に対する指揮者の立場が強かった時代の演奏ですね。デフォルメいっぱい、あまり気の乗らない楽章は、その気持ちをストレートに演奏に出してしまう。
サービス精神なんて、全くない。だからこそ、強い個性の主張があるのでしょう。
最近では、少なくなったタイプの演奏です。
最後は、ちょっとせっかちな終わり方で、ん~・・・・・・。

基本的に、タメがほとんどないので、素っ気無い演奏に聞こえてしまいました。

エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団

icon★★
一楽章、予想していたよりもデッドな録音。それでもブラスセクションの伸びのある響きはさすが。美しい音で録られています。堅実な足取りで音楽は進んでいく。しかし、音の密度と集中力は凄いものを感じます。
細部まで克明に録られていますが、それを強調することなく、自然に!聴こうと思えば細部も聴けるというように、押し付けてくるようなことは決してありません。音楽の運びとしては、自然体な感じですが、作品の本質を描き出そうとするような、細部にわたって細心の注意を払って演奏しているようです。オケにも余裕があり、決して暴走するような危うさは全くありません。極めて均整の取れた演奏だと思います。

二楽章、わりとゆっくりめの演奏です。でも、ほとんどねばることなく、あっさり。今まで聞いてきた中でいちばんあっさりとした演奏でした。

三楽章、抑制のきいた演奏で、弦楽器を中心に音楽が作られていて、金管がかぶってくることがありません。バランスやアンサンブルにもすごく配慮した異色の存在かもしれません。

四楽章、オケの音色や録音の良さにも影響されているのかもしれないが、清廉潔白で毒々しいところなど一切ない。

五楽章、冒頭も十分にオケは鳴っているのだが、余裕も十分。こんなに余分な力が抜けている復活も初めてだ!淡々と進んでいるんだが、何か不思議な力が働いているような何とも言えない特別な感覚。バンダはかなり近め。テンポも速め。ところどころで、インバルの唸り声も収録されている。
インバルは、この作品から距離をおいて、これまでの名演奏にもとらわれることなく、極めて冷静に「復活」を再構築したのだ。これまで聴いてきた演奏とは明らかに一線を画している。

聞き手の予想を見事に裏切るテンポ設定。オケのパワーは凄く、最後には、盛り上がるのだが、手に汗握るような高揚感ではない。
この大曲をクールにシャープにやってのけたインバル。復活の演奏史に一石を投じたことは間違いないだろう。

ユージン・オーマンディ クリーブランド管弦楽団

★★
セルが鍛え上げたクリーブランド管弦楽団をオーマンディが指揮した貴重なライブ録音。
セルがベルリンpoに客演したときのエピソードとして残っているのが、当時ベルリンpoの主席ホルン奏者のゲルト・ザイフェルトに対して「君の音はダレている」と言ったという。
あの豊かな響きのザイフェルトの音をけなしたセル。
そして、オーマンディと言えば、あの有名なフィラデルフィアサウンドと言われた豊麗なサウンド。セルが好んだ引き締まった音とは正反対の、ちょっとグラマーなサウンドを好んだオーマンディがクリーブランドとどんな演奏を繰り広げるか楽しみな一枚です。ただ、オーマンディにはメッセージ性の強い作品はあまり得意ではないような固定観念を私が持っているので、そのあたりもどうなるのか楽しみです。
チューニング音から開始します。そしてオーマンディが入場して拍手も録音されています。

一楽章、これはクリーブランドの音だ!室内楽のような小さい編成で演奏しているかのような錯覚さえしてしまうほど、デッドで締まった音です。速めのテンポで音楽は進んでいます。録音のせいかffで若干混濁するような音です。すごく古めかしい音をきいているような感じがします。
オーマンディの指揮はほとんどの部分で速めのテンポをとります。やはり、水と油なのでしょうか。どうもしっくりこないようで、オーマンディ好みのサウンドが作れていないので、オーマンディ自身の作品に対する集中力も散漫なような感じがします。

二楽章、淡々と音楽は進んで行くのですが、音符に対する執着があまりないような、少し雑な演奏です。表現も淡白、音も雑で聴いていて楽しめません。消化試合をしているかのような・・・・・・・。

三楽章、この楽章もテンポは速めです。あまり乗れていないです。空気が緩い。張り詰めたような緊張感とは程遠い空気です。録音のせいなのでしょうか。

四楽章、ここでも淡白な音楽が流れて行きます、この直前に聞いたのがアバド、シカゴsoの演奏だったので、細部まで磨き上げた演奏とはあまりに落差が大きいです。この独唱も聞かせどころもなく、天国的にもならずに終ってしまいました。

五楽章、間やタメも私の感覚にはなじまない。
最後は盛大に盛り上がった。

オーマンディはこのコンサートで何をしたかったのだろうか。残念ながら私には共感できる部分はほとんどありませんでした。

レオポルド・ストコフスキー ロンドン交響楽団

★★
ストコフスキーといえば、有名なチャイコフスキーの5番の終楽章の全休符をカットしてしまうなど、強烈なキャラクターの持ち主というイメージなのだが、この復活ではどんな演奏をするのでしょうか。楽しみです。

一楽章、フワッとした弦のトレモロと自然体の低弦からの開始。かなりゆっくりとした足取りです。ホルンのゲシュトップが長めに演奏されている。
予想していたより、ねばることもなく、極めて自然な音楽の流れです。しかし、これまで聴いてきたCDでは聞こえてこなかった音がたくさん聞こえてきます。
少しオフぎみに録られてる録音がかえってギスギスすることなく、スケール大きく感じさせてくれます。全体がまとまって、美しい演奏です。
終始、ゆっくりした足取りと思っていたら、急激なaccelがあって、また何も無かったかのように元のテンポに戻るあたりはさすがストコと唸らせてくれます。
同じロンドンsoのバーンスタインの演奏も非常にテンポの遅い演奏でしたしすばらしい演奏でしたが、このストコの演奏は老獪さが加わって、力みが無い分、オケのまとまりが良くて美しい。アンサンブルは時折乱れるのですが・・・・・。

二楽章、この楽章は中庸のテンポでの開始です。アンサンブルはよく乱れます。
最晩年のストコフスキーの指揮は分かりにくかったのでしょうか。

三楽章、冒頭からaccel、この楽章は少し速いテンポです。ここでもアンサンブルは乱れまくります。しかし、不思議な求心力がある演奏で、聴いている方は散漫にはなりません。チューバがかなり存在感を発揮しています。
何か「間」の取り方に独特なところがあるようで、その部分でアンサンブルが乱れるようです。

四楽章、この楽章も速いです。もう少しゆっくりと音楽を味わいたいと思うのですが・・・・・。
どんな意図があって、このテンポを採ったのか、ちょっと理解できませんでした。ファスベンダーも歌いにくそうにしていたように感じたのですが・・・・・・。

五楽章、ん?バンダがもしかしてステージ上に居るのでは・・・・・・・?ついにストコ節か?
それにしても乱れる。
金管のコラールも速い。もっと味わいたいのに、なんでこんなに?
どうなっているのかと思うほど、すごいアンサンブルの乱れです。通常のロンドンsoでは考えられない。
やはり、バンダはステージ上だと思う。こんなにリアルなバンダは初めて聴いた。

やってくれましたストコ先生!ステージ上のパートよりもバンダの音がでかいなんて、ありえない!!!!。こんなことを大真面目にやれるのは、あなたをおいて他にはいません。
なんか、いろいろやらかしているようだ、今度スコアを見ながら聴いてみよう(^ ^)

ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
一楽章、速いテンポの冒頭。第二主題も速目のテンポであっさりとした表現です。展開部から一般的なテンポに落ち着きました。それでも少し速目か?ここまで、特にねばることもなく淡々と音楽が進んで行きます。金管の咆哮もなくただ淡々と流れて行きます。展開部の後半はパウゼをしっかり取ったり、テンポも遅くなりました。再現部からはまた速いテンポの演奏です。あまりにもあっけらかんとしていて拍子抜けします。

二楽章、この楽章も速目のテンポで行進曲のようにさえ感じます。アゴーギクもほとんどありません。

三楽章、ルーテの音が強調されています。クラリネットの滑らかなソロ。余裕を持って演奏されるトランペット。ダイナミックレンジが狭く平板な演奏が次第に不満になってくる。

四楽章、美しいコラール。音楽に合わせて、少しタメがあったり少し急いだりするようなことはほとんどありません。あくまでもインテンポ。独唱もあっさりと演奏されました。

五楽章、めずらしく遅めのテンポの冒頭。金管のトランペット以外が録音のせいか、奥まっていて突き抜けてこないので、演奏のダイナミックさが伝わってこないのか・・・・。とても近いバンダのホルン。この曲は消え入るような静寂と爆発するような最強音の対比が一つの聞き物だと思うのですが、バンダがこれだけ近いと、消え入るような静寂感は期待できません。また、テュッティの一体感が無く、怒涛のようなマッシブなパワーが伝わってきません。打楽器のクレッシェンドもテンポが速くあっと言う間に終ってしまいました。合唱の出だしもほどほどの音量で始まりました。こちらがぐっと身を乗り出して聞き入るような緊張感が感じられません。合唱が入ってからはたっぷりと演奏されましたが、何か集中力が無く散漫な感じがしました。

スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団

icon★★
一楽章、速いテンポの第一主題。第二主題の前ではテンポが遅くなりました。アゴーギクを効かせて表情豊かな演奏です。ティンパニのクレッシェンドも強烈!テンポもすごく動きます。かなり劇的な表現です。弱音部分は独特の雰囲気があってなかなかロマンチックです。強奏部分で突き抜けてくるトランペット!再現部の直前で大きくrit。強烈に吹きまくるブラスセクション。音楽の振幅も広くなかなか面白い演奏です。最後はこねくり回すように遅いテンポの演奏でした。

二楽章、主題のところどころにアクセントがつけられていて、ちょっと落ち着きの無い演奏です。終始何かに追われているかのようにせかせかとした感じでした。

三楽章、速いテンポですが表情はとても豊かです。

四楽章、今まで聞いたことのないような明るい声質のメゾ・ソプラノ。発音もおかしい、ロシア訛りか?歌い回しも何かしっくりこない。

五楽章、やはり突き抜けて来るトランペット。他のパートはバランスが取れていますが、トランペットだけが浮いてしまう位強く演奏されます。バンダのホルンが異様に近い。ファゴット、クラリネット、フルートと引き継がれる旋律の陰でバンダのホルンが演奏する部分はすごくテンポが落ちて、バンダのホルンはほとんど聞こえないくらいでした。金管のコラールはバランスの良い演奏でした。展開部からは金管、打楽器大活躍です。打楽器のクレッシェンドの直後のトロンボーンも下品に吹きまくる。バンダのトランペットはミュートをしているようだ。極端に音量を落とすことなく歌い始める合唱。安っぽい音のトライアングル。突然合唱が音量を上げて、音を短めに演奏しました。普段聞き慣れている復活の演奏とはかなり違います。緊張感の無い合唱ですかなりアンサンブルが乱れます。二重唱がかなり強調されて浮き上がっていました。テンポもかなり遅いです。オケと合唱のアンサンブルも乱れます。最後もトランペットが強調されていました。全体に緊張感と統一感に欠けた演奏だったように思います。悪く言うと、支離滅裂!

ヘルベルト・ケーゲル ライプツィヒ放送交響楽団

icon★★
一楽章、第一主題にもちょっとした動きがあります。第二主題もテンポが動きました。テンポはすごく速くなったりすごく遅くなったり急展開します。展開部の第二主題は平板な印象でした。ふくよかさは無く細身のホルン。フルートの第二主題はちょっと変わった歌いまわしでした。展開部の終わりにかけてはかなりテンポが速くなりました。ティンパニの強打で他のパートが聞こえないくらいになります。再現部の第二主題はとても美しかった。テンポはすごく動いて積極的な表現をしようとしているようなのですが、何を意図しているのかちょっと分からない。

二楽章、とても落ち着いた雰囲気です。フルートのミス。これまでミスは散見されました。ライヴなのである程度はいたしかたないでしょう。途中アッチェレランドしたのですが、パートが変わるごとに急に早くなるような統一感のないアッチェレランドでした。速くなるところが速すぎて落ち着かない。ケーゲルは即興的にテンポを動かしているのか、オケのアンサンブルが崩れる場面もあります。

三楽章、硬く余韻のないティンパニ。ヴァイオリンも木管も歌います。金管の音量が不足しているのか、トランペットなども届いて来ません。ティンパニに完全に負けています。金管が詰まったように前に出てこないので、音楽の起伏に乏しく、平板な印象になります。

四楽章、とてもマイクに近い独唱。アルトらしい太い声です。最後まですごい存在感でした。

五楽章、硬いティンパニの上に初めて全開のトランペットが響きました。すごくナローレンジで古いラジオのようなバンダのホルン。良く歌う木管の第二主題。トロンボーンはビブラートを効かせていたが途中で音が途切れてしまいました。トロンボーンの一番だけが浮き上がるコラール。展開部ではかなり熱くなってきたような雰囲気が感じ取れます。ただ、ミスは頻発します。再現部もティンパニが威勢よく、トロンボーンが隠れ気味でした。静まってからのバンダが出てからは凄く速いテンポです。オケのマスの響きが硬く、編成が小さいように感じてしまい、スケール感に乏しい演奏になってしまっています。比較的大きめで入った合唱。そもそもこの演奏には消え入るような弱音の緊張感はありません。速いテンポでどんどん進んで行きます。最後は大絶叫でしたが、せっかちで集中力もあまり高くなく散漫な演奏だったように感じました。

ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★
一楽章、とてもシンプルな第一主題。ホルンのゲシュトップなども聞こえずとてもすっきりと整理された演奏に感じます。第二主題にもすんなりと入り、しかもテンポが速くあまり思いいれを感じさせません。テンポは動きますが基本的には速めのテンポで複雑に絡み合う要素もバッサリと切り捨てて演奏しているような感じがします。展開部の第二主題も速いテンポです。径の小さいシンバルがこの曲に不釣合いです。オケも熱くなることはなく、冷静に音楽が運ばれて行きます。ドラがほとんど聞こえない。聞こえてもとても軽い音であまり効果がありません。

二楽章、穏やかで伸びやかな旋律が幾重にも重なって広がって行きます。中間部も刺激的な事はなく、暖かく穏やかです。中間部の再現でもアクセントなども丸く角を落としたような演奏で極力刺激を避けているようです。

三楽章、ソフトなティンパニ。二楽章とは打って変わってとても表情の豊かな演奏で、木管や弦のアクセントの表現も厳しいです。でも全体にはソフトで暖かい演奏です。金管も限界近い強奏はしません。かなり余裕のある音量の範囲で柔らかさを保っています。編成の大きさの割りに小さいシンバルを使っているのがとても不自然で気になります。ルーテもほとんど聞こえませんでした。

四楽章、金管の間奏はテンポを速めました。独唱は太く柔らかい声です。中間部もテンポを速めてタメなどもなくあっさりと進みます。独唱は最後少し苦しそうでした。

五楽章、絶叫する第一主題。これまでの楽章とは様相が違うようです。距離はあるけれどあまり間接音を伴わないバンダのホルン。第二主題は非常に抑えた音量で静かに演奏されます。バンダのホルンの高音部分はトランペットで代用しました。金管のコラールは美しく歌いました。展開部もオケはかなり頑張っています。打楽器のクレッシェンドはすごく短くあっと言う間でちょっとあっけない感じでした。行進曲調になったところでトランペットがかなり強奏しますが、明らかに二人で演奏しているのが分かるようなアンサンブルです。バンダのトランペットはステージ裏にいます。「巨人」ではミュートで代用したのはなぜだったのでしょう。再現部でもかなりの絶叫です。舞台裏のトランペットも間接音が少ない録音で、奥行き感があまり感じられません。テンポが速めで間を取ることもほとんど無いので、表現がとても淡白に感じます。すごく抑えた合唱が次第に音量を上げて行き、独唱が入ります。合唱の合間に入るオケがとても太く存在感の大きい演奏です。合唱の部分でアッチェレランドをかける場面もありました。バランス的にはトランペットが強調されていて、トランペットが登場すると他のパートとのバランスが崩れてしまいます。

マーラーの複雑なオーケストレーションの細部をバッサリと切り落としてしまって、表現も淡白で、ワルターがこの作品に共感していたのか疑問に感じました。

アラン・ギルバート/ ニューヨーク・フィルハーモニック

アラン・ギルバート★★
一楽章、ドゥダメルの演奏に比べるとすごく人数が少ないようなコンパクトな響きの演奏です。きっちりと整ったアンサンブルですが、音楽が前に進むような力強さはありません。第二主題に入る前に少しテンポを落としましたが淡々と演奏される第二主題。展開部の第二主題はさらにテンポを落として演奏されましたが、音は短めに演奏されていて、メロディのイメージとは合わない表現でした。陰鬱な雰囲気が全体を支配しています。フルートの第二主題はとても良く歌いました。浅い響きのホルン。展開部が終って拍手が起こります。ギルバートの指揮は、特に作品への共感を表すような演奏でも無く。かと言って作品の構造をあからさまにするような演奏でも無く、中途半端な印象を受けました。

二楽章、速めのテンポであっさりと演奏される主題。テンポも大きく動くことはありません。中間部でも他のパートとは違い朗々と歌うフルート。トランペットやトロンボーンに比べると極端に奥行き感の乏しいホルンが異質に聞こえます。二楽章が終って拍手です。

三楽章、あまり強打しないティンパニ。強弱の変化などの表現は控え目です。鋭いトランペットの強奏。強奏部分ではニューヨークpoのパワーが炸裂しますが、弱奏部分の表現が乏しく緩い演奏に感じます。

四楽章、穏やかな歌い始め。この演奏同様、あまり感情が込められていない独唱。最後まで控え目でした。

五楽章、軽く演奏された第一主題。打楽器のクレッシェンドも控え目でした。残響をあまり含まないバンダのホルン。木管の第二主題は僅かにスタッカート気味です。良く歌う金管のコラール。展開部の手前で少しテンポを落としました。テンポの動きもあまり無く、起伏も大きくはありません。表現の濃厚さもありませんし、響きも浅く音楽が少し平板な感じがします。ゆっくりとしたテンポの再現部。比較的大きめの音量で歌い始める合唱。最初のソプラノ独唱が入る部分では合唱を抑えて浮き上がらせましたが、合唱とのハーモニーが聞き取れませんでした。合唱の合い間に入るオケの演奏に流れが無く音楽が停滞しているようです。クライマックスでは充実した響きを聴かせてくれました。

感情移入もあまり感じられず、音楽の起伏にも乏しい演奏で、ちょっと残念な演奏でした。
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オトマール・スゥイトナー シュターツカペレ・ベルリン

スゥイトナー★★
一楽章、ためたエネルギーを放出するように勢いを付けて開始したトレモロ。エネルギー感のある第一主題。スゥイトナーの演奏らしく、透明感の高い、端正な演奏です。弦もとても美しい。とても堅実な足取りです。展開部の第二主題もあっさりと端正です。作為的な部分は全く無く、作品自体に語らせるような演奏スタイルです。細身で艶やかなヴァイオリン・ソロ。展開部の第一主題の後はかなりテンポを速めています。時折テンポを落とす場面もありますが、そこはスゥイトナー、決してドロドロにはならず品良く冷静な演奏をしています。再現部はゆったりとしたテンポで美しく歌います。まるで、この世の未練を表現しているような非常に美しい演奏です。コーダもゆっくりと進みます。最後は早くなって終わりました。

二楽章、速めのテンポであっさりと演奏しています。作品をこねくり回すようなことは一切しません。とてもストレートな表現の演奏です。繊細で美しい弦。

三楽章、軽いティンパニ。極端な強弱は付けずに、すんなりと流れていく主題。控え目で奥ゆかしい表現です。作品に対して構えることもなく、これ見よがしに金管を咆哮させることもなく、自然体でとても落ち着いた演奏を続けています。

四楽章、陰影を伴った独唱。遠くから響くような金管のコラール。

五楽章、整然とした第一主題。かなり近くて音量も大きいバンダのホルン。速めのテンポで演奏される第二主題。トロンボーンも遠く美しい。金管のコラールも遠くから響くような控え目な表現です。展開部でも絶叫することはなく、とてもバランスの良い演奏です。打楽器のクレッシェンドも短くあっさりとしていました。間接音を含んで豊かな響きのトランペットのバンダ。比較的大きめの音量で始まった合唱。合唱から浮かび上がる独唱も飛びぬけたバランスにはならず、合唱の響きから僅かに顔を出す程度でした。オケと若干ズレる男声合唱。最後のクライマックスも圧倒的な音量感は無く、バランスと美しさを重視した演奏のようです。

真面目、正直な演奏で、ちょっと退屈でした。
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ヴァシリス・クリストプロス/アテネ国立管弦楽団

★★
一楽章、低域が薄い第一主題。第二主題も速めのテンポであっさりと進みます。展開部の第二主題はテンポを落としましたが、感情を込めると言う表現ではありません。再現部の前も軽い感じでした。とてもあっさりと淡々と進む音楽です。

二楽章、この楽章も速いテンポで、どんどん進みます。速いテンポをさらに煽ります。こんなにテンポが速くあっさりした演奏は初めてです。

三楽章、この楽章は速くありません。表情は付けられていますが、強弱の変化も中途半端で、迫ってきません。アンサンブルの乱れもあります。また、細部の曖昧な部分もあります。表現はしていますが、音に力が無くとても淡白に聞こえます。

四楽章、この楽章も速めのテンポで、深く感情を込めることはありません。独唱の声質も浅いです。

五楽章、金管の第一主題が強く、他のパートはあまり聞こえません。打楽器のクレッシェンドも弱かったです。大きめの音量のバンダのホルン。あっさりとした第二主題。バンダのホルンの最高音はトランペットで補強されていました。壮大な展開部。打楽器のクレッシェンドの前のトランペットは不安定でした。再現部の前のバンダの部分も速かった。合唱の入りも思いいれの無いかのように速いテンポであっさりとしています。ちょっと癖のあるソプラノ独唱。クライマックスも速いテンポです。オケのパワーもそんなに無く、あまり感動もありませんでした。

とても淡々とした速いテンポで、思い入れも無い演奏で、オケの響きにも取り立てて美しいものも感じられない演奏で、あまり惹かれるところはありませんでした。
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ウィン・モリス/シンフォニア・オブ・ロンドン

モリス★★
一楽章、すっきりとしていてバネのある第一主題。鋭角な響きで第二主題も感情移入も無くストレートに音楽が進んで行きます。低弦の三連符は速いテンポで始まり次第にテンポを落として行きました。展開部の第二主題もあっさりとしていて特に美しい響きではありません。第二主題がフルートに出る前はゆっくりなテンポになりましたがやはり感情が込められた感じはありません。第一主題が出てから大きくテンポを落とし再現部まで続きます。モリスの演奏は8番と9番でも思ったのですが、必然性が無く遅い気がします。再現部からコーダにかけても遅いです。

二楽章、この楽章は遅くありません。自然なテンポで進みますが、やはり感情を込めた歌はありません。最後の主部の再現のピツィカートもゆっくり始まってその後少しテンポを上げました。大きな表現や仕掛けは無いのでサラッと聞き流すことはできますが、作品の性格からして、このような演奏で良いのか、ちょっと疑問になります。最後もすごく遅くなりました。

三楽章、ソフトなティンパニ。この楽章も遅めのテンポです。中間部のトランペットはスッキリとした爽やかな響きです。テンポが遅めな以外は作品をストレートに表現していて聞きやすい演奏ではあります。シンフォニア・オブ・ロンドンと言うオケの実態も分かりませんが、聞いている分にはなかなか上手いです。

四楽章、響きが薄い金管のコラール。

五楽章、ドラが鳴ってから間を置いて金管が入ります。この金管の主題もとても遅いです。距離はありますが、残響をほとんど含まないバンダのホルン。ここから少しテンポは速くなり普通のテンポになります。第二主題も普通のテンポですが、やはり感情移入のあるような表現はありません。展開部の直前のクレッシェンドでスネアのロールを一旦止めてまた入り直します。展開部もゆったりとしていて、絶叫もしません。極端に遅い部分はありますが、演奏自体は整っています。再現部冒頭もかなり余力を残した演奏です。比較的大きめに入る合唱。テンポはここまでの演奏に比べると速めです。最初の独唱が入ってしばらくするとホルンがマルカートぎみに強めに入ります。合唱は次第に音量を上げます。クライマックスはここまでたびたび遅いテンポを取ってきたのに、以外にあっさりとした速めのテンポです。

極端な遅いテンポを取る部分もあったりしましたが、特に大きな表現があったりはしませんでした。最後のクライマックスきその遅いテンポで濃密な演奏を期待しましたが、以外にも速めのテンポであっさりとした演奏で、何を表現したかったのか分かりませんでした。
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ジャン=クロード・カサドシュ/リール国立管弦楽団

カサドシュ★★
一楽章、ソフトな弦のトレモロ。第一主題も落ち着いた割と穏やかな演奏です。音楽はあまり大きな起伏が無く平板な感じです。第二主題もほとんど表情が無くあっさりとした演奏でした。展開部の第二主題は提示部よりも少し表情がありましたが、音色は大きな変化はありませんでした。フルートに第二主題が出る前のミュートをしたトランペットでかなりゆっくりになりました。それにしても厚みの無い響きです。再現部の前のリズムはとても軽い感じでした。最後はゆっくりでした。

二楽章、ゆっくり目ですが、やはりほとんど表情の無い主題。中間部もあまり大きな表現は無く淡々と流れて行きます。遅めのテンポで作品の美しさを聞かせようとしているようですが、オケがとても美しい演奏をしている訳ではないので、今ひとつ魅力を感じません。

三楽章、速めのテンポですが、滑らかな感じはありません。強弱の変化も緩く締まった感じもありません。アンサンブルも緩くバラバラになりそうなところもありますが、大きな主張が無い分サラッと聞き流すことはできます。この楽章はテンポの動きは結構あります。

四楽章、offぎみで少し痩せた声質の独唱。

五楽章、あまり印象に残らない第一主題。音量が大きめのバンダのホルン。第二主題は少し感情が込められていました。明るい音質のトロンボーン。暗い音質のトランペット。大きく歌う金管のコラール。展開部は僅かに抑えた感じで、シンバルが小節を間違っています。金管のブレスで音が途切れることもあります。再現部も全開ではありません。その後の弱音部分でもアンサンブルは怪しいです。こもった響きのバンダのトランペット。静かに歌い始める合唱。オケと合唱のバランスを保っているようでオケは絶対に全開にはなりません。

かなり軽い演奏でした。表現を押し付けることも無く、全開にもならない演奏で、イヤみはありませんでしたが、アンサンブルの乱れは結構ありました。
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