マーラー 交響曲第2番「復活」13

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

小澤征爾 ボストン交響楽団


小澤征爾と私の相性が悪いのか、小澤のCDを聴いて感動したことがないのです。

日本を代表する巨匠であるのに・・・・・・・。

私にとっては、肩透かしの連続で、意外性を求める人には良いかもしれませんが、それが納得できるかは、個別の感性なので、何とも言えません。

小澤独特の感性があるのだと思うのですが、私にはどうもしっくりこないのです。

小澤には他の人にはない感性があって、それはもしかしたら日本的な歌いまわしや間の取り方だったりしているのかも知れません。

そして、それは日本人よりも欧米人にとって斬新な音楽に感じるのかも知れません。

独特の復活であることは間違いないので、感性が合う人には、すばらしい演奏なのではないかと思います。

ロリン・マゼール クリーブランド管弦楽団

マゼール
一楽章、客席で録られたものか、かなりoffな感じで客席のノイズがリアルです。
比較的遅めのテンポでしっくりと音楽が進んで行きます。ffの部分では強烈に歪みます。
音楽自体は淡々と進んでいる感じで、マゼールらしいアクの強い演奏は今のところ感じません。
ライブらしく、次第に音楽に熱気を感じるようになってきました。マゼールらしい大げさなritなどもあります。

二楽章、マゼールの演奏なので、コテコテの演奏を想像していたのですが、かなり洗練された音楽です。
ただ、録音が悪いので細かいニュアンスなどは分かりにくいし、音色も良いのか悪いのか判断できません。

三楽章、マイクはひざの上にでもあるのだろうか?
服がマイクに触れるような音や何かがマイクの前にあって音を遮断するような場面もありで、音楽に集中できない。
ffでは完全に歪んでいるので、5楽章が心配です。
音楽がどうのこうのと言えるような録音ではありません。

四楽章、速めのテンポ。独唱の思い入れのない出だしにはがっかりさせられます。

五楽章、打楽器の一撃に録音機材が負けています。冒頭からすごい歪みです。
この録音でマゼールの音楽を評価するのはマゼールに対して失礼だと思います。
レビューとして、このCDの購入を考えている人への判断材料として、★はつけますが、このCDに関しては、演奏よりも録音に対する評価だと思ってください。
音楽を判断できるような録音ではないです。
ただ、マゼールの指揮は大見栄を切るところもないし、大きな仕掛けもありません。とても純粋な音楽のように感じます。
金管も良い音みたいだし、合唱も壮大なクライマックスを築いているようなのですが、とにかく録音が良くなったり悪くなったりするので・・・・・・・。

最後はすごくクリアーな音になりました。なんで最初からこの音で録ってくれなかったのかと悔やまれます。

井上喜惟 シャパン・グスタフ・マーラー・オーケストラ

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一楽章、アマチュア・オケですが、なかなかの始まりです。アンサンブルの乱れは多少あります。個々の練習量の差なのか、テンポに付いていけないパートがあったりして、統一感に欠く演奏です。フルートやヴァイオリンのソロは上手かったです。展開部以降はすごくテンポを落として演奏しました。井上の指揮はテンポを大きく動かして劇的な表現をしようとしていますがアマチュアの限界か、ffで突き抜けてくるような金管の爆発がありません。

二楽章、ゆったりとしたテンポで始まりました。弦が揃わない。大勢で演奏しているのが如実に分かる演奏です。

三楽章、この楽章も遅めのテンポです。途中テンポが速くなったりもしますが、アンサンブルの乱れが気になり、音楽を聴いている感覚ではありません。テンポの動きからすると井上が表現したいことはたくさんあるのだと思いますが、オケが付いていけないのが残念なところです。

四楽章、すごく遅い開始です。すごく表情豊かな独唱ですが、合いの手に入る金管が無表情でバランスも悪く違和感があります。

五楽章、金管が弱いしアンサンブルの乱れも大きい。ホルンのバンダも複数で吹いているのが分かるし、表現も変でした。アマチュア・オケなので、練習時間にも制約があるのは当然ですが、この演奏は明らかに練習不足だと思います。バンダのトランペットは良かった。合唱は表情豊かです。合唱が入ってからの終盤はなかなか良かったですが、この演奏は出演したメンバーの内々で楽しむCDで、市販されるべきではないと思いました。

リボル・ペシェク/チェコ・ナショナル交響楽団

ペシェク
一楽章、あまりスピード感の無い第一主題。バランス良く控え目な金管。第二主題へもテンポを変えずすんなり入りました。低弦の三連符を含むリズムも速いテンポであっさりと進みます。展開部の第二主題はテンポを落として美しい響きでした。続く木管も美しい演奏です。深く感情移入することはなく、テンポもほとんど動きません。再現部の前も音を短めに演奏してあっさりと終りました。感情を吐露するわけでもなく、かといって明晰な演奏でも無い感じで、中途半端な印象でした。

二楽章、この楽章も速いテンポであっさりと進みます。アゴーギクを効かせて歌うこともありません。テンポはほとんどインテンポです。楽譜の指示があるところだけテンポが動きます。最後のAで少しテンポを落としましたが、これだけ無表情の演奏もめずらしい。基本的に楽譜に書いてある以上のことはしない指揮者としてはハイティンクなども同じ部類に入るのかもしれませんが、ハイティンクの場合は奥の深さやスケールの大きさがあります。しかし、このペシェクの場合、奥の深さやスケール感などは感じません。

三楽章、良い鳴りのティンパニ。この楽章も速いテンポで主題に入る前にさらにテンポを煽るように上げました。金管の強奏部分で音を短めに演奏するのが特徴といえば特徴です。全てが、これまでに聴いてきた演奏の範囲内で、想定外は起こりません。また、オケの音色もとりたてて美しいわけでも無いので、この演奏の魅力を探すのが難しいです。

四楽章、あっさりとそっけない独唱。金管のコラールはトランペットが浮き上がって颯爽としています。透明感の高い美しい独唱です。

五楽章、深いところから響くドラ。やはり音は短めの金管の第一主題。元気の良いバンダのホルン。節度のある演奏と言えば良いのか、決して踏み外さない安全運転です。第二主題のトロンボーン、トランペットはビブラートをかけた独特のものでした。切迫感のあるような踏み込んだ表現はありません。展開部の金管も音は短めです。ピーンと張るような緊張感もありません。生ぬるい空気が漂っているような感じがします。金管が咆哮することもありません。程ほどの吹きやすい音量で演奏しているような感じです。静かに始まった合唱。装飾音符があるような独特のソプラノ独唱でした。合唱はかなりの音量で歌いましたがオケはそこそこの音量で、限界近くの叫びではありませんでした。

ペシェクはこの演奏で何を表現したかったのか、私にはさっぱり分かりませんでした。
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ハンス・フォンク/ハーグ・レジデンティ管弦楽団

フォンク
一楽章、軽いタッチの弦のトレモロ。第一主題も軽い演奏で、編成があまり大きくないような印象を受けます。第二主題もあっさりとした表現です。展開部の第二主題は繊細で美しい演奏でした。高域方向のレンジが狭いのか、鋭い響きは無く、丸い響きです。あまり深い表現をすることは無く、そつなくまとめている感じの演奏です。

二楽章、サラッとして爽やかな主題です。深い歌も無く、テンポも変化することは無く、とてもあっさりとしています。

三楽章、クラリネットが生き生きとした表現をしました。中間部の金管の強奏部分も熱くなるようなことはありません。とてもさらりと過ぎて行きます。ソフトなティンパニ。演奏にピーン張った緊張感を感じません。

四楽章、細身で生の声に近い独唱。これまでの楽章と違って、とても感情のこもった注意深い歌唱です。

五楽章、やはりあまり編成が大きくないような感じがする第一主題。遠くて良い雰囲気のバンダのホルン。抑揚の無い第二主題。展開部は少し熱い演奏になってきました。再現部冒頭も速いテンポであっさりとしています。非常に遠くから響くトランペットのバンダはとても良い感じです。清涼感のある合唱。くっきりと浮き上がるソプラノ独唱。独唱と合唱の和音もきれいに決まります。力強い男声合唱。クライマックスは合唱の強力なエネルギー感で壮大でした。

ほとんど無表情で淡々と進む音楽に違和感を感じました。しかし、最後は合唱のエネルギーに引っ張られるように壮大なクライマックスを築きました。ただ、表現としては特筆することは無く、ただ演奏しただけと言う印象は拭えません。
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Frederic Chaslin/エルサレム交響楽団

Chaslin
一楽章、響きは薄く、ゲトゲトした第一主題。録音もデッドなのか、第二主題もフワッとした膨らみがありません。展開部の第二主題も伸びやかさがありません。展開部の第一主題が現れる前はかなりテンポが速くなりました。そしてアンサンブルが乱れる部分もありました。細かなミスはたくさんあります。大きな表現も無く、精緻な演奏でも無く、何を聞けば良いのか分かりません。

二楽章、とにかく響きが薄いです。弦楽器に胴が付いていないような・・・・。テンポの揺れも無く硬直した演奏に感じます。

三楽章、ただ演奏されているだけで、何も表現や主張の無い演奏で、正対して聞くのは大変です。中間部のトランペットでテンポを速めます。その後アンサンブルの乱れがあります。最後の中間部の主題で盛り上がる部分で物凄くテンポを速めました。

四楽章、独唱も響きを伴わないので、生声のような感じで深みがありません。

五楽章、コントラバスをあまり拾っていないのも薄い響きにしている一因のようです。バンダも距離はありますが、響きはほとんど伴っていません。展開部でも全開にはなりません。このオケの編成と技量でこの曲を演奏しなければならなかったのか?と疑問を感じます。再現部冒頭は打楽器が炸裂してかなり全開に近い響きになりました。バンダのトランペットはステージ上にいるようです。合唱が音量を上げた時の声の伸びがありません。クライマックスでは合唱はほとんど聞えず、オケと独唱だけでした。

会場の問題なのか、オケの問題なのか、響きに厚みが無く、表現らしい表現も無い演奏で、このオケの技量と編成でこの曲を演奏しなければいけなかったのか疑問に感じました。
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アンドルー・デイヴィス/BBC交響楽団

デイヴィス
一楽章、こもったようなフワッとした主題。あまり感情を込めずあっさりと演奏される第二主題。モノラル録音て゜かなりナローレンジです。展開部の第二主題もあっさりとした表現です。再現部もナローレンジなので、色彩感に乏しく密度が薄く軽く聞えます。

二楽章、柔らかく優しい舞曲です。ナローな録音で表現などはあまり分かりませんが、深く感情を込める演奏には思えません。

三楽章、滑らかに続く主題。中間部のトランペットもとても穏やかに聞えます。

四楽章、テンポは微妙に動いています。最後はとてもゆっくりになりました。

五楽章、打楽器は炸裂しますが、金管が遠いので、激しさは感じません。かなり音量の大きなバンダのホルン。オーボエが少しテヌートぎみに演奏するのが珍しいです。展開部でも激しさは伝わりません。表現なども特徴などは全く分かりません。トランペットのバンダは距離があって美しい残響を伴って響きます。合唱は豊かな響きを伴って美しい感じがします。最後はかなりの盛り上がりになったような感じですが、この録音からははっきりとは分かりません。

ナローレンジで金管が遠い録音で、表情や盛り上がりが感じられない演奏になってしまいました。もっと良い状態で聞ければもっと違った感想になったと思います。
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ベルナルト・ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

ハイティンク
一楽章、速めのテンポでキリッと引き締まった第一主題。径の小さいシンバル。第二主題も速いテンポでちょっとぶっきらぼうな感じです。ハイティンクもまだ若く発展途上だったことをとても感じさせる演奏で、晩年のどっしりと重厚な雰囲気は微塵も感じられません。かなり腰高で、安定感がありません。展開部の第二主題も速くあまり美しさを感じませんでした。コンセルトヘボウらしい深みや美しさもあまり感じません。元々出来不出来の差が少ない指揮者ですが、この演奏はあまり良い出来では無い感じがします。表現が淡白で深みがありません。

二楽章、歯切れの良い主題。テンポの動きも僅かで、表現らしい表現はありません。作品のありのままを演奏するスタイルは現在と変わりませんが、深みや厳しさはありません。何かベクトルが揃っていないと言うか、散漫な感じがします。

三楽章、水面だけを波立たせているようなこの演奏から、どうやって現在のような深いところから大きな波がうねるような音楽ができるようになったのかとても興味深いです。この演奏を聞いているとハイティンクの経験によって積み重ねられたものの大きさを感じます。

四楽章、金管のコラールも薄っぺらい響きです。コントラルトの声質はちょっと変わっています。独唱の最後も神に召されるような神聖な歌唱ではありませんでした。

五楽章、ハイティンクの演奏にしては強く演奏する金管の第一主題。デッドで詰まった感じのバンダのホルン。第二主題は淡々としています。トロンボーンも素っ気無く味わいがありません。展開部はバラバラでオケの一体感は全くありません。とにかく演奏が軽い。この演奏を聞くと、コンセルトヘボウも良くハイティンクの成長を辛抱強く待ったものだと関心します。音量は大きめですが、爽やかな合唱。粘ることもなく淡々としたクライマックス。

現在のハイティンクの演奏の片鱗も見えない演奏で、とても退屈でした。
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ズービン・メータ イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団

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メータ二度目の「復活」今回はイスラエルpoとの録音。
前回のウィーンpoとの録音が若さ溢れる好演だったので、期待も大きかったのですが、世間の評判はあまり芳しくないようです。
果たして、実際にはどうなんでしょう?

一楽章、前回同様、気合のトレモロからスタート、テンポは速めです。前回のような豪快さは影をひそめ、フレーズ内の強弱の変化もあり、そんなに悪い演奏には今のところ感じません。
ただ、集中力が高いとか、凝縮された表現と言うような、緊張感につつまれた演奏ではありません。緩んだ雰囲気とか大味な演奏と言われてしまうような、空気は確かに持っています。
これは、メータの演奏によるところなのか、テルデックの録音によるところなのか?モタ~っとした響きが全体を支配しているのが、なんとも・・・・・・。
特に聞かせどころもなく、なんとなく流れていったかな、猛スピードで終った、ウィーンpoとは対照的にritして終った。

二楽章、悪くはないんだけど・・・・・・。若いころの突進力がなくなった分、緩急自在に濃厚な表現力が出てくるとかすれば良いんでしょうが、そのあたりがまだ中途半端な過渡期なのでしょう。

三楽章、最初から気になっているんですが、このデッドなティンパニがどうも演奏に溶け込まない。何か意図があってこの音なのか・・・・・。他の管楽器(特に木管)も音が短めに演奏されています。その上、ホールの残響をあまり拾った録音ではないので、短さが変に気になります。
表現も徹底されてはいないようで、緩い感じ。メータはロスpo時代の妥協のない明晰さをニューヨークpoで捨て去ってしまったのではないかと思います。
一人の音楽家として、心の中でどんなにすばらしい音楽が鳴り響いていようとも、指揮者となれば。それを他人に演奏させなくてはいけません。巨匠が君臨していた時代は、楽員に嫌われようが、喧嘩別れしようが、自分の音楽に妥協をしなかったし、そういう人だけが世界にごくわずか用意されている、巨匠の椅子に座ることができたのだと思う。それは100人vs1人の戦いでもあるわけで、自分が信じる音楽をやり抜く決意や迫力がなければ、緊張感の高い、感動を生む演奏はできないのではないかと思います。
その意味ではメータはニューヨークpoに、アバドはベルリンpoに腑抜けにされてしまったと思っています。
ムラヴィンスキーのリハーサル風景のCDを聴いたことがありますが、それは紳士的で穏やかな口調ですが、要求はものすごく厳しい、同じところを何度も何度も、時には一人で演奏させることも。それを聴いている私には、前と何が変わったのか分からないほど微妙な表現を徹底して練習していました。あのレニングラードpoを相手にですよ!
それに比べるとこの演奏はメータ自身の姿勢が甘すぎると思います。

四楽章、何もありません。何も起こりません。

五楽章、ffではアンサンブルの乱れもあり、メータにしてこのような乱れが聞こえていないはずはない!
元々ロスpoでは楽員ととてもフレンドリーな関係の中から積極性を引き出し、名演を残してきましたが、その手法は、それまでの暴君的な巨匠時代と決別する画期的な人物の登場だったから、オケも献身的な演奏をしたのだと思います。
今は、オケにムリを言わない指揮者ばかりになりましたからね。そこで差別化を図る何かを会得できれば、メータは本当に復活すると思います。
特に、何の感慨もなく、この楽章も終って行きそうです。合唱の弱音はとても綺麗です。弦の優しい響きもこのオケの特徴か、下品な金管との釣り合いもとれないオケです。
ffでの終結部でもTpなどクレッシェンドを限界のギリギリまでしていないです。本来の頂点の手前でやめてしまうんです。それほど、オケのメンバーには厳しい要求をしていないし、オケのメンバーも献身的に音楽をしようとはしていない。

これでは感動などありえないですね。残念な演奏です。

ヤノフスキ モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団

ヤノフスキ
一楽章、軽い音で弦のトレモロが始まりました。その後も仰々しくならず、軽いタッチで演奏されています。金管や打楽器も奥まっていて、軽い演奏をさらに軽くしています。まるでサロン・オーケストラが復活を演奏しているような、BGMにでも使えそうな軽さです。テンポ設定などは普通なのですが・・・・・。
セレブたちはカッコ良くクールに復活を楽しみたいのか。バーンスタインやテンシュテットのようなコテコテの演奏を嫌うのでしょうか。どこを取っても美しい演奏ですが、これがマーラーか?とも思わせる演奏ではあります。
ミュートを付けたトランペットの音が大きく聞こえて、オープンでffを演奏するトランペットが遥かかなたにいる。何かミキシングで操作しているのか、変です。
ティンパニもffはデッドな音がして、pの時は残響を伴って長く尾を引く。
とにかく軽くて、耳障りが良くて、何も言うことはありません。セレブたちが好むマーラーはこんなんでしょう。作品と対峙するような感覚など全くありません。ものすごく遅くなって終わりました。

二楽章、ゆったりとしたテンポで暖かい演奏です。
モンテカルロでは、テンシュテットやバーンスタインなどは指揮台に上がってはいけないんだろうな。美女を隣にはべらせて、分かったような顔をしてクラシック音楽を聴く。そういうシチュエーションに合うような演奏じゃないと、この地では受け入れられないのでは?と疑いたくなるくらい、一般的なマーラー像からはかけ離れています。
ましてや、ロジェヴェンが指揮台に上がりでもしたら、演奏が始まったとたんに聴衆から総スカン、大ブーイングでしょう。
かの地では、濃厚な音楽をやってはいけないのです。多分!
どんな作曲家の作品であろうとも、BGMのように美しく。背景にあるものなど関係ない。

三楽章、予想通り柔らかいティンパニから始まった。ここではスチール缶をぶっ叩くような音ではダメなのだ。
とにかく、美しく聞こえることだけに腐心した演奏だとしか思えません。
その分、耳には優しいし、音楽と格闘することもないし、美しい音楽が流れて行くのに身を任せるようにするには、良い演奏です。
レヴァインの埃っぽい演奏を聴かされるよりずっと良いです。

四楽章、美しい独唱です。天国的な雰囲気は全体に漂っているので、この楽章は良い雰囲気です。

五楽章、リミッターでもかけているのでしょうか。金管の音は明らかに強く吹いているのですが、全く届いてきません。ですから、演奏全体のダイナミックレンジが極めて狭くなってしまっているのです。
バンダのホルンはすごく強く吹いていて、遠くにいるようで、なかなか良い効果があります。
ここまで、聴き進むと完全にBGMになっています。演奏については考えないで聞ける。バンダはとても効果的に配置されていて響きも気持ちいいです。
独唱もとてもゆっくりとしたテンポでムード音楽のようです。パイプオルガンが強めに響いて、豪華絢爛!

拍手もセレブらしく上品です。演奏からしても聴衆は熱狂するわけがありません。
まあ、こういった演奏もアリかなとは思えます。マーラーの精神性などは無視して、美しく聞かせることに徹してしまえば、いろんな効果を駆使している曲なので、割り切って聞けば不満はあまり感じません。中途半端な演奏より良いかも・・・・・。

ジュゼッペ・シノーポリ/RAI国立交響楽団

シノーポリ
一楽章、かなり荒削りな感じですが、凄みのある第一主題。速いテンポでグイグイと進みます。かなり速いテンポで金管も遠慮なく入って来ます。かなり荒っぽい第二主題。本当に遠慮の無い金管。展開部の第二主題もそれほど美しくはありません。速いテンポでかなり荒っぽい演奏で、叩き付けるような荒々しさです。後のフィルハーモニアとのスタジオ録音とはかなりイメージの違う演奏で、フィルハーモニアとの録音のような丁寧さはありません。なぜここまで速いテンポで煽り立てる必要があるのか理解できません。面白い演奏ではあるのですが、作品を真面目に正面から捉えた演奏とは思えません。コーダなどは落ち着いたテンポの演奏になるのですが・・・・・。

二楽章、テンポの動きの大きな主題ですが、なぜか野暮ったい演奏です。中間部はまた落ち着きの無い演奏になります。木管が独特な表現をします。テンポはとても良く動きますが、かなり強引な感じです。

三楽章、緩い感じのティンパニ。薄い弦の主題。ドタバタする大太鼓とルーテ。慌ただしい中間部。とにかく落ち着かない演奏です。最後の盛り上がりでティンパニが二打叩いた後が続きませんでした。

四楽章、中間部も速いテンポです。独唱も最後は絶叫するような投げやりな歌でした。

五楽章、強烈に絶叫する第一主題。離れたところから響くバンダのホルン。音が短く投げつけるような演奏です。金管のコラールも軽い演奏でした。展開部も音が短く丁寧な演奏には聞えません。打楽器のクレッシェンドの後も凄く速いテンポでした。とにかくテンポが速い。再現部もとても速いテンポでどっしりとしたところは全くありません。フィルハーモニアとの録音の時とは全く別人のような演奏です。再現部の後のフルートとホルン、トランペットが絡む部分はゆっくりでした。合唱が入ってからは普通に進みます。特に大きな盛り上がりも無く終わりました。

ひたすら速いテンポで投げつけるような荒削りな演奏で、全く落ち着きがありませんでした。その上クライマックスも聞かせ所は無く、全くと言って良い程良いところはありませんでした。フィルハーモニアとの録音とは全く別人のような演奏でした。
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