マーラー 交響曲第2番「復活」9

たいこ叩きのマーラー 交響曲第2番「復活」名盤試聴記

クラウディオ・アバド ルツェルン祝祭管弦楽団

マーラー復活 アバド★★★
基本的に、何もしない人が自ら集めたスーパー・オケとの共演!

一楽章、冒頭おもむろな開始。特別な思い入れや、「これから何かが起こるゾ」と言う期待感も涌かない、自然体の開始です。名手揃いのスーパー・オケだが、緊張感や集中力などは感じられない。むしろ、めったに共演できない人たちが集まって音楽をする喜びの方が大きいのか、楽しそうだ。
さすがに、名手揃いなので、ffでもとても美しい音が響く。それにしても、淡々と時間が過ぎていく。あれよあれよと言う間に一楽章は終わってしまった。この演奏だったら二楽章の間の休憩は全く必要ない。

二楽章、とても、テンポが速いスタート。この楽章も聞かせどころもなく過ぎていくのか?とても美しい音楽がBGMのように流れていく。

三楽章、なんともソフトなティンパニからはじまる。ここまで、聞いてきて音楽の振幅の巾の狭さがとても不満になってくる。最後には解消されるのだろうか?とても小じんまりとまとまっていて、スケールが小さい。ベルリンで毒を抜かれて腑抜けになったか?シカゴとの旧盤のほうが、エネルギーの爆発もあったし、力強かった。三楽章も、何の感慨もなく終わってしまった・・・・・。

四楽章、ここでも美しい音が流れて行く。イタリア人指揮者でありながら、これほど歌わない人もめずらしいのでは。

五楽章、バンダはすごく遠い。ffでもオケは余裕たっぷり、テンポもわりと早い設定で進む。間の取り方は独特のものがある。とても明るい雰囲気の復活、マーラーを聞いているのではなく、スーパー・オケの模範演奏を聴いているようだ。過不足無く、突出もなく本当にBGMとして聞けるんじゃないか?
最後も見事な輝かしい音色で締めくくられるが・・・・・・・。

この演奏は、マーラーの「復活」ではなく、アバドの全快祝いを世界中の友人たちを集めて祝った「復活」で、スーパー・オケの上手さを聞くには良いでしょう。
マーラーの書いた楽譜を何もせずに音にしたら、「こんなんになりました!」と言うような演奏です。
巨匠の時代は終わったんだなぁとつくずく感じさせられる演奏でした。
オケは上手いので、悪いCDだとは言いません。最初に聞くんだったら、バーンスタインやテンシュテットはお勧めできないので、「復活って、こんな曲なんだ」ということを知ってもらうには良いでしょう。

ピエール・ブーレーズ ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
ブーレーズと言えばニューヨークpoの音楽監督に就任した当時、バルトークやストラヴィンスキー、バレーズなどの演奏で前任のバーンスタイン時代に荒れ果てたアンサンブルを見事に立て直して整然とした録音を数多く残した、分析型の指揮者のはしりだったブーレーズ。近年の円熟ぶりがどのような演奏を生み出すか?

一楽章、冒頭どっしりと構えた出だし、ムジークフェラインの豊かな残響もあり、ふくよかな開始。オケがウィーンpoということもあるのか、シャープな演奏ではない。また、昔のブーレーズのイメージともかなり違う演奏だ。昔は切れ味鋭く、難解な曲もバッサバッサと切り捨てたブーレーズも円熟して丸くなったのか、なんとなく、ズングリムックリな感じがしてしまう。
クラッシュシンバルは例の一部が欠けているのを使っているようだが、なぜあのシンバルを使い続けているのか私には理解できない。曲が盛り上がったところであれがゴツンと言う音で鳴ると、盛り上がった心に冷や水をぶっ掛けられるような感じで、どうもなじめない。
弦は柔らかく美しい。テンポも揺れるし、弦は歌うし心地よい。

二楽章、この楽章はウィーンpoとの相性もよく、ふくよかで美しい。ウィーンpo独特のふくよかさは、最近の近代的でシャープな音のオケで聞いているマーラーに慣れていると、ものすごく古めかしいものに聞こえてくる。もともとウィーンにはゆかりが深いマーラーなのだから、この音で聞いているのが、本来のマーラーの姿なのかもしれないが・・・・・・。

三楽章、非常に堅いマレットで演奏されるティンパニだがムジークフェラインの豊かな響きを伴って心地よい。つづく木管もしっとりと美しい。金管も含んだテュッティの何とも、モッタリした鈍重な響きが、これまでの私の持っているマーラー像を崩しにかかる。

四楽章、控えめながら、気持ちがこもって美しい独唱、それに続くコラールも非常に美しい。ブーレーズの昔のイメージは完全に払拭される。すごく歌いこまれていて、作品への共感が伺える楽章です。

五楽章、金管の咆哮にもウィーンpoならではのふくよかさがある。弱音部は非常に美しい。バンダは最初は割りと近めに配置されているが後半ではかなり遠くなる。金管のコラールはあっさり通り過ぎるが、そのあとのクレッシェンドからはグッとテンポを落としてねばる。ffの後に休符があると、ホールに広がってゆく残響が他のCDでは聴けない美しさで魅了される。
ブーレーズの抑制なのか、ウィーンpoに絶叫させずに音楽を運ぶあたりは、やはり昔と変わらず冷静にスコアを読んでいるのか。ウィーンpoらしいぬくもりのある音色の範囲で音楽を作っていくブーレーズはさすがと言いたい。普通なら五楽章にもなれば、多少力んでも絶叫したくなるのが普通だと思うが、この冷静さには別の感激がある。合唱と合唱の合間に入る弦合奏も大河の流れのようにとうとうと歌う感じではなく、むしろ室内楽的なまとまりと抑制がある。独唱の扱いも他の指揮者とは違う。非常にあっさりとストレートだ。
合唱が入って以降は、さらにあっさり。暴走などは間違ってもあり得ない。そして、テンポも速くなる。
抑制の効いたまま最後まで行ってしまった。好みは分かれる演奏でしょう。

ウィーンpoと復活を融合させるために、しっかりとした設計のもとにウィーンpoの最も美しい音が出せる範囲内でコントロールして音楽を貫徹させるブーレーズの自信と信念が生み出した、演奏です。
感動したか?と言われると、もろ手を挙げてとは言えないが、十分唸らせられた演奏であることは間違いない。これまで聴いてきたなかで、一番予想外だったのも、この演奏でした。

山田一雄 京都市交響楽団

★★★
1980年頃の日本のオーケストラはかなり下手だった記憶が強い。
N響ですら、欧米のオケに比べるとかなり見劣りしていたと思う。特に管楽器に関しては体格の問題も奏法の問題もあり、でした。
これが京都市交響楽団となると、オケの技量に関してはほとんど期待はできないと思うのですが、果たして演奏はどんなものでしょうか?

一楽章、長い弦のトレモロのあと低弦が入ってくる。なかなかの力演ですが、付点の甘さがちょっと気になります。
オケは予想していたより、遥かに上手いです。集中力も高く、緊張感も十分に伝わってきます。
ティンパニの付点もやはり甘いです。日本人の特徴ですね。
かなり劇的な音楽の運びで、なかなかの演奏です。ただ、時折旋律を見失ってしまうことがあります。
ffの時に金管が突き抜けてくるようなパワーはさすがにありません。この辺は、指揮者の山田が要求しても無理な部分なのでしょう。
かなり劇的な音楽を作っていっているのですが、金管のパワー不足による振幅の狭さはとても残念なところです。

二楽章、山田自身が積極的に音楽をしようとしているところが、とても好感がもてます。歌もあり起伏もあり、オケが全てを受け止めることができれば、すばらしい名演奏になっていたかもしれません。
テンポの動きや「ハッ」と思わせるような間があったり、さすが老獪です。

三楽章、思いっきりのティンパニからスタート。すごく表情豊かな楽章です。細部にわたる表情や楽器の受け渡しなど、なかなか訓練されています。
小さなミスはありますが、アンサンブルは良いので、崩壊しそうになったりはしません。
これも、この当時の金管の弱みだったと思うのですが、タンギングの直後の音は出ているのですが、その後の息が弱いような感じがあって、トゥッティのエネルギー感を削いでいるように思います。
トロンボーンのミスはちょっとかっこ悪いです(^ ^;
表情豊かな音楽はとても魅力的です。

四楽章、独唱がだんだん遠くなったり近くなったりするのは、なんで?歌う方向を変えるとかしたのかなぁ。いろんな演奏を聴いてきたので、やはり日本人の発音では、ちょっと違うような気がします。
もう少し幻想的、天国的な雰囲気が欲しいところでした。ちょっと現実的でした。

五楽章、冒頭は大爆発です。爆発が自然に収束して、バンダへと引き継がれます。もう少し遠くでも良いような・・・・・。収束を引き継いでそのままの音量かさらに収束へ向かうくらいの音量を期待しました。
ステージ上の木管よりもホルンのバンダの存在感が大きいのはちょっと不自然すぎます。
やはりトゥッティになると金管群が打楽器群に負けてしまいます。肉食って育った人たちじゃないからなぁ。
トランペットのバンダは小さすぎで太鼓に消されています。細部のバランスまでは時間をかけられなかったのだろうか。
かなりの好演なのだが、ちょっと残念なところです。
何かの間違いではないか?と思うほどホルンのバンダだけが異常に大きい。
合唱の技量や発音などいろいろ言い出せばきりが無いのですが、十分感動的な終結部を作り上げ、見事なコンサートだったと思います。

1980年当時に純日本の演奏家たちで、これだけの演奏をしたことは、すばらしく十分に評価されて良いと思います。ただ、当時の日本の場合は西洋音楽に対しては発展途上国であって、この演奏も歴史の中の通過点の記念碑だと思います。
山田が表現したかった音楽やスケール感などは、本人のイメージよりも二周りぐらい小さくなってしまっているのではないかと思いますが、当時としては本当にベストを尽くした演奏だったのだろうと思います。
良い意味で期待を裏切ってくれました。
これからさらにすばらしく世界に誇れる演奏が多く生まれることを期待します。

アントン・ナヌート リュブリャナ放送交響楽団

icon★★★
一楽章、特に力んだ感じも無く爆演と言われている割には平凡な出だしだ。録音状態は良さそうで、ティンパニのヘッドの質感も伝わってきます。ただ、響きが薄い。これはオーケストラの力量の問題でしょうか。
ライブ録音らしく、細かなミスも散見されるが、オケの集中力は高そうで、好感が持てる演奏です。
高音域の繊細な音に対して、低音が薄い感じで、ちょっとバランスが悪いのが気になります。
金管は遠くに定位していて、控えめなので、爆演という評判とは結びつかない感じを受けます。予想に反して、かなり整然としたスタイリッシュな一楽章。毒々しさもなく自然体の演奏。
ライブで、これだけ整然とした演奏ができるオケの技量もなかなかのものだと思います。

二楽章、ゆっくりな出だしに歌があって、ひきつけられる。弦の刻みなどには若干の乱れはあるものの、それより増して表情が豊か、一楽章よりも熱を帯びてきた、いかにもライブらしい演奏です。

三楽章、竹ヒゴ(ルーテ)が若干後ろ乗り気味なのが気になりますが、弦も木管も美しいです。打楽器は盛大に鳴らしまくります。それに比べると金管がおとなしいです。

四楽章、金管のコラールもチューバがいないんじゃないかと思うほど低音が薄いです。
独唱はホールの響きも伴って豊かな歌声。最後の音をもう少し伸ばして欲しかった。

五楽章、冒頭、ドラよりもバスドラのドカンがすごい。バンダのホルンは洞窟の中ででも演奏しているかのような独特の音響効果です。
それにしても、低音域のゴリゴリしたパッセージがほとんど聞こえてこないのは、ちょっと残念です。
バンダのホルンの最高音の部分はトランペットに吹かせています。
ここぞというところでの打楽器は本当に遠慮なく気持ち良いくらいぶっ叩いてきます。
バーンスタインと同じように、終結部でぐっとテンポを落としました。爆演と言うほどでもないような感じでしたが・・・・・。

多分、オケの音量が一流オケに比べると小さいので、ティンパニのクレッシェンドなどがすごく効果的になるので、爆演と評価されるのかも知れませんね。

シモーネ・ヤング/ ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、ソフトなトレモロ。低弦の第一主題も荒れ狂うようなことはなく、穏やかでテンポは速めであっさりと流れて行きます。第二主題の手前で少しテンポを落としましたが、第二主題もそのままの流れでひっかかるところはありません。テンポはわずかに動きますが、自然な流れの範囲です。展開部の第二主題はたっぷりと美しい演奏でした。弱音部分の木管やホルンはとても美しい。打楽器はかなり強打されますが、金管は抑制気味で突き抜けては来ません。再現部の前もテンポは落とさずにそのまま進みました。再現部もかなりテンポが速くどんどん前へ進みます。第二主題はたっぷりと濃厚な表現でした。これと言った特徴のない第一楽章でした。

二楽章、この楽章も速めのテンポで滑らかで美しい弦の主題。中間部の弦の三連符の刻みにははっきりとした表情が付けられています。

三楽章、抑えぎみのティンパニ。控え目で滑らかな主題。クラリネットがフレーズの最初をゆっくりと演奏して入りました(2回ありました)。中間部の低弦の刻みも控え目です。盛り上がるところもかなり余裕を残しています。最後の盛り上がるところはオケが一体になってかなり強く演奏しました。

四楽章、この楽章も速いテンポで入りました。金管のコラールはすごく音量を落として遠くから響きました。テンポが動いて感情が込められています。独唱も美しい音量の範囲で歌っているようです。

五楽章、オケが炸裂!怒涛の冒頭でした。テンポはやはり速いです。遠い距離で響くバンダのホルン。第二主題も速めであまり表情は付けられていません。美しい金管のコラール。展開部でも打楽器は強打されてすごい存在感ですが、オケは響きが薄くあまり印象に残りません。打楽器のクレッシェンドも普通にテンポを落としてねばることはなく過ぎました。続く金管が強奏する部分も音の洪水のような圧倒的な感覚はなく、散発的に登場するパートの響きだけで、少し寂しい感じです。再現部に入って、トランペットのバンダはかなり遠くにいます。舞台上のフルートとはすごく距離が離れて対比されるバンダ。静かに歌い始める合唱には感情が込められていて、自然に少しずつ音量が上がって行きます。合唱は透明感があって美しいです。独唱も合唱に溶け込んで美しい。クライマックスも速いテンポであっさりしています。

透明感の高い美しい合唱は出色でしたが、演奏全体は速いテンポで淡白な演奏でした。たまにテンポを動かす部分もありましたが、シモーネ・ヤングの個性はあまり感じませんでした。また、オケの響きにもマスの一体感が無く、寂しい感じが残りました。

ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団

icon★★★
一楽章、モコモコとこもったようなコントラバスの第一主題。速めのテンポであっさりと演奏される第二主題。展開部まで速いテンポでした。展開部で演奏される第二主題も特に美しいことはありません。ホルンに小さなミスがあります。打楽器もあまり強打することは無く、この曲の演奏としては大人しい方です。マーラーがまだ世間に認知されていない時代のスタジオ録音と言うことで、クーベリックも大事に行こうとし過ぎているような感じで、とても無難な演奏になっています。

二楽章、主部の弦の主題には艶やかさが無く、暖かみはありますが、潤いはありません。大きな表現は無く、淡々と進んで行きます。クーベリックにはマーラーの作品を世に知らしめようと言う意図があったのか、自己主張よりも作品のありのままを聞かせようとしているようにも感じます。

三楽章、硬めのティンパニ。ヴァイオリンの主題はやはり艶やかさがありません。金管が爆発したりするような起伏の大きな演奏では無く、滑らかになだらかに流れて行きます。マットな響きで色彩感はあまりありません。現代のマーラー演奏に比べるとかなり地味です。

四楽章、少し遠くに定位する独唱。金管のコラールも遠いです。独唱には感情が込められています。中間部の独奏ヴァイオリンはやはりマットで艶がありません。アゴーギクを効かせる独唱。

五楽章、切れ味鋭い金管の第一主題。バンダのホルンはあまり遠く感じません。音量も大きいです。第二主題の木管のコラールもマットです。バンダのホルンの最高音にはトランペットの補強がありました。金管のコラールもあっさりしています。展開部に入っても金管が絶叫することは無く、余裕を残しています。打楽器のクレッシェンドもあまり時間をかけずに過ぎて行きました。続く部分のテンポも速いです。空間に窓が開いて顔を出すようなトランペットのバンダ。バンダのファンファーレは壮麗な響きでした。合唱も音量を抑えたものでは無く、緊張感はあまり感じません。二重唱の後も速いテンポになります。クライマックスも絶叫することは無く、制御されています。

刺激を避けてマイルドな表現の演奏で、強弱の振幅も大きくは無く、感情をぶつけてくるような演奏でもありませんでした。録音された当時としては、作品そのものを伝える意図があったのか、極めて標準的な演奏となっていました。

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