マーラー 交響曲第3番2

たいこ叩きのマーラー 交響曲第3番名盤試聴記

クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

テンシュテット★★★★☆
一楽章、速めのテンポで畳かけるような冒頭第一主題でした。ティンパニに打撃が強烈です。第二主題のホルンも思いっきりの咆哮で気持ち良い。とても丁寧に演奏されるトロンボーンソロ。クラリネットの第4主題以降もホールの残響も適度に録音されていて気持ち良い。打楽器のインバクト部分では若干歪みっぽい音がとます。ビブラートを効かせたトロンボーンソロ。色気を感じさせるヴァイオリンソロ。めまぐるしく変わるオーケストレーションを見事にコントロールして色彩豊かな音楽を聴かせてくれます。再現部以降のトロンボーンソロもところどころにタメがありなかなかの演奏です。コーダからはかなりテンポを上げました。

二楽章、アゴーギクを効かせて歌うオーボエ。テンポも大きく動いています。表情豊かで、締まった表現です。オケの集中力も高くテンシュテットを中心に一体になっているのが良く分かります。

三楽章、表情豊かな木管。トランペットで始まる冒頭。ポストホルンの手前で大きくテンポを落としました。美しい音を響かせるポストホルン。遅いテンポを受けてフルート、クラリネット、ホルンと続きます。ホルンの咆哮もすばらしい。

四楽章、消え入るような弱音。音量の変化が大きく豊かな表現です。テンポの動きや音量の変化など、作品と一体になっています。

五楽章、爽やかな少年合唱と女声合唱です。

六楽章、静かにしかも感情のこもった演奏です。感情が内側へ内側へと凝縮していくような強固な塊が出来ていくように感じさせる演奏です。中間部では金管の咆哮も抑えぎみでした。コーダも爆発することはなく見事なバランスで演奏されました。

所々ミスも散見されましたが、見事な演奏だったと思います。

エリアフ・インバル/東京都交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、暖かみのあるホルンの第一主題。かなり激しい弦のアタック。思いっきりの良い打楽器の一撃。激しいホルンの第二主題。フランクフルト放送soとのセッション録音に比べるとかなり劇的で激しい起伏を感じさせる演奏です。美しいヴァイオリン独奏。明るく美しいトロンボーン独奏。速めのテンポで積極的で勇壮に進む行進曲。スネアドラムが演奏を引き締めます。オケは凄く上手く、言われなければ日本のオケだとは思わないでしょう。かなり前からどんどん早くなっているのですが、再現部の手前でテンポをかなり上げて凄い高揚感です。再現部の直前、音量が落ちるのに合わせてテンポを戻しました。コーダではかなりテンポを上げ怒涛のうちに終わりました。

二楽章、テンポも動いて歌うオーボエ。内へ向けて凝縮するように繊細な弦。無邪気な子供のように快活で生気に溢れ生き生きとした音楽です。極端ではありませんが、ライヴらしくテンポが動いてとても豊かな音楽です。

三楽章、ゆったりとしたテンポの中からくっきりと浮かび上がるクラリネット。空間再現がすばらしい。しっかりとした足取りです。生気に満ちて生き生きとしています。トゥッティの厚みは今一つの感がありました。遠近感もとても良い。間接音を伴ってとても良く歌うポストホルンが神秘的でとても美しい。所々かなり強奏はしますが、咆哮と言うほどの激しさではありません。むしろ抑制の効いた演奏のように感じます。

四楽章、静寂の中から深い響きの低弦の序奏。くっきりと明瞭に浮かび上がる独唱。インバルの指揮は必要以上にねばったり歌ったりはせずに、整然と音楽を進めて行きます。清らかで心洗われる透明感のある歌唱がすばらしい。

五楽章、発止として元気な児童合唱。女声合唱もとても上手い。ここでもくっきりとした独唱。途中に入る金管も合唱のバランスを崩さずとても良い合いの手を入れてきます。

六楽章、大切な物をそっと扱うように、奥ゆかしいけれども、とても感情の込められた主要主題。川の流れのようにとどまることなく流れ続ける音楽がとても感動的です。速めのテンポで安らぎよりも力感のある演奏です。トゥッティの中から突き抜けて来るトロンボーン。次々に音が溢れ出す全管弦楽による主要主題。少し速めのテンポで豊麗な響きの見事なコーダでした。

全体に速めのテンポで元気の良い力感に溢れる演奏でした。

ベルナルト・ハイティンク/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ハイティンク★★★★☆

一楽章、ウィーンpoらしいピーンと張ったホルンの第一主題。ティンパニの強打。第二主題は下のパートも良く聞こえるバランスの良いホルンの演奏でした。細身で艶やかなヴァイオリン・ソロの第三主題。静かで控え目なトロンボーン・ソロ。シカゴsoとの録音のような独特の節回しはありません。第四主題も大きく歌うことはありません。ハイティンクらしく、余計な力は入れずに、自然な演奏の中から作品の美しさを描き出す演奏です。引っかかるところは全く無く自然に音楽が通り過ぎて行きます。再現部の直前も混沌とすることは無く、非常に簡潔でした。屈託無く伸び伸びと鳴り響くオケはとても美しいです。コーダへ入りテンポは速めますが、テンポの変化はほどほどです。

二楽章、平穏で美しい演奏です。音楽の起伏も自然に盛り上がり、自然に静まる感じで力みは全くありません。色彩感はウィーンpoらしく豊かですが、バーンスタインの演奏のような超濃厚な色彩感ではありません。旋律を演奏する楽器が極端に前には出てきません。とても穏やかで音楽の揺り篭に揺られるような心地良さです。

三楽章、演奏の特徴は特に無く、ただ自然な美しい音楽が流れて行きます。BGMにでもなりそうな引っかかるところの無い演奏です。ピッコロも細身で美しい。遠くから聞こえるポストホルンがとても柔らかい。強奏部分でもオケが大暴れすることは無く、しっかりと制御されています。

四楽章、極めて静かに演奏されるコントラバス。静かなコントラバスに合わせるように、そっと歌い始める独唱。とても細部までバランスなどには注意を払われているようです。

五楽章、天使の歌声にふさわしく遠くから響く「ビム、バム」。女声合唱は近いです。

六楽章、深みがあり、穏やかで美しい主要主題。とても繊細な楽器の扱いで、作品への愛情を感じます。この楽章の美しさは極上です。木管もホルンもすばらしい美しさです。二回目の第1楽章の小結尾が回想される部分のホルンはすさまじい咆哮です。枯れた雰囲気の金管の主要主題の再現。コーダ直前のクライマックスは洪水のように次々と音が溢れて来て壮大でした。コーダは力強い歩みでした。

強い主張は無いものの、とても美しくクライマックスのスケール感も大きい良い演奏でした。
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クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

アバド★★★★☆
一楽章、伸び伸びと鳴るホルンの第一主題。分厚くうなりを上げるコントラバス。第二主題も勇壮に鳴り響きます。あまり歌わないオーホエの第三主題。続くヴァイオリン独奏は艶やかで美しい演奏でした。明るい響きのトロンボーン独奏。陰影のあるクラリネットの第四主題。とても色彩感が濃厚で、音楽の流れもとても良いです。展開部もすごく分厚い響きに圧倒されます。オケが積極的でとても良く鳴らされています。さすがベルリンpoと言うような極上の音が続きます。再現部の前の頂点はウィーンpoとのスタジオ録音のような怒涛の演奏ではなく、テンポも落ち着いた冷静なものでした。録音が歪みっぽいのが残念です。

二楽章、ゆったりとしたテンポで歌うオーボエ。中間部では若干テンポの動きがありましたがタメや間などは無く、音楽は流れるように進んで行きます。二度目の中間部はかなり速いテンポで活気のある演奏です。

三楽章、ピッコロの主題も流れるように滑らかな演奏です。トゥッティでのエネルギー感はさほどありませんでした。それよりも音楽の流れを重視しているようです。中間部のポストホルンは、間接音を含んで柔らかい響きです。テンポは速めで、サクサクと進みます。最後の主部はひたすら美しい。アバドは余計な自己主張などを加えずに、力で押すことも無く、作品の持っている美しさを表現しようとしているようです。

四楽章、すごく抑えた音量で開始しました。明るい声の独唱。内に秘めたようなオーボエ。ふくよかなホルン。伸びやかなヴァイオリン。どれも美しい。

五楽章、浅い響きの児童合唱。女声合唱も浅い響きです。中間部はテンポを落としました。

六楽章、ゆっくり丁寧で美しく穏やかな主要主題。ホルンの深い響き。弱く美しいクラリネットの高音。ただひたすら伸びやかに流れる音楽です。非常に美しい音楽が奏でられているだろうに、録音が歪っぽいのがとても残念です。これも録音の問題だと思うのですが、トゥッティのエネルギー感がほとんど伝わって来ません。コーダも力強く輝かしいような感じはしますが、録音の問題で定かではありません。

とても美しく流れの良い演奏だったのですが、録音の悪さがとても残念です。良い録音状態でもう一度聞き直してみたい演奏でした。
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セミヨン・ビシュコフ/ケルンWDR交響楽団

ビシュコフ★★★★☆
一楽章、軽い第一主題。その後は引きずるように重い。美しく歌うヴァイオリンの第三主題。オケの色彩が非常に濃厚でくっきりしています。展開部へ入る前はかなりテンポを落としてこってりとした演奏でした。かなり強弱のコントラストも明快で、強奏部分は爆発します。寂しげに歌うトロンボーン独奏。テンポも動き、動きに合わせて歌います。強弱の変化やテンポの変化がこの演奏の特徴になっています。コーダの入りはすごく遅くそれから急加速して終わりました。

二楽章、中間部でもテンポが動いて積極的な表現の音楽です。テンポが動いて良く歌っています。二度目の中間部はテンポを速めにして演奏して、とても活発で生き生きとした音楽です。

三楽章、良く歌い、楽器の絡みも美しい演奏です。トゥッティはコントラバスの厚みのある響きもありますが、トランペットの鋭い響きが勝っています。美しいポストホルン。この楽章の最後はゆったりとしたテンポを維持して終わりました。

四楽章、柔らかくオケに溶け込むような独唱。グリッサンドするようなイングリッシュホルンとオーボエ。

五楽章、控えめな児童合唱。あまりコントラストを感じない女声合唱。

六楽章、にじみ出るような愛情。ビシュコフはこの作品を心から愛しているのが伝わって来ます。一楽章の小結尾部の再現はそんなに激しいものではありませんでした。とても色彩感が豊かで表現の幅も広い演奏で、なかなか聞かせます。最後の一楽章の小結尾でオケが爆発しました。コーダは壮絶な絶叫でした。

深みは感じない演奏でしたが、色彩感豊かで、歌もあり、クライマックスで爆発する表現の幅の広い演奏は魅力的でした。
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