マーラー 交響曲第4番4

たいこ叩きのマーラー 交響曲第4番名盤試聴記

アントン・ナヌート/リュブリアナ放送交響楽団

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一楽章、少し浅い響きですが、とても良く歌う演奏です。テンポの変化もありとても積極的な表現です。オケの技量的には危なっかしいところもありますが、なかなか健闘していると思います。5番のトランペットの動機の前は抑制の効いた控え目な強奏でした。シンバルがやたらと強い!ウィーンpoなどの超一流オケに比べると聞き惚れるような美しさがないところは少し残念です。

二楽章、ヴァイオリンソロなどは少しメタリックな響きがあります。一楽章ではシンバルが異常に大きかったのですが、この楽章ではトライアングルも大きいです。積極的に歌うのはこの楽章でも続けられています。

三楽章、ゆったりとして伸びやかなくつろいだ雰囲気の演奏です。転調したオーボエの旋律でも極上の音色とは言えないところが残念なところです。少し速めのテンポであっさりした表現です。トランペットも突き抜けてはきません。最後に盛り上がる部分ではテンポを落としましたが爆発的な盛り上がりではなく抑制の効いたものでした。

四楽章、木管楽器はどれも音の密度が薄いように感じます。表現の幅が広い独唱です。ただ、あまり品が無いような感じで、あけっぴろげで元気な雰囲気で、天国の雰囲気ではありません。終始美しさとは遠い演奏だったのはとても残念でした。

ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

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一楽章、ゴロゴロとノイズの中から鈴とフルートの音が聞こえます。とても表情のあるヴァイオリンの第一主題。第二主題もテンポの動きがあって歌います。大きなテンポの動きもあってワルターの作品への愛着が感じられます。録音によるものなのか、トゥッティでの響きが薄いです。シンバルがかなり強烈に響きます。

二楽章、録音は古いですが、弦の繊細な表現は伝わります。この楽章でも細部に渡って表情が付けられています。

三楽章、穏やかに開始しますが、残響をほとんど含まない録音のため、時に弦の生音が聞こえて興ざめします。アゴーギクを効かせてよく歌うオーボエ。終盤の急激な盛り上がり部分はほとんど打楽器の音に支配されているような感じで、他のパートはあまりよく聞こえませんでした。

四楽章、ソプラノ独唱は少しオフに録られていて、離れたところにいるような感じです。天国の楽しさを歌っているようには感じませんでした。

録音の古さによるバランスの悪さなども含めて、あまり楽しめませんでした。

ジョージ・セル/クリーブランド管弦楽団

セル★★
一楽章、サーッと言うヒスノイズの中から音楽が始まりました。第一主題の入りはあまりテンポを落とさずに演奏しました。淡々と進みますが、第二主題でテンポを動かしたりもします。展開部のフルート4本で演奏される旋律はゆっくりとしたテンポでした。ハイ上がりの録音でトゥッティでトランペットやシンバル、トライアングルがカチーンと来ます。基本的に速めのテンポでねばっこい表現はなくあっさりとした演奏です。最後は凄い勢いのアッチェレランドでした。

二楽章、動きがあって快活な演奏です。音がブヨブヨと肥大化せずに締まっていて、シャープです。ただ、録音には奥行き感が無く、トランペットやホルンが近い位置にいますし、弦はザラザラとしています。

三楽章、音が塊になって広がりがありません。速めのテンポでかなりあっさりと淡白な演奏です。普通なら粘るような部分もすんなりと通り過ぎるので肩透かしを食らいます。終盤の盛り上がりも速いテンポであっさりと演奏しました。作品への思い入れが無いかのような淡白さです。

四楽章、この楽章もあっさりと速めのテンポです。独唱が入る前にテンポを落としました。独唱は天使の歌声らしく可愛い声です。三楽章までの演奏とは対照的に感情が込められて楽しそうな独唱です。

三楽章までのあまりにもそっけないあっさりとした演奏はちょっと・・・・・でした。
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クルト・ザンデルリング/BBCノーザン交響楽団

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一楽章、心地よいテンポで軽快に進む第一主題。あっさりとした第二主題。少しざらついた響きのヴァイオリン。表現はしていますが、録音による問題なのか、緊張感があまりなく、ちょっと緩んだ雰囲気があります。トゥッティでは混濁するような感じの飽和状態です。テンポは動きますが、基本的にはあっさりとした演奏です。

二楽章、マットなヴァイオリン・ソロ。録音の問題だと思いますが、音の密度が希薄で、音像が大きくスカスカな感じがします。なので、緩い感じがするのでしょう。表現していることもなかなか伝わって来ず、何となく音楽が流れて行きます。

三楽章、弦楽器の主題は静かに演奏されているのだと思いますが、ノイズなのか周りがザワザワしているような感じがして、演奏に集中できません。そんなに古い録音では無いのですが、BBCの放送音源なのでしょうか?テンポを落として注意深く歌うオーボエ。最初のトゥッティで歪みました。所々テンポを落としますが、基本的にはあっさりとした表現で、淡々と進んで行きます。最後の盛り上がりはティンパニが異様に強調されていました。

四楽章、チャーミングな表情のクラリネット。粘着質な独唱。ピッコロがキーンと強烈に向かってきます。

ずっと緩い感じで、ピーンと張った緊張感はありませんでした。録音が悪過ぎます。
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投稿者: koji shimizu

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