マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」3

たいこ叩きのマーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」名盤試聴記

ジュゼッペ・シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団

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第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」力強い合唱。オケも強力です。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」少しゆったりとしたテンポで歌われます。合唱の弱音も引き込まれるように魅力的です。
「われらが肉体の脆き弱さに」ホルンの咆哮。柔らかい鐘の響き。艶やかで表情豊かなヴァイオリン独奏。ミュートを付けたトランペットの鋭い音。オケの響きに溶け込むような柔らかい独唱。
「そが光にてわれわれが感ずる心を高めたまえ」合唱の圧倒的な響きにオケが押されぎみで、ブラスセクションの輝かしい響きが聞かれません。ちょっとモノトーンに近いような色彩感です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」圧倒的な合唱。独唱も溶け合っていて、強く主張してはきません。
「父なる主に栄光あれ」合唱を中心に音楽が作られているようで、マーラーが言う「大宇宙が響き始める様子」とは違うような感じがしました。

第二部、 「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」奥行き感のある弦のピチカートにホールトーンが乗った木管が次々と現れますが、ここも色彩感に乏しい。編成の大きい曲の録音なので、全体を捉えることに重きを置いていて、一つ一つが楽器の色彩感は犠牲になっているようです。合唱は響きを伴ってとても奥行き感があります。
「永遠の愉悦の炎」柔らかいバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」バスの独唱も柔らかい響きです。独唱の後ろで動くオケはモノトーンのような感じです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」後半、少し輝かしいブラスの響きが聞かれました。
「地上の残り滓を運ぶのは」ヴァイオリン独奏はとても艶やかです。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」高音がちょっとキツそうなテノール独唱。流れるようなハープと弦の演奏。抑制の効いた演奏で、爆発は決してしません。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」少年合唱の音程の怪しいところがありました。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ソプラノ独唱も突き抜けてはきません。
「悔い改むる優しき方がたよ」テノール独唱に呼応する合唱が広大な空間を再現します。ここでも非常に抑制されたブラスセクション。
「移ろい行くものはなべて」とても整って美しい合唱の弱音。合唱からわずかに浮かび上がるソプラノ独唱。次第に盛り上がりますが、金管が突き抜けてくることはありません。深いドラの響きです。全体の響きの中から僅かに浮かび上がる金管の旋律で終えました。

大きい編成の割りに突き抜けてくるパートがなく色彩感に乏しい演奏で、大宇宙が響くと言うような輝かしさはありませんでした。

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

朝比奈 マーラー「千人の交響曲」★★★
第一部、「来たれ、創造の主なる聖霊よ」すごく遅いテンポで雄大な冒頭です。テンポの遅さが少し鈍重な感じもあります。
「いとたかき恵みもてみたしたまえ」地声が強い独唱。少し間延びしたような音楽です。金管はビンビンとは鳴りません。ボーっと言う音です。
「われらが肉の弱きを」大阪フィルもこの時代の音色は今ひとつで、味わいがありません。仏教で使う大きい磬子のような鐘の音。どうしても歌声として鳴り切っていない独唱が気になります。
「光もて五感を高め」マーラーが「大宇宙が響き始める様子」と言った音楽にしては、響きが硬く伸びやかさがなく、色彩感にも乏しくマットな響きです。
「来たれ、創造の主なる聖霊よ」タンギングと音の出が合わないようなトロンボーン。硬い独唱。児童合唱がとても良い雰囲気を出しました。
「主なる父と、また」児童合唱はなかなか良いです。遅いテンポで雄大な音楽を作ろうとしているようですが、オケが鳴り切らないので豊麗な音楽にはならないところが残念です。

第二部、「森はこなたに揺らぎ」今ひとつ鳴りの悪い木管。しかし、音楽の流れは自然で、安心して音楽に身をゆだねていられます。オケの音色になれてしまえば、スケールの大きな音楽を作ろうとしているのが伝わってきます。作為的なところもなく作品に堂々とぶつかって行っている感じがします。響きに乏しい合唱もやはり気になります。
「永遠なる法悦の炎」声量不足か、オケから浮かび上がらない独唱。音程の怪しい木管。
「岩の断崖が、私の足もとで」当時の関西音楽界の総力を結集しての演奏なのだろうとは思いますが、やはり力量不足は否めないです。
「霊界の気高い人間が」児童合唱が時に透明感の高い歌声を聞かせることもありますが、やはり音程や響きの浅さがあります。
「地上の残り屑を運ぶことは」朝比奈の指揮は非常に落ち着いたテンポで堂々と進みます。
「世界を支配したまう最高の女王よ」艶やかな弦。細い声の独唱。テューバの存在感がとても大きいです。
「パリサイびとの嘲りにも関わらず」金管の強奏部分も絶叫することなく自然な流れです。
「世にも類もない御方よ」児童合唱がいかにも児童らしく可愛いのが良いです。
「なべて悔いを知る優しき者よ」力みのない自然な盛り上がり。
「すべて無常のものは」次から次から波が押し寄せるように音が押し寄せて来ます。ミキシングで不自然な部分もありましたが、堂々と終えました。この1972年に実際に1000人を擁して、「千人の交響曲」を演奏した偉業に対して敬意を表したいと思います。

技術的な問題はたくさんありますが、この時代にこの大曲を関西の音楽界挙げて取り組んだ記録として貴重なものだと思います。

マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」倍音を含んだ豊かな響きのパイプオルガン。高らかに歌われる合唱。僅かにマットな響きのブラスセクション。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」ゆったりと伸びやかに歌われる独唱。静寂感のある合唱の弱音。金管の強奏部分でもあまり音は迫って来ません。
「われらが肉体の脆き弱さに」キリッと浮かび上がるヴァイオリン独奏。後ろで合唱がゆっくりと流れます。細かな動きの部分もあまり雰囲気は変わらずに進みます。あまり表情の無いフルート。大きめに録られている独唱。全体の響きに埋もれる金管。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」残響成分をあまり含んでいないので、トゥッティのスケール感はあまり大きくありません。また、マットな響きのブラスセクションが色彩感を乏しく感じさせますが反面独唱は艶やかです。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速いテンポで突入しました。くっきりとしている独唱陣。途中テンポを落とした部分もありましたが、基本的には速いテンポで進みました。
「父なる主に栄光あれ」マットな金管と残響成分の少なさから編成が小さく感じます。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」ふわっと始まった弦のトレモロ。しばらくの緊張の後、穏やかな演奏です。極めて少ない人数で歌っているような合唱。
「永遠の愉悦の炎」深い感情を込めるバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」鋭く突き抜けるトランペット。バリトンに続いて感情のこもったバスの独唱。合い間に入るオケの動きも鮮やかです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」小さく定位するフルート。伸びやかさの無い合唱。
「地上の残り滓を運ぶのは」太いヴァイオリン独奏。平板な女声合唱でした。
「ああ、世界の統べたもう最高の女王よ」あまり伸びやかさが無いテノール独唱。グッと抑えられた合唱。穏やかなオケの弱音。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」優しい声質と表現のソプラノ独唱。奥まって響く金管。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」聖母は予想外の場所からの歌唱です。
「悔い改むる優しき方がたよ」細身のテノール独唱。大きな感情表現はせずに抑えた表現でした。抑えぎみで軽い金管。静寂感のある木管。
「移ろい行くものは なべて」内に込めるように静かに歌い始める合唱。最後は、圧倒的なエネルギー感はありませんでした。

残響成分を含まない録音で、編成が小さいように感じる演奏で、大宇宙が響き始める様子とは程遠いような感じでした。
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レイフ・セーゲルスタム/デンマーク国立放送交響楽団

セーゲルスタム★★★
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」セーゲルスタムにしては珍しく速めのテンポで、コンパクトな響きです。オケも控え目な感じがします。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」テンポを落としてゆったりと歌います。とても静寂感があります。独唱も絶叫することなく美しいです。金管も絶叫しません。テンポは良く動きます。
「われらが肉体の脆き弱さに」透明感のある合唱。艶やかなヴァイオリン独奏。とても感情の込められた独唱。テンポは良く動き、遅い部分ではテンポを落としたっぷりと表現します。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」豊かなホールの響きも伴って壮大な合唱。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速めのテンポで大きな頂点ではありませんでした。その後の弱音部ではテンポを落として歌います。清涼感があって爽やかな合唱。オケとパイプオルガンになる部分の前からかなりテンポを落として濃厚な表現でした。
「父なる主に栄光あれ」強大なエネルギーの放出はありませんが、美しい演奏でした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」フワッとしたアクセントで入った弦のトレモロ。テンポを落として深く歌うオケ。音が強い力を持って、心に刻まれることは無く、サラッと流れて行きます。人数が少ないように感じる小さくまとまった合唱。
「永遠の愉悦の炎」離れたところから歌うバリトン。オケに埋もれてしまいそうです。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」そんなに強くは吹かなかった金管。バスも遠くから聞こえます。離れていて、独唱の表情が分かりづらいです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」豊かでエネルギー感があって美しい女声合唱。金管はあまり強く吹かないので、色彩感は今ひとつです。
「地上の残り滓を運ぶのは」艶やかなヴァイオリン独奏。柔らく声量もあり表現力豊かなアルト独唱。合唱の中でも存在を保つテノール独唱。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」少し遠目で、生々しさは全く無い、テノール独唱。若干フワッとした響きで、締まった緊張感はあまり感じません。ゆったりと穏やかに音楽は流れて行きます。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」清潔感のある美しいソプラノ独唱。テンポはゆったりとしています。金管は抑え気味で、大きな振幅はありません。重唱は線が細くあまり強い印象は残りませんでした。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ここも遅めのテンポです。浅い響きの児童合唱。スタジオ録音の折り目正しい、よそ行きのような表現が、切実な主張を弱めているようです。聖母は少し遠い場所から響いてきます。
「悔い改むる優しき方がたよ」美しいテノール独唱。合唱も含めて、少しこじんまりとまとまっている感じでスケール感を感じません。柔らかい金管。音像が小さく、ミニチュアのように小さいステージを遠くから眺めているような感じの響きです。
「移ろい行くものは なべて」とても抑えられた合唱。美しいですが、開放されたようなエネルギーの爆発はありません。

スタジオ録音と言うこともあり、即興的な盛り上がりなどはなく、几帳面で折り目正しい演奏で、抑制された表現が一貫していて、宇宙が鳴り響く有様を表現するような壮大な表現はありませんでした。
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クリスティアン・ティーレマン/ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 2010年

ティーレマン★★
第一部「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ゆったりとしたテンポです。合唱に比べると金管がしっかりと響いてきます。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」合唱の弱音は抑えられていますが、豊かです。抑揚がはっきりしていて、弱音部と強奏部の対比が見事です。
「われらが肉体の脆き弱さに」控え目ですが、存在感のあるヴァイオリン独奏。盛り上がった後の、細かい動きの部分では、そんなに音量は落とさずに骨太の表現です。弦の揺れの後、バスから始まる独唱は次々と波が押し寄せるように色彩が入れ替わり見事でした。金管がしっかりと響きます。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」ゆったりとしたテンポで豊かな響きです。テンポは遅いですが、スケール感はあまり感じません。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」速めのテンポで入りました。合唱の人数が少ないのか、大きな空間を感じさせる響きはありません。
「父なる主に栄光あれ」非常にコンパクトにまとまっている感じがして、非日常体験ができるような演奏ではありません。最後はゆったりとしたテンポで壮大に終わりました。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」グッと押すような弦のトレモロ。シャープな木管。探るように進む減のピッィカート。途中でオケをかなり鳴らして躍動的な表現です。かなり抑えられて神秘的な合唱。
「永遠の愉悦の炎」柔らかいですが、あまり感情移入しないバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」軽いトランペット。バスもあまり感情移入はしていないようです。バックのオケはしっかり鳴っています。
「霊の世界の気高い人間がひとり」躍動感のある演奏です。やはり合唱の規模はあまり大きくないような感じの演奏です。
「地上の残り滓を運ぶのは」細い響きのヴァイオリン独奏の後ろで抑揚のある女声合唱。独唱の後の女声合唱の部分はゆっくり始まって次第にテンポを速めました。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」あっさりとしたテノール独唱。オケは豊かに響きます。浅い響きの合唱。女声独唱も浅い響きであまり訴えかけて来ません。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」少し遠くて柔らかいソプラノ独唱。少しくすんだ響きの金管。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」感情を抑えたようなソプラノ独唱ですが、安らぎ感があります。最後は思いっきり吐露しました。奥行き感の無い児童合唱。間接音を豊かに含んだ聖母。
「悔い改むる優しき方がたよ」優しい声のテノール独唱。しっかりと響く金管。
「移ろい行くものは なべて」緩い雰囲気の合唱。あまり突出しないソプラノ独唱。テンポを上げてクレッシェンド。あまり壮大に響かないクライマックス。

非常にスケールの小さな演奏は、全く曲に合っていませんでした。
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ウィン・モリス/ロンドン交響楽団

モリス
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ゴロゴロと言うような響きのパイプオルガン。ゆったりとしたテンポで空間への音の広がりを感じさせます。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」独唱とは呼応しない合唱。ここでもゆったりとしたテンポで、合唱、金管とも強奏部分をかなり強く演奏しています。
「われらが肉体の脆き弱さに」自由に揺れるヴァイオリン独奏。後ろの合唱も抑揚があります。盛り上がりの後の細かな動きの部分もテンポは遅く確実な歩みです。あまり表情の無いフルート。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」ここでもゆったりとしたテンポですが、力んでいるのか響きが若干硬いようです。次々に現れる楽器の色彩感は濃厚です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」ここでもゆったりと、そして豪快に金管を鳴らします。弱音部があまり無く、常に押して来る感じで、聴いていて疲れて来ます。
「父なる主に栄光あれ」オケと合唱の力比べのような競い合いのような雰囲気でした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」ここでも非常に遅いテンポです。間を持たせるのが大変そうな木管。音楽の振幅は大きいですが、あまりの遅さにこちらの集中力が持たなくなります。モリスには思い入れがあるのかも知れませんが、ねちっこい表現にも辟易としてきます。演奏している方も良く付き合っているなぁと思います。
「永遠の愉悦の炎」くっきりと浮かび上がるバリトン独唱。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」しっかりと響くトランペット。はっきりオケとは分離するバス。
「霊の世界の気高い人間がひとり」とても激しい演奏です。合唱もオケもかなり強く演奏しています。フルートの部分からテンポはゆっくりになりました。
「地上の残り滓を運ぶのは」サラッとした肌触りで美しいヴァイオリン独奏。女声合唱は大きくクレッシェンドしました。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」ナチュラルなテノール独唱。豊かに広がる合唱。ハープが強調されています。全ての音が前に出てくるので、聴いていて疲れてきます。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」ここでもゆったりとしたテンポで太い声のソプラノ独唱です。表現の幅が広いアルト独唱。空間に大きく広がるトゥッティ。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」ここでもゆったりとしたテンポです。近くで歌われる児童合唱。シャープに定位するソプラノ独唱。近くて明瞭な聖母。ちょっと近すぎのような感じがします。
「悔い改むる優しき方がたよ」壮大なスケールの合唱の広がり。割と淡々としたテノール独唱。硬質なトロンボーン。
「移ろい行くものは なべて」遠くから柔らかく響く合唱はとても美しい。ただ、音楽の歩みはあまりに遅く、こちらが演奏に集中できなくなります。オケの金管とバンダが左右に分かれています。

あまりに遅いテンポ設定で、聞きとおすにはかなりの覚悟が必要です。
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ハム・シンイク/KBS交響楽団

シンイク
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」柔らかい冒頭。トロンボーンなどはビンビンと響かず、ボーッと言う響きに近いです。合唱が弱い感じがします。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」爽やかな合唱の響きです。指揮者はとても若いです。独唱の声量も足りない感じがします。テンポもあまり動かず、音楽の起伏もあまり無く平板なイメージです。
「われらが肉体の脆き弱さに」穏やかな演奏で、表現に厳しさが無く、ちょっと鈍い感じがします。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」合唱のエネルギー感が明らかに不足しいます。金管のパワーも不足している感じがします。弱音と強奏の差があまり無く、ぐっと迫ってくるような音楽ではありません。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」圧倒的なパワーが不足しています。表現が緩く、ダラダラッと音楽が何となく流れて行っているようで残念です。
「父なる主に栄光あれ」児童合唱もオケに消されるような感じで弱いです。最後もパワーを感じることは無く、大きな盛り上がりはありませんでした。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り)」響きに深みは無いものの、和音などはきっちりと響いています。録音のせいなのか、全ての音が前に出てきてしまって、奥行き感が非常に乏しい。作品に感情移入することはあまり無く、さらっと流れて行きます。
「永遠の愉悦の炎」まだ人間の声に近いバリトン独唱。最後は大きく歌いますが、声量が不足しているように感じます。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」金管が飛び抜けてこないので、色彩感に乏しく感じます。この部分ではバスの独唱もオケも厳しい表現でした。金管が思い切って吹かないので、色彩感の乏しい、緩い演奏になっているようです。
「霊の世界の気高い人間がひとり」ゆっくりとしたテンポで練習しているような雰囲気です。抑揚を付けて表現する女声合唱。オケのパワーが不足しているのか、金管の積極性が足りないのか、とても色彩が淡白です。
「地上の残り滓を運ぶのは」合唱に比べると大きいヴァイオリン独奏やフルート。女声合唱が生の声に近いです。テノールがオケに負けて埋もれてしまいます。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」やはり人間の声に近いテノール独唱。ヴァイオリンの太く、繊細さを感じさせません。ヴァイオリン独奏は艶やかでした。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」独唱もオケも表現が緩く締まった緊張感や俊敏な反応はありません。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」児童合唱にも深みや奥行き感がありません。聖母はoffぎみのマイクポジションで遠くから響く感じは上手く表現されています。
「悔い改むる優しき方がたよ」どうしても人間の声で、楽器になりきっていないテノール独唱が気になります。金管がボワーッと言うような響きで入ってきて、色彩感を淡白にしています。
「移ろい行くものは なべて」雰囲気をガラッと変える合唱。深みがあってとても良い響きです。クライマックスのパワーは確実に不足しています。宇宙が鳴り響く有様には程遠い、現実的な響きで、圧倒的な雰囲気はありませんでした。

オケも合唱もまだ、力不足の感は否めない演奏でした。表現も緩く、表現の振幅も狭く、この曲を演奏したことに意義を感じさせるコンサートだったのではないかと思います。
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レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

バーンスタイン
第一部、「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」古い録音らしく、ラジオから聞こえるような音です。色彩感も乏しい録音です。
「いと高きにある恵みにて満たしたまえ」すごく遠い独唱。遠すぎて、表情なども伝わってきません。速めのテンポでどんどん進みます。歪みっぽくて、色彩感などもほとんど感じません。
「われらが肉体の脆き弱さに」僅かに聞き取ることができるヴァイオリン独奏。テンポは速めです。残響成分をほとんど含んでいないような録音で、音が痩せて聞こえます。1950年代の録音でしょうか。
「そが光にて、われらが感ずる心を高めたまえ」テンポを速めて歓喜が湧き上がるような表現です。
「現れたまえ、創造の主、聖霊よ」力感は感じられますが、いかんせん歪みっぽくて十分に伝わって来ません。
「父なる主に栄光あれ」響きが浅く、これだけの大編成の曲を聴くには録音の古さは致命的です。

第二部、「ポコ・アダージョ(森の梢揺らぎて靡き寄り」ノイズの中から聞こえる弦のトレモロ。遠い木管。響きが痩せていて、細かな表情が伝わって来ません。合唱も遠く木管にや弦に消されてほとんど聞こえてきません。
「永遠の愉悦の炎」遥か彼方から聞こえるバリトン独唱。あまりにも遠くて細かなニュアンスは分かりません。
「わが足もとで、岩の断崖が重たく」はっきりと登場するトランペット。オケの陰になってほとんど聞こえないバスの独唱。キンキンするヴァイオリン。
「霊の世界の気高い人間がひとり」遠いオケと合唱。歪みが酷くて聞き取り辛い。
「地上の残り滓を運ぶのは」艶の無いヴァイオリン独奏。独唱が遠くて、オケに隠れてあまり聞こえません。
「ああ、世界を統べたもう最高の女王よ」相変わらず遠くて細かな表情が聞き取れない独唱。オケの強奏が混濁します。
「パリサイ人の嘲りにもかかわらず」やはり非常に遠いソプラノ独唱。ほとんどニュアンスは分かりません。
「傾けさせたまえ、世に類いない聖母さま」非常にゆっくりとしたテンポです。児童合唱とオケが一緒になるとうるさい感じです。かなり遠くから聞こえる聖母。
「悔い改むる優しき方がたよ」幕の後ろで歌っているかのように聞き取りにくいテノール独唱。キツい音のヴァイオリン。速めのテンポで元気の良いトロンボーン。
「移ろい行くものは なべて」あまりに遠くてあまり動きが分からない合唱。強奏部分が歪んで聞き辛い。最後は速めのテンポですっきりと終わりました。

これだけ編成の大きな曲では、録音の古さは致命的でした。
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