シューベルト 交響曲第8番「未完成」2

たいこ叩きのシューベルト 交響曲第8番「未完成」名盤試聴記

ブルーノ・ワルター/ニューヨーク・フィルハーモニック

icon★★★★☆
一楽章、割と速めのテンポか。音楽の高揚に合わせてテンポが速くなったりしました、意外なところで一旦音量を落としてクレッシェンドがあったりと、かなり積極的な音楽です。
ワルターの人柄なのか、私にはピーンと張りつめたような緊張感が感じられないのですが、無用な緊張感を作らないところがワルターの良さなのかも知れません。
個人的には、緊張感や静寂感のある演奏が好きです。

二楽章、とても遅いテンポでの開始です。すごくたっぷりと歌っていて心地よい演奏です。
歌に溢れてしなやかなワルターの音楽の良さは「未完成」のような美しい曲にはピッタリです。

二楽章はとても良かったです。

カール・ベーム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、速めのテンポでしっかりと演奏されています。しっかりしたベースの上に音楽が乗っているような感じがします。タメどころはしっかりタメがあり音楽をしている感じが十分します。集中力が高く劇的な演奏です。ベルリン・フィルがいぶし銀のような音色で演奏しています。

二楽章、この楽章も速めのテンポで弛緩することなく演奏が続きます。美しく歌う木管のソロ。

二つの楽章を大きく捉えて音楽作りがされているような演奏で一気に「未完成」を聴かせてくれました。個人的には、もう少しテンポが遅めの方が好みでした。

レナード・バーンスタイン/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

icon★★★★☆
一楽章、速めのテンポの序奏、第一主題の伴奏の弦の表情がとても豊かです。テンポも積極的に動きます。第二主題も細かい表情付けがあります。力が湧き上がるような力強い演奏です。コンセルトヘボウの濃厚な色彩も十分に生かしたカラフルな演奏です。生命感や躍動感があり、表現の振幅も激しく、音楽が前に前にと進んで行きます。とても感情の込められた歌のある演奏でした。

二楽章、一転してゆったりと穏やかな演奏です。アゴーギクも随所に見られ豊かな歌です。美しいクラリネットとオーボエのソロでした。鮮明で鮮やかな音楽です。一音一音にしっかりと魂が込められたような重みが感じられます。テンポも動きますし表現の振幅も広いし、時に表現に凄味さえも感じる演奏です。最後のテンポを落としてゆっくりと演奏される音楽は、正に天にでも昇るような雰囲気の音楽でした。

バーンスタインの感性をストレートに表現した音楽でした。とても表現の幅の広い演奏で、特に最後のテンポを落とした表現は素晴らしかったですが、トゥッティで角が立って少し荒い感じがあったのが残念でした。

オトマール・スウィトナー/シュターツカペレ・ベルリン

icon★★★★
一楽章、ゆったりと、一音一音確かめるかのような丁寧な演奏です。
カラヤンのライブのようなボッテリした肥満ぎみの響きではなく、細身ですっきりしているのが、この曲には合っています。
ゆっくりのテンポでうねりながら音楽が高揚していく部分はすばらしいです。
とてもスケールの大きな演奏を聴かせてくれます。

二楽章、表情が豊かな演奏ですが、音楽はしっかりとした足取りで進みます。

オットー・クレンペラー/ウィーン・フィルハーモニー弦楽団

クレンペラー★★★★
一楽章、チェロとコントラバスのバランスが良い序奏。クレンペラーにしては珍しく大きく歌う第一主題。ゆったりとして穏やかな第二主題。クレンペラーって脱力系で何もしない人だと思っていましたが、この演奏は集中力も静寂感もあります。テンポも若干ですが、動いています。ダイナミックの変化も大きく起伏の激しい演奏です。

二楽章、中間部でも良く歌います。主部が戻ると速めのテンポで淡々とした演奏になります。やはり起伏が大きく積極的な演奏です。泰然自若がクレンペラーの持ち味だと思っていましたが、この演奏は作品への共感や積極性が感じられました。

泰然自若を持ち味にしているクレンペラーの演奏にしては、共感や積極性が感じられました。いつもはもっと脱力系で、あまり表情も無いのですが、どっちが本当なんでしょう。
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チャールズ・マッケラス/ジ・エイジ・オヴ・インライトゥンメント・オーケストラ

icon★★★★
一楽章、ゴリゴリとした音で歌う序奏。オーボエが強い第一主題。速いテンポで軽快な演奏です。第二主題は古楽器らしく鋭い響きです。演奏時間からするとそんなに速くは無いようなのですが、速い部分はとても速いです。強奏部分でもあまり実態の無いような透明な感じであまり量感を感じません。鋭角的で重心も高い感じです。

二楽章、弓が弦をこする音や木管のサラッとした音が強調されていて、普段シューベルトに感じている温度感とは違う感じがします。また、音を短く演奏するところもあり、古楽器の演奏らしいです。

とても涼しげで爽やかな演奏でした。作品が本来持っているものとは違うような気もしますが、この爽やかな響きはなかなか良かったです。
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ヤッシャ・ホーレンシュタイン/BBC交響楽団

ホーレンシュタイン★★★★☆
一楽章、ヒスノイズの中に雄大な序奏。柔らかく歌う第一主題。穏やかで抑えた第二主題。豊かな響きで柔らかい音質がとても良いです。トロンボーンもとても柔らかいです。悲痛な叫びのようなものは表現されず、とても柔らかく優しい音楽でした。

二楽章、冒頭のホルンからとても良く歌います。ゆったりとしたテンポで次から次からと豊かに歌い続けます。とても遅いテンポでゆっくりと歩くようです。クラリネットもオーボエも大きな表現です。トゲトゲしく出っ張る部分はなだらかにならされて、滑らかな肌触りになっています。

とても滑らかで、しかも豊かに歌う演奏でした。柔らかく優しい音楽はとても心地良いもので、作品の穏やかな面を良く表現したものでした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★★☆
1987年のライブ録音です。

一楽章、ジュリーニの演奏の直後に聴いたせいか、テンポの速さと落ち着きのなさを感じてしまいました。(注、カラヤンのテンポが一般的なテンポ設定でジュリーニが遅いのです)
ライブならではの、人気(ひとけ)が何ともいえない良い雰囲気を作っています。
ジュリーニの重厚な演奏に比べると、ライブならではの熱気があり、音楽が押し寄せてくるような迫力があります。
1987年と言えばカラヤンも晩年の演奏ということになりますが、ジュリーニの境地とはかなり違うと思わせてくれます。
まだまだ、燃えたぎるような情熱が溢れています。

二楽章、クラリネットのソロがとても上手い。スタジオ録音では磨き上げた音楽の造形美を聴かせるカラヤンですが、やはりライブだと、マイクセッティングの限界もあるので、磨き上げた美しさを聴くことはできませんでした。

ベートーベンやマーラーの作品であればライブの熱気はプラスに働きますし、熱気のために造形美が多少崩れても、伝わってくるものがあればOKの場合がありますが、こと「未完成」となると作品自体がとても美しい作品なだけにスタジオ録音が向いているのかもしれません。

ロヴロ・フォン・マタチッチ/NHK交響楽団

icon★★★☆
一楽章、かなり速めのテンポを取っています。強弱の振幅もコンパクトにまとまっています。
弱音部の木管は美しい音色でした。

二楽章、一転して、ゆっくりの二楽章です。
弱音部に神経を使った美しい演奏です。すごく感情のこもったクラリネットのソロ、オーボエのソロ!N響が、1973年でこんなに美しい演奏をしていたとは、正直驚きです。
天国へ昇って行くような最後でした。

一楽章はあっさりしていましたが、二楽章は濃密な演奏でした。
この当時のN響は、指揮者によって出来不出来の「差」が大きいと言われていましたが、この演奏は特に二楽章が良かったです。

イーゴリ・マルケヴィチ/フランス国立放送交響楽団

マルケヴィチ★★★☆
一楽章、ゴロゴロとした音の序奏。フランスのオケらしく開いた音の第一主題。盛り上がりに合わせてテンポが速くなります。第二主題はカチッとした硬い感じです。華やかですがすがしい響きです。雑味が無く澄んだ感じで、曲のイメージとは違い、爽やかな朝のイメージの演奏です。速めのテンポでサラッと過ぎて行きます。

二楽章、この楽章も速めのテンポで特に目立った表情も付けずにサラッと流れて行きますが、贅肉を削ぎ落としたようなスリムで透明感の高い響きです。トゥッティはかなり思い切って鳴らしています。

贅肉を削ぎ落としたようなスリムで透明感のある演奏で、雑味が無く爽やかでした。曲の本来のイメージとは違うような気がしますが、違った面を聞かせてくれたと思います。
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フランス・ブリュッヘン/18世紀オーケストラ

ブリュッヘン★★★☆
一楽章、チェロが大きめの序奏。速いテンポであっさりとした第一主題。独特の歌い回しの第二主題。トランペットが強いです。テンポは速くなったり遅くなったりします。テンポを落とした部分では伸びやかな音楽が聞けます。

二楽章、速めのテンポでどんどん進みます。古楽器独特のサラッとした響きでとても淡泊に感じます。作品に対する思い入れがあまり無いような感じで、感情を込めた表現などは無く、整然と楽譜に書かれているものを音にして行っているような感じの演奏です。

作品への思い入れなどは無く、整然とした演奏でした。古楽器ならではのスリムな響きの美しさはありましたが、それだけと言う感じを受けました。
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クラシック名盤試聴記 ・シューベルト:交響曲第8番「未完成」名盤 ・シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」名盤

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