シューベルト 交響曲第9番「ザ・グレート」5

たいこ叩きのシューベルト 交響曲第9番「ザ・グレート」名盤試聴記

オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★
一楽章、闇の中から明かりがともるようなホルンの序奏。強弱の対比もしっかりと付いています。クレンペラーの晩年の緩んだ演奏とは違い、締まりがあります。テンポは頑なに動きません。響きには集中力が感じられ、音が集まって来ているようです。テンポは本当に動きません。ちょっと間延びするような部分もあります。

二楽章、あまり歌わずにそっけなく過ぎて行きます。Bもテンポが動くことは無く、淡々としています。盛り上がったところでもテンポは変わらないので、やはり間延びした感じを受けます。テンポが変化する時は遅い方へ動きます。

三楽章、この楽章はテンポが遅めで重い感じがあります。トリオでは少し歌いました。

四楽章、冒頭より少ししてテンポが少し遅くなります。第二主題も遅めのテンポであまり弾みません。テンポは遅いですが、オケは集中力を保っています。やはりテンポは遅くなる方向に動きます。

ほとんどテンポは動かず、動いても遅い方へ動くので、緊張感を維持するのが大変です。オケも良く付いて来ていると思います。表現らしい表現も無く、頑なにテンポを維持する演奏に何を求めたら良いのか私には分かりませんでした。
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クラウディオ・アバド/ヨーロッパ室内管弦楽団

アバド★★
一楽章、あまり残響が無くデッドな中で演奏が始まります。軽い第一主題。第二主題も速めのテンポであっさりとした演奏です。第三主題も奥まっていて、クレッシェンドした後も弦に隠れています。残響が少ないからか、とても寂しい感じでとてもシンプルです。賑やかに盛り上がることが無く、とても静かです。オケは敏感に反応していますが、歌はあまりありません。トロンボーンや金管はとても控え目です。アバドは病気から復帰後、大音量を嫌ったと言われていますが、それが如実に表れている演奏です。

二楽章、奥ゆかしい歌です。強弱の急激な変化よりも滑らかに流れる音楽が印象的です。Bは速めのテンポですが、良く歌います。デッドな分楽器の動きがとても良く分かります。残響はあまり伴っていませんが、ピーンと張った美しい響きです。やはり金管に強奏はさせません。

三楽章、楽しそうに歌います。トリオは速めのテンポで動きのある演奏です。微妙なテンポの動きも見られます。主部が戻ると積極的な表現です。

四楽章、第一主題よりも僅かにテンポを落としてたっぷりと歌う第二主題。金管はとても控え目です。ベートーヴェンの歓喜の主題を引用した部分も良く歌いましたが、続くトロンボーンはほとんど聞こえません。金管がほとんど聞こえないくらいのバランスで演奏されるので、演奏の熱気のような盛り上がりがほとんどありません。コーダの勝利を勝ち取ったような歓喜の盛り上がりも当然ありません。

金管がほとんど聞こえないようなバランスで演奏する必然性が分かりません。楽譜に書かれていることを無視しているようにも感じます。弦や木管は豊かな表情で演奏していたので、金管のバランスにはがっかりでした。
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ポール・マクリーシュ/デンマーク放送交響楽団

マクリーシュ
一楽章、とても速いテンポであっさりと演奏されるホルンの序奏。一瞬力が入ったかと思ったらサッと抜く、独特の力の入り方と抜き方です。第一主題へ向けて急加速しました。とても速い第一主題です。テンポが速いので、良く弾みます。第二主題もものすごく速いテンポです。ちょっと速すぎて落ち着きがありません。トロンボーンは抑えられています。なぜ、これだけあわてた演奏をしないといけないのか分かりません。

二楽章、この楽章は一般的なテンポですが、ほとんど歌うことは無く、スッと力を抜く独特の表現です。

三楽章、冒頭から一般には強く演奏しない部分を強く演奏しました。トリオも表現は控えめであっさりとしています。

四楽章、この楽章は速めのテンポで、リズミカルです。強弱の変化にも敏感です。第二主題はほとんど歌わず平板です。オケはこの奇抜な演奏にも高い集中力で応えています。ベートーヴェンの「歓喜の主題」の引用部分もサラッと過ぎてしまいます。コーダもあっさりとしていました。

楽譜の研究や時代考証などから、独自の解釈を持ち込んでいるのだと思いますが、論理的には正しいものであっても聞いていて心地よくなければ、演奏する意味はあまり無いと思うのですが・・・・・。
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クラシック名盤試聴記 ・シューベルト:交響曲第8番「未完成」名盤 ・シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレート」名盤

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