シベリウス 交響曲第2番2

たいこ叩きのシベリウス 交響曲第2番名盤試聴記

マリス・ヤンソンス指揮 バイエルン放送交響楽団

ヤンソンス★★★★
一楽章、包み込むような柔らかい響きです。とても良く歌います。第二主題に向けてテンポを煽り緊張感を高めます。テンポが良く動きますが、速い部分はかなりスピード感があります。金管が奥まっていてあまり大きなクライマックスにはなりません。

二楽章、ゆっくりとした足取りの低弦のピィツィカート。控え目に始まって次第に大きくなるファゴットの第一主題。トランペットが特に奥まっていて抜けてきません。非常に柔らかい第二主題。テンポはとてもよく動きます。

三楽章、さらりと歌うトリオ。主部が戻って深みのある低弦。ホルンはしっかりと出てくるのですが、トランペットは奥まっています。

四楽章、ホルンはかなり強く吼えますが、弦のモチーフは穏やかでのどかな雰囲気のある第一主題。深く歌う第二主題。再現部に入る前はかなり加速減速しました。第二主題の再現の低弦のうごめくような音型に入る部分はなだれ込むような感じでした。切々と歌われる第二主題の再現。コーダのトランペットはやはり遠過ぎます。

いろんなことをした演奏で、聴き所も多いものでした。ただトランペットが奥まった録音はとても残念でした。
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ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 フランス国立放送管弦楽団 1956年ライヴ

ホーレンシュタイン★★★★
一楽章、遠くから近づいてくるような第一主題。フランスのオケらしくホルンがビブラートをかけています。劇的で振幅の大きな音楽です。激しい表現でぐいぐいと進みます。

二楽章、ゆったりとした低弦のピィツィカート。一歩一歩確かめるような確実な足取りです。柔らかいファゴットの第一主題。とても彫が深い濃厚な音楽です。動きがあって生き生きとした第二主題。第一主題の再現でもトランペットが濃厚です。ただ事では無いような深いところから音楽が湧き出してきて、かなり感情をぶつけてくるような演奏です。

三楽章、テンポはそんなに速くはありませんが、スピード感があります。とにかく激しいです。ギョッとするような生々しさ。トリオは速めのテンポですが、表現の振幅は非常に大きく、訴えかけて来ます。

四楽章、三楽章の混沌とした中から、ゆったりとしたテンポで伸びやかに勇壮に第一主題が演奏されますが、次第にテンポが速くなって、非常に力のこもった演奏になります。第二主題の木管の音にも力があります。テンポは良く動いています。第一主題の再現部ではかなりテンポが速くなります。第二主題の再現のクライマックスではまるで演歌を聴くような濃厚ベタベタな演奏になります。なかなか個性的です。コーダはもう絶叫です。

非常に濃厚で、ホーレンシュタイン独自の解釈で最後はかなりの粘着質な演奏になりました。すごく個性的で驚きのたくさんある演奏でした。
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グスターボ・ドゥダメル指揮 イェーテボリ交響楽団

ドゥダメル★★★★
一楽章、遅めのテンポで、アゴーギクを効かせてたっぷりと歌う第一主題。柔らかく控え目な木管。柔らかく美しい弦。ゆったりとレガートで演奏される部分と音を短く切る部分の対比がとても明確で雰囲気が一変します。金管もバランス良くブレンドされた響きで突出することはありません。

二楽章、あまり感情が込められていないような第一主題。この楽章でも金管は突き抜けることは無く控え目です。第二主題は穏やかで美しい演奏です。第一主題の再現では、北欧を感じさせてくれました。テンポのメリハリがはっきりしていて、動と静がはっきりしいます。とても良く歌う演奏で、テンポの動きも大きいです。

三楽章、軽い弦の動き。トリオではオーボエはもちろん、他の木管も弦もとても良く歌いますが響きに厚みが無いのと、金管のエネルギー感が無いのが残念です。

四楽章、柔らかい第一主題。控え目なトランペット。木管の第二主題の前の低弦もとても表情豊かでした。テンポを落としてゆったりとした表現は安らぎを感じさせるものです。クライマックスは淡々としています。コーダでも金管は強く吹いているようには感じますが、エネルギーとして伝わって来ません。

基本的にはゆったりとしたテンポでたっぷりと歌う演奏でした。特にテンポを落として安らかな表情はとても良い表現でした。ただ、トゥッティでのエネルギー感が無く、盛り上がりを感じられないのが残念でした。
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ジョージ・セル指揮 クリーブランド管弦楽団

セル★★★
一楽章、速めのテンポですが、良く歌う第一主題。ふくよかなホルン。精度の高いアンサンブルを聞かせる木管。かなり積極的な表現で激しい起伏があります。スタジオ録音だと精密機械のような精度の演奏をするセルもライヴだと、感情もこもって激しい表現の演奏になっています。それでもオケは一糸乱れぬアンサンブルです。ライヴならではのテンポの揺れ動きもあります。

二楽章、北欧を感じさせる幻想的なファゴットの第一主題。第二主題も活発で安らかさはあまりありません。トゥッティの響きがトランペットが突出して厚みがあまりありません。

三楽章、サラサラとした弦の響き。突き抜けて来るトランペットが豪快です。トリオに入る前に長い間がありました。アゴーギクを効かせて歌います。主部が戻るとかなり激しい演奏です。

四楽章、この楽章でもトランペットのエネルギー感がすごいです。静かで憂鬱な雰囲気の第二主題。再現部の盛り上がりではかなりテンポを速めてちょっと落ち着きのない演奏でした。テンポも良く動いています。コーダでは弱めに入ったトランペットが次第に力を増して終わりました。

ライヴらしい変化に富んだ演奏でしたが、常に動きのある演奏で、少し落ち着きの無い感じがありました。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★★
一楽章、速いテンポの第一主題。厚みのある弦が非常にダイナミックです。ピィツィカートも躍動感があって活発に動きます。第二主題は熱っぽいほどです。金管のファンファーレのアンサンブルの精度は見事です。

二楽章、雪原を感じさせるファゴットの第一主題。凄く広大なダイナミックレンジですが、シベリウスらしい寒さは感じられません。サラッとした肌ざわりの第二主題。雪原の夕暮れを感じさせるトランペットとフルートによる第一主題の再現。豪華絢爛に鳴り響く金管。とても豪華なのですが、感情が込められていたり、作品に対する共感などはあまり感じません。

三楽章、分厚いコントラバス。フワーッと響く金管。トリオの前は畳み掛けるような感じで弦のエネルギーは物凄いです。テンポも動いて深く歌うトリオ。弦の合奏は圧倒的でした。四楽章へ向けて次第にテンポを落として行きます。

四楽章、ゆっくりとしたテンポでトランペットが毅然としていなくて、軟弱でした。この楽章でも弦のエネルギー感は凄いです。展開部は暖かみがあって静かで穏やかです。あまりにテンポが遅くてそれでいて表現が淡白なので間が持たないところもあります。再現部に入る前のクレッシェンドは強烈でした。再現部の分厚く豪華な響きはさすがベルリンpoと感心させられます。コーダは倍管にした金管が圧倒的なパワーで朗々と凄いエネルギーで突き抜けて来ます。この響きは快感です。

倍管にした金管による四楽章のコーダは見事でしたし、弦のエネルギー感も素晴らしいものがありましたが、テンポ設定や表現に統一感が感じられず造形的な美しさが感じられませんでした。

John Storgards指揮 BBCフィルハーモニック

Storgards★★☆
一楽章、厚みのある第一主題。舞うように躍動する木管。彫が深く克明な演奏です。金管は奥まっていて、あまり強く出てきません。彫の深い演奏と思いましたが聴き進むにつれて、淡い感じがしてきました。柔らかくふんわりとした感じがします。

二楽章、ホールに響き渡るティンパニ。豊かな残響を伴った低弦のピィツィカート。大きく歌うファゴットの第一主題。ヴェールに覆われたような柔らかい弦。ティンパニが何度もクレッシェンドしています。第一主題の再現はうつろで不安な雰囲気があります。トランペットが奥まっているので、あまり強弱の変化は感じませんが、反面、ティンパニはかなり強調されていて、これがあまりアンサンブルが良くないのが気になります。コーダに入って弦が音を短く演奏する部分がありました。

三楽章、一音一音丁寧で落ち着いた弦。独特の歌いまわしのトリオのオーボエ。二度目のトリオの直前でもティンパニがクレッシェンドしました。

四楽章、穏やかな弦のモチーフにキリッと鳴るトランペットが対照的です。少し寂しげな第二主題。展開部はとても穏やかです。再現部ではやはり奥から芯のしっかりしたトランペットが響きます。やはりティンパニのアンサンブルの悪さが目立ちます。第二主題の再現部でも金管が前に出てこないので、大きな盛り上がりになりません。コーダも同様です。

金管が奥まっていて、トゥッティのエネルギー感が乏しく、盛り上がりを感じることはありませんでした。演奏にもあまり強い主張は無くあまり印象に残る演奏ではありせんでした。
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トーマス・シッパース指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック

シッパース★★
一楽章、速めのテンポですが、テンポも動いて歌っています。演奏は積極的で、活動的です。かなり自由にテンポが動いています。強弱の変化も独特の表現があります。

二楽章、美しいファゴットの第一主題。安堵感のある第二主題と華やかなフルートなどの木管。音を短く演奏する時があり、しっとりとしたこの作品には合わない表現があります。

三楽章、激しく雑に聞こえるトランペット。この楽章でも木管が音を短めに演奏する部分がありました。

四楽章、この楽章の冒頭でもトロンボーンが音を短く演奏しています。金管の響きが乾いていて硬いです。再現部のクライマックスはかなりテンポが速いです。コーダでもトランペットがフレーズの最後の音を短く演奏したりしました。

音を短く演奏することが度々あり、この作品のしっとりとした部分はあまり表現されませんでした。金管の硬い響きも作品とマッチしているとは言い難いものでした。
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エサ=ペッカ・サロネン指揮 スウェーデン放送交響楽団

サロネン★★
一楽章、速めのテンポで軽快に始まりました。第二主題の前はかなりテンポを上げました。展開部からはテンポを落として粘っこい演奏になりました。テンポは大きく動きますが、強弱の変化はさほど大きくありません。大きく歌うことも無く淡々と音楽は進みます。

二楽章、感傷にに浸るようなことも無く、淡々と演奏される第一主題。極めて静かに演奏された第二主題。サロネンの指揮をする姿からはかなり激しい演奏をしようとしているようなのですが、録音からはそのダイナミックな表現は伝わって来ません。ただ、ティンパニの凄い打撃だけは凄く印象に残ります。

三楽章、丁寧ですが、あまりスピード感の無い主部。テンポも微妙に動きしみじみと歌われるトリオ。

四楽章、速いテンポで流れるような第一主題。この楽章でもティンパニは強烈です。第二主題の前の低弦には動きがありましたが、第二主題はやはり淡々としています。展開部の第一主題は安堵感のある優しい演奏でした。第二主題は一転してすごく速いテンポです。歪っぽくザラついたコーダ。

とても客観的な演奏だったのですが、録音が歪っぽくて、美しさが伝わって来ませんでした。また、ほとんど片チャンネルのみ音が再生される状態で、演奏を捉えにくい状態でした。
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ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団 1957年

オーマンディ★★
一楽章、速めのテンポですが積極的に歌います。ふくよかなホルン。第二主題に入っても生き生きとした表情は変わりません。展開部の不穏な雰囲気も良く表現されています。録音された年代のせいなのか、トゥッティの厚みがあまりありませんでした。

二楽章、哀愁のあるファゴットの第一主題ですが、胸を打つと言うほど深いものではありません。トランペットは強力です。第二主題も現実的です。トランペットとフルートで再現される第一主題は雰囲気がありました。やはり低域があまりしっかりと捉えられていない録音のようです。

三楽章、活発な動きのスケルツォ。波が押し寄せるような音の洪水です。スタッカートぎみに演奏されるトリオのオーボエ。スケルツォ主部が戻ると再び嵐のような激しい流れです。

四楽章、サラサラと流れる弦に遠くから響くトランペットの第一主題。強奏部分で各楽器が有機的に結びついていないような散漫な印象を受けました。コーダのトランペットは最初は控えめに吹きはじめましたが、ティンパニのクレッシェントに合わせて全開になりました。

オーマンディの演奏にしては少し散漫な感じがしました。低域をあまり捉えていない録音にも問題があるような気がします。
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