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たいこ叩きのシベリウス 交響曲第3番名盤試聴記
サー・ジョン・バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団
★★★★☆
一楽章、とてもゆっくりとした第一主題。よく歌う第二主題。寒さや暗い雰囲気はとても良く表現しています。咆哮するホルン。一音一音に深い感情がこもった演奏で、かなりの手ごたえがあります。
二楽章、アタッカで入りました。ここでも感情のこもったフルートの動機が演奏されます。69年のライヴにしては録音状態は良いです。
三楽章、前半のアレグロは物凄く振幅の激しく攻撃的な演奏です。コラールは速めのテンポでかなり躍動感があって、前のめりです。ここも大きな振幅があります。フィナーレはトロンボーンがかなり強く出てきます。大きな盛り上がりでした。
フィナーレはライヴ独特のバランスの悪さは感じましたが、感情の込められた振幅の大きな演奏はなかなか良かったです。
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Kalle Kuusava 指揮 ノルウェー放送交響楽団
★★★★
一楽章、速いテンポで大きな表現の第一主題。とても活発に動く演奏です。第二主題は冷たく寒い雰囲気を良く表現しています。会場が小さいのでオケの編成も小さく弦は3プルトしかありません。その分とても機動的にくっきりとした輪郭の演奏になっています。編成が小さいので、金管をかなり抑えてバランスを取っています。
二楽章、良く歌う木管。ほの暗い陰影をとても良く表現しています。
三楽章、フィナーレのコラールからコーダへ向けてテンポを上げて切迫感のある表現もなかなか良いです。ホルンは思い切り咆哮しますが、トランペットやトロンボーンは控えめです。
豊かな表現と思い切りの良いテンポの動きなど、個性を十分に表出した演奏でなかなか良かったです。ただ、会場の問題で編成が小さかったのがとても残念です。もう一度大きな会場での演奏を聞きたいです。
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パーヴォ・ベルグルンド指揮 ヨーロッパ室内管弦楽団
★★★★
一楽章、豊かな残響を伴って生き生きとした第一主題。第二主題も動きのある活発な演奏です。とても精緻なアンサンブル。奥ゆかしい歌と、バランスの良い美しい響き。
二楽章、神秘的で深みのある木管の動機。
三楽章、楽器の動きが克明に描かれる序奏。切々と語りかける後半部。終結部でもオケを無理に強奏させることなく、非常にバランス良く響かせていました。
とても精緻で、美しい響きで奥ゆかしい表現の演奏でしたが、二楽章までほとんど金管の存在を感じないくらいのバランスだったのが不思議な感じでした。
ネーメ・ヤルヴィ指揮 イェーテボリ交響楽団
★★★★
一楽章、生き生きと動く第一主題。暗く寒さを感じさせる第二主題。金管は全開とまでは行かず、僅かに余力を残していて、少し小さくまとまっている感じがあります。
二楽章、ほの暗いフルートの動機。作品の雰囲気をとても良く伝える演奏です。作品をいたわるような穏やかな表現。強い個性を表出しないので、作品のありのままの良さがとても良く伝わって来ます。
三楽章、弱音に重点を置いているようで、前半のスケルツォの部分でも活発な動きや激しさはありません。コラールは速めのテンポであっさりとした表現です。最後も咆哮することは無く小さくまとまった演奏のまま終わりました。
強い個性の表出が無かったので、作品の良さはとても良く伝わって来ましたが、小さくまとまってしまってたいのがちょっと残念でした。
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