シベリウス 交響曲第5番2

たいこ叩きのシベリウス 交響曲第5番名盤試聴記

ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮 モスクワ放送交響楽団

icon★★★
一楽章、伸びやかに大きく歌うホルンですが、独特の響きは好き嫌いが分かれそうです。続く木管は涼しげです。やはりこの曲でもトランペットは強烈です。劇的で振幅の大きな表現。とても激しい音楽になっています。この曲がこんなに激しい曲だったか?と思わせるほど激しい演奏です。嵐のように強烈に吹き荒れる音。表現もすごく積極的です。ギンギンのコーダ。凄い演奏です。
二楽章、この楽章でも積極的な歌は変わりません。本当に良く歌います。振幅の大きな演奏も変わりありません。この曲はもっと穏やかな曲だと思っていましたが、この考えを根底から覆すような演奏です。
三楽章、激しく箒で掃くようなホルン。アクセントを付けて短めに演奏します。トランペットはホルンほど強いアクセントにはなっていませんが、ブレスがはっきりと分かる演奏は少し雑に感じます。まさに咆哮と言うにふさわしい絶叫です。

とにかく強烈な演奏でした。シベリウスも演奏によってこんな風にもなるんだ。と言う驚きに満ちた演奏でしたが、これはシベリウスの音楽ではないと思いました。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カラヤン★★★
一楽章、大自然を感じさせる伸びやかなホルン。透明感があって生き生きと動く木管の第一主題。緊迫感のある第二主題。やはりこの曲でも豪華に鳴り響くトランペット。カラヤンのセッション録音では良くある演奏ですが、表面はとてもきれいなのですが、内面に深く切り込むような表現がありません。コーダは豪快に鳴り響きます。
二楽章、あまり表現は無く、淡々と朴訥とした主題。変奏もあまり深い表現も無く、美しく過ぎて行きます。
三楽章、疾走感のある第一主題。激しさも思い切った激しさではなく美しさを意識したものです。ホルンの鐘の響きはレガート奏法であまり鮮明ではありません。快活で動きのある木管。終結の金管の豪快な鳴りっぷりは見事でした。倍管にした狙いは見事に反映しています。

おおむね淡々とした表現で、深く切り込むような表現はありませんでした。ただ、終結の豪快な金管は見事でした。

ユッカ=ペッカ・サラステ指揮 オスロ・フィルハーモニー管弦楽団

サラステ★★★
一楽章、美しいホルン。北欧の澄み切った空気を連想させるような木管の第一主題。大きな表現や主張はせず、作品そのものを忠実に演奏することによって作品の美しさを表現しようとしているようです。波打つような金管。飛び跳ねるように躍動する木管。最後はかなり速いテンポになって終わりました。
二楽章、ライヴとは思えない、とても澄んでいて美しい演奏です。ただ、冷たさはほとんど感じません。ライヴを感じさせないほどの静寂感です。
三楽章、引き締まった第一主題。ホルンの鐘のモチーフからの盛り上がりも見事でした。淡々と演奏される第二主題。この楽章も最後は速くなりました。

冷たい空気感は感じない演奏でしたが、非常に美しい演奏でした。感動的に盛り上がるところでテンポを速めて行くので、感情があふれ出ることはありませんでした。
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ウラディーミル・アシュケナージ指揮 フィルハーモニア管弦楽団

アシュケナージ★★★
一楽章、遠くから近づいて来るようなホルン。氷のような冷たさを感じさせる木管の第一主題。シベリウスらしい冷たい空気が支配しています。スケルツォ主題は生き生きとした躍動感がありますが、響きは透明感があって美しいです。
二楽章、作品に真摯に向き合っているようで、とても真面目な演奏です。
三楽章、前へ進む力はあまり感じない第一主題。最後はあまり落ち着きの無いあっけらかんとした終わり方でした。

冷たい空気感と真摯に作品に向き合った演奏でしたが、最後の落ち着きの無いあっけらかんとした演奏で全体のバランスが保たれていない感じがしました。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1965年)

カラヤン★★☆
一楽章、おそらくザイフェルトであろうホルンのふくよかな演奏。艶やかな木管の主題。冷たい空気感はありません。後のEMIとの録音のような豪華絢爛な感じは無く、作品には正直な演奏です。ただ、シベリウスにしては余分な贅肉が付き過ぎている感じで、ブヨブヨとした響きです。
二楽章、速めのテンポですが、色彩は濃厚です。余分なものを削ぎ落としたような純粋な感じはありません。
三楽章、疾走感のある第一主題ですが、やはり響きがふくよか過ぎます。第二主題も豊かな響きでふくよかです。コーダではテンポを速めました。

シベリウスらしい余分なものを削ぎ落としたような純粋さは無く、かなりふくよかな演奏でした。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 フィルハーモニア管弦楽団

カラヤン★★☆
一楽章、引き締まったホルン。少し冷たい木管の主題。第二主題も鋭い響きです。後のベルリンpoとの録音のようなふくよかさや豪華絢爛な演奏ではありません。大きな表現はありませんが、突き刺さってくるような鋭い響きが特徴的です。コーダは激しい演奏です。
二楽章、素朴な表現の主題。
三楽章、あまり前へ進もうとはしない第一主題。ホルンの鐘のモチーフは少しバリバリと演奏するので、荒く聞えます。少し寂しさを感じさせる第二主題。豪快に鳴り響くコーダですが、少し雑な感じもします。

引き締まって鋭い響きで、冷たい空気感もありましたが、荒く雑な感じもありました。
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ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団

ブロムシュテット★★
一楽章、デッドですが歌うホルン。潤いのある木管。デッドな録音でどの楽器も全て前に出てきます。ヒスノイズが盛大です。トランペットも輝かしく美しいです。
二楽章、一昔前に比べるとN響もとても良く鳴るようになりました。ライヴですが、伸びやかに鳴ります。ただ、寒さは感じません。
三楽章、積極的な表現ですが、前へ進む力はあまり無い第一主題。浅い響きのホルンの鐘のモチーフ。コーダでテンポを速めました。

かなりの熱演でしたが、デッドな録音で全ての楽器が前に出で来るので、奥行き感が無く浅い響きになりました。また、冷たさも感じさせませんでした。
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ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮 BBCフィルハーモニック

ホーレンシュタイン
一楽章、古いライヴならではのデッドで近接した音場感です。速めのテンポであまり感情を込めずに進みます。トランペットの汚い響きで、シベリウスらしい自然の清々しさを感じることが出来ません。
二楽章、温度感は高く、冷たい空気はありません。
三楽章、スピード感はありますが、かなり太い響きの第一主題。かなり活発に動く演奏で、積極的な表現です。最後は盛大に盛り上がりましたが、やはり雑な響きで、シベリウスらしい精錬さはありませんでした。

速めのテンポで力強く進む演奏でしたが、古いライヴ録音らしく、トゥッティでの雑に聞える響きがシベリウスらしさを削いでいました。
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ユージン・オーマンディ指揮 フィラデルフィア管弦楽団

オーマンディ
一楽章、録音が古いせいか硬い響きのホルン。木管の第一主題も団子になるような塊に聞えます。騒々しいトゥッティでシベリウスらしい無駄なものを削ぎ落とした精錬さは感じません。コンベアに乗った流れ作業のように処理されて行く音楽。冷たさや自然を感じることもありません。むしろ都会的な雰囲気さえあります。
二楽章、慌ただしくやはり騒々しいです。
三楽章、豊かな表情と疾走感のある第一主題ですが、荒々しさがあります。ホルンの鐘のモチーフは痩せていて豊かな響きではありません。熱気さえ感じさせる演奏で、シベリウスの音楽のイメージとは遠い演奏でした。

録音の古さもあり、騒々しく暑い演奏でした。表面だけを取り繕ったような演奏であまり良い演奏とは思えませんでした。
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