チャイコフスキー 交響曲第5番3

たいこ叩きのチャイコフスキー 交響曲第5番名盤試聴記

ウラディーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団 1991年フランクフルトライヴ

フェドセーエフ★★★☆
一楽章、クラリネットの後ろの弦が大きな抑揚で伴奏しています。クラリネットの運命の動機はそれほど暗くありません。少し速めのテンポの第一主題は感情を込めて歌います。弦のエネルギーがとても強いです。展開部の第一主題はゆっくりとしたテンポでさらにテンポも動いて豊かに歌います。遅いテンポを基調に、ロシアのオケの特徴の力で押し切るような演奏では無く、しなやかで洗練された演奏です。

二楽章、暗闇から静かに響いて来るような序奏。あまり大きな抑揚は無く静かです。ロシアのオケらしくビブラートをかけたホルン。そのビブラートも大きくは無く自然で美しいです。第二主題も自然で大きくは歌いません。ゆったりと穏やかな弦の第一主題。第二主題も静かで穏やかに始まります。運命の動機へ向かって急加速します。かなり大きなエネルギーです。第一主題の再現もとても美しいです。分厚い弦を突き抜けるように強く響く金管。

三楽章、速いテンポですが、優雅な主要主題。中間部の弦の細かい動きの精度も高いです。

四楽章、速めのテンポで最初はちょっと雑かな?と感じましたが、しっかりと身のある演奏になって行きます。強く刻み込まれる第一主題。第二主題は感情を込めて歌います。速いテンポでかなり高揚感のある演奏です。どんどんテンポを煽って激しさが増して行くと思ったら遅くなったりもします。コーダに入るとやはりトランペットが強烈に突き抜けて来ます。最後は猛烈なアッチェレランドで盛り上がって終わりました。

四楽章のコーダまではとても良い演奏でした。しなやかで洗練されていて、穏やかな表現もあるロシアらしさはあまり感じさせない演奏でしたが、四楽章のコーダから強烈に突き抜けるトランペットと猛烈なアッチェレランド。このアッチェレランドが曲の流れを壊したような感じがしました。
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エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★
一楽章、レニングラードpoはドイツ・オーストリアのオーケストラとは全く違う音色を持っています。
冒頭のクラリネットの陰鬱感の表現などレニングラードpoならではです。
また、ムラヴィンスキーの指揮はもう少し若い世代のロシアの指揮者の多くが爆演型なのに対してムラヴィンスキーの音楽は紳士的で格調が高いです。
この演奏では、少し速めのテンポで、あまり濃い表情付けはしていない感じもしますが、金管が入る部分ではクレッシェンドを多用します。

二楽章、この楽章にはもう少し安らぎのような安堵感を求めたいと私は思うのですが、ここでも厳しい雰囲気が続きます。
また、ホルンのソロも締まった音質でふくよかさには欠けます。クラリネットの低音域などもコ゜ムホースにマウスピースを付けて吹いているような音色で、どう考えても高級な楽器は使っていないような感じがします。
それでもこれだけ集中力の高い演奏をするのには驚かされます。

三楽章、この楽章も速めのテンポを取っています。快速です。もう少しゆったりと味わいがあっても良いような気がしますが・・・・・・。

四楽章、決して爆演ではありませんが、剛の演奏です。激しい。
チャイコフスキーの後期の交響曲のうち、この5番が一番優しい音楽だと思うのですが、ムラヴィンスキーの手にかかると、鬼の形相に変化してしまうと言ったら言い過ぎでしょうか。

豪快な演奏でした。

エフゲニー・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 1983年3月19日(ステレオ)

icon★★★
一楽章、レニングラードpo独特の音色です。ガラガラと鳴るクラリネット、鋭いバイオリン、細く筋肉質のホルン。
速めのテンポであまり表情もなく音楽が進みます。表情の変化はあまりありませんが、終始厳しい表情のままと言った方が適当でしょう。
楽譜に指定のないクレッシェンド、それも一旦音量を落としてからのクレッシェンドがいくつかありました。

二楽章、ビブラートをかけて、ちょっと詰まったような音色のホルンです。もっと伸び伸びとした音色を求めたいところですが、これもレニングラードpoの伝統であり、代々受け継いでいってもらいたい個性です。

三楽章、

四楽章、この楽章も一楽章と同様に速いテンポです。
また、音楽のスピード感と言うか疾走感もムラヴィンスキーの演奏の特徴でもあると思いますし、魅力でもあると思います。

コーダへ向けての音楽の高揚感はすばらしいものがあります。

ロヴロ・フォン・マタチッチ/NHK交響楽団

マタチッチ★★★
一楽章、暗闇から響いてくるような運命の主題。きびきびとした動きで強弱の変化に敏感な第一主題。トゥッティの響きは少し薄い感じがします。揺れ動くように歌う第二主題。力強く前へ進む展開部の第一主題。コーダで一旦テンポが速まって、鋭いトランペットが響きます。

二楽章、伸びやかさが無く委縮したような響きのホルン。弦の第一主題はテンポも強弱も変化がありました。中間部に入るとテンポが速く激しい波が押し寄せて来ます。大きく盛り上がって、運命の主題は切れのある演奏でした。タメが無くどっしりとした演奏ではありません。

三楽章、柔らかく繊細な弦の主要主題。この楽章も速めのテンポで流れるような音楽です。くっきりと浮かび上がる弦と木管。

四楽章、小さくまとまった弦の序奏。トランペットはすっきりと鳴り響きます。第一主題も弦が弓をいっぱいに使ったわうな豪快さはありません。木管の第二主題はあまり表情がありませんでしたが、弦に主題が移るととても豊かな表情になりました。マタチッチらしい雄大なコーダ。

四楽章の中間あたりからはマタチッチらしい豪快で雄大な演奏でしたが、二楽章のホルンや四楽章の序奏の弦など、萎縮したような小さい演奏になっていたのが、不自然な感じがしました。
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リッカルド・シャイー/ベルリン放送交響楽団 1983年ライヴ

シャイー★★★
一楽章、豊かな残響を伴っていますが、ドイツのクラリネットの響きとは少し違う感じがします。速めのテンポで明るい第一主題。割と色彩ははっきりとしています。自然に歌う第二主題。展開部に入ると推進力のある演奏になります。

二楽章、暗雲が立ち込めるような序奏。細く芯のあるホルンですが、伸びやかに歌います。弦による第一主題はホルンと違ってあっさりとしています。弦に現れる第二主題は速めのテンポであっさりと演奏されます。中間部のクラリネットも速いテンポです。その後も速いテンポを維持して、盛り上がった運命の動機は少しテンポを落としますが、かなり余裕のある響きです。続く弦の第一主題はゆっくりと歌いますが、次第にテンポが速くなります。コーダの前のクライマックスでは波がうねるように複雑に絡み合う楽器の動きがとても良かったです。

三楽章、テンポが速く流れるような主要主題。テンポの動きが少しありますが、基本的にはあっさりとした表現でとても爽やかに進んで行きます。

四楽章、ゆっくりと柔らかく穏やかな序奏。金管が入ってもテヌートぎみでなだらかな盛り上がりです。急に活発に動き出す第一主題。強奏部分でも荒げることは無く、とても美しい響きです。コーダも速いテンポですが、奥まったところから響くトランペットが大きな盛り上がりを妨げているように感じます。

基本的には速めのテンポで大きな表現や強弱の変化もあまり大きくない演奏で、あまり強い個性は感じませんでした。
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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

朝比奈★★☆
一楽章、いつものように遅めのテンポでじっくりと音楽が進んで行きます。スケールが大きく懐の深い音楽です。
ゆったりとしたテンポで朗々と歌われる音楽にも惹かれるものがあります。朝比奈が師事したメッテルもロシア人であり、指揮者として最初に演奏したのが、この曲です。
そういう意味では、朝比奈の十八番なのかもしれません。
しかし、この頃にはすでにブルッナー指揮者としての名声が確立しているし、ベートーヴェンの演奏でもすばらしいCDを残しています。
この演奏でも、チャイコフスキーの優雅さよりも、どっしりと構えた重厚な音楽になっています。

二楽章、ホルンの音色に深みがあまりなく、細い音なのが少し残念なところです。
朝比奈らしく無理やり金管を吹かせるようなこともなく、自然体で、音楽に身を任せることができる演奏です。

三楽章、

四楽章、伸びやかで豊かな響きが魅力的、ゆったりとしたテンポも豊かさを感じさせてくれるのだと思います。

ただ、自然体で作品に語らせるタイプの指揮者なので、他に語り口の上手い指揮者による演奏も多いだけに、この曲を面白く聴かせてくれるわけではないので、不満に感じる部分もあると思います。

アラン・ギルバート/ニューヨーク・フィルハーモニック

ギルバート★★☆
一楽章、あっさりとした運命の動機。さらりと歌う第一主題。交錯するような金管。第二主題も速いテンポであっさりとしています。金管はかなり強く咆哮します。奥まって響く弦とは対照的です。

二楽章、感情のこもった深い序奏。僅かにビブラートのかかった丁寧なホルンのソロ。生き生きとした表情の弦の第一主題。中間部のクラリネットはアゴーギクを効かせて歌います。ファゴットは少し遠いです。突然犬の鳴き声がします。野外コンサートのようです。運命の動機の強奏はゆったりとしていて、穏やかなトランペットとビリビリと響くトロンボーンが対照的です。運命の動機の後は速いテンポでどんどん進みます。二回目の運命の動機は速いテンポでした。

三楽章、野外コンサートでも集中力を保って良い演奏を続けています。中間部の弦の細かい動きはゲツゲツせずにソフトでした。繊細な表現の弦はなかなかです。微妙なテンポの動きもあります。

四楽章、サクッと歯切れの良い運命の動機。第一主題の前の金管はかなり強く演奏しました。穏やかで繊細な弦と奥まった木管、激しい金管とセクションによって性格の違う音楽を奏でているような感じです。コーダもマットで穏やかな弦に金管が襲い掛かるような激しさです。最後はテンポを速めて強烈な金管の演奏でした。

野外コンサートと言う事もあって、条件は悪かったのだと思いますが、それでも集中力を保った演奏でした。穏やかで繊細な弦と奥まった木管、激しい金管とセクションによって性格の違う音楽を奏でているような感じで、特に金管の激しさは少し違和感がありました。
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ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★
一楽章、流れるような演奏なのですが、ハイティンクの演奏のような透明感には乏しいです。
これは、ベートーヴェンのときにも感じたことなのですが、カラヤンの演奏には厚みはあるのですが、透明感がないです。僅かに濁った厚みのある響きの上に旋律が乗っかるのですが、その旋律にも深みが感じられません。
今では廃盤になってしまっているハイティンクの演奏がいかにすばらしいか改めて感じることができました。音楽の透明感と深みはハイティンクの演奏の方が遥かに上です。

二楽章、カラヤンのチャイコフスキー支持者はたくさんいらっしゃると思っていますが、私にはチャイコフスキーの5番はハイティンクが不動のベストなのです。
他の演奏が安っぽく聞こえてしまう。
低音を僅かに先に演奏させるカラヤンの考えに従ってのピチカートですが、全然揃いません。まるでハープのようです。
私たちは、市場にある膨大な数のCDを全て聴くことはできません。だから評論家の「推薦」の文字を信じて盲目的にCDを買ってしまうわけですが、実際には、すばらしい演奏の一部が闇に葬られて行っているのも事実なのではないかと思います。

三楽章、突然大きな音で短い音を吹くホルンが滑稽です。世界最高のオーケストラと言われるベルリンpoの音がどうしてこんなに透明感がないのでしょうか。

四楽章、激しいティンパニのクレッシェンド。この演奏を聴くとチャイコフスキーの音楽が低俗なものに聞こえてしまいます。仕掛けや演出がなくても、すばらしい曲なのに・・・・・・。

ロリン・マゼール/クリーブランド管弦楽団

マゼール★★
一楽章、あまり大きな表情の無い運命の動機。ただ、響きは分厚いです。ザラッとした弦の刻みに乗って豊かに歌う第一主題。マルチマイクなのか、トロンボーンのタンギングがはっきりと分かります。弦も金管も明快に反応するパリッとした表現で細部までスッキリと見通せる演奏です。

二楽章、抑揚のある序奏。ふくよかで美しいホルンのソロ。第二主題もくっきりとしています。弦で演奏される第一主題は速めのテンポになります。近接したマイクポジションのおかげで、目の覚めるような新鮮な音になっています。クラリネットの旋律の前からテンポが落ちて、クラリネット、ファゴットととてもゆっくりとした演奏です。明るくシャープな響きの運命の動機。響きは原色の濃厚な響きですが、表現は意外とあっさりしています。

三楽章、シャープで生き生きとした主要主題。中間部の弦の細かい動きにもアクセントが付けられています。終わり近くで突然音量を落とすことが二度ありました。

四楽章、後ろで動く弦が活発な序奏。ティンパニは僅かなクレッシェンドでした。落ち着いた第一主題。金管の運命の動機はゆっくりと穏やかに演奏されます。その後急にテンポが速くなります。めまぐるしいテンポの変化であまり落ち着きがありません。コーダの運命の動機もとても速く軽い表現で、大きな盛り上がりはありませんでした。

マルチマイクで、細部まで見通せる明晰な演奏でしたが、突然の音量の変化やテンポのめまぐるしい変化に付いて行けませんでした。最後の運命の動機の速いテンポでの軽い表現も肩透かしでちょっとがっかりな演奏でした。
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イーゴリ・マルケヴィチ/ロンドン交響楽団

マルケヴィチ★★
一楽章、速めのテンポであっさりと演奏するのかと思ったら、大きな間を取ったりもします。とても暗い響きです。第一主題は鋭いリズムのキレのある歌です。トロンボーンなどはかなり吹きますが意外と軽いトゥッティです。テンポは速く、金管がオンマイクでかなりデッドで奥行き感がありません。テンポが速い分、リズムの乗りはとても良くリズムに合わせて音楽が抑揚します。コーダもとても速いです。

二楽章、サラッと流れていくようですが、かなりの抑揚があります。太く柔らかいホルンのソロ。前へ進む力の強い第二主題。弦だけの盛り上がりもかなり大きいです。透明感の高い中間部のクラリネット。かなり強い運命の動機ですが、やはりオンマイクでデッドなので、金管の響きが浅く余韻がほとんどありません。積極的な表現のトランペット。二度目の運命の動機も強烈に響くトロンボーン。

三楽章、速いテンポでセカセカした主要主題。ファゴットもとても速いです。中間部は凄いスピード感です。

四楽章、あまり厚みが無く軽い運命の動機。この楽章も速いテンポです。響きが浅く軽い演奏です。第一主題はやはり金管が激しいです。ティンパニも残響をあまり伴っていないので、トントンと軽く響きます。ゆっくりと噛みしめるようなコーダ。金管の短い音が凄く短く違和感があります。最後はテンポを速めて終わりました。

基本的に速いテンポでリズムの乗りの良い演奏でしたが、金管がかなりのオンマイクで余韻も無く軽く浅い響きに支配されていました。速いテンポも影響しているのかも知れませんが、深みの無い演奏であまり共感できませんでした。
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オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★
一楽章、静かに始まった運命の動機ですが、急に強くなり音色も変化して行くクラリネット。ほとんど感情を込めずに演奏される第一主題。それでも金管はかなり激しく演奏します。第二主題も速いテンポで素っ気無い演奏です。トロンボーンなどはかなり激しく強奏して迫って来ます。引き締まって豊かな表情の部分もあります。私は、クレンペラーと言う人がよく分かりません。全く感情を込めずに脱力したような演奏があったかと思うと、凄く力感溢れる演奏があったり、何が実像なのかつかめないのです。

二楽章、箒で掃くようにさらっとした序奏。非常に豊かな表情のホルンのソロ。くっきりとしたオーボエの第二主題。芳醇な弦の第一主題。壮大な運命の動機。最後はたっぷりと歌う、クラリネットでした。

三楽章、生き生きと爽やかな主要主題。中間部はシャープに動く弦。

四楽章、かなり強めで堂々とした運命の動機。大きな表現の第一主題。ゆったりとしていて雄大です。テンポも遅く重い金管。頑として動かないテンポで音楽の間が持たない感じを受ける部分もあります。コーダに入った後に僅かにテンポが速くなりましたが、最後はまた元のテンポで重く終わりました。

楽章が進むにつれて音楽が重くなってきて、最後は勝利の喜びとは違う空気でした。
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ミハイル・プレトニョフ/ロシア・ナショナル管弦楽団

プレトニョフ★☆
一楽章、ニュートラルでストレートなクラリネットの運命の動機。あまり暗さはありません。適度な歌でテンポも中庸な第一主題。金管は凄く控えめです。金管が控えめだったのは最初だけで、その後は普通のバランスで適度に響いています。特に目立った表現も無く中庸の演奏です。

二楽章、控えめですが、残響を伴って緩やかなビブラートで美しいホルンのソロ。前面で演奏される弦の第一主題と奥まったところで響くホルンの対比が美しいです。運命の動機の強奏は速いテンポで金管が強く響きます。その後は速いテンポで進みます。ロシアのオケらしいドギツイ強烈さは無く、すっきりと爽やかな響きのオケです。

三楽章、テンポの動きはほとんどありません。中間部は繊細な弦の動きが美しいです。

四楽章、かなりたっぷりと演奏される運命の動機。徐々にクレッシェンドするトランペット。かなり速い第一主題は切り込むように鋭く食い込んで来ます。大きな仕掛けなどは無く、楽譜に忠実な演奏です。その分個性はありません。また、響きにも極上の美しさが無いので、ちょっと厳しい感じがします。朗々と歌うコーダのトランペット。

強い個性や主張は感じられない演奏でした。楽譜を忠実に音にする演奏だったと思います。響きに極上の美しさが感じられなかったので、この演奏に惹きつけられることはありませんでした。
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ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団

ヤルヴィ
一楽章、黒い雲が空を覆い尽くすような暗い運命の動機。薄いカーテンの向こうから響いて来るような第一主題。金管はそれなりに鳴りますが、あまりスケールの大きな演奏ではありません。大きく音量を変化させて歌う第二主題。力みがあるのか、トゥッティは少し硬直した響きに感じます。ファゴットの第一主題は哀愁に満ちた美しいものでした。

二楽章、詰まったようなホルン。凄く小さく委縮したようなソロです。弦の第一主題も伸びやかさがあまりありません。中間部のクラリネットはゆっくりとしかも大きくアゴーギクを効かせて歌いました。運命の動機はテンポを落として大きな表現でした。どうも強奏で音が硬くなる感じがして伸びやかな響きになりません。

三楽章、何かぶっきらぼうな主要主題。しなやかさや柔らかさが感じられません。テンポの動きもありますが、浅い演奏に感じます。

四楽章、あまり鳴りが良くなく思い切りの悪い感じがする運命の動機。遠くから響いてくるようなトランペット。かなり速いテンポの第一主題。金管の鳴りもあまり良くない感じで響きが重いです。コーダも委縮しているように伸びやかさがありません。最後も勝利の歓びなどはあまり感じることが出来ない硬い演奏でした。

あまりに委縮した伸びやかさの無いスケールの小さい音楽でした。この演奏に関してはパパ・ヤルヴィどうしたんだろう?と言う演奏でした。
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Ilya Stupel/リヴィウフィルハーモニー管弦楽団

Stupel
ウクライナ最古のオーケストラの一つだそうです。

一楽章、重く暗い空気は無く、軽くサラッとした運命の動機。明るく俊敏な反応で歌う第一主題。金管は控えめで、ビリビリとは響きません。第二主題は、響きに透明感が無く、きつい響きになることがありますし音程が合わず響きが濁ることもあります。トランペットはほとんど聞こえて来ません。ほとんどインテンポで間延びした部分もありましたが、コーダで一時テンポを速めました。

二楽章、僅かな抑揚しか無い序奏。ビブラートのかかった細く締まったホルンのソロ。この楽章はテンポの動きもありますが、表現はあまり積極的ではありません。中間部のクラリネットはとても速いテンポです。運命の動機でも他の音にかき消されてしまうトランペット。続く第一主題はやはり抑制的で、あまり歌いません。最後のクラリネットもほとんど歌わずあっさりと終わりました。

三楽章、とても速いテンポで素っ気ない主要主題。中間部の弦の刻みは表情があって迫って来るようなエネルギーがありました。

四楽章、トランペットだけ反響板の後ろからでも演奏しているように音が出て来ません。激しいティンパニのクレッシェンドに合わせて激しく演奏される第一主題。テンポは動くのですが、テンポを落とした部分の間が悪い感じで間延びしてしまいます。トロンボーンは突出するような場面が多くあります。コーダはかなり速いテンポで演奏にムラがあるような感じがします。最後はトランペットもしっかりと出て来て荒々しく終わりました。

テンポの動きや表現が独特で、違う曲を聞いているような感覚になりました。
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クラシック名盤試聴記 ・チャイコフスキー:交響曲第4番名盤 ・チャイコフスキー:交響曲第5番名盤 ・チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」名盤 ・チャイコフスキー:序曲「1812年」名盤

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