ブルックナー 交響曲第5番2

たいこ叩きのブルックナー 交響曲第5番名盤試聴記

朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

icon★★★★☆
一楽章、重いコントラバスのピツィカート。かなり現実味のある序奏です。若干のアンサンブルの乱れはありますが、輝かしい金管。かなり凄い集中力が音にこもっているような凄味を感じさせる演奏です。第二主題の弦のヒツィカートにも集中力を感じさせます。第三主題はゆったりとしたテンポで伸びやかです。金管のコラールは不安定な感じでした。再現部の第二主題はテンポを落としました。コーダはテンポを速めています。コーダのティパニのロールは突然奏者が目を覚ましたかのように強烈でした。

二楽章、遠くから響くようなオーボエの主要主題。バックの弦のピツィカートも一音一音刻み込むように強い力を持っています。柔らかく美しい弦の副主題。この時代の日本のオケの技術水準は現在のレベルには比較にならないほど劣っていたと思うのですが、この演奏からはそのような未熟さは感じさせません。すばらしい集中力で聴き手を引き込みます。テンポも動いてとても積極的に音楽を奏でています。物悲しい主要主題の雰囲気もよく表しています。

三楽章、ゆったりとしたテンポで開始しました。音楽の高揚に伴ってせきたてるようにテンポが速くなります。演奏に熱が入って来たのか、金管が最初に比べるとかなり強く吹くようになってきました。第二主題になってもそんなに極端にテンポを落としていません。朝比奈の晩年のインテンポとは違うテンポの動きが音楽を生き生きとさせています。また、高い緊張感を維持してすごい集中力です。展開部の第二主題はテンポを落として演奏しています。

四楽章、ゆったりとしたテンポの第一主題。軽快で美しい第二主題。テンポは微妙に動いています。この楽章の半分を過ぎたあたりから金管がかなり強く吹くようになります。再現部のクライマックスは朝比奈らしい巨大なスケール感が見事です。コーダは少しテンポを落として壮大なスケールで曲を閉じました。

すばらしい集中力と一音一音刻み込むような力のこもった演奏はすばらしいものでした。

ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーン交響楽団

カラヤン★★★★☆
一楽章、録音は古いですが、幻想的な序奏。情熱的な金管。厚みがあってたっぷりと歌う第一主題。第三主題もとても豊かな表現です。テンポの動きもあり濃厚な演奏です。

二楽章、熱気があって歌う主要主題。厚みがあって大きな川の流れのような副主題。カラヤンらしいレガート奏法で表面が滑らかで美しい演奏です。

三楽章、速いテンポで疾走感のある第一主題。一転してゆったりと舞うような第二主題。ライヴでの疾走感はカラヤンならではのものです。ただ、アンサンブルはあまり良くありません。

四楽章、ゆっくりですが、荒げることの無い第一主題。クライマックスでも全開にはなりません。コラールはゆっくりと心に染み渡るような響きです。テンポの動きで感情が高まります。かなり熱気のあるコーダで大きな盛り上がりです。

感情のこもった濃厚な表現の演奏で、テンポの動きもありましたが、アンサンブルの乱れが何度もあり残念でした。
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スタニラフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団

スクロヴァチェフスキ★★★★☆
一楽章、弱音でフワーっとした柔らかい序奏。清々しく爽やかな金管。静寂感の中に響く第一主題。少し温度感が低く少し距離が離れて聞いている感じです。少し日が差し込んだような第三主題。風の中で自然を感じるような展開部。とても爽やかに鳴り響くコーダ。あまりに爽やかで厚みを感じさせない響きは、あまりブルックナーを感じさせません。

二楽章、速めのテンポでさくさく進む主要主題。この楽章でも爽やかな弦。深みがあって流れるような副主題。包み込むように柔らかい響き。とても端正で細部まできっちりと鳴っている演奏です。生き生きとした木管が豊かな生命感を感じさせます。トランペットやトロンボーンは余裕たっぷりの柔らかく美しい演奏です。

三楽章、活発に動く第一主題。吠える金管が整然としていますが、激しいです。中間部もくっきりとした克明な動きの表現です。とても明晰でいろんな楽器の動きが克明に聞こえて来ます。

四楽章、全く力みが無く穏やかに演奏される第一主題。第二主題も軽く美しいです。金管のコラールは豊かな残響を伴ってバランスも良く美しい響きです。とても美しいのですが、ブルックナーにしては鮮烈な響きです。美しく伸びやかに鳴り響くトランペット。コーダの前はテンポが速くなりました。コーダは分厚い低域の響きはありませんが、伸びやかに鳴り響きます。

豊かな残響と美しい響きで明晰な演奏でした。ただ、ブルックナーらしい分厚い低域に支えられたものではなく、僅かに鋭い響きになっていました。
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ロベルト・パーテルノストロ/ロイトリンゲン・ヴュルッテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団

icon★★★★
一楽章、弱音で始まった低弦のピツィカート。比較的現実的な冒頭。長い残響を伴って巨大な金管のコラール。大聖堂に響き渡る長い響きが美しい。第一主題も伸びやかです。続く第二主題も美しい響きを伴って伸びやかです。木管にも潤いがあって美しいです。トゥッティでも響きが大聖堂に拡散して行くようで、こちら側に強いエネルギーになって伝わっては来ません。この豊かな残響を聞いているとブルックナー・パウゼの意味も理解できます。ブルックナー自信もこのような環境の中で、オルガンを演奏し、作曲のイメージを膨らませていたのかも知れません。この響きに浸かっているのも気持ちが良いです。パーテルノストロは強い個性を主張することもなく、楽譜に書かれていることを忠実に音にしているようです。

二楽章、速めのテンポでオーボエが自然で美しい主要主題を奏でます。弦楽合奏の副主題も深みのある響きで音楽に浸ることが出来ます。副主題の再現は控え目でサラッとしています。コントラバスが深く厚みのある響きで全体を支えています。やはり、トゥッティで音が拡散してしまって、エネルギーがこちらに伝わって来ないのが、この曲の男性的なイメージとは若干違うような感じがします。

三楽章、冒頭からトゥッティに至るまで少しアッチェレランドしました。トゥッティの後に残るもの凄い残響。第二主題は極端なテンホの変化ではなく、僅かにテンポを落とした程度です。長い残響にマスクされて細部は聞き取れませんが、この響きは気持ちが良い。くせになりそうな響きです。このままずっと浸っていたい気持ちにさせてくれます。編成はそんなに大きくないようですが、トゥッティでは残響を伴って巨大な響きになります。演奏には恣意的な部分は全く無く、ブルックナーが書いた楽譜を信じ切って演奏しているかのようです。

四楽章、深い霧の中から聞こえるような第一楽章の序奏の再現。豊かな残響を伴って美しいクラリネットとオーボエ。可憐な表情の第二主題。伸びやかな金管のコラール。遠くから聞こえてくるようなホルンのソロ。コーダからは分厚く巨大な響きに遠くの山からこだまするようなホルンの強奏が聞こえます。

この曲らしい男性的な演奏ではありませんでしたが、豊かな残響が作り出す独特の雰囲気がとても魅力的な演奏でした。パーテルノストロも曲をストレートに表現した演奏に好感が持てます。

朝比奈 隆/シカゴ交響楽団

朝比奈★★★★
一楽章、デッドなホールでも力強くバランス良く鳴り響く金管。いつものように自然体な第一主題。見事な一体感のある響きの演奏ですが、あまりにもデッドなホールで奥行き感が感じられず、ブルックナーらしい深みのある響きにはなりません。金管のきめ細かい響きでシカゴsoらしい鋭い響きです。

二楽章、あくまでも自然体で大きく歌うことの無い主要主題。広々とした副主題。緻密なアンサンブルや輝かしい金管はさすがにシカゴsoだと思わせます。

三楽章、あくまで自然体な第一主題。穏やかですが、切れ込むように鋭い第二主題。

四楽章、とても自然で作品そのものに語らせるような表現ですが、ブルックナーの演奏には残響が短過ぎます。第三主題も堂々としたものですが、厚みのある響きでは無く少し腰高な感じになります。コラールも見事な響きです。コーダもクールな響きでした。

いつもの朝比奈の自然体の演奏でしたが、ホールの音響特性の問題か、デッドで深みの無い響きで、クール感じる演奏でした。
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オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

クレンペラー★★★★
一楽章、重い低弦のピィツィカート。多層的に広がる弦。遠くから響く金管。トランペットがマルカートぎみに演奏します。第一主題の前の高揚する部分はゆっくりとしたテンポで頂点に入る前にはタメもありました。いつものように淡々とした第一主題。緩やかで雄大な第二主題。どっしりとしていて頑として動かない強固な演奏です。予想外に軽いコーダ。

二楽章、感情が込められ豊かに歌う主要主題。瑞々しく深みのある副主題。変化に動じることなく一貫した表現で貫かれています。金管はここでも軽いです。

三楽章、活発で生き生きとした第一主題。テンポを落としてゆったりと演奏される第二主題。クレンペラーにしては積極的な表現です。少しアンサンブルが乱れてもテンポを動かして粘っこい表現をします。最初は落ち着いて軽く演奏していた金管がかなり力を発揮するようになって来ました。

四楽章、一音一音刻み付け目ように物凄く遅い第一主題。第二主題もゆっくりです。サラサラと流れるように美しい弦。かなり強く演奏される第三主題ですが、何故か密度が薄く軽い感じがします。コラール主題に基づくフーガもとても落ち着いています。決して音楽が前へ進もうとはしません。コーダでもかなり強く演奏する金管ですが、燃え上がるような熱気はありません。

テンポが大きく動く部分もありましたが、基本的にはとても落ち着いた表現で、熱気のある演奏ではありませんでした。
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朝比奈 隆/大阪フィルハーモニー交響楽団

朝比奈★★★
一楽章、低弦のピツィカートに幻想的に乗っかる、ヴィオラとヴァイオリン。金管のコラールは若干のミストーンもありました。巨大なトゥッティがスケールの大きさを物語ります。クラリネットの音には艶やかさがありません。残響成分をあまり含んでいない録音なのか、生音がビンビン響いてきます。トゥッティの金管のエネルギー感はすごいです。わずかに雑な感じを受けました。

二楽章、非常にゆっくりと演奏されるオーボエの主題が伴奏の弦のピツィカートに合わせようとして不自然な演奏になっています。わずかにザラッとした弦の副主題。低域が豊かなのでトゥッティの充実した豪快な響きは見事です。

三楽章、テンポの変化が大きく、トゥッティでの金管が力強く鳴り響きます。テンポを落とした部分は非常にゆったりと田舎の田園風景を思わせるのんびりした感じです。一方でティンパニや金管の豪快な鳴りは凄いです。

四楽章、幻想的な冒頭。艶のないクラリネットが主題の動機を演奏します。チェロとコントラバスの第一主題はちょっと混沌とした雰囲気でした。力強い第三主題ですが、アンサンブルがきちんと揃っていないようで、少し雑に聞こえます。重量感のあるフーガ。再現部でも豪快に吹き鳴らされる金管ですが、少し汚い。第三主題の再現ではかなりテンポを上げました。コーダ手前のクライマックスからはテンポを落として壮絶な咆哮です。

豪快で男性的な演奏でしたが、アンサンブルの乱れなど、雑な印象でした。

ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団

ケーゲル★★★

一楽章、倍音成分が少なめで強い音の序奏。強烈な金管の咆哮。切迫するようにテンポが動きます。大きく歌う第一主題。ふくよかな第二主題。第三主題は速いテンポで、激しく動きます。トランペットがかなり強い音で演奏されています。

二楽章、感情を込めて豊かに歌う主要主題。ビリビリと強い音で響く金管。

三楽章、第一、第二主題とも速いテンポで駆け抜けるようです。ブルックナーらしい暴力的なスケルツォです。元気でアタックも強い金管。動きが克明で濃厚です。

四楽章、克明で実在感のある序奏。ゆったりとフワッとした第一主題。金管は相変わらず強くちょっとジャリジャリとした響きです。第二主題は少しザラついた感じです。第三主題もとても力強いです。コラールは少し雑な感じがします。かなり汚く強烈なトゥッティ。コーダの前のクライマックスはテンポも速くなり金管の遠慮無い強奏が下品に感じます。

とても人間臭い演奏でした。強烈で硬質な金管が時に下品なくらいの咆哮をしました。力強い演奏の魅力はありましたが、神を感じさせるような演奏ではありませんでした。
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アレクサンダー・ラハバリ/ブリュッセル・フィルハーモニック

ラハバリ
一楽章、速めのテンポで強めのビィツィカートに弱い弦のアルコが乗ります。金管は控えめで柔らかいです。とてもソフトでフワッとしていて、ゴリゴリと力で押してくるような演奏ではありません。とても丁寧な演奏ですが、マーラーの4番でも感じたような置きに行くような全力投球の演奏ではない感じがします。どこかよそよそしく鳴る金管。荒々しく咆哮するようなことは全くありません。

二楽章、柔らかく美しい主要主題。弦も全く力みの無い美しい演奏です。ゆっくりと非常に強く感情が込められた副主題。全く荒ぶれることの無い金管。響きが整理されていて、とてもスッキリとしています。ブルックナー独特の多層的な響きがほとんど聞こえません。最後もすごく遅いテンポです。

三楽章、全く荒立てない第一主題。とても柔らかく全開には程遠い金管。中間部ではテヌートぎみに演奏する木管。ラハバリは全開の激しい演奏を極力避けて柔らかくマイルドな演奏に徹しているようです。

四楽章、特別に浮き立つことの無いクラリネット。第一主題はとてもソフトです。サラサラと心地良い響きの第二主題。第三主題はかなり余力を残して控えめですが、その分弦の動きなどは良く分かります。金管のコラールはテヌートぎみで柔らかく演奏されます。コーダもとても軽く普通に演奏されるような熱気のある全開の演奏ではありません。

全く全開になることは無く、とても軽い演奏でした。美しさはありましたが、ブルックナーらしいオケが一体になってぶつかってくるような感じは全くありませんでした。
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